JP2017187065A - 断熱体および低温タンク - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内部を気密空間に形成可能な外装材で気密容器を形成し、前記気密容器の内部空間に、外圧に対抗して内部空間を維持するためのスペーサー部材を収容し、内部空間の内側から外側への気体の排出を許容すると共に、外側から内側への気体の侵入を阻止する逆止弁を気密容器に設けて断熱体5を構成し、内部に低温媒体を貯蔵可能な貯蔵空間Sを形成する外殻壁を、少なくとも2層の断熱壁体2から形成すると共に、厚み方向に並設する断熱壁体2A,2B間の断熱空間Vは、気体を排除した減圧状態にしてある低温タンク3の断熱空間V内で、外側の断熱壁体2B側に、断熱体5を設置して断熱壁体2Bの内面を覆ってある。
【選択図】図1
Description
そのために、前記断熱体の成型後には、その内部空間の減圧度を調整することはできない。
そして、前記低温タンクは、厚み方向に並設する前記断熱壁体間の断熱空間を、気体を排除して真空又は真空に近い減圧状態にして、貯蔵空間に対する断熱性能を高くできるように構成することが考えられている(日本機械学会著、「伝熱工学資料」、丸善出版株式会社出版、2013年3月11日 、P208−209)、(三澤忠則編集、「別冊化学工業 28−10 新増補 真空」、株式会社化学工業社発行 昭和60年6月10日、P166−175)。
そこで、大きな容量の貯蔵空間になればなるほど、断熱空間が大きくなり、低温タンクの断熱空間の減圧状態を高く維持するためには、定期的に減圧空間内の気体を排出する必要がある。
しかし、例えば地震などの事故により、前記断熱空間の真空破壊が生じた場合には、断熱性能が急激に低下して貯蔵空間内の貯蔵物が、例えば液体水素のような極低温状態に維持しなければならない低温媒体の場合には、突沸する危険性があった。
そこで、例えば前記断熱空間に、予め内部空間を減圧してある前記断熱体を断熱壁体の表面を覆うように配置して、前記断熱空間内の空気を排気しておいて、例え断熱空間の断熱破壊が発生しても、少なくとも前記断熱体で低温タンクの断熱性能を維持できるようにすることが考えられる。
ところが、低温タンクの断熱空間の減圧度が、断熱体の内部空間よりも高ければ、断熱体内部の残存気体等が膨張して、外装材に力が加わって変形が生じ、場合により破壊が生じる危険性があった。
従って、例えば断熱体を保温対象に対する断熱箇所に設置するまでは気密容器内を大気圧と同圧にしておいて、設置時に、断熱箇所の要求断熱度合によって、気密容器内の減圧度を設定調整したり、気密容器の劣化に伴う内部の減圧度の低下時に、再度その減圧度を復帰調整したりできる。
つまり、例えば断熱体を保温対象に対する断熱箇所に設置するまでは、開閉弁を開弁状態にして気密容器内を大気圧と同圧にしておいて、設置時に、断熱箇所の要求断熱度合によって、気密容器内の減圧度を設定調整した後に開閉弁を閉弁状態にしたり、気密容器の劣化に伴う内部の減圧度の低下時に、開閉弁を再度開閉操作して気密容器内の減圧度を復帰調整したりできる。
その上、例え不測に断熱空間の真空破壊が発生して減圧度が減少して保冷性能が低下したとしても、断熱体の内部空間は、逆止弁により外部から気体が侵入するのを阻止して低圧に維持される。
従って、断熱壁体の内面を覆う断熱体により、低温タンクは低温媒体の貯蔵空間に対する保冷性能の低下を抑制できる。
その上、断熱空間内を減圧状態にした後に、開閉弁を閉弁操作しておけば、例え不測に断熱空間の真空破壊が発生して減圧度が減少して保冷性能が低下したとしても、断熱体の内部空間は、閉弁した開閉弁により外部から気体が侵入するのを阻止して低圧に維持され、断熱壁体の内面を覆う断熱体により、低温タンクは低温媒体の貯蔵空間に対する保冷性能の低下を抑制できる。
その上、例え不測に断熱空間の真空破壊が発生して減圧度が減少して保冷性能が低下したとしても、断熱体の内部空間は、自動閉弁装置により開閉弁が閉弁した状態に操作されることにより、外部から気体が侵入するのを阻止して低圧に維持され、断熱壁体の内面を覆う断熱体により、低温タンクは低温媒体の貯蔵空間に対する保冷性能を維持できる。
近年、温暖化ガスの削減や、エネルギー安全保障の観点から、液体水素の一般利用が進められる傾向にあり、水素・燃料電池や液体水素を利用した火力発電のために、図1に示すように、内部に低温媒体として、例えば、液体水素1を貯蔵可能な貯蔵空間Sを形成する外殻壁を、少なくとも2層の断熱壁体2から形成し、厚み方向に並設する断熱壁体2A,2B間の断熱空間Vは、気体を排除した減圧状態にしてある低温タンク3を構成する。
第1実施形態の前記断熱体5は、図2に示すように、内部を気密空間に形成可能なアルミ箔等の金属箔と樹脂シートとを積層した外装材で気密容器6を形成し、前記気密容器6の内部空間に、ガラス繊維材、パーライト、シリカ粉末、硬質ウレタンフォーム、エアロゲル等から成る外圧に対抗して内部空間を維持するためのスペーサー部材7を収容し、内部空間の内側から外側への気体の排出を許容すると共に、外側から内側への気体の侵入を阻止する逆止弁8を、気密容器6に設けてある。
第2実施形態の前記断熱体としては、内部を気密空間に形成可能な外装材で気密容器を形成し、気密容器の内部空間に、外圧に対抗して内部空間を維持するためのスペーサー部材を収容し、内部空間と外部とを連通させる開弁状態と、内部空間を気密状態にする閉弁状態とに切り換え操作自在な開閉弁を、気密容器に設けてある。
そして、その断熱体を、断熱空間内で、外側の断熱壁体側に多数設置して断熱壁体の内面を覆い、開閉弁夫々を電磁式開閉弁から構成して、断熱空間を気密にした状態で開閉弁夫々を外殻壁の外から開閉操作可能にしてある低温タンクを構成してある。
従って、この場合には、断熱空間から気体を排除する際に開閉弁を開弁状態にすることで、断熱体の内部空間の気体も共に吸引され、低温タンクの断熱空間と断熱体の内部空間とが同圧になり、断熱体の外装材に圧力が作用することはなく、そのためにスペーサーに外力が掛からずその性能は、長期にわたって維持できる。
その上、断熱空間内を減圧状態にした後に、開閉弁を閉弁操作しておけば、例え不測に断熱空間の真空破壊が発生して減圧度が減少して保冷性能が低下したとしても、断熱体の内部空間は、閉弁した開閉弁により外部から気体が侵入するのを阻止して低圧に維持され、断熱壁体の内面を覆う断熱体により、低温タンクは低温媒体の貯蔵空間に対する保冷性能を維持できる。
内部に低温媒体を貯蔵可能な貯蔵空間を形成する外殻壁を、少なくとも2層の断熱壁体から形成し、厚み方向に並設する断熱壁体間の断熱空間は、気体を排除した減圧状態にしてある低温タンクにおいて、第3実施形態として、内部を気密空間に形成可能な外装材で気密容器を形成し、気密容器の内部空間に、外圧に対抗して内部空間を維持するためのスペーサー部材を収容し、内部空間と外部とを連通させる開弁状態と、内部空間を気密状態にする閉弁状態とに切り換え操作自在な常開式の開閉弁を、気密容器に設けて断熱体を構成し、その断熱体を前記断熱空間内で、外側の断熱壁体側に、多数設置して断熱壁体の内面を覆い、断熱空間内の減圧度が設定値以上減少したのを検知する第1検知器を設け、第1検知器による検知に基づいて開閉弁を閉弁操作する自動閉弁装置を設けて低温タンクを構成してある。
従って、断熱空間から気体を排除する際に開閉弁は常開状態であるために、断熱体の内部空間の気体も共に吸引され、低温タンクの断熱空間と断熱体の内部空間とが同圧になり、断熱体の外装材に圧力が作用することはなく、そのためにスペーサーに外力が掛からずその性能は、長期にわたって維持できる。
その上、例え不測に断熱空間の真空破壊が発生して減圧度が減少して保冷性能が低下したとしても、断熱体の内部空間は、自動閉弁装置により開閉弁が閉弁した状態に操作されることにより、外部から気体が侵入するのを阻止して低圧に維持され、断熱壁体の内面を覆う断熱体により、低温タンクは低温媒体の貯蔵空間に対する保冷性能を維持できる。
以下に他の実施の形態を説明する。
〈1〉 前記断熱体5の気密容器6は、金属箔と樹脂シートとの積層したもの以外に、例えばステンレス板等の金属板から気密容器6を形成してあっても良い。そして、その形状は、パネル形状以外に、ブロック形状でもよい。
〈2〉 前記スペーサー部材7は、ガラス繊維材、パーライト、シリカ粉末、硬質ウレタンフォーム、エアロゲル等以外に、熱伝導率が低く、且つ、通気性が良好な材料又は、構造部材であればよく、例えば、多孔質のセラミック材料で成型したものなどでもよい。
〈3〉 前記低温タンク3には、その貯蔵空間Sに液体水素1以外に、液体窒素や液体酸素、液体ヘリウム等を貯蔵可能にしてあっても良い。
〈4〉 前記逆止弁8は、図2に示すように、気密容器6の一端部に設けるものの他に、図3に示すように、気密容器6の断熱空間Vに面する表面部の中央部に設けるものでもよい。いずれも、気密容器6の内部空間の内側から外側への気体の排出を許容すると共に、外側から内側への気体の侵入を阻止する逆止弁8が、気密容器6に付設してあればよい。
5 断熱体
6 気密容器
7 スペーサー部材
8 逆止弁
S 貯蔵空間
V 断熱空間
Claims (7)
- 内部を気密空間に形成可能な外装材で気密容器を形成し、
前記気密容器の内部空間に、外圧に対抗して前記内部空間を維持するためのスペーサー部材を収容してある断熱体であって、
前記内部空間の内側から外側への気体の排出を許容すると共に、外側から内側への気体の侵入を阻止する逆止弁を、前記気密容器に設けてある断熱体。 - 内部を気密空間に形成可能な外装材で気密容器を形成し、
前記気密容器の内部空間に、外圧に対抗して前記内部空間を維持するためのスペーサー部材を収容してある断熱体であって、
前記内部空間と外部とを連通させる開弁状態と、前記内部空間を気密状態にする閉弁状態とに切り換え操作自在な開閉弁を、前記気密容器に設けてある断熱体。 - 前記スペーサー部材は、ガラス繊維材、パーライト、シリカ粉末、硬質ウレタンフォーム、エアロゲルの中から選択された少なくとも1種からなるものである請求項1または2に記載の断熱体。
- 内部に低温媒体を貯蔵可能な貯蔵空間を形成する外殻壁を、少なくとも2層の断熱壁体から形成し、
厚み方向に並設する前記断熱壁体間の断熱空間は、気体を排除した減圧状態にしてある低温タンクであって、
前記断熱空間内で、外側の前記断熱壁体側に請求項1に記載の断熱体を設置して前記断熱壁体の内面を覆ってある低温タンク。 - 内部に低温媒体を貯蔵可能な貯蔵空間を形成する外殻壁を、少なくとも2層の断熱壁体から形成し、
厚み方向に並設する前記断熱壁体間の断熱空間は、気体を排除した減圧状態にしてある低温タンクであって、
前記断熱空間内で、外側の前記断熱壁体側に請求項2に記載の断熱体を、多数設置して前記断熱壁体の内面を覆い、
前記開閉弁夫々を電磁式開閉弁から構成して、前記断熱空間を気密にした状態で前記開閉弁夫々を前記外殻壁の外から開閉操作可能にしてある低温タンク。 - 内部に低温媒体を貯蔵可能な貯蔵空間を形成する外殻壁を、少なくとも2層の断熱壁体から形成し、
厚み方向に並設する前記断熱壁体間の断熱空間は、気体を排除した減圧状態にしてある低温タンクであって、
前記断熱空間内で、外側の前記断熱壁体側に請求項2に記載の断熱体を、多数設置して前記断熱壁体の内面を覆い、
前記開閉弁を常開式の開閉弁から構成すると共に、
前記断熱空間内の減圧度が設定値以上減少したのを検知する第1検知器を設け、
前記第1検知器による検知に基づいて前記開閉弁を閉弁操作する自動閉弁装置を設けてある低温タンク。 - 前記低温媒体が液体水素である請求項4〜6のいずれか1項に記載の低温タンク。
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