JP2017187118A - 軸受密封装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転トルクの低減を図ることができる軸受密封装置を提供する。【解決手段】相対的に同軸回転する内側部材5及び外側部材2で構成される軸受空間Sを密封する軸受密封装置10であって、前記内側部材及び前記外側部材のうち一方の部材に嵌合される円筒部600を有した芯金60と、前記芯金に固着され他方の部材に接触する2以上のリップ部611,612,613を有したシールリップ部材61とを備え、前記リップ部のうち少なくとも2以上のリップ部に、前記他方の部材に接触した状態で前記リップ部の表裏の空間を常時通気する通気部400が設けられていることを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、例えば、自動車等の車輪支持部の軸受空間を密封する軸受密封装置に関し、さらに詳しくは、外輪(外側部材)と内輪(内側部材)との間に装着されリップ部を備えた軸受密封装置に関する。
前記のような軸受密封装置において、外輪もしくは内輪が回転すると、使用環境等の影響を受け、軸受空間の内圧が変動し、リップ部が接触する部材(接触面)に貼り付いて吸着された状態となり、回転トルク上昇の一因になることが問題とされている。
下記特許文献1には、軸受密封装置を構成するシールリップのうち、軸受内部空間に接する位置に設けられたグリースリップの締め代が、軸受内部空間内の圧力上昇に伴って増大することを抑えるため、グリースリップの先端部に弁機構である突起を設けたものが開示されている。また下記特許文献2には、軸受密封装置を構成するシールリップのうち、アキシャルリップの周方向に互いに間隔をおいて位置する複数の突起部を有しているものが開示されている。
特開2015−143564号公報 特開2010−281386号公報
上記特許文献1の軸受密封装置の弁機構の場合、グリースリップは接触面に対して常に離間した状態になく、グリースリップが内圧で変動した時に軸受空間とグリースリップの外部側空間とが連通した状態となり、空気が排気される構成になっている。よって、実際には、軸受装置の外側部材と内側部材とは互いに偏心することがあるので、空気の排気のコントロールは難しいことが考えられる。
また上記特許文献2の軸受密封装置の突起部の場合、アキシャルリップに突起部が設けられているため、アキシャルリップの突起部と弾接面との隙間からダストや泥水等が侵入するおそれが考えられる。
本発明は、前記実情に鑑みなされたもので、回転トルクの低減を図ることができる軸受密封装置を提供することを目的としている。
本発明に係る軸受密封装置は、相対的に同軸回転する内側部材及び外側部材で構成される軸受空間を密封する軸受密封装置であって、前記内側部材及び前記外側部材のうち一方の部材に嵌合される円筒部を有した芯金と、前記芯金に固着され他方の部材に接触する2以上のリップ部を有したシールリップ部材とを備え、前記リップ部のうち少なくとも2以上のリップ部に、前記他方の部材に接触した状態で前記リップ部の表裏の空間を常時通気する通気部が設けられていることを特徴とする。
本発明の軸受密封装置によれば、上記構成の通気部が設けられたリップ部を2以上とすることで、他方の部材に吸盤のように貼り付いてしまうリップ部の数を減らすことができるので、回転トルクの低減を図ることができる。
本発明において、隣接する前記リップ部のそれぞれに前記通気部が設けられ、その隣接する前記通気部同士は、周方向に互いにずれた位置に設けられているものとしても良い。
本発明によれば、例えば最も外径側のリップ部に設けられた通気部よりダストや泥水等が侵入した場合でも、隣接する通気部同士が周方向にずれた位置に設けられているので、侵入してきたダストや泥水等が内径側のリップ部における通気部に至る時間が遅延され、泥水等が侵入しにくい構成とされている。
本発明において、前記通気部は、切欠き、貫通孔、突起のいずれかで構成されているものとしても良い。
本発明によれば、いずれの構成としても、リップ部に容易に通気部を設けることができる。
本発明において、前記通気部の形成面積が、4mm以下とされているものとしても良い。
本発明によれば、通気部の形成面積を4mm以下と小さくすることで、空気を通しても、ダストや泥水等の侵入がし難くすることができる。
本発明において、最も外径側のリップ部に設けられた前記通気部の形成面積が、他のリップ部に設けられた前記通気部の形成面積より小さいものとしても良い。
本発明によれば、最も外径側のリップ部の通気部を他の通気部より小さく形成すれば、ダストや泥水等の侵入がし難いものとすることができる。
本発明において、最も内径側のリップ部に設けられた前記通気部の形成面積が、他のリップ部に設けられた前記通気部の形成面積より大きいものとしても良い。
本発明によれば、軸受空間内に圧力変動が生じても、内径側のリップ部における通気部の通気性が保たれ、他方の部材に対する吸着力が生じにくいものとすることができ、且つ、軸受空間内のグリースを漏出させることなく維持することができる。
本発明の軸受密封装置によれば、回転トルクの低減を図ることができる。
本発明に係る軸受密封装置が適用される軸受装置の一例を示す概略的縦断面図である。 本発明に係る軸受密封装置の第一の実施形態を示す図であり、(a)は図1のX部の拡大図である。(b)は同軸受密封装置の芯金に固着されたシールリップ部材の形状を説明するための概略的断面図(図3のA−A線概略的断面図)である。 同軸受密封装置に設けられるシールリップ部材を説明するための図であり、図2(b)の矢示Z方向に沿って見たシールリップ部材のみの全体図である。 同実施形態の軸受密封装置の通気部の切欠き形状の変形例を示す図2と同様図である。 同実施形態の軸受密封装置の変形例を示す図2と同様図である。 同実施形態の軸受密封装置の異なる変形例を示す図2と同様図である。 (a)は図1のY部の拡大図であって、本発明に係る軸受密封装置の第二の実施形態を示す図であり、(b)は同軸受密封装置の芯金に固着されたシールリップ部材の形状を説明するための概略的断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。図1は、自動車の車輪(不図示)を軸回転可能に支持する軸受装置1を示す。この軸受装置1は、大略的に、外側部材としての外輪2と、ハブ輪3と、ハブ輪3の車体側に嵌合一体とされる内輪部材4と、外輪2とハブ輪3及び内輪部材4との間に介装される2列の転動体(ボール)6…とを含んで構成される。この例では、ハブ輪3及び内輪部材4が内側部材としての内輪5を構成する。外輪2は、自動車の車体(不図示)に固定される。また、ハブ輪3にはドライブシャフト7が同軸的にスプライン嵌合され、ドライブシャフト7は等速ジョイント8を介して不図示の駆動源(駆動伝達部)に連結される。ドライブシャフト7はナット9によって、ハブ輪3と一体化され、ハブ輪3のドライブシャフト7からの抜脱が防止されている。内輪5(ハブ輪3及び内輪部材4)は、外輪2に対して、軸L回りに回転可能とされ、外輪2と、内輪5とにより、相対的に回転する2部材が構成され、該2部材間に環状の軸受空間Sが形成される。軸受空間S内には、2列の転動体6…が、リテーナ6aに保持された状態で、外輪2の軌道輪2a、ハブ輪3及び内輪部材4の軌道輪3a,4aを転動可能に介装されている。ハブ輪3は、円筒形状のハブ輪本体30と、ハブ輪本体30より立上基部31を介して径方向外側に延出するよう形成されたハブフランジ32を有し、ハブフランジ32にボルト33及び不図示のナットによって車輪が取付固定される。以下において、軸L方向に沿って車輪に向く側(図1において左側を向く側)を車輪側、車体に向く側(同右側を向く側)を車体側と言う。
軸受空間Sの軸L方向に沿った両端部であって、外輪2と内輪部材4、及び外輪2とハブ輪3との間には、軸受密封装置10,11が装着され、軸受空間Sの軸L方向に沿った両端部が密封される。これら軸受密封装置10,11によって、軸受空間S内への泥水等の侵入や軸受空間S内に充填される潤滑剤(グリース等)の外部への漏出が防止される。
軸受密封装置10,11のうち、以下ではまず図2〜図6では車体側の軸受密封装置10に適用した例を説明するが、図7に示すように車輪側の軸受密封装置11にも本発明を適用することも可能である。なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略しており、図中の2点鎖線は、リップ部が弾性変形する前の状態を示している。
図2、図3を参照しながら、第一の実施形態に係る軸受密封装置10を説明する。軸受密封装置10は、外輪2に内嵌される円筒部600を有した芯金60と、芯金60に固着されスリンガ50に接触するリップ部611,612,613を有したシールリップ部材61とを備えている。これらリップ部611,612,613のそれぞれには、スリンガ50に接触した状態でリップ部611,612,613の表裏の空間を常時通気する通気部400が設けられており、この例では通気部400が切欠き40(40a,40b,40c)で構成された例を示している。
芯金60は、外輪2の車体側内径面2bに内嵌される円筒部600と、円筒部600の軸受空間S側の端部600aから内径側に延びる内向鍔部601とを有している。スリンガ50は、内輪5(内輪部材4)の外径面4bに外嵌されるスリンガ円筒部500と、スリンガ円筒部500の軸受空間Sとは反対側の端部500aから外径側に延びる外向鍔部501とを有している。芯金60及びスリンガ50は、鋼板をプレス加工することにより断面が略L字状に形成され、これらを図2(a)に示すように互いに対向して組み合わせることでいわゆるパックシールを構成している。
シールリップ部材61は、ゴム材からなり、芯金60に加硫成型により固着一体とされる。シールリップ部材61は、シールリップ基部610と、シールリップ基部610から延出された複数のリップ部611,612,613とを有している。これらリップ部611,612,613の個数や形状は図例に限定されないが、図2(a)、(b)に示す軸受密封装置10は、リップ部が3個形成された例を示している。すべてのリップ部611,612,613の先端611a,612a,613aには、その一部が切欠かれた(図3参照)切欠き40a,40b,40cがそれぞれに設けられている。よってリップ部611,612,613の先端611a,612a,613aが、スリンガ50に接触することで、切欠き40a,40b,40cとスリンガ50との接触面との間に隙間ができ、そこに通気部400,400,400が構成される。
通気部400,400,400は、すべてのリップ部611,612,613の先端611a,612a,613aに設けられているので、内輪5の回転・非回転に関わらず、スリンガ50に接触した状態で軸受空間Sの内外に常時通気するように設けられているので、通気部400の通気に軸受装置1の偏心や動きが影響することがなく、軸受空間Sの内外、具体的には軸受密封装置10による密封空間の軸受空間S側と外部側の圧力差の発生を防止することができる。軸受空間Sは、内輪5の回転に伴う転動体6…の摩擦熱によって軸受空間S内の温度が上がる一方、内輪5の回転停止に伴って温度が下がる。このときに生じる軸受空間Sの温度変化によって軸受空間Sの内圧に変動が生じるが、上記構成によれば通気部400を通じて空気が常時流通するのでそこが空気抜きとなり、リップ部611,612,613がスリンガ50に吸盤のように貼り付いてしまうことを防ぐことができる。また、このような貼り付きを防止できるので、回転トルクの低減を図ることができ、さらにリップ部611,612,613の摩耗促進の低減を図ってリップ寿命を延ばすことができる。
次に図2(b)、図3を参照しながら、シールリップ部材61、シールリップ基部610及び各リップ部611,612,613についてさらに説明する。ここでは最も外径側のリップ部をサイドリップ611という。また最も内径側、すなわち軸受空間S側に設けられたリップ部をグリースリップ613という。さらにサイドリップ611とグリースリップ613の間に設けられたリップ部をラジアルリップ612という。シールリップ基部610は、芯金60における内向鍔部601の軸受空間S側の面601aの一部から内周縁部601bを回り込み、内向鍔部601の軸受空間Sとは反対側の面601cの全面及び円筒部600の内径面600bの全面を覆い、芯金60に固着一体とされている。そしてそのように形成されたシールリップ基部610からスリンガ50の外向鍔部501に向けてサイドリップ611が、スリンガ50のスリンガ円筒部500に向けてラジアルリップ612及びグリースリップ613が延出して形成されている。
サイドリップ611の形状は、特に限定されないが、サイドリップ611が、先端に向かって徐々に径大化して形成されている。サイドリップ611のスリンガ50の外向鍔部501と摺接する面には、グリース(不図示)が塗布されており、その摺接箇所の一部に切欠き40aが形成されている。ラジアルリップ612の形状も特に限定されないが、先端に向かって徐々に径小化するとともに、軸受空間S側とは反対側に向いて形成されている。ラジアルリップ612は、サイドリップ611を通過してしまったダストや泥水等がさらに軸受空間S側に侵入することを防止できるように形成されている。ラジアルリップ612のスリンガ50のスリンガ円筒部500と摺接する面にはグリース(不図示)が塗布されており、その摺接箇所の一部に切欠き40bが設けられている。グリースリップ613の形状も特に限定されないが、図2に示す例は、シールリップ基部610からラジアルリップ612と二股に分かれ、先端に向かって径小化するとともに、軸受空間S側に向いて形成されている。グリースリップ613は、軸受空間Sに充填されているグリースが軸受密封装置10を経て外部へ漏れないように形成されている。グリースリップ613のスリンガ50のスリンガ円筒部500と摺接する面にはグリース(不図示)が塗布されており、その摺接箇所の一部に切欠き40cが形成されている。
図3は、軸受密封装置10に設けられたシールリップ部材61のみを示す図であり、図2(b)の矢示Z方向に沿って見た図である。シールリップ部材61は、このように円形の環状体で構成され、隣接するリップ部、すなわちサイドリップ611とラジアルリップ612、ラジアルリップ612とグリースリップ613のそれぞれに設けられた切欠き40a,40b,40c同士は、周方向に互いにずれた位置に設けられている。具体的には、サイドリップ611の先端611aに形成された切欠き40aの位置を基準とすると、ラジアルリップ612の先端612aに形成された切欠き40bは、サイドリップ611の切欠き40aから180°ずらした位置に形成されている。またグリースリップ613の先端613aに形成された切欠き40cは、ラジアルリップ612の切欠き40bから180°ずらして位置に形成されており、サイドリップ611の切欠き40aとは重なる位置に形成されている。よって、図2(a)、図2(b)には、ラジアルリップ612の先端612aに形成された切欠き40bが示されていないが、実際にはサイドリップ611の切欠き40aから180°ずらした位置に形成されている。
このようにずらして切欠き40a,40b,40cを形成すれば、例えばサイドリップ611に設けられた通気部400からダストや泥水等が侵入した場合でも、ラジアルリップ612の存在が壁となる。そして、サイドリップ611に設けられた通気部400とラジアルリップ612に設けられた通気部400とは、周方向にずれた位置に設けられているので、侵入してきたダストや泥水等がラジアルリップ612に設けられた通気部400に至る時間が遅延され、グリースリップ613まで泥水等が侵入しにくい構造とすることができる。また逆にグリースリップ613に設けられた通気部400から軸受空間S側のグリースが流入したような場合でも、グリースリップ613に設けられた通気部400とラジアルリップ612に設けられた通気部400とは、周方向にずれた位置に設けられているので、侵入してきたグリースがラジアルリップ612に設けられた通気部400に至る時間が遅延され、サイドリップ611まで軸受空間S側のグリースが至ることを防止することができる。
なお、基準とする通気部400(切欠き40a)から隣合うリップ部の通気部400(切欠き40b)の形成位置をどの程度ずらすかは、上記のように一番離間して設けることができる180°が望ましいが、これに限定されない。例えば90°程度としても、基準とする通気部400(切欠き40a)の形成面積が後記するように小さければ、泥水等の侵入を防止できるので、問題にならない。また図3では切欠き40a,40b,40cは湾曲した円弧状に切り欠かれた例を示しているが、その形状も特に限定されず、略方形状や略三角形状等に切り欠かれたものとしてもよい。
図4(a)及び図4(b)には、通気部400の切欠き形状の変形例を示している。
図2、図3に示した切欠き40a,40b,40cは、スリンガ50との接触面の一部に形成され、成型型の一部に凹部(溝部)を設けて形成することが想定されるが、このような切欠き40a,40b,40cに限定されるものではなく、図4に示すように成型後に後加工にてリップ部611,612,613の一部を刃物等で切り欠いて形成するようにしてもよい。
リップ部611,612,613の切欠き40a,40b,40cがスリンガ50に接触することで構成される1つの通気部400の形成面積は、特に限定されないが、例えば4mm以下であることが望ましい。通気部400の形成面積は4mm以下程度の小さい方が、空気を通しても、ダストや泥水等の侵入がし難く、望ましい。通気部400の形成面積は、内輪5の回転・非回転に関わらず、スリンガ50に接触した状態でリップ部611,612,613の表裏の空間を常時通気すれば、1mm程度としてもよい。また複数のリップ部611,612,613のうち最も外径側のサイドリップ611に設けられた通気部400の形成面積が、他のリップ部612,613に設けられた通気部400,400の形成面積より小さいことが望ましい。サイドリップ611は、最も外径側に配され、外部からの泥水等のアタックを複数のリップ部611,612,613の中で最初に受けるリップであるため、サイドリップ611の切欠き40aによって設けられる通気部400を他の通気部400(40b),400(40c)より小さく形成すれば、ダストや泥水等の侵入がし難いものとすることができる。
複数のリップ部611,612,613のうち最も内径側のグリースリップ613に設けられた通気部400(40c)の形成面積が、サイドリップ611,ラジアルリップ612に設けられた通気部400(40a),400(40b)の形成面積より大きく形成してもよい。この場合、グリースリップ613における通気部400の通気性が保ちやすくなるため、リップ部611,612,613のスリンガ50への吸着が生じにくくなる。
なお、上記の例では、複数のリップ部611,612,613のすべてに各1か所ずつ通気部400が設けられた例を説明したが、これに限定されるものではない。例えばサイドリップ611には、図例のように1か所の通気部を形成し、グリースリップ613には、2ヵ所の通気部を形成するようにしてもよい。このようにひとつのリップ部に複数の通気部を形成する場合の通気部の構成も、組み合わせて構成してもよい。例えばリップ部の先端は図2、図3及び図4に示すような切欠きや図6に示すような突起とし、別の箇所には図5で示すような貫通孔としてもよい。上述のように通気部のあるリップ部を2以上有するようにものとすれば、スリンガ50へ吸着してしまうリップ部の数を減らすことができるので、回転トルクの低減を図ることができる。
図5、図6に示す軸受密封装置は、同実施形態の変形例である。ここでは図2、図3に示す軸受密封装置と異なる点を説明し、共通部分に同一の符号を付し、共通する作用・効果等の説明は割愛する。
図5に示す軸受密封装置10Aは、通気部400が貫通孔41で構成されている点が上記の例と異なる。また通気部400が、ラジアルリップ612とグリースリップ613とに形成され、サイドリップ611に通気部400が設けられていない点が上記の例と異なる。ラジアルリップ612に設けられた通気部400、すなわち貫通孔41aは、ラジアルリップ612の中間部位、具体的にはシールリップ基部610と先端612aの中間位置に形成され、スリンガ50に摺接しない箇所で表裏に貫通していれば、図例よりもシールリップ基部610寄り(グリースリップ613との分岐点寄り)に形成されていてもよい。またグリースリップ613に設けられた通気部400、すなわち貫通孔41bも、グリースリップ613の中間部位、具体的にはシールリップ基部610と先端613aの中間位置に形成され、スリンガ50に摺接しない箇所で表裏に貫通していれば、図例よりもシールリップ基部610寄り(ラジアルリップ612との分岐点寄り)に形成されていてもよい。いずれにしても通気部400は、内輪5の回転・非回転に関わらず、ラジアルリップ612、グリースリップ613がスリンガ50のスリンガ円筒部500に接触した状態で表裏に空気が流通するように形成された貫通孔41(41a,41b)であればよい。このようにラジアルリップ612とグリースリップ613に通気部400を設けるものとすれば、スリンガ50へ吸着してしまう可能性があるリップ部の数をサイドリップ611のみに減らすことができるとともに、軸受空間S及びそれに通じる空間を広くすることができるので、その空間に生じる圧力差を低減することができる。よって、通気部のないサイドリップ611のスリンガ50への吸着が生じにくいものとすることができる。またこの例においては、外部空間側に位置するサイドリップ611には、通気部が設けられていないので、外部からのダストや泥水等の侵入に対するシール性を維持することができる。
この例においても、シールリップ部材61の形状・構成等は図例に限定されず、複数のリップ部611,612,613のすべてに貫通孔41で構成された通気部400が設けられたものとしてもよいし、いずれか2以上のリップ部に設けられたものとしてもよい。またサイドリップ611に貫通孔41で構成された通気部400を形成する場合、スリンガ50に接触しない位置であれば、複数個設けてもよい。さらに基準とする通気部400から隣合うリップ部の通気部400の形成位置をどの程度ずらすかは、図2、図3に示す例と同様とすることができる。またこの例において通気部400の形成面積は貫通孔41の開口部の開口面積に相当し、この開口面積をどの程度にするかについては、図2、図3に示す例と同様とすることができる。
図6に示す軸受密封装置10Bは、通気部400がスリンガ50側に向けて突出した突起42がスリンガ50に接触することで構成されている点が上記の例と異なる。また通気部400が、サイドリップ611とグリースリップ613とに設けられ、ラジアルリップ612に通気部400が設けられていない点が上記の例と異なる。
サイドリップ611に設けられた通気部400は、サイドリップ611の先端611aに形成された突起42aがスリンガ50の外向鍔部501に接触し、その突起42aによって浮いた箇所に隙間が形成され、その隙間が空気が流通する通気部400となる。すなわち、突起42aがスリンガ50の外向鍔部501に接触することで、サイドリップ611の先端611aに撓みが生じ、突起42aを挟んで隣合う部分に通気部400が形成されるのである。グリースリップ613に設けられた通気部400も、グリースリップ613の先端613aに形成された突起42bによって形成される隙間で構成される。いずれの突起42a,42bもその形状は限定されないが、内輪5の回転・非回転に関わらず、サイドリップ611、グリースリップ613がスリンガ50の外向鍔部501、スリンガ円筒部500に接触した状態でサイドリップ611及びグリースリップ613の表裏の空間を常時空気が流通する通気部400を構成できるものであればよい。
この例においても、シールリップ部材61の形状・構成等は図例に限定されず、複数のリップ部611,612,613のすべてに突起42で構成された通気部400が設けられたものとしてもよいし、いずれか2以上のリップ部に設けられたものとしてもよい。また隣合うリップ部のそれぞれに突起42がある場合、基準とする突起42から隣合うリップ部の突起42をどの程度ずらすかは、図2、図3に示す例と同様とすることができる。さらに通気部400の形成面積については、この例の場合は、突起42の形成面積ではなく、突起42によって形成される隙間の面積になる。すなわち、この例では、突起42を挟んで両側にできる隙間の面積を合計して4mm以下とされていることが望ましい。
図7は、本発明に係る軸受密封装置の第二の実施形態を示す。本実施形態の軸受密封装置(軸受密封装置)11は、車輪側の軸受密封装置を示しており、軸受密封装置11は、外輪2の内径面2cに内嵌される芯金70と、芯金70に固着されハブフランジ32、具体的にはハブ輪本体30と立上基部31とに接触する2以上のリップ部711,712,713を有したシールリップ部材71とを備えている。
これらリップ部711,712,713のそれぞれには、内輪5の回転・非回転に関わらず、ハブ輪本体30及び立上基部31に接触した状態で表裏に常時通気するように貫通孔41,41,41で構成された通気部400,400,400が設けられている。
芯金70は、鋼板をプレス加工して形成され、外輪2の内径面2cに内嵌される円筒部700と、円筒部700の車輪側の端部700aから内径側に延びる内向鍔部701とを有している。シールリップ部材71は、ゴム材からなり、芯金60に加硫成型により固着一体とされる。シールリップ部材71は、シールリップ基部710と、シールリップ基部710から延出された複数のリップ部711,712,713とを備える。リップ部711,712,713の個数や形状は図例に限定されないが、図7(a)、(b)に示す軸受密封装置11は、リップ部が3個形成された例を示しており、すべてのリップ部711,712,713の中間部位、具体的にはシールリップ基部710と各先端711a,712a,713aの中間位置に貫通孔41,41,41で構成された通気部400,400,400が形成されている。図例の通気部400は、リップ部711,712,713の中間部位に形成されている例を示しているが、これに限定されず、ハブ輪本体30及び立上基部31に摺接しない箇所で表裏に貫通していればよい。
これにより奏する効果は、第一の実施形態と同じである。すなわち第二の実施形態における軸受密封装置11においてもリップ部711,712,713には、内輪5の回転・非回転に関わらず、ハブ輪本体30及び立上基部31に接触した状態で常時空気が流通する通気部400,400,400が設けられているので、通気部400の通気に軸受装置1の偏心や動きが影響することがなく、軸受空間Sの内外、具体的には軸受密封装置10による密封空間の軸受空間S側と外部側の圧力差の発生を防止することができる。上述したように軸受空間Sの温度変化によって軸受空間Sの内圧に変動が生じるが、上記構成によれば通気部400を通じて空気が流通するのでそこが空気抜きとなり、リップ部711,712,713がハブ輪本体30もしくは立上基部31に吸盤のように貼り付いてしまうことを防ぐことができる。また、このような貼り付きを防止できるので、回転トルクの低減を図ることができ、さらにリップ部711,712,713の摩耗促進の低減を図ってリップ寿命を延ばすことができる。
この第二の実施形態においても、シールリップ部材71の形状・構成等は図例に限定されず、複数のリップ部711,712,713のうち、通気部400がいずれか2個のリップ部に設けられたものとしてもよい。また最も外径側のリップ部711に貫通孔で構成された通気部400を形成する場合、立上基部31に接触しない位置であれば、複数個設けてもよい。さらに基準とする通気部400から隣合うリップ部の通気部400の形成位置をどの程度ずらすか、また通気部400の形成面積については、第一の実施形態と同様とすることができる。さらに通気部400の構成も貫通孔に限定されず、切欠き40や突起42としていい点も第一の実施形態と同様とすることができる。そして、図例ではリップ部711,712,713が直接ハブ輪本体30及び立上基部31に接触する例を示しているが、これに限定されず、円筒形状でハブ輪本体30の外径面30aに嵌合される円筒部と、円筒部の車輪側一端部から立上基部31に沿って外径側に延びる鍔部とを有したスリンガ(不図示)に接触するものにも適用できる。
なお、前記実施形態では、本発明に係る軸受密封装置が、自動車用の軸受装置に適用される例について述べたが、これに限らず、相対的に同軸回転する内側部材及び外側部材を備えるものであれば、他の機械装置にも等しく適用可能であり、外輪2が回転し内輪5が固定される軸受装置であってもよい。また、芯金60,70及びこれに固着されるシールリップ部材61,71、スリンガ50の形状・構成も図例のものに限定されず、リップ部611,612,613,711,712,713の形状や数等も図例のものに限定されず、他の態様も採用可能である。またスリンガ50に回転検出を行うためのエンコーダが固着されたものであってもよいことは言うまでもない。
2 外輪(外側部材)
5 内輪(内側部材)
S 軸受空間
10(10A,10B),11 軸受密封装置
60,70 芯金
600,700 円筒部
61,71 シールリップ部材
611,612,613 リップ部
711,712,713 リップ部
400 通気部
40(40a〜40c) 切欠き
41(41a,41b) 貫通孔
42(42a,42b) 突起

Claims (6)

  1. 相対的に同軸回転する内側部材及び外側部材で構成される軸受空間を密封する軸受密封装置であって、
    前記内側部材及び前記外側部材のうち一方の部材に嵌合される円筒部を有した芯金と、前記芯金に固着され他方の部材に接触する2以上のリップ部を有したシールリップ部材とを備え、
    前記リップ部のうち少なくとも2以上のリップ部には、前記他方の部材に接触した状態で前記リップ部の表裏の空間を常時通気する通気部が設けられていることを特徴とする軸受密封装置。
  2. 請求項1に記載の軸受密封装置において、
    隣接する前記リップ部のそれぞれに前記通気部が設けられ、その隣接する前記通気部同士は、周方向に互いにずれた位置に設けられていることを特徴とする軸受密封装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の軸受密封装置において、
    前記通気部は、前記リップ部に形成された切欠き、貫通孔、突起のいずれかで構成されていることを特徴とする軸受密封装置。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の軸受密封装置において、
    前記通気部の形成面積が、4mm以下とされていることを特徴とする軸受密封装置。
  5. 請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の軸受密封装置において、
    最も外径側のリップ部に設けられた前記通気部の形成面積が、他のリップ部に設けられた前記通気部の形成面積より小さいことを特徴とする軸受密封装置。
  6. 請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の軸受密封装置において、
    最も内径側のリップ部に設けられた前記通気部の形成面積が、他のリップ部に設けられた前記通気部の形成面積より大きいことを特徴とする軸受密封装置。
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