JP2017188373A - 端子付き電線の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】溶接不良の発生を防止して芯線と端子との接続信頼性を向上させる。
【解決手段】電線の芯線を端子の電線接続部に超音波溶接により接続する端子付き電線の製造方法において、前記電線接続部の裏面に、少なくとも一つの凹部又は凸部からなる係合部を設けた端子を用意する工程と、アンビルの端子載置面に、前記係合部と係合可能な少なくとも一つの凸部又は凹部からなる被係合部を設けた超音波溶接装置を用意する工程と、前記端子載置面に前記端子を載置するとともに、前記電線接続部上に配置した前記芯線に対してホーンを押し当て、前記係合部と前記被係合部とを係合させた状態で前記電線接続部に前記芯線を超音波溶接する工程とを含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、端子付き電線の製造方法に関する。
従来より、被覆電線の先端(芯線)に端子が接続された端子付き電線が知られている(例えば、下記特許文献1を参照)。
特許文献1に開示された端子付き電線の製造方法では、被覆電線の先端の被覆を剥離して芯線を露出する工程と、超音波溶接装置のアンビル上にセットした端子の芯線接続部に被覆電線の芯線を配置する工程と、超音波溶接装置のホーンを芯線に押し当てて加圧しながら芯線と端子に超音波振動を付与し、超音波溶接により芯線を端子の芯線接続部に接続する工程とを経て、被覆電線の先端に端子が接続された端子付き電線を製造している。
特開2011−44371号公報
しかしながら、芯線と端子とを超音波溶接により接続する際、アンビル上の端子が超音波振動にともなって動いてしまうと、振動エネルギーが端子に効率よく伝わらず、芯線と端子との接続信頼性が低下するといった問題点があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、芯線と端子との接続信頼性を向上させることができる端子付き電線の製造方法を提供することを目的とする。
本発明に係る端子付き電線の製造方法は、電線の芯線を端子の電線接続部に超音波溶接により接続する端子付き電線の製造方法において、前記電線接続部の裏面に、少なくとも一つの凹部又は凸部からなる係合部を設けた端子を用意する工程と、アンビルの端子載置面に、前記係合部と係合可能な少なくとも一つの凸部又は凹部からなる被係合部を設けた超音波溶接装置を用意する工程と、前記端子載置面に前記端子を載置するとともに、前記電線接続部上に配置した前記芯線に対してホーンを押し当て、前記係合部と前記被係合部とを係合させた状態で前記芯線を電線接続部に超音波溶接により接続する工程とを含むことを特徴とする。
本発明に係る端子付き電線の製造方法によれば、端子の電線接続部の裏面に設けられた係合部と、アンビルの端子載置面に設けられた被係合部との凹凸係合により、端子載置面上で端子が水平方向に動くのが防止される。そのため、被覆電線の芯線にホーンを押し当てて超音波振動を付与した際、この超音波振動にともなう端子の動き(滑り)を防止できる。これにより、芯線と端子の双方に対して振動エネルギーを効率良く伝えることが可能となり、芯線と端子との接続信頼性を向上させることができる。
なお上記端子付き電線の製造方法において、前記係合部は、前記ホーンによる振動方向と交わる方向に延びる長尺形状の凹部又は凸部を含み、前記被係合部は、前記係合部と係合可能な長尺形状の凸部又は凹部を含んでいてもよい。
また上記端子付き電線の製造方法において、前記係合部は、前記ホーンによる振動方向と交わる一対の第1の対向面を有し、前記被係合部は、前記係合部との係合時に前記第1の対向面とそれぞれ対向する一対の第2の対向面を有し、前記第1の対向面には、前記裏面に対して垂直に交わる第1の垂直面が形成され、前記第2の対向面には、前記端子載置面に対して垂直に交わる第2の垂直面が形成されていてもよい。
さらに上記端子付き電線の製造方法において、前記第1及び第2の対向面の少なくとも一方には、前記係合部及び前記被係合部の係合を案内する傾斜面が形成されていてもよい。
また上記端子付き電線の製造方法において、前記係合部が切削により形成されていてもよい。
本発明の端子付き電線の製造方法によれば、芯線と端子との接続信頼性を向上させることができる。
本発明に係る端子付き電線の製造方法で製造された端子付き電線の実施形態を示す説明図である。 同製造方法で用いる端子を示す説明図である。 同製造方法で用いる超音波溶接装置のアンビルを示す説明図である。 端子の係合部とアンビルの被係合部との係合を示す説明図である。 同製造方法の工程を示すフローチャートである。 同製造方法の工程を示す説明図である。 同製造方法で用いる端子及びアンビルの第1変形例を示す説明図である。 同製造方法で用いる端子及びアンビルの第2変形例を示す説明図である。 同製造方法で用いる端子のその他の変形例を示す説明図である。
以下、添付の図面を参照して、本発明に係る端子付き電線の製造方法の実施形態及び同製造方法で製造される端子付き電線の実施形態について詳細に説明する。なお、図1から図9において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、図1から図9においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や、一部の構成要素が省略されている場合がある。
本発明に係る端子付き電線の製造方法で製造した端子付き電線の一実施形態について、図1を参照して説明する。
図1は、本発明に係る端子付き電線の製造方法で製造される端子付き電線1の実施形態を示す説明図であり、図1(a)は、端子付き電線1の斜視図を示し、図1(b)は、図1(a)におけるA矢視図を示している。
端子付き電線1は、図1(a)に示すように、被覆電線10と、この被覆電線10の先端の端末部に接続された端子20とを備える。
被覆電線10は、アルミニウム又はアルミニウム合金等の複数の細長い素線を撚りまとめてなる芯線11と、この芯線11の周囲を覆い外部から芯線11を絶縁して保護する絶縁樹脂からなる被覆12とを備えている。そして、被覆電線10の端末部には、芯線11を覆う被覆12が剥離(除去)されて芯線11が露出した芯線露出部13が形成されている。
なお被覆12は、例えばチューブ押出し方式により芯線11の周りを覆うように形成され得る。また芯線11は、複数の素線を撚りまとめたものに限定されず、材質もアルミニウム又はアルミニウム合金に限定されない。
被覆電線10の端末部の芯線露出部13(芯線11)は、端子20の電線接続部21に接続されている。すなわち、芯線露出部13の芯線11は電線接続部21の表面21aに配置され、その芯線11は超音波溶接により電線接続部21の表面21aに接続されている。そして、電線接続部21の表面21aの反対側の面である裏面21bには、少なくとも一つの凹部又は凸部からなる係合部23が設けられている。
本実施形態では、図1(b)に示すように、複数の第1溝状凹部23aと、これらと交わる複数の第2溝状凹部23bとが、格子状に組み合わされて形成された凹状の係合部23が、電線接続部21の裏面21bに設けられている。この第1及び第2溝状凹部23a,23bから構成される係合部23が、本発明における少なくとも一つの凹部又は凸部からなる係合部に相当する。
この係合部23は、電線接続部21の表面21aに超音波溶接により芯線11を接続する際、後述する超音波溶接装置のアンビル80の端子載置面81に設けられた被係合部82と係合されることで、端子載置面81上で端子20が水平方向に動く(滑る)のを防止する。
続いて、本発明に係る端子付き電線の製造方法の一実施形態について、図2から図6を参照して説明する。
図2は、同製造方法で用いられる端子20を示す説明図であり、図2(a)は、端子の平面図を示し、図2(b)は、端子の背面図を示し、図2(c)は、図2(b)のB−B´線断面の一部の拡大図を示している。また図3は、同製造方法で用いられる超音波溶接装置のアンビル80を示す説明図であって、図3(a)は、アンビルの平面図を示し、図3(b)は、図3(a)のC−C´線断面の一部の拡大図を示している。また図4は、端子の係合部とアンビルの被係合部との係合を示す説明図であり、図4(a)は、係合前の係合部と被係合部の一部断面拡大図を示し、図4(b)は、係合後の係合部と被係合部の一部断面拡大図を示している。
そして図5は、同製造方法の工程を示すフローチャートであり、図6は、同製造方法の工程(S104〜S108)を説明するための端子とアンビルの断面図である。
まず、端子付き電線の製造方法で用いられる端子20の一実施形態について、図2を参照して説明する。
図2(a)に示すように、端子20は、その基端側(一端側)に、被覆電線10の芯線露出部13(芯線11)と超音波溶接により接続される電線接続部21が形成され、先端側(他端側)に、接続対象である相手方接続部材に接続するための接続部22が形成されている。
端子20は、対向する2つの主面(表面及び裏面)を有する平板状の金属母材を、例えば打ち抜き加工及び切削加工して形成することができる。金属母材としては、銅板や銅合金板等が用いられ得るが、これに限定されない。
接続部22は、例えば円形平板状に形成され、その中央部にねじを挿入するための円形のねじ挿入孔22aが形成されている。このねじ挿入孔22aにねじを挿入し、図示しない相手方接続部材に対して接続部22をねじで締結固定することにより、端子20を相手方接続部材に接続することができる。
電線接続部21は、例えば方形平板状に形成され、その表面(一方の主面)21aに、被覆電線10の芯線露出部13(芯線11)が接続される。
そして電線接続部21の裏面(他方の主面)21bには、少なくとも一つの凹部又は凸部からなる係合部23が設けられている。この係合部23は、被覆電線10の芯線11を電線接続部21の表面21aに超音波溶接により接続する際、後述する超音波溶接装置のアンビル80の端子載置面81に設けられた被係合部82に係合される。
本実施形態では、図2(b)に示すように、複数の第1溝状凹部23aと、これらと交わる複数の第2溝状凹部23bとが、格子状に組み合わされて形成された凹状の係合部23が、電線接続部21の裏面21bに設けられている。言い換えると、電線接続部21の裏面21bに設けられた係合部23は、複数の第1溝状凹部23aと、第1溝状凹部23aと交差するように配置された複数の第2溝状凹部23bとから形成されている。この第1及び第2溝状凹部23a,23bから構成される係合部23が、本発明における少なくとも一つの凹部又は凸部からなる係合部に相当する。
各溝状凹部23a,23bは、超音波溶接時の振動方向(図中矢印VDで示す方向)に対して交わる方向に沿って延びるように形成されている。この各溝状凹部23a,23bの延びる方向は、振動方向VDに対して45°〜90°(又は−45°〜−90°)の交差角度であることが好ましい。
本実施形態では、振動方向VDに対して45°の交差角度となるように並設された直線状の複数の第1溝状凹部23aと、振動方向VDに対して−45°の交差角度となるように並設された直線状の複数の第2溝状凹部23bとを、それぞれ格子状に組み合わせて形成した凹状の係合部23が電線接続部21の裏面21bに設けられている。
なお、係合部23を構成する複数の第1及び第2溝状凹部23a,23bは、平行配置された溝状凹部23a(23b)同士の配置間隔が、溝状凹部23a(23b)の凹部の幅(溝幅)よりも大きく形成されていることが好ましい。これにより、係合部23を後述する被係合部82に係合した状態で超音波振動が付与されても、端子20に設けられた係合部23における凹凸形状の欠損を抑制することができる。
また図2(c)に示すように、各溝状凹部23a,23bは、凹部底面24と、溝状凹部の延びる方向に沿って延在する一対の凹部側面25とを有する。この一対の凹部側面25が、本発明における一対の第1の対向面に相当する。そして、この一対の凹部側面25は、電線接続部21の裏面21bに対して垂直に交わる垂直面25aを有している。この垂直面25aが、本発明における第1の垂直面に相当する。
次に、本発明に係る端子付き電線の製造方法で用いられる超音波溶接装置のアンビル80の一実施形態について、図3を参照して説明する。
超音波溶接装置のアンビル80は、その表面に、端子20が載置される端子載置面81を有する。そして端子載置面81には、端子20の電線接続部21の裏面21bに設けられた係合部23と係合可能な、少なくとも一つの凸部又は凹部からなる被係合部82が形成されている。
本実施形態では、図3(a)に示すように、複数の第1線状凸部82aと、これらと交わる複数の第2線状凸部82bとが、格子状に組み合わされて形成された凸状の被係合部82が、アンビル80の端子載置面81に設けられている。言い換えると、端子載置面81に設けられた被係合部82は、複数の第1線状凸部82aと、第1線状凸部82aと交差するように配置された複数の第2線状凸部82bとから構成されている。この第1及び第2線状凸部82a,82bからなる被係合部82が、本発明における少なくとも一つの凸部又は凹部からなる被係合部に相当する。
各線状凸部82a,82bは、超音波溶接時の振動方向(図中矢印VDで示す方向)に対して交わる方向に沿って延びるように形成されている。この各線状凸部82a,82bの延びる方向は、係合部23の各溝状凹部23a,23bに対応し、振動方向VDに対して45°〜90°(又は−45°〜−90°)の交差角度であることが好ましい。
本実施形態では、振動方向VDに対して45°の交差角度となるように並設された直線状の複数の第1線状凸部82aと、振動方向VDに対して−45°の交差角度となるように並設された直線状の複数の第2線状凸部82bとを、それぞれ格子状に組み合わせて形成した凸状の被係合部82が端子載置面81に設けられている。
また図3(b)に示すように、各線状凸部82a,82bは、凸部頂面83と、線状凸部の延びる方向に沿って延在する一対の凸部側面84とを有する。この一対の凸部側面84が、本発明における一対の第2の対向面に相当する。そして、この一対の凸部側面84は、端子載置面81に対して垂直に交わる垂直面84aと、凸部頂面83に向かって凸部幅が小さくなるように傾いた傾斜面84bとを有する。この垂直面84aが、本発明における第2の垂直面に相当し、傾斜面84bが、本発明における第2の傾斜面に相当する。
次に、上述した端子20の係合部23とアンビル80の被係合部82との係合について、図4を参照して説明する。
本実施形態では、図4(a)及び(b)に示すように、超音波溶接装置のアンビル80の端子載置面81に端子20をセットし、端子20に芯線11を超音波溶接により接続する際、端子20の電線接続部21の裏面21bに設けられた係合部23を、端子載置面81に設けられた被係合部82に係合させる。
係合部23と被係合部82とを係合すると、係合部23の各溝状凹部23a,23b内に、被係合部82の各線状凸部82a,82bが挿入される。そして、振動方向VDに交わる方向に沿って延在する各溝状凹部23a,23bの一対の凹部側面25と、振動方向VDに交わる方向に沿って延在する各線状凸部82a,82bの一対の凸部側面84とがそれぞれ対向し、凹部側面25の垂直面25aと、凸部側面84の垂直面84aが接するようにして凹凸係合する。そのため、振動方向VDの超音波振動(水平方向の振動)が付与されても、係合部23と被係合部82との凹凸係合によるアンカー効果により、端子載置面81上で端子20が水平方向に動く(滑る)のが防止される。これにより、超音波溶接時の振動エネルギーの逃げが防止され、芯線11と端子20とに振動エネルギーを効率良く伝えることができ、芯線11と端子20との接続信頼性を向上させることができる。
なお、凸部側面84に形成された傾斜面84bによって凸部頂面83が幅狭に形成されているため、各溝状凹部23a,23b内に各線状凸部82a,82bが案内されて、係合部23と被係合部82との凹凸係合が容易となる。
また、凹部側面25と凸部側面84の各垂直面25a,84a同士が接触するように凹凸係合されているので、振動方向VDの超音波振動(水平方向の振動)による係合部23と被係合部82との凹凸係合解除を防止できる。
また、振動方向VDと交わる方向に沿って延びる第1及び第2溝状凹部23a,23bの長尺状の一対の凹部側面25と、振動方向VDと交わる方向に沿って延びる第1及び第2線状凸部82a,82bの長尺状の凸部側面84とを対向させて、これら長尺状に延びる側面で振動方向VDの振動を受けるため、振動方向VDの超音波振動にともなう水平方向の端子20の動きをより強固に防止することができる。
なお、係合部23及び被係合部82の寸法は、超音波溶接に関する諸条件(ホーンの押圧力、振動エネルギー量、芯線11の太さ、端子20の厚さ等)により適宜決定されるが、以下のように設定することができる。
例えば、係合部23の各溝状凹部23a,23bについて、凹部深さ(裏面21bから凹部底面24までの鉛直距離)を0.15mm以上、凹部幅(凹部底面24の幅)を0.25mm以上となるように形成してもよい。また被係合部82の各線状凸部82a,82bについて、凸部高さ(端子載置面81から凸部頂面83の高さまでの鉛直距離)を0.15mm以上、垂直面84aの高さを0.07mm以上となるように形成し、その凸部幅を係合部23の凹部幅と同等又は若干狭くなるように形成してもよい。
なお、端子20の係合部23における各溝状凹部23a,23bは、切削加工により形成することができる。切削加工で各溝状凹部23a,23bを形成することで、寸法精度の高い係合部23を構成することができる。
次に、図5及び図6を参照して本実施形態に係る端子付き電線1の製造方法について詳細に説明する。
まず、芯線11を被覆12で覆った被覆電線10と、電線接続部21の裏面21bに係合部23を有する端子20と、アンビル80の端子載置面81に被係合部82を有する超音波溶接装置とを用意する(ステップS100)。
そして、被覆電線10の先端から所定の長さの被覆12を除去して芯線11を口出しし、被覆電線10の先端側の端末部に芯線露出部13を形成する(ステップS102)。
次に、アンビル80の端子載置面81に端子20をセットする(ステップS104)。このとき、図6(a)に示すように、端子20の電線接続部21の裏面21bに設けられた係合部23と、アンビル80の端子載置面81に設けられた被係合部82とを対向させる。
次に、端子載置面81上にセットされた端子20に被覆電線10の芯線11を配置する(ステップS106)。このとき、図6(b)に示すように、端子20の電線接続部21の裏面21bに設けられた係合部23の各凹部内に、アンビル80の端子載置面81に設けられた被係合部82の各凸部が挿入されるように、端子載置面81に端子20を配置するとともに、端子20の電線接続部21の表面21aに被覆電線10の芯線露出部13の芯線11を配置する。
最後に、端子20の電線接続部21の表面21aに配置された芯線11の上から、超音波溶接装置のホーン90を押し当てて、超音波溶接を施す(ステップS108)。このとき図6(c)に示すように、端子20の係合部23とアンビル80の被係合部82とを凹凸係合させた状態で、端子20の電線接続部21の表面21aに配置された芯線11の上方からホーン90を押し当て、ホーン90をアンビル80に向けて押圧しつつ、振動方向VDに微細に振動させて芯線11と端子20に振動エネルギーを付与する。これにより、被覆電線10の芯線11が端子20の電線接続部21の表面21aに超音波溶接により接続され、端子付き電線1が製造される。
このような製造方法によれば、端子20の電線接続部21の裏面21bに設けられた係合部23と端子載置面81に設けられた被係合部82との凹凸係合によるアンカー効果より、端子載置面81上で端子20が水平方向に動く(滑る)のが防止される。このため、振動方向VDの超音波振動を付与し、超音波溶接により芯線11を電線接続部21の表面21aに接続する際、この超音波振動にともなう端子20の動きが防止され、芯線11と端子20の双方に振動エネルギーを効率良く伝えることが可能となる。これにより、振動エネルギーの逃げが防止され、芯線11と端子20の双方に振動エネルギーが効率良く伝わり、被覆電線10の芯線11と端子20との接続信頼性を向上させることができる。
なお、超音波溶接後、端子付き電線1を持ち上げることによって、係合部23と被係合部82との凹凸係合を容易に解除することができる。
[変形例]
以下、本発明に係る端子付き電線の製造方法で用いられる端子20とアンビル80の変形例について、図7から図9を参照して説明する。
図7は、第1変形例に係る端子及びアンビルを説明する図であって、図7(a)は、係合前の係合部と被係合部の一部断面拡大図を示し、図7(b)は、係合後の係合部と被係合部の一部断面拡大図を示している。図8は、第2の変形例に係る端子及びアンビルを説明する図であって、端子とアンビルの斜視図を示している。図9は、端子の係合部のその他の変形例を説明する図であって、図9(a)から図9(c)は、端子の背面図を示している。
[第1変形例]
第1変形例に係る端子20及びアンビル80は、上述の実施形態の端子20及びアンビル80の係合部23及び被係合部82に対して、係合部23を構成する各溝状凹部23a,23bの凹部側面25の形状と、被係合部82を構成する各線状凸部82a,82bの凸部側面84の形状のみが相違している。
図7(a)及び(b)に示すように、第1変形例では、係合部23を構成する各溝状凹部23a,23bの一対の凹部側面25は、裏面21bに対して垂直に交わる垂直面25aだけでなく、凹部の開口に向かって開口幅が大きくなるように傾いた傾斜面25bを有する。この傾斜面25bが、本発明における第1の傾斜面に相当する。また、被係合部82を構成する各線状凸部82a,82bの一対の凸部側面84は、端子載置面81に対して垂直に交わる垂直面84aのみを有し、凸部頂面83に向かって凸部幅が狭くなるように傾いた傾斜面を有さない。
第1の変形例では、係合部23と被係合部82とを係合する際、凹部側面25に形成された傾斜面25bによって凹部開口が幅広に形成されているため、上述の実施形態と同様に、各溝状凹部23a,23b内に各線状凸部82a,82bが案内されて、凹凸係合が容易となる。
なお、上述の実施形態及び第1変形例では、係合部23の凹部側面25及び被係合部82の凸部側面84の一方に傾斜面を形成したが、両方に傾斜面を形成してもよい。また図示は省略するが、平面状の傾斜面の代わりに、曲面状の傾斜面であってもよい。
このように、係合部を構成する凹部又は凸部、及び被係合部を構成する凸部又は凹部の少なくとも一方の側面に傾斜部を形成し、凹部開口よりも凸部頂部の幅を小さくすることで、係合部と被係合部とを係合するときに、凹部内に凸部が案内されて凹凸係合を容易にすることができる。
[第2変形例]
第2変形例に係る端子20及びアンビル80は、上述した実施形態の端子20及びアンビル80の係合部23及び被係合部82に対して、係合部23及び被係合部82の形状が相違している。
第2変形例では、図8に示すように、端子20の電線接続部21の裏面21bには、直線状の2つの長尺状凸部23cから構成される係合部23が設けられている。またアンビル80の端子載置面81には、直線状の2つの長尺状凹部82cから構成される被係合部82が設けられている。そして、これら各長尺状凸部23c及び各長尺状凹部82cは、それぞれ、超音波溶接時の振動方向に対して垂直に交わる方向に延びて形成されている。
これら2つの長尺状凸部23cから構成される係合部23が、本発明における少なくとも一つの凹部又は凸部からなる係合部に相当し、これら2つの長尺状凹部82cから構成される被係合部82が、本発明における少なくとも一つの凸部又は凹部からなる被係合部に相当する。
さらに各長尺状凸部23cは一対の凸部側面26を有し、凸部側面26は、裏面21bに対して垂直に交わる垂直面26aを有する。また、各長尺状凹部82cは一対の凹部側面85を有し、凹部側面85は、端子載置面81に対して垂直に交わる垂直面85aを有する。これら一対の凸部側面26とその垂直面26aが、本発明における一対の第1の対向面と第1の垂直面に相当し、一対の凹部側面85とその垂直面85aが、本発明における一対の第2の対向面と第2の垂直面に相当する。
なお端子20に形成された長尺状凸部からなる係合部23は、例えば型押加工等により形成することができる。
第2変形例では、アンビル80の端子載置面81に端子20を載置し、係合部23と被係合部82とを係合すると、係合部23の2つの長尺状凸部23cが、被係合部82の2つの長尺状凹部82c内に挿入される。このとき各長尺状凸部23cの一対の凸部側面26と、各長尺状凹部82cの一対の凹部側面85とがそれぞれ対向し、それぞれの垂直面26a,85aが接するようにして凹凸係合する。そして上述の実施形態と同様、凹凸係合によるアンカー効果によって、端子載置面81上で端子20が水平方向に動く(滑る)のが防止される。このため、振動方向VDの超音波振動を付与し、超音波溶接により芯線11を電線接続部21の表面21aに接続する際、この超音波振動にともなう端子20の動きが防止され、芯線11と端子20の双方に振動エネルギーを効率良く伝えることが可能となる。これにより、振動エネルギーの逃げが防止され、芯線11と端子20の双方に振動エネルギーが効率良く伝わり、被覆電線10の芯線11と端子20との接続信頼性を向上させることができる。
[その他の変形例]
図9(a)から(c)を参照して、端子20の係合部23のその他の変形例について詳細に説明する。なお図示を省略するが、図9(a)から(c)に示す端子20を用いる場合、この端子20がセットされるアンビル80の端子載置面81には、各端子の係合部23の形状に対応した被係合部82が形成されている。
図9(a)に示す変形例では、実施形態の端子20と同様に、係合部23が、複数の第1溝状凹部23aと複数の第2溝状凹部23bとを組み合わせて構成されている。しかし、第2溝状凹部23bが、振動方向VDに対して90°の交差角度となるように並設されている点が、上述の実施形態と相違する。
端子をアンビルの端子載置面にセットして超音波溶接により被覆電線の芯線を端子に接続する際、振動方向VDに直交する方向に延びる第2溝状凹部23bを有する係合部23と、それに対応する凸部を有する被係合部とを係合させることによって、振動方向VDと垂直に交わる方向に沿って延びる長尺状の凹部側面と凸部側面とで振動方向VDの振動を受けるため、振動方向VDの超音波振動にともなう水平方向の端子20の動きをより強固に防止することができる。
図9(b)に示す変形例では、端子20の係合部23が、複数の第1溝状凹部23aのみで構成されている。
図9(c)に示す変形例では、端子20の係合部23が、複数の円形凹部23dから構成されている。
これらの変形例においても、端子20の係合部23に対応する被係合部82が端子載置面81に設けられたアンビル80を用いる。そのため、被覆電線10の芯線11を端子20の電線接続部21に超音波溶接により接続する際、振動方向VDの超音波振動(水平方向の振動)が付与されても、係合部23と被係合部82との凹凸係合によるアンカー効果により、端子載置面81上で端子20が水平方向に動く(滑る)のが防止される。これにより、超音波溶接時の振動エネルギーの逃げが防止され、芯線11と端子20とに振動エネルギーを効率良く伝えることができ、芯線11と端子20との接続信頼性を向上させることができる。
以上、本発明の実施形態及び変形例を説明したが、これらは、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらは、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1 端子付き電線
10 被覆電線
11 芯線
12 被覆
13 芯線露出部
20 端子
21 電線接続部
21a 表面
21b 裏面
22 接続部
22a ねじ挿入孔
23 係合部
23a 第1溝状凹部
23b 第2溝状凹部
23c 長尺状凸部
23d 円形凹部
24 凹部底面
25 凹部側面(第1の対向面)
25a 垂直面(第1の垂直面)
25b 傾斜面(第1の傾斜面)
80 アンビル
81 端子載置面
82 被係合部
82a 第1線状凸部
82b 第2線状凸部
82c 長尺状凹部
83 凸部頂面
84 凸部側面(第2の対向面)
84a 垂直面(第2の垂直面)
84b 傾斜面(第2の傾斜面)
90 ホーン

Claims (5)

  1. 電線の芯線を端子の電線接続部に超音波溶接により接続する端子付き電線の製造方法において、
    前記電線接続部の裏面に、少なくとも一つの凹部又は凸部からなる係合部を設けた端子を用意する工程と、
    アンビルの端子載置面に、前記係合部と係合可能な少なくとも一つの凸部又は凹部からなる被係合部を設けた超音波溶接装置を用意する工程と、
    前記端子載置面に前記端子を載置するとともに、前記電線接続部上に配置した前記芯線に対してホーンを押し当て、前記係合部と前記被係合部とを係合させた状態で前記芯線を前記電線接続部に超音波溶接により接続する工程と、
    を含むことを特徴とする端子付き電線の製造方法。
  2. 前記係合部は、前記ホーンによる振動方向と交わる方向に延びる長尺形状の凹部又は凸部を含み、
    前記被係合部は、前記係合部と係合可能な長尺形状の凸部又は凹部を含むことを特徴とする請求項1に記載の端子付き電線の製造方法。
  3. 前記係合部は、前記ホーンによる振動方向と交わる一対の第1の対向面を有し、
    前記被係合部は、前記係合部との係合時に前記第1の対向面とそれぞれ対向する一対の第2の対向面を有し、
    前記第1の対向面には、前記裏面に対して垂直に交わる第1の垂直面が形成され、前記第2の対向面には、前記端子載置面に対して垂直に交わる第2の垂直面が形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の端子付き電線の製造方法。
  4. 前記第1及び第2の対向面の少なくとも一方には、前記係合部及び前記被係合部の係合を案内する傾斜面が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の端子付き電線の製造方法。
  5. 前記係合部を切削により形成したことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の端子付き電線の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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US20220048129A1 (en) * 2018-12-14 2022-02-17 Volkswagen Aktiengesellschaft Ultrasonic welding device and method for producing a metal foil stack

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