JP2017106636A - 低温用真空断熱容器 - Google Patents

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Abstract

【課題】十分な保冷性を得られてメンテナンス性にも優れ、保冷対象を選ばない低温用真空断熱容器を提供する。【解決手段】内容器3と外容器5に挟まれた空間4を真空減圧して真空断熱層10とした低温用真空断熱容器であって、上記真空断熱層10に、バインダーを使用せずに成形したグラスウールからなる断熱マット11が充填されている。このため、グラスウールによる十分な保冷性が確保される。また、粉末パーライトのように粉末の追加充填を行う必要もなく、メンテナンス性の問題もない。また、真空断熱層に充填された断熱マット11にはバインダーが使用されていないため、液化酸素に使用できないなどの保冷対象を選ぶことがない。【選択図】図1

Description

本発明は、低温液化ガスの容器や極低温機器の収容容器等に適用することができる低温用真空断熱容器に関するものである。
低温用真空断熱容器の一例として、液化ガス用低温槽が多くの産業で使用されている。液化ガス用低温槽は、窒素、アルゴン、酸素、炭酸ガス等の無機系ガスや天然ガス、エチレン等の有機系ガスが液化されたいわゆる低温液化ガスを貯蔵する。そして、これら低温液化ガスを液体のままあるいは気化させたガス状で取り出すことができるものである。
このような液化ガス用低温槽には、特許文献1(特開2007−24057)に開示された大型の定置式低温液化ガス貯槽や、特許文献2(実公平4−17906)に開示された比較的小型の可搬式低温液化ガス容器がある。また、特許文献3(特開2007−40386)に開示されたタンクローリ等に搭載する移動式のものもある。
このような液化ガス用低温槽は、魔法瓶のように、内部空間を囲う真空断熱層が設けられている。この真空断熱層は、内槽と外槽に挟まれた空間を真空にして対流を極限まで少なくし、断熱材を充填して熱伝導を低下させて構成される。この断熱材としては、一般に、パーラーイト粉末が用いられている。また、グラスウールが用いられることもある。
特開2007−24057号公報 実公平4−17906号公報 特開2007−40386号公報
グラスウールは、液化ガス用低温槽のメンテナンス時における真空断熱層の復圧と減圧のたびに、かさ(ふくらみ)が戻らなくなるのを防ぐため、有機物の接着剤がバインダーとして用いられている。
貯蔵する液化ガスが、窒素やアルゴンなどでは特に問題はないものの、酸素を貯蔵する場合にバインダーを使用したグラスウールは不適切だとされている。万一でも貯蔵する酸素に漏れが生じたときに、真空下で気化したバインダーと酸素が接触して危険な状態を引き起こす可能性を否定できないと考えられるからである。このため、法的な規制はなくても、高圧ガス業界においては、バインダーを使用したグラスウールを液化酸素の貯槽に適用するのが消極的で、いわば自主規制されている状態である。
そのため、液化酸素貯蔵用としては、溶融しにくいバインダーを使用したグラスウール製品(商品名クライオライトなど)やパーライト粉末が用いられている。
しかしながら、バインダーを使用したグラスウールは、真空中でバインダーが気化して真空断熱層の真空度を低下させるおそれがあり、十分な保冷性が得られていない可能性がある。また、パーライト粉末は、使用中に振動が加わって粉末が圧縮され、上部に断熱材のない空間ができて保冷性が低下する。そこで、メンテナンスで粉末を追加充填しなければならなくなり、メンテナンス性に多大な問題がある。
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、十分な保冷性を得られてメンテナンス性にも優れ、保冷対象を選ばない低温用真空断熱容器を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の低温用真空断熱容器は、内容器と外容器に挟まれた空間を真空減圧して真空断熱層を形成した低温用真空断熱容器であって、
上記真空断熱層は、ガラス短繊維を綿状に成形したバインダーを含まないグラスウールからなる断熱マットが充填されて構成されていることを要旨とする。
本発明の低温用真空断熱容器は、上記真空断熱層は、ガラス短繊維を綿状に成形したバインダーを含まないグラスウールからなる断熱マットが充填されて構成されている。
このため、グラスウールによる十分な保冷性が確保される。また、粉末パーライトのように粉末の追加充填を行う必要もなく、メンテナンス性の問題もない。また、真空断熱層を構成する断熱マットにはバインダーが使用されていないため、酸素による溶融の可能性がなく安全であり、保冷対象を選ぶことがない。
本発明において、上記真空断熱層は、上記断熱マットが複数積層されて充填されることにより構成されている場合には、
真空断熱層を構成する際には、断熱マットを積層して充填すればよいことから、内容器と外容器に挟まれた空間に隙間なく断熱マットを充填しやすく、施工性に優れている。
本発明において、上記真空断熱層は、上記断熱マットが充填された断熱材層の最も外側に、金属箔による輻射層が形成されて構成されている場合には、
断熱マットによる熱伝導のカットと真空による対流の低下に加え、断熱マットの外側における輻射によって熱伝導をカットすることにより、さらに優れた保冷性を確保できる。
本発明において、上記真空断熱層は、上記断熱マットが複数積層された間に、金属箔による輻射層が1層または複数層形成されて構成されている場合には、
断熱マットによる熱伝導のカットと真空による対流の低下に加え、断熱マットの層間における輻射によって熱伝導をカットすることにより、さらに優れた保冷性を確保できる。
本発明では、上記断熱マットを複数層積層した断熱材層は、密度約16kg/m 以上50kg/m 以下程度となるように充填されているのが好ましい。
断熱材層の密度が16kg/m 未満では十分な保冷効果が得られなくなり、50kg/m を超えるとそれ以上の保冷効果が得られずにコストアップとなってしまうからである。
本発明の第1実施形態の低温用真空断熱容器を示す断面図である。 上記第1実施形態における真空断熱層を説明する断面図である。 上記第1実施形態における支持部を説明する断面図であり、(A)は上部支持部、(B)は下部支持部である。 本発明の第2実施形態の低温用真空断熱容器を示すC−C断面図である。 上記第2実施形態の低温用真空断熱容器を示す図であり、(A)はA−A断面図、(B)はB−B断面図である。 上記第2実施形態における支持部を説明する断面図であり、(A)は前側上部支持部、(B)は後側上部支持部、(C)は下部支持部である。
つぎに、本発明を実施するための形態を説明する。
図1は、本発明が適用された第1実施形態の低温用真空断熱容器を示す断面図である。
この例は、本発明の低温用真空断熱容器を低温液化ガスを貯留する容器に適用したものを示している。本発明の低温用真空断熱容器の適用範囲は、ここに例示した低温液化ガスの貯留容器に限定するものではない。内部の低温を維持するための容器であれば各種の用途を適用対象とする趣旨である。例えば、クライオポンプや冷凍機等の極低温機器を収容する収容容器等にも適用することができる。
この低温用真空断熱容器は、全体として縦長のカプセル状を呈している。内部空間1に低温液化ガス2が貯留される内容器3と、上記内容器3との間に所定の空間4を形成する外容器5とを備え、内容器3と外容器5による二重構造となっている。また、上記内容器3と外容器5に挟まれた空間4において、外容器5に対する内容器3の相対位置をずらさないように支持する上側支持部材6および下側支持部材7を備えている。上記外容器5の下部には設置用の脚部8が設けられている。
この低温用真空断熱容器は、内容器3と外容器5に挟まれた空間4が真空減圧されて真空断熱層10が形成されている。これにより、外容器5の外側から侵入しようとする熱を真空断熱層10で遮断し、内容器3の内部空間を低温に維持しうるようになっている。
図2は、上記真空断熱層10の構造の一例を示す図である。
上記真空断熱層10は、バインダーを使用せずに成形したグラスウールからなる断熱マット11が上記空間4に充填されて構成されている。
上記真空断熱層10は、上記断熱マット11が複数積層されて充填されることにより構成されている。この例では、内容器3と外容器5の間の空間4において、内容器3および外容器5の壁に沿う方向に断熱マット11が6枚積層されている。
上記真空断熱層10は、上記断熱マット11が複数積層された間に、金属箔であるアルミニウム箔12による輻射層が形成されて構成されている。アルミニウム箔12による輻射層は、この例では断熱マット11が複数積層された間に1層だけ配置した例を示している。内容器3側に積層された3枚の断熱マット11と、外容器5側に積層された3枚の断熱マットとの間にアルミニウム箔12による輻射層を形成している。
ここで、上記アルミニウム箔12等の金属箔による輻射層は、1層に限定するものではなく、所定間をあけて複数層配置することもできる。例えば、6枚の断熱マット11を積層した真空断熱層10を構成するのであれば、各断熱マット11の間にアルミニウム箔12等の金属箔を配置して5層の輻射層を形成してもよい。また、断熱マット11を2枚ごとにアルミニウム箔12等の金属箔を配置して2層の輻射層を形成することもできる。
さらに、上記真空断熱層10は、上記断熱マット11が充填された断熱材層の最も外側に、アルミニウム箔12のような金属箔による輻射層を形成して構成することもできる。断熱材層の最も外側をアルミニウム箔12のような金属箔で囲うことにより、輻射断熱を行うほか、施工時に断熱マット11が崩れるのを防止することができる。このような断熱材層の最も外側の輻射層は、上述した断熱マット11間に設ける輻射層と併用することもできる。断熱マット11間に輻射層を設けないで、最も外側の輻射層を単独で配置することもできる。
上述した輻射層を形成する金属箔は、アルミニウム箔12に限定するものではなく、各種の金属箔を用いることができる。
図示した例では、上記真空断熱層10は、上記断熱マット11が充填された断熱材層の最も外側に、金属メッシュ13を配置して構成されている。金属メッシュ13により外側から断熱材層を囲って施工時に断熱マット11が崩れるのを防止することができる。
上記断熱マット11を形成するバインダーを使用せずに成形したグラスウールは、ホワイトウールとも呼ばれており、ガラス短繊維を綿状に成形したバインダーを含まない材料である。上記断熱マット11としては、例えば、目付け800g/m、幅1000mm、長さ20000mm、厚み約50mmに成形されたものを使用することができる。断熱マット11に使用するガラスウールの繊維は、例えば線径5μmのものを用いることができる。
上記のような断熱マット11を複数層積層した断熱材層は、密度約16kg/m以上50kg/m以下程度となるように充填するのが好ましい。断熱材層の密度が16kg/m未満では十分な保冷効果が得られなくなり、50kg/mを超えるとそれ以上の保冷効果が得られずにコストアップとなってしまうからである。
本発明の低温用真空断熱容器は、上記内容器3と外容器5に挟まれた空間4において、外容器5に対する内容器3の相対位置をずらさないように支持することにより真空断熱層10の層寸法を維持する支持部材を備えている。
この第1実施形態では、上記支持部材として、内容器3と外容器5の上側頂点に配置されて内容器3を支持する上側支持部材6と、内容器3と外容器5の下側頂点に配置されて内容器3を支持する下側支持部材7とを備えている。
上記支持部材である上側支持部材6および下側支持部材7は、この例ではそれぞれ円筒状であり、一方の端面を内容器3の外側に当接させ、他方の端面を外容器5の内側に当接させることにより、真空断熱層10の層寸法すなわち空間4の隙間寸法を維持する。
上記支持部材である上側支持部材6および下側支持部材7は、樹脂材料から構成されている。具体的には例えば熱伝導の小さいFRPを使用することができる。上記支持部材を構成する樹脂材料としては、外容器5に対する内容器3の相対位置をずらさないように支持する際の強度を確保することができればこれに限定するものではなく、各種の樹脂材料を使用することができる。
図3(A)は上側支持部材6の周辺構造を説明する断面図である。
上記上側支持部材6は、内容器3に取り付けられた内側スリーブ14に一端側が差し込まれ、外容器5に取り付けられた外側スリーブ15に他端側が差し込まれている。内側スリーブ14は、内容器3の外壁面に固定される基板14Aに、筒14Bが立設されている。外側スリーブ15は、外容器5の外壁面に固定されるフランジ15Aを筒15Bが貫通し、筒15Bの外側開口が蓋15Cで塞がれている。内側スリーブ14と外側スリーブ15は、それぞれの筒14Bおよび筒15Bが内容器3と外容器5の上側頂点に位置するように配置されている。
上記上側支持部材6は、内側スリーブ14と外側スリーブ15に差し込まれていて固着されていない。したがって、低温液化ガスを充填して内容器3が冷却され、長さ寸法が収縮したときは、それに伴って上側支持部材6が外側スリーブ15内でスライドする。内容器3内の低温液化ガスが空になって常温まで戻り、長さ寸法が復元したときも同様である。このようにして温度変化に伴う寸法変化を吸収して歪の発生を防止する。
図3(B)は下側支持部材7の周辺構造を説明する断面図である。
上記下側支持部材7は、内容器3に取り付けられた内側スリーブ16に一端側が差し込まれ、外容器5に取り付けられた外側スリーブ17に他端側が差し込まれている。内側スリーブ16は、内容器3の壁面に固定される基板16Aに、筒16Bが立設されている。外側スリーブ17は、外容器5の壁面に固定される基板17Aに、筒17Bが立設されている。内側スリーブ16と外側スリーブ17は、それぞれの筒16Bおよび筒17Bが内容器3と外容器5の下側頂点に位置するように配置されている。
図4および図5は、本発明の第2実施形態の低温用真空断熱容器を示す図である。図4はC−C断面図、図5(A)はA−A断面図、図5(B)はB−B断面図である。
この例は、内容器3と外容器4を横置きにした例である。このような横置き型の低温用真空断熱容器は、地面や床に設置することもできるし、タンクローリ等の車載用とすることも可能である。
この例では、支持部材は、左右一対の下部支持部材21が前後にそれぞれ設けられ、4つの下部支持部材21で内容器3の下側を支えている。また、上部の前側には一対の前側上部支持部材22が、上部の後側には一対の後側上部支持部材23が配置されている。
図6は上記各支持部材の周辺構造を説明する断面図であり、(A)は前側上部支持部材22、(B)は後側上部支持部材23、(C)は下部支持部材21である。
前側上部支持部材22は、外容器5の内側に固定されたスリーブ22Aに一端側が差し込まれている。前側上部支持部材22の他端は内容器3の外壁面に当接している。
後側上部支持部材23は、内容器3の外側に固定された内側スリーブ23Aに一端側が差し込まれ、外容器5の内側に固定された外側スリーブ23Bに他端側が差し込まれている。
下部支持部材21は、外容器5の内側に固定されたスリーブ21Aに一端側が差し込まれている。下部支持部材21の他端は内容器3の外壁面に当接している。
後側上部支持部材23が内容器3に固定された内側スリーブ23Aと外容器5に固定された外側スリーブ23Bに差し込まれることにより、内容器3と外容器5の相対位置が決定されている。そして、前側上部支持部材22および下側支持部材21は、内容器3側にスリーブを存在させていない。これにより、内容器3の温度変化による伸縮があったときに、内容器3の外壁面とそれに当接した前側上部支持部材22および下部支持部材21の端面とのスライドを許容する。このようにして温度変化に伴う寸法変化を吸収して歪の発生を防止する。
つぎに実施例について説明する。
まず、低温用真空断熱容器として図1〜図3に示す構成の低温液化ガス容器を製造し、液体窒素の蒸発試験を行って断熱性能を評価した。試験に用いた低温液化ガス容器の仕様はつぎのとおりである。
内容器 外径 457.2mm,内容積120L
外容器 内径 603.6mm
真空断熱層厚さ 73.2mm
試験はつぎのようにして行った。
容器をロードセル上に設置する。真空断熱層の真空度は真空センサで検知する。内容器の外周面の複数箇所の温度および外気温を温度センサで検知する。内容器に液体窒素を1/2程度充填しておく。容器内に侵入した熱で液体窒素が蒸発し、容器上部の開放弁から放出される。このときの重量変化をロードセルで計測する。これにより侵入熱量の計測が可能となる。
Q=(W・q)/(H・ΔT・V)
Q:侵入熱量(J/h℃L)
W:気化ガス量(kg)
q:液体窒素の気化潜熱(J/kg):200000J/kgの値を採用した
H:測定時間(Hr)
ΔT:液体窒素沸点と外気温の差(℃)
V:内容積(L):120.95L
試験に供した断熱材はつぎのとおりである。
1 グラスウール(アルミニウム箔つき) 16kg/m 厚み50mm
2 クライオライト(アルミニウム箔つき)16kg/m 厚み25mm
3 ホワイトウール
ホワイトウールの断熱マット11は、ガラスウール繊維の線径が5μm、目付け800g/m、幅1000mm、長さ20000mm、厚み約50mmに成形されたものである。上記断熱マット11を複数層積層した断熱材層は、充填厚さ73mm、充填密度約16kg/mである。輻射層を構成するアルミニウム箔は厚み50μmのものを使用した。
各断熱材を使用した真空断熱層10の真空度、44Lの液体窒素がすべて蒸発するまでの日数を下記の表1に示す。
Figure 2017106636
表1からわかるように、ホワイトウールを使用した真空断熱層では、十分な蒸発日数を確保できることがわかる。
つぎに、低温用真空断熱容器として図1〜図3に示す構成の低温液化ガス容器を想定してシュミレーションを行った。
真空断熱層10の構成を内側から記載するとつぎのとおりである。
内容器:SUS304 厚み6mm
断熱材:厚み50mm
輻射層:アルミニウム箔 厚み0.05mm
断熱材:厚み50mm
金網
外容器:SS400 厚み9mm
上側支持部材6および下側支持部材7は、それぞれ外径φ149mm、内径φ125mm、厚み12mm、全長268mmのものを使用した。
上側支持部材6および下側支持部材7をステンレス鋼(SUS304)とし、断熱材をパーライト、グラスウール、クライオライト、ホワイトウールとしたとき、それぞれの侵入熱量およびヒートリーク値を計算した。真空断熱層10、上側支持部材6、下側支持部材7、配管から侵入する大気温度の熱から侵入熱量を算出した。
算出の基礎とした条件はつぎのとおりである。
〔タンク仕様〕
内容器 内径 1250mm
肉厚 6mm
長さ 3609mm
鏡形状 2:1半楕円
外表面積 17.76m
外容器 内径 1650mm
長さ 4211mm
鏡形状 10%皿型
内表面積 27.22m
境膜伝熱係数 30kcal/m・h・℃

〔環境条件〕
大気温度 20℃

〔貯蔵液〕液体窒素
飽和温度 −196℃
飽和液密度 0.809kg/L
蒸発潜熱 47.61kcal/kg
標準状態ガス密度 1.251kg/m
貯蔵量 4940.2L(100%)

〔上側支持部材・下側支持部材〕
熱伝導率 10.790kcal/m・h・℃

〔配管〕
材質 SUS304
熱伝導率 10.790kcal/m・h・℃

〔断熱材の熱伝導率〕
パーライト:1.745×10−3
グラスウール(16kg/m):2.484×10−3
クライオライト(16kg/m):1.359×10−3
ホワイトウール:1.67×10−3
ホワイトウール+アルミニウム箔:1.12×10−3

※パーライトは三井金属鉱業株式会社製である。
※クライオライトは米国のライドール社製である。
※ホワイトウールは旭ファイバーグラス株式会社製である。
なお、ホワイトウールの製造メーカーとしてはこれ以外に、マグ株式会社やパラマウント硝子工業株式会社等がある。
その結果を下記の表2に示す。ヒートリーク値は、一日当りに蒸発する液体窒素を百分率で示したものである。
Figure 2017106636
つぎに、上側支持部材6および下側支持部材をFRPとし、断熱材をホワイトウールとしたときの侵入熱量およびヒートリーク値を計算した。
侵入熱量 :30.4(W)
ヒートリーク値:0.329(%/日)
従来のステンレス製の支持部材を使用したパーライト断熱の場合は、ヒートリーク値は0.626(%/日)であったが、実施例のFRPの支持部材を用いたホワイトウール断熱にした実施例は、ヒートリーク値が0.329(%/日)となり、ガスのロス量は従来の半分となった。
また、アルミニウム箔による輻射層を設けないホワイトウール断熱の場合、ヒートリーク値は0.475(%/日)であった。
このように、本実施例では、従来のパーライト断熱の約半分の侵入熱量に抑えることができる。また、本実施例では、蒸発損失量をパーライト断熱の約半分にすることができる。
以上に述べたように、本実施形態の低温用真空断熱容器によれば、つぎの作用効果を奏する。
すなわち、上記真空断熱層は、バインダーを使用せずに成形したグラスウールからなる断熱マットが充填されて構成されている。
このため、グラスウールによる十分な保冷性が確保される。また、粉末パーライトのように粉末の追加充填を行う必要もなく、メンテナンス性の問題もない。また、真空断熱層を構成する断熱マットにはバインダーが使用されていないため、酸素による溶融の可能性がなく安全であり、保冷対象を選ぶことがない。
また、上記真空断熱層は、上記断熱マットが複数積層されて充填されることにより構成されているため、
真空断熱層を構成する際には、断熱マットを積層して充填すればよいことから、内容器と外容器に挟まれた空間に隙間なく断熱マットを充填しやすく、施工性に優れている。
また、上記真空断熱層は、上記断熱マットが充填された断熱材層の最も外側に、金属箔による輻射層が形成されて構成されている場合には、
断熱マットによる熱伝導のカットと真空による対流の低下に加え、断熱マットの外側における輻射によって熱伝導をカットすることにより、さらに優れた保冷性を確保できる。
また、上記真空断熱層は、上記断熱マットが複数積層された間に、金属箔による輻射層が1層または複数層形成されて構成されているため、
断熱マットによる熱伝導のカットと真空による対流の低下に加え、断熱マットの層間における輻射によって熱伝導をカットすることにより、さらに優れた保冷性を確保できる。
また、内容器と外容器に挟まれた空間において外容器に対する内容器の相対位置をずらさないように支持することにより真空断熱層の層寸法を維持する支持部材を備え、上記支持部材は樹脂材料から構成されているため、
支持部材を熱伝導率の低い樹脂材料から構成したことにより、支持部材を介して外容器から内容器への伝熱が低減され、さらに優れた保冷性を確保できる。
1 内部空間
2 低温液化ガス
3 内容器
4 空間
5 外容器
6 上側支持部材
7 下側支持部材
8 脚部
10 真空断熱層
11 断熱マット
12 アルミニウム箔
13 金属メッシュ
14 内側スリーブ
14A 基板
14B 筒
15 外側スリーブ
15A フランジ
15B 筒
15C 蓋
16 内側スリーブ
16A 基板
16B 筒
17 外側スリーブ
17A 基板
17B 筒
21 下部支持部材
21A スリーブ
22 前側上部支持部材
22A スリーブ
23 後側上部支持部材
23A 内側スリーブ
23B 外側スリーブ

Claims (5)

  1. 内容器と外容器に挟まれた空間を真空減圧して真空断熱層を形成した低温用真空断熱容器であって、
    上記真空断熱層は、ガラス短繊維を綿状に成形したバインダーを含まないグラスウールからなる断熱マットが充填されて構成されている
    ことを特徴とする低温用真空断熱容器。
  2. 上記真空断熱層は、上記断熱マットが複数積層されて充填されることにより構成されている請求項1記載の低温用真空断熱容器。
  3. 上記真空断熱層は、上記断熱マットが充填された断熱材層の最も外側に、金属箔による輻射層が形成されて構成されている請求項1または2記載の低温用真空断熱容器。
  4. 上記真空断熱層は、上記断熱マットが複数積層された間に、金属箔による輻射層が1層または複数層形成されて構成されている請求項2または3記載の低温用真空断熱容器。
  5. 上記断熱マットを複数層積層した断熱材層は、密度約16kg/m 以上50kg/m 以下程度となるように充填されている
    請求項1〜4のいずれか一項に記載の低温用真空断熱容器。
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