JP2023149552A - 端子付き電線及び端子付き電線の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】端子付き電線のコストを抑えて接合の強度を向上させる。【解決手段】端子付き電線は、複数の金属素線よりなる導体を有する電線と、前記導体が接合される端子とを有し、前記導体が前記端子の表面に接合されており、前記端子の裏面に第1種の接合痕を有し、前記導体において前記端子と接している側と反対側に第2種の接合痕を有し、前記第1種の接合痕の表面粗さが前記第2種の接合痕の表面粗さより粗い。第1種の接合痕は、超音波接合機のホーンに対応した接合痕であり、第2種の接合痕は、超音波接合機のアンビルに対応した接合痕である。【選択図】図1
Description
本発明は、端子付き電線及び端子付き電線の製造方法に関する。
端子に電線の芯線を接合する方法として、例えば特許文献1に開示された接合方法がある。この接合方法は、超音波接合機のアンビルとソノトロード(ホーンともいう)との間に芯線の端部と端子の底部とを挟み込み、底部側の素線に先端側に向かう力を作用させた状態で超音波接合を行なう。この方法では、素線が底部に対して芯線の基端側にずれることが抑制された状態で超音波接合を行なうため、接合強度が向上するとされている。
また、端子に電線の導体を接合する方法として、非特許文献1に開示された方法がある。この方法では端子とケーブルのアルミ導体を一対のホーンで挟み、ホーンから導体に与えるエネルギーが接合部に効率的に加わる固定治具で固定し、両方のホーンを同時に振動させて端子とアルミ導体とを接合する。非特許文献1に記載されているように、アルミ導体のみにホーンを接触させた場合、低いエネルギーではアルミ導体と端子が接合せず、高いエネルギーでは端子割れが発生してしまう。一方、この方法では、端子及び導体へのエネルギーの投入方向を上下に分割し、エネルギーを調整することにより、接合のときに端子割れや導体の素線切れが発生することなく、端子とアルミ導体とを接合することができるとされている。
斉田博之、外4名、「HEV/EV用高柔軟耐熱アルミケーブルと接続技術」、フジクラ技報、株式会社フジクラ、2018年7月、No.131、p18-20
電線の導体と端子とを超音波接合するにあたり、特許文献1に開示された方法では、底部側の素線に先端側に向かう力を作用させるための治具を電線の径にあわせて設ける必要があり、コストがかかる。また、非特許文献1に開示された方法では、2つのホーンを振動させる装置が必要やエネルギーが接合部に効率的に加わる固定治具が必要となり、コストがかかる。また、導体と端子が接合し、且つ、端子が破損しないように導体と端子に加えるエネルギーを調整する必要があり、調整に困難を伴う。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、端子付き電線のコストを抑えて接合の強度を向上させることを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る端子付き電線は、複数の金属素線よりなる導体を有する電線と、前記導体が接合される端子とを有し、前記導体が前記端子の表面に接合されており、前記端子の裏面に第1種の接合痕を有し、前記導体において前記端子と接している側と反対側に第2種の接合痕を有し、前記第1種の接合痕の表面粗さが前記第2種の接合痕の表面粗さより粗い。
本発明の一態様に係る端子付き電線は、前記導体において前記端子と接している側と反対側にも前記第1種の接合痕を有する構成であってもよい。
本発明の一態様に係る端子付き電線においては、前記第1種の接合痕は、前記電線の被覆から露出した前記導体の根元側にある構成であってもよい。
本発明の一態様に係る端子付き電線においては、前記導体において前記端子と接している側と反対側にある前記第1種の接合痕は、前記電線の被覆から露出した前記導体の根元側にある構成であってもよい。
本発明の一態様に係る端子付き電線においては、前記端子の裏面にも前記第2種の接合痕を有する構成であってもよい。
本発明の一態様に係る端子付き電線においては、前記第1種の接合痕は、超音波接合機のホーンに対応した接合痕であり、前記第2種の接合痕は、超音波接合機のアンビルに対応した接合痕である構成であってもよい。
本発明の一態様に係る端子付き電線においては、前記導体の断面積は、20sq以上80sq以下である構成であってもよい。
本発明の一態様に係る端子付き電線においては、前記導体の断面積は、40sq以上80sq以下である構成であってもよい。
本発明の一態様に係る端子付き電線は、前記導体と前記端子の素材が銅又は銅合金である構成であってもよい。
本発明の一態様に係る端子付き電線の製造方法は、複数の金属素線よりなる導体を有する電線と、前記導体が接合された端子とを有する端子付き電線の製造方法であって、前記導体に超音波接合機のアンビルを接触させ、前記導体が接する端子の裏面に超音波接合機のホーンを接触させて前記導体と前記端子との超音波接合を行なう工程を有する。
本発明の一態様に係る端子付き電線の製造方法においては、さらに、前記導体に超音波接合機のホーンを接触させ、前記導体が接する端子の裏面に超音波接合機のアンビルを接触させて前記導体と前記端子との超音波接合を行なう工程を有するようにしてもよい。
本発明によれば、端子付き電線のコストを抑えて接合の強度を向上させることができる、という効果を奏する。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一又は対応する要素には適宜同一の符号を付している。さらに、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係などは、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、図中では適宜XYZ座標軸を示し、これにより方向を説明する。XYZ座標軸で示される空間においてX成分が増加する方向を+X方向といい、X成分が減少する方向を-X方向という。同様に、Y、Z成分についても、+Y方向、-Y方向、+Z方向、-Z方向と定義する。なお、Z軸方向は、鉛直方向であって、+Z方向は鉛直上向きであり、-Z方向は鉛直下向きでもある。
[実施形態]
図1は、本発明の実施形態に係る端子付き電線1の斜視図である。端子付き電線1は、端子2と被覆電線3とから構成されている。端子付き電線1は、超音波接合機によって被覆電線3を端子2に接合することにより形成される。
図1は、本発明の実施形態に係る端子付き電線1の斜視図である。端子付き電線1は、端子2と被覆電線3とから構成されている。端子付き電線1は、超音波接合機によって被覆電線3を端子2に接合することにより形成される。
被覆電線3は、導体31と、導体31を被覆する被覆部32からなる。導体31は、例えば、銅、銅合金、アルミニウム又はアルミニウム合金製である複数の素線301が撚り合わせられた撚り線である。なお、導体31は、複数の素線301を撚り合わせたものではなく、複数の素線301を束ねたものであってもよい。導体31の公称断面積は、20sq以上であり、好ましくは40sq~80sqである。
被覆部32は、例えば、絶縁性を有するポリ塩化ビニル(PVC)や、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂等、この技術の分野において通常用いられるものを選択することができる。被覆部32は、導体31の外周を被覆している。被覆電線3の先端は、被覆部32が除去されて導体31が露出しており、露出している導体31が端子2に接合される。
端子2は、導体31に電気的及び機械的に接合される端子である。端子2は、予め所定の形状に切断されてXY平面に沿って展開された銅又は銅合金からなる板材をプレス加工することにより形成される。端子2を形成する銅合金としては、例えば、黄銅、りん青銅、コルソン系銅合金等が挙げられる。なお、説明の便宜上、端子2の+Z方向側の面を上面と称し、-Z方向側の面を下面と称する場合がある。
端子2は、大別して締結部21、接合部22及び圧着部23を有している。なお、端子2は、表面に錫メッキ処理が施された構成であってもよい。端子2に錫メッキ処理を施す場合、締結部21にのみ錫メッキ処理を施し、接合部22及び圧着部23には錫メッキ処理を施さない構成としてもよい。
圧着部23は、圧着片231Aと圧着片231Bを有する。圧着片231A、231Bは、圧着工具によりかしめられて被覆電線3に圧着される。
接合部22は、板状の底部221と、底部221の-X方向側の端部に連なりYZ平面に沿った側壁部222Aと、底部221の+X方向側の端部に連なりYZ平面に沿った側壁部222Bを有する。側壁部222A及び側壁部222Bは、プレス加工により板材が曲げられて形成され、Z軸方向の高さは、導体31の公称断面積に応じて設定される。底部221の+Z方向側の表面は、締結部21の+Z方向側の表面に連なっている。導体31は、側壁部222Aと側壁部222Bの間に収めら、超音波接合機によって底部221に接合される。超音波接合機により底部221に接合された導体31には、接合の痕である第2接合痕312が形成される。底部221の+Z方向側の面は、端子2の表面の一例であり、底部221の-Z方向側の面は、端子2の裏面の一例である。
締結部21は、端子付き電線1を他の端子付き電線または電源等の端子に接続するための部分である。締結部21は、板状であり、+Z方向側の表面が底部221の+Z方向側の表面に段差なく連なっている。また、締結部21は、-Y方向側の端部が+Z方向側から見て半円形状に形成されている。また、締結部21においては、Z軸方向に貫通した穴211が-Y方向側の端部に形成されている。穴211には、端子2を接続相手に対して電気的及び機械的に接続するための端子ねじが挿入される。
図2は、本実施形態における端子2と導体31の接合方法を説明するための模式図である。導体31と端子2とを接合する際には、側壁部222Aと側壁部222Bとの間に導体31を配置し、下から上へ接合物の位置決めと固定を行うアンビルAN、導体31、底部221の順番となるように、アンビルAN上に導体31及び底部221を載せる。次に、接合物に振動と荷重を与える超音波接合機のホーンHOを、底部221において導体31が接している面と反対側の面に圧力をかけて押し付けつつ振動させる。ホーンHOからの圧力と振動により底部221と導体31とが接合される。なお、ホーンHOを底部221に接触させるときの位置は、図2に示す位置に限定されるものではなく、導体31の先端部分の上方の位置、又は露出している導体31の被覆部32に近い部分の上方の位置であってもよい。
超音波接合を行なうと、底部221の-Z方向側の面にはホーンHOの形状に対応した第1接合痕311が形成される。第1接合痕311は、第1種の接合痕の一例である。図3は、端子付き電線1の下面側を示す斜視図である。例えば、ホーンHOの表面の形状が波形である場合、第1接合痕311は、図3に示すようにホーンHOの表面の形状である波形に対応した痕となる。なお、ホーンHOの表面の形状は波形に限定されるものではなく、他の形状であってもよい。
また、超音波接合を行った後においては、導体31においてアンビルANが接した部分にアンビルANの表面形状に対応した第2接合痕312が形成される。第2接合痕312は、第2種の接合痕の一例である。例えば、アンビルANの表面が複数の四角錘が行列で配置された形状である場合、第2接合痕312は、アンビルANの表面の四角錘の形状に対応した痕となる。なお、アンビルANの表面の形状は、四角錘のものに限定されるものではなく、凹凸があれば他の形状であってもよい。ここで、第1接合痕311の表面粗さは、第2接合痕312の表面粗さより粗くなっている。なお、ここで定義する接合痕の表面粗さは、超音波接合機のホーンHOまたはアンビルANに対応する形状そのものを意味する。
導体31を接合部22に接合させた後、圧着片231Aと圧着片231Bをかしめ、圧着片231A、231Bを被覆電線3に圧着する。
なお、導体31と端子2との接合は、前述の方法に限定されるものではなく、他の方法で接合してもよい。図4は、導体31と端子2の他の接合方法を説明するための模式図である。なお、以下の説明においては、説明の便宜上、露出している導体31の端を先端側と称し、露出している導体31の被覆部32側を根元側と称する。
まず、導体31と端子2とを接合する際には、側壁部222Aと側壁部222Bとの間に導体31を配置し、下からアンビルAN、導体31、底部221の順番となるように、アンビルAN上に導体31及び底部221を載せる。次に、ホーンHOを、底部221において導体31が接している面と反対側の面に接触させ、圧力をかけつつ振動させる。ホーンHOを底部221に押し付ける際には、図4(a)に示すように被覆部32から露出している導体31の根元側の部分と底部221とをホーンHOとアンビルANが挟むようにする。ホーンHOからの圧力と振動により底部221と露出している導体31の根元側の部分とが接合される。この段階では、底部221の根元側(Y軸方向で圧着部23側)にはホーンHOの形状に対応した1つの第1接合痕311が形成され、導体31の端子2と接している側と反対側(導体31においてアンビルANに接している側)にはアンビルANの形状に対応した第2接合痕312が形成される。
底部221と被覆部32から露出している導体31の根元側の部分とを接合した後、図4(b)に示すように、下からアンビルAN、底部221、導体31の順番となるように、アンビルAN上に導体31及び底部221を載せる。次に、ホーンHOを、導体31において底部221に接している側と反対側に接触させ、圧力をかけつつ振動させる。ホーンHOを導体31に押し付ける際には、図4(b)に示すように、導体31の先端側の部分と底部221とをホーンHOとアンビルANが挟むようにする。ホーンHOからの圧力と振動により底部221と露出している導体31の先端側の部分とが接合される。その結果、底部221にはホーンHOの形状に対応した第1種の接合痕の一例である第1接合痕311と、アンビルANの形状に対応した第2種の接合痕の一例である第2接合痕312とが形成され、導体31の端子2と接している側と反対側にはアンビルANの形状に対応した第2種の接合痕の一例である第2接合痕312と、ホーンHOの形状に対応した第1種の接合痕の一例である第1接合痕311とが形成される。
なお、ホーンHOを、底部221において導体31が接している面と反対側の面に接触させて振動させる際には、まず図5(a)に示すように、導体31の先端側の部分と底部221とをホーンHOとアンビルANが挟むようにし、ホーンHOからの圧力と振動により底部221と導体31の先端側の部分とを接合してもよい。この場合、次に図5(b)に示すように、導体31の根元側の部分と底部221とをホーンHOとアンビルANが挟むようにし、ホーンHOからの圧力と振動により底部221と露出している導体31の根元側の部分とを接合してもよい。この段階では、底部221の根元側(Y軸方向で圧着部23側)にはアンビルANの形状に対応した1つの第2種の接合痕としての第2接合痕312が形成され、導体31の端子2と接している側と反対側(導体31においてホーンHOに接している側)にはホーンHOの形状に対応した第1種の接合痕としての第1接合痕311が形成される。
また、ホーンHOを、底部221において導体31が接している面と反対側の面に接触させて振動させる際には、図6(a)に示すように、露出している導体31の中央部分と底部221とをホーンHOとアンビルANが挟むようにし、ホーンHOからの圧力と振動により底部221と露出している導体31の中央部分とを接合してもよい。この場合、次に図6(b)に示すように、導体31の中央部分と底部221とをホーンHOとアンビルANが挟むようにし、ホーンHOからの圧力と振動により底部221と露出している導体31の中央部分とを接合してもよい。その結果、底部221にはホーンHOの形状に対応した第1種の接合痕としての第1接合痕311と、アンビルANの形状に対応した第2種の接合痕としての第2接合痕312とが形成され、導体31の端子2と接している側と反対側には、アンビルANの形状に対応した第2種の接合痕としての第2接合痕312と、ホーンHOの形状に対応した第1種の接合痕としての第1接合痕311とが形成される。ここで、第1種の接合痕の表面粗さは、第2種の接合痕の表面粗さより粗くなっている。
また、ホーンHOを、底部221において導体31が接している面と反対側の面に接触させて振動させる際には、まず図7(a)に示すように、下からアンビルAN、底部221、導体31の順番となるように、アンビルAN上に導体31及び底部221を載せ、導体31の先端側の部分と底部221とをホーンHOとアンビルANが挟むようにし、ホーンHOからの圧力と振動により底部221と導体31の先端側の部分とを接合してもよい。この場合、次に図7(b)に示すように、下からアンビルAN、導体31、底部221の順番となるように、アンビルAN上に導体31及び底部221を載せ、導体31の根元側の部分と底部221とをホーンHOとアンビルANが挟むようにし、ホーンHOからの圧力と振動により底部221と露出している導体31の根元側の部分とを接合してもよい。その結果、図6における説明と同様に、底部221にはホーンHOの形状に対応した第1種の接合痕としての第1接合痕311と、アンビルANの形状に対応した第2種の接合痕としての第2接合痕312とが形成され、導体31の端子2と接している側と反対側には、アンビルANの形状に対応した第2種の接合痕としての第2接合痕312と、ホーンHOの形状に対応した第1種の接合痕としての第1接合痕311とが形成される。ここで、第1種の接合痕の表面粗さは、第2種の接合痕の表面粗さより粗くなっている。
[評価]
本発明の発明者は、前述の接合方法について、ピール強度と引張強度を評価した。以下、その評価結果を説明する。なお、接合方法の評価にあたり、接合方法、接合する導体の公称断面積、ホーンHOの位置、接合時のエネルギーを変えて第1実施例~第10実施例を作製した。また、第1実施例~第10実施例との比較のため、端子にはホーンHOを接触させず導体のみにホーンHOを接触させて接合を行なう従来の方法で第1比較例と第2比較例を作製した。
本発明の発明者は、前述の接合方法について、ピール強度と引張強度を評価した。以下、その評価結果を説明する。なお、接合方法の評価にあたり、接合方法、接合する導体の公称断面積、ホーンHOの位置、接合時のエネルギーを変えて第1実施例~第10実施例を作製した。また、第1実施例~第10実施例との比較のため、端子にはホーンHOを接触させず導体のみにホーンHOを接触させて接合を行なう従来の方法で第1比較例と第2比較例を作製した。
図8は、第1実施例~第10実施例、第1比較例及び第2比較例の構成を示す図である。第1実施例~第10実施例、第1比較例及び第2比較例は、端子2Aと導体31で構成されている。端子2Aは、厚さが2mmの平板である。導体31は、先端側が端子2Aに接合され、後端側がはんだ付けされて半田部40としてまとめられている。端子2A及び導体31の素材はいずれも銅である。
導体31と端子2との接合には、日本エマソン株式会社のGMX-20MA 超音波金属接合機を使用し、ホーンHOの面積を10mm×10mm、アンビルANの面積を20mm×20mm、ホーンHOの振幅を50μmの95%、加圧の圧力を3kNとした。
引張強度の評価については、株式会社オリエンテックのRTC-1310Aを使用し、JASO D616:2011に準拠した試験を行った。図9は、引張強度の試験方法を説明するための模式図である。この試験では、図9に示すように、端子2AをチャックC1で挟み、導体31の後端側をチャックC2で挟み、チャックC1とチャックC2との距離を100mmとし、チャックC1で端子2Aを鉛直上向きに引っ張る速度を100mm/minとし、破断したときの荷重を測定した。
ピール強度の評価については、株式会社オリエンテックのRTC-1310Aを使用して試験を行った。図10は、ピール強度の試験方法を説明するための模式図である。この試験では、図10に示すように水平方向に沿った端子2AをチャックCK1で挟み、導体31の後端側をチャックCK2で挟み、導体31の後端側を鉛直上向きに引っ張る速度を100mm/minとし、導体31が端子2Aから剥がれたときの荷重を測定した。第1実施例~第10実施例、第1比較例及び第2比較例の接合方法、接合する導体の公称断面積、ホーンHOの位置、接合時のエネルギー、各試験の測定結果を表1に示す。
なお、表1においては、実施例及び比較例の接合方法について、図2に示したように端子にのみホーンHOを接触させて導体にはホーンHOを接触させないで接合を行なう方法を方法A、図4~図7に示したように端子と導体の一方にホーンHOを接触させて接合を行った後、他方にホーンHOを接触させて接合を行なう方法を方法B、導体のみにホーンHOを接触させて端子にはホーンHOを接触させないで接合を行なう従来の方法を方法Cとした。
また、表1においては、方法BでホーンHOを端子2Aに接触させるときに、ホーンHOの位置が端子2Aに接している導体31の先端部分の上方の位置である場合を先端側、ホーンHOの位置が導体31において端子2Aに接している部分で先端側と反対側の部分の上方の位置である場合を後端側、端子2AにホーンHOを接触させる位置と、導体31にホーンHOを接触させる位置が導体31の長手方向で同じ場合を同一としている。
また、表1においては、ホーンHOを端子2Aに接触させて接合するときのエネルギーを第1エネルギー、ホーンHOを導体31に接触させて接合するときのエネルギーを第2エネルギーとしている。
表1に示すようにピール強度については、第1実施例~第10実施例のいずれも第1比較例及び第2比較例より高い強度を得ることができた。また、方法Bでの接合を行った第6実施例~第8実施例については、導体の公称断面積が同じである第2比較例と比較すると、ピール強度と引張強度の両方とも第2比較例より高い強度を得ることができた。また、方法Bでの接合を行った第9実施例及び第10実施例についても、導体の公称断面積が同じである第1比較例と比較すると、ピール強度と引張強度の両方とも第1比較例より高い強度を得ることができた。
以上説明したように本実施形態によれば、特別な治具を必要とすることなく、従来の超音波接合機を用いる簡易な方法で、端子と導体との接合の強度を上げることができる。
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。なお、上述した実施形態及び以下の変形例は、各々を組み合わせてもよい。上述した各実施形態及び各変形例の構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態や変形例に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、他の様々な形態で実施可能である。例えば上述の実施形態を以下のように変形して本発明を実施してもよい。なお、上述した実施形態及び以下の変形例は、各々を組み合わせてもよい。上述した各実施形態及び各変形例の構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。また、さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。よって、本発明のより広範な態様は、上記の実施の形態や変形例に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
上述した実施形態においては、被覆電線3は、XZ平面に沿った断面が円形の電線であるが、被覆電線3は、XZ平面に沿った断面が矩形である偏平電線であってもよい。
上述した端子付き電線1と、例えば他の端子付き電線とを複数束ねることによりワイヤハーネスを形成してもよい。このワイヤハーネスは、例えば自動車に配索される。
1 端子付き電線
2、2A 端子
3 被覆電線
21 締結部
22 接合部
23 圧着部
31 導体
32 被覆部
211 穴
221 底部
222A、222B 側壁部
231A、231B 圧着片
301 素線
311 第1接合痕
312 第2接合痕
AN アンビル
CK1、CK2 チャック
HO ホーン
2、2A 端子
3 被覆電線
21 締結部
22 接合部
23 圧着部
31 導体
32 被覆部
211 穴
221 底部
222A、222B 側壁部
231A、231B 圧着片
301 素線
311 第1接合痕
312 第2接合痕
AN アンビル
CK1、CK2 チャック
HO ホーン
Claims (11)
- 複数の金属素線よりなる導体を有する電線と、
前記導体が接合される端子とを有し、
前記導体が前記端子の表面に接合されており、
前記端子の裏面に第1種の接合痕を有し、
前記導体において前記端子と接している側と反対側に第2種の接合痕を有し、
前記第1種の接合痕の表面粗さが前記第2種の接合痕の表面粗さより粗い
端子付き電線。 - 前記導体において前記端子と接している側と反対側にも前記第1種の接合痕を有する
請求項1に記載の端子付き電線。 - 前記第1種の接合痕は、前記電線の被覆から露出した前記導体の根元側にある
請求項2に記載の端子付き電線。 - 前記導体において前記端子と接している側と反対側にある前記第1種の接合痕は、前記電線の被覆から露出した前記導体の根元側にある
請求項2に記載の端子付き電線。 - 前記端子の裏面にも前記第2種の接合痕を有する
請求項2に記載の端子付き電線。 - 前記第1種の接合痕は、超音波接合機のホーンに対応した接合痕であり、
前記第2種の接合痕は、超音波接合機のアンビルに対応した接合痕である、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の端子付き電線。 - 前記導体の断面積は、20sq以上80sq以下である
請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の端子付き電線。 - 前記導体の断面積は、40sq以上80sq以下である
請求項7に記載の端子付き電線。 - 前記導体と前記端子の素材が銅又は銅合金である
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の端子付き電線。 - 複数の金属素線よりなる導体を有する電線と、前記導体が接合された端子とを有する端子付き電線の製造方法であって、
前記導体に超音波接合機のアンビルを接触させ、前記導体が接する端子の裏面に超音波接合機のホーンを接触させて前記導体と前記端子との超音波接合を行なう工程
を有する端子付き電線の製造方法。 - さらに、前記導体に超音波接合機のホーンを接触させ、前記導体が接する端子の裏面に超音波接合機のアンビルを接触させて前記導体と前記端子との超音波接合を行なう工程を有する
請求項10に記載の端子付き電線の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022058185A JP2023149552A (ja) | 2022-03-31 | 2022-03-31 | 端子付き電線及び端子付き電線の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2023149552A true JP2023149552A (ja) | 2023-10-13 |
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Family Applications (1)
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JP2022058185A Pending JP2023149552A (ja) | 2022-03-31 | 2022-03-31 | 端子付き電線及び端子付き電線の製造方法 |
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-
2022
- 2022-03-31 JP JP2022058185A patent/JP2023149552A/ja active Pending
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