JP2017186461A - 潤滑油基油、潤滑油組成物及び潤滑油組成物の消費量抑制方法 - Google Patents

潤滑油基油、潤滑油組成物及び潤滑油組成物の消費量抑制方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低粘度と低蒸発性とを両立させることができ、省燃費性を向上させることが可能な潤滑油基油を提供すること。
【解決手段】NOACK蒸発量が15.0質量%以上である第1のエステル系基油と、NOACK蒸発量が15.0質量%未満である第2のエステル系基油と、を含有し、100℃動粘度が3.5mm/s以下である、潤滑油基油。
【選択図】なし

Description

本発明は、潤滑油基油、潤滑油組成物及び潤滑油組成物の消費量抑制方法に関する。
近年、地球温暖化防止の観点から、潤滑油に対する省エネルギー性の要求が高まっている。例えばエンジン油の分野では、自動車の燃費を向上させ、二酸化炭素の排出を抑制するために、エンジン油の低粘度化が進められている。
その一方で、潤滑油を低粘度化すると、潤滑油の蒸発量は増加する。そのため、エンジン油等の潤滑油の場合、粘度を低くすることと、潤滑油の消費量の抑制ために蒸発性を抑えることとの両立が求められている。例えば、ガソリンエンジン油規格であるILSAC(International Lubricant Standardization and Approval Committee)GF−5の場合、SAE(米国自動車技術者協会)J300で規定されている粘度分類5W−20、0W−20の低粘度エンジン油の場合においても、蒸発性の規格であるNOACK蒸発量を15質量%以下にすることが求められている。
低粘度と低蒸発性とを両立させる手法として、鉱油系基油に比べて、低粘度化したときの蒸発性が比較的低いエステル系基油を用いることが検討されている。例えば、特許文献1には、100℃動粘度が2.00〜3.00mm/s、粘度指数が130以上、及び蒸発ロスが18%以下のエステル系基油を用いたエンジン油用潤滑油組成物が開示されている。
特開2011−057758号公報
しかし、エステル系基油を用いた上記従来の潤滑油組成物であっても、低粘度及び低蒸発性の両立は必ずしも十分ではなく、実用化に供し得るためにはさらなる改善の余地がある。
本発明は、低粘度と低蒸発性とを両立させることが可能な潤滑油基油及び潤滑油組成物、並びに潤滑油組成物の消費量抑制方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、下記[1]、[2]に示す潤滑油基油、下記[3]〜[5]に示す潤滑油組成物、及び下記[6]に示す潤滑油組成物の消費量抑制方法を提供する。
[1]NOACK蒸発量が15.0質量%以上である第1のエステル系基油と、NOACK蒸発量が15.0質量%未満である第2のエステル系基油と、を含有し、100℃動粘度が3.5mm/s以下である、潤滑油基油。
[2]前記第1のエステル系基油及び前記第2のエステル系基油の総量が、潤滑油基油全量基準で、50質量%を超える、[1]に記載の潤滑油基油。
[3][1]又は[2]に記載の潤滑油基油と、酸化防止剤、摩耗防止剤、金属系清浄剤、無灰分散剤、摩擦調整剤、粘度指数向上剤、及び流動点降下剤からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含有する、潤滑油組成物。
[4]内燃機関に用いられる、[3]に記載の潤滑油組成物。
[5]前記内燃機関がハイブリッド機構を有する、[4]に記載の潤滑油組成物。
[6][3]〜[5]のいずれかに記載の潤滑油組成物を用いて潤滑を行う、潤滑油組成物の消費量抑制方法。
本明細書において、NOACK蒸発量とは、ASTM D 5800(NOACK試験:250℃、1時間)に準拠して測定した値(蒸発損失量)を意味する。本明細書において、動粘度及び粘度指数とは、JIS K 2283に準拠して測定した値を意味する。本明細書において、HTHS粘度は、ASTM D 4683に準拠し、150℃、せん断速度106/sにおける粘度を意味する。
本発明によれば、低粘度と低蒸発性とを両立させることが可能な潤滑油基油及び潤滑油組成物、並びに潤滑油組成物の消費量抑制方法が提供される。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
本実施形態に係る潤滑油基油は、NOACK蒸発量が15.0質量%以上である第1のエステル系基油と、NOACK蒸発量が15.0質量%未満である第2のエステル系基油と、を含有し、100℃の動粘度が3.5mm/s以下である。
<第1のエステル系基油>
第1のエステル系基油は、NOACK蒸発量が15.0質量%以上のエステル系基油であれば、特に制限されない。第1のエステル系基油を構成するアルコールは、1価アルコールであってもよく、多価アルコールであってもよい。また、第1のエステル系基油を構成する酸は、一塩基酸であってもよく、多塩基酸であってもよい。また、第1のエステル系基油は、1価アルコールと多価アルコールの混合アルコール及び/又は一塩基酸と多塩基酸との混合酸により構成される複合エステル化合物であってもよい。また、第1のエステル系基油として、NOACK蒸発量が15.0質量%以上のエステル系基油の1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
1価アルコールは、通常炭素数1〜24のアルコールが用いられる。このようなアルコールは、直鎖のものであってもよく、分岐のものであってもよい。また、飽和のものであってもよく、不飽和のものであってもよい。炭素数1〜24の1価アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、直鎖又は分枝のプロパノール、直鎖又は分枝のブタノール、直鎖又は分枝のペンタノール、直鎖又は分枝のヘキサノール、直鎖又は分枝のヘプタノール、直鎖又は分枝のオクタノール、直鎖又は分枝のノナノール、直鎖又は分枝のデカノール、直鎖又は分枝のウンデカノール、直鎖又は分枝のドデカノール、直鎖又は分枝のトリデカノール、直鎖又は分枝のテトラデカノール、直鎖又は分枝のペンタデカノール、直鎖又は分枝のヘキサデカノール、直鎖又は分枝のヘプタデカノール、直鎖又は分枝のオクタデカノール、直鎖又は分枝のノナデカノール、直鎖又は分枝のイコサノール、直鎖又は分枝のヘンイコサノール、直鎖又は分枝のトリコサノール、直鎖又は分枝のテトラコサノール;及びこれらの混合物などが挙げられる。
多価アルコールは、通常炭素数1〜24の2〜10価のアルコールが用いられる。このようなアルコールは、直鎖のものであってもよく、分岐のものであってもよい。また、飽和のものであってもよく、不飽和のものであってもよい。炭素数1〜24の2〜10価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(エチレングリコールの3〜15量体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの3〜15量体)、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール;グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜8量体、例えばジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等)、トリメチロールアルカン(トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン等)又はこれらの2〜8量体、ペンタエリスリトール又はこれらの2〜4量体、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等の多価アルコール;キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、スクロース等の糖類;及びこれらの混合物などが挙げられる。
一塩基酸は、通常炭素数2〜24の脂肪酸が用いられる。このような一塩基酸は、直鎖のものであってもよく、分岐のものであってもよい。また、飽和のものであってもよく、不飽和のものであってもよい。炭素数2〜24の脂肪酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、直鎖又は分枝のブタン酸、直鎖又は分枝のペンタン酸、直鎖又は分枝のヘキサン酸、直鎖又は分枝のヘプタン酸、直鎖又は分枝のオクタン酸、直鎖又は分枝のノナン酸、直鎖又は分枝のデカン酸、直鎖又は分枝のウンデカン酸、直鎖又は分枝のドデカン酸(ラウリン酸)、直鎖又は分枝のトリデカン酸、直鎖又は分枝のテトラデカン酸(ミリスチン酸)、直鎖又は分枝のペンタデカン酸、直鎖又は分枝のヘキサデカン酸(パルミチン酸)、直鎖又は分枝のヘプタデカン酸、直鎖又は分枝のオクタデカン酸(ステアリン酸)、直鎖又は分枝のノナデカン酸、直鎖又は分枝のイコサン酸、直鎖又は分枝のヘンイコサン酸、直鎖又は分枝のドコサン酸、直鎖又は分枝のトリコサン酸、直鎖又は分枝のテトラコサン酸等の飽和脂肪酸;アクリル酸、直鎖又は分枝のブテン酸、直鎖又は分枝のペンテン酸、直鎖又は分枝のヘキセン酸、直鎖又は分枝のヘプテン酸、直鎖又は分枝のオクテン酸、直鎖又は分枝のノネン酸、直鎖又は分枝のデセン酸、直鎖又は分枝のウンデセン酸、直鎖又は分枝のドデセン酸、直鎖又は分枝のトリデセン酸、直鎖又は分枝のテトラデセン酸、直鎖又は分枝のペンタデセン酸、直鎖又は分枝のヘキサデセン酸、直鎖又は分枝のヘプタデセン酸、直鎖又は分枝のオクタデセン酸(オレイン酸)、直鎖又は分枝のノナデセン酸、直鎖又は分枝のイコセン酸、直鎖又は分枝のヘンイコセン酸、直鎖又は分枝のドコセン酸、直鎖又は分枝のトリコセン酸、直鎖又は分枝のテトラコセン酸、直鎖又は分枝のテトラコセン酸等の不飽和脂肪酸;及びこれらの混合物などが挙げられる。
多塩基酸は、通常炭素数2〜16の二塩基酸及びベンゼンジカルボン酸、ベンゼントリカルボン酸、ベンゼンテトラカルボン酸が用いられる。このような二塩基酸は、直鎖のものであってもよく、分岐のものであってもよい。また、飽和のものであってもよく、不飽和のものであってもよい。炭素数2〜16の二塩基酸としては、例えば、エタン二酸(シュウ酸)、プロパン二酸(マロン酸)、直鎖又は分枝のブタン二酸(コハク酸)、直鎖又は分枝のペンタン二酸(グルタル酸)、直鎖又は分枝のヘキサン二酸(アジピン酸)、直鎖又は分枝のヘプタン二酸(ピメリン酸)、直鎖又は分枝のオクタン二酸(スベリン酸)、直鎖又は分枝のノナン二酸(アゼライン酸)、直鎖又は分枝のデカン二酸(セバシン酸)、直鎖又は分枝のウンデカン二酸、直鎖又は分枝のドデカン二酸、直鎖又は分枝のトリデカン二酸、直鎖又は分枝のテトラデカン二酸、直鎖又は分枝のヘプタデカン二酸、直鎖又は分枝のヘキサデカン二酸等の飽和塩基酸、直鎖又は分枝のヘキセン二酸、直鎖又は分枝のヘプテン二酸、直鎖又は分枝のオクテン二酸、直鎖又は分枝のノネン二酸、直鎖又は分枝のデセン二酸、直鎖又は分枝のウンデセン二酸、直鎖又は分枝のドデセン二酸、直鎖又は分枝のトリデセン二酸、直鎖又は分枝のテトラデセン二酸、直鎖又は分枝のヘプタデセン二酸、直鎖又は分枝のヘキサデセン二酸等の不飽和塩基酸;及びこれらの混合物などが挙げられる。
エステル系基油を構成するアルコールと酸との組み合わせとしては、特に制限されないが、例えば、下記の組み合わせのエステルを挙げることができる。これらの組み合わせのエステルは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(a)一価アルコールと一塩基酸とのエステル
(b)多価アルコールと一塩基酸とのエステル
(c)一価アルコールと多塩基酸(二塩基酸)とのエステル
(d)多価アルコールと多塩基酸(二塩基酸)とのエステル
(e)一価アルコール及び多価アルコールの混合物と一塩基酸との混合エステル
(f)一価アルコール及び多価アルコールの混合物と多塩基酸(二塩基酸)との混合エステル
(g)多価アルコールと一塩基酸及び多塩基酸の混合物との混合エステル
(h)一価アルコール及び多価アルコールの混合物と一塩基酸及び多塩基酸の混合物との混合エステル
第1のエステル系基油は、上記(a)のエステル結合を1つ有するモノエステル、上記(c)のエステル結合を2つ有するジエステル及び上記(b)のポリオールエステルのいずれかを含んでいてもよい。これらのうち、第1のエステル系基油は、ジエステル又はポリオールエステルを含むことが好ましい。
第1のエステル系基油がジエステルを含む場合、ジエステルを構成する一価アルコールの炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、さらに好ましくは6以上、特に好ましくは8以上である。また、1価アルコールの炭素数は、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、さらに好ましくは12以下、特に好ましくは10以下である。ジエステルを構成する二塩基酸の炭素数は、好ましくは4以上、より好ましくは6以上、さらに好ましくは8以上である。また、二塩基酸の炭素数は、好ましくは14以下、より好ましくは12以下、さらに好ましくは10以下である。
第1のエステル系基油がジエステルを含む場合、ジエステルの分子量は、特に制限されないが、170以上であることが好ましく、350以上であることがより好ましい。また、ジエステルの分子量は、特に制限されないが、800以下であることが好ましく、600以下であることがより好ましく、480以下であることがさらに好ましい。
本明細書において、エステルの分子量は、アルコールの分子量と酸の分子量とから計算によって求めることができる。また、エステルの分子量は、質量分析計等で測定することによっても求めることができる。
第1のエステル系基油がポリオールエステルを含む場合、ポリオールエステルを構成する多価アルコールの価数は、好ましくは2〜6価、より好ましくは2〜4価である。ポリオールエステルを構成する多価アルコールの炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、さらに好ましくは5以上である。また、多価アルコールの炭素数は、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、さらに好ましくは12以下、特に好ましくは8以下である。ポリオールエステルを構成する一塩基酸の炭素数は、好ましくは4以上、より好ましくは6以上、さらに好ましくは8以上である。また、一塩基酸の炭素数は、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、さらに好ましくは12以下である。
第1のエステル系基油がポリオールエステルを含む場合、ポリオールエステルの分子量は、特に制限されないが、200以上であることが好ましく、300以上であることがより好ましい。また、ポリオールエステルは、特に制限されないが、1000以下であることが好ましく、500以下であることがより好ましく、400以下であることがさらに好ましい。
第1のエステル系基油において、アルコールとして多価アルコールを用いて得られるエステルは、多価アルコール中の水酸基全てがエステル化された完全エステルであってもよく、水酸基の一部が、エステル化されず、水酸基のまま残存する部分エステルであってもよい。また、酸として多塩基酸を用いて得られるエステルは、多塩基酸中のカルボキシル基全てがエステル化された完全エステルであってもよく、カルボキシル基の一部が、エステル化されず、カルボキシル基のまま残存する部分エステルであってもよい。
第1のエステル系基油のNOACK蒸発量は、15.0質量%以上であり、好ましくは15.4質量%以上、より好ましくは16.0質量%以上、さらに好ましくは17.0質量%以上、特に好ましくは18.0質量%以上、最も好ましくは19.0質量%以上である。NOACK蒸発量が15.0質量%以上である第1のエステル系基油と後述の第2のエステル系基油とを混合することによって、蒸発性を抑えつつ、低粘度化が可能な潤滑油基油を得ることができる。また、第1のエステル系基油のNOACK蒸発量は、特に制限されないが、40.0質量%以下、30.0質量%以下、又は25.0質量%以下であってもよい。
第1のエステル系基油の100℃動粘度は、特に制限されないが、好ましくは3.5mm/s以下、より好ましくは3.3mm/s以下、さらに好ましくは3.2mm/s以下、特に好ましくは3.1mm/s以下である。100℃動粘度が3.5mm/sを超えると、基油粘度が充分に低くならず、期待される省燃費性が得られない傾向にある。また、第1のエステル系基油の100℃動粘度は、特に制限されないが、1.0mm/s以上、2.0mm/s以上、又は2.5mm/s以上であってもよい。
第1のエステル系基油の40℃動粘度は、特に制限されないが、好ましくは13.0mm/s以下、より好ましくは12.0mm/s以下、さらに好ましくは11.0mm/s以下である。100℃動粘度が13.0mm/sを超えると、基油粘度が充分に低くならず、期待される省燃費性が得られない傾向にある。また、第1のエステル系基油の40℃動粘度は、特に制限されないが、5.0mm/s以上、7.0mm/s以上、又は9.0mm/s以上であってもよい。
第1のエステル系基油の粘度指数は、特に制限されないが、好ましくは130以上、より好ましくは140以上、さらに好ましくは145以上、特に好ましくは150以上である。また、第1のエステル系基油の粘度指数は、特に制限されないが、好ましくは165以下、より好ましくは160以下、さらに好ましくは155以下である。
<第2のエステル系基油>
第2のエステル系基油は、NOACK蒸発量が15.0質量%未満のエステル系基油であれば、特に制限されない。第2のエステル系基油を構成するアルコールは、1価アルコールであってもよく、多価アルコールであってもよい。また、このようなエステル系基油を構成する酸は、一塩基酸であってもよく、多塩基酸であってもよい。また、第2のエステル系基油は、1価アルコールと多価アルコールの混合アルコール及び/又は一塩基酸と多塩基酸との混合酸により構成される複合エステル化合物であってもよい。また、第2のエステル系基油として、NOACK蒸発量が15.0質量%未満のエステル系基油の1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて用いてもよい。
NOACK蒸発量が15.0質量%未満のエステル系基油を構成する1価アルコール、多価アルコール、一塩基酸、多塩基酸、及びアルコールと酸との組み合わせとしては、上記第1のエステル系基油で例示したものと同じものが例示できる。これらの組み合わせのエステルは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第2のエステル系基油は、上記(a)のエステル結合を1つ有するモノエステル、上記(c)のエステル結合を2つ有するジエステル及び上記(b)のポリオールエステルのいずれかを含んでいてもよい。
第2のエステル系基油がモノエステルを含む場合、モノエステルを構成する一価アルコールの炭素数は、好ましくは6以上、より好ましくは8以上、さらに好ましくは12以上、特に好ましくは16以上である。また、1価アルコールの炭素数は、好ましくは22以下、より好ましくは20以下、さらに好ましくは18以下である。モノエステルを構成する一塩基酸の炭素数は、好ましくは6以上、より好ましくは8以上、さらに好ましくは10以上、特に好ましくは12以上である。また、一塩基酸の炭素数は、好ましくは24以下、より好ましくは20以下、さらに好ましくは18以下である。
第2のエステル系基油がモノエステルを含む場合、モノエステルの分子量は、特に制限されないが、200以上であることが好ましく、350以上であることがより好ましく、450以上であることがさらに好ましい。また、モノエステルの分子量は、特に制限されないが、700以下であることが好ましく、600以下であることがより好ましい。
第2のエステル系基油がジエステルを含む場合、ジエステルを構成する一価アルコールの炭素数は、好ましくは4以上、より好ましくは8以上、さらに好ましくは10以上である。また、1価アルコールの炭素数は、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、さらに好ましくは12以下である。ジエステルを構成する二塩基酸の炭素数は、好ましくは4以上、より好ましくは6以上、さらに好ましくは8以上である。また、二塩基酸の炭素数は、好ましくは18以下、より好ましくは12以下、さらに好ましくは10以下である。
第2のエステル系基油がジエステルを含む場合、ジエステルの分子量は、特に制限されないが、200以上であることが好ましく、300以上であることがより好ましく、400以上であることが特に好ましい。また、ジエステルの分子量は、特に制限されないが、900以下であることが好ましく、600以下であることがより好ましい。
第2のエステル系基油がポリオールエステルを含む場合、ポリオールエステルを構成する多価アルコールの価数は、好ましくは2〜6価、より好ましくは2〜4価である。多価アルコールの炭素数は、好ましくは2以上、より好ましくは4以上、さらに好ましくは5以上である。また、ポリオールエステルを構成する多価アルコールの炭素数は、好ましくは20以下、より好ましくは16以下、さらに好ましくは12以下、特に好ましくは8以下である。ポリオールエステルを構成する一塩基酸の炭素数は、好ましくは4以上、より好ましくは6以上、さらに好ましくは8以上である。また、一塩基酸の炭素数は、好ましくは20以下、より好ましくは18以下、さらに好ましくは12以下である。
第2のエステル系基油がポリオールエステルを含む場合、ポリオールエステルの分子量は、特に制限されないが、200以上であることが好ましく、400以上であることがより好ましく、500以上であることがさらに好ましい。また、ポリオールエステルの分子量は、特に制限されないが、1000以下であることが好ましく、800以下であることがより好ましく、700以下であることがさらに好ましい。
第2のエステル系基油において、アルコールとして多価アルコールを用いて得られるエステルは、多価アルコール中の水酸基全てがエステル化された完全エステルであってもよく、水酸基の一部が、エステル化されず、水酸基のまま残存する部分エステルであってもよい。また、酸として多塩基酸を用いて得られるエステルは、多塩基酸中のカルボキシル基全てがエステル化された完全エステルであってもよく、カルボキシル基の一部が、エステル化されず、カルボキシル基のまま残存する部分エステルであってもよい。
第2のエステル系基油のNOACK蒸発量は、15.0質量%未満であり、好ましくは12.0質量%以下、より好ましくは10.0質量%以下、さらに好ましくは8.0質量%以下、特に好ましくは7.0質量%以下である。NOACK蒸発量が15.0質量%未満である第2のエステル系基油と上記第1のエステル系基油とを混合することによって、蒸発性を抑えつつ、低粘度化が可能な潤滑油基油を得ることができる。また、第2のエステル系基油のNOACK蒸発量は、特に制限されないが、0質量%以上であってもよく、1.0質量%以上、2.0質量%以上、3.0質量%以上又は4.0質量%以上であってもよい。
第2のエステル系基油の100℃動粘度は、特に制限されないが、好ましくは3.6mm/s以上、より好ましくは4.0mm/s以上、さらに好ましくは4.2mm/s以上、特に好ましくは5.0mm/s以上である。第2のエステル系基油の100℃動粘度は、特に制限されないが、10.0mm/s以下、8.0mm/s以下、又は6.0mm/s以下であってもよい。
第2のエステル系基油の40℃動粘度は、特に制限されないが、好ましくは12.0mm/s以上、より好ましくは13.0mm/s以上、さらに好ましくは14.0mm/s以上である。第2のエステル系基油の40℃動粘度は、特に制限されないが、40.0mm/s以下、30.0mm/s以下、又は20.0mm/s以下であってもよい。
第2のエステル系基油の粘度指数は、特に制限されないが、好ましくは125以上、より好ましくは130以上、さらに好ましくは135以上、特に好ましくは150以上である。また、第2のエステル系基油の粘度指数は、特に制限されないが、好ましくは200以下、より好ましくは190以下、さらに好ましくは185以下である。
<潤滑油基油(第1のエステル系基油と第2のエステル系基油とを含む混合基油)>
潤滑油基油の100℃動粘度は、3.5mm/s以下、好ましくは3.4mm/s以下、さらに好ましくは3.3mm/s以下である。100℃動粘度が3.5mm/s以下であると、充分な低粘度を示す潤滑油組成物が得られる傾向にある。また、潤滑油基油の100℃動粘度は、特に制限されないが、1.0mm/s以上、2.0mm/s以上又は3.0mm/s以上であってもよい。
潤滑油基油の40℃動粘度は、特に制限されないが、好ましくは20.0mm/s以下、より好ましくは18.0mm/s以下、さらに好ましくは15.0mm/s以下、特に好ましくは13.0mm/s以下である。40℃動粘度が20.0mm/s以下であると、充分な低粘度を示す潤滑油組成物が得られる傾向にある。また、潤滑油基油の40℃動粘度は、特に制限されないが、5.0mm/s以上、8.0mm/s以上又は10.0mm/s以上であってもよい。
潤滑油基油のNOACK蒸発量は、特に制限されないが、好ましくは20.0質量%以下、より好ましくは18.0質量%以下、さらに好ましくは15.0質量%以下、特に好ましくは12.0質量%以下である。NOACK蒸発量が20.0質量%を超えると、エンジンオイルの消費量が多くなる傾向にある。また、潤滑油基油のNOACK蒸発量は、例えば、1.0質量%以上、3.0質量%以上、5.0質量%以上、7.0質量%以上又は8.0質量%以上であってもよい。
第1のエステル系基油及び第2のエステル系基油の総量に対する第1のエステル系基油の含有量は、特に制限されないが、エステル系基油全量基準で、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。また、第1のエステル系基油の含有量は、特に制限されないが、エステル系基油全量基準で、好ましくは99質量%以下、より好ましくは97質量%以下、さらに好ましくは95質量%以下、特に好ましくは90質量%以下である。第1のエステル系基油の含有量が40質量%以上又は99質量%以下であると、得られる潤滑油基油において、低粘度と低蒸発性とを両立させることができる。
第1のエステル系基油及び第2のエステル系基油の総量に対する第2のエステル系基油の含有量は、特に制限されないが、エステル系基油全量基準で、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、特に好ましくは20質量%以上である。また、第2のエステル系基油の含有量は、特に制限されないが、エステル系基油全量基準で、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは40質量%以下、特に好ましくは30質量%以下である。第2のエステル系基油の含有量が1質量%以上又は60質量%以下であると、得られる潤滑油基油において、低粘度と低蒸発性とを両立させることができる。
潤滑油基油は、第1のエステル系基油及び第2のエステル系基油以外の基油を含んでいてもよい。このような基油は、特に制限されないが、鉱油系基油及びエステル系基油以外の合成系基油が挙げられる。
鉱油系基油としては、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理を単独又は2つ以上適宜組み合わせて精製したパラフィン系、ナフテン系等の鉱油系基油、ノルマルパラフィン、イソパラフィン等が挙げられる。なお、これらの鉱油系基油は単独で使用してもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて使用してもよい。
鉱油系基油の100℃動粘度は、特に制限されないが、2.5mm/s以上が好ましく、3.0mm/s以上がより好ましく、3.5mm/s以上が特に好ましい。また鉱油系基油の100℃動粘度は、特に制限されないが、8.5mm/s以下が好ましく、6.5mm/s以下がより好ましく、4.5mm/s以下が特に好ましい。鉱油系基油の粘度指数は、特に制限されないが、100〜160であってもよい。
合成系基油としては、ポリα−オレフィン又はその水素化物、イソブテンオリゴマー又はその水素化物、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ポリオキシアルキレングリコール、ジアルキルジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテル等が挙げられる。なお、これらの合成系基油は単独で使用してもよく、2種以上を任意の割合で組み合わせて使用してもよい。
潤滑油基油において、第1のエステル系基油及び第2のエステル系基油の総量は、潤滑油基油全量基準で、50質量%を超えることが好ましい。より好ましくは55質量%以上、60質量%以上である。第1のエステル系基油及び第2のエステル系基油の総量が50質量%を超えると、得られる潤滑油基油において、低粘度と低蒸発性とを両立させることができる。第1のエステル系基油及び第2のエステル系基油の総量は、特に制限されないが、潤滑油基油全量基準で、100質量%以下、95質量%以下、又は90質量%以下であってもよい。
<潤滑油組成物>
本実施形態に係る潤滑油組成物は、上記潤滑油基油と、酸化防止剤、摩耗防止剤、金属系清浄剤、無灰分散剤、摩擦調整剤、粘度指数向上剤、及び流動点降下剤からなる群より選ばれる少なくとも1種と、を含有する。
<添加剤>
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系、アミン系等の無灰酸化防止剤、銅系、モリブデン系等の金属系酸化防止剤が挙げられる。より具体的には、例えば、フェノール系無灰酸化防止剤としては、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)等が、アミン系無灰酸化防止剤としては、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルフェニル−α−ナフチルアミン、ジアルキルジフェニルアミン、ジフェニルアミン等が挙げられる。潤滑油組成物に酸化防止剤を含有させる場合、これらの中から任意に選ばれる1種類又は2種類以上を含有させることができる。
摩耗防止剤としては、例えば、硫黄系、リン系、硫黄−リン系等の摩耗防止剤が挙げられる。より具体的には、例えば、亜リン酸エステル類、チオ亜リン酸エステル類、ジチオ亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸エステル類、リン酸エステル類、チオリン酸エステル類、ジチオリン酸エステル類、トリチオリン酸エステル類、これらのアミン塩、これらの金属塩、これらの誘導体、ジチオカーバメート、亜鉛ジチオカーバメート、モリブデンジチオカーバメート、ジサルファイド類、ポリサルファイド類、硫化オレフィン類、硫化油脂類等が挙げられる。潤滑油組成物に摩耗防止剤を含有させる場合、これらの中から任意に選ばれる1種類又は2種類以上を含有させることができる。
金属系清浄剤としては、例えば、スルホネート系清浄剤、サリチレート系清浄剤、フェネート系清浄剤等が挙げられ、アルカリ金属又はアルカリ土類金属との中性塩、塩基性塩、過塩基性塩のいずれをも配合することができる。このような金属系清浄剤を用いる場合、これらの中から任意に選ばれる1種類又は2種類以上を配合することができる。潤滑油組成物に金属系清浄剤を含有させる場合、これらの中から任意に選ばれる1種類又は2種類以上を含有させることができる。
無灰分散剤としては、例えば、炭素数40以上400以下の直鎖若しくは分枝のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するモノ又はビスコハク酸イミド、炭素数40以上400以下のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するベンジルアミン、炭素数40以上400以下のアルキル基又はアルケニル基を分子中に少なくとも1個有するポリアミン、これらのホウ素化合物、カルボン酸、リン酸等による変成品などが挙げられる。使用に際してはこれらの中から任意に選ばれる1種類又は2種類以上を配合することができる。潤滑油組成物に無灰分散剤を含有させる場合、これらの中から任意に選ばれる1種類又は2種類以上を含有させることができる。
摩擦調整剤としては、例えば、有機モリブデン化合物及び無灰摩擦調整剤から選ばれる1種以上の摩擦調整剤が挙げられる。潤滑油組成物に摩擦調整剤を含有させる場合、これらの中から任意に選ばれる1種類又は2種類以上を含有させることができる。
有機モリブデン化合物としては、例えば、モリブデンジチオホスフェート、モリブデンジチオカーバメート(MoDTC)等の硫黄を含有する有機モリブデン化合物;モリブデン化合物(例えば、二酸化モリブデン、三酸化モリブデン等の酸化モリブデン、オルトモリブデン酸、パラモリブデン酸、(ポリ)硫化モリブデン酸等のモリブデン酸、これらモリブデン酸の金属塩、アンモニウム塩等のモリブデン酸塩、二硫化モリブデン、三硫化モリブデン、五硫化モリブデン、ポリ硫化モリブデン等の硫化モリブデン、硫化モリブデン酸、硫化モリブデン酸の金属塩又はアミン塩、塩化モリブデン等のハロゲン化モリブデン等)と硫黄含有有機化合物(例えば、アルキル(チオ)キサンテート、チアジアゾール、メルカプトチアジアゾール、チオカーボネート、テトラハイドロカルビルチウラムジスルフィド、ビス(ジ(チオ)ハイドロカルビルジチオホスホネート)ジスルフィド、有機(ポリ)サルファイド、硫化エステル等)との錯体;上記硫化モリブデン又は硫化モリブデン酸等の硫黄含有モリブデン化合物とアルケニルコハク酸イミドとの錯体などが挙げられる。
また、有機モリブデン化合物としては、例えば、構成元素として硫黄を含まない有機モリブデン化合物が挙げられる。より具体的には、例えば、モリブデン−アミン錯体、モリブデン−コハク酸イミド錯体、有機酸のモリブデン塩、アルコールのモリブデン塩等が挙げられる。
無灰摩擦調整剤としては、例えば、分子中に酸素原子、窒素原子、硫黄原子から選ばれる1種もしくは2種以上のヘテロ元素を含有する、炭素数6〜50の化合物が挙げられる。より具体的には、例えば、炭素数6〜30のアルキル基又はアルケニル基、特に炭素数6〜30の直鎖アルキル基、直鎖アルケニル基、分岐アルキル基、分岐アルケニル基を分子中に少なくとも1個有する、アミン化合物、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸、脂肪族アルコール、脂肪族エーテル、ウレア系化合物、ヒドラジド系化合物等が挙げられる。
粘度指数向上剤としては、例えば、非分散型又は分散型ポリ(メタ)アクリレート系粘度指数向上剤、非分散型又は分散型オレフィン−(メタ)アクリレート共重合体系粘度指数向上剤、スチレン−無水マレイン酸エステル共重合体系粘度指数向上剤、非分散型若しくは分散型エチレン−α−オレフィン共重合体又はその水素化物、ポリイソブチレン又はその水素化物、スチレン−ジエン水素化共重合体、ポリアルキルスチレン、及びこれらの混合物等が挙げられる。潤滑油組成物に粘度指数向上剤を含有させる場合、これらの中から任意に選ばれる1種類又は2種類以上を含有させることができる。
流動点降下剤としては、例えば、ポリメタクリレート系のポリマー等が挙げられる。潤滑油組成物に流動点降下剤を含有させる場合、これらの中から任意に選ばれる1種類又は2種類以上を含有させることができる。
潤滑油組成物にこれら添加剤を含有させる場合、それぞれの含有量は、潤滑油基油全量を100質量部としたとき、0.01〜20質量部であってもよい。
潤滑油組成物の100℃動粘度は、特に制限されないが、好ましくは9.3mm/s以下、より好ましくは8.2mm/s以下、さらに好ましくは7.1mm/s以下、特に好ましくは6.1mm/s以下である。また、潤滑油組成物の100℃動粘度は、特に制限されないが、好ましくは3.0mm/s以上、より好ましくは4.0mm/s以上である。
潤滑油組成物の40℃動粘度は、特に制限されないが、好ましくは35.0mm/s以下、より好ましくは30.0mm/s以下、さらに好ましくは25.0mm/s以下である。また、潤滑油組成物の40℃動粘度は、例えば、10.0mm/s以上、15.0mm/s以上、又は20.0mm/s以上とすることができる。
潤滑油組成物のNOACK蒸発量は、特に制限されないが、好ましくは15.0質量%以下、より好ましくは14.0質量%以下、さらに好ましくは13.0質量%以下である。NOACK蒸発量が15.0質量%を超えると、エンジンオイルの消費量が増加する傾向にある。また、潤滑油組成物のNOACK蒸発量は、例えば、1.0質量%以上、3.0質量%以上、5.0質量%以上、7.0質量%以上又は10.0質量%以上であってもよい。
潤滑油組成物の150℃のHTHS粘度は、特に制限されないが、好ましくは2.6mPa・s以下、より好ましくは2.5mPa・s以下、さらに好ましくは2.2mPa・s以下である。また、潤滑油組成物の150℃のHTHS粘度は、例えば、1.0mPa・s以上、1.1mPa・s以上、又は1.4mPa・s以上とすることができる。
本実施形態の潤滑油組成物は、蒸発性を抑えつつ、低粘度化が可能な潤滑油基油を含有する。このような潤滑油組成物は、エンジン油として内燃機関に好適に用いられ、ハイブリッド機構を有する内燃機関により好適に用いられる。また、本実施形態の潤滑油組成物は、SAE(米国自動車技術者協会)J300で規定されている粘度分類0W−20、0W−16、0W−12、又は0W−8以下のエンジン油に好適に用いることができる。
本実施形態の潤滑油組成物によれば、蒸発性を抑えつつ、低粘度化が可能な潤滑油基油を含有するため、潤滑油基油の蒸発量を低減させることができる。したがって、潤滑油組成物を用いて潤滑を行うことによって、潤滑油組成物の消費量抑制方法を提供することができる。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
表1〜3に示すように、実施例1〜11及び比較例1〜6の潤滑油基油、並びに実施例12、13の潤滑油組成物をそれぞれ調製した。得られた潤滑油基油について、40℃及び100℃における動粘度、並びにNOACK蒸発量を測定し、その結果を表1及び表2に併記した。また、得られた潤滑油組成物について、40℃及び100℃における動粘度、150℃におけるHTHS粘度、並びにNOACK蒸発量を測定した。その結果を表3に併記した。なお、実施例12、13の潤滑油組成物では、実施例2、8の潤滑油基油を用いた。また、表1及び表2において、第1のエステル系基油、第2のエステル系基油及びエステル系基油の項目における数値は、各成分の含有量を表し、単位は質量%(混合基油全量基準)である。また、表3において、第1のエステル系基油、第2のエステル系基油及び添加剤の項目における数値は、各成分の含有量を表し、エステル系基油の項目における単位は質量%(混合基油全量基準)であり、添加剤の項目における単位は質量%(潤滑油組成物基準)である。
表1及び表2に示した各成分の詳細は以下のとおりである。
<第1のエステル系基油>
A−1:ジエステル(イソノニルアルコールとアジピン酸とのジエステル、分子量:398、NOACK蒸発量:19.9質量%、100℃動粘度:3.0mm/s、40℃動粘度:10.5mm/s、粘度指数:149)
A−2:ジエステル(2−エチルヘキシルアルコールとアゼライン酸とのジエステル、分子量:412、NOACK蒸発量:19.2質量%、100℃動粘度:3.0mm/s、40℃動粘度:10.6mm/s、粘度指数:144)
A−3:ポリオールエステル(ネオペンチルグリコールと炭素数10の一塩基酸とのポリオールエステル、分子量:412、NOACK蒸発量:18.3質量%、100℃動粘度:3.0mm/s、40℃動粘度:10.5mm/s、粘度指数:141)
A−4:ジエステル(2−エチルヘキシルアルコールとセバシン酸とのジエステル、分子量:426、NOACK蒸発量:15.4質量%、100℃動粘度:3.2mm/s、40℃動粘度:11.6mm/s、粘度指数:152)
<第2のエステル系基油>
B−1:ジエステル(炭素数8の分岐モノアルコールとドデカン二酸とのジエステル、分子量:454、NOACK蒸発量:7.0質量%、100℃動粘度:4.2mm/s、40℃動粘度:15.9mm/s、粘度指数:182)
B−2:モノエステル(炭素数20の飽和モノアルコールと炭素数18の飽和一塩基酸とのモノエステル、分子量:564、NOACK蒸発量:4.7質量%、100℃動粘度:5.4mm/s、40℃動粘度:25.2mm/s、粘度指数:159)
B−3:ポリオールエステル(トリメチロールプロパンと炭素数8(直鎖)/10(直鎖)の一塩基酸とのポリオールエステル混合物、NOACK蒸発量:4.3質量%、100℃動粘度:4.3mm/s、40℃動粘度:19.0mm/s、粘度指数:138)
B−4:モノエステル(炭素数13の分岐モノアルコールとオレイン酸とのモノエステル、分子量:464、NOACK蒸発量:4.1質量%、100℃動粘度:4.0mm/s、40℃動粘度:14.5mm/s、粘度指数:184)
<エステル系基油以外の基油>
C−1:鉱油(NOACK蒸発量:39.0質量%、100℃動粘度:3.1mm/s、40℃動粘度:12.4mm/s、粘度指数:103)
C−2:鉱油(NOACK蒸発量:13.2質量%、100℃動粘度:4.2mm/s、40℃動粘度:18.2mm/s、粘度指数:135)
C−3:鉱油(NOACK蒸発量:7.4質量%、100℃動粘度:6.4mm/s、40℃動粘度:35.6mm/s、粘度指数:133)
<添加剤>
D−1:性能添加剤パッケージ(酸化防止剤、摩耗防止剤、金属系清浄剤、無灰分散剤を含む)
D−2:粘度指数向上剤(ポリメタクリレート系粘度指数向上剤、重量平均分子量45万)
<動粘度>
JIS K 2283に準拠して測定した。動粘度が小さい(例えば、100℃の動粘度が3.5mm/s以下)ほど、低粘度に優れることを意味する。
<NOACK蒸発量>
ASTM D 5800(NOACK試験:250℃、1時間)に準拠して測定した。NOACK蒸発量が小さい(例えば、15.0質量%以下)ほど、低蒸発性に優れることを意味する。
<HTHS粘度>
ASTM D 4683に準拠し、150℃、せん断速度106/sにおける粘度を測定した。
Figure 2017186461
Figure 2017186461
実施例1と比較例1との対比から、NOACK蒸発量が15.0質量%以上であるエステル系基油に、NOACK蒸発量が15.0質量%未満のエステル系基油を組み合わせることよって、混合基油のNOACK蒸発量が抑えられることが確認された。また、実施例2〜10より、エステル系基油の組成に関わらず、NOACK蒸発量が15.0質量%以上であるエステル系基油とNOACK蒸発量が15.0質量%未満であるエステル系基油とを組み合わせることによって、100℃動粘度3.5mm/s以下、かつNOACK蒸発量15.0質量%以下の潤滑油基油が得られることが確認された。
一方、NOACK蒸発量が15.0質量%以上である鉱油とNOACK蒸発量が15.0質量%未満である鉱油とを組み合わせた比較例2では、100℃動粘度3.5mm/s以下、かつNOACK蒸発量15.0質量%以下の潤滑油基油が得られなかった。また、NOACK蒸発量が15.0質量%未満であるエステル基油とNOACK蒸発量が15.0質量%以上である鉱油とを組み合わせた比較例3〜6においても、100℃動粘度3.5mm/s以下、かつNOACK蒸発量15.0質量%以下の潤滑油基油が得られなかった。
Figure 2017186461
表3に示すように、上記実施例3及び9の潤滑油基油に添加剤を加えた場合においても、NOACK蒸発量が15.0質量%以下である潤滑油組成物が得られることが確認された。

Claims (6)

  1. NOACK蒸発量が15.0質量%以上である第1のエステル系基油と、
    NOACK蒸発量が15.0質量%未満である第2のエステル系基油と、
    を含有し、100℃動粘度が3.5mm/s以下である、潤滑油基油。
  2. 前記第1のエステル系基油及び前記第2のエステル系基油の総量が、潤滑油基油全量基準で、50質量%を超える、請求項1に記載の潤滑油基油。
  3. 請求項1又は2に記載の潤滑油基油と、
    酸化防止剤、摩耗防止剤、金属系清浄剤、無灰分散剤、摩擦調整剤、粘度指数向上剤、及び流動点降下剤からなる群より選ばれる少なくとも1種と、
    を含有する、潤滑油組成物。
  4. 内燃機関に用いられる、請求項3に記載の潤滑油組成物。
  5. 前記内燃機関がハイブリッド機構を有する、請求項4に記載の潤滑油組成物。
  6. 請求項3〜5のいずれか一項に記載の潤滑油組成物を用いて潤滑を行う、潤滑油組成物の消費量抑制方法。
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