JP2017194560A - カラーフィルタ、及びそれを用いた液晶表示装置 - Google Patents

カラーフィルタ、及びそれを用いた液晶表示装置 Download PDF

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英士 青木
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Abstract

【課題】赤色画素の他色画素への色移りを防止するカラーフィルタを提供し、それを用いることで、色再現性が良好で、且つ明度の高くなる液晶表示装置を提供すること。【解決手段】透明基板と、前記透明基板上に赤色画素を含む複数の着色画素を備えるカラーフィルタであって、前記赤色画素はジケトピロロピロール系顔料を含有する層(主色層)と、ジケトピロロピロール系顔料を含有しない層(緩和層)とがこの順に積層されて構成されており、前記緩和層は前記主色層よりも平面視で寸法が大きく、前記主色層と隣接する他色の着色画素とが前記緩和層によって隔てられているカラーフィルタとする。【選択図】図1

Description

本発明は、カラー液晶表示装置やカラー撮像管素子等に用いるカラーフィルタ、及びそれを用いた液晶表示装置に関する。
液晶表示装置は、2枚の基板の間に液晶を挟み、この液晶に画素ごとに電圧を印加して光の透過と非透過(遮断)とを制御して、透過部分と遮断部分とで画面表示を行うディスプレイである。2枚の前記基板のうち一方の基板に画素ごとに着色膜を設けて、透過光を着色することにより、カラー表示を可能としている。この着色画素を設けた基板は一般にカラーフィルタ(あるいはカラーフィルタ基板)と呼ばれ、例えば、図6の模式断面図に示すような構造を有している。
すなわち、カラーフィルタ60は、透明基板51と、透明基板の表面を多数の画素領域に区画する遮光膜52(ブラックマトリックス、以下BMと略記する)と、前記画素領域に設けられた着色画素53とを備えて構成されている。着色画素は画素領域ごとに異なる色彩を有しており、代表的には、赤色(R)、緑色(G)、及び青色(B)の3色の着色画素が利用される。着色画素53の上面には、オーバーコート(保護膜)54を備えている。
以下、本明細書では、透明基板、BM、着色画素、及びオーバーコートを合わせてカラーフィルタと称する。
前記の3色は光の3原色であり、これら3原色及びその混合によって色彩のほぼ全てを表示することが可能となる。また、BMは、特定の画素領域を透過する光と隣接する画素領域を透過する光との混合を防止するものである。例えば、赤色(R)画素に隣接して緑色(G)画素が存在する場合、両者を透過する光同士の混合を防ぐことで鮮明なカラー画面の表示が可能となる。
近年、液晶表示装置は、スマートフォンやタブレット等の携帯情報端末の需要が旺盛であるが、写真やテレビを見る機会が増えているため、液晶テレビと同等の色再現性が求められるようになった。
色再現性は、赤、緑、青色画素から放射される光の色で決まり、それぞれの着色画素のXYZ表色系色度図上における色度座標を(Rx、Ry)、(Gx、Gy)、(Bx、By)とするとき、これらの3点で規定される三角形の面積(面積Aとする)で評価される。具体的には、色再現性は全米テレビジョン放送方式標準化委員会(NTSC;National Television System Committee)により定められた標準方式の3原色の色度座標(Rx、Ry)、(Gx、Gy)、(Bx、By)=(0.67、0.33)、(0.21、0.71)、(0.14、0.08)で規定される基準の三角形の面積に対する面積Aの比(面積A/基準面積)×100(%)(=NTSC比)として表現される。
色再現性の別の指標の一つとして、2002年にハリウッドの7大映画スタジオが作成したDCI規格が挙げられる。DCI規格における赤色、緑色、青色各色のXYZ表色系色度座標は、(Rx、Ry)、(Gx、Gy)、(Bx、By)=(0.680、0.320)、(0.265、0.690)、(0.150、0.060)であり、現状で最も一般的なディスプレイの色域であるsRGB規格と比べて赤色、緑色の表現範囲が広いことが特徴である。
赤色画素を形成する顔料は、ジケトピロロピロール系顔料、アントラキノン系顔料のような赤色顔料に加え、ニッケルアゾ錯体系顔料のような黄色顔料を添加することが多い。特に、DCI規格は色度座標を忠実に再現するためには、赤色顔料に黄色顔料を添加することが望ましく、色再現性と透過率を両立させるためジケトピロロピロール系顔料であるC.I.ピグメントレッド254を多量に含有することが多い。しかしながらC.I.ピグメントレッド254を多量に含有する赤色画素をカラーフィルタに用いると、カラーフィルタ製造時に隣接する緑色画素、青色画素に着色成分が溶出して移動(色移り)し、特に緑色画素の明度を低下させる問題がある。高い明度は、液晶表示装置において、色の鮮やかさと消費電力の低さを実現するために、非常に重要な品質項目である。
特許文献1にバイオレット染料の色移りを防止するために現像後に露光する方法、特許文献2には色移りを防止するための黄色染料骨格、特許文献3にはバイオレット染料の色移りを防止するための緑色画素のビッカース硬さの基準値が提案されている。しかしながら、顔料、特に、C.I.ピグメントレッド254などの赤色顔料の色移り防止に関する手段は記載されていない。
特許第5642402号公報 特許第5609229号公報 特開2015−90419号公報
本発明は、以上のような事情の下になされ、赤色画素の他色画素への色移りを防止するカラーフィルタを提供し、それを用いることで、色再現性が良好で、且つ明度の高くなる液晶表示装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、透明基板と、前記透明基板上に赤色画素を含む複数の着色画素を備えるカラーフィルタであって、前記赤色画素はジケトピロロピロール系顔料を含有する層(主色層)と、ジケトピロロピロール系顔料を含有しない層(緩和層)とがこの順に積層されて構成されており、前記緩和層は前記主色層よりも平面視で寸法が大きく、前記主色層と隣接する他色の着色画素とが前記緩和層によって隔てられていることを特徴とするカラーフィルタとしたものである。
請求項2に記載の発明は、前記主色層の膜厚が1.8μm〜2.3μmであることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタとしたものである。
請求項3に記載の発明は、前記緩和層の膜厚が0.3μm〜0.8μmであることを特徴とする請求項1、または2に記載のカラーフィルタとしたものである。
請求項4に記載の発明は、前記緩和層に赤色顔料が含まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルタとしたものである。
請求項5に記載の発明は、前記緩和層に含まれる前記赤色顔料が、アントラキノン系顔料であることを特徴とする請求項4に記載のカラーフィルタとしたものである。
請求項6に記載の発明は、前記赤色画素以外の前記複数の着色画素が、緑色画素及び青
色画素であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のカラーフィルタとしたものである。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜6のいずれかに記載のカラーフィルタを備え、赤色画素のXYZ表色系色度図における色度座標(Rx、Ry)が、(Rx、Ry)=(0.680±0.005、0.320±0.005)であることを特徴とする液晶表示装置としたものである。
本発明によれば、赤色画素としてジケトピロロピロール系顔料を含有する主色層と、ジケトピロロピロール系顔料を含有しない緩和層とをこの順に積層し、緩和層は主色層より寸法を大きくすることで、他色への色移りを防止するカラーフィルタが得られ、それを用いることで、色再現性が良好で、明度の高い液晶表示装置を得ることができる。
本発明のカラーフィルタに係る、実施例1、2、3(いずれもオーバーコートの図示を省略)の模式断面図である。 本発明のカラーフィルタを備えた液晶表示装置の一例を示す模式断面図である。 比較例1のカラーフィルタ(オーバーコートの図示を省略)の模式断面図である。 比較例2のカラーフィルタ(オーバーコートの図示を省略)の模式断面図である。 比較例4のカラーフィルタ(オーバーコートの図示を省略)の模式断面図である。 従来のカラーフィルタの模式断面図である。
以下、本発明の実施形態に係るカラーフィルタについて詳細に説明する。尚、同一の構成要素については便宜上の理由がない限り同一の符号を付け、重複する説明は省略する。また、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などは実際と必ずしも同じではない。
図1に本発明に係るカラーフィルタ(但しオーバーコートの図示を省略)の模式断面図を示す。図1に示すように、本発明のカラーフィルタ10は透明基板1の上に、BM2、赤色画素Ra及びRb、緑色画素G、青色画素Bからなる着色画素3、オーバーコート(図示せず)で構成されている。着色画素3はそれぞれ感光性着色組成物からなり、有機顔料、透明樹脂、光重合開始剤、多官能チオールなどを含有している。
本発明のカラーフィルタにおける赤色画素は、ジケトピロロピロール系顔料を含有する赤色感光性着色組成物からなる主色層と、ジケトピロロピロール系顔料を含有しない緩和層とがこの順に積層している。主色層を形成するジケトピロロピロール系顔料は、赤から橙色の顔料で、優れた耐光性及び耐熱性を有し、赤色画素用として適する分光スペクトルが得られ、かつ、透明性も高いことから、赤色画素用顔料として好ましい顔料である。主色層にジケトピロロピロール系顔料を含有しない場合は、赤色色度(Ry)が低くなる。
本発明のカラーフィルタにおける赤色画素では、前記緩和層は、前記主色層よりも平面視で寸法が大きくなっている。ここで主色層の寸法は、図1に示すように、その最上部の寸法Waであり、緩和層の寸法は、主色層の最上部と同じ高さにおける寸法Wbとする。図1は断面図であるので、平面視での1方向しか示していないが、紙面に垂直な方向につ
いても、緩和層の寸法は、主色層よりも大きくなっている。
緩和層が主色層よりも平面視で寸法が大きいことにより、緩和層が主色層を覆う形状となり、ジケトピロロピロール系顔料を含有する主色層は、赤色画素に隣接する他色の着色画素と緩和層によって隔てられ、ジケトピロロピロール系顔料を含有しない緩和層のみが隣接する他色の着色画素と接触するようになる。これにより、他色の着色画素に着色成分が溶出して色移りする現象を防止することができる。
本発明のカラーフィルタにおける赤色画素では、主色層の膜厚は1.8μm〜2.3μmであることが好ましく、緩和層の膜厚は0.3μm〜0.8μmであることが好ましい。緩和層の膜厚が0.3μm未満の場合、主色層から他色への色移りを防ぐことができない。また、0.8μmより大きい場合、相対的に主色層の割合が下がり、赤色色度(Ry)が低下する。主色層の膜厚を維持したまま0.8μmより大きくすると、主色層+緩和層の膜厚が厚くなり過ぎて、他色との乗り上げ部がオーバーコート表面に突き出るようになり、液晶の配向不良となり、ディスプレイの表示不良につながる。
ジケトピロロピロール系顔料を含有しない緩和層は、顔料のない透明層であってもジケトピロロピロール系顔料からなる主色層と他色画素との接触がなければ、色移りは起こらない。しかしながら透明層を使用すると、色再現性の良いディスプレイを得るために赤色画素が厚くなり過ぎる可能性があるため、緩和層には赤色顔料を含むことが好ましい。
本発明のカラーフィルタにおける赤色画素では、緩和層に含まれる赤色顔料が、アントラキノン系顔料であることが好ましい。緩和層に含まれる赤色顔料がアントラキノン系顔料でない場合は、色度座標をDCI規格に適合させることが難しくなる。
次に、本発明に係るカラーフィルタに用いられる感光性着色組成物について、より詳細に説明する。
[感光性着色組成物]
(顔料)
本発明のカラーフィルタに係る感光性着色組成物は、請求項において規定する条件内において、一般に市販されている有機顔料を用いることができる。有機顔料としては、発色性が高く、且つ耐熱性、特に耐熱分解性の高いものが好適に用いられる。有機顔料は、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。また、有機顔料は、ソルトミリング、アシッドペースティング等により微細化したものであっても良い。
以下に、本発明のカラーフィルタに係る感光性着色組成物に使用可能な有機顔料の具体例を、カラーインデックス(C.I.)番号で示す。
ジケトピロロピロール系顔料の具体例として、C.I.ピグメントレッド254、255、264及びC.I.ピグメントオレンジ71が挙げられる。この中で、特に、ピロロピロール環のパラ位に塩素基を有するジケトピロロピロール顔料であるC.I.ピグメントレッド254は、赤色画素用として特に適する分光スペクトルが得られ、分散性も優れ、高い透過率が得られるため、赤色画素用顔料として多く用いられている。
赤色画素用途に市販されているC.I.ピグメントレッド254として、イルガフォーレッドB−CF、イルガフォアレッドBT−CF(共に、BASF社製)がある。これらの顔料は、透過型電子顕微鏡(TEM)観察によれば1次粒子径の大きさ40〜80nmの比較的球状の粒子である。
緩和層に用いる赤色顔料には、C.I.ピグメントレッド7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、122、123、146、149、168、177、178、179、184、185、187、192、200、202、208、210、216、220、223、224、226、240、272等が挙げられる。
赤色画素を形成する主色層、緩和層には黄色顔料を併用することができる。黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、126、127、128、129、138、139、147、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、198、199、213、214等が挙げられる。
本発明に係るカラーフィルタには、赤色画素の他に、緑色、青色、及び必要に応じてその他の色(例えばシアン、マゼンタ、オレンジ色)の画素を有している。これらの画素に用いられる着色材料は特に制限はなく、公知の顔料あるいは染料を用いることができる。
本発明の液晶表示装置は、本発明のカラーフィルタを備えることで、赤色画素のXYZ表色系色度図における色度座標(Rx、Ry)が、(Rx、Ry)=(0.680±0.005、0.320±0.005)となっている。本発明のカラーフィルタを備えること以外は公知の構成を備えている。本発明の液晶表示装置の作製工程は、実施例において示す。
以下、本発明のカラーフィルタを構成する、その他の要素について説明する。
(着色画素)
緑色画素を形成する場合には、C.I.ピグメントグリーン7、10、36、37、58、59等の緑色顔料を用いることができるが、横電界方式(In Plane Switching=IPS方式)の液晶表示装置に使用する緑色画素を形成する場合には、特に、ピグメントグリーン58、59が望ましい。緑色感光性着色組成物には黄色顔料を併用することができる。
青色画素を形成する場合には、C.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、64、80等の青色顔料を用いることができる。青色感光性着色組成物には色再現性を良くするために、紫色顔料を併用することができる。紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等を例示できる。前記青色画素には、耐熱性が悪化するなどの耐久性の問題を避けるため、黄色顔料を併用することが望ましい。
シアン色画素を形成する場合には、C.I.ピグメントブルー15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、80等の顔料を用いることができる。
マゼンタ色画素を形成する場合には、C.I.ピグメントレッド7、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、146、177、178、184、185、187、200、202、208、210、246、254、255、264、270、272等の顔料を用いることができる。マゼンタ色感光性着色組成物には黄色顔料を併用することができる。
オレンジ色画素を形成する場合には、C.I.ピグメントオレンジ36、43、51、55、59、61、71、73等の顔料を用いることができる。
BMを形成する場合には、カーボンブラック、アニリンブラック、アントラキノン系黒色顔料、ペリレン系黒色顔料、具体的にはC.I.ピグメントブラック1、6、7、12、20、31等を用いることができる。黒色感光性着色組成物には、赤色顔料、青色顔料、緑色顔料の混合物を用いることもできる。黒色顔料としては、価格、遮光性の大きさからカーボンブラックが好ましく、カーボンブラックは、樹脂などで表面処理されていてもよい。また、色調を調整するため、黒色感光性着色組成物には、青色顔料や紫色顔料を併用することができる。
また、本発明のカラーフィルタに係る感光性着色組成物(以下、特にことわらない限り、赤色感光性着色組成物及びその他の色の感光性着色組成物を意味する)には、形成する着色画素の色相に応じて調色のため、耐熱性を低下させない範囲内で染料を含有させることができる。染料は、顔料の合計質量を基準(100質量%)として、0.1〜10質量%で用いることができる。
染料としては、カーボニウム染料、アゾ染料、クマリン染料、ナフタルイミド染料等が挙げられる。前記カーボニウム染料としては、具体的には、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アクリジン染料等が挙げられる。これらの中でも、カーボニウム染料が好ましく、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料がより好ましい。
前記染料としては、例えば、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colourists出版)で染料に分類されている化合物や染色ノート(色染社)に記載されている公知の染料が挙げられる。以下に、本発明のカラーフィルタに係る感光性着色組成物に使用可能な染料の具体例を、カラーインデックス(C.I.)番号で示す。具体例としては、C.I.アシッドイエロー3、7、250、C.I.アシッドレッド77、C.I.アシッドブルー9、C.I.ベーシックイエロー1、35、40、95.C.I.ベーシックレッド1−1、13、C.I.ベーシックバイオレット、7、11:1、C.I.ベーシックオレンジ22、C.I.ベーシックブルー7、C.I.ベーシックグリーン1、C.I.ディスパースイエロー121、82、C.I.ディスパースオレンジ11、C.I.ディスパースレッド58、C.I.ディスパースブルー7、C.I.ダイレクトイエロー11、24、26、85、100、147、C.I.ダイレクトオレンジ8、13、26、29:1、46、C.I.ダイレクトレッド1、9、17、239、240、242、254、C.I.ダイレクトブルー22、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ソルベントイエロー7、44、C.I.ソルベントレッド49、C.I.ソルベントブルー5、C.I.ソルベントグリーン7等が挙げられる。
前記の化合物の市販品としては、Fluorescentシリーズ(有本化学(株)製)、ローダミンB、ローダミン6GCP(田岡化学工業(株)製)、キノリンイエローSS−5G、キノリンイエローGC(中央合成化学(株)製)、アゾソールブリリアントイエロー4GF、アゾソールファストブルーGLA、セリトンピンク3B、ファストイエローYL、ビクトリアブルーFN、ブリリアントスルホフラビンFF、チオフラビン、ベーシックイエローHG、フルオレセイン、エオシン等が挙げられる。
キサンテン染料としては、例えば、C.I.アシッドレッド51、52、87、92、
94、289、388、C.I.アシッドバイオレット9、30、102、C.I.ベーシックレッド1、8、C.I.ベーシックバイオレット10、 C.I.ソルベントレッド218、C.I.モーダントレッド27、C.I.リアクティブレッド36、特開2010−32999号公報に記載のキサンテン染料、及び特許第4492760号公報に記載のキサンテン染料等が挙げられる。
さらに、本発明のカラーフィルタに係る感光性着色組成物には、彩度と明度のバランスをとりつつ、良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、無機顔料を含有させることができる。無機顔料としては、酸化チタン、硫酸バリウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等が挙げられる。
前記無機顔料は、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。無機顔料は、顔料の合計質量を基準(100質量%)として、0.1乃至10質量%で用いることができる。
(透明樹脂)
本発明のカラーフィルタに係る感光性着色組成物が含有する透明樹脂は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上のものを用いる。透明樹脂には、非感光性透明樹脂及び感光性透明樹脂が含まれ、これらを単独で用いても、2種以上を混合して用いても良い。
また、透明樹脂の分子量は、5,000〜100,000の範囲であることが望ましい。透明樹脂の分子量が5,000未満では、現像の際にカラーフィルタパターンの直線性が悪化し、膜減り率が増大し、カラーフィルタパターンの断面形状が悪くなる。逆に、100,000以上であれば、現像時間が遅くなり、生産性が低下する。したがって、より好ましくは、5,000〜60,000の範囲が良い。
非感光性透明樹脂は、エチレン性不飽和二重結合を有しない樹脂であり、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂がある。熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレン−マレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリブタジエン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等が挙げられる。
感光性透明樹脂は、エチレン性不飽和二重結合を有する樹脂であり、例えば、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する高分子に、イソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基、カルボキシル基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等のエチレン性不飽和二重結合を有する官能基を前記高分子に導入した樹脂が挙げられる。
具体的には、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体及び他のエチレン性不飽和単量体を共重合した共重合体に、水酸基と反応可能な官能基及びエチレン性不飽和二重結合を有する化合物を反応させることにより得られるものがある。水酸基と反応可能な官能基としては、イソシアネート基、カルボキシル基等が挙げられるが、特に反応性の点でイソシアネート基が好ましく、イソシアネート基及びエチレン性不飽和二重結合を有する化合物と
して具体的には、2−アクリロイルエチルイソシアネート、2−メタクリロイルエチルイソシアネート等が挙げられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合体やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体等の酸無水物を含む高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
前記エチレン性不飽和二重結合を有する多官能モノマーとしては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル等が代表例として挙げられる。多官能モノマーは、感光性着色組成物の感度アップの観点から、エチレン性不飽和二重結合を4〜12個有することが好ましい。3個以下のエチレン性不飽和二重結合を有する多官能モノマーを含む感光性着色組成物では、所望の感度を得ることができない。
エチレン性不飽和二重結合を有する多官能モノマーは、単独でまたは2種類を以上混合して用いることができる。エチレン性不飽和二重結合を有する多官能モノマーの含有量は、顔料100質量部に対して、好ましくは10〜300質量部、より好ましくは10〜200質量部で用いることができる。
(光重合開始剤)
本発明のカラーフィルタに係る感光性着色組成物が含有する光重合開始剤の例としては、オキシムエステル系光重合開始剤、α−アミノアルキルフェノン系光重合開始剤、カルバゾール系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤が挙げられる。
特に好ましいオキシムエステル系光重合開始剤としては、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム)、1,2−オクタジオン−1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]が挙げられる。
特に好ましいアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイドが挙げられる。
特に好ましいα―アミノアルキルアセトフェノン系光重合開始剤としては、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルチオフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノンが挙げられる。
特に好ましいカルバゾール系光重合開始剤としては、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−メチルカルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−ベンゾイルカルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−ブチルカルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−オクチルカルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−ドデシルカルバゾールが挙げられる。
これらの光重合開始剤は、1種を単独、または2種以上を混合して用いることができる。光重合開始剤の含有量は、顔料100質量部に対して5〜200質量部、好ましくは10〜150質量部で用いることができる。
また、本発明のカラーフィルタに係る感光性着色組成物は、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有することができる。多官能チオールは、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。多官能チオールの含有量は、顔料100質量部に対して0.05〜100質量部が好ましく、より好ましくは0.1〜60質量部である。
(任意成分)
本発明のカラーフィルタに係る感光性着色組成物は、基本的に増感剤は必要としないが、光重合開始剤と併用してもかまわない。これらの増感剤は、1種を単独で、または2種以上を混合して用いることができる。増感剤の含有量は、光重合開始剤100質量部に対して0.1〜60質量部が好ましい。
本発明のカラーフィルタに係る感光性着色組成物は、組成物の経時粘度を安定化させるために貯蔵安定剤を含有させることができる。また、透明基板との密着性を高めるためにシランカップリング剤等の密着向上剤を含有させることもできる。貯蔵安定剤は、感光性着色組成物中の顔料100質量部に対して、0.1〜10質量部の量で用いることができる。
本発明のカラーフィルタに係る感光性着色組成物は、顔料を十分に組成物中に分散させ、ガラス基板等の透明基板上に乾燥膜厚が2.3〜5μmとなるように塗布して着色画素またはBMを形成することを容易にするために、溶剤を含有させる。溶剤は単独でも、また、混合して用いてもよい。
前記溶剤としては、例えば1,2,3−トリクロロプロパン、1,3−ブタンジオール、1,3−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,4−ジオキサン、2−ヘプタノン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセン−1−オン、3,5,5−トリメチルシクロヘキサノン、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メトキシ−3−メチル−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブチルアセテート、3−メトキシブタノール、3−メトキシブチルアセテート、4−ヘプタノン、m−キシレン、m−ジエチルベンゼン、m−ジクロロベンゼン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、n−ブチルアルコール、n−ブチルベンゼン、n−プロピルアセテート、N−メチルピロリドン、o−キシレン、o−クロロトルエン、o−ジエチルベンゼン、o−ジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、p−ジエチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、γ―ブチロラクトン、イソブチルアルコール、イソホロン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノターシャリーブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジイソブチルケトン、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、シクロヘキサノールアセテート、シクロヘキサノン、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ダイアセトンアルコール、トリアセチン、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、ベンジルアルコール、メチルイソブチルケトン、メチルシクロヘキサノール、酢酸n−アミル、酢酸n−ブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、酢酸プロピル、二塩基酸エステル等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーや透明樹脂に顔料を分散する際には、適宜、界面活性剤、樹脂型顔料分散剤、色素誘導体等の分散剤が使用できる。分散剤は、顔料の分散に優れ、分散後の顔料の再凝集を防止する効果が大きいので、分散剤を用いて顔料を透明樹脂及び有機溶剤中に分散してなる感光性着色組成物を用いた場合には、透明性に優れたカラーフィルタが得られる。顔料分散剤は、感光性着色組成物中の顔料100質量部に対して、0.1〜40質量部、好ましくは0.1〜30質量部で用いることができる。
前記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のアルカリ塩、アルキルナフタリンスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム、ラウリル硫酸モノエタノールアミン、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ラウリル硫酸アンモニウム、ステアリン酸モノエタノールアミン、ステアリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、スチレン−アクリル酸共重合体のモノエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤;ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリエチレングリコールモノラウレートなどのノニオン性界面活性剤;アルキル4級アンモニウム塩やそれらのエチレンオキサイド付加物などのカオチン性界面活性剤;アルキルジメチルアミノ酢酸ベタインなどのアルキルベタイン、アルキルイミダゾリンなどの両性界面活性剤、また、フッ素系やシリコーン系の界面活性剤が挙げられる。
上記樹脂型顔料分散剤は、顔料に吸着する性質を有する顔料親和性部位と、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーや透明樹脂と相溶性のある部位とを有する樹脂であり、顔料に吸着して顔料のエチレン性不飽和二重結合を有するモノマーへの分散を安定化する働きをするものである。樹脂型顔料分散剤として具体的には、ポリウレタン、ポリアクリレートなどのポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物、ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩などの油性分散剤、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどの水溶性樹脂や水溶性高分子化合物、ポリエステル系、変性ポリアクリレート系、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、燐酸エステル系等が用いられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。
上記色素誘導体は、有機色素に置換基を導入した化合物である。このような有機色素に
は、一般に色素とは呼ばれていないナフタレン系、アントラキノン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。色素誘導体としては、特開昭63−305173号公報、特公昭57−15620号公報、特公昭59−40172号公報、特公昭63−17102号公報、特公平5−9469号公報等に記載されているものを使用でき、これらは単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
[感光性着色組成物の製法]
本発明のカラーフィルタに係る感光性着色組成物は、顔料、必要に応じて染料を、必要に応じて上記顔料分散剤と共に、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマー、透明樹脂、多官能チオール、及び有機溶剤中に、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、アトライター等の各種分散手段を用いて微細に分散し、光重合開始剤を添加して作製することができる。また、2種以上の色素を含む感光性着色組成物は、各色素を別々に、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマー等に微細に分散したものを混合して作製することもできる。
また、本発明のカラーフィルタに係る感光性着色組成物は、遠心分離、焼結フィルタ、メンブレンフィルタ等の手段にて、5μm以上の粗大粒子、好ましくは1μm以上の粗大粒子、さらに好ましくは0.5μm以上の粗大粒子及び混入した塵の除去を行うことが好ましい。
[オーバーコート]
次に、着色画素上に形成されるオーバーコート(保護膜)について説明する。オーバーコートは透明樹脂からなり、用いることのできる樹脂組成物としては、1つには、2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物を含有するものである。2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物としては、ビスフェノールA型エポキシ、ビスフェノールF型エポキシ、ジヒドロキシビフェニル型エポキシ、フェノールノボラック型エポキシなどが挙げられる
前記透明樹脂としては、(メタ)アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ノボラック系樹脂、マレイン酸系樹脂、ロジン系樹脂などがあげられる。
樹脂組成物にエポキシ化合物を含有させる場合は、公知のエポキシ硬化剤を配合することがよく、エポキシ硬化剤としてはカルボン酸類、フェノール類、アミン類などがあるが、好ましくは多価カルボン酸類、多価フェノール類やその酸無水物、カルボン酸をキャップしたブロック酸などがあり、具体的にはトリメリット酸、ピロメリット酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等の芳香族多価カルボン酸類、テトラヒドロフタル酸等の脂環族多価カルボン酸類、アジピン酸、こはく酸、ブタンテトラカルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸類、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和脂肪族多価カルボン酸類などが挙げられる。
オーバーコート用樹脂組成物に用いることのできる別の樹脂組成物は、多価不飽和二重結合を有するアクリルモノマーを固形分に対し50〜70%含み、かつバインダ樹脂、硬化開始剤を含む樹脂組成物である。
エチレン性不飽和二重結合を有する重合性モノマーとしては、例えば、以下に示すようなモノマーを混合して、又は単独で使用することができる。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を含むモノマーや、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類、あるいは、ペンタエリストールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールヘキサ(メタ)アクリレートのカプロラクトン付加物のヘキサ(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレートなどがあげられる。前記重合性モノマーの一部が、カルボキシル基含有多官能性単量体を含む重合性モノマーであることが好ましい。例えば、ペンタエリスリトール又はその誘導体であっても良い。
ラジカル重合性モノマーの重合反応を開始させる活性種を発生するラジカル発生材としては熱重合開始剤のほか、一般的な光重合開始剤と呼ばれるものにおいても熱によりラジカルを発生するため、本発明のカラーフィルタに使用することができる。具体的には、tert-ブチルペルオキシ-iso-ブタレ-ト、2,5-ジメチル-2,5-ビス(ベンゾイルジオキシ)ヘキサン、1,4-ビス[α-(tert-ブチルジオキシ)-iso-プロポキシ]ベンゼン、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(tert-ブチルジオキシ)ヘキセンヒドロペルオキシド、α-(iso-プロピルフェニル)-iso-プロピルヒドロペルオキシド、2,5-ビス(ヒドロペルオキシ)-2,5-ジメチルヘキサン、tert-ブチルヒドロペルオキシド、1,1-ビス(tert-ブチルジオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、ブチル-4,4-ビス(t-ブチルジオキシ)バレレ-ト、シクロヘキサノンペルオキシド、2,2',5,5'-テトラ(tert-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'-テトラ(tert-ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'-テトラ(tert-アミルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'-テトラ(tert-ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3'-ビス(tert-ブチルペルオキシカルボニル)-4,4' -ジカルボキシベンゾフェノン、tert-ブチルペルオキシベンゾエ-ト、t-ブチルジペルオキシイソフタレ-トなどの有機過酸化物や、9,10-アンスラキノン、1-クロロアンスラキノン、2-クロロアンスラキノン、オクタメチルアンスラキノン、2-ベンズアンスラキノンなどのキノン類や、ベンゾインメチル、ベンゾインエチルエーテル、α-メチルベンゾイン、α-フェニルベンゾインなどのベンゾイン誘導体などを挙げることができる。さらに、本発明のカラーフィルタで使用することのできるラジカル重合開始剤としてはBASF社製のIrgacure651、184、1173、907、369、819、CGI124やBASF社製のTPO、日本化薬(株)製のKayaureDTEX、あるいは4,4‘-ジエチルアミノベンゾフェノン、4,4’-ジメチルアミノベンゾフェノンのようなベンゾフェノン類の他に、ビイミダゾール化合物、トリアジン化合物などをも挙げることができる。
以下、カラーフィルタの製造方法について説明する。
[着色画素の形成工程]
(塗布工程)
カラーフィルタの透明基板には、ガラス基板、石英基板、プラスチック基板等、公知の透明基板材料が使用でき、中でも透明性、強度、耐熱性、耐候性において優れているガラス基板が好ましい。感光性着色組成物の塗布工程では、スリットダイコーター、スピンコーター等、公知の塗工装置を用いることができる。その後、溶剤成分を除去するため必要に応じて、減圧乾燥処理やプリベーク処理を施すことができる。
(露光工程)
パターンを形成する工程では、公知の露光方法により着色画素またはBMを形成できる。パターン露光する工程では、透明基板の上面から光、或いは放射線を照射してパターンを硬化させる。照射する光或いは放射線としては、感光性着色組成物が硬化する吸収波長を有するものであれば特に限定されるものではないが、g線(波長436nm)、紫外線、或いは電子線が特に好ましい。特に、超高圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ等による紫外線照射処理が好ましい。また、不要な波長はそれに対応するフィルタを介してカットすることが望ましい。
(現像工程)
現像工程では、公知の現像方法により、感光性着色組成物の未露光部分を除去して着色画素、またはBMを形成する。未露光部分の除去に際しては、アルカリ現像液として炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム等の水溶液が使用され、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリを用いることもできる。また、現像液には、消泡剤や界面活性剤を添加することもできる。現像処理方法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。
(焼成工程)
着色画素及びBMを形成した後、加熱処理を施して熱硬化させる工程を設けることができる。加熱方法としてはコンベクションオーブン、ホットプレート、ハロゲンヒータ、IRオーブンによる加熱等が利用でき、特に限定されるものではない。ここで、焼成条件は、200〜250℃で10分〜60分間加熱することが好ましい。
[オーバーコート形成工程]
次に、着色画素上に形成されるオーバーコートの形成工程について説明する。
オーバーコート用の樹脂組成物に多価不飽和結合を有するアクリルモノマー、バインダ樹脂、硬化開始剤を含む場合、前記着色画素の形成工程と同様の方法でオーバーコートを形成することができる。
オーバーコート形成工程における露光工程では、着色画素との密着性が良好なオーバーコートを形成するため、波長350nm以下をカットした紫外線で露光することが望ましい。
350nm以下の短波長紫外線をカットせずに透明樹脂を硬化させた場合は、波長350nm以上の紫外線のみで硬化させた場合に比べ、単位時間あたりに照射されるエネルギーが大きいため、より短時間で硬化が進み、下地基材との間に歪みが発生しやすい。
さらに、オーバーコートを構成する樹脂組成物の短波長領域における光の透過率は小さいため、紫外線照射により硬化が進行する過程において、短波長紫外線は透明樹脂層内部に侵入しにくく表面に近い部分ほど硬化が進むため、短波長紫外線を照射しない場合と比較してオーバーコート内部の硬化に偏りが生じ、より歪み(ストレス)が発生しやすくなる。
そこで、波長350nm以下の紫外線をフィルタなどで除き、g線(波長436nm)、i線(波長365nm)のみを露光に使用することにより、硬化がオーバーコート全体で徐々に進行するようにすると、オーバーコートのストレスが少なくなる結果、蓄積される歪みが小さくなり、着色画素との密着性低下を抑止することが可能となる。
オーバーコート用の樹脂組成物に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物を含有する場合、露光工程、現像工程を省略する以外は、前記着色画素の形成工程と同様の方法
でオーバーコートを形成することができる。
以下、本発明のカラーフィルタを実施例により詳細に説明するが、本発明のカラーフィルタはこれら実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例中、「部」及び「%」は「質量部」及び「質量%」をそれぞれ意味する。
尚、作製した液晶表示装置の着色画素の色度、及び明度は、分光色度測定機(大塚電子社製LCF−1100)を使用して測定した。
[顔料分散体の調製]
まず、実施例及び比較例で用いた顔料分散体の調製方法について説明する。樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定したポリスチレン換算の質量平均分子量である。
(アクリル樹脂溶液の合成)
反応容器にシクロヘキサノン370部を収容し、この容器に窒素ガスを注入しながら80℃に加熱して、下記混合物を1時間かけて滴下し、重合反応を行った。
メタクリル酸 20.0部
メチルメタクリレート 10.0部
n−ブチルメタクリレート 55.0部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 15.0部
2,2’−アゾビスイソブチロニトリル 4.0部
滴下終了後、さらに80℃で3時間反応させた後、アゾビスイソブチロニトリル1.0部をシクロヘキサノン50部に溶解させたものを添加し、さらに80℃で1時間反応を続けて、アクリル樹脂溶液を得た。
室温まで冷却した後、アクリル樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃で、20分間加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成したアクリル樹脂溶液に不揮発分が20質量%になるようにシクロヘキサノンを添加して、アクリル樹脂溶液を調製した。得られたアクリル樹脂の質量平均分子量Mwは40,000であった。
(顔料分散体の調製)
下記表1に示す組成の混合物を均一に攪拌混合し、直径1mmのガラスビーズを用いてサンドミルで5時間分散した後、5μmのフィルタで濾過し、赤色顔料分散体R(1)〜R(3)、緑色顔料分散体G(1)、青色顔料分散体B(1)、及び黒色顔料分散体BM(1)を調製した。
PR254:ジケトピロロピロール系顔料
(C.I.ピグメントレッド254)
(BASF社製「イルガフォーレッドB−CF」)
PR177:アントラキノン系顔料
(C.I.ピグメントレッド177)
(BASF社製「クロモフタールレッドA2B」)
PY150:ニッケルアゾ錯体系顔料
(C.I.ピグメントイエロー150)
(ランクセス社製「E4GN」)
PG58:ハロゲン化亜鉛フタロシアニン系顔料
(C.I.ピグメントグリーン58)
(DIC社製「ファストゲングリーンA10」)
PY138:キノフタロン系黄色顔料
(C.I.ピグメントイエロー138)
(BASF社製「パリオトールイエローK0960−HD」)
PB15:6:ε型銅フタロシアニン顔料
(C.I.ピグメントブルー15:6)
(BASF社製「ヘリオゲンブルーL−6700F」)
PV23:ジオキサジン系紫色顔料
(C.I.ピグメントバイオレット23)
(トーヨーカラー社製「リオノゲンバイオレットRL」)
CB:カーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)
(三菱化学社製「MA11」)
顔料分散剤:日本ルーブリゾール社製「ソルスパース20000」)
アクリル樹脂溶液:先に調製したアクリル樹脂溶液
有機溶剤:シクロヘキサノン
[感光性着色組成物の調製]
先に調製した顔料分散体R(1)〜R(3)、G(1)、B(1)、BM(1)を含む、下記表2、表3に示す処方の混合物を均一になるように攪拌混合した後、1μmのフィルタで濾過して、各感光性着色組成物を得た。
顔料分散体:先に調製した顔料分散体
アクリル樹脂溶液:先に調製したアクリル樹脂溶液
光重合開始剤:オキシムエステル系光重合開始剤エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(0−アセチルオキシム) (BASF社製「イルガキュアOXE−02」)
モノマー:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(東亞合成社製「アロニックス M−402」)
多官能チオール:ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)
(堺化学工業社製「PEMP」)
有機溶剤:シクロヘキサノン
[BMパタ−ン形成]
前記表2に示したBM組成物を、10cm×10cmのガラス基板上にダイコーターで約1.2μmの厚さに塗工し、70℃のオーブン内に15分間静置し、余剰の溶剤を乾燥除去した。
次に、上記BM組成物の塗膜から150μmの間隔をあけて、6μm幅のストライプ状のパターンを有するフォトマスクをセットし、50mJ/cmの露光量(波長365nm基準)で光照射、その後、現像して未露光部分を取り除いた後、230℃で30分加熱して、BMを形成した。
[検討1:各種赤色二層構造とカラーフィルタの品質]
(着色画素のパタ−ン形成)
<実施例1>
前記BMを形成した10cm×10cmのガラス基板上に、表2に示したR2組成物を焼成後に2.1μmの厚さになるように塗工、20μm幅のストライプ状のパターンを有するフォトマスクを用いること以外は、BMパターン形成と同様の工程で赤色画素の主色
層を形成した。
次に、表2に示したR3組成物を焼成後に0.5μmの厚さになるように塗工、20μm幅のストライプ状のパターンを有するフォトマスクをセットし、80mJ/cmの露光量で光照射、現像して未露光部分を取り除いた後、230℃30分加熱して緩和層を形成した。主色層形成時の露光量50mJ/cmよりも大きい80mJ/cmとしたので、緩和層の寸法は主色層よりも大きくなった。
次に、赤色画素の主色層形成と同様の工程で、緑色及び青色の着色画素を形成し、BMと赤色、緑色、青色の3色の着色画素からなる実施例1のカラーフィルタ1を得た。カラーフィルタ1の模式断面図を図1に示す。図1のように赤色画素は主色層よりも寸法の大きい緩和層が主色層を覆う形状の二層構造となっており、従って主色層は隣接する緑色画素、青色画素と緩和層によって隔てられ接触していない。
<比較例1>
緩和層を50mJ/cmの露光量で光照射して形成する以外はカラーフィルタ1の形成と同様の工程で比較例1のカラーフィルタ2を得た。カラーフィルタ2の模式断面図を図3に示す。図3のように赤色画素は主色層、緩和層の二層構造となっているが、緩和層形成時の露光量は主色層形成時と同じなので、緩和層の寸法は主色層と同等となり、従って、主色層と緩和層は隣接する緑色画素、青色画素に接触している。
<比較例2>
実施例1と同様にBMを形成した10cm×10cmのガラス基板上に、表2に示したR1組成物を焼成後に2.6μmの厚さになるように塗工、20μm幅のストライプ状のパターンを有するフォトマスクを用いること以外は、BMパターン形成と同様の工程で単層構造の赤色画素を形成した。
次に、赤色画素と同様の工程で、緑色及び青色の着色画素を形成し、BMと赤色、緑色、青色の3色の着色画素からなる比較例2のカラーフィルタ3を得た。カラーフィルタ3の模式断面図を図4に示す。図4のように赤色画素は単層構造であり、赤色画素は隣接する緑色画素、青色画素に接触している。
(オーバーコート形成)
前記、10cm×10cmのカラーフィルタ1〜3上に、ネガ型の感光性樹脂(JSR(株)製NN550)を1.5μmの厚みになるように塗工、乾燥、露光、現像、焼成しオーバーコートとした。
(バックライトと組み合わせた液晶表示装置の作製)
得られたカラーフィルタ1〜3を用いて、図2に示す構成の液晶表示装置を作製した。以下、具体的に説明する。 尚、光源は、青色LEDが発する青色光と、緑色蛍光体、赤色蛍光体により変換された緑色光、赤色光を組み合わせた白色LEDを用いた。
カラーフィルタ1〜3(図2では符号10、但しBMの図示を省略)上に、ITOからなる透明電極5を形成し、その上にポリイミドによる配向膜6を形成した。ガラス基板(透明基板1)の他方の表面には偏光板7を形成した。他方、別のガラス基板(透明基板11)の一方の表面にTFTアレイ14及びITOからなる透明電極15を形成し、その上にポリイミドによる配向膜16を形成した。透明基板11の他方の表面には偏光板17を形成した。このようにして準備された2つのガラス基板を電極層同士が対面するよう対向させて配置し、フォトスペーサ(図示せず)を用いて両基板の間隔を一定に保ちながら位置合わせし、液晶組成物注入用開口部(図示せず)を残すように周囲を封止剤で封止した。
開口部から液晶組成物18を注入した後、開口部を封止した。このようにして作製したユニットをバックライトユニット19と組み合わせて液晶表示装置20とした。
実施例1、比較例1、2で作製したカラーフィルタ1〜3の品質を表4に示す。赤色画素の色度はカラーフィルタ1〜3で差はみられなかった。一方、緑色画素の色度は、実施例1のカラーフィルタ1が最も高く、比較例1、2のカラーフィルタ2、カラーフィルタ3では明度の低下が見られた。これは、図3、4に示すように、ジケトピロロピロール顔料を含有する主色層、赤色画素の着色成分が隣接する緑色画素に溶出して色移りしているためである。比較例1のカラーフィルタ2は主色層の上部に緩和層が存在するため、カラーフィルタ3より明度低下が軽微であるが、完全には色移りを防ぐことができず、液晶表示装置とした際に暗くなる表示不良が発生した。これに対し、実施例1のカラーフィルタ1では、主色層が隣接する緑色画素と緩和層によって隔てられ接触していないため着色成分の溶出がなく、緑色画素の色度に関しても良好な特性を示した。
[検討2:赤色画素二層構造の感光性樹脂組成物と膜厚とカラーフィルタの品質]
(着色画素のパタ−ン形成)
<実施例2>
実施例1と同様にBMを形成した10cm×10cmのガラス基板上に、表3に示したR4組成物を焼成後に2.3μmの厚さになるように塗工、20μm幅のストライプ状のパターンを有するフォトマスクを用いること以外は、BMパターン形成と同様の工程で赤色画素の主色層を形成した。
次に、表3に示したR7組成物を焼成後に0.3μmの厚さになるように塗工、20μm幅のストライプ状のパターンを有するフォトマスクをセットし、80mJ/cmの露光量で光照射、現像して未露光部分を取り除いた後、230℃30分加熱して緩和層を形成した。主色層形成時の露光量50mJ/cmよりも大きい80mJ/cmとしたので、緩和層の寸法は主色層よりも大きくなった。
次に、赤色画素の主色層形成と同様の工程で、緑色及び青色の着色画素を形成し、BMと赤色、緑色、青色の3色の着色画素からなる実施例2のカラーフィルタ4を得た。カラーフィルタ4の断面構造は実施例1のカラーフィルタ1と同じく図1であり、赤色画素は主色層よりも寸法の大きい緩和層が主色層を覆う形状の二層構造となっており、従って主色層は隣接する緑色画素、青色画素と緩和層によって隔てられ接触していない。
<実施例3>
実施例1と同様にBMを形成した10cm×10cmのガラス基板上に、表3に示したR5組成物を焼成後に1.8μmの厚さになるように塗工、20μm幅のストライプ状のパターンを有するフォトマスクを用いること以外は、BMパターン形成と同様の工程で赤色画素の主色層を形成した。
次に、表3に示したR8組成物を焼成後に0.8μmの厚さになるように塗工、20μm幅のストライプ状のパターンを有するフォトマスクをセットし、80mJ/cmの露光量で光照射、現像して未露光部分を取り除いた後、230℃30分加熱して緩和層を形成した。主色層形成時の露光量50mJ/cmよりも大きい80mJ/cmとしたので、緩和層の寸法は主色層よりも大きくなった。
次に、赤色画素の主色層形成と同様の工程で、緑色及び青色の着色画素を形成し、BMと赤色、緑色、青色の3色の着色画素からなる実施例3のカラーフィルタ5を得た。カラーフィルタ4の断面構造は実施例1のカラーフィルタ1と同じく図1であり、赤色画素は主色層よりも寸法の大きい緩和層が主色層を覆う形状の二層構造となっており、従って主色層は隣接する緑色画素、青色画素と緩和層によって隔てられ接触していない。
<比較例3>
実施例1と同様にBMを形成した10cm×10cmのガラス基板上に、表3に示したR6組成物を焼成後に1.6μmの厚さになるように塗工、20μm幅のストライプ状のパターンを有するフォトマスクを用いること以外は、カラーフィルタ5と同様の工程で比較例3のカラーフィルタ6を得た。
次にカラーフィルタ4〜6上にオーバーコートを成膜し、検討1と同様に、バックライトと組み合わせて図2の構成の液晶表示装置とした。
実施例2、3、比較例3で作製したカラーフィルタ4〜6の品質を、実施例1(Ref);レファレンス)とともに表5に示す。実施例1とは異なる感光性着色組成物を用いたカラーフィルタで作製したいずれの液晶表示装置においても赤色画素、緑色着色画素の色度に関しては良好な特性を示した。これは、いずれの液晶表示装置も赤色画素は主色層よりも寸法の大きい緩和層が主色層を覆う形状の二層構造となっており、従って主色層は隣接する緑色画素、青色画素と緩和層によって隔てられ接触していないので着色成分の溶出がないためである。
しかしながら、比較例3で作製したカラーフィルタ6は、主色層を1.6μmで形成したものであり、感光性着色組成物中に着色成分が大部分を占め、相対的に感光成分が減少しているため、感度不足となり、直線性不良が確認された。上層の緩和層を積層しても主色層の直線性不良に起因するムラは視認でき、液晶表示装置とした際に表示不良となった。
[検討3:主色層と透明層の二層構造とカラーフィルタの品質]
(着色画素のパタ−ン形成)
<比較例4>
実施例1と同様にBMを形成した10cm×10cmのガラス基板上に、表2に示したR2組成物を焼成後に2.1μmの厚さになるように塗工、20μm幅のストライプ状のパターンを有するフォトマスクを用いること以外は、BMパターン形成と同様の工程で赤色画素の主色層を形成した。
次に、透明層を焼成後に0.5μmの厚さになるように塗工、20μm幅のストライプ状のパターンを有するフォトマスクをセットし、80mJ/cmの露光量で光照射、現像して未露光部分を取り除いた後、230℃30分加熱して緩和層としての透明層を形成した。主色層形成時の露光量50mJ/cmよりも大きい80mJ/cmとしたので、透明層の寸法は主色層よりも大きくなった。
次に、赤色画素の主色層形成と同様の工程で、緑色及び青色の着色画素を形成し、BMと赤色、緑色、青色の3色の着色画素からなる比較例4のカラーフィルタ7を得た。カラーフィルタ7の模式断面図を図5に示す。図5のように赤色画素は主色層よりも寸法の大きい透明層が主色層を覆う形状の二層構造となっており、従って主色層は隣接する緑色画素、青色画素と透明層によって隔てられ接触していない。
次にカラーフィルタ7上にオーバーコートを成膜し、検討1と同様に、バックライトと組み合わせて図2の構成の液晶表示装置とした。
比較例4で作製したカラーフィルタ7の品質を、実施例1(Ref);レファレンス)とともに表6に示す。主色層が隣接する緑色画素と透明層によって隔てられ接触していないため着色成分の溶出がなく、緑色画素の色度に関しては良好な特性を示した。しかしながら、赤色画素は主色層の着色成分のみが色特性を示すため、色再現域が狭く、所望の色度を達成することができなかった。
1、11、51・・・透明基板
2、52・・・遮光膜(ブラックマトリックス、BM)
3、53・・・着色画素
Ra、Rc、Rf・・・主色層
Rb、Rd・・・緩和層
R・・・赤色画素、G・・・緑色画素、B・・・青色画素
T・・・透明層
54・・・オーバーコート(保護膜)
10、30、40、50、60・・・カラーフィルタ
20・・・液晶表示装置
5、15・・・透明電極
6、16・・・配向膜
7、17・・・偏向板
14・・・TFTアレイ
18・・・液晶組成物
19・・・バックライトユニット

Claims (7)

  1. 透明基板と、前記透明基板上に赤色画素を含む複数の着色画素を備えるカラーフィルタであって、前記赤色画素はジケトピロロピロール系顔料を含有する層(主色層)と、ジケトピロロピロール系顔料を含有しない層(緩和層)とがこの順に積層されて構成されており、前記緩和層は前記主色層よりも平面視で寸法が大きく、前記主色層と隣接する他色の着色画素とが前記緩和層によって隔てられていることを特徴とするカラーフィルタ。
  2. 前記主色層の膜厚が1.8μm〜2.3μmであることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ。
  3. 前記緩和層の膜厚が0.3μm〜0.8μmであることを特徴とする請求項1、または2に記載のカラーフィルタ。
  4. 前記緩和層に赤色顔料が含まれていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルタ。
  5. 前記緩和層に含まれる前記赤色顔料が、アントラキノン系顔料であることを特徴とする請求項4に記載のカラーフィルタ。
  6. 前記赤色画素以外の前記複数の着色画素が、緑色画素及び青色画素であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のカラーフィルタ。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のカラーフィルタを備え、赤色画素のXYZ表色系色度図における色度座標(Rx、Ry)が、(Rx、Ry)=(0.680±0.005、0.320±0.005)であることを特徴とする液晶表示装置。
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