JP2017185641A - 加飾フィルム及びその製造方法 - Google Patents

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美典 桐山
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伸夫 久保
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良和 小島
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和義 鈴木
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Abstract

【課題】本発明の課題は、絵柄層に用いられるインクとの密着性が良く、高温で成形処理されてもシワやムラが発生せず、曲面状に延展されてもヘイズが小さく成形性の良い加飾フィルムを提供することである。また、そのための加飾フィルムの製造方法を提供することである。【解決手段】基材層と絵柄層とを有する加飾フィルムであって、前記絵柄層が、インクを含有し、前記基材層が、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを含有し、前記アクリル樹脂の質量(A)と前記セルロースエステル樹脂の質量(B)との比率(A/B)が、90/10〜30/70の範囲内であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、加飾フィルム及びその製造方法に関し、より詳しくは、絵柄層の密着性が良く、しわやムラの発生がなく、成形性の良い加飾フィルムに関する。
樹脂成形品や金属成形品の外観を加飾する方法として、成形品の表面に意匠性のある装飾が施されたフィルムを積層することで加飾する方法が知られている。加飾した成形品は、車両内装材や外装材、テレビなどの家電製品の筐体、携帯電話の筐体、窓枠、扉枠等の建材など各種用途で使用されている。
また、近年、車両用の表示装置やウェアラブルディスプレイなどのディスプレイの分野において、曲面化が進んでいる。例えば、カーナビゲーションシステムなどの車両用表示装置のタッチパネルにおいて、配線を被覆するために、外周部に加飾印刷と呼ばれる、主として黒色インクによる印刷が施された加飾フィルムが使用されることがある。
また自動車の内装についても、ディスプレイとの一体化を目指したセンタークラスター部やその他インストルメントパネル、ドア室内側の内貼り製品であるドアトリム、さらには、自動車の外装部のエンブレムなどにおいても加飾フィルムが使用されることがある。
またスマートフォンについても湾曲したモデルが出てきており、それらについても加飾フィルム適用の要望が、出てきている。以上のように、加飾フィルムへの要求性能が高いものとなってきている。
現在、加飾フィルムに使用される基材は、アクリル樹脂フィルム、ポリエステルフィルムなどがある。
例えば、加飾フィルムのフィルム層にアクリル樹脂を用いて、成形する加飾フィルムの成形方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、アクリル樹脂フィルムは、透明性や耐候性に優れているものの、フィルムの脆性が高く割れやすいという問題がある。また、アクリルフィルムは耐熱性が劣るため、高温処理により成形される加飾フィルムに使用した場合には、シワやムラが生じて表面状態に欠陥を生じやすいという問題があった。さらに、本発明者らが検討した結果、アクリルフィルムを使用して加飾フィルムの成形を行った場合に、絵柄層に使用されるインクとの密着性が悪く、作業工程中に加飾インクが剥離しやすいという問題があることがわかった。
一方、ポリエステルからなる基材フィルムを用いて、成形時の耐衝撃性、金型成形面に対する追随性を改良する加飾フィルムの技術が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。
しかし、ポリエステルフィルムは、耐溶剤性(例えば、日焼け止め化粧料等のスキンケア用品、アルコールを含む薬品などが加飾樹脂成形品に付着した場合の耐性)は良いが、透明性に劣るという問題があった。また高温処理により成形される加飾フィルムに使用した場合には、シワやムラが生じて表面状態に欠陥を生じやすいという問題があった。
従って、絵柄層に用いられるインクとの密着性が良く、高温で成形処理されてもシワやムラが発生せず、曲面状に延展されてもヘイズ値が小さく成形性の良い加飾フィルムを得ることが困難であった。
特開2006−341388号公報 特開2008−80719号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、絵柄層に用いられるインクとの密着性が良く、高温で成形処理されてもシワやムラが発生せず、曲面状に延展されてもヘイズ値が小さい成形性の良い加飾フィルムを提供することである。また、そのための加飾フィルムの製造方法を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、基材層と絵柄層とを有する加飾フィルムであって、前記絵柄層が、インクを含有し、前記基材層が、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを含有し、前記アクリル樹脂の質量(A)と前記セルロースエステル樹脂の質量(B)とを、特定の比率で併用することによって、絵柄層に用いられるインクとの密着性が良く、高温で成形処理されてもシワやムラが発生せず、曲面状に延展されてもヘイズ値が小さい加飾フィルムが得られることを見いだした。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1. 基材層と絵柄層とを有する加飾フィルムであって、前記絵柄層が、インクを含有し、前記基材層が、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを含有し、かつ、前記アクリル樹脂の質量(A)と前記セルロースエステル樹脂の質量(B)との比率(A/B)が、90/10〜30/70の範囲内であることを特徴とする加飾フィルム。
2. 前記アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)が120000〜1000000の範囲内であり、前記セルロースエステル樹脂の少なくとも1種が、アシル基の総置換度(T)が2.5〜2.9の範囲内であり、アセチル基の置換度(ac)が0.1〜1.8の範囲内であって、アセチル基以外の部分が3〜7の炭素数で構成されるアシル基で置換されており、その置換度が1.1〜2.8の範囲内であり、かつ重量平均分子量(Mw)が75000〜250000の範囲内であることを特徴とする第1項に記載の加飾フィルム。
3. 前記基材層のヘイズ値が、1%以下であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の加飾フィルム。
4. 前記基材層の絵柄層とは反対側の面にハードコート層を有することを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項記載の加飾フィルム。
5. 23℃、55%RHの環境下、光波長589nmで測定したときの、前記基材層の面内方向の位相差値(Ro)が、0〜10nmの範囲内であり、かつ厚さ方向の位相差値(Rt)が、−25〜25nmの範囲内であることを特徴とする第1項から第4項までのいずれか一項に記載の加飾フィルム。
6. 23℃、55%RHの環境下での前記基材層の破断伸度が、150%以上であり、かつ、破断時のフィルムのヘイズ値が1%以下であることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の加飾フィルム。
7. 第1項から第6項までのいずれか一項に記載の加飾フィルムを製造する加飾フィルムの製造方法であって、前記絵柄層をグラビア印刷、スクリーン印刷、又はインクジェット印刷により、前記基材層上にインクと有機溶剤とを用いて形成する工程を備えることを特徴とする加飾フィルムの製造方法。
本発明の上記手段により、絵柄層に用いられるインクとの密着性が良く、高温で成形処理されてもシワやムラが発生せず、曲面状に延展されてもヘイズ値が小さく成形性の良い加飾フィルムを提供することができる。
本発明の効果の発現機構ないし作用機構については、明確にはなっていないが、以下のように推察している。
本発明の加飾フィルムは、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを含有する基材層及びインクを含有する絵柄層を有する。これにより絵柄層に用いられるインクとの密着性が良く、高温で成形処理されてもシワやムラが発生せず、曲面状に延展されてもヘイズが小さく成形性の良い加飾フィルムが得られる。
アクリル樹脂フィルムは耐熱性が劣るため、成形時に加飾フィルムの高温処理を行った際、シワやムラが発生しやすく加飾フィルムの表面状態が劣化しやすい。またアクリル樹脂フィルムは、絵柄層に用いられるインクとの密着性が悪い。これはアクリル樹脂とインク成分との相溶性が劣るため密着性が悪く絵柄層の剥離が生じるものと推察している。
セルロースエステル樹脂は、耐熱性が良いためアクリル樹脂にセルロースエステル樹脂を混合することにより、アクリル樹脂フィルムの欠点である高温処理時のシワやムラの発生を解消するものと推察している。
また、絵柄層に用いられるインクとの密着性は、アクリル樹脂にセルロースエステル樹脂を混合することにより、インク成分とフィルム成分との相溶性が改良され、その結果フィルム基材層と絵柄層との接触界面が溶着しやすくなるため、密着性が改良されるものと推察している。
また、曲面状に成形した場合のフィルムの伸びについては、セルロースエステル樹脂のみのフィルムでは伸びが不十分でありヘイズが増加しやすい。アクリル樹脂を混合することにより、延展されて配向しているセルロースエステルの高分子差鎖の配列に、アクリル樹脂の高分子が混入される。その結果、セルロースエステル樹脂の配向を弱めるため、発生応力が小さくなるため、セルロースエステル樹脂が延展された時のヘイズの発生を抑制しているものと推察している。
本発明の加飾シートの一例の断面図
本発明の加飾フィルムは、基材層と絵柄層とを有する加飾フィルムであって、前記絵柄層が、インクを含有し、前記基材層が、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを含有し、かつ前記アクリル樹脂の質量(A)と前記セルロースエステル樹脂の質量(B)との比率(A/B)が、90/10〜30/70の範囲内であることを特徴とする。この特徴は、各請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
前述の本発明の効果の発現機構の推察に記載したように、本発明の効果は、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂を混合することにより発現される。
アクリル樹脂の質量(A)と前記セルロースエステル樹脂の質量(B)との比率(A/B)が、90/10〜30/70の範囲内であるとの数値の規定は、その樹脂の混合の範囲の目安を示したものであり、この範囲では本発明の効果が発現されやすい。
本発明の実施態様としては、本発明の効果発現の観点から、前記アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)が120000〜1000000の範囲内であり、前記セルロースエステル樹脂の少なくとも1種が、アシル基の総置換度(T)が2.5〜2.9の範囲内であり、アセチル基の置換度(ac)が0.1〜1.8の範囲内であって、アセチル基以外の部分が3〜7の炭素数で構成されるアシル基で置換されており、その置換度が1.1〜2.8の範囲内であり、重量平均分子量(Mw)が75000〜250000の範囲内であることが好ましい。
アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)が120000以上であると、フィルムの脆性が改良されやすい。またアクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)が1000000以下であるとフィルム製造時のドープ粘度が大きすぎずフィルムを製造しやすくなる。セルロースエステル樹脂のアシル基の総置換度(T)が2.5〜2.9の範囲内であると、アクリル樹脂との相溶性が良く均一なフィルムが製造しやすくなる。セルロースエステル樹脂の3〜7の炭素数で構成されるアシル基の置換度が1.2〜2.8の範囲内であるとアクリル樹脂との相溶性が良く均一なフィルムが製造しやすくなる。また、発生応力が適切な範囲となるため、延展時のヘイズがよくなったり、インクのフィルムへの浸透性が上がるため、インクの密着性が上がる。セルロースエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)が、75000〜250000の範囲内であると製造時のムラが生じにくく均一なフィルムが製造しやすくなる。また、発生応力が適切な範囲となるため、延展時のヘイズがよくなる。
さらに、本発明においては、前記基材層のヘイズ値が、1%以下であることが、基材層の透明性が高いという観点から好ましい。本発明の構成をとることにより、曲面状に延展されてもヘイズが小さく基材層が透明な加飾フィルムを得ることができる。
また、本発明においては、前記基材層の絵柄層とは反対側の面にハードコート層を有することが、傷つき耐性や、指紋が付着した場合の耐久性が改良される観点から好ましい。
また、本発明においては、基材層を23℃、55%RHの環境下、光波長589nmで測定したときの、前記基材層の面内方向の位相差値(Ro)が、0〜10nmの範囲内であり、かつ厚さ方向の位相差値(Rt)が、−25〜25nmの範囲内であることが好ましい。加飾フィルムが貼り合わされた液晶表示装置の成形体(例えば、カーナビゲーションシステムのタッチパネル)を、偏光サングラスを掛けた状態で観察した時に、観察者の頭部の傾きによって生じる観察画像の性能変化(観察が困難になったり、色ムラが発生する)が少ないという効果がある。
なお前記面内方向の位相差値(Ro)及び厚さ方向の位相差値(Rt)は、自動複屈折率計アクソスキャン(Axo Scan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用いて、23℃、55%RHの環境下、589nmの波長において、三次元屈折率測定を行い、得られた屈折率n、n、nから下記式を用いて算出した値である。
式(i):Ro=(n−n)×d(nm)
式(ii):Rt={(n+n)/2−n}×d(nm)
〔式(i)及び式(ii)において、nは、フィルムの面内方向において遅相軸方向における屈折率を表す。nは、フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nは、フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、フィルムの厚さ(nm)を表す。〕
また、本発明においては、23℃、55%RHの環境下での前記基材層の破断伸度が、150%以上であり、かつ、破断時のフィルムのヘイズ値が1%以下であることが、曲面状に成形しやすく、加飾フィルムが伸ばされた場合でもヘイズ値が小さいという観点から好ましい。
また、本発明の加飾フィルムを製造する加飾フィルムの製造方法としては、前記絵柄層をインクジェット印刷により、前記基材層上にインクと有機溶剤とを用いて形成する工程を備えることが、本発明の効果発現の観点から好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
<本発明の加飾フィルムの概要>
本発明の加飾フィルムは、基材層と絵柄層とを有する加飾フィルムであって、前記絵柄層が、インクを含有し、前記基材層が、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを含有し、かつ前記アクリル樹脂の質量(A)と前記セルロースエステル樹脂の質量(B)との比率(A/B)が、90/10〜30/70の範囲内であることを特徴とし、かかる構成によって絵柄層に用いられるインクとの密着性が良く、高温で成形処理されてもシワやムラが発生せず、曲面状に延展されてもヘイズ値が小さく成形性の良い加飾フィルムを得るものである。
<基材層に関する詳細な説明>
本発明の加飾フィルムは、基材層がアクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを含有し、前記アクリル樹脂の質量(A)と前記セルロースエステル樹脂の質量(B)との比率(A/B)が、90/10〜30/70の範囲内であることを特徴とする。
<アクリル樹脂>
本発明に用いられるアクリル樹脂に特に制限はない。本発明に用いられるアクリル樹脂には、メタクリル樹脂も含まれる。樹脂としては、メチルメタクリレート単位50〜99質量%、及びこれと共重合可能な他の単量体単位1〜50質量%を用いて重合したアクリル樹脂が好ましい。
共重合可能な他の単量体としては、アルキル数の炭素数が2〜18のアルキルメタクリレート、アルキル数の炭素数が1〜18のアルキルアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸等のα,β−不飽和酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和基含有二価カルボン酸、スチレン、α−メチルスチレン、核置換スチレン等の芳香族ビニル化合物、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のα,β−不飽和ニトリル、無水マレイン酸、マレイミド、N−置換マレイミド、グルタル酸無水物等が挙げられ、これらは単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
これらの中でも、共重合体の耐熱性や流動性の観点から、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、s−ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等が好ましく、メチルアクリレートやn−ブチルアクリレートが特に好ましく用いられる。
本発明の基材層に用いられるアクリル樹脂は、フィルムとしての機械的強度、フィルムを生産する際の流動性の点から重量平均分子量(Mw)が120000〜1000000であることが好ましい。
アクリル樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定することができる。測定条件は以下の通りである。
溶媒: ジクロロメタン
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=500〜2800000迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いることが好ましい。
本発明におけるアクリル樹脂の製造方法としては、特に制限は無く、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、又は溶液重合等の公知の方法のいずれを用いても良い。ここで、重合開始剤としては、通常のパーオキサイド系重合開始剤及びアゾ系重合開始剤のものを用いることができ、また、レドックス系重合開始剤とすることもできる。
重合温度については、懸濁又は乳化重合では30〜100℃、塊状又は溶液重合では80〜160℃で実施しうる。さらに、生成共重合体の還元粘度を制御するために、アルキルメルカプタン等を連鎖移動剤として用いて重合を実施することもできる。
アクリル樹脂としては、市販のものも使用することができる。例えば、デルペット60N、80N(旭化成ケミカルズ(株)製)、ダイヤナールBR52、BR80、BR83、BR85、BR88(三菱レイヨン(株)製)、KT75(電気化学工業(株)製)等が挙げられる。
本発明の基材層においては、アクリル樹脂は、一種以上使用されるが、この場合、いずれのアクリル樹脂の重量平均分子量も120000〜1000000であることが好ましい。
<セルロースエステル樹脂>
本発明の基材層においては、セルロースエステル樹脂は一種以上使用されるが、そのうち少なくとも一種は、アシル基の総置換度(T)が2.5〜2.9の範囲内であり、アセチル基の置換度(ac)が0.1〜1.8の範囲内であって、アセチル基以外の部分が3〜7の炭素数で構成されるアシル基で置換されており、その置換度が1.1〜2.8の範囲内であり、かつ重量平均分子量(Mw)が75000〜250000の範囲内であることが好ましい。(以下、セルロースエステル樹脂(B1)と略す)。
セルロースエステル樹脂のアシル基の総置換度(T)が2.5〜2.9の範囲内であると、アクリル樹脂との相溶性が良く均一なフィルムが製造しやすくなる。セルロースエステル樹脂の3〜7の炭素数で構成されるアシル基の置換度が1.1〜2.8の範囲内であるとアクリル樹脂との相溶性が良く均一なフィルムが製造しやすくなる。セルロースエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)が、75000〜250000の範囲内であると製造時のムラが生じにくく均一なフィルムが製造しやすくなる。
セルロースエステル樹脂(B1)以外のセルロースエステル樹脂(以下、セルロースエステル樹脂(B2)と略す)としては、アシル基の総置換度(T)が1.00〜2.99、アセチル基置換度(ac)が0.10〜2.99であって、アセチル基以外のアシル基の置換度(r)が0〜2.89のものを選択することができる。
セルロースエステル樹脂(B1)とセルロースエステル樹脂(B2)とは、100/0〜50/50(質量比)の割合で使用することができる。
セルロースエステル樹脂(B1)及び(B2)は、1種以上使用してもよい。
セルロースエステル樹脂が、脂肪族アシル基とのエステルであるとき、脂肪族アシル基は炭素原子数が2〜20であることが好ましい。具体的にはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、ラウロイル基、ステアロイル基等が挙げられる。
セルロースエステル樹脂(B1)は、アシル基がアセチル基又は3〜7の炭素数で構成されるアシル基で置換されていることが好ましい。
本発明において前記脂肪族アシル基とはさらに置換基を有するものも包含する意味であり、置換基としては上述の芳香族アシル基において、芳香族環がベンゼン環であるとき、ベンゼン環の置換基として例示したものが挙げられる。
上記セルロースエステル樹脂が、芳香族アシル基とのエステルであるとき、芳香族環に置換する置換基Xの数は0又は1〜5個であり、好ましくは1〜3個で、特に好ましくは1又は2個である。
更に、芳香族環に置換する置換基の数が2個以上の時、互いに同じでも異なっていてもよい。また、互いに連結して縮合多環化合物(例えばナフタレン、インデン、インダン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、クロメン、クロマン、フタラジン、アクリジン、インドール、インドリンなど)を形成してもよい。
上記セルロースエステル樹脂において置換又は無置換の脂肪族アシル基、置換又は無置換の芳香族アシル基の少なくともいずれか1種が選択されたアシル基を有することが好ましい。置換しているアシル基の種類が単独である、セルロースの単独酸エステルでもよいし、アシル基の種類が複数である混合酸エステルでもよい。
セルロースエステル樹脂において、炭素原子数2〜7のアシル基を置換基として有するもの、即ちセルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートベンゾエート、及びセルロースベンゾエートから選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
これらの中で特に好ましいセルロースエステル樹脂は、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートが挙げられる。
混合脂肪酸エステルのセルロースエステル樹脂として、さらに好ましくは、セルロースアセテートプロピオネートやセルロースアセテートブチレートの低級脂肪酸エステルであり、炭素原子数2〜4のアシル基を置換基として有するものが好ましい。
アシル基で置換されていない部分は通常ヒドロキシル基として存在しているものである。これらは公知の方法で合成することができる。
なお、アセチル基の置換度や他のアシル基の置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法により求めたることができる。
セルロースエステル樹脂(B1)の重量平均分子量(Mw)は、75000〜250000のものが製造時のムラが生じにくく、均一なフィルムが製造しやすい観点から好ましく、100000〜240000のものが更に好ましい。
本発明で用いられるセルロースエステル樹脂の原料セルロースは、木材パルプでも綿花リンターでもよく、木材パルプは針葉樹パルプでも広葉樹パルプでもよいが、針葉樹パルプの方がより好ましい。製膜の際の剥離性の点からは綿花リンターが好ましく用いられる。これらから作られたセルロースエステルは適宜混合して、又は単独で使用することができる。
例えば、綿花リンター由来セルロースエステル:木材パルプ(針葉樹)由来セルロースエステル:木材パルプ(広葉樹)由来セルロースエステルの比率が100:0:0、90:10:0、85:15:0、50:50:0、20:80:0、10:90:0、0:100:0、0:0:100、80:10:10、85:0:15、40:30:30で用いることができる。
本発明において、セルロースエステル樹脂は、20mLの純水(電気伝導度0.1μS/cm以下、pH6.8)に1g投入し、25℃、1hr、窒素雰囲気下にて撹拌した時のpHが6〜7、電気伝導度が1〜100μS/cmであることが好ましい。
(衝撃補強材(ゴム成分))
本発明においては、基材層に衝撃補強材を含有することが好ましい。衝撃補強材は、フィルムの脆性を改良するゴム成分として機能する。
衝撃補強材は、コア−シェルタイプのアクリル系微粒子や;スチレン−ブタジエン系共重合体の微粒子などが好ましい。
コア−シェルタイプのアクリル系微粒子の例には、特開2009−84574号公報に
記載の(メタ)アクリル系ゴムと芳香族ビニル化合物の共重合体に(メタ)アクリル系樹
脂がグラフトされたコア−シェルタイプのグラフト共重合体や;国際公開第2009/0
47924号に記載されているコア−シェルタイプのアクリル微粒子などが含まれる。国
際公開第2009/047924号に記載のコア−シェルタイプのアクリル微粒子は、メ
チルメタクリレート80〜98.9質量%、アルキルアクリレート1〜20質量%及び
多官能性グラフト剤0.01〜0.3質量%の混合物を重合して得られる最内硬質層と;
アルキルアクリレート75〜98.5質量%、多官能性架橋剤0.01〜5質量%、およ
び多官能性グラフト剤0.5〜5質量%の混合物を重合して得られる軟質層と;メチルメ
タクリレート80〜99質量%、アルキルアクリレート1〜20質量%の混合物を重合し
て得られる最外硬質層とを有することが好ましい。
アクリル系微粒子は、本発明に係る(メタ)アクリル樹脂と屈折率が等しいか、又は屈折率の差が±0.01以下であるものが、フィルムの透明性を維持する観点で好ましい。
スチレン−ブタジエン系共重合体の微粒子の例には、特開2013−83907号公報
に記載のスチレン−ブタジエン系の弾性有機微粒子などが含まれる。具体的には、弾性有
機微粒子はコアーシェルタイプの粒子であることが好ましい。コア部が、軟質重合体で構
成され;コア部の周囲を覆うシェル部が、セルロースエステル樹脂や(メタ)アクリル系樹脂との相溶性が高い他の重合体で構成されることが好ましい。
軟質重合体は、共役ジエン単量体由来の構造単位と、必要に応じて他の単量体由来の構
造単位とを含む。共役ジエン単量体の例には、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、2−クロロ−1,3−ブタジエン、ミルセンなどが含まれ、好ましくはブタジエン、イソプレンである。他の単量体の例には、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン成分が含まれる。軟質重合体における共役ジエン単量体由来の構造単位の含有割合は、通常、50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。
他の重合体の例には、アクリロニトリルとスチレンの共重合体や、メタクリル酸メチル
等のメタクリル酸エステルを主成分とする重合体などが含まれる。
弾性有機微粒子の体積平均粒子径は0.350μm以下であり、好ましくは0.010
〜0.350μmであり、より好ましくは0.050〜0.300μmである。粒子径が
一定以上であれば、フィルムに十分な衝撃吸収性を付与でき;粒子径を一定以下であれば
、得られるフィルムの透明性を損ないにくい。
衝撃吸収材の含有量は、セルロースエステル樹脂と(メタ)アクリル樹脂の合計量に対
して0.1〜10質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることがより好ましい。
〈その他の添加剤〉
本発明の基材層においては、組成物の流動性や柔軟性を向上するために、可塑剤を併用することも可能である。
可塑剤としては、フタル酸エステル系、脂肪酸エステル系、トリメリット酸エステル系、リン酸エステル系、ポリエステル系、又はエポキシ系等が挙げられる。
この中で、ポリエステル系とフタル酸エステル系の可塑剤が好ましく用いられる。ポリエステル系可塑剤は、フタル酸ジオクチルなどのフタル酸エステル系の可塑剤に比べて非移行性や耐抽出性に優れるが、可塑化効果や相溶性にはやや劣る。
従って、用途に応じてこれらの可塑剤を選択、又は併用することによって、広範囲の用途に適用できる。
ポリエステル系可塑剤は、一価ないし四価のカルボン酸と一価ないし六価のアルコールとの反応物であるが、主に二価カルボン酸とグリコールとを反応させて得られたものが用いられる。代表的な二価カルボン酸としては、グルタル酸、イタコン酸、アジピン酸、フタル酸、アゼライン酸、セバシン酸などが挙げられる。
特に、アジピン酸、フタル酸などを用いると可塑化特性に優れたものが得られる。グリコールとしてはエチレン、プロピレン、1,3−ブチレン、1,4−ブチレン、1,6−ヘキサメチレン、ネオペンチレン、ジエチレン、トリエチレン、ジプロピレンなどのグリコールが挙げられる。
これらの二価カルボン酸及びグリコールはそれぞれ単独で、又は混合して使用してもよい。
このエステル系の可塑剤はエステル、オリゴエステル、ポリエステルの型のいずれでもよく、分子量は100〜10000の範囲が良いが、好ましくは600〜3000の範囲が可塑化効果が大きい。
また、可塑剤の粘度は分子構造や分子量と相関があるが、アジピン酸系可塑剤の場合相溶性、可塑化効率の関係から200〜5000mPa・s(25℃)の範囲が良い。さらに、いくつかのポリエステル系可塑剤を併用してもかまわない。
可塑剤は基材層を構成する組成物100質量部に対して、0.5〜30質量部を添加するのが好ましい。可塑剤の添加量が30質量部を越えると、表面がべとつくので、実用上好ましくない。
基材層を構成する組成物は紫外線吸収剤を含有することも好ましく、用いられる紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系、2−ヒドロキシベンゾフェノン系又はサリチル酸フェニルエステル系のもの等が挙げられる。例えば、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール等のトリアゾール類、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン類を例示することができる。
ここで、紫外線吸収剤のうちでも、分子量が400以上の紫外線吸収剤は、高沸点で揮発しにくく、高温成形時にも飛散しにくいため、比較的少量の添加で効果的に耐候性を改良することができる。
また、特に薄い被覆層から基板層への移行性も小さく、積層板の表面にも析出しにくいため、含有された紫外線吸収剤量が長時間維持され、耐候性改良効果の持続性に優れるなどの点から好ましい。
分子量が400以上の紫外線吸収剤としては、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]等のベンゾトリアゾール系、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート等のヒンダードアミン系、さらには2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、1−[2−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]−4−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の分子内にヒンダードフェノールとヒンダードアミンの構造を共に有するハイブリッド系のものが挙げられ、これらは単独で、又は2種以上を併用して使用することができる。これらのうちでも、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2−ベンゾトリアゾールや2,2−メチレンビス[4−(1,1,3,3−テトラブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール]が特に好ましい。
さらに、本発明の基材層に用いられる樹脂には成形加工時の熱分解性や熱着色性を改良するために各種の酸化防止剤を添加することもできる。また帯電防止剤を加えて、基材層に帯電防止性能を与えることも可能である。
アクリル樹脂組成物として、リン系難燃剤を配合した難燃アクリル系樹脂組成物を用いても良い。
ここで用いられるリン系難燃剤としては、赤リン、トリアリールリン酸エステル、ジアリールリン酸エステル、モノアリールリン酸エステル、アリールホスホン酸化合物、アリールホスフィンオキシド化合物、縮合アリールリン酸エステル、ハロゲン化アルキルリン酸エステル、含ハロゲン縮合リン酸エステル、含ハロゲン縮合ホスホン酸エステル、含ハロゲン亜リン酸エステル等から選ばれる1種、又は2種以上の混合物を挙げることができる。
具体的な例としては、トリフェニルホスフェート、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−10−オキシド、フェニルホスホン酸、トリス(β−クロロエチル)ホスフェート、トリス(ジクロロプロピル)ホスフェート、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート等が挙げられる。
本発明に係る基材層は、剥離助剤、帯電防止剤を含むことが、帯電防止性を付与する観点から好ましい。また、製造過程においても流延支持体から剥離性を高める観点からも好ましい。
剥離助剤としては、特に制限はないが、炭素数8〜22の直鎖状又は分岐状のアルキル基を有する酸、アルコール、金属塩、非イオン性界面活性剤及び非反応性4級アンモニウム塩型界面活性剤から選ばれる少なくとも1種の化合物を、本発明に係る共重合体(A)の全質量に対し、0.1〜1.0質量%の範囲内で含有することが、金属支持体に対する剥離性を高めることができる観点から好ましい。
上記剥離助剤である炭素数8〜22の直鎖状又は分岐状のアルキル基を有する酸としては、例えば、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、等が挙げられる。また、塩の種類としては、ナトリウム塩、カリウム塩、アミン塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩等が挙げられる。
具体例としては、デシルスルホン酸ナトリウム、デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、デシルベンゼンスルホン酸カリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルアンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム、テトラデシルスルホン酸ナトリウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、テトラデシルベンゼンスルホン酸カリウム、ヘキサデシルスルホン酸ナトリウム、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸カリウム等が挙げられる。
また、これらの市販品としては、クラリアントジャパン(株)製のホスタスタットHS−1、竹本油脂(株)製のエレカットS−412−2、エレカットS−418、花王(株)製のネオペレックスG65等が挙げられる。
上記アルコールの例としては、例えば、オクタン−1−オール、ノナン−1−オール、デカン−1−オール、ウンデカン−1−オール、ドデカン−1−オール、トリデカン−1−オール、テトラデカン−1−オール、ペンタデカン−1−オール、ヘキサデカン−1−オール、ヘプタデカン−1−オール、オクタデカン−1−オール、ノナデカン−1−オール 、イコサン−1−オール、ヘネイコサン−1−オール 、及びドコサン−1−オール等が挙げられ、オクタデカン−1−オール(ステアリルアルコール)が好ましい。
また、非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールなどのポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテルなどのポリオキシアルキレンスチレン化フェニルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル及びポリオキシエチレンラウリルエーテルなどのポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノココエート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート及びポリオキシエチレン硬化ひまし油などのポリオキシアルキレン脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤が挙げられ、これらは単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。またこれらの市販品としては、第一工業製薬(株)製のエパン、花王(株)製のエレクトロストリッパー等が挙げられる。
さらに、剥離助剤として非反応性4級アンモニウム塩型界面活性剤を用いることも好ましく、中でもメチル基を2個以下有する非反応性4級アンモニウム塩型界面活性剤が有用である。当該界面活性剤としては、例えば、メチル基を1個有する非反応性4級アンモニウム塩型界面活性剤としては、塩化ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウム塩、メチルジエチル(2−メトキシエチル)アンモニウムクロライド、オクチルビスポリオキシエチレンメチルアンモニウムクロライド、ラウリルビスポリオキシエチレンメチルアンモニウムクロライド、オレイルビスポリオキシエチレンメチルアンモニウムクロライド、ポリオキシエチレンドデシルモノメチルアンモニウムクロライドなどが挙げられ、メチル基を2個有する非反応性4級アンモニウム塩型界面活性剤としては、肪族アルキル4級アンモニウム塩が挙げられ、例えば、オクチルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、ラウリルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、パルミチルジメチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、ジデシルジメチルアンモニウムクロリド、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、ステアリルジメチルヒドロキシエチルアンモニウムパラトルエンスルホネート、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライド、エチルジメチル(2−メトキシエチル)アンモニウムクロライドなどが好適に用いられる。中でも特に、前記界面活性剤が、アルキレンオキシド基を含有することが好ましい。前記アルキレンオキシド基は、前記界面活性剤のアニオン成分とカチオン成分の両方、若しくはいずれか一方に含まれているものを使用することができる。前記アルキレンオキシド基を含有するものとしては、例えば、塩化ポリオキシプロピレンメチルジエチルアンモニウム塩、メチルジエチル(2−メトキシエチル)アンモニウムクロライド、オクチルビスポリオキシエチレンメチルアンモニウムクロライド、ラウリルビスポリオキシエチレンメチルアンモニウムクロライド、オレイルビスポリオキシエチレンメチルアンモニウムクロライド、ポリオキシエチレンドデシルモノメチルアンモニウムクロライド、エチルジメチル(2−メトキシエチル)アンモニウムクロライドを用いることも、より好ましい態様である。なお、これらの前記界面活性剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
これら非反応性4級アンモニウム塩型界面活性剤としては、市販品を使用することができ、例えば、商品名「アデカコールCC−36」(メチル基数:1個、(株)ADEKA製)、「アデカコールCC−42」(メチル基数:1個、(株)ADEKA製)、商品名「カチオンL−207」(メチル基数:1個、日本油脂(株)製)、商品名「カチオーゲンES−L」(メチル基数:2個、第一工業製薬(株)製)、商品名「カチオーゲンES−O」(メチル基数:2個、第一工業製薬(株)製)、商品名「カチオーゲンES−OW」(メチル基数:2個、第一工業製薬(株)製)、商品名「カチオーゲンES−WS−L−9」(メチル基数:2個、第一工業製薬(株)製)、商品名「カチオーゲンES−P」(メチル基数:2個、第一工業製薬(株)製)、商品名「カチオーゲンDDM−PG」(メチル基数:2個、第一工業製薬(株)製)、商品名「カチオーゲンS」(メチル基数:2個、第一工業製薬(株)製)、商品名「カチオーゲンD2」(メチル基数:2個、第一工業製薬(株)製)、商品名「カチオーゲンBC−50」(メチル基数:2個、第一工業製薬(株)製)などを用いることも可能である。
本発明に係る基材層には、作製されたフィルムがハンドリングされる際に、傷が付いたり、搬送性が悪化することを防止するために、マット剤として、微粒子を添加することも好ましい。
微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等を挙げることができる。微粒子はケイ素を含むものが、濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化ケイ素が好ましい。
微粒子の一次粒子の平均粒径は5〜400nmが好ましく、更に好ましいのは10〜300nmである。これらは主に粒径0.05〜0.3μmの2次凝集体として含有されていてもよく、平均粒径100〜400nmの粒子であれば凝集せずに一次粒子として含まれていることも好ましい。フィルム中のこれらの微粒子の含有量は0.01〜1質量%であることが好ましく、特に0.05〜0.5質量%が好ましい。共流延法による多層構成の光学フィルムの場合は、表面にこの添加量の微粒子を含有することが好ましい。
二酸化ケイ素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)、オルガノシリカゾルのメタノールシリカゾル、MA−ST−M、MA−ST−L(日産化学工業株式会社製)、TSR9000(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ製)の商品名で市販されており、使用することができる。
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でもアエロジル200V、アエロジルR972Vが光学フィルムのヘイズを低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましく用いられる。本発明に係る光学フィルムにおいては、少なくとも一方の面の動摩擦係数が0.2〜1.0であることが好ましい。
本発明に係る基材層には、目的に応じて上記以外にも、種々の化合物等を添加剤として含有させることができる。例えば、酸化防止剤、酸捕捉剤、光安定剤、光学異方性制御剤等を含有させることができる。
<製膜>
本発明の基材層の製膜方法の例を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
本発明の基材層の製膜方法としては、インフレーション法、T−ダイ法、カレンダー法、切削法、流延法、エマルション法、ホットプレス法等の製造法が使用できるが、着色抑制、異物欠点の抑制、ダイラインなどの光学欠点の抑制などの観点から流延法による溶液製膜が好ましい。
<有機溶媒>
本発明の基材層を溶液流延法で製造する場合のドープを形成するのに有用な有機溶媒は、アクリル樹脂、セルロースエステル樹脂、その他の添加剤を同時に溶解するものであれば制限なく用いることができる。
例えば、塩素系有機溶媒としては、塩化メチレン、非塩素系有機溶媒としては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、アセトン、テトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、ギ酸エチル、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール、ニトロエタン等を挙げることができ、塩化メチレン、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトンを好ましく使用し得る。
ドープには、上記有機溶媒の他に、1〜40質量%の炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有させることが好ましい。ドープ中のアルコールの比率が高くなるとウェブがゲル化し、金属支持体からの剥離が容易になり、また、アルコールの割合が少ない時は非塩素系有機溶媒系でのアクリル樹脂、セルロースエステル樹脂の溶解を促進する役割もある。
特に、ジクロロメタン、及び炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールを含有する溶媒に、アクリル樹脂と、セルロースエステル樹脂とを、少なくとも計15〜45質量%溶解させたドープ組成物であることが好ましい。
炭素原子数1〜4の直鎖又は分岐鎖状の脂肪族アルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノールを挙げることができる。これらの内ドープの安定性、沸点も比較的低く、乾燥性もよいこと等からメタノール、エタノール、n−ブタノールが好ましい。
以下、本発明の基材層の好ましい製膜方法について説明する。
1)溶解工程
アクリル樹脂、セルロースエステル樹脂に対する良溶媒を主とする有機溶媒に、溶解釜中で該アクリル樹脂、セルロースエステル樹脂、添加剤を撹拌しながら溶解しドープを形成する工程、又はアクリル樹脂、セルロースエステル樹脂の溶液に、添加剤溶液を混合してドープを形成する工程である。
アクリル樹脂、セルロースエステル樹脂の溶解には、常圧で行う方法、主溶媒の沸点以下で行う方法、主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法、特開平9−95544号公報、特開平9−95557号公報、又は特開平9−95538号公報に記載のような冷却溶解法で行う方法、特開平11−21379号公報に記載のような高圧で行う方法等、種々の溶解方法を用いることができるが、特に主溶媒の沸点以上で加圧して行う方法が好ましい。
ドープ中のアクリル樹脂と、セルロースエステル樹脂とは、計15〜45質量%の範囲であることが好ましい。溶解中又は後のドープに添加剤を加えて溶解及び分散した後、濾材で濾過し、脱泡して送液ポンプで次工程に送る。
濾過は捕集粒子径0.5〜5μmでかつ濾水時間10〜25sec/100mlの濾材を用いることが好ましい。この方法では、微粒子分散時に残存する凝集物や主ドープ添加時発生する凝集物を、捕集粒子径0.5〜5μmでかつ濾水時間10〜25sec/100mlの濾材を用いることで凝集物だけ除去できる。
主ドープでは微粒子の濃度も添加液に比べ十分に薄いため、濾過時に凝集物同士がくっついて急激な濾圧上昇することもない。
多くの場合、主ドープには返材が10〜50質量%程度含まれることがある。
返材とは、基材層を細かく粉砕した物で、基材層を構成するフィルムを製膜するときに発生する、フィルムの両サイド部分を切り落とした物や、擦り傷などでスペックアウトした基材層原反が使用される。
また、あらかじめアクリル樹脂とアクリル微粒子を混練してペレット化したものも、好ましく用いる事ができる。
2)流延工程
ドープを送液ポンプ(例えば、加圧型定量ギヤポンプ)を通して加圧ダイ30に送液し、無限に移送する無端の金属ベルト31、例えばステンレスベルト、又は回転する金属ドラム等の金属支持体上の流延位置に加圧ダイスリットからドープを流延する工程である。 ダイの口金部分のスリット形状を調整でき、膜厚を均一にしやすい加圧ダイが好ましい。加圧ダイには、コートハンガーダイやTダイ等があり、いずれも好ましく用いられる。金属支持体の表面は鏡面となっている。製膜速度を上げるために加圧ダイを金属支持体上に2基以上設け、ドープ量を分割して積層してもよい。又は複数のドープを同時に流延する共流延法によって積層構造のフィルムを得ることも好ましい。
3)溶媒蒸発工程
ウェブ(流延用支持体上にドープを流延し、形成されたドープ膜をウェブと呼ぶ)を流延用支持体上で加熱し、溶媒を蒸発させる工程である。
溶媒を蒸発させるには、ウェブ側から風を吹かせる方法や、支持体の裏面から液体により伝熱させる方法、輻射熱により表裏から伝熱する方法等があるが、裏面液体伝熱方法が乾燥効率が良く好ましい。
また、それらを組み合わせる方法も好ましく用いられる。流延後の支持体上のウェブを40〜100℃の雰囲気下、支持体上で乾燥させることが好ましい。40〜100℃の雰囲気下に維持するには、この温度の温風をウェブ上面に当てるか赤外線等の手段により加熱することが好ましい。
4)剥離工程
金属支持体上で溶媒が蒸発したウェブを、剥離位置で剥離する工程である。剥離されたウェブは次工程に送られる。
金属支持体上の剥離位置における温度は好ましくは10〜40℃であり、更に好ましくは11〜30℃である。
なお、剥離する時点での金属支持体上でのウェブの剥離時残留溶媒量は、乾燥の条件の強弱、金属支持体の長さ等により50〜120質量%の範囲で剥離することが好ましいが、残留溶媒量がより多い時点で剥離する場合、ウェブが柔らか過ぎると剥離時平面性を損なったり、剥離張力によるツレや縦スジが発生しやすいため、経済速度と品質との兼ね合いで剥離時の残留溶媒量が決められる。
ウェブの残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(%)=(ウェブの加熱処理前質量−ウェブの加熱処理後質量)/(ウェブの加熱処理後質量)×100
なお、残留溶媒量を測定する際の加熱処理とは、115℃で1時間の加熱処理を行うことを表す。
金属支持体とフィルムを剥離する際の剥離張力は、通常、196〜245N/mであるが、剥離の際に皺が入りやすい場合、190N/m以下の張力で剥離することが好ましく、更には、剥離できる最低張力〜166.6N/m、次いで、最低張力〜137.2N/mで剥離することが好ましいが、特に好ましくは最低張力〜100N/mで剥離することである。
本発明においては、金属支持体上の剥離位置における温度を−50〜40℃とするのが好ましく、10〜40℃がより好ましく、15〜30℃とするのが最も好ましい。
5)乾燥及び延伸工程
剥離後、ウェブを乾燥装置内に複数配置したロールに交互に通して搬送する乾燥装置35、又はクリップでウェブの両端をクリップして搬送するテンター延伸装置34を用いて、ウェブを乾燥する。
乾燥手段はウェブの両面に熱風を吹かせるのが一般的であるが、風の代わりにマイクロウェーブを当てて加熱する手段もある。余り急激な乾燥はでき上がりのフィルムの平面性を損ねやすい。
高温による乾燥は残留溶媒が8質量%以下くらいから行うのがよい。全体を通し、乾燥は概ね40〜250℃で行われる。特に40〜160℃で乾燥させることが好ましい。
テンター延伸装置を用いる場合は、テンターの左右把持手段によってフィルムの把持長
(把持開始から把持終了までの距離)を左右で独立に制御できる装置を用いることが好ましい。テンター延伸装置でフィルムの幅手方向に延伸することができる。また、必要に応じて幅手方向の長さを維持して乾燥などを行っても良い。
また、テンター工程において、平面性を改善するため意図的に異なる温度を持つ区画を作ることも好ましい。また、異なる温度区画の間にそれぞれの区画が干渉を起こさないように、ニュートラルゾーンを設けることも好ましい。
なお、延伸操作は多段階に分割して実施してもよく、流延方向、幅手方向に二軸延伸を実施することも好ましい。また、二軸延伸を行う場合には同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。
この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。即ち、例えば、次のような延伸ステップも可能である。
・流延方向に延伸−幅手方向に延伸−流延方向に延伸−流延方向に延伸
・幅手方向に延伸−幅手方向に延伸−流延方向に延伸−流延方向に延伸
また、同時2軸延伸には、一方向に延伸し、もう一方を張力を緩和して収縮させる場合も含まれる。同時2軸延伸の好ましい延伸倍率は幅手方向、長手方向ともに×1.01倍〜×1.5倍の範囲でとることができる。
テンター延伸を行う場合のウェブの残留溶媒量は、テンター延伸開始時に20〜100質量%であるのが好ましく、かつウェブの残留溶媒量が10質量%以下になるまでテンター延伸を掛けながら乾燥を行うことが好ましく、更に好ましくは5質量%以下である。
テンター延伸を行う場合の乾燥温度は、30〜150℃が好ましく、50〜120℃が更に好ましく、70〜100℃が最も好ましい。
テンター延伸工程において、雰囲気の幅手方向の温度分布が少ないことが、フィルムの均一性を高める観点から好ましく、テンター延伸工程での幅手方向の温度分布は、±5℃以内が好ましく、±2℃以内がより好ましく、±1℃以内が最も好ましい。
6)巻き取り工程
ウェブ中の残留溶媒量が2質量%以下となってから基材層として巻き取り機37により巻き取る工程であり、残留溶媒量を0.4質量%以下にすることにより寸法安定性の良好なフィルムを得ることができる。
巻き取り方法は、一般に使用されているものを用いればよく、定トルク法、定テンション法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法等があり、それらを使いわければよい。
本発明の基材層は、長尺フィルムであることが好ましく、具体的には、100〜5000m程度のものを示し、通常、ロール状で提供される形態のものである。また、フィルムの幅は1.3〜4mであることが好ましく、1.4〜2mであることがより好ましい。
本発明の基材層の膜厚に特に制限はないが、20〜200μmであることが好ましく、25〜100μmであることがより好ましい。
<基材層の物性>
<基材層のヘイズ値>
本発明に係る基材層は、ヘイズ値が1%以下であることが、加飾フィルムの透明性が高く濁りが少ないという観点から好ましい。0.5%以下であることがより好ましく、0.2%以下であることが、さらに好ましい。ヘイズ値は、本発明に係る基材層に用いられる樹脂や添加剤、製造条件により変化する。
ヘイズの測定は、JIS K 7136に準拠して、ヘイズメーターNDH−2000(日本電色工業株式会社製)にてヘイズ(全ヘイズ)を測定できる。23℃、55%RHの条件下で測定し、ヘイズメーターの光源は、5V9Wのハロゲンランプとし、受光部は、シリコンフォトセル(比視感度フィルター付き)とする。
<基材層の位相差値>
本発明の基材層は、23℃、55%RHの環境下、光波長589nmで測定したときの、前記基材層の面内方向の位相差値(Ro)が、0〜10nmの範囲内であり、かつ厚さ方向の位相差値(Rt)が、−25〜25nmの範囲内であることが好ましい。加飾フィルムが貼り合わされた成形体(例えば、カーナビゲーションシステムのタッチパネル)を、偏光サングラスを掛けた状態で観察した時に、観察者の頭部の傾きによって生じる観察画像の性能変化(観察が困難になったり、色ムラが発生する)が少ないという効果がある。
基材層の面内方向の位相差値Ro、及び厚さ方向の位相差値Rtは、自動複屈折率計アクソスキャン(Axo Scan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用いて、23℃、55%RHの環境下、590nmの波長において、三次元屈折率測定を行い、得られた屈折率n、n、nから下記式を用いて算出する。
式(i):Ro=(n−n)×d(nm)
式(ii):Rt={(n+n)/2−n}×d(nm)
〔式(i)及び式(ii)において、nは、フィルムの面内方向において遅相軸方向における屈折率を表す。nは、フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nは、フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、フィルムの厚さ(nm)を表す。〕
(成形性)
(破断伸度)
基材層101〜124について、JIS(Japanese Industrial Standards Committee;日本工業標準調査会)の規格の一つである、JIS K 7127(1999)に準拠して測定できる。
オリエンテック社製「テンシロン(登録商標)RTC−1225A」を用い、120℃の雰囲気中で、引張速度50mm/分で引っ張り、フィルムが破断しないぎりぎりの伸度を求める。
(延展後のヘイズ値)
基材層101〜124について、オリエンテック社製「テンシロンRTC−1225A」を用い、23℃、55%RH雰囲気中で、引張速度50mm/分で延伸し、破断するぎりぎりのヘイズ値を、前記ヘイズ値の測定と同様にして測定する。
<絵柄層>
本発明の加飾フィルムは、前述の基材層と絵柄層とを有し、絵柄層はインクを含有する。
絵柄層は、例えば、インクを基材層の表面に展着させて形成する。基材層と絵柄層の間にアンカー層が形成される場合は、インクはこれらの層の表面に展着させる。インクを展着させる方法としては、例えば、グラビア印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷等の印刷方式;及びグラビアコーター、グラビアリバースコーター、フレキソコーター、ブランケットコーター、ロールコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、キスタッチコーター、キスタッチリバースコーター、コンマコーター、コンマリバースコーター、マイクログラビアコーター等の塗工方式や、インクジェット印刷などいずれを用いても良いが、グラビア印刷、スクリーン印刷又は、インクジェット印刷であることが、本発明の効果発現の観点から好ましい。
本発明にかかる絵柄層は、模様や文字等とパターン状の絵柄を表現する層である。絵柄層の絵柄は任意であるが、例えば、木目、石目、布目、砂目、幾何学模様、文字等からなる絵柄を挙げることができる。また、絵柄層は、上記絵柄を表現する柄パターン層及び全面ベタ層を単独で又は組み合わせて設けることができる。
全面ベタ層は、通常、隠蔽層、着色層、着色隠蔽層等として用いられる。
絵柄層は、印刷インキでグラビア印刷、オフセット印刷、シルクスクリーン印刷、インクジェット印刷等の公知の印刷法により形成することで、形成される。
絵柄層の厚さは、意匠性の観点から5〜40μmが好ましく、5〜20μmがより好ましい。
絵柄層13の形成に用いられる印刷インキのバインダー樹脂としては、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂、セルロース系樹脂等を好ましく挙げることができるが、アクリル系樹脂単独又はアクリル系樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂との混合物を主成分とするのが好ましい。これらの中では、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂又は別のアクリル系樹脂を混合すると印刷適性、成形適性がより良好となり好ましい。
ここで、アクリル系樹脂としては、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート−ブチル(メタ)アクリレート共重合体、メチル(メタ)アクリレート−スチレン共重合体等のアクリル系樹脂〔ただし、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートをいう〕、フッ素等による変性アクリル樹脂が挙げられ、これらを1種又は2種以上の混合物として用いることができる。この他、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の分子中にヒドロキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルと、を共重合させて得られるアクリルポリオールを用いることもできる。
また、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂としては、通常、酢酸ビニル含有量が5〜20質量%程度、平均重合度350〜900程度のものが用いられる。
色料(着色剤)としては、加飾目的に応じた色の顔料又は染料を用いることができる。顔料としては、例えばキナクリドン系、アントラキノン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリノン系、モノアゾ系、縮合アゾ系、ナフトール系、アントラピリミジン系、キノフタロン系、ピラゾロン系、チオインジゴ系、ジオキサジン系、フタロシアニン系等の有機顔料;ニッケルジオキシンイエロー、銅アゾメチンイエロー等の金属錯体;酸化チタン、酸化鉄、酸化亜鉛等の金属酸化物;硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の金属塩;カーボンブラック、アルミニウム、雲母等の無機顔料等を例示することができる。染料としては、アゾ系、キノリン系、チアゾール系、インジゴイド系、アントラキノン系、オキサジン系等を例示することができる。これらの中では、耐光性及び耐候性に優れたものを好適に用いることができる。
絵柄層13の形成に用いられる印刷インキは、上記成分の他に、沈降防止剤、硬化触媒、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、増粘剤、消泡剤、滑剤等を適宜添加することができる。印刷インキは、上記成分を、通常溶剤に溶解又は分散した態様で提供される。
インキに用いられる溶剤としては、従来のグラビアインキ、フレキソインキ、スクリーンインキ、又は塗料等に使用されている公知慣用の溶剤を使用することができる。
具体的には、トルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素;n−ヘキサン、シクロヘキサン等の脂肪族又は脂環式炭化水素;酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールアルキルエーテル等を挙げることができる。
本発明に係る基材層との相溶性が良い有機溶剤が、絵柄層と基材層との密着性が良くなるため好ましい。特に、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類が好ましい。
使用されるインクの色素材料の種類としては、黒色インクであることが好ましい。
<ハードコート層>
本発明に係る基材層の絵柄層とは反対側の面に、ハードコート層を有することが、傷つき耐性や、指紋が付着した場合の耐久性が改良される観点から好ましい。
ハードコート層に使用される材料に制限はないが、23℃、50%RHの雰囲気下における伸び率が10%以上であることが、加飾フィルムが成形体面で伸ばされた場合でも破損しにくいという観点から好ましい。
本発明に係るハードコート層に含まれる樹脂としては、本発明においては、被膜を形成する樹脂であれば特に制限なく用いることができるが、特にハードコート層表面に硬度(鉛筆硬度、耐擦傷性)を付与し、また活性エネルギー線の露光量によって架橋度合を調節することが可能であり、ハードコート層の伸長性と硬度の両者の調節が可能になるという点で、活性エネルギー線硬化性樹脂を好ましく用いることができる。
本発明に用いられる活性エネルギー線硬化性樹脂は、活性エネルギー線(例えば紫外線、電子線等)を照射することによって硬化する透明な樹脂であれば、特に限定されるものではなく、例えば、ウレタンアクリレート系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂等の中から適宜選択することができる。活性エネルギー線硬化性樹脂として好ましいものは、分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する紫外線硬化可能な多官能アクリレートからなるものが挙げられる。分子内に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する紫外線硬化可能な多官能アクリレートの具体例としては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のポリオールポリアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルのジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのジ(メタ)アクリレートなどのエポキシ(メタ)アクリレート、多価アルコールと多価カルボン酸又はその無水物とアクリル酸とをエステル化することによって得ることができるポリエステル(メタ)アクリレート、多価アルコール、多価イソシアネート及びヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを反応させることによって得られるウレタン(メタ)アクリレート、ポリシロキサンポリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
前記の紫外線硬化可能な多官能アクリレートは単独又は2種以上混合して用いてもよく、その含有量はハードコート層用塗料の樹脂固形分に対して、好ましくは50〜95質量%である。なお、上記の多官能(メタ)アクリレートの他に、ハードコート層用塗料の樹脂固形分に対して、好ましくは10質量%以下の2−ヒドロキシ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等の単官能アクリレートを添加することもできる。
また、上記ハードコート層に含まれる樹脂としては、上記活性エネルギー線硬化性樹脂の他に、ポリエチレン、ポロプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエステル等の熱可塑性樹脂や、フェノール樹脂、ウレア樹脂、不飽和ポリエステル、エポキシ、ケイ素樹脂等の熱硬化性樹脂をハードコート層の伸長性と硬度を損わない範囲内で含有してもよい。
上記ハードコート層は、本発明の成型用積層ハードコートフィルム1を巻取り加工ができる程度の保持力(凝集力)が必要である。そのためには、ハードコート層に含まれる樹脂は、好ましくは常温から40℃程度(巻取り保管温度に相当)の範囲で指触感で粘着性がないことが好ましい。なお、ハードコート層の上に保護フィルムを設ける構成においては、上述のように巻取り加工ができる程度の保持力は最低限必要であるが、この保持力を損わなければ粘着性があってもよい。
また、上記ハードコート層には、成型時の予備加熱(後述)による熱硬化を抑制するための耐熱安定化剤(酸化防止剤)を含有してもよい。特に真空成型法において成型時に高温予備加熱(150〜200℃程度)を行う場合、加熱前は良好な伸長性を有していても、予備加熱によりハードコート層の熱硬化が進行してしまい伸長性が大きく劣化する恐れがある。本発明においては、上記耐熱安定化剤としてヒンダードフェノール系酸化防止剤を用いるのが好適である。ヒンダードフェノール系酸化防止剤は、前記活性エネルギー線硬化性樹脂の100質量部に対して1質量部〜10質量部の範囲で含有することが好適である。含有量が1質量部未満であると、上述の熱硬化を抑制する効果が十分に得られない恐れがある。また、含有量が10質量部よりも多いと、熱硬化抑制の点では問題はないが、本発明者の検討によると、耐熱安定化剤による硬化阻害が起こり、樹脂成型後に後露光を行ってもハードコート層が十分に硬化せず、耐擦傷性(硬度)が得られず、また積層フィルムの密着性にも問題がある。以上のように耐熱安定化剤としては、ハードコート層の硬化性や密着性を維持し、かつ熱硬化抑制の効果とのバランスが良いことから、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好適に用いられる。なお、上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤のほかに、例えばヒンダードアミン系光安定化剤(HALSなど)、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、消泡剤、レベリング剤、など本発明の効果を変えない範囲で併用してもよい。光重合開始剤としてアセトフェノン類、ベンゾフェノン類など紫外線により紫外線硬化性樹脂が十分硬化できる範囲で公知公用のものが利用できる。
また、上記ハードコート層に添加するその他の添加剤として、本発明の効果を損わない範囲で、表面張力調整剤、防汚剤、表面の傷付き防止のためシリカやアルミナ等のナノ微粒子分散体、帯電防止剤などを必要に応じて含有してもよい。
本発明のハードコート層の塗膜厚さは、特に制約されるわけではないが、例えば3〜30μm程度の範囲であることが好適である。厚さが3μmよりも薄いと必要な硬度が得られ難くなる。また、厚さが30μmよりも厚いと良好な伸長性が得られ難くなる。
<接着層>
本発明に加飾フィルムは、絵柄層の基材層とは反対側の面に接着層を有し、加飾の対象となる成形体の表面に接着することが、加飾成形体の耐久性が高い観点から好ましい。
接着層があることで、経時でのフィルムのはがれやしわを抑制することができる。接着剤層による接着方法としては、慣用の溶剤型接着剤を用いたドライラミネーション法、ウェットラミネーション法、ホットメルトラミネーション法等で積層することができる。前記接着剤層を構成する接着剤は、慣用のフェノール樹脂系接着剤、レゾルシノール樹脂系接着剤、フェノール−レゾルシノール樹脂系接着剤、エポキシ樹脂系接着剤、ユリア樹脂系接着剤、ポリウレタン系接着剤、ポリアロマチック系接着剤などの熱硬化性樹脂系接着剤;エチレン−不飽和カルボン酸共重合体などを用いた反応型接着剤;酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、エチレン酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、塩化ビニル樹脂、ナイロン、シアノアクリレート樹脂等の熱可塑性樹脂系接着剤;クロロプレン系接着剤、ニトリルゴム系接着剤、SBR系接着剤、天然ゴム系接着剤などのゴム系接着剤などが挙げられる。特に、アクリル樹脂とポリプロピレン樹脂との接着性が良好であり、かつ真空成形、マッチモールド成形のときの伸びの追随性が良好なことから、アクリルウレタン系接着剤が好ましい。
接着剤の塗工方式は、グラビアコーター、グラビアリバースコーター、フレキソコーター、ブランケットコーター、ロールコーター、ナイフコーター、エアナイフコーター、キスタッチコーター、キスタッチリバースコーター、コンマコーター、コンマリバースコーター、マイクロリバースコーター等の塗工方式を用いることができる。接着剤の塗布量は、接着性が十分で、乾燥性も良好であるためには、0.1〜30g/mの範囲内であることが好ましく、特に好ましくは、2〜10g/mの範囲内であることである。接着剤の塗布量が少なすぎると接着力が弱くなり、接着剤の塗布量が多すぎると乾燥性が低下する傾向にある。接着剤層の厚さとしては、0.1〜30μmの範囲が好ましく、より好ましくは1〜20μm、特に好ましくは2〜10μmである。
支持基材樹脂層の接着面には、接着剤層を構成する接着剤との親和性を向上させる目的で、プラズマ処理、コロナ処理、フレーム処理、電子線照射処理、粗面化処理、オゾン処理等の表面処理;真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等のドライプレーティング処理が施されてもよい。
また、接着剤層に代えて、粘着剤層を設けることもできる。粘着剤層を構成する粘着剤としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ポリアルキルシリコン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤等が好ましく用いられる。
<加飾フィルムの構成>
図1は、本発明の加飾フィルムの一例の断面図である。
本発明の加飾フィルム1は、基材層12と絵柄層13を有する。
絵柄層13は、基材層12を構成するフィルムの表面に、例えばインクジェット方式により、有機溶剤を含有するインクで絵柄が形成される。
基材層側にはハードコート(HC)層11が形成されてもよく、絵柄層側には接着層14が形成されても良い。接着層14を介して成形体表面に加飾フィルムが接着される。
<加飾成形方法>
加飾成形体は、加飾成形用フィルムを用いて、従来公知の各種成形を行うことにより表面に加飾された成形体を得ることができる。
成形法としては、射出成形における金型内加飾工法で、あらかじめ射出成形金型に沿うように真空成形された加飾成形用フィルムを金型内にセットし、そこに溶融樹脂を射出して射出成形と同時にフィルムを製品に溶着させるインサートモールド成形法が挙げられる。
また、射出成形金型内での加飾であるが、加飾成形用フィルムを金型キャビティ側に真空圧で貼り付けておき、射出成形時に同時成形して熱と圧力がかかることにより加飾成形用フィルムを成形体に貼合させる方法が挙げられる。
また、真空成形や圧空成形でラミネーションする方法が挙げられる。
熱成形の際の加飾成形用フィルムの加熱方法としては、赤外線ヒーター、電気ヒーター、高周波誘導、ハロゲンランプ、マイクロ波、高温誘導体(スチーム等)、レーザー等各種の方法を用いることができる。
<加飾フィルムの用途>
<自動車用部材>
加飾フィルムが用いられる自動車用部材としては、内装では、カーナビゲーションシステムなどの車両用表示装置のタッチパネル、センタークラスターやインストルメントパネル、ドア室内側の内貼り製品であるドアトリム、外装ではフロントグリルなどに使用することができる。
<モバイル機器用部材>
加飾フィルムが用いられるモバイル機器用部材としては、前面ではメーカーロゴなどの加飾を含む飛散防止フィルム、背面ではカバーなどの筐体があげられる。また携帯電話、特にスマートフォンの湾曲したモデルに使用できる。
<その他>
窓枠、扉枠等の建材の内装、外装、テレビなどの家電製品の筐体、化粧品ケース、各種機器や製品及び雑貨類のケース、スイッチ、キー、キーパッド、ハンドル、レバー、ボタンなどの各種用途で使用することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
実施例1
<基材層101の作製>
下記組成のドープを調製した。まず加圧溶解タンクにジクロロメタンとエタノールを添加した。
ジクロロメタンとエタノールの混合溶液の入った加圧溶解タンクに樹脂1としてCAP(セルロースアセテートプロピオネート樹脂)と、樹脂2としてアクリル樹脂、剥離助剤、紫外線吸収剤、微粒子を撹拌しながら投入した。これを加熱し、撹拌しながら、完全に溶解し。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープを調製した。
CAP(重量平均分子量200000、総アシル基置換度2.70、アセチル基置換度0.10、プロピオニル基置換度2.60) 70質量部
アクリル樹脂(メチルメタクリレート:メチルアクリレート=97:3(質量比)の共重合体、重量平均分子量300000) 30質量部
ジクロロメタン 200質量部
エタノール 40質量部
エレカットS−412−2(竹本油脂(株)製) 0.75質量部
LA−31(株式会社ADEKA製) 2.4質量部
マット剤 R812(日本アエロジル株式会社製、シリカ粒子、平均粒径8nm) 0.30質量部
以上の成分を密閉容器に投入し、撹拌しながら溶解してドープを調製した。次いで、無端ベルト流延装置を用い、ドープを温度31℃、1800mm幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は28℃に制御した。
剥離限界時間を5分として設定したステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が50質量%になるまで溶媒を蒸発させた。次いで、剥離張力
128N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。
次いで、150℃に調整された乾燥ゾーンを多数のローラーで搬送させながらで乾燥を終了させ、端部をレーザーカッターでスリットし、その後、巻き取り、厚さ80μmのフィルムを作製し、基材層101とした。
<基材層102〜125の作製>
上記、基材層101の作製における、使用したアクリル樹脂、セルロースエステル樹脂、ゴム成分(アクリル粒子)の種類及び混合質量比率、有機溶剤の種類、アルコル混合比率を、表1で表されるように変更した以外は基材層101と同様にして各フィルムを作製し、基材層102〜124とした。
なお、各基材層の作製において、アクリル樹脂、セルロースエステル樹脂、ゴム成分(アクリル粒子)の質量の合計は、基材層101と同一とし、アクリル樹脂、セルロースエステル樹脂、ゴム成分の混合質量比率を表1に示すように変化した。
また、各基材層作製時の有機溶剤は、ジクロロメタンとアルコールを使用し、このうち、アルコールの種類は表1に示されるように変化した。各基材層作製時のジクロロメタンとアルコールの総質量は、基材101番のジクロロメタンとエタノールの総質量と同一とし、ジクロロメタンとアルコールの総溶剤中におけるアルコールの占める比率(質量%)をアルコール混合比率とし、表1に示されるように変化した。
なお、ゴム成分を用いる場合は、旭化成ケミカルズ(株)製(デルペットSRB215)を用いた。
このようにして作製した基材層101〜125について、ヘイズ値、位相差値(Ro、Rt)、成形性(破断伸度、延伸後のヘイズ値)を、下記のようにして評価した。
(ヘイズ値)
基材層101〜125について、JIS K 7136に準拠して、ヘイズメーターNDH−2000(日本電色工業株式会社製)にてヘイズ(全ヘイズ)を測定した。23℃、55%RHの条件下で測定し、ヘイズメーターの光源は、5V9Wのハロゲン球とし、受光部は、シリコンフォトセル(比視感度フィルター付き)とした。
(基材層の位相差値)
基材層101〜125の面内方向の位相差値Ro、及び厚さ方向の位相差値Rtは、自動複屈折率計アクソスキャン(Axo Scan Mueller Matrix Polarimeter:アクソメトリックス社製)を用いて、23℃、55%RHの環境下、589nmの波長において、三次元屈折率測定を行い、得られた屈折率n、n、nから下記式を用いて算出した。
式(i):Ro=(n−n)×d(nm)
式(ii):Rt={(n+n)/2−n}×d(nm)
〔式(i)及び式(ii)において、nは、フィルムの面内方向において遅相軸方向における屈折率を表す。nは、フィルムの面内方向において、前記方向xと直交する方向yにおける屈折率を表す。nは、フィルムの厚さ方向zにおける屈折率を表す。dは、フィルムの厚さ(nm)を表す。〕
(成形性)
(破断伸度)
基材層101〜125について、JIS(Japanese Industrial Standards Committee;日本工業標準調査会)の規格の一つである、JIS K 7127(1999)に準拠して測定した。
オリエンテック社製「テンシロン(登録商標)RTC−1225A」を用い、120℃の雰囲気中で、引張速度50mm/分で引っ張り、フィルムが破断しないぎりぎりの伸度を求めた。
(延展後のヘイズ値)
基材層101〜125について、オリエンテック社製「テンシロンRTC−1225A」を用い、23℃55%RH雰囲気中で、引張速度50mm/分で延伸し、破断するぎりぎりのヘイズ値を、前記ヘイズ値の測定と同様にして測定した。
各基材層のヘイズ値、位相差値、破断伸度、延伸後のヘイズ値の測定結果を表1に示す。
<加飾フィルムの作製>
前記基材層101〜125に対し、下記のインクを用いて、表2に示す基材層、インク、印刷方法、及びハードコート層の組合せで絵柄層を形成し、加飾フィルム101〜130を作製した。
(インクA)
MRX−HF919黒(帝国インク製造株式会社製)
(インクB)
以下に示す第1樹脂と第2樹脂とを用いて、絵柄インクを合成した。
第1樹脂:イソシアネート(日本ポリウレタン社製、商品名:コロネートHL)
第2樹脂:アクリル樹脂(和信化学工業社製、商品名:RB−26)、ウレタン樹脂(荒川化学工業社製、商品名:KL−593)及び、ウレタン変性アクリル樹脂(日立化成社製、商品名:AD−170)の混合樹脂。
ここで、アクリル樹脂としては、ヒドロキシル価が40mgKOH/gであり、酸価が50mgKOH/gのものを用いた。また、ウレタン変性アクリル樹脂としては、ガラス転移点が70℃のものを用いた。また、第2樹脂中におけるウレタン樹脂の含有量を15%とし、ウレタン変性アクリル樹脂の含有量を25%とした(残余はアクリル樹脂である)。絵柄インクは、第1樹脂と第2樹脂とを、第1樹脂7部に対して第2樹脂100部の配合比で混合し、25℃で15分間撹拌することにより合成した。
(インクC)
アクリル系樹脂と塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂とをバインダー樹脂とした黒色系印刷インク(アクリル樹脂:50質量%、塩化ビニル−酢酸ビニル系共重合体樹脂:50質量%)
<印刷方法>
(グラビア印刷の場合)
各インクをグラビアコーターを使用して乾燥膜厚2.0μmとなるように塗工及び乾燥した。
(スクリーン印刷の場合)
各インクを用いて、シルクスクリーン印刷(メッシュ#200)を行い、80℃1時間で乾燥・硬化させて、厚み8μmの加飾印刷層を形成した。
(インクジェット印刷の場合)
各インクでインクジェット印刷を行い、乾燥膜厚2.0μmになるように、形成した。
この上にアクリル系樹脂[軟化温度:125℃]を塗工量4g/mでグラビア印刷を施して接着剤層を形成し、加飾フィルムを作製した。
<ハードコート層>
基材層側にハードコート層を塗設する場合は、下記のようにして設けた。
ウレタンアクリレート系紫外線硬化性樹脂「フォルシードNo.371C(商品名)」(固形分40%、中国塗料(株)製)100部と、イルガキュア(登録商標)184(光重合開始剤、BASFジャパン(株)製)5部と、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(耐熱安定化剤)「IRGANOX(登録商標)1010(商品名)」(BASFジャパン(株)製)2部と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤TINUVIN(登録商標)1130(商品名)(BASFジャパン(株)製)2部とレベリング剤F−177(フッ素系レベリング剤、DIC(株)社製)0.3部を酢酸ブチルで紫外線硬化性樹脂の塗料中の固形分濃度が35%となるまで希釈し十分撹拌して塗料を調製した。
各基材層の一方の面(接着剤層とは反対側)に上記塗料をバーコーターで塗工し、90℃で1分間乾燥後、高圧水銀灯を用い5J/mの積算露光量を照射した。得られた塗膜の厚さは5μmであった。
(加飾フィルムの絵柄層密着性の評価)
上記のようにして作製した加飾フィルム101〜130の絵柄層の密着性を下記のようにして測定した。
加飾フィルム101〜130について、下記の絵柄層密着性の評価方法に従って、密着性の評価を行った。
絵柄層密着性の評価は、JIS K 5600の5.6(2004)の記載に準じ、各加飾フィルムの絵柄層形成面側に、カッターナイフで、絵柄層を貫通し、樹脂基板に達する1mm角の100個の碁盤目状の切り傷を1mm間隔のカッターガイドを用いて付け、セロハン粘着テープ(ニチバン社製「CT405AP−18」;18mm幅)を切り傷面に貼り付け、ヘラで上からこすって完全にテープを付着させた後、垂直方向に引き剥がして、絵柄層が基板表面にどのくらい残存しているかを目視で確認し、100個中の剥離数を調べ、下記の基準で、密着性を評価した。
◎:碁盤目試験にて、剥離数が5個以下であった
○:碁盤目試験にて、剥離数が6個以上、10個以下であった
△:碁盤目試験にて、剥離数が11個以上、20個以下であった
×:碁盤目試験にて、剥離数が21個以上であった
(加飾フィルムの面状態(しわ・ムラ)の評価)
前記加飾フィルム101〜130について、真空圧空成形により直径約10cmの円柱状の成形対象物の表面を加飾した。このようにして加飾した円柱体を10個作製した。円柱体曲面上の、加飾フィルムのしわ・ムラの状況を下記の評価基準で評価した。
◎:しわ・ムラが発生は、いずれにも見られなかった
○:10個中1個〜2個に、小さなしわ又はムラが観察された
△:10個中3個〜5個に、小さなしわ又はムラが観察された
×:10個中6個以上に、小さなしわ又はムラが観察された
加飾フィルムの絵柄層密着性、面状態(しわ・ムラ)の評価結果を表2に示す。
Figure 2017185641
Figure 2017185641
本発明の加飾フィルムは、絵柄層との密着性が良く、成形後のしわやムラが少ない。また成形時に延伸されてもヘイズが小さく、良好な加飾成形体が得られた。
1 加飾フィルム
11 ハードコート(HC)層
12 基材層
13 絵柄層
14 接着層

Claims (7)

  1. 基材層と絵柄層とを有する加飾フィルムであって、
    前記絵柄層が、インクを含有し、
    前記基材層が、アクリル樹脂とセルロースエステル樹脂とを含有し、かつ、
    前記アクリル樹脂の質量(A)と前記セルロースエステル樹脂の質量(B)との比率(A/B)が、90/10〜30/70の範囲内であることを特徴とする加飾フィルム。
  2. 前記アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)が120000〜1000000の範囲内であり、
    前記セルロースエステル樹脂の少なくとも1種が、アシル基の総置換度(T)が2.5〜2.9の範囲内であり、アセチル基の置換度(ac)が0.1〜1.8の範囲内であって、アセチル基以外の部分が3〜7の炭素数で構成されるアシル基で置換されており、その置換度が1.1〜2.8の範囲内であり、かつ重量平均分子量(Mw)が75000〜250000の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の加飾フィルム。
  3. 前記基材層のヘイズ値が、1%以下であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の加飾フィルム。
  4. 前記基材層の絵柄層とは反対側の面にハードコート層を有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の加飾フィルム。
  5. 23℃、55%RHの環境下、光波長589nmで測定したときの、前記基材層の面内方向の位相差値(Ro)が、0〜10nmの範囲内であり、かつ厚さ方向の位相差値(Rt)が、−25〜25nmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の加飾フィルム。
  6. 23℃、55%RHの環境下での前記基材層の破断伸度が、150%以上であり、かつ、破断時のフィルムのヘイズ値が1%以下であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の加飾フィルム。
  7. 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の加飾フィルムを製造する加飾フィルムの製造方法であって、
    前記絵柄層をグラビア印刷、スクリーン印刷、又はインクジェット印刷により、前記基材層上にインクと有機溶剤とを用いて形成する工程を備えることを特徴とする加飾フィルムの製造方法。
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