本発明は、クレーンのガイラインの吊り具に関するものである。本発明の第1実施形態に係る吊り具について図1〜図15に基いて説明する。まず、第1実施形態における移動式クレーンの全体構成について、図1に基いて概略説明する。
移動式クレーンは、第1実施形態ではクローラクレーン1である。クローラクレーン1は、クローラ式の下部走行体11と、この下部走行体11上に旋回可能に搭載された上部旋回体12とを備える。
上部旋回体12は、基台としての旋回フレーム121を有する。旋回フレーム121の前部には作業アタッチメントとしてのブーム13(後述する下部ブーム131)の基端が回動可能に取り付けられて、ブーム13が旋回フレーム121に対して起伏可能に構成される。ブーム13は、ラチス構造を有し、軸方向に所定の長さを有するラチスブームで、下部ブーム131、中間ブーム132および上部ブーム133を備える。
また、旋回フレーム121の前部にはマスト14の基端が回動可能に取り付けられて、マスト14が旋回フレーム121に対して起伏可能に構成される。ブーム13(上部ブーム133)の先端部とマスト14の先端部とは、ガイライン2により連結される。
また、旋回フレーム121は、前部にキャブ122(運転室)を備えるとともに、後部にカウンタウエイト123が取り付けられる。
マスト14の先端部には、マスト14側スプレッダが設けられ、旋回フレーム121には旋回フレーム121側スプレッダが設けられる。マスト14側スプレッダと旋回フレーム121側スプレッダとに、ブーム起伏用ロープ161が掛け渡され、ブーム起伏用ロープ161の一端が、旋回フレーム121に取り付けられたブーム起伏用ウインチ171に固定される。ブーム起伏用ロープ161がブーム起伏用ウインチ171に巻き取られたりブーム起伏用ウインチ171から繰り出されることにより、マスト14が起伏するとともに、マスト14の起伏によりガイライン2を介してブーム13が起伏する。
ブーム13(上部ブーム133)の先端部には、ブームポイントシーブ181および補助シーブ182がそれぞれ回転自在に設けられる。ブームポイントシーブ181からは主巻上ロープ162を介して主フック191が吊り下げられており、補助シーブ182からは補巻上ロープ163を介して補フック192が吊り下げられる。
主巻上ロープ162の一端は補フック192に固定され、主巻上ロープ162の他端は、ブームポイントシーブ181を通して、上部旋回体12に設けられた主巻ウインチ172に巻き付けられる。主巻ウインチ172により、主巻上ロープ162を介して主フック191の巻き上げまたは巻き下げが行われる。
補巻上ロープ163の一端はブーム13(上部ブーム133)に固定され、補巻上ロープ163の他端は、補助シーブ182を通して、上部旋回体12に設けられた補巻ウインチ173に巻き付けられる。補巻ウインチ173により、補巻上ロープ163を介して補フック192の巻き上げまたは巻き下げが行われる。
ブーム13は、軸方向の長さが変更可能となるように構成される。ブーム13は、上部旋回体12に近い側から、下部ブーム131、中間ブーム132、上部ブーム133が順に機械的に結合される。ブーム13(下部ブーム131)の基端部は、ブーム13が水平軸周りで回転可能となるように、ブームフットピンにて上部旋回体12の前部に取り付けられている。
中間ブーム132は、単数または複数の単位ブームにより構成される。軸方向に連結される単位ブームの個数や長さが変更されることにより、ブーム13の軸方向の長さが変更可能となる。このとき、中間ブーム132の長さに合わせて、ガイライン2の長さも変更される。第1実施形態では、中間ブーム132を長くすべく単位ブームを増結する場合、ガイライン2についても、増結する単位ブームと同じ長さのガイライン2を増結する。
ガイライン2を増結する際に、図2に示すように、クレーン(中間ブーム132を長くしようとしている当該クレーンとは別のクレーン)で吊り具3を介してガイライン2を吊るが、このときに使用する吊り具3が本発明に係る吊り具3である。まず、吊り具3で吊り下げるワークとしてのガイライン2について、さらに説明する。
図3に示すように、ガイライン2は、本体ロッド21と、ロッド接続部22と、を備える。
本体ロッド21は、その長手方向の長さがロッド接続部22の長手方向の長さよりも長い、棒状をした部材である。本体ロッド21の長手方向の長さは、第1実施形態では3m〜15mであるが、特に限定されない。
本体ロッド21は、長手方向に垂直な断面における形状が矩形状をした中間部23を有するとともに、長手方向における両側の端部にそれぞれ、中間部23よりも大きい膨大部24を有する。
中間部23は、本体ロッド21の長手方向の概ね8割程を占める部分で、一様な断面を有する直線状をしたものである。
膨大部24は、側面視弧状をしたもので、幅方向に一様な長さ(厚み)を有し、厚みは中間部23の厚みと同じである。なお、ガイライン2の向きは、吊り具3にて吊り下げられる状態での向きとして説明する。膨大部24は、幅方向に貫通するピン挿通孔241を有する。
ロッド接続部22は、一対のプレート25を有する。プレート25は、側面視長円状をしたものである。ロッド接続部22(プレート25)の長手方向の長さは、本体ロッド21の長手方向の長さよりも短く、第1実施形態では50cm〜2mであるが、特に限定されない。ロッド接続部22の幅(一対のプレート25の外面間距離)は、30mm〜150mmで一様であるが、特に限定されない。図10に示すように、一対のプレート25は、長手方向の両端部に、幅方向に貫通するピン挿通孔251を有する。
また、一対のプレート25は、長手方向の中央部に、幅方向に貫通するボルト挿通孔252を有する。一対のプレート25間のボルト挿通孔252が設けられた部分に、スペーサ26が設けられる。スペーサ26は一対のプレート25間に介在される。スペーサ26には中央にボルト挿通孔が形成されており、このボルト挿通孔と一対のプレート25のボルト挿通孔252とにボルト261が挿通されて、ナット262が締結される。これにより、一対のプレート25が所定の間隔をあけて対向する。
図3に示すように、本体ロッド21の一端のピン挿通孔241と、ロッド接続部22の一端のピン挿通孔251とが連通した状態で、フランジ付きのピン27が挿通される。ピン27には、抜止めピン挿通孔に抜止めピン271が差し込まれ、本体ロッド21およびロッド接続部22からのピン27の抜止めがなされる。
本発明の吊り具3は、図2に示すように、長尺部材の長手方向の一端部に、先端部が自由端となる短尺部材の基端部が回転可能に連結されてなるワークを吊り下げるものである。第1実施形態では、ガイライン2がワークに相当し、本体ロッド21が長尺部材に相当し、ロッド接続部22が短尺部材に相当する。
図4に示すように、第1実施形態に係る吊り具3は、本体部30と、支持部4と、回転規制部6と、を備える。
本体部30は、図5に示すように、横方向に所定の長さを有する。なお、以下の説明において、吊り具3およびその構成(本体部30、支持部4、回転規制部6)の向きは、ガイライン2を吊り下げる状態での向きとして説明する。本体部30の長手方向の長さは、第1実施形態では2m〜10mであるが、特に限定されない。
本体部30は、断面が円形状をした中空パイプであるが、特に断面円形状に限定されず、また特に中空パイプに限定されない。
本体部30には、被吊り下げ部31が設けられる。被吊り下げ部31は、本体部30の長手方向(横方向)に異なる複数の位置に、上方に向けて設けられる。第1実施形態では、本体部30の長手方向の6箇所にそれぞれ被吊り下げ部31が設けられている。被吊り下げ部31には、幅方向に貫通する挿通孔311が形成されており、別のクレーン(図11参照)のフックやスリング等が挿通されて、吊り上げられる。
本体部30には、支持部取り付け部32が設けられる。支持部取り付け部32は、本体部30の長手方向に異なる複数の位置に、下方に向けて設けられる。第1実施形態では、本体部30の長手方向の6箇所で、被吊り下げ部31が設けられた箇所と同じ箇所にそれぞれ支持部取り付け部32が設けられている。支持部取り付け部32には、幅方向に貫通するピン挿通孔321が形成されている。
第1実施形態では、被吊り下げ部31と支持部取り付け部32とはほぼ同じに形成されており、本体部30を上下反転させて、被吊り下げ部31を支持部取り付け部32として利用可能であるとともに、支持部取り付け部32を被吊り下げ部31として利用可能である。なお、被吊り下げ部31と支持部取り付け部32とはほぼ同じに形成される必要はなく、被吊り下げ部31を支持部取り付け部32として、支持部取り付け部32を被吊り下げ部31として、利用可能でなくてもよい。
支持部4は、図6に示すように、本体部30に下方に向けて設けられる、対をなす第一側壁40と第二側壁50とを有する。
第一側壁40は、矩形のプレート状をした部材により構成されるが、特に限定されない。
第一側壁40は、本体ロッド21の荷重を受ける荷重受け部41を有する。荷重受け部41は、第一側壁40の下端部が内側(第二側壁50側)に折り曲げられた部分である。荷重受け部41上に、本体ロッド21が載置される。
第一側壁40には、荷重受け部41を補強する、縦片411および横片412からなるL字状をした補強部材が設けられる。補強部材は、溶接により第一側壁40に設けられる。第一側壁40の下端(第1実施形態では横片412の下端)は、第二側壁50側へ行くほど上方に位置する傾斜413を有する。
第一側壁40には、幅方向に貫通する取付ピン挿通孔42が形成される。第一側壁40の内面(第二側壁50側の面)の取付ピン挿通孔42の周囲にはボス部421が設けられる。
第一側壁40には、幅方向に貫通する間隔調節ボルト孔44が形成される。第一側壁40の内面の間隔調節ボルト孔44の周囲には厚肉部441が設けられる。
第二側壁50は、第1実施形態では第一側壁40と同じであるが、特に同じでなくてもよい。すなわち、第二側壁50には、荷重受け部41、下端の傾斜413(第一側壁40側へ行くほど上方に位置する傾斜)、取付ピン挿通孔42、間隔調節ボルト孔44が設けられればよい。
図4に示すように、第一側壁40および第二側壁50は、幅方向において本体部30の支持部取り付け部32の両側に位置させ、取付ピン挿通孔42を支持部取り付け部32のピン挿通孔321と連通させた状態で、図6に示すフランジ付きの取付ピン43を挿通させる。取付ピン43には、抜止めピン挿通孔に抜止めピン431が差し込まれ、支持部取り付け部32からの支持部4の抜止めがなされる。
第一側壁40および第二側壁50の間隔調節ボルト孔44には、間隔調節ボルト45を挿通させる。間隔調節ボルト45には、先端に蝶ナット451が螺合され、第一側壁40と第二側壁50の間隔が調節可能である。
回転規制部6は、図7に示すように、本体部30に設けられるもので、ロッド接続部22の本体ロッド21に対する回転を規制するものである。回転規制部6は、第1実施形態では対をなす外プレート60と、両外プレート60の間に挟まれる中プレート61とで構成される。外プレート60と中プレート61とは、溶接により固定される。
また、対をなす外プレート60間には、これらを連結する連結部62が設けられている。外プレート60と連結部62とは、溶接により固定される。連結部62は、スペーサおよび補強材としての機能を有する。
回転規制部6は、本体部30への取り付け部を有する。取り付け部として、各外プレート60に、被吊り下げ部31に固定するためのピン挿通孔63と、支持部取り付け部32に固定するためのピン挿通孔65とが形成される。
図2に示すように、対をなす外プレート60内に、被吊り下げ部31を挿入し、ピン挿通孔63を被吊り下げ部31の挿通孔311と連通させた状態で、フランジ付きの取付ピン64を挿通させる。取付ピン64には、抜止めピン挿通孔に抜止めピン641が差し込まれ、被吊り下げ部31からの回転規制部6の抜止めがなされる。
同様に、対をなす外プレート60内に、支持部取り付け部32を挿入し、ピン挿通孔65を支持部取り付け部32のピン挿通孔321と連通させた状態で、フランジ付きの取付ピン66を挿通させる。取付ピン66には、抜止めピン挿通孔に抜止めピン661が差し込まれ、支持部取り付け部32からの回転規制部6の抜止めがなされる。
回転規制部6は、ロッド接続部22のピン挿通孔251と連通した状態で固定ピン68(図2参照)が挿通される固定ピン挿通孔671、672を有する。図7に示すように、固定ピン挿通孔671は、外プレート60に形成されている。固定ピン挿通孔672は、中プレート61に形成されている。
以上により、図4に示す第1実施形態の吊り具3が構成される。次に、第1実施形態の吊り具3による、ガイライン2の吊り下げの手順について説明する。
ガイライン2を図3Bに示すように立てて置き、図8Aに示すようにクレーンで、本体部30の長手方向を横向きにして吊り具3を吊り、ガイライン2の上方に位置させる。なお、横とは、厳密な水平でなくてもよく、たとえば厳密な水平から10°〜20°程度傾いてもよく、許容角度は限定されない。
図8Bに示すように吊り具3を下げると、吊り具の下端の傾斜413がガイライン2の上端に当接し、第一側壁40と第二側壁50が広がりながら下がる。さらに吊り具3を下げると、図9に示すように第一側壁40と第二側壁50の荷重受け部41がガイライン2の下に入り込み、第一側壁40と第二側壁50との間隔が狭まる。ガイライン2の両端に膨大部24があるため(図3B参照)、地面等の平坦面にガイライン2が載置されると、中間部23が平坦面から浮いた状態となり、荷重受け部41がガイライン2の下端と平坦面との間にうまく入り込む。
その後、蝶ナット451を締め付けて、第一側壁40と第二側壁50とが離間して本体ロッド21が脱落するのを防止する。すなわち、間隔調節ボルト45および蝶ナット451は、第一側壁40と第二側壁50の離間を防止してガイライン2の脱落を防止する脱落防止手段を構成する。
なお、第1実施形態では、本体部30の長手方向に支持部4が2か所設けられているが、支持部4は3か所以上設けられてもよく、また、長手方向に所定の長さを有する支持部4が一つ設けられるものであってもよい。
次に、ロッド接続部22の先端部を起立させて、図10、図2に示すように、ロッド接続部22の一対のプレート25内に、回転規制部6の一対の外プレート60を挿入させる。このとき、図10に示すようにロッド接続部22の一対のプレート25内に、回転規制部6の一対の外プレート60を隙間なく挿入させることで、がたつきが防止されるが、隙間があっても構わない。
そして、ロッド接続部22のピン挿通孔251と回転規制部6の固定ピン挿通孔671とを連通させた状態で、固定ピン68を挿通させる。固定ピン挿通孔671は、図7に示すように、上部の径が大きく、下部の径が小さい、曲率半径の異なる弧が組み合わされた形状をしている。このため、固定ピン68が固定ピン挿通孔671に挿通される際には、ロッド接続部22および本体ロッド21を少し持ち上げて径の大きい上部に固定ピン68を挿通させることで、挿通がしやすい。その後、ロッド接続部22および本体ロッド21を下げると、固定ピン68が固定ピン挿通孔671の径が小さい下部に位置して位置決めがなされ、移動が規制されて安定する。
図10に示すように、固定ピン68には、抜止めピン挿通孔に抜止めピン681が差し込まれ、固定ピン68の抜止めがなされる。
中間ブーム132およびガイライン2の連結についてさらに説明する。吊り具3の支持部4がガイライン2を支持した状態で、別クレーンのフックやスリング等を上昇させることで、図11Aに示すように吊り具3を吊り上げる。
中間ブーム132を伸長するための連結にあたっては、まず、クローラクレーン1のブーム13を倒伏させて地面に載置し、上部ブーム133または中間ブーム132を、隣接する旋回フレーム121側の中間ブーム132または下部ブーム131から離脱させる。第1実施形態では、中間ブーム132を地面に載置し、その上端面上に当該中間ブーム132に対応するガイライン2を載置する。中間ブーム132の長さとガイライン2の長さは第1実施形態では同じであるが、異なってもよく特に限定されない。地面に載置する中間ブーム132または下部ブーム131に、増結する中間ブーム132を連結し、図11Bに示すように、増結する中間ブーム132に対応するガイライン2を載置する。その後、ロッド接続部22の固定ピン68を外し、連結されるガイライン2の本体ロッド21のピン挿通孔241とロッド接続部22のピン挿通孔251とを連通させた状態で、ピン27を挿通させるとともにピン27の抜止めピン挿通孔に抜止めピン271を差し込んで連結する。
なお、この吊り具3は、ブーム3の組み立てや分解時にも利用可能である。
次に、図2に示すガイライン2(以下、区別のため第1ガイライン2とする)と異なる図12に示す第2ガイライン2をワークとする場合について、図12〜図14に基いて説明する。第2ガイライン2の本体ロッド21の長さは、第1ガイライン2の本体ロッド21の長さよりも短い。また、第2ガイライン2の本体ロッド21の断面の大きさ(上下長さ、厚み)は、第1ガイライン2の本体ロッド21の断面の大きさよりも小さい。また、第2ガイライン2のロッド接続部22の断面の大きさも、第1ガイライン2のロッド接続部22の断面の大きさよりも小さい。
第2ガイライン2の本体ロッド21の長さは、第1ガイライン2の本体ロッド21の長さと異なるため、第2ガイライン2と第1ガイライン2の重心位置も異なる。このため、第2ガイライン2を吊る場合には、図12に示すように、本体部30に取り付けられる支持部4の位置を、第1ガイライン2を吊る場合の支持部4の位置(図2参照)と異ならせている。
このように、ガイライン2の重心位置に合わせて、支持部4を任意の支持部取り付け部32に取り付けることができ、第1実施形態の吊り具3は重心位置調節手段を有するものである。
第2ガイライン2の吊り下げの手順は、第1ガイライン2の吊り下げの手順とほぼ同じであるが、若干異なる部分があり、以下に説明する。
第2ガイライン2を吊る場合も、第2ガイライン2を横向きに立てて置き、第2ガイライン2の上方に吊り具3を位置させ、吊り具3を下げて、荷重受け部41が第2ガイライン2の下に入り込み、第一側壁40と第二側壁50との間隔が狭まる。
その後、蝶ナット451を締め付けて、第一側壁40と第二側壁50とが離間して本体ロッド21が脱落するのを防止するが、第2ガイライン2の幅が第1ガイライン2の幅よりも狭いため、図13に示すように、蝶ナット451の締め付け量が、第1ガイライン2の場合よりも大きい。このように、間隔調節ボルト45および蝶ナット451は、第一側壁40と第二側壁50の離間を防止してガイライン2の脱落を防止する脱落防止手段を構成するのに加えて、第一側壁40と第二側壁50の間隔を調節してガイライン2の幅の違いを吸収する、間隔調節手段を構成する。
次に、ロッド接続部22の先端部を起立させて、図14に示すように、ロッド接続部22の一対のプレート25内に、回転規制部6の中プレート61を挿入させる。そして、ロッド接続部22のピン挿通孔251と回転規制部6の固定ピン挿通孔672とを連通させた状態で、固定ピン68を挿通させる。
このように、ガイライン2の大きさ(特に、ロッド接続部22の一対のプレート25の間隔)の違いに応じて、一対の外プレート60を挿入させたり、中プレート61を挿入させることにより、異なる大きさのガイライン2にも対応可能である。
次に、さらに異なる図15に示す第3ガイライン2を吊る場合について説明する。第3ガイライン2は第1ガイライン2とほとんど同じであるが、第3ガイライン2のロッド接続部22の長さが、第1ガイライン2のロッド接続部22の長さよりも長い点においてのみ異なる。
第3ガイライン2を吊る場合、ロッド接続部22の基端部のピン27の位置を、吊り具3の回転規制部6の固定ピン挿通孔671の下方位置から側方に離すことにより、ロッド接続部22の先端部のピン挿通孔251を回転規制部6の固定ピン挿通孔671に連通させることができる。
すなわち、回転規制部6の固定ピン挿通孔671が、支持部4に吊り下げられる本体ロッド21よりも上方にあり、かつ、支持部4に吊り下げられる本体ロッド21と干渉しないように回転規制部6が設けられているため、様々な長さのガイライン2を吊り下げることができる。
次に、第2実施形態に係る吊り具3について、図16〜図29に基いて説明する。図16に、第1ガイライン2を吊り下げた第2実施形態の吊り具3の側面図を示す。
図17に示すように、第2実施形態の吊り具3も第1実施形態の吊り具3と同様に、本体部30と、支持部4と、回転規制部6と、を備える。なお、第2実施形態の吊り具3について、第1実施形態の吊り具3と同じ構成については同符号を付して説明を省略し、主に異なる構成について説明する。
本体部30は、図5に第1実施形態の本体部30と同じであり、説明を省略する。
支持部4は、図18に示すように、本体部30に下方に向けて設けられる、対をなす第一側壁40と第二側壁50とを有する。第一側壁40および第二側壁50は、本体ロッド21の荷重を受ける荷重受け部41と、を有する。
第一側壁40には、上端部に形成される取付ピン挿通孔42に、フランジ付きの取付ピン43が挿通される。取付ピン43には、軸方向に複数の抜止めピン挿通孔432が形成されており、いずれかの抜止めピン挿通孔432に抜止めピン431が選択的に挿入される。また、第一側壁40には、取付ピン挿通孔42の両側に、一対の抜止めピン固定片461が外向きに突設されている。抜止めピン固定片461には抜止めピン挿通孔に抜止めピン431が差し込まれ、取付ピン43の抜止めがなされる。
また、第一側壁40には、上下方向中央部に形成される間隔調節ピン孔47に、フランジ付きの間隔調節ピン48が挿通される。間隔調節ピン48には、軸方向に複数の抜止めピン挿通孔が形成されており、抜止めピン481が選択的に挿入される。また、第一側壁40には、間隔調節ピン孔47の両側に、一対の抜止めピン固定片462が外向きに突設されている。抜止めピン固定片462には抜止めピン挿通孔に抜止めピン481が差し込まれ、間隔調節ピン48の抜止めがなされる。
また、第一側壁40には図18に示すように、アダプタ部材490が着脱自在に設けられる。第一側壁40には、調節部挿通孔49が形成される。アダプタ部材490は、図18、図19に示すように、第一側壁40の第二側壁50側と反対側の側面に当接する当接面491を有する。さらに、アダプタ部材490は、当接面491の調節部挿通孔49に対応する部分に、当接面491から突出する調節部492を有する。また、第一側壁40には、調節部挿通孔49の両側に、一対の抜止めピン固定片463が外向きに突設されている。抜止めピン固定片463には抜止めピン挿通孔に抜止めピン464が差し込まれ、アダプタ部材490の第一側壁40からの抜止めがなされる。
第二側壁50は、第一側壁40とほとんど同じであるが、抜止めピン固定片461および抜止めピン固定片462が設けられない点においてのみ異なる。
回転規制部6は、図20に示すように、対をなす外プレート60を有するが、第1実施形態で設けられる中プレート61を有しない。さらに、第1実施で設けられる連結部62を有しない。
また、一対の外プレート60は、ボルト711が挿通されるボルト挿通孔を有する。一対の外プレート60間のボルト挿通孔が設けられた部分に、スペーサ71が設けられる。スペーサ71は一対の外プレート60間に介在。スペーサ71には中央にボルト挿通孔が形成されており、このボルト挿通孔と一対の外プレート60のボルト挿通孔とにボルト711が挿通されて、ナット712が締結される。これにより、一対の外プレート60が所定の間隔をあけて対向する。
回転規制部6は、フック75を有するフック部材74を回転可能に有する。フック部材74は、回転中心となる部分に中心孔が形成されている。外プレート60に形成されたフックピン挿通孔と中心孔とが連通する状態で、フックピン72が挿通される。これにより、フック部材74が回転可能に外プレート60に設けられる。フックピン72に形成された抜止めピン挿通孔に抜止めピン721が挿通されて、フックピン72の抜止めがなされる。
このような、フックピン挿通孔、フックピン72およびフック部材74が2セット設けられる。使用されるのはそのうちの1セットで、もう1セットは使用されず収納される。図20においては、右下のフック部材74が使用され、左上のフック部材74が使用されず収納されている。
フック部材74は、回転中心(すなわち中心孔)からのフック75の長さが長いもの、短いものの二種類設けられる。
フック75は、図23に示すように、ロッド接続部22に設けられる、フック挿通孔281に挿通される。ロッド接続部22には、フック挿通孔281が形成されたブラケット28が取り付けられる。ブラケット28は、スペーサ26から上方に向けて延出されるもので、縦長のフック挿通孔281が形成されている。
また、図22に示すように、フック部材74は、位置決め部76を有する。位置決め部76は、フック部材74が所定の回転角度をなす状態で、ブラケット28に当接して、ブラケット28のフック75に対する位置決めを行うものである。位置決め部76は、回転方向においてフック75と所定の角度あけて、フック部材74に設けられる。
また、フック部材74は、角度固定片77を有する。角度固定片77は、回転方向においてフック75および位置決め部76と所定の角度あけて設けられる。角度固定片77には、角度固定ピン78が挿通される貫通孔が形成されている。また、一対の外プレート60に、図20に示す右下のフック部材74における、フック75が下方の所定位置に位置する状態で角度固定片77の貫通孔に対応する位置、および、位置決め部76が下方の所定位置に位置する状態で角度固定片77の貫通孔に対応する位置にそれぞれ、角度固定孔73が形成されている。
また、一対の外プレート60に、図20に示す左上のフック部材74における、角度固定片77の貫通孔と連通する位置に角度固定孔73が形成されている。
また、回転規制部6の下端に、傾斜413が設けられる。
以上により、図17に示す第2実施形態の吊り具3が構成される。次に、第2実施形態の吊り具3による、第1ガイライン2の吊り下げの手順について説明する。
図21Aに示すように、第1ガイライン2を立てて置き、第1ガイライン2の外側に第一側壁40と第二側壁50とを位置させる。図21Bに示すように抜け止めピン431、481を、内側の抜止めピン挿通孔に挿通させて、第一側壁40と第二側壁50の間隔を狭める。これにより、第1ガイライン2が脱落するのが防止される。
次に、図22に示すように、右下のフック部材74の位置決め部76が、下方においてブラケット28に当接する位置にまで吊り具3を第1ガイライン2の長手方向に移動させる。位置決め部76がブラケット28に当接した位置で、フック部材74を回転させて、図23に示すようにフック75をフック挿通孔281に挿通させる。図24に示すように、吊り具3を上昇させて、第1ガイライン2を荷重受け部41に当接させる。
第1ガイライン2を支持した状態で、別クレーンのフックやスリング等を上昇させることで、図25Aに示すように吊り具3を吊り上げる。その後、図25Bに示すように、増結する中間ブーム132に対応する第1ガイライン2を載置する。このとき、第1実施形態ではロッド接続部22の固定ピン68を外す必要があったが、第2実施形態では、図25Bに示すように、ロッド接続部22にはもともと固定ピン68が設けられておらず、ピン挿通孔251はあいたままであるため、即座に本体ロッド21との連結作業に移ることができる。
次に、第2ガイライン2をワークとする場合について、図26〜図29に基いて説明する。図26に、第2ガイライン2を吊り下げた第2実施形態の吊り具3の側面図を示す。
第2ガイライン2を吊る場合には、フック部材74の中心からフック75までの長さが、第1ガイライン2の場合よりも長い。このため、二つのフック部材74を付け替えて、中心からフック75までの長さが長いフック部材74を利用する。
図27に示すように、右下のフック部材74の位置決め部76が、下方においてブラケット28に当接する位置にまで吊り具3を第2ガイライン2の長手方向に移動させる。位置決め部76がブラケット28に当接した位置で、フック部材74を回転させて、図28に示すようにフック75をフック挿通孔281に挿通させる。図29に示すように、吊り具3を上昇させて、第1ガイライン2を荷重受け部41に当接させる。
第2ガイライン2を吊る場合には、図29に示すように、アダプタ部材490の調節部492を、第一側壁40および第二側壁50の内側に突出させる。これにより、ガイライン2の幅の違いを吸収する、間隔調節手段を構成している。
すなわち、第1ガイライン2の場合には、図24に示すように、アダプタ部材490の調節部492を外側に位置させており、第一側壁40および第二側壁50の内側に調節部492が突出しない。このため、第一側壁40と第二側壁50の間の空間いっぱいに第1ガイライン2が位置し、幅の長い第1ガイライン2を吊ることができる。
また、本体部30の他例として、図30に示すように、被吊り下げ部31のかわりに、本体部30の長手方向に多数の歯部312が上下に伸びるように設けられている。これにより、この吊り具3を吊るクレーンのフックやスリング等が任意の歯部312間に挿通されて、ワークの重心位置に細かく対応することができる。
また、任意の歯部312間に、支持部4が設けられてもよい。