上述した本発明の内容を明確にするために、本発明を「セブン機」や「デジパチ」と呼ばれるタイプのパチンコ機(遊技機)に適用した実施例について説明する。尚、実施例において、「前」および「表」は「遊技機を基準とする前方」、つまり「遊技者に近接する方向(遊技者から見て手前側)」を示し、「後」および「裏」は「遊技機を基準とする後方」、つまり「遊技者から離間する方向(遊技者から見て奥側)」を示す。また、「上」とは遊技者から見て「上」であることを示し、「下」とは遊技者から見て「下」であることを示し、「左」とは遊技者から見て「左」であることを示し、「右」とは遊技者から見て「右」であることを示す。
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.装置前面側の構成 :
図1は、本実施例のパチンコ機1の正面図である。図1に示すように、パチンコ機1の前面部には、前面枠4が設けられている。前面枠4は、一端(図1における左側)が中枠3に対して回動可能に軸支されている。中枠3の前面側には遊技盤20(図2参照)が着脱可能に取り付けられており、前面枠4が中枠3に対してパチンコ機1の前方側に回動(開放)されると、遊技盤20が露出した状態となる。中枠3は、一端(図1における左側)が本体枠2に対して回動可能に軸支されている。本体枠2は、木製の板状部材を組み立てて構成された略長方形の枠体であり、パチンコ機1の外枠を形成している。
前面枠4の略中央部には窓部4aが形成されており、この窓部4aにはガラス板等の透明板4bが嵌め込まれている。遊技者は、窓部4a(透明板4b)を通して奥側に配置される遊技盤20の後述する遊技領域を視認可能である。また、前面枠4における窓部4aの右下方には、小窓部4cが形成されており、この小窓部4cには合成樹脂板等の透明板4dが嵌め込まれている。遊技者は、小窓部4c(透明板4d)を通して奥側に配置された遊技盤20の後述するセグメント表示部を視認可能である。
前面枠4における窓部4aの上方には上部ランプ5aが設けられ、窓部4aの右側の周縁部には右サイドランプ5bが設けられ、窓部4aの左側の周縁部には左サイドランプ5cが設けられている。また、窓部4aの上方の左右には一対の上部スピーカー6aが設けられており、本体枠2の下部の前面側には下部スピーカー6bが設けられている。これらの上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c、上部スピーカー6a、および下部スピーカー6bは、遊技上の演出効果を高めるために駆動される。尚、本実施例の上部スピーカー6aおよび下部スピーカー6bは、本発明の「音出力手段」に相当している。
前面枠4における窓部4aの下方には、上皿部7が設けられている。上皿部7には、カードユニット242(図3参照)を介して貸し出される遊技球や、パチンコ機1から払い出される遊技球が貯留される。また、上皿部7の下方には下皿部8が設けられており、上皿部7の容量を超えて貸し出された遊技球や、上皿部7の容量を超えて払い出された遊技球が貯留される。
前面枠4における下皿部8の右方には、遊技者による回転操作が可能な発射ハンドル9が設けられている。発射ハンドル9の回転軸は、発射ハンドル9の奥側に搭載された発射装置ユニット261(図3参照)に接続されている。この発射装置ユニット261には、上皿部7に貯留された遊技球が供給される。遊技者が発射ハンドル9を回転させると、その回転が発射装置ユニット261に伝達され、発射装置ユニット261に内蔵された発射モーターが作動して、発射ハンドル9の回転角度に応じた強さで遊技球が発射される。
また、上皿部7の手前側の縁部には遊技者による押下操作が可能な演出ボタン10aが設けられており、下皿部8の左方には遊技者による押込操作や回転操作が可能なジョグシャトル10bが設けられている。さらに、演出ボタン10aの左方には方向ボタン10cが設けられており、方向ボタン10cは、上下左右の4方向にそれぞれ対応する4つのボタン(上ボタン、下ボタン、左ボタン、右ボタン)を備えている。これらの演出ボタン10a、ジョグシャトル10b、および方向ボタン10cは、何れも遊技者によって操作される演出操作部であり、所定の条件成立時に遊技者によって操作されると、所定の遊技演出が行われる。尚、本実施例の方向ボタン10cは、本発明の「入力検知手段」に相当している。
A−2.遊技盤の構成 :
図2は、遊技盤20の盤面構成を示す説明図である。前述したように遊技盤20は、中枠3の前面側に着脱可能に取り付けられている。図2に示すように、遊技盤20の中央には略円形状の遊技領域21が形成されている。発射装置ユニット261(図3参照)から発射された遊技球は、外レール22と内レール23との間を通って遊技領域21に放出され、遊技領域21の上方から下方に向かって流下する。遊技領域21は、前面枠4の窓部4a(透明板4b)を通して遊技者に視認されるので、当然ながら、遊技領域21を流下する遊技球の様子も窓部4aを通して遊技者が視認可能である。
遊技領域21の略中央には中央装置40が設けられており、中央装置40のほぼ中央には、演出表示装置41が設けられている。演出表示装置41は液晶表示器によって構成されており、その表示画面上には、演出用の種々の画像を表示することが可能である。尚、演出表示装置41の表示内容については後述する。
遊技領域21において中央装置40(演出表示装置41)の右方には、普通図柄作動ゲート27が設けられている。遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過すると、内蔵のゲートセンサー27s(図3参照)によって検知されて、下方へと流下していく。
遊技領域21における中央装置40(演出表示装置41)の下方には、遊技球が入球可能な開口部の大きさが不変(一定)であり、遊技球が常時入球可能な入球口である第1始動口24が設けられている。第1始動口24に入球した遊技球は、内部の通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれて、第1始動口センサー24s(図3参照)によって検知される。
遊技領域21における第1始動口24の下方には、遊技球の入球可能性が変化する入球口である第2始動口25が設けられている。本実施例の第2始動口25は、下端側を軸に上端側を前方に傾けて回動可能な開閉扉26を備えており、開閉扉26が略直立して遊技球が入球不能(または入球困難)な閉鎖状態と、開閉扉26が前方に回動して遊技球が入球可能(または入球容易)な開放状態とに変化可能である。図2では、第2始動口25が開放状態となっている様子が示されている。第2始動口25に入球した遊技球は、内部の通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれて、第2始動口センサー25s(図3参照)によって検知される。
遊技領域21における第1始動口24の右方には、略長方形状に大きく開口した大入賞口28が設けられている。大入賞口28は、下端側を軸に上端側を前方に傾けて回動可能な開閉扉29を備えており、開閉扉29が略直立して遊技球が入球不能な閉鎖状態と、開閉扉29が前方に回動して遊技球が入球可能な開放状態とに変化可能である。図2では、大入賞口28が開放状態となっている様子が示されている。大入賞口28に入球した遊技球は、内部の通路を通って遊技盤20の裏面側に導かれて、大入賞口センサー28s(図3参照)によって検知される。
また、上述した各遊技装置の周辺には、遊技球が入球可能なその他入球口30や、遊技球が流下する経路に影響を与える風車型ホイール31や多数の遊技釘32などが設けられている。さらに、遊技領域21の最下部であって第2始動口25の左下方および右下方には、2つのアウト口33が設けられており、上述した第1始動口24、第2始動口25、大入賞口28、その他入球口30の何れにも入球しなかった遊技球は、アウト口33から遊技盤20の裏側に排出される。
本実施例のパチンコ機1において、上述した第1始動口24には、中央装置40(演出表示装置41)の左方の領域を流下する遊技球が入球可能である。これに対して、第2始動口25、普通図柄作動ゲート27、大入賞口28には、中央装置40(演出表示装置41)の右方の領域を流下する遊技球が入球または通過可能である。以下では、中央装置40の左方の領域を流下させるように遊技球を発射することを「左打ち」とも表現し、中央装置40の右方の領域を流下させるように遊技球を発射することを「右打ち」とも表現する。尚、本実施例のパチンコ機1では、第1始動口24、第2始動口25、その他入球口30の何れかに遊技球が入球した場合は、賞球として3個の遊技球が払い出され、大入賞口28に遊技球が入球した場合は、13個の遊技球が払い出される。
また、遊技盤20における遊技領域21の右下方には、複数のLEDの組み合わせによって遊技に係る情報を表示するセグメント表示部50が設けられている。セグメント表示部50は、前面枠4に設けられた小窓部4c(図1参照)を通して遊技者が視認可能である。尚、セグメント表示部50の表示内容については後述する。
A−3.制御回路の構成 :
次に、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成について説明する。図3は、本実施例のパチンコ機1における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているようにパチンコ機1の制御回路は、多くの制御基板や、各種基板などから構成されている。機能に着目して大別すると、遊技の基本的な進行に係る制御を司る主制御基板200と、遊技の演出に係る制御を司るサブ制御基板220と、サブ制御基板220の制御下で画像の表示や音声の出力に係る制御を司る画像音声制御基板230と、サブ制御基板220の制御下でランプの発光に係る制御を司るランプ制御基板226と、遊技球の貸し出しや払い出しに係る制御を司る払出制御基板240と、遊技球の発射に係る制御を司る発射制御基板260などから構成されている。これら制御基板は、各種論理演算および算出演算を実行するCPU(図3におけるCPU201、221、231等)や、CPUで実行される各種プログラムやデータが記憶されているROM(図3におけるROM202、222、232等)、プログラムの実行に際してCPUが一時的なデータを記憶するRAM(図3における203、223、233等)、入出力用回路など、種々の周辺LSIがバスで相互に接続されて構成されている。
主制御基板200には、第1始動口24へ入球した遊技球を検知する第1始動口センサー24sや、第2始動口25へ入球した遊技球を検知する第2始動口センサー25s、大入賞口28へ入球した遊技球を検知する大入賞口センサー28s、普通図柄作動ゲート27を通過する遊技球を検知するゲートセンサー27sなどが接続されている。主制御基板200のCPU201は、第1始動口センサー24sや、第2始動口センサー25s、大入賞口センサー28s、ゲートセンサー27sなどから遊技球の検知信号の入力があると、その検知信号の入力のあったセンサーに対応したコマンドを、サブ制御基板220や、払出制御基板240などに向けて送信する。
また、主制御基板200には、第2始動口25に設けられた開閉扉26を駆動する(第2始動口25の開放状態と閉鎖状態とを切り換える)始動口ソレノイド26mや、大入賞口28に設けられた開閉扉29を駆動する(大入賞口28の開放状態と閉鎖状態とを切り換える)大入賞口ソレノイド29m、セグメント表示部50などが接続されている。主制御基板200のCPU201は、始動口ソレノイド26m、大入賞口ソレノイド29m、セグメント表示部50に向けて駆動信号を送信することにより、これらの動作の制御を行う。
サブ制御基板220には、画像音声制御基板230や、ランプ制御基板226、演出操作基板228が接続されている。サブ制御基板220のCPU221は、主制御基板200からの各種コマンドを受信すると、コマンドの内容を解析して、その内容に応じた遊技演出を行う。すなわち、画像音声制御基板230に対して、出力画像や出力音声を指定するコマンドを送信したり、ランプ制御基板226に対して、上部ランプ5a、右サイドランプ5b、左サイドランプ5c(以下「各種ランプ5a〜5c」ともいう)の発光パターンを指定するコマンドを送信したりすることによって、遊技演出を行う。また、サブ制御基板220のCPU221は、演出操作基板228を介して、演出ボタン10aやジョグシャトル10bや方向ボタン10c(以下「演出操作部10a〜10c」ともいう)に対する遊技者の操作を検知すると、その操作に対応する遊技演出を行う。
画像音声制御基板230は、CPU231、ROM232、RAM233に加えて、VDP234、画像ROM235、音声ROM236を備えている。画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応した画像の表示をVDP234に指示する。VDP234は、指示された画像の表示に利用する画像データ(例えば、スプライトデータや動画データなど)を画像ROM235から読み出して画像を生成し、演出表示装置41の表示画面に出力する。また、画像音声制御基板230のCPU231は、サブ制御基板220からコマンドを受信すると、そのコマンドに対応した音声データを音声ROM236から読み出して、その音声データの信号をアンプ基板224に送信することにより、上部スピーカー6aおよび下部スピーカー6b(以下「各種スピーカー6a,6b」ともいう)から音声を出力する。本実施例のパチンコ機1では、後述するように複数の楽曲を切り換えて出力することが可能であり、所定の条件を満たせば、複数の楽曲の中から出力する楽曲を遊技者が選択することが可能となっている。
払出制御基板240には、上皿部7に設けられた球貸ボタン241(図1では図示省略)や、パチンコ機1に並設されたカードユニット242、払出モーター243などが接続されている。球貸ボタン241が操作されると、その信号は、払出制御基板240を介してカードユニット242に伝達される。カードユニット242は、払出制御基板240とデータを通信しながら、払出モーター243を駆動して遊技球の貸し出しを行う。また、払出制御基板240は、主制御基板200から遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを受信すると、払出モーター243を駆動して遊技球の払い出しを行う。
また、払出制御基板240には発射制御基板260が接続されており、発射制御基板260には発射装置ユニット261が接続されている。発射装置ユニット261は、遊技球を発射させるための発射モーター262や、遊技者が発射ハンドル9に触れていることを検知するタッチスイッチ263などを有している。遊技者が発射ハンドル9に触れていることをタッチスイッチ263で検知すると、発射モーター262の作動が可能となり、発射ハンドル9の回転角度に応じた強さで遊技球を発射する。
B.遊技の概要 :
本実施例のパチンコ機1では、次のようにして遊技が進行する。上皿部7に遊技球が貯留された状態で遊技者が発射ハンドル9を回転させると、上皿部7に貯留された遊技球が1球ずつ発射装置ユニット261に供給されて、図2を用いて前述した遊技領域21に向けて発射される。遊技球を打ち出す強さは発射ハンドル9の回転角度に対応するので、遊技者は発射ハンドル9の回転角度を変化させることによって、遊技者の所望する領域に遊技球を流下させることができる。例えば、中央装置40(演出表示装置41)の左方の領域を流下するように遊技球を発射したり(左打ちを行ったり)、中央装置40の右方の領域を流下するように遊技球を発射したり(右打ちを行ったり)することができる。
図2を用いて前述したように、第1始動口24には左打ちされた遊技球が入球可能である。遊技球が第1始動口24に入球して、第1始動口センサー24sによって検知されると、所定の判定乱数(大当り判定乱数など)を取得し、その判定乱数の値に基づいて大当りか外れかを判定する大当り判定を行った後、第1の特別図柄(以下「第1特図」ともいう)の変動表示をセグメント表示部50にて行う。また、第2始動口25には右打ちされた遊技球が入球可能である。遊技球が第2始動口25に入球して、第2始動口センサー25sによって検知されると、所定の判定乱数を取得し、その判定乱数の値に基づいて大当り判定を行った後、第2の特別図柄(以下「第2特図」ともいう)の変動表示をセグメント表示部50にて行う。尚、以下では、第1特図と第2特図とを特に区別する必要がない場合には、単に「特別図柄」と称することがある。
図4は、セグメント表示部50を拡大して示した説明図である。前述したようにセグメント表示部50は、前面枠4に設けられた小窓部4c(図1参照)を通して遊技者が視認可能である。図示されるようにセグメント表示部50には、第1特図を表示する第1特図表示部51と、第2特図を表示する第2特図表示部52とが設けられており、それぞれ9個のLEDで構成されている。第1特図および第2特図は、対応する表示部51,52で9個のLEDを点滅させる(点灯させるLEDを切り換える)ことによって変動表示され、その後、9個のうち所定の組み合わせのLEDを点灯した状態で停止表示される。このとき、大当り判定の結果が大当りであれば、大当り図柄に対応する組み合わせのLEDを点灯し、外れであれば、外れ図柄に対応する組み合わせのLEDを点灯する。そして、停止表示された特別図柄が大当り図柄であれば、遊技者にとって有利な大当り遊技が行われる。
尚、第1始動口24または第2始動口25に遊技球が入球しても、第1特図や第2特図の変動表示中などで大当り判定が直ぐに行われない場合には、第1始動口24への入球で取得した判定乱数の値を第1特図保留として記憶し、第2始動口25への入球で取得した判定乱数の値を第2特図保留として記憶する。その後、大当り判定が可能になると、第1特図保留または第2特図保留に基づいて大当り判定を行い、対応する特別図柄(第1特図または第2特図)の変動表示を行う。本実施例のパチンコ機1では、このような第1特図保留および第2特図保留を、それぞれ最大4つまで記憶可能である。
図4に示されるようにセグメント表示部50には、第1特図保留の記憶数(第1特図保留数)を表示する第1特図保留表示部53と、第2特図保留の記憶数(第2特図保留数)を表示する第2特図保留表示部54とが設けられており、それぞれ2個のLEDで構成されている。これらの保留表示部53,54では、保留数が0個であればLEDが2個とも消灯し、保留数が1個であれば1個のLEDが点灯し、保留数が2個であれば2個のLEDが点灯し、保留数が3個であれば1個のLEDが点滅し、保留数が4個であれば2個のLEDが点滅する。
第1特図または第2特図が大当り図柄で停止表示されると、大入賞口28が開放状態となる大当り遊技を実行する。大当り遊技では、開放した大入賞口28を、規定数(例えば9個)の遊技球が入球するか、あるいは所定の開放時間(例えば30秒)が経過したら閉鎖するラウンド遊技が複数回繰り返される。本実施例のパチンコ機1では、複数の大当り図柄が設けられており、停止表示された大当り図柄の種類によって、大当り遊技で行われるラウンド遊技の回数が異なる(例えば、4回、6回、15回)。前述したように大入賞口28に遊技球が入球すると、賞球として13個の遊技球が払い出されることから、ラウンド回数が多い大当り遊技であるほど、遊技者は多量の賞球を獲得することが可能である。
図4に示されるようにセグメント表示部50には、3個のLEDで構成されたラウンド表示部55が設けられており、大当り遊技中は、実行されるラウンド遊技の回数がラウンド表示部55によって表される。本実施例のラウンド表示部55では、ラウンド回数が4回であれば3個のLEDのうち左端のLEDが点灯し、ラウンド数が6回であれば中央のLEDが点灯し、ラウンド回数が15回であれば右端のLEDが点灯する。また、セグメント表示部50には、2個のLEDで構成された右打ち表示部59が設けられている。前述したように大入賞口28には、右打ちされた遊技球が入球可能であり、大当り遊技中は、遊技者にとって右打ちが有利であることから、右打ち表示部59で2個のLEDを点灯することで遊技者に右打ちを促す。
また、前述したように、中央装置40(演出表示装置41)の右方には、普通図柄作動ゲート27が設けられており、右打ちされた遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過可能である。普通図柄作動ゲート27を通過する遊技球がゲートセンサー27sによって検知されると、所定の判定乱数(普図当り判定乱数など)を取得し、その判定乱数の値に基づいて普図当りか外れかを判定する普図当り判定を行った後、普通図柄の変動表示をセグメント表示部50にて行う。
図4に示されるようにセグメント表示部50には、左右2個のLEDで構成された普図表示部56が設けられており、普通図柄は、普図表示部56で2個のLEDを点滅させる(点灯させるLEDを切り換える)ことによって変動表示され、その後、何れか一方のLEDを点灯した状態で停止表示される。このとき、普図当り判定の結果が普図当りであれば、普図当り図柄に対応する左側のLEDを点灯し、外れであれば、外れ図柄に対応する右側のLEDを点灯する。そして、普通図柄が普図当り図柄で停止表示されると、第2始動口25が開放状態となった後に閉鎖状態となる普図当り遊技が行われる。
尚、遊技球が普通図柄作動ゲート27を通過しても、普通図柄の変動表示中などで普図当り判定が直ぐに行われない場合には、取得した判定乱数の値を普図保留として最大4つまで記憶することが可能である。その後、普図当り判定が可能になると、普図保留に基づいて普図当り判定や、普通図柄の変動表示を行う。セグメント表示部50には、2個のLEDで構成された普図保留表示部57が設けられており、普図保留の記憶数(普図保留数)は普図保留表示部57に表示される。
普図当り遊技における第2始動口25の開放時間は、「電サポ状態」であるか「非電サポ状態」であるかで異なる。電サポ状態では、非電サポ状態よりも第2始動口25の開放時間が長く設定される。また、電サポ状態では、非電サポ状態よりも普図当り判定の結果が普図当りとなる確率(普図当り確率)が高く、且つ、普通図柄の変動時間が短く設定される。従って、電サポ状態では、非電サポ状態に比べて第2始動口25が開放状態となる頻度が高くなり、第2始動口25に遊技球が入球する可能性(すなわち、第2特図の変動表示が行われる可能性)が高まる。
本実施例のパチンコ機1では、複数設けられた大当り図柄が「通常図柄」と「確変図柄」とに大別されており、特別図柄(第1特図または第2特図)が何れの大当り図柄で停止表示された場合でも、大当り遊技の終了後に電サポ状態が設定される。そして、通常図柄が停止表示された場合は、大当り遊技の終了後に大当り判定の結果が大当りとなる確率(大当り確率)が所定の通常確率(低確率)に設定され、特別図柄の変動回数が所定回数(例えば100回)に達すると非電サポ状態に設定される。一方、確変図柄が停止表示された場合は、大当り遊技の終了後に大当り確率が通常確率よりも高い高確率に設定され、電サポ状態と共に次回の大当り遊技まで継続される。以下では、大当り確率が高確率に設定された状態を「確変状態」と称することがある。また、電サポ状態では、非電サポ状態よりも特別図柄(第1特図および第2特図)の変動時間が短く設定されることから、電サポ状態であって、且つ大当り確率が通常確率に設定された状態を「時短状態」と称することがある。
図4に示されるようにセグメント表示部50には、3個のLEDで構成された電サポ表示部58が設けられており、電サポ表示部58で3個のLEDを点灯することで電サポ状態中であることを表す。また、前述したように電サポ状態では、非電サポ状態よりも第2始動口25への遊技球の入球可能性が高まり、電サポ状態中は、遊技者にとって右打ちが有利であることから、大当り遊技中と同様に、右打ち表示部59の2個のLEDを点灯することで遊技者に右打ちを促す。
また、前述した特別図柄(第1特図および第2特図)の変動表示に合わせて、演出表示装置41では、演出用の種々の画像が表示される。図5は、演出表示装置41における表示の一態様を例示した説明図である。演出表示装置41の表示画面上には、演出図柄として3つの識別図柄41a,41b,41cや、その背景となる背景画像41dなどを表示可能である。セグメント表示部50の第1特図表示部51あるいは第2特図表示部52で特別図柄の変動表示が開始されると、演出表示装置41においても、識別図柄41a,41b,41cが、複数の数字(例えば「1」〜「9」の9つの数字)を次々と切り換えて変動表示する演出(以下「図柄変動演出」ともいう)が行われる。尚、識別図柄は、数字以外にも、文字、図形、記号等を意匠化した図柄であってもよく、遊技者が種類を識別できる形態であればよい。
図5(a)には、3つの識別図柄41a,41b,41cが一斉に変動表示している様子が概念的に示されている。変動表示が開始された後、所定時間が経過すると、初めに左識別図柄41aが「1」〜「9」の何れかで停止表示され、次に右識別図柄41cが停止表示され、最後に中識別図柄41bが停止表示される。このとき、3つの識別図柄41a,41b,41cは、特別図柄(第1特図または第2特図)が外れ図柄で停止表示される場合は、同じ数字で揃わない組み合わせ(バラケ目)で停止表示されるのに対して、特別図柄が大当り図柄で停止表示される場合は、同じ数字で揃った組み合わせ(ゾロ目)で停止表示される。
こうして演出表示装置41における識別図柄41a,41b,41cの表示内容を、特別図柄の表示内容と対応させることにより、図5(b)に示されるように3つの識別図柄のうち2つが停止表示されたときに同じ数字で揃っていると、最後に停止表示される識別図柄も同じ数字となって大当り遊技が開始されるのではないかと、遊技者は識別図柄の変動表示(図柄変動演出)を注視することになる。このように、2つの識別図柄が同じ図柄で停止表示された状態で最後の識別図柄を変動表示させながら行われる演出は「リーチ演出」と呼ばれており、こうしたリーチ演出を発生させることで遊技興趣を高めることが可能である。また、通常のリーチ演出(ノーマルリーチ)よりも長期間に亘るリーチ演出(スペシャルリーチ)が設けられており、スペシャルリーチに発展すると、大当り信頼度(ゾロ目に至る可能性)が高まる。
また、演出表示装置41の表示画面の下部には、第1特図保留数を示すための第1保留表示領域41eと、第2特図保留数を示すための第2保留表示領域41fとが設定されている。本実施例のパチンコ機1では、第1特図保留数と同数の「保留図柄(図中の小円形の図柄)」を第1保留表示領域41eに表示し、第2特図保留数と同数の保留図柄を第2保留表示領域41fに表示する。図5の例では、第1特図保留数および第2特図保留数が共に4個であることを示している。尚、当然ながら、演出表示装置41に示される保留数は、セグメント表示部50の第1特図保留表示部53および第2特図保留表示部54に示される保留数と一致する。
C.本実施例のパチンコ機の制御内容 :
C−1.遊技制御処理 :
図6は、主制御基板200のCPU201が、遊技の進行に係る制御として行う遊技制御処理の大まかな流れを示したフロ―チャートである。主制御基板200のCPU201は、所定周期で(例えば、4msec毎に)発生するタイマ割り込みに基づいて図6の遊技制御処理を実行する。尚、以下の説明では、CPU201の初期化処理や、割り込み禁止処理、割り込み許可処理などの周知の処理については説明を省略する。
主制御基板200のCPU201は、遊技制御処理を開始すると、まず、出力処理(S10)を行う。本実施例の主制御基板200では、後述する各処理において、サブ制御基板220を初めとする各種制御基板に向けて送信する各種コマンドを、RAM203に確保された出力バッファに一旦記憶するようになっており、出力処理(S10)では、出力バッファに記憶されている各種コマンドを各種制御基板に向けて送信する。こうすることにより、例えば、サブ制御基板220では、遊技の進行に合わせた演出の制御が行われ、払出制御基板240では、遊技球の払い出しが行われることになる。
主制御基板200のCPU201は、出力処理(S10)に続いて、入力処理(S20)を行う。前述したように、第1始動口24、第2始動口25、その他入球口30、大入賞口28の何れかに遊技球が入球すると、賞球として遊技球を払い出すようになっている。そこで、入力処理(S20)では、入球を検知する各種センサー(第1始動口センサー24s、第2始動口センサー25s、大入賞口センサー28sなど)について、遊技球を検知したか否かを判断する。そして、遊技球を検知した場合は、遊技球の払い出しを指示する払出コマンドを、上述した出力バッファに記憶する。尚、こうして出力バッファに記憶された払出コマンドは、次回の出力処理(S10)で払出制御基板240に向けて送信される。
入力処理(S20)を終了すると、次に、乱数更新処理(S30)を行う。前述したように普図当り判定や特別図柄の大当り判定は、所定の判定乱数の値に基づいて行われる。また、これ以外にも、後述する各種の決定が専用の乱数の値に基づいて行われる。乱数更新処理(S30)では、これらの乱数の更新を行う。尚、乱数の更新は、遊技制御処理の中の乱数更新処理(S30)においてだけでなく、遊技制御処理を一旦終了してから次回の遊技制御処理を開始する(タイマ割り込みが発生する)までの間に行うこととしてもよい。また、乱数更新のための専用回路を設けて、この専用回路で乱数を更新してもよい。
乱数更新処理(S30)を終了したら、ゲートセンサー検知処理(S40)を行う。ゲートセンサー検知処理(S40)では、普通図柄作動ゲート27を通過する遊技球をゲートセンサー27sで検知すると、普図保留数が上限値(本実施例では「4」)に達しているか否かを判断して、達していなければ、普図当り判定乱数などを取得し、取得した乱数値を普図保留としてRAM203に記憶する。
ゲートセンサー検知処理(S40)に続いて、始動口センサー検知処理(S50)を行う。始動口センサー検知処理(S50)では、第1始動口24に入球した遊技球を第1始動口センサー24sで検知すると、第1特図保留数が上限値(本実施例では「4」)に達しているか否かを判断して、達していなければ、所定の判定乱数を取得し、取得した乱数値を第1特図保留としてRAM203に記憶する。また、第2始動口25に入球した遊技球を第2始動口センサー25sで検知すると、第2特図保留数が上限値(本実施例では「4」)に達しているか否かを判断して、達していなければ、所定の判定乱数を取得し、取得した乱数値を第2特図保留としてRAM203に記憶する。ここで、特別図柄の判定乱数としては、大当り判定を行うための大当り判定乱数や、大当りの場合に特別図柄で停止表示する大当り図柄の種類を決定するための図柄決定乱数や、特別図柄の変動表示の開始から停止表示までの変動パターンを決定するための変動パターン決定乱数などを取得する。
始動口センサー検知処理(S50)を終了すると、次に、普通動作処理(S60)を行う。普通動作処理(S60)では、主に次のような処理を行う。まず、普通図柄の変動表示中または普図当り遊技の実行中であるか否かを判断する。普通図柄の変動中および普図当り遊技の実行中の何れでもなければ、普通図柄の停止表示から所定の確定時間が経過していることを確認した後、普図保留が記憶されているか否かを判断する。普図保留が記憶されていれば、最先に記憶された普図保留を読み出し、その読み出した普図保留(普図当り判定乱数の値)に基づいて普図当り判定を行う。尚、前述したように電サポ状態では、非電サポ状態よりも普図当り確率が高く設定され、例えば、非電サポ状態では普図当り確率が100分の1に設定されるのに対して、電サポ状態では普図当り確率が100分の99に設定される。
そして、普図当り判定の結果に基づき、普通図柄を普図当り図柄で停止表示するか、外れ図柄で停止表示するかを決定する。さらに普通図柄の変動時間を設定して、普通図柄の変動表示を開始したら、普図保留数から「1」を減算する。前述したように電サポ状態では、非電サポ状態よりも普通図柄の変動時間が短く設定され、例えば、非電サポ状態では変動時間が20秒に設定されるのに対して、電サポ状態では変動時間が1秒に設定される。その後、変動時間が経過すると、決定しておいた普図当り図柄または外れ図柄で普通図柄を停止表示する。このとき、外れ図柄で停止表示した場合は、確定時間の経過を待って、再び普通図柄の変動表示を開始する処理を行う。一方、普図当り図柄で停止表示した場合は、普図当り遊技を実行する。
普図当り遊技では、始動口ソレノイド26mを駆動して第2始動口25を開放状態とした後、開放時間が経過したら閉鎖状態に戻す。前述したように電サポ状態では、非電サポ状態よりも第2始動口25の開放時間が長く設定され、例えば、非電サポ状態では0.3秒(0.1秒×3回開放)に設定されるのに対して、電サポ状態では4.5秒(1.5秒×3回開放)に設定される。こうして普通動作処理(S60)を終了したら、続いて、特別動作処理(S70)を行う。
図7は、本実施例の特別動作処理を示したフローチャートである。主制御基板200のCPU201は、特別動作処理(S70)を開始すると、まず第1特図または第2特図が変動表示中であるか否かを判断する(S71)。第1特図および第2特図の何れも変動表示中ではない場合は(S71:no)、続いて、第1特図または第2特図が確定表示中であるか否かを判断する(S72)。特別図柄(第1特図または第2特図)を停止表示したら、停止表示された図柄(大当り図柄または外れ図柄)を確定させるために、停止表示された状態を所定時間が経過するまで維持することで確定表示を行うようになっている。
第1特図および第2特図の何れも確定表示中ではない場合は(S72:no)、大当りフラグがONに設定されているか否かを判断する(S73)。大当りフラグとは、大当り遊技中であることを示すフラグであり、主制御基板200のRAM203に大当りフラグの記憶領域が確保されている。大当りフラグがONに設定されていない場合、すなわち、大当り遊技中ではない場合は(S73:no)、次に、第1特図保留数および第2特図保留数が「0」であるか否かを判断する(S74)。第1特図保留数および第2特図保留数の何れも「0」である場合は(S74:yes)、特別図柄の変動表示を開始することなく、図7の特別動作処理を終了して、図6の遊技制御処理に復帰する。
一方、第1特図保留数または第2特図保留数が「0」ではない場合は(S74:no)、特図保留として記憶されている前述した各種の判定乱数(大当り判定乱数、図柄決定乱数、変動パターン決定乱数)の値を読み出す(S75)。本実施例のパチンコ機1では、まず第2特図保留が記憶されていれば、最先に記憶された第2特図保留を読み出し、第2特図保留が記憶されていなければ、最先に記憶された第1特図保留を読み出すようになっている。従って、第1特図保留および第2特図保留の両方が記憶されている場合は、第2特図保留を第1特図保留に優先して読み出す(第2特図保留を優先消化する)ことになり、第1特図保留を読み出すのは、第2特図保留が記憶されていないときに限られる。
こうして第2特図保留または第1特図保留を読み出したら、大当り判定処理(S76)を行う。大当り判定処理(S76)では、第2特図保留または第1特図保留として読み出した大当り判定乱数の値を用いて、大当り判定テーブルを参照しながら大当り判定を行う。大当り判定テーブルは、大当り判定乱数の値に「大当り」または「外れ」の大当り判定結果が対応付けられたテーブルであり、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。また、前述したように確変状態中は、大当り確率が通常確率よりも高い高確率に設定され、非確変状態に比べて大当りが発生し易いことから、大当り判定テーブルには、確変状態用と非確変状態用とが設けられている。
図8は、本実施例の大当り判定テーブルを概念的に示した説明図である。図8(a)には非確変状態用の大当り判定テーブルが示されており、図8(b)には確変状態用の大当り判定テーブルが示されている。図8(a)に示されるように非確変状態用の大当り判定テーブルでは、0〜65535の乱数値のうち0〜217の乱数値に「大当り」が設定されており、残りの乱数値に「外れ」が設定されている。一方、図8(b)に示されるように確変状態用の大当り判定テーブルでは、0〜65535の乱数値のうち0〜655の乱数値に「大当り」が設定されており、残りの乱数値に「外れ」が設定されている。
大当り判定では、確変状態中であるか否かに応じて選択した大当り判定テーブルを参照して、第2特図保留または第1特図保留として読み出した大当り判定乱数の値が「大当り」に対応する値(大当り値)なのか、「外れ」に対応する値(外れ値)なのかを判定する。これにより、図8に示した例では、非確変状態であれば約300分の1の確率で「大当り」の判定結果が得られ、確変状態であれば約100分の1の確率で「大当り」の判定結果が得られる。
こうして大当り判定の結果が大当りであれば、停止表示する大当り図柄を決定する。前述したように大当り図柄は、複数設けられており、通常図柄と確変図柄とに大別される。大当り図柄の決定は、第2特図保留または第1特図保留として読み出した図柄決定乱数の値を用いて、大当り図柄決定テーブル(図示せず)を参照しながら行う。大当り図柄決定テーブルは、図柄決定乱数の値と複数の大当り図柄とが対応付けられたテーブルであり、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。そして、読み出した図柄決定乱数の値に対応付けられた大当り図柄を、停止表示する図柄(停止図柄)として決定し、RAM203に記憶する。これに対して、大当り判定の結果が外れであれば、外れ図柄を停止図柄としてRAM203に記憶する。尚、大当り図柄決定テーブルは、第1特図用と第2特図用とを別々に設けてもよいし、共用としてもよい。
以上のような大当り判定処理(S76)に続いて、変動パターン決定処理(S77)を行う。ここで、変動パターンとは、特別図柄(第1特図または第2特図)が変動表示を開始してから停止表示するまでの時間(変動時間)を識別するためのものであり、複数設けられた変動パターンは、互いに設定されている変動時間が異なっている。変動パターン決定処理(S77)では、第2特図保留または第1特図保留として読み出した変動パターン決定乱数の値を用いて、変動パターン決定テーブルを参照しながら、変動表示を開始する特別図柄の変動パターンを決定する。尚、変動パターン決定テーブルは、主制御基板200のROM202に予め記憶されている。
図9は、変動パターン決定テーブルを概念的に例示した説明図である。図示されるように変動パターン決定テーブルには、変動パターン決定乱数の値と、複数の変動パターンの各々に付された変動パターンIDとが対応付けられており、複数の変動パターンに設定されている変動時間は互いに異なっている。このような変動パターン決定テーブルは、遊技状態に応じて、確変状態用のテーブルと、時短状態用のテーブルと、確変状態および時短状態の何れでもない通常状態用のテーブルとに大別される。前述したように確変状態および時短状態では電サポ状態が設定されているのに対して、通常状態では電サポ状態が設定されていない。また、電サポ状態では、非電サポ状態よりも特別図柄(第1特図および第2特図)の変動時間が短く設定される。そのため、確変状態用や時短状態用の変動パターン決定テーブルには、通常状態用の変動パターン決定テーブルに比べて変動時間が短めの変動パターンが設定されている。
また、遊技状態に応じて大別された変動パターン決定テーブルは、大当り判定の結果に応じて、それぞれ大当り用テーブルと外れ用テーブルとに細分化されている。大当り判定の結果が大当りの場合は、前述したリーチ演出が行われることが多く、リーチ演出の実行時間の確保を容易とするために、大当り用テーブルには、外れ用テーブルに比べて変動時間が長めの変動パターンが設定されている。また、各種の変動パターン決定テーブルの細分化は、これに限られず、例えば、特別図柄の種類(第1特図か第2特図か)に応じて細分化されていてもよい。さらに、記憶されている特図保留数に応じて細分化されていてもよく、特図保留数が多いほど、保留の消化を早めるために、変動時間が短めの変動パターンが設定された変動パターン決定テーブルとしてもよい。
変動パターン決定処理(S77)では、現在の遊技状態や、大当り判定の結果や、特別図柄の種類や、記憶されている特図保留数などに応じて選択した変動パターン決定テーブルを参照しながら、第2特図保留または第1特図保留として読み出した変動パターン決定乱数の値に対応付けられた変動パターンを、今回の変動パターンに決定する。
変動パターン決定処理(S77)を終了すると、特別図柄の変動表示を開始する(S78)。また、変動表示の開始に伴って、第2特図の変動表示であれば第2特図保留数から「1」を減算し、第1特図の変動表示であれば第1特図保留数から「1」を減算する。さらに、変動パターンを指定する変動パターン指定コマンドや、停止図柄を指定する停止図柄指定コマンドをRAM203の出力バッファに記憶する。これらのコマンドは、次回の出力処理(S10)でサブ制御基板220に向けて送信される。後述するようにサブ制御基板220のCPU221は、これらのコマンドを受信することで、特別図柄の変動表示に合わせて演出表示装置41で図柄変動演出を実行する。
こうして特別図柄の変動表示を開始したら、図7の特別動作処理を一旦終了して、図6の遊技制御処理に復帰する。遊技制御処理では、特別動作処理(S70)に続いて、保留数処理(S90)を行う。保留数処理(S60)では、記憶されている第1特図保留数および第2特図保留数を確認し、これらの保留数を示す保留数伝達コマンドをRAM203の出力バッファに記憶する。この保留数伝達コマンドは、次回の出力処理(S10)でサブ制御基板220に向けて送信され、サブ制御基板220のCPU221は、コマンドを受信すると、第1特図保留数および第2特図保留数と同数の保留図柄を演出表示装置41の第1保留表示領域41eや第2保留表示領域41fに表示する。
保留数処理(S90)を行ったら、図6の遊技制御処理を一旦終了し、4msec毎のタイマ割り込みが発生すると、再び図6の遊技制御処理を実行する。そして、出力処理(S10)以降の一連の処理を行って、特別動作処理(S70)を再開すると、図7に示したS71の判断において、先ほど開始した特別図柄の変動表示中であると判断し(S71:yes)、特別図柄停止処理(S79)を行う。
特別図柄停止処理(S79)では、まず変動表示中の特別図柄の変動時間が経過したか否かを判断する。前述したように特別図柄の変動時間は、変動表示の開始に際して決定した変動パターンに設定されており、未だ変動時間が経過していなければ、特別図柄の変動表示を継続したまま特別図柄停止処理(S79)を終了し、図7の特別動作処理も終了して、図6の遊技制御処理に復帰する。
その後、図6の遊技制御処理を繰り返すうちに、変動表示中の特別図柄の変動時間が経過したら、記憶しておいた停止図柄(大当り図柄または外れ図柄)で特別図柄を停止表示する。また、これに伴い、特別図柄の停止表示を示す変動停止コマンドをRAM203の出力バッファに記憶しておき、次回の出力処理(S10)でサブ制御基板220に向けて送信する。さらに、停止表示した特別図柄を確定表示しておく時間(確定時間)を設定する。
こうして特別図柄を停止表示(確定表示)した状態で、図7の特別動作処理を終了すると、次回の特別動作処理では、S72の判断において、特別図柄の確定表示中であると判断し(S72:yes)、特別図柄確定処理(S80)を行う。特別図柄確定処理(S80)では、まず特別図柄の停止表示から確定時間が経過したか否かを判断し、未だ確定時間が経過していなければ、そのまま特別図柄確定処理(S80)を終了し、図7の特別動作処理も終了して、図6の遊技制御処理に復帰する。
その後、特別図柄の確定時間が経過したら、確定表示された特別図柄が大当り図柄および外れ図柄の何れであるかを判断する。確定表示された特別図柄が外れ図柄である場合は、次に、時短状態中であるか否かを判断する。本実施例のパチンコ機1では、時短状態中であれば、特別図柄の変動回数を時短カウンターで計数するようになっており、主制御基板200のRAM203には時短カウンターの記憶領域が確保されている。前述したように、非確変状態かつ電サポ状態(時短状態)では、特別図柄の変動回数が所定回数(例えば100回)に達すると非電サポ状態(通常状態)に設定されるようになっている。そのため、時短カウンターで計数した変動回数が所定回数に達すると、電サポ状態を終了して遊技状態を通常状態に設定する。また、時短状態中ではなく、確変状態中または通常状態中であれば、そのまま図7の特別動作処理を終了する。
これに対して、確定表示された特別図柄が大当り図柄である場合は、大当り遊技中であることを示す大当りフラグをONに設定すると共に、大当り遊技における大入賞口28の開放パターン(ラウンド回数、開放時間、閉鎖時間など)を設定する。また、大当り遊技の開始を示す大当り開始コマンドをRAM203の出力バッファに記憶しておき、次回の出力処理(S10)でサブ制御基板220に向けて送信する。
こうして大当りフラグをONに設定した状態で、図7の特別動作処理を終了すると、次回の特別動作処理では、S73の判断において、大当りフラグがONに設定されていると判断し(S73:yes)、大当り遊技処理(S81)を行う。大当り遊技処理(S81)では、まず大入賞口ソレノイド29mを駆動して大入賞口28を開放状態とすることでラウンド遊技を開始する。その後、開放時間が経過するか、あるいは大入賞口28に規定数の遊技球が入球すると、大入賞口28を閉鎖してラウンド遊技を終了し、閉鎖時間の経過を待って次のラウンド遊技を開始する。そして、設定されたラウンド回数を全て消化したら、大当りフラグをOFFに設定する。また、大当り遊技の終了を示す大当り終了コマンドをRAM203の出力バッファに記憶しておき、次回の出力処理(S10)でサブ制御基板220に向けて送信する。
さらに、確定表示された大当り図柄の種類に応じて大当り遊技の終了後の遊技状態を設定する。すなわち、大当り図柄が確変図柄であれば、確変状態(大当り確率が高確率に設定された電サポ状態)に設定し、大当り図柄が通常図柄であれば、時短状態(大当り確率が通常確率に設定された電サポ状態)に設定する。また、遊技状態を示す遊技状態指定コマンドをRAM203の出力バッファに記憶しておき、次回の出力処理(S10)でサブ制御基板220に向けて送信する。
こうして大当りフラグをOFFに設定した状態で、図7の特別動作処理を終了すると、次回の特別動作処理では、第1特図保留数および第2特図保留数が「0」でなければ(S74:no)、新たに特別図柄の変動表示を開始するための処理(S75〜S78)を行う。
主制御基板200のCPU201は、以上のような遊技制御処理を繰り返し行うことによって、パチンコ機1での遊技を進行させる。また、前述したように主制御基板200のCPU201は、遊技制御処理を実行する中で各種コマンドをサブ制御基板220に向かって送信する。そして、サブ制御基板220のCPU221は、受信したコマンドに基づいて具体的な演出の内容を決定し、画像音声制御基板230やランプ制御基板226に表示内容や音声内容を指定することにより、演出表示装置41、各種スピーカー6a,6b、各種ランプ5a〜5cを用いた様々な遊技演出を実行している。以下では、サブ制御基板220のCPU221が、第1特図または第2特図の変動表示に合わせて演出表示装置41の識別図柄41a,41b,41cを変動表示させる図柄変動演出の制御のために実行する処理(図柄変動演出処理)、および複数の楽曲を切り換えて各種スピーカー6a,6bから出力する制御のために実行する処理(楽曲出力処理)について説明する。
C−2.図柄変動演出処理 :
図10は、サブ制御基板220のCPU221が行う図柄変動演出処理を示したフロ―チャートである。この図柄変動演出処理は、所定周期で発生するタイマ割り込みに基づいて行われる。尚、以下の説明では、CPU221の初期化処理や、割り込み禁止処理、割り込み許可処理などの周知の処理については説明を省略する。
サブ制御基板220のCPU221は、図柄変動演出処理を開始すると、まず、主制御基板200から変動パターン指定コマンドを受信したか否かを判断する(S200)。前述したように変動パターン指定コマンドは、セグメント表示部50で変動表示が開始される特別図柄(第1特図または第2特図)の変動パターンを指定するコマンドである。そして、変動パターン指定コマンドを受信した場合は(S200:yes)、特別図柄の変動表示に合わせて演出表示装置41で実行する図柄変動演出を決定する(S202)。
本実施例の図柄変動演出には、識別図柄41a,41b,41cの変動表示だけでなく、前述したリーチ演出(ノーマルリーチ、スペシャルリーチ)や、識別図柄の停止表示の前(リーチ演出の前)に大当り表示(ゾロ目)に至る可能性(大当り信頼度)を示唆する予告演出などの各種の遊技演出が含まれる。予告演出には、キャラクターが発するセリフや会話の内容によって大当り信頼度を示唆するセリフ予告や、演出表示装置41の周辺に設けられた可動役物の作動を伴って、その動きによって大当り信頼度を示唆する可動役物予告や、展開する物語の内容によって大当り信頼度を示唆するストーリー予告や、複数の段階で構成され、段階が進むほど大当り信頼度が高いことを示唆するステップアップ予告などがある。このように図柄変動演出は複数設けられており、演出の実行に要する時間(演出実行時間)が互いに異なっている。
S202の処理では、複数の図柄変動演出の中から、変動パターン指定コマンドで指定された変動パターンの変動時間と対応する演出実行時間の図柄変動演出を、今回の図柄変動演出に決定する。尚、変動時間が短い変動パターンが指定されると、当然ながら図柄変動演出の演出実行時間も短く、リーチ演出や予告演出などの遊技演出を行う余裕がない場合には、識別図柄41a,41b,41cを一瞬変動表示させるだけの図柄変動演出が決定される。
こうして図柄変動演出を決定したら、その図柄変動演出を開始する(S204)。すなわち、サブ制御基板220のCPU221は、決定した図柄変動演出を指定するコマンドを画像音声制御基板230に向けて送信する。コマンドを受信した画像音声制御基板230は、コマンドに対応する画像を演出表示装置41に表示すると共に、コマンドに対応する音声を各種スピーカー6a,6bから出力する。これにより、演出表示装置41では、識別図柄41a,41b,41cの変動表示が開始され、リーチ演出や予告演出が付帯して行われる。
図柄変動演出を開始すると、次に、主制御基板200から変動停止コマンドを受信したか否かを判断する(S206)。前述したように変動停止コマンドは、変動表示していた特別図柄(第1特図または第2特図)の停止表示を示すコマンドである。そして、変動停止コマンドを受信していない場合は(S206:no)、図柄変動演出を継続したまま、図10の図柄変動演出処理を一旦終了し、所定周期でタイマ割り込みが発生すると、再び図10の図柄変動演出処理を実行する。
そして、図柄変動演出の実行中であれば、主制御基板200から新たに変動パターン指定コマンドが送信されることはなく、S200の判断において、変動パターン指定コマンドを受信していないため(S200:no)、S202〜S204の処理を省略して、変動停止コマンドを受信したか否かを再び判断する(S206)。
変動停止コマンドを受信した場合は(S206:yes)、図柄変動演出を終了する(S208)。このとき、演出表示装置41で停止表示される識別図柄41a,41b,41cの組み合わせは、主制御基板200からの停止図柄指定コマンドに基づいて決定されており、特別図柄の停止図柄が大当り図柄であれば、同じ数字で揃った組み合わせ(ゾロ目)であり、特別図柄の停止図柄が外れ図柄であれば、同じ数字で揃わない組み合わせ(バラケ目)である。
こうして図柄変動演出を終了すると、図10の図柄変動演出処理を一旦終了し、所定周期でタイマ割り込みが発生したら、再び図10の図柄変動演出処理を実行する。そして、主制御基板200から新たに変動パターン指定コマンドを受信すると(S200:yes)、再びS202以降の一連の処理を行う。
C−3.楽曲出力処理 :
図11は、サブ制御基板220のCPU221が行う楽曲出力処理を示したフロ―チャートである。この楽曲出力処理は、所定周期で発生するタイマ割り込みに基づいて行われる。尚、以下の説明では、CPU221の初期化処理や、割り込み禁止処理、割り込み許可処理などの周知の処理については説明を省略する。
サブ制御基板220のCPU221は、楽曲出力処理を開始すると、まず、主制御基板200から確変状態の開始を示す遊技状態指定コマンドを受信したか否かを判断する(S300)。前述したように、大当り図柄が確変図柄であれば、大当り遊技の終了後に確変状態が開始(設定)され、その旨が遊技状態指定コマンドで指定される。また、本実施例のパチンコ機1では、遊技状態が確変状態中であれば、各種スピーカー6a,6bから楽曲の出力が可能であり、複数用意された楽曲の中から出力する楽曲(以下「出力楽曲」ともいう)を遊技者が選択可能となっている。そのため、確変状態の開始を示す遊技状態指定コマンドを受信した場合、すなわち、確変状態の開始タイミングである場合は(S300:yes)、まず、出力楽曲の初期設定として、複数の楽曲の中から所定の標準楽曲を設定する(S302)。サブ制御基板220のRAM223には「出力楽曲記憶領域」が確保されており、出力楽曲として設定した楽曲は「出力楽曲記憶領域」に記憶される。
続いて、複数の楽曲の中から、遊技者による選択を受容する楽曲(以下「選択可能楽曲」ともいう)を2つ以上設定する(S304)。サブ制御基板220のRAM223には「選択可能楽曲記憶領域」が確保されており、選択可能楽曲として設定した楽曲は「選択可能楽曲記憶領域」に記憶される。そして、選択可能楽曲を設定すると、演出表示装置41の表示画面上で楽曲選択表示を開始する(S306)。尚、選択可能楽曲を設定する本実施例のサブ制御基板220のCPU221は、本発明の「選択可能楽曲設定手段」に相当している。
図12は、演出表示装置41の表示画面上で行われる楽曲選択表示を例示した説明図である。図12(a)に示されるように、本実施例のパチンコ機1では、演出表示装置41の表示画面の右下部に楽曲選択表示領域42が確保されている。楽曲選択表示を開始すると、楽曲選択表示領域42内には、方向ボタン10cの上ボタンおよび下ボタンの操作によって出力楽曲の変更が可能であることを遊技者に報知する表示(図中の「上下で楽曲を変更できます」)と共に、出力楽曲として設定した楽曲を示す出力楽曲表示部42aが表示される。
そして、図12(b)には、方向ボタン10cの操作によって出力楽曲が切り換わる様子が概念的に示されている。図示した例では、選択可能楽曲として標準楽曲Sを含む5曲が設定されており、方向ボタン10cの下ボタンを操作すると、出力楽曲(出力楽曲表示部42aの表示内容)が初期設定の標準楽曲Sから楽曲A、楽曲B、楽曲C、楽曲Dの順に切り換わり、楽曲Dから再び標準楽曲Sに戻る。これに対して、方向ボタン10cの上ボタンを操作すると、逆順(標準楽曲Sから楽曲D、楽曲C、楽曲B、楽曲Aの順)に出力楽曲が切り換わる。このように遊技者が方向ボタン10cの操作によって複数の選択可能楽曲の中から出力楽曲を選択可能とすることで、出力楽曲に遊技者の好みを反映させて遊技興趣を高めることができる。
尚、本実施例のパチンコ機1では、選択可能楽曲のうち出力楽曲として設定した楽曲だけを楽曲選択表示領域42の出力楽曲表示部42aに表示することとしているが、これに限られず、選択可能楽曲の一覧を表示してもよい。また、演出表示装置41の表示画面上における楽曲選択表示領域42の位置は、特に限定されない。また、楽曲選択表示を行うための表示装置を別途設けてもよい。
図11の楽曲出力処理では、楽曲選択表示を開始したら、主制御基板200から変動パターン指定コマンドを受信したか否かを判断する(S308)。本実施例のパチンコ機1では、特別図柄(第1特図または第2特図)の変動表示の開始を契機として新たな楽曲の出力を開始するようになっている。そのため、変動パターン指定コマンドを受信した場合は(S308:yes)、出力楽曲として設定した楽曲(RAM223の出力楽曲記憶領域に記憶された楽曲)の出力を開始する(S310)。すなわち、サブ制御基板220のCPU221は、出力楽曲として設定した楽曲を指定するコマンドを画像音声制御基板230に向けて送信する。画像音声制御基板230の音声ROM236には複数の楽曲の音源データが記憶されており、コマンドを受信した画像音声制御基板230のCPU231は、コマンドに対応した楽曲の音源データを音声ROM236から読み出して、データ信号をアンプ基板224に送信することにより、各種スピーカー6a,6bから楽曲を出力する。こうして楽曲の出力を開始したら、図11の楽曲出力処理を一旦終了し、所定周期でタイマ割り込みが発生すると、再び図11の楽曲出力処理を実行する。
図11の楽曲出力処理では、S300の判断において、確変状態の開始を示す遊技状態指定コマンドを受信していない場合、すなわち、確変状態の開始タイミングではない場合は(S300:no)、次に、確変状態中であるか否かを判断する(S312)。前述したように本実施例のパチンコ機1では、楽曲の出力が確変状態中に行われるため、確変状態中ではない場合は(S312:no)、そのまま図11の楽曲出力処理を終了する。
これに対して、確変状態中である場合は(S312:yes)、方向ボタン10cの操作が検知されたか否かを判断する(S314)。そして、方向ボタン10cの操作が検知された場合は(S314:yes)、遊技者によって楽曲を選択(変更)する操作が行われたことになるので、図12(b)を用いて前述したように方向ボタン10cの操作に応じて複数の選択可能楽曲の中から出力楽曲を設定する(S316)。これに伴い、RAM223の出力楽曲記憶領域では楽曲の記憶が更新される。尚、方向ボタン10cの操作に応じて複数の選択可能楽曲の中から出力楽曲を設定(選択)する本実施例のサブ制御基板220のCPU221は、本発明の「楽曲選択手段」に相当している。また、本実施例のパチンコ機1では、押圧式の方向ボタン10cを用いて、遊技者が楽曲の選択のために行う所定の入力行為を検知しているが、これに限られず、遊技者の接触を検知する接触センサーや、遊技者が身体の一部を所定位置にかざすことで入力を検知する非接触センサーを用いてもよい。
一方、方向ボタン10cの操作が検知されていない場合は(S314:no)、続いて、演出表示装置41で特定の図柄変動演出が実行されたか否かを判断する(S318)。本実施例のパチンコ機1では、遊技者によって楽曲の選択が行われなくても、特定の図柄変動演出(例えば、特定のキャラクターが登場する予告演出)が実行されたことを契機として、出力楽曲を自動的に切り換えることが可能となっている。尚、本実施例の特定の図柄変動演出は、本発明の「特定の遊技演出」に相当しており、本実施例の特定の図柄変動演出の実行は、本発明の「特定条件の成立」に相当している。
特定の図柄変動演出が実行された場合は(S318:yes)、次に、出力楽曲として標準楽曲が設定されているか否かを判断する(S320)。遊技者が方向ボタン10cの操作によって楽曲を選択(変更)していなければ、出力楽曲の設定は初期設定の標準楽曲(S302参照)のままである。そして、出力楽曲として標準楽曲が設定されている場合は(S320:yes)、出力楽曲として、選択可能楽曲には含まれていない特定楽曲を設定する(S322)。これに伴い、RAM223の出力楽曲記憶領域には特定楽曲が記憶される。尚、出力楽曲を特定楽曲に設定する(切り換える)本実施例の主制御基板200のCPU221は、本発明の「特定楽曲切換手段」に相当している。
こうして確変状態中に遊技者による選択または特定の図柄変動演出の実行に応じて出力楽曲を設定したら(S316またはS322)、主制御基板200から変動パターン指定コマンドを受信したか否かを判断する(S308)。前述したように、新たな楽曲の出力は特別図柄の変動表示の開始に連動して開始されるので、変動パターン指定コマンドを受信していない場合は(S308:no)、新たな楽曲の出力を開始することなく、続いて、主制御基板200から大当り開始コマンドを受信したか否かを判断する(S324)。前述したように大当り開始コマンドは大当り遊技の開始を示すコマンドであり、本実施例の楽曲の出力は確変状態中に行われるため、大当り遊技が開始されると、確変状態の終了に伴って楽曲の出力は行われなくなる。そして、大当り開始コマンドを受信していない場合は(S324:no)、楽曲の出力を継続したまま、図11の楽曲出力処理を一旦終了する。
その後、所定周期でタイマ割り込みが発生し、再び図11の楽曲出力処理を実行すると、確変状態が継続中であることから(S312:yes)、新たに方向ボタン10cの操作が検知されず(S314:no)、且つ新たに特定の図柄変更演出が実行されなければ(S318:no)、続いて、出力楽曲に変更があるか否かを判断する(S326)。すなわち、S326では、S316またはS322で出力楽曲を設定(変更)した後、特別図柄の変動表示の開始タイミングまで待機中であるか否かを判断する。
そして、出力楽曲に変更がある場合は(S326:yes)、主制御基板200から変動パターン指定コマンドを受信したか否かを再び判断し(S308)、変動パターン指定コマンドを受信した場合は(S308:yes)、出力楽曲として新たに設定した楽曲の出力を開始する(S310)。すなわち、主制御基板200のCPU221は、出力楽曲として新たに設定した楽曲を指定するコマンドを画像音声制御基板230に向けて送信することで、各種スピーカー6a,6bから新たな楽曲を出力する。こうして変更後の楽曲の出力を開始したら、図11の楽曲出力処理を一旦終了し、所定周期でタイマ割り込みが発生すると、再び図11の楽曲出力処理を実行する。
ここで、本実施例のパチンコ機1では、前述したS318の判断で、確変状態中に特定の図柄変動演出が実行された場合において(S318:yes)、出力楽曲として標準楽曲が設定されていない場合、すなわち、遊技者が方向ボタン10cの操作によって楽曲を選択(変更)していた場合は(S320:no)、出力楽曲を特定楽曲に設定(変更)することなく、遊技者によって選択された楽曲を維持したまま、特定楽曲を選択可能楽曲に追加する(S328)。これに伴い、RAM223の選択可能楽曲記憶領域には特定楽曲が追加して記憶され、以降に実行されるS316の処理では、方向ボタン10cの操作によって特定楽曲を出力楽曲として設定することが可能となる(図12(b)参照)。
こうして特定楽曲を選択可能楽曲に追加すると、続くS326の判断では、出力楽曲の設定が維持されているので出力楽曲の変更はなく(S326:no)、次に、主制御基板200から大当り開始コマンドを受信したか否かを判断する(S324)。そして、大当り開始コマンドを受信していない場合は(S324:no)、楽曲の出力を継続したまま、図11の楽曲出力処理を一旦終了する。
そして、所定周期でタイマ割り込みが発生する毎に図11の楽曲出力処理を繰り返し実行するうちに、大当り開始コマンドを受信した場合は(S324:yes)、楽曲の出力を終了する(S330)。その後、主制御基板200から確変状態の開始を示す遊技状態指定コマンドを新たに受信すると(S300:yes)、再びS302以降の一連の処理を行って、楽曲の出力を開始する。
図13は、本実施例のパチンコ機1で、図11の楽曲出力処理に従って楽曲が出力される例を模式的に示したタイムチャートである。図示されるように大当り遊技の終了後に確変状態が設定されると、出力楽曲の初期設定として標準楽曲Sの出力が開始される。また、複数の選択可能楽曲の中から遊技者が方向ボタン10cの操作によって出力楽曲を選択(変更)することが可能であり、図示した例では、標準楽曲S,楽曲A,楽曲B,楽曲C,楽曲Dの5曲が初期の選択可能楽曲として設定される。
ただし、図13(a)には、遊技者が楽曲の選択を行っていない場合が示されており、出力楽曲は初期設定の標準楽曲Sのまま変化していない。このような場合でも、特定の図柄変動演出として、例えば、演出表示装置41の表示画面にキャラクターXが登場する予告演出(図中の特定演出X)が実行されると、キャラクターXのテーマ曲である特定楽曲Xへと出力楽曲が自動的に切り換わる。これにより、楽曲を選択しない遊技者に対しても、特定の図柄変動演出の実行を契機に出力楽曲を切り換えて遊技の印象を異ならせることができるので、確変状態の遊技を遊技者が単調に感じてしまうことを抑制することが可能となる。尚、特定の図柄変動演出(特定演出X)は、予告演出に限られず、前述したスペシャルリーチで外れ表示に至る図柄変動演出であってもよい。
こうして出力された特定楽曲Xは、初期の選択可能楽曲には含まれていない楽曲であり、図13(a)の場合には、特定演出Xの実行後(特定楽曲Xに自動的に切り換わった後)も、選択可能楽曲は変化することなく、初期の5曲(標準楽曲Sおよび楽曲A〜D)のままである。
一方、図13(b)には、遊技者が方向ボタン10cの操作(図中の選択操作)によって楽曲の選択を行っている場合が示されており、出力楽曲は初期設定の標準楽曲Sから楽曲Aに変更され、さらに楽曲Aから楽曲Bに変更されている。そして、出力楽曲が楽曲Bに設定された状態で特定演出Xが実行された場合には、出力楽曲が特定楽曲Xへと自動的に切り換わることはなく、楽曲Bが維持される。
その代わりに、特定演出Xの実行後は、特定楽曲Xが選択可能楽曲として追加され、選択可能楽曲が6曲に増加する。そのため、遊技者が方向ボタン10cの操作によって選択可能楽曲の中から特定楽曲Xを選択することにより、出力楽曲が特定楽曲Xへと切り換わる。
以上に説明したように本実施例のパチンコ機1では、遊技者が方向ボタン10cを操作して複数の選択可能楽曲の中から選択した楽曲が出力されている場合には、特定演出X(特定の図柄変動演出)が実行されても出力楽曲が特定楽曲Xに切り換わることはなく、遊技者の選択した楽曲の出力が維持される。これにより、好みの楽曲を選択していた遊技者が、途中で自動的に特定楽曲Xに切り換わることで好みの楽曲が中断されて興趣を削がれてしまうことを防止できる。そして、このとき切り換わらなかった特定楽曲Xは選択可能楽曲として追加されることから、遊技者にとって特定楽曲Xが好みの楽曲であれば、後から遊技者が自らの操作で選択して特定楽曲Xを出力させることも可能である。そのため、遊技者が特定楽曲Xを聴く機会を逸することはなく、遊技者の好みの楽曲で遊技興趣を高めることができる。
また、本実施例のパチンコ機1における選択可能楽曲への特定楽曲Xの追加は、楽曲の選択を行っている遊技者にのみ与えられる特典であり、もともと楽曲の選択を行っていない遊技者には特典が付与されない(選択可能楽曲が増えない)ので、遊技者に対して楽曲の選択を促すことができる。結果として、出力楽曲に遊技者の好みを反映させて遊技興趣の向上を図ることが可能となる。
さらに、本実施例のパチンコ機1では、演出表示装置41で特定演出X(特定の図柄変動演出)が実行されたことを契機として、出力楽曲を特定楽曲Xに切り換えることが可能となり、この特定楽曲Xは、特定演出Xに関連付けられた楽曲(例えば、特定演出Xに登場するキャラクターXのテーマ曲)になっている。このため、楽曲の選択を行っている遊技者は、演出表示装置41で実行された特定演出Xに基づき、選択可能楽曲に追加される特定楽曲Xの内容(曲目)を容易に把握可能であり、別の楽曲を選択していた場合でも、特定楽曲Xが好みの楽曲であれば、自らの操作で選択(変更)して特定楽曲Xを出力させることができる。
D.変形例 :
以上、本実施例のパチンコ機1について説明したが、実施態様はこれに限られるわけではなく、次のような変形例の態様で実施することも可能である。尚、変形例の説明にあたっては、上述した実施例と同様の構成部分については、実施例と同様の符号を付し、詳細な説明を省略する。
図14は、変形例の楽曲出力処理を示したフロ―チャートである。変形例の楽曲出力処理では、前述した実施例と同様に、まず、主制御基板200から確変状態の開始を示す遊技状態指定コマンドを受信したか否かを判断する(S400)。そして、確変状態の開始を示す遊技状態指定コマンドを受信した場合、すなわち、大当り遊技の終了後に確変状態が開始されるタイミングである場合は(S400:yes)、楽曲初期設定処理を実行する(S402)。
図15は、変形例の楽曲出力処理の中で実行される楽曲初期設定処理を示したフローチャートである。楽曲初期設定処理(S402)を開始すると、まず、終了した大当り遊技の開始前に楽曲を出力していたか否かを判断する(S404)。変形例のパチンコ機1においても、前述した実施例と同様に、楽曲の出力が確変状態中に行われるため、確変状態で大当りとなって開始された大当り遊技であれば、大当り遊技の開始前は楽曲を出力しており、非確変状態(通常状態または時短状態)で大当りとなって開始された大当り遊技であれば、大当り遊技の開始前は楽曲を出力していない。
そして、大当り遊技の開始前に楽曲を出力していなかった場合は(S404:no)、出力楽曲の初期設定として、所定の標準楽曲を設定する(S406)。続いて、複数の楽曲の中から2つ以上の選択可能楽曲を設定すると(S408)、演出表示装置41の表示画面上で楽曲選択表示(図12(a)参照)を開始して(S420)、図15の楽曲初期設定処理を終了し、図14の楽曲出力処理に復帰する。
図14の楽曲出力処理では、楽曲初期設定処理(S402)から復帰すると、主制御基板200から変動パターン指定コマンドを受信したか否かを判断する(S422)。変形例のパチンコ機1においても、前述した実施例と同様に、特別図柄の変動表示の開始に連動して新たな楽曲の出力を開始するようになっており、変動パターン指定コマンドを受信した場合は(S422:yes)、出力楽曲として設定した楽曲の出力を開始して(S424)、図14の楽曲出力処理を一旦終了する。そして、所定周期でタイマ割り込みが発生すると、再び図14の楽曲出力処理を実行する。
図14の楽曲出力処理では、S400の判断において、確変状態の開始を示す遊技状態指定コマンドを受信していない場合、すなわち、確変状態の開始タイミングではない場合は(S400:no)、次に、確変状態中であるか否かを判断する(S426)。楽曲の出力は確変状態中に行われるため、確変状態中ではない場合は(S426:no)、そのまま図14の楽曲出力処理を終了する。
これに対して、確変状態中である場合は(S426:yes)、方向ボタン10cの操作が検知されたか否かを判断する(S428)。そして、方向ボタン10cの操作が検知された場合は(S428:yes)、遊技者によって楽曲を選択(変更)する操作が行われたことになるので、方向ボタン10cの操作に応じて複数の選択可能楽曲の中から出力楽曲を設定する(S430)。
こうして確変状態中に遊技者による選択に応じて出力楽曲を設定したら、新たな楽曲の出力を特別図柄の変動表示の開始に連動して開始するために、主制御基板200から変動パターン指定コマンドを受信したか否かを判断する(S422)。変動パターン指定コマンドを受信していない場合は(S422:no)、新たな楽曲の出力を開始することなく、続いて、主制御基板200から大当り開始コマンドを受信したか否かを判断する(S432)。そして、大当り開始コマンドを受信していない場合は(S432:no)、楽曲の出力を継続したまま、図14の楽曲出力処理を一旦終了する。
その後、所定周期でタイマ割り込みが発生し、再び図14の楽曲出力処理を実行すると、確変状態が継続中であることから(S426:yes)、新たに方向ボタン10cの操作が検知されなければ(S428:no)、続いて、出力楽曲に変更があるか否かを判断する(S434)。すなわち、S434では、S430で出力楽曲を設定(変更)した後、特別図柄の変動表示の開始タイミングまで待機中であれば、出力楽曲に変更があり(S434:yes)、待機中でなければ、出力楽曲に変更はない(S434:no)。
そして、出力楽曲に変更がある場合は(S434:yes)、主制御基板200から変動パターン指定コマンドを受信したか否かを再び判断し(S422)、変動パターン指定コマンドを受信した場合は(S422:yes)、出力楽曲として新たに設定した楽曲の出力を開始する(S424)。こうして変更後の楽曲の出力を開始したら、図14の楽曲出力処理を一旦終了する。
こうして所定周期でタイマ割り込みが発生する毎に図14の楽曲出力処理を繰り返し実行するうちに、大当り開始コマンドを受信した場合は(S432:yes)、その時点における出力楽曲の設定を記憶すると共に(S436)、選択可能楽曲の設定を記憶する(S438)。変形例のサブ制御基板220のRAM223には、大当り遊技の開始に伴って確変状態を終了する際の出力楽曲および選択可能楽曲の設定を記憶するための所定の記憶領域が確保されており、出力楽曲および選択可能楽曲の設定を記憶すると、楽曲の出力を終了する(S440)。
その後、主制御基板200から確変状態の開始を示す遊技状態指定コマンドを新たに受信すると(S400:yes)、再び図15の楽曲初期設定処理(S402)を開始して、S404では、大当り遊技の開始前に楽曲を出力していたと判断されるので(S404:yes)、続いて、大当り遊技の開始前に出力楽曲として標準楽曲が設定されていたか否かを判断する(S410)。前述したように変形例のパチンコ機1では、大当り遊技の開始に伴って確変状態を終了する際の出力楽曲および選択可能楽曲の設定を記憶しており、遊技者が方向ボタン10cの操作によって楽曲を選択(変更)していなければ、出力楽曲の設定は初期設定の標準楽曲(S406参照)のままである。
そして、出力楽曲として標準楽曲が設定されていた場合は(S410:yes)、出力楽曲として、大当り遊技の開始前の選択可能楽曲には含まれていない特定楽曲を設定する(S412)。また、選択可能楽曲の設定として、大当り遊技の開始前の設定をそのまま維持する(S414)。
一方、大当り遊技の開始前に出力楽曲として標準楽曲が設定されていなかった場合、すなわち、遊技者が方向ボタン10cの操作によって楽曲を選択(変更)していた場合は(S410:no)、出力楽曲の設定として、大当り遊技の開始前の設定をそのまま維持する(S416)。また、選択可能楽曲の設定として、大当り遊技の開始前の設定に特定楽曲を追加する(S418)。
こうして大当り遊技の開始前の出力楽曲および選択可能楽曲の設定に基づいて、新たに開始された確変状態における出力楽曲および選択可能楽曲を設定すると、演出表示装置41の表示画面上で楽曲選択表示(図12(a)参照)を開始して(S420)、図15の楽曲初期設定処理を終了し、図14の楽曲出力処理に復帰する。そして、楽曲出力処理では、楽曲初期設定処理(S402)から復帰すると、前述したS422以降の一連の処理を実行する。
図16は、変形例のパチンコ機1で、図14の楽曲出力処理に従って楽曲が出力される例を模式的に示したタイムチャートである。図示されるように時短状態で大当りとなって開始された大当り遊技の終了後に確変状態が設定されると、出力楽曲の初期設定として標準楽曲Sの出力が開始される。また、複数の選択可能楽曲の中から遊技者が方向ボタン10cの操作によって出力楽曲を選択(変更)することが可能であり、図示した例では、標準楽曲S,楽曲A,楽曲B,楽曲C,楽曲Dの5曲が初期の選択可能楽曲として設定される。
ただし、図16(a)には、遊技者が楽曲の選択を行っていない場合が示されており、出力楽曲は初期設定の標準楽曲Sのまま変化していない。このような場合でも、確変状態で大当りとなって開始された大当り遊技の終了後に再び確変状態が設定されると、特定楽曲Yへと出力楽曲が自動的に切り換わる。これにより、楽曲を選択しない遊技者に対しても、大当り遊技の実行を契機に出力楽曲を切り換えて遊技の印象を異ならせることができるので、大当り遊技を挟んで確変状態が継続する場合の遊技を遊技者が単調に感じてしまうことを抑制することが可能となる。
こうして出力された特定楽曲Yは、大当り遊技の開始前の選択可能楽曲には含まれていない楽曲であり、図16(a)の場合には、大当り遊技の終了後(特定楽曲Yに自動的に切り換わった後)も、選択可能楽曲は変化することなく、初期の5曲(標準楽曲Sおよび楽曲A〜D)のままである。
一方、図16(b)には、遊技者が方向ボタン10cの操作(図中の選択操作)によって楽曲の選択を行っている場合が示されており、出力楽曲は初期設定の標準楽曲Sから楽曲Aに変更され、さらに楽曲Aから楽曲Bに変更されている。そして、出力楽曲が楽曲Bに設定された状態で大当りとなって大当り遊技が開始され、大当り遊技の終了後に再び確変状態が設定された場合には、出力楽曲が特定楽曲Yへと自動的に切り換わることはなく、大当り遊技の開始前の楽曲Bが維持される。
その代わりに、大当り遊技の終了後は、特定楽曲Yが選択可能楽曲として追加され、選択可能楽曲が6曲に増加する。そのため、遊技者が方向ボタン10cの操作によって選択可能楽曲の中から特定楽曲Yを選択することにより、出力楽曲が特定楽曲Yへと切り換わる。
以上に説明したように変形例のパチンコ機1では、遊技者が方向ボタン10cを操作して複数の選択可能楽曲の中から選択した楽曲が出力されている場合には、大当り遊技が開始されて終了後に再び確変状態が設定されても、出力楽曲が特定楽曲Yに切り換わることはなく、大当り遊技の開始前に遊技者が選択していた楽曲が維持される。これにより、好みの楽曲を選択していた遊技者が、途中で自動的に特定楽曲Yに切り換わることで興趣を削がれてしまうことを防止できる。そして、このとき切り換わらなかった特定楽曲Yは選択可能楽曲として追加されることから、遊技者にとって特定楽曲Yが好みの楽曲であれば、後から遊技者が自らの操作で選択して特定楽曲Yを出力させることも可能である。そのため、遊技者が特定楽曲Yを聴く機会を逸することはなく、遊技者の好みの楽曲で遊技興趣を高めることができる。
また、変形例のパチンコ機1における選択可能楽曲への特定楽曲Yの追加は、楽曲の選択を行っていた遊技者にのみ与えられる特典であり、もともと楽曲の選択を行っていなかった遊技者には特典が付与されない(選択可能楽曲が増えない)ので、遊技者に対して楽曲の選択を促すことができる。結果として、出力楽曲に遊技者の好みを反映させて遊技興趣の向上を図ることが可能となる。
以上、本発明の実施例および変形例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、前述した実施例では、確変状態中に演出表示装置41で特定演出X(特定の図柄変動演出)が実行されると、出力楽曲を特定楽曲Xに切り換えることが可能となり、前述した変形例では、確変状態で大当り遊技が開始されて終了後に再び確変状態が設定されると、出力楽曲を特定楽曲Yに切り換えることが可能となっていた。しかし、特定楽曲への切り換えを可能とする契機(特定条件)は、これらに限られず、例えば、確変状態で特別図柄の変動表示が行われる毎に、特定楽曲への切り換えを可能とするか否かの抽選を行って、当選したことを契機としてもよい。また、確変状態で行われた特別図柄の変動回数が所定回数に達したことを契機としてもよい。
また、前述した実施例では、大当り判定の結果が大当りの場合に、図柄決定乱数の値に基づいて大当り図柄を決定し、確変図柄で特別図柄が停止表示されることで、大当り遊技の終了後に確変状態が設定されるようになっていた。しかし、大当り判定の結果が大当りとなって、大当り遊技中に特定の入球口(VアタッカーやVゾーン)に遊技球が入球することで、大当り遊技の終了後に確変状態が設定されるタイプのパチンコ機1にも、本発明を好適に適用することができる。
また、前述した実施例および変形例では、楽曲の出力を確変状態中に行うようになっていた。しかし、確変状態に限られず、前述した時短状態中や、所定条件の成立後(例えば特定の演出の実行後)の所定期間において、楽曲を出力するようにしてもよい。
また、前述した実施例および変形例では、特別図柄(第1特図または第2特図)の変動表示の開始に連動して新たな楽曲の出力を開始するようになっていたが、新たな楽曲の出力を開始するタイミングは、これに限られず、例えば、遊技者による方向ボタン10cの操作で楽曲が選択(変更)された時点で新たな楽曲の出力を開始してもよいし、特定の予告演出が実行された時点で新たな楽曲(特定楽曲)の出力を開始してもよい。
また、前述した実施例および変形例では、出力楽曲の設定が初期設定の標準楽曲のままであることに基づいて、遊技者が楽曲の選択を行っていないことを判断するようになっていたが、楽曲の変更履歴を記憶することとして、変更履歴に基づいて、遊技者が楽曲を選択しているか否かを判断してもよい。
また、前述した実施例では、音出力手段として上部スピーカー6aおよび下部スピーカー6bを用いて楽曲を出力するようになっていたが、楽曲を出力可能であればスピーカーに限られず、ベルやブザーなどであってもよい。
また、上述した実施例では、遊技ホールの島設備から供給される遊技球を払い出すことによって、遊技の結果としての利益(遊技価値)を遊技者に付与するパチンコ機1に本発明を適用した例を説明した。これに限らず、「遊技球の払い出し」とは異なる形態で遊技上の利益を付与するタイプの遊技機にも、本発明を適用することができる。例えば、各種入球口への遊技球の入球が発生することで、その入球に対応する利益の量(遊技価値の大きさ)を示すデータを記憶することによって、遊技上の利益(遊技価値)を遊技者に付与するタイプのパチンコ機にも本発明を適用することができ、この場合にも、上述した実施例と同様の効果を得ることができる。なお、遊技上の利益(遊技価値)をデータ化して遊技者に付与するタイプのパチンコ機としては、パチンコ機に内蔵された複数個の遊技球を循環させて使用する遊技機、具体的には、各種入球口あるいはアウト口を経て遊技盤の裏面に排出された遊技球を、再度、発射位置に戻して発射するように構成されたパチンコ機(いわゆる封入式遊技機)を例示できる。