JP2017188451A - リチウムイオン電池用被覆負極活物質 - Google Patents
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Abstract
Description
すなわち、本発明は、リチウムイオン電池用負極活物質が有する表面の少なくとも一部を高分子化合物を含む被覆層で被覆してなるリチウムイオン電池用被覆負極活物質であって、タッピング法により測定されるリチウムイオン電池用被覆負極活物質の固め嵩密度に対するリチウムイオン電池用被覆負極活物質の緩み嵩密度の比率が0.60〜0.85であることを特徴とする。
なお、本明細書において、リチウムイオン電池と記載する場合、リチウムイオン二次電池も含む概念とする。
タップ密度に対するかさ密度の比率が上記範囲にあるリチウムイオン電池用負極活物質を用いて作製した負極は、電極密度が高く、レート特性が良好である。
タップ密度に対するかさ密度の比率が0.85を超えると、負極の耐久性が不足する場合があり、レート特性が悪化することがある。一方、タップ密度に対するかさ密度の比率が0.60未満であると、クーロン効率及びレート特性が悪化する。
また、緩み嵩密度及びタップ密度は、それぞれ5回の測定の平均値を用いる。
上記リチウムイオン電池用負極活物質のうち、内部にリチウム又はリチウムイオンを含まないものについては、予め負極活物質の一部又は全部にリチウム又はリチウムイオンを含ませるプレドープ処理を施してもよい。
被覆層は高分子化合物を含み、リチウムイオン電池用負極活物質の少なくとも一部を被覆している。
リチウムイオン電池用負極活物質の周囲が被覆層で被覆されていると、負極の体積変化が緩和され、負極の膨張を抑制することができる。さらに、リチウムイオン電池用被覆負極活物質の非水溶媒に対する濡れ性を向上させることができ、電極が有する被覆負極活物質層に電解液を吸収させる工程に掛かる時間の短縮が可能になる。
吸液率(%)=[(電解液浸漬後の高分子化合物の重量−電解液浸漬前の高分子化合物の重量)/電解液浸漬前の高分子化合物の重量]×100
吸液率を求めるための電解液としては、好ましくはエチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)を体積割合でEC:DEC=3:7で混合した混合溶媒に、電解質としてLiPF6を1mol/Lの濃度になるように溶解した電解液を用いる。
吸液率を求める際の電解液への浸漬は、50℃、3日間行う。50℃、3日間の浸漬を行うことにより高分子化合物が飽和吸液状態となる。なお、飽和吸液状態とは、それ以上電解液に浸漬しても高分子化合物の重量が増えない状態をいう。
なお、リチウムイオン電池を製造する際に使用する電解液は、上記電解液に限定されるものではなく、他の電解液を使用してもよい。
吸液率は20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。
また、吸液率の好ましい上限値としては、400%であり、より好ましい上限値としては300%である。
引張破断伸び率(%)=[(破断時試験片長さ−試験前試験片長さ)/試験前試験片長さ]×100
引張破断伸び率は20%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましい。
また、引張破断伸び率の好ましい上限値としては、400%であり、より好ましい上限値としては300%である。
被覆層を構成する高分子化合物としては、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などが挙げられ、例えば、ビニル樹脂(A)、ウレタン樹脂(B)、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート、ポリサッカロイド(アルギン酸ナトリウム等)及びこれらの混合物等が挙げられる。
これらの中では、電解液に浸漬した際の吸液率が10%以上であり、飽和吸液状態での引張破断伸び率が10%以上である高分子化合物がより好ましい。
特に、重合体(A1)は、ビニルモノマー(a)としてカルボキシル基又は酸無水物基を有するビニルモノマー(a1)又は下記一般式(2)で表されるビニルモノマー(a2)を含むことが好ましい。
CH2=C(R1)COOR2 (2)
[式(2)中、R1は水素原子又はメチル基であり、R2は炭素数4〜12の直鎖又は炭素数4〜36の分岐アルキル基である。]
ビニル樹脂(A)のうち、電解液に浸漬した際の吸液率が10%以上であり、飽和吸液状態での引張破断伸び率が10%以上であるものがより好ましい。
R2は、炭素数4〜12の直鎖若しくは分岐アルキル基、又は、炭素数13〜36の分岐アルキル基であることが好ましい。
炭素数4〜12の直鎖アルキル基としては、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基が挙げられる。
炭素数4〜12の分岐アルキル基としては、1−メチルプロピル基(sec−ブチル基)、2−メチルプロピル基、1,1−ジメチルエチル基(tert−ブチル基)、1−メチルブチル基、1,1−ジメチルプロピル基、1,2−ジメチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基(ネオペンチル基)、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、2−エチルペンチル基、3−エチルペンチル基、1,1−ジメチルペンチル基、1,2−ジメチルペンチル基、1,3−ジメチルペンチル基、2,2−ジメチルペンチル基、2,3−ジメチルペンチル基、2−エチルペンチル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、3−メチルヘプチル基、4−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、6−メチルヘプチル基、1,1−ジメチルヘキシル基、1,2−ジメチルヘキシル基、1,3−ジメチルヘキシル基、1,4−ジメチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、1−メチルオクチル基、2−メチルオクチル基、3−メチルオクチル基、4−メチルオクチル基、5−メチルオクチル基、6−メチルオクチル基、7−メチルオクチル基、1,1−ジメチルヘプチル基、1,2−ジメチルヘプチル基、1,3−ジメチルヘプチル基、1,4−ジメチルヘプチル基、1,5−ジメチルヘプチル基、1,6−ジメチルヘプチル基、1−エチルヘプチル基、2−エチルヘプチル基、1−メチルノニル基、2−メチルノニル基、3−メチルノニル基、4−メチルノニル基、5−メチルノニル基、6−メチルノニル基、7−メチルノニル基、8−メチルノニル基、1,1−ジメチルオクチル基、1,2−ジメチルオクチル基、1,3−ジメチルオクチル基、1,4−ジメチルオクチル基、1,5−ジメチルオクチル基、1,6−ジメチルオクチル基、1,7−ジメチルオクチル基、1−エチルオクチル基、2−エチルオクチル基、1−メチルデシル基、2−メチルデシル基、3−メチルデシル基、4−メチルデシル基、5−メチルデシル基、6−メチルデシル基、7−メチルデシル基、8−メチルデシル基、9−メチルデシル基、1,1−ジメチルノニル基、1,2−ジメチルノニル基、1,3−ジメチルノニル基、1,4−ジメチルノニル基、1,5−ジメチルノニル基、1,6−ジメチルノニル基、1,7−ジメチルノニル基、1,8−ジメチルノニル基、1−エチルノニル基、2−エチルノニル基、1−メチルウンデシル基、2−メチルウンデシル基、3−メチルウンデシル基、4−メチルウンデシル基、5−メチルウンデシル基、6−メチルウンデシル基、7−メチルウンデシル基、8−メチルウンデシル基、9−メチルウンデシル基、10−メチルウンデシル基、1,1−ジメチルデシル基、1,2−ジメチルデシル基、1,3−ジメチルデシル基、1,4−ジメチルデシル基、1,5−ジメチルデシル基、1,6−ジメチルデシル基、1,7−ジメチルデシル基、1,8−ジメチルデシル基、1,9−ジメチルデシル基、1−エチルデシル基、2−エチルデシル基等が挙げられる。
炭素数13〜36の分岐アルキル基としては、1−アルキルアルキル基[1−メチルドデシル基、1−ブチルエイコシル基、1−ヘキシルオクタデシル基、1−オクチルヘキサデシル基、1−デシルテトラデシル基、1−ウンデシルトリデシル基等]、2−アルキルアルキル基[2−メチルドデシル基、2−ヘキシルオクタデシル基、2−オクチルヘキサデシル基、2−デシルテトラデシル基、2−ウンデシルトリデシル基、2−ドデシルヘキサデシル基、2−トリデシルペンタデシル基、2−デシルオクタデシル基、2−テトラデシルオクタデシル基、2−ヘキサデシルオクタデシル基、2−テトラデシルエイコシル基、2−ヘキサデシルエイコシル基等]、3〜34−アルキルアルキル基(3−アルキルアルキル基、4−アルキルアルキル基、5−アルキルアルキル基、32−アルキルアルキル基、33−アルキルアルキル基及び34−アルキルアルキル基等)、並びに、プロピレンオリゴマー(7〜11量体)、エチレン/プロピレン(モル比16/1〜1/11)オリゴマー、イソブチレンオリゴマー(7〜8量体)及びα−オレフィン(炭素数5〜20)オリゴマー(4〜8量体)等から得られるオキソアルコールから水酸基を除いた残基のような1又はそれ以上の分岐アルキル基を含有する混合アルキル基等が挙げられる。
エステル化合物(a3)を構成する炭素数1〜3の1価の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、1−プロパノール及び2−プロパノール等が挙げられる。
重合性不飽和二重結合を有する構造としてはビニル基、アリル基、スチレニル基及び(メタ)アクリロイル基等が挙げられる。
アニオン性基としては、スルホン酸基及びカルボキシル基等が挙げられる。
重合性不飽和二重結合とアニオン性基とを有するアニオン性単量体はこれらの組み合わせにより得られる化合物であり、例えばビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸及び(メタ)アクリル酸が挙げられる。
なお、(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を意味する。
アニオン性単量体の塩(a4)を構成するカチオンとしては、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン及びアンモニウムイオン等が挙げられる。
CH2=C(R1)COOR2 (1)
[R1は水素原子又はメチル基、R2は炭素数4〜12の直鎖又は分岐アルキル基である。]
エステル化合物(a21)と(メタ)アクリル酸(a11)の重量比が10/90〜90/10であると、これを重合してなる重合体は、負極活物質との接着性が良好で剥離しにくくなる。
上記重量比は、30/70〜85/15であることが好ましく、40/60〜70/30であることがさらに好ましい。
活性水素を含有しない共重合性ビニルモノマー(a5)としては、下記(a51)〜(a58)が挙げられる。
(a51)炭素数13〜20の直鎖脂肪族モノオール、炭素数5〜20の脂環式モノオール又は炭素数7〜20の芳香脂肪族モノオールと(メタ)アクリル酸から形成されるハイドロカルビル(メタ)アクリレート
上記モノオールとしては、(i)直鎖脂肪族モノオール(トリデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ペンタデシルアルコール、セチルアルコール、ヘプタデシルアルコール、ステアリルアルコール、ノナデシルアルコール、アラキジルアルコール等)、(ii)脂環式モノオール(シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、シクロヘプチルアルコール、シクロオクチルアルコール等)、(iii)芳香脂肪族モノオール(ベンジルアルコール等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。
(a53−1)アミド基含有ビニル化合物
(i)炭素数3〜30の(メタ)アクリルアミド化合物、例えばN,N−ジアルキル(炭素数1〜6)又はジアラルキル(炭素数7〜15)(メタ)アクリルアミド(N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジベンジルアクリルアミド等)、ジアセトンアクリルアミド
(ii)上記(メタ)アクリルアミド化合物を除く、炭素数4〜20のアミド基含有ビニル化合物、例えばN−メチル−N−ビニルアセトアミド、環状アミド[ピロリドン化合物(炭素数6〜13、例えば、N−ビニルピロリドン等)]
(i)ジアルキル(炭素数1〜4)アミノアルキル(炭素数1〜4)(メタ)アクリレート[N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレート等]
(ii)4級アンモニウム基含有(メタ)アクリレート{3級アミノ基含有(メタ)アクリレート[N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]の4級化物(メチルクロライド、ジメチル硫酸、ベンジルクロライド、ジメチルカーボネート等の4級化剤を用いて4級化したもの)等}
ピリジン化合物(炭素数7〜14、例えば2−又は4−ビニルピリジン)、イミダゾール化合物(炭素数5〜12、例えばN−ビニルイミダゾール)、ピロール化合物(炭素数6〜13、例えばN−ビニルピロール)、ピロリドン化合物(炭素数6〜13、例えばN−ビニル−2−ピロリドン)
炭素数3〜15のニトリル基含有ビニル化合物、例えば(メタ)アクリロニトリル、シアノスチレン、シアノアルキル(炭素数1〜4)アクリレート
ニトロ基含有ビニル化合物(炭素数8〜16、例えばニトロスチレン)等
(a54−1)脂肪族ビニル炭化水素
炭素数2〜18又はそれ以上のオレフィン(エチレン、プロピレン、ブテン、イソブチレン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン等)、炭素数4〜10又はそれ以上のジエン(ブタジエン、イソプレン、1,4−ペンタジエン、1,5−ヘキサジエン、1,7−オクタジエン等)等
炭素数4〜18又はそれ以上の環状不飽和化合物、例えばシクロアルケン(例えばシクロヘキセン)、(ジ)シクロアルカジエン[例えば(ジ)シクロペンタジエン]、テルペン(例えばピネン及びリモネン)、インデン
炭素数8〜20又はそれ以上の芳香族不飽和化合物、例えばスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4−ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン
脂肪族ビニルエステル[炭素数4〜15、例えば脂肪族カルボン酸(モノ−又はジカルボン酸)のアルケニルエステル(例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ジアリルアジペート、イソプロペニルアセテート、ビニルメトキシアセテート)]
芳香族ビニルエステル[炭素数9〜20、例えば芳香族カルボン酸(モノ−又はジカルボン酸)のアルケニルエステル(例えばビニルベンゾエート、ジアリルフタレート、メチル−4−ビニルベンゾエート)、脂肪族カルボン酸の芳香環含有エステル(例えばアセトキシスチレン)]
脂肪族ビニルエーテル[炭素数3〜15、例えばビニルアルキル(炭素数1〜10)エーテル(ビニルメチルエーテル、ビニルブチルエーテル、ビニル2−エチルヘキシルエーテル等)、ビニルアルコキシ(炭素数1〜6)アルキル(炭素数1〜4)エーテル(ビニル−2−メトキシエチルエーテル、メトキシブタジエン、3,4−ジヒドロ−1,2−ピラン、2−ブトキシ−2’−ビニロキシジエチルエーテル、ビニル−2−エチルメルカプトエチルエーテル等)、ポリ(2〜4)(メタ)アリロキシアルカン(炭素数2〜6)(ジアリロキシエタン、トリアリロキシエタン、テトラアリロキシブタン、テトラメタアリロキシエタン等)]、芳香族ビニルエーテル(炭素数8〜20、例えばビニルフェニルエーテル、フェノキシスチレン)
脂肪族ビニルケトン(炭素数4〜25、例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン)、芳香族ビニルケトン(炭素数9〜21、例えばビニルフェニルケトン)
炭素数4〜34の不飽和ジカルボン酸ジエステル、例えばジアルキルフマレート(2個のアルキル基は、炭素数1〜22の、直鎖、分岐鎖又は脂環式の基)、ジアルキルマレエート(2個のアルキル基は、炭素数1〜22の、直鎖、分岐鎖又は脂環式の基)
モノマーの含有量が上記範囲内であると、電解液への吸液性が良好となる。
より好ましい含有量は、(a1)が15〜60重量%、(a2)が5〜60重量%、(a3)が10〜60重量%、(a4)が0.1〜15重量%、(a5)が5〜69.9重量%であり、さらに好ましい含有量は、(a1)が25〜49重量%、(a2)が15〜39重量%、(a3)が15〜39重量%、(a4)が1〜15重量%、(a5)が20〜44重量%である。
装置:Alliance GPC V2000(Waters社製)
溶媒:オルトジクロロベンゼン
標準物質:ポリスチレン
検出器:RI
サンプル濃度:3mg/ml
カラム固定相:PLgel 10μm、MIXED−B 2本直列(ポリマーラボラトリーズ社製)
カラム温度:135℃
SP値は、Fedors法によって計算される。SP値は、次式で表せる。
SP値(δ)=(ΔH/V)1/2
但し、式中、ΔHはモル蒸発熱(cal)を、Vはモル体積(cm3)を表す。
また、ΔH及びVは、「POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,1974,Vol.14,No.2,ROBERT F.FEDORS.(151〜153頁)」に記載の原子団のモル蒸発熱の合計(ΔH)とモル体積の合計(V)を用いることができる。
SP値は、この数値が近いもの同士はお互いに混ざりやすく(相溶性が高い)、この数値が離れているものは混ざりにくいことを表す指標である。
重合に際しては、公知の重合開始剤{アゾ系開始剤[2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル等)]、パーオキサイド系開始剤(ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等)等}を使用して行なうことができる。
重合開始剤の使用量は、モノマーの全重量に基づいて好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.05〜2重量%、さらに好ましくは0.1〜1.5重量%である。
溶液又は分散液のモノマー濃度は好ましくは5〜95重量%、より好ましくは10〜90重量%、さらに好ましくは15〜85重量%であり、重合開始剤の使用量は、モノマーの全重量に基づいて好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは0.05〜2重量%である。
重合に際しては、公知の連鎖移動剤、例えばメルカプト化合物(ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン等)及び/又はハロゲン化炭化水素(四塩化炭素、四臭化炭素、塩化ベンジル等)を使用することができる。使用量はモノマーの全重量に基づいて好ましくは2重量%以下、より好ましくは0.5重量%以下、さらに好ましくは0.3重量%以下である。
架橋重合体においては、重合体(A1)中のカルボキシル基等の活性水素と反応する反応性官能基を有する架橋剤(A’)を用いて重合体(A1)を架橋することが好ましく、架橋剤(A’)としてポリエポキシ化合物(a’1)及び/又はポリオール化合物(a’2)を用いることが好ましい。
加熱温度は、架橋剤としてポリエポキシ化合物(a’1)を用いる場合は70℃以上とすることが好ましく、ポリオール化合物(a’2)を用いる場合は120℃以上とすることが好ましい。
ウレタン樹脂(B)のうち、電解液に浸漬した際の吸液率が10%以上であり、飽和吸液状態での引張破断伸び率が10%以上であるものがより好ましい。
ポリエーテルジオール中にオキシエチレン単位が含まれる場合、オキシエチレン単位の含有量は好ましくは20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは40重量%以上である。
また、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール(以下PTMGと略記)、ポリオキシプロピレンオキシテトラメチレンブロック共重合ジオール等も挙げられる。
これらのうち、好ましくはPEG、ポリオキシエチレンオキシプロピレンブロック共重合ジオール及びポリオキシエチレンオキシテトラメチレンブロック共重合ジオールであり、より好ましくはPEGである。
また、ポリエーテルジオールを1種のみ用いてもよいし、これらの2種以上の混合物を用いてもよい。
高分子ジオール(b11)は、数平均分子量が2,500〜15,000であるとウレタン樹脂(B)の硬さが適度に柔らかく、また、負極活物質上に形成した被覆層の強度が強くなるため好ましい。
また、高分子ジオール(b11)の数平均分子量が3,000〜12,500であることがより好ましく、4,000〜10,000であることがさらに好ましい。
高分子ジオール(b11)の数平均分子量は、高分子ジオールの水酸基価から算出することができる。
また、水酸基価は、JIS K1557−1の記載に準じて測定できる。
高分子ジオール(b11)の含有量が20〜80重量%であると、ウレタン樹脂(B)の電解液の吸液性の点で好ましい。
鎖伸長剤(b13)としては、例えば炭素数2〜10の低分子ジオール(例えばEG、プロピレングリコール、14BG、DEG、1,6−ヘキサメチレングリコール等);ジアミン類[炭素数2〜6の脂肪族ジアミン(例えばエチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミン等)、炭素数6〜15の脂環式ジアミン(例えばイソホロンジアミン、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン等)、炭素数6〜15の芳香族ジアミン(例えば4,4’−ジアミノジフェニルメタン等)等];モノアルカノールアミン(例えばモノエタノールアミン等);ヒドラジン又はその誘導体(例えばアジピン酸ジヒドラジド等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましいものは低分子ジオールであり、さらに好ましいものはEG、DEG及び14BGである。
高分子ジオール(b11)及び鎖伸長剤(b13)の組み合わせとしては、高分子ジオール(b11)としてのPEGと鎖伸長剤(b13)としてのEGの組み合わせ、又は、高分子ジオール(b11)としてのポリカーボネートジオールと鎖伸長剤(b13)としてのEGの組み合わせが好ましい。
なお、(b11)と(b12)との当量比[(b11)/(b12)]はより好ましくは13/1〜25/1であり、さらに好ましくは15/1〜20/1である。
ジオールの種類としては、上述したポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール及びポリエステルジオール等が挙げられる。
また、ウレタン樹脂(B)が高分子ジオール(b11)、鎖伸長剤(b13)及びイソシアネート成分(b2)を含む場合、(b2)/[(b11)+(b13)]の当量比は好ましくは0.9/1〜1.1/1、より好ましくは0.95/1〜1.05/1である。この範囲外の場合ではウレタン樹脂が充分に高分子量にならないことがある。
例えば、活性水素成分(b1)として高分子ジオール(b11)と鎖伸長剤(b13)を用い、イソシアネート成分(b2)と高分子ジオール(b11)と鎖伸長剤(b13)とを同時に反応させるワンショット法や、高分子ジオール(b11)とイソシアネート成分(b2)とを先に反応させた後に鎖伸長剤(b13)を続けて反応させるプレポリマー法が挙げられる。
また、ウレタン樹脂(B)の製造は、イソシアネート基に対して不活性な溶媒の存在下又は非存在下で行うことができる。溶媒の存在下で行う場合の適当な溶媒としては、アミド系溶媒[DMF、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン(以下NMPと略記)等]、スルホキシド系溶媒(ジメチルスルホキシド等)、ケトン系溶媒(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、芳香族系溶媒(トルエン、キシレン等)、エーテル系溶媒(ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチル等)及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。これらのうち好ましいものはアミド系溶媒、ケトン系溶媒、芳香族系溶媒及びこれらの2種以上の混合物である。
被覆層が導電剤を含む場合、その導電剤は、導電性を有する材料から選択される。
具体的には、金属[ニッケル、アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、銅及びチタン等]、カーボン[グラファイト及びカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラック等)等]、及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
これらの導電剤は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金又は金属酸化物を用いてもよい。電気的安定性の観点から、好ましくはアルミニウム、ステンレス、カーボン、銀、銅、チタン及びこれらの混合物であり、より好ましくは銀、アルミニウム、ステンレス及びカーボンであり、さらに好ましくはカーボンである。またこれらの導電剤としては、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料(上記した導電剤の材料のうち金属のもの)をめっき等でコーティングしたものでもよい。
導電性繊維としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維、合成繊維の中に導電性のよい金属や黒鉛を均一に分散させてなる導電性繊維、ステンレス鋼のような金属を繊維化した金属繊維、有機物繊維の表面を金属で被覆した導電性繊維、有機物繊維の表面を導電性物質を含む樹脂で被覆した導電性繊維等が挙げられる。これらの導電性繊維の中では炭素繊維が好ましい。また、グラフェンを練りこんだポリプロピレン樹脂も好ましい。
導電剤が導電性繊維である場合、その平均繊維径は0.1〜20μmであることが好ましい。
被覆層の導電率は、四端子法によって求めることができる。
被覆層の導電率が0.0001mS/cm以上であると、リチウムイオン電池の内部抵抗が高くなりすぎず、好ましい。
本発明のリチウムイオン電池用被覆負極活物質は、高分子化合物及びリチウムイオン電池用負極活物質並びに必要により用いる導電剤を混合することによって製造してもよく、被覆層が導電剤を含む場合には高分子化合物と導電剤とを混合して被覆材を準備したのち、該被覆材とリチウムイオン電池用負極活物質とを混合することにより製造してもよく、高分子化合物、導電剤及びリチウムイオン電池用負極活物質を混合することによって製造してもよい。
なお、リチウムイオン電池用負極活物質と高分子化合物と導電剤とを混合する場合、混合順序には特に制限はないが、リチウムイオン電池用負極活物質と高分子化合物とを混合した後、更に導電剤を加えて更に混合することが好ましい。
上記方法により、高分子化合物と必要により用いる導電剤を含む被覆層によってリチウムイオン電池用負極活物質の表面の少なくとも一部が被覆される。
上記分散液には、必要に応じて公知のリチウムイオン電池用の負極に含まれる公知の電極用バインダ[ポリフッ化ビニリデン(PVdF)等]を添加してもよいが、このような電極用バインダは添加しないことが好ましい。負極活物質として被覆負極活物質を用いていない従来公知のリチウムイオン電池用の負極においては、電極用バインダで負極活物質を負極内に固定することで導電経路を維持する必要がある。しかし、本発明のリチウムイオン電池用被覆負極活物質を用いた場合は、被覆層の働きによって負極活物質を負極内に固定することなく導電経路を維持することができるため、電極用バインダを添加する必要がない。電極用バインダを添加しないことによって、負極活物質が負極内に固定化されないため負極活物質の体積変化に対する緩和能力が更に良好となる。
なお、電極の製造に用いる導電材料は、被覆層が含む導電剤とは別の導電剤であり、被覆活物質が有する被覆層の外部に存在し、活物質層中において被覆活物質表面からの電子伝導性を向上する機能を有する。
分散媒のうち、電解液としては、本発明のリチウムイオン電池用被覆負極活物質を含む負極を用いてリチウムイオン電池を作製する際に使用する電解液(後述する)と同じものを用いることができる。
分散媒のうち、溶剤としては、本発明のリチウムイオン電池用被覆負極活物質を含む負極を用いてリチウムイオン電池を作製する際に使用する電解液を構成する非水溶媒と同じものを用いることができ、これらの他にも、1−メチル−2−ピロリドン、ジメチルアセトアミド及びN,N−ジメチルアミノプロピルアミン等を用いることができる。
集電体としては、銅、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼及びニッケル等の金属箔、導電性高分子からなる樹脂集電体(特開2012−150905号公報等に記載されている)、導電性炭素シート及び導電性ガラスシート等が挙げられる。
電極用バインダとしてはデンプン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、スチレン−ブタジエンゴム、ポリエチレン及びポリプロピレン等が挙げられる。
また、集電体の一方の面に正極を形成し、もう一方の面に負極を形成して双極型電極を作製し、双極型電極をセパレータと積層してセル容器に収容し、電解液を注入し、セル容器を密閉することでも得られる。
鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート及びジ−n−プロピルカーボネート等が挙げられる。
環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン及び1,4−ジオキサン等が挙げられる。
鎖状エーテルとしては、ジメトキシメタン及び1,2−ジメトキシエタン等が挙げられる。
ニトリル化合物としては、アセトニトリル等が挙げられる。アミド化合物としては、DMF等が挙げられる。スルホンとしては、ジメチルスルホン及びジエチルスルホン等が挙げられる。
非水溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロート及び窒素ガス導入管を付した4つ口フラスコにDMF70.0部を仕込み75℃に昇温した。次いで、メタクリル酸ブチル20.0部、アクリル酸55.0部、メタクリル酸メチル22.0部、アリルスルホン酸ナトリウム3部及びDMF20部を配合したモノマー配合液と、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.4部及び2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)0.8部をDMF10.0部に溶解した開始剤溶液とを4つ口フラスコ内に窒素を吹き込みながら、撹拌下、滴下ロートで2時間かけて連続的に滴下してラジカル重合を行った。滴下終了後、80℃に昇温し反応を5時間継続し樹脂濃度50%の共重合体溶液を得た。得られた共重合体溶液はテフロン(登録商標)製のバットに移して120℃、0.01MPaで3時間の減圧乾燥を行ってDMFを留去し、被覆用高分子化合物を得た。
珪素粒子(シグマ・アルドリッチジャパン社製、体積平均粒子径1.5μm)を横型加熱炉中に入れ、横型加熱炉内にメタンガスを通気しながら1100℃/1000Pa、平均滞留時間約2時間の化学蒸着操作を行い、炭素量2重量%で、表面が炭素で被覆された珪素系材料(体積平均粒子径1.5μm)を得た。
[被覆負極活物質の作成]
炭素系材料である難黒鉛化性炭素粉末(体積平均粒子径20μm)100部を万能混合機ハイスピードミキサーFS25[(株)アーステクニカ製]に入れ、室温、720rpmで撹拌した状態で、製造例1で得られた被覆用高分子化合物をイソプロパノールに19.8重量%の濃度で溶解して得られた被覆用高分子化合物溶液9.2部を2分かけて滴下し、さらに5分撹拌した。
次いで、撹拌した状態で導電剤であるアセチレンブラック[電気化学工業(株)製 デンカブラック(登録商標)]11.3部を分割しながら2分間で投入し、30分撹拌を継続した。その後、撹拌を維持したまま0.01MPaまで減圧し、次いで撹拌と減圧度を維持したまま温度を140℃まで昇温し、撹拌、減圧度及び温度を8時間維持して揮発分を留去した。得られた粉体を目開き212μmの篩いで分級し、実施例1に係る被覆負極活物質(N−1)を得た。
被覆用高分子化合物溶液の固形分濃度及び部数並びに導電剤の部数のそれぞれを表1に記載したように変更したこと以外は実施例1と同様に行い、実施例2〜5に係る被覆負極活物質(N−2)〜(N−5)を得た。
なお、被覆用高分子化合物溶液の固形分濃度は、被覆用高分子化合物を溶解させるイソプロパノールの量を変更することで調整した。
炭素系材料である難黒鉛化性炭素粉末(体積平均粒子径20μm)20部と製造例2で製造した珪素系材料80部とを、万能混合機ハイスピードミキサーFS25[(株)アーステクニカ製]に入れ、室温720rpmで撹拌した状態で、製造例1で得られた被覆用高分子化合物をイソプロパノールに21.9重量%の濃度で溶解して得られた被覆用高分子化合物溶液16.5部を2分かけて滴下し、さらに5分撹拌した。
次いで、撹拌した状態で導電剤であるアセチレンブラック[電気化学工業(株)製 デンカブラック(登録商標)]9.5部を分割しながら2分間で投入し、30分撹拌を継続した。その後、撹拌を維持したまま0.01MPaまで減圧し、次いで撹拌と減圧度を維持したまま温度を140℃まで昇温し、撹拌、減圧度及び温度を8時間維持して揮発分を留去した。得られた粉体を目開き212μmの篩いで分級し、実施例6に係る被覆負極活物質(N−6)を得た。
炭素系材料及び珪素系材料の部数、被覆用高分子化合物溶液の固形分濃度及び部数、並びに導電剤の部数のそれぞれを表1に記載したように変更したこと以外は実施例6と同様に行い、実施例7〜8に係る被覆負極活物質(N−7)〜(N−8)を得た。
被覆用高分子化合物溶液の固形分濃度及び部数並びに導電剤の部数のそれぞれを表1に記載したように変更したこと以外は実施例1と同様に行い、比較例1〜2に係る被覆負極活物質(N’−1)〜(N’−2)を得た。
炭素系材料及び珪素系材料の部数並びに導電剤の部数のそれぞれを表1に記載したように変更したこと以外は実施例6と同様に行い、比較例3に係る被覆負極活物質(N’−3)を得た。
[緩み嵩密度の測定]
JIS K 6219−2(2005)に準じ、容量100cm3で直径30mmであり重量既知の円筒容器に実施例1〜8及び比較例1〜3で得られた被覆負極活物質(N−1)〜(N−8)及び(N’−1)〜(N’−3)をそれぞれ円筒容器の縁から300mmの高さから、円筒容器の縁の上に三角錐を形成するまで注ぎ込んだ。次いで、直定規を容器の縁に垂直に当て垂直方向に移動して円筒容器の縁の上にある被覆負極活物質を払い落とした。次いで、被覆負極活物質の入った円筒容器の合計重量を量り、空の円筒容器の重量と円筒容器の容量とから円筒容器内の被覆負極活物質の密度を計算し、これを5回測定した計算値の平均値を緩み嵩密度とした。
[固め嵩密度の測定]
JIS K 5101−12−2(2004)に準じ、100gの被覆負極活物質を直径30mmの測定用シリンダに入れ、タッピング式密充填かさ密度測定器[筒井理化学器械(株)製 Model TPM−3A]を用いて、落下高さ5mmで2000回タッピングし、タッピング後の被覆負極活物質の体積を測定することにより、タッピング後のシリンダ内の被覆負極活物質の嵩密度を測定し、これを5回測定した計算値の平均値を固め嵩密度とした。
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(体積比率1:1)にLiPF6を1mol/Lの割合で溶解させて作製したリチウムイオン電池用電解液20部と炭素繊維[大阪ガスケミカル(株)製 ドナカーボ・ミルド S−243:平均繊維長500μm、平均繊維径13μm:電気伝導度200mS/cm]2部とを遊星撹拌型混合混練装置{あわとり練太郎[(株)シンキー製]}を用いて2000rpmで7分間混合し、続いて上記電解液50部と実施例1〜8又は比較例1〜3で得られた被覆負極活物質98部を追加した後、更にあわとり練太郎により2000rpmで1.5分間混合し、上記電解液25部を更に追加した後あわとり練太郎による撹拌を2000rpmで1分間行い、上記電解液50部を更に追加した後あわとり練太郎による撹拌を2000rpmで1.5分間混合して、負極活物質スラリーを作製した。
得られた負極活物質スラリーをそれぞれアラミドセパレータ[日本バイリーン(株)製]の片面に塗布し、10MPaの圧力で約10秒プレスし、厚さが約350μmの実施例1〜8及び比較例1〜3に係るリチウムイオン電池用負極(3cm×3cm)を作製した。
端子(5mm×3cm)付き銅箔(3cm×3cm)とセパレータ(セルガード2500 PP製)(5cm×5cm)2枚と端子(5mm×3cm)付き銅箔(3cm×3cm)とを、同じ方向に2つの端子が出る向きで順に積層し、それを2枚の市販の熱融着型アルミラミネートフィルム(8cm×8cm)に挟み、端子の出ている1辺を熱融着し、負極評価用ラミネートセルを作製した。
次いで一方の銅箔とセパレータの間に実施例1〜8又は比較例1〜3に係るリチウムイオン電池用負極(3cm×3cm)を負極が有するアラミドセパレータとセパレータとが接する向きに挿入し、更に電極に電解液を70μL注液して電解液を電極に吸収させた。次いでセパレータ上に電解液を70μL注液した。
その後、セパレータと他方の銅箔との間にリチウム箔を挿入し、先に熱融着した1辺に直交する2辺をヒートシールした。
その後、開口部から電解液を70μL注液し、真空シーラーを用いてセル内を真空にしながら開口部をヒートシールすることでラミネートセルを密封し、負極評価用リチウムイオン電池1〜8及び負極比較用リチウムイオン電池1〜3を得た。
以下の方法でレート特性、内部抵抗及びクーロン効率を測定し、結果を表2に記載した。
45℃下、充放電測定装置「HJ−SD8」[北斗電工(株)製]を用いて以下の方法により負極評価用リチウムイオン電池1〜8及び負極比較用リチウムイオン電池1〜3の評価を行った。
定電流定電圧充電方式(CCCVモードともいう)で0.1Cの電流で10mVまで放電し、その後10分間の休止した後、0.1Cの電流で1.5Vまで充電した。
次いで、0.1Cの電流で10mVまで放電し、10分間休止した後、1.0Cの電流で1.5Vまで充電した。
その後、10分間休止した後0.5Cで1.5Vまで充電し、その後10分間休止した後に続けて0.2Cで1.5Vまで充電し、更に10分間休止した後に引き続き0.1Cの電流で1.5Vまでの充電を行った。
1.0Cの電流で1.5Vまで充電した時の充電容量と最後に0.1Cの電流で1.5Vまで充電を行った時の充電容量から、以下の式でレート特性(0.1Cでの充電容量と1.0Cでの充電容量の比率)を算出した。なお、レート特性の値が大きいほど容量の低下が少なく優れた電池特性を有することを意味する。
[レート特性(%)]=[1.0Cにおける充電容量]÷[0.1Cにおける充電容量]×100
上記のレート特性の測定と同様にして1.0Cにおける充電0秒後の電圧及び電流並びに1.0Cにおける放電10秒後の電圧及び電流を測定し、以下の式で内部抵抗を算出した。内部抵抗が小さいほど優れた電池特性を有することを意味する。
なお、充電0秒後の電圧とは、充電したと同時に計測される電圧(充電時電圧ともいう)である。
[内部抵抗(Ω)]=[(1.0Cにおける充電0秒後の電圧)−(1.0Cにおける充電10秒後の電圧)]÷[(1.0Cにおける充電0秒後の電流)−(1.0Cにおける充電10秒後の電流)]
上記のレート特性の測定で得られた0.1Cにおける初回の充電容量と0.1Cにおける初回の放電容量とを用い、以下の式でクーロン効率を算出した。クーロン効率が高いほど優れた電池特性を有することを意味する。
クーロン効率(%)=(0.1Cにおける初回の充電容量)÷(0.1Cにおける初回の放電容量)×100
Claims (5)
- リチウムイオン電池用負極活物質が有する表面の少なくとも一部を高分子化合物を含む被覆層で被覆してなるリチウムイオン電池用被覆負極活物質であって、タッピング法により測定されるリチウムイオン電池用被覆負極活物質の固め嵩密度に対するリチウムイオン電池用被覆負極活物質の緩み嵩密度の比率が0.60〜0.85であることを特徴とするリチウムイオン電池用被覆負極活物質。
- 前記リチウムイオン電池用被覆負極活物質の重量に対する前記高分子化合物の重量の割合が0.1〜15重量%である請求項1に記載のリチウムイオン電池用被覆負極活物質。
- 前記高分子化合物は、(メタ)アクリル酸(a11)、下記一般式(1)で示されるエステル化合物(a21)、炭素数1〜3の1価の脂肪族アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化合物(a3)及び重合性不飽和二重結合とアニオン性基とを有するアニオン性単量体の塩(a4)を含んでなる単量体組成物を重合してなり、前記エステル化合物(a21)と前記(メタ)アクリル酸(a11)の重量比[前記エステル化合物(a21)/前記(メタ)アクリル酸(a11)]が10/90〜90/10である請求項1又は2に記載のリチウムイオン電池用被覆負極活物質。
CH2=C(R1)COOR2 (1)
[R1は水素原子又はメチル基、R2は炭素数4〜12の直鎖又は分岐アルキル基である。] - 前記被覆層が、さらに導電剤を含み、前記リチウムイオン電池用被覆負極活物質の重量に対する前記導電剤の重量の割合が1〜14重量%である請求項1〜3のいずれかに記載のリチウムイオン電池用被覆負極活物質。
- 前記被覆層に含まれる前記導電剤の重量に対する前記被覆層に含まれる前記高分子化合物の重量の割合が13〜500重量%である請求項4に記載のリチウムイオン電池用被覆負極活物質。
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