JP2017190361A - 板状の鋼線強化樹脂 - Google Patents

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【課題】高強度で軽量であり、しかも鋼線と樹脂との密着性に優れ、且つ変形能を有する部品の素材に好適な板状の鋼線強化樹脂を提供すること。【解決手段】質量%で、C:0.3〜1.2%を含有し、引張り強さが2000〜3200MPa、直径が1.0mm超、2.0mm以下である単線からなる鋼線を有し、複数の鋼線が同一平面上において略平行に配置された鋼線群が高分子樹脂内部に埋め込まれており、鋼線群において隣接する鋼線間の距離の平均値を平均間隔とした場合に、平均間隔が、鋼線の直径の0.30〜1.20倍であり、高分子樹脂の厚さが、鋼線の直径の1.20〜1.80倍、鋼線の体積率が30%以上であることを特徴とする板状の鋼線強化樹脂である。【選択図】図1

Description

本発明は、高強度で軽量、且つ変形能に優れた部品の素材に好適な板状の鋼線強化樹脂に関するものである。
自動車の軽量化を目的に、これまで鋼材が使われていた部品において、鋼材を炭素繊維に樹脂を含浸させて得られる炭素繊維強化樹脂に変更する事例が出てきている。また橋梁の橋げたの補強にも、引張強さに優れ軽量な炭素繊維強化樹脂が使われる場合がある。しかし、炭素繊維は脆性材料であるため、炭素繊維強化樹脂を用いた部品に衝撃的な荷重がかかった場合、一気に破壊に至り易い。また炭素繊維は製造工程が多いにもかかわらず、炭素繊維の直径が10μm程度であるため、これを構造部材に用いるには、さらに多くの製造工程が必要になる。
炭素繊維を用いる場合の上記のような不利な点を考慮して、例えば以下に示す特許文献1および特許文献2に記載の技術が提案されている。
特許文献1には、単繊維状の補強繊維、該補強繊維を織布化してなる補強織布、又は該補強繊維を網化してなる補強網のいずれかを、マトリックス樹脂などに埋設した繊維強化部材が開示されており、この補強繊維は、線径160μm以下のピアノ線、ステンレス線あるいは低炭素二相組織鋼線のいずれかである。
特許文献2には、高分子のマトリクスと補強材から成るインパクトビームで、補強材が延性のある非金属部材で結合された金属の補強コードから成り、金属の補強コードの断面で、金属の占める断面積の比率が0.60以上であることを特徴とする発明が開示されている。
特開平3−52754号公報 国際公開第2013/041254号
しかしながら、特許文献1では、単繊維状の補強繊維を用いる場合について、補強繊維の間隔あるいはマトリックス樹脂の厚さが規定されておらず、部材としての強度あるいは補強繊維とマトリクス樹脂との接着力が不十分になりやすいという問題点がある。また、補強織布、および補強網についても、織布あるいは網での繊維の間隔、あるいは、マトリックス樹脂の厚みが規定されておらず、部材としての強度あるいは補強織布、補強網とマトリクス樹脂との接着力が不十分になりやすいという問題点がある。さらに、補強繊維の線径が160μm以下と細いため、特許文献1にも記載があるように、伸線加工中の断線が多くなる問題点がある。
また、特許文献2では、補強コードは撚り線を前提としているため、応力が負荷された際に変形しやすい、すなわち剛性が低いため、剛性が必要とされる部品には適していないという問題点がある。
本発明は以上の事情を背景としてなされたもので、高強度で軽量であり、しかも鋼線と樹脂との密着性に優れ、且つ変形能を有する部品の素材に好適な板状の鋼線強化樹脂を提供することを課題としている。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、調査・研究を重ね、その結果を仔細に解析して検討したところ、次のような知見を得ることができた。
a)高強度、軽量、変形能の3つを両立させるためには、高強度鋼線と高分子樹脂の組み合わせが優れている。なお、鋼線が炭素繊維よりも変形能に優れることは公知である。
b)鋼線の直径が細いほど、鋼線を高強度化しやすいが、一方、直径が細いほど、伸線中の断線頻度やコストが増加する。鋼材のみで製造される部品に対して、高強度、軽量化のメリットを得るためには、単に、鋼線強化樹脂の体積に占める鋼線の割合を高めるだけでは足りず、鋼線の引張り強さが2000MPa以上であることが必要であり、このような引張り強さを有する鋼線を安定的に製造するためには、鋼線の直径を2.0mm以下にする必要がある。
c)複数の鋼線を撚り合わせた、いわゆる撚り線は、鋼線同士の隙間が不可避的に生じるため、撚り線にしたものを高分子樹脂に埋め込むと、剛性が低い。一方、鋼線を直線状に平行に並んだ状態で、高分子樹脂に埋め込むと、撚り線にしたものを高分子樹脂に埋め込む場合に較べて、鋼線の長手方向に剛性が大幅に向上する。
d)直線状に平行に並んだ鋼線と高分子樹脂との接着強度を十分に得るためには、鋼線の周囲に高分子樹脂が所定量以上必要なため、鋼線の直径を関数とした隙間と高分子樹脂の厚さが必要なこと。一方、高分子樹脂の割合が大き過ぎると、強度不足となるため、鋼線強化樹脂の体積に占める鋼線の割合を所定値以上にする必要がある。
e)部品の使用用途によって、高分子樹脂の種類、鋼線へのめっき有無、およびめっきの種類を選択すればよい。
f)鋼線を直線状に平行に並んだ状態で、高分子樹脂に埋め込んだ鋼線強化樹脂は、特性に異方性があるため、部品として使用される時の応力状態に則して、複数枚を接着して重ね合わせて使用すればよい。
これらのa)〜f)の知見に基づいてさらに詳細な実験・研究を重ねた結果、前記課題を解決して、本発明をなすに至った。本発明の態様は以下に示す通りである。
(1)質量%で、C:0.3〜1.2%を含有し、
引張り強さが2000〜3200MPa、
直径が1.0mm超、2.0mm以下である単線からなる鋼線を有し、
複数の前記鋼線が同一平面上において略平行に配置された鋼線群が高分子樹脂内部に埋め込まれており、前記鋼線群において隣接する鋼線間の距離の平均値を平均間隔とした場合に、前記平均間隔が、前記鋼線の直径の0.30〜1.20倍であり、
前記高分子樹脂の厚さが、前記鋼線の直径の1.20〜1.80倍、鋼線の体積率が30%以上であることを特徴とする板状の鋼線強化樹脂である。
(2)(1)に記載の鋼線強化樹脂であって、高分子樹脂に埋め込む前に鋼線同士が熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、有機繊維、または有機繊維に熱可塑性樹脂を被覆したもので結合されていることを特徴とする板状の鋼線強化樹脂である。
(3)(1)または(2)に記載の板状の鋼線強化樹脂からなる高分子樹脂層を複数積層してなる板状の鋼線強化樹脂であって、
前記板状の鋼線強化樹脂を平面視したときに、各高分子樹脂層内部の鋼線群の方向が少なくとも2方向であることを特徴とする板状の鋼線強化樹脂である。
(4)(3)に記載の板状の鋼線強化樹脂を平面視した場合、鋼線群の方向がなす角度が45°以上であることを特徴とする板状の鋼線強化樹脂である。
(5)(1)から(4)のいずれかに記載の板状の鋼線強化樹脂において、前記鋼線の表面にめっきが施されていることを特徴とする板状の鋼線強化樹脂である。
(6)(1)から(5)のいずれかに記載の板状の鋼線強化樹脂において、前記高分子樹脂が、熱硬化性樹脂、または熱可塑性樹脂であることを特徴とする板状の鋼線強化樹脂である。
本発明によれば、高強度で軽量であり、しかも鋼線と樹脂との密着性に優れ、且つ変形能に優れた部品の素材に好適な板状の鋼線強化樹脂を得ることができる。
図1は、本実施形態に係る鋼線強化樹脂において、複数の鋼線が略平行に配置されている場合の鋼線の平均間隔を示す模式的な平面図である。 図2は、実施例において、鋼線群が高分子樹脂内部に埋め込まれた鋼線強化樹脂の引張り強さを測定する方法を示す模式図である。
本発明による板状の鋼線強化樹脂の条件についてより詳細に説明する。まず、本発明の板状の鋼線強化樹脂に埋め込まれる鋼線について説明する。なお、本発明における鋼線とは、単線からなり、鋼線の断面が円形であり,全長にわたって一定の断面をもち、断面寸法が長さに比べて非常に小さいものを指す。従って、本発明における鋼線は、複数の単線を撚り合わせた撚り線は含まない。
(鋼線)
<鋼線の成分組成>
C: Cは鋼線の引張り強さを高めるために有効な成分である。しかし、その含有量が0.3%未満の場合には、引張り強さで2000MPaといった高い強度を安定して鋼線に付与させることが困難である。さらに、高強度の最終製品を安定して得るためにはC含有量を高めることが有効であり、2300MPa以上の引張り強さを得るためには、たとえば、C含有量を0.6%以上にすることが望ましい。一方、C含有量が多すぎれば、鋼材が硬質化して伸線時の断線あるいは延性の低下を招く。特に、C含有量が1.2%を超えれば、その影響が顕著になり、安定した量産が工業的に困難になる。そこで、C含有量は0.3〜1.2%の範囲内と定めた。好ましくは、0.6〜1.2%とする。
上記の鋼線は、C以外にSi、Mn、Crなど他の合金元素を含んでもよい。更に、不可避的不純物としてN、P、S、Oなどを含有する。
<鋼線の引張り強さ>
鋼材のみで製造される板状部品で最も高強度なものの引張り強さは、約1500MPaである。したがって、その部品に対して高強度化と軽量化で大きなメリットを得るためには、単に、鋼線強化樹脂の体積に占める鋼線の割合を高めるだけでは足りず、鋼線の引張り強さが2000MPa以上であることが必要である。一方、鋼線の直径1.0mm超で、引張り強さが3200MPaを超える鋼線を得るためには、伸線加工量が大きくなって、伸線中の断線頻度が大きくなる。そこで、鋼線の引っ張り強さを2000〜3200MPaに規定する。好ましくは2300〜3200MPaである。
<鋼線の直径>
鋼線の引張り強さを2000MPa以上としつつ、伸線中の断線を抑制して、安定的に製造するためには、鋼線の直径を2.0mm以下にする必要がある。一方、直径が5〜6mmである一般的な圧延線材から、直径が1.0mm以下の鋼線を製造する場合、中間熱処理が必要となり、鋼線の生産性が低下するというデメリットがある。また、鋼線の直径を1.0mm超にすることで、鋼線の直径が小さい場合に比べて、鋼線を直線状に平行に並べる際の鋼線強化樹脂の生産性が向上するという利点がある。すなわち、直径が1.0mm以下の鋼線を用いて鋼線強化樹脂を生産する場合、生産性が低下する要因が相乗的に存在する。そのため、鋼線の直径は1.0mm超、2.0mm以下と規定した。好ましくは1.2mm以上、1.7mm以下である。
<鋼線表面へのめっき>
鋼線表面にめっきを施さなくてもよいが、伸線時の摩擦抵抗の低減あるいは部品の使用環境によって、めっきを施してもよい。めっきの例としては、ブラス(Cu−Zn)、Cu、Ni、Znのそれぞれを主体としたものが挙げられる。
(板状の鋼線強化樹脂)
続いて、板状の鋼線強化樹脂について説明する。上述したように、本発明に係る板状の鋼線強化樹脂において、鋼線として、撚り線ではなく、単線を用いる必要がある。撚り線は応力が負荷された際に変形しやすい、すなわち剛性が低くなるためである。
<板状鋼線強化樹脂>
<鋼線の平均間隔と板状鋼線強化樹脂の厚さとの関係>
鋼線と高分子樹脂との接着力を高めるためには、鋼線同士が密着しないようにする必要があり、さらに鋼線の直径に対して、高分子樹脂が所定以上の厚さが必要である。なお、高分子樹脂の厚さは、板状鋼線強化樹脂の厚さに一致し、板状鋼線強化樹脂の厚さは、板状鋼線強化樹脂の板面間の間隔として規定される。
鋼線の平均間隔が鋼線の直径の0.30倍以上で、且つ高分子樹脂の厚さが鋼線の直径の1.20倍以上の時に、鋼線と高分子樹脂の接着力が顕著に増加した。なお、鋼線の平均間隔は、図1に示すように、複数の鋼線10が略平行に配置され鋼線群を形成している場合に、隣接する2本の鋼線間の距離(a、b)の平均値として求めた値である。隣接する2本の鋼線は、鋼線群において任意に選択すればよい。
一方、高分子樹脂の強度は、鋼線に較べて相対的に低いため、板状鋼線強化樹脂の中で鋼線の割合を高める必要がある。本実施形態では、鋼線の体積率を特定の範囲とすることに加えて、鋼線の平均間隔および高分子樹脂の厚さを、鋼線の直径により規定している。具体的には、鋼線の平均間隔を鋼線の直径の1.20倍以下、且つ高分子樹脂の厚さを鋼線の直径の1.80倍以下、且つ鋼線の体積率を30%以上にする必要がある。鋼線の体積率の上限は50%以下であることが好ましい。なお、鋼線の体積率は、板状の鋼線強化樹脂の体積に占める鋼線の体積の割合である。
以上より、鋼線の平均間隔を鋼線の直径の0.30〜1.20倍、高分子樹脂の厚さを鋼線の直径の1.20〜1.80倍、鋼線の体積率を30%以上と規定する。好ましくは、鋼線の平均間隔が鋼線の直径の0.30〜1.00倍、高分子樹脂の厚さが鋼線の直径の1.20〜1.60倍、鋼線の体積率が35〜50%である。鋼線の平均間隔、高分子樹脂の厚さおよび鋼線の体積率を上記の範囲内とすることにより、特に板状鋼線強化樹脂の引張り強さを向上させ、かつ鋼線と樹脂との密着性を良好にして鋼線と樹脂との剥離を抑制することができる。
<埋め込み前の鋼線同士の結合>
高分子樹脂に鋼線を埋め込む前に、鋼線同士を結合させていなくてもよいが、埋め込む前に結合させることで、鋼線の間隔のばらつきが低減し、また高分子樹脂に埋め込むときの生産性が向上する。鋼線同士の接着には熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、有機繊維、または有機繊維に熱可塑性樹脂を被覆したものを用いるとよい。有機繊維としては、ガラス繊維、ポリエステル繊維、綿糸、アラミド繊維、バサルト繊維、ナイロン繊維のいずれかにすることがより好ましく、熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂、EVA樹脂、ポリエステル樹脂、PE樹脂、PP樹脂、塩化ビニル樹脂のいずれかにすることがより好ましい。
(板状鋼線強化樹脂の積層体)
上述した板状鋼線強化樹脂では、鋼線が直線状に平行に並んだ状態で、高分子樹脂に埋め込まれているため、引張り強さ等の特性は異方性を有している。その特性の異方性を低減するためには、板状の鋼線強化樹脂を2枚以上重ね、重ねた板状の鋼線強化樹脂を平面視した場合に、鋼線が配置されている方向(鋼線群の方向)が少なくとも2方向であり、鋼線群の方向がなす角度が45°以上であるとよい。従って、板状の鋼線強化樹脂の積層体として、板状の鋼線強化樹脂からなる高分子樹脂層を複数層積層し、接着等により一体化してなる鋼線強化樹脂が得られる。すなわち、この鋼線強化樹脂中の鋼線群の方向は少なくとも2方向であり、その角度が45°以上である。鋼線強化樹脂からなる高分子樹脂層の数は、好ましくは3層以上、より好ましくは4層以上である。
<高分子樹脂の種類>
板状の鋼線強化樹脂に用いられる高分子樹脂の種類は、当該鋼線強化樹脂の使用環境に応じて選択すればよいが、熱硬化性樹脂、または熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ビニールエステル樹脂、ウレタンアクリレート樹脂、MMA樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂のから選ばれる1種または2種以上を主成分として使用することがより好ましく、熱可塑性樹脂としては、ポリウレア樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、メタクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂から選ばれる1種または2種以上を主成分として使用することがより好ましい。本明細書において、「主成分」とは、高分子樹脂全体を100質量%とした場合に、50質量%以上を占める成分をいう。
次に本発明の実施例について説明するが、実施例の条件は、本発明の実施可能性及び効果を確認するために採用した一条件例であり、本発明は、この一条件例に限定されるものではない。本発明は、本発明の要旨を逸脱せず、本発明の目的を達成する限りにおいて、種々の条件を採用し得るものである。
表1に示す化学組成の鋼A〜Cを転炉によって溶製した後、通常の方法での分塊圧延によって、122mm角のビレットを得た。次に鋼片を通常の方法での線材圧延によって、φ5.5mmの鋼線材を得た。このようにして得た鋼線材について、通常の方法で脱スケール、潤滑処理を行った後に、乾式での冷間伸線によって表2中に示す直径の鋼線を得た。
なお、表2に示す鋼線の一部については、鋼線材に脱スケールを行った後、通常の方法によって、銅めっき、亜鉛めっき、ブラス(銅−亜鉛)めっきを行ってから湿式伸線を行った。
このようにして得た鋼線の引張り強さは、通常の方法の引張試験によって求めた。その結果を表2中に示す。
次に表2に記載の平均間隔で鋼線を並べた後に、表2中に記載の樹脂を塗布した後、それぞれの樹脂に対する通常の条件で硬化処理を行って、板状の鋼線強化樹脂を得た。この板状の鋼線強化樹脂の厚さを鋼線の直径に対する比で表2中に示した。このようにして得た板状の鋼線強化樹脂について、鋼線を15本含み、且つ鋼線の長手方向に200mm長さで切り出し、鋼線の長さ方向と平行な向きで、平行部長さ100mmで引張試験を行った。この際、破断荷重の90%以上の荷重で鋼線と高分子樹脂が剥離した場合、密着力が十分と判定した。また引張り強さが750MPa以上で、比強度(kN・m/kg)が240以上の場合、高強度で軽量と判定した。好ましくは、引張り強さが900MPa以上で、比強度(kN・m/kg)が280以上、より好ましくは、引張り強さが1000MPa以上で、比強度(kN・m/kg)が300以上である。
Figure 2017190361
Figure 2017190361
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表2から、本発明で規定する条件から外れた試験番号では、前記した少なくとも1つの特性が目標とする値に達していないことが明らかである。
具体的には、鋼線の平均間隔と鋼線直径との比が小さすぎる場合には(表2の試験番号3、7、24、35)、鋼線と樹脂との剥離が生じ、鋼線と樹脂との密着性が悪いことが確認できた。また、樹脂厚さと、鋼線直径と、の比が小さすぎる場合には(表2の試験番号11、30、39)、鋼線と樹脂との剥離が生じ、鋼線と樹脂との密着性が悪いことが確認できた。さらに、鋼線の平均間隔と鋼線直径との比が大きすぎる場合、あるいは樹脂厚さと鋼線直径との比が大きすぎる場合、あるいは鋼線の体積率が小さすぎる場合には(表2の試験番号6,9,10,12,14,27,38,42)、引張り強さ、比強度の両方、あるいは片方が低いことが確認できた。鋼線のC量が少ない場合(表2の試験番号1,2)には、引張り強さ、比強度の両方が低いことが確認できた。
それに対し、本発明で規定する条件をすべて満たす試験番号は、前記したすべての特性が目標とする値に達していることが明らかである。
1… 板状鋼線強化樹脂
10… 鋼線
20… 高分子樹脂

Claims (6)

  1. 質量%で、C:0.3〜1.2%を含有し、
    引張り強さが2000〜3200MPa、
    直径が1.0mm超、2.0mm以下である単線からなる鋼線を有し、
    複数の前記鋼線が同一平面上において略平行に配置された鋼線群が高分子樹脂内部に埋め込まれており、前記鋼線群において隣接する鋼線間の距離の平均値を平均間隔とした場合に、前記平均間隔が、前記鋼線の直径の0.30〜1.20倍であり、
    前記高分子樹脂の厚さが、前記鋼線の直径の1.20〜1.80倍、鋼線の体積率が30%以上であることを特徴とする板状の鋼線強化樹脂。
  2. 請求項1に記載の鋼線強化樹脂であって、高分子樹脂に埋め込む前に鋼線同士が熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、有機繊維、または有機繊維に熱可塑性樹脂を被覆したもので結合されていることを特徴とする板状の鋼線強化樹脂。
  3. 請求項1または2に記載の板状の鋼線強化樹脂からなる高分子樹脂層を複数積層してなる板状の鋼線強化樹脂であって、
    前記板状の鋼線強化樹脂を平面視したときに、各高分子樹脂層内部の鋼線群の方向が少なくとも2方向であることを特徴とする板状の鋼線強化樹脂。
  4. 請求項3に記載の板状の鋼線強化樹脂を平面視した場合、鋼線群の方向がなす角度が45°以上であることを特徴とする板状の鋼線強化樹脂。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載の板状の鋼線強化樹脂において、前記鋼線の表面にめっきが施されていることを特徴とする板状の鋼線強化樹脂。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の板状の鋼線強化樹脂において、前記高分子樹脂が、熱硬化性樹脂、または熱可塑性樹脂であることを特徴とする板状の鋼線強化樹脂。
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