JP2017185496A - 金属板の加工装置及び加工方法 - Google Patents
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Abstract
Description
なお、金属板に形成した凹部又は凸部は反対面から見れば凸部又は凹部である。以下の説明では、主として「凹部」として説明するが、その場合でも反対面から見れば凸部である、ということを含んでいる。
図8はローラーダイス加工法で金属板に凹部(下面側から見て凹部)を形成する場合を模式的に示す側面図(イ)、及び正面図(ロ)である。金属板1が上下1対の無駆動のロール(ローラー)61、62で形成する通過孔を引抜き力で通過することで金属板1に連続する凹部(凹溝)1aが形成される。
なお、一般にローラーダイス加工法におけるロールはロール成形加工法におけるロールと比べてかなり小径であり、したがって、ローラーダイス加工法におけるロール軸61a、62aも、ロール成形加工法におけるロール軸と比べてかなり小径である。
特許文献1はロール成形加工法によるものであり、角形鋼管の両側面に、間隔をあけて例えば矩形の凹部(エンボス)を形成している。この凹部は上下のロールの外周面の一方に周方向に間隔をあけた凸部、他方のロールの外周面に前記各凸部に対応して周方向に間隔をあけた凹部を形成し、その凹部と凸部とで通過する金属板に凹部を形成する。
また、ローラーダイス加工法は、前記の通りロール軸が小径であり、ロール軸を受ける軸受けの面圧が高くなるので(このことは後述する)、軸受け強度からくる制約がある。
また、軸受けに作用する面圧が高い場合、回転速度を上げると軸受けに焼き付きが生じやすいので、あまり成形速度を上げることができないという、成形速度上の制約があり、生産性を高くすることができないという問題もある。
また、成形ロールは成形時にわずかずつではあるが摩耗するので、一定以上摩耗すると一般に再研磨して使用するが、ロール幅方向のどの位置の外周面も円筒状である一般的な成形ロールでは可能でも、外周面に多数の凸部を持つ成形ロールの再研磨は困難である。
凹球面座を有する受座部の前記凹球面座に球体を任意方向に回転可能に面接触させて収容支持してなる球面状凸型と、前記球面状凸型に対向して配されるとともに、前記球面状凸型の球体の前記受座部から突出している突出部に対応する凹面を有する凹型とを有することを特徴とする。
なお、本発明において球体とは、中心から外周面までの距離が外周面のすべての位置において同一の完全球体に限らず、外周面全体が凸曲面で軸を持たない回転体を指し、例えば楕円体等も含む。
面圧が高いと、成形速度を上げた場合に軸受けに焼き付きが生じる惧れがあるが、本発明では面圧が小さいので、成形速度を上げることについての制約は少ない。したがって、生産性を高くすることができる。
なお、本発明において、金属板に凹部又は凸部を形成するという場合の凹部又は凸部とは、凹部については連続する長い凹溝、あるいは、間隔をあけて形成される短い凹溝、あるいは、長さの方向性を持たない凹部(窪み)を含み、凸部について連続する長い凸条、あるいは、間隔をあけて形成される短い凸条、あるいは、長さの方向性を持たない凸部(突起部)を含む。
請求項5のように、球面状凸型を別部材としてロール本体に組み込む構造とすることで、前記エンボス金属板を製造するロールの製作が容易になる。また、球面状凸型の交換が可能なので、摩耗した場合の対応が容易である。
この実施例の金属板の加工装置11は、金属板1に連続する凹部すなわち凹溝1aを形成する場合である(なお、下面側からみての凹部、凹溝である)。
この金属板の11は、凹球面座4aを有する受座部4の前記凹球面座4aに球体5を任意方向に回転可能に面接触させて収容支持してなる球面状凸型6と、前記球面状凸型6に対向して配される凹型7とを有している。前記凹型7は、前記球面状凸型6の球体5の前記受座部4から突出している突出部5aに対応する凹面7aを有する。この実施例の凹面7aは弧状凹溝面7aである。
前記球面状凸型6の前記受座部4は、前記凹球面座4aを有して球体5の下側半球部分を収容する受座部本体4bと、球体5の上側半球部分部の一部(前記突出部5a)を突出させるように球体上部を押さえる蓋体4cとからなる。
前記球面状凸型6及び凹型7は、図示略のフレームに、例えばねじ部を有する圧下軸8を介して金属板1に圧下力を与えることができるように上下に移動可能に装着されている。9は上流側で金属板1を案内するガイドロールである。
この実施例における凹型7の凹面7aは前記の通り弧状凹溝面であり、金属板1は図示せぬ駆動部により矢印方向に引き抜かれて凹溝1aが形成される。
このように、本発明の金属板の加工装置をロール成形機に設置することで、エンボスを有する成形製品を容易に製造できる。
図9を参照してこのことを説明する。図9は板厚2.3mmの鋼板に深さ6mmの窪み(凹球面)を形成する場合として、直径D(40mm)の球体5.を用いた本発明実施例の加工方法(仮に球体法と呼ぶ)による場合と、図8で説明したローラーダイス加工法による場合とを比較説明する図である。なお、板厚2.3mmの鋼板に深さ6mmの球面凹部を形成するために要する荷重Pは、詳細説明は省略するがP=25518kgである。
両者を対比するために、ローラーダイス加工法におけるロール61及びロール軸61aの径は、一般的なローラーダイス程度サイズを想定している。
なお、ローラーダイス加工法の場合に、ロール成形加工法のように大径のロールを用い、太いロール軸を用いるとすれば、長大なスペース、高額の設備費を要するので事情は異なるが、そのような場合でなく一般的なローラーダイスと同程度のサイズと本発明とを比較している。
そこで、この対比では、ローラーダイス加工法におけるロール61の直径は本発明方法の球体5の直径と同じ、かつ、ロール軸61aの軸受で支持される部分の長さ(軸受部分長さ)Lはロール幅Wを含めて、球体5の直径Dと同じであると仮定し、さらに、ロール軸61aの太さは、ロール径及び軸受外径によって制約されることも考慮して、ロール軸径d=15mm、ロール幅W=18mm、ロール軸の軸受部分長さL=11mm((40−18)/2=11mm)としている。
この場合、球体法では球体の投影面積=πD2/4(=1257mm2)なので、面圧は25518kg/1257mm2=20.3kg/mm2である。
ローラーダイス加工法の場合の面圧は、ロール軸の投影面積=15×11×2=330mm2なので、面圧は25518kg/330mm2=77.3kg/mm2である。
上記の通り、本発明方法による場合の面圧はローラーダイス加工法による場合の面圧と比較して20.3/77.3=0.26(26%)
であり、面圧が大幅に小さく済む。
面圧が高いと、成形速度を上げた場合に軸受けに焼き付きが生じる惧れがあるが、本発明では面圧が小さいので、成形速度を上げることについての制約は少ない。したがって、生産性を高くすることができる。
この実施例の金属板の加工装置21も図1の実施例と同様に、金属板1に連続する凹部すなわち凹溝1aを形成する場合である。
この金属板の加工装置21において、球面状凸型6は図1の実施例における球面状凸型6と同じであるが、凹型27は、その凹面が板送り方向の平坦面27bに続いて形成された弧状凹溝面27aである。
この実施例における凹型27の凹面27aは、板送り方向の平坦面27bに続いて形成された弧状凹溝面27aであるから、金属板1は球面状凸型6と凹型27との間に平坦なまま導入されて、凹型27の内部で凹溝1aに成形される。したがって、図1におけるガイドロール9等のようなガイドは不要である。
この実施例の金属板の加工装置31も図1の実施例と同様に、金属板1に連続する凹部すなわち凹溝1aを形成する場合である。
この金属板の加工装置31において、球面状凸型6は図1の実施例における球面状凸型6と同じであるが、凹型37は、前記球面状凸型6に対向配置したロール37bの外周面の周方向全周に前記球体5に対応する弧状凹溝面37aを形成したものである。
この実施例における凹型37の凹面は、球面状凸型6に対向配置したロール37bの外周面の周方向全周に形成された弧状凹溝面37aであるから、金属板1は球面状凸型6の球体5と凹型37のロール37bに形成された弧状凹溝面37aとによって凹溝1aに成形される。
また、凹型37の凹面がロール37b設けた弧状凹溝面37aであるから、実施例1や実施例2の場合と比べて、摩擦が少なく円滑に凹溝1aを形成することができる。
この実施例の金属板の加工装置41は、凹溝を形成するのではなく、長さの方向性を持たない凹部(窪み)を形成する場合であり、図示例では金属板1にエンボス(窪み又は突起部)1bを形成する場合である。
この金属板の加工装置41は、上下に対向する一対のロール44、45のうちの一方のロール44に球面状凸型46を設け、他方のロール45に凹型47を設けたものである。
この実施例における凹型47は、ロール45の外周面に、球面状凸型46の球体5に対応して形成された窪み(凹球面)である。
実施例の球面状凸型46自体は、前述の各実施例の球面状凸型6と基本的に同じであり、前記球面状凸型46の受座部4は、凹球面座4aを有して球体5の下側半球部分を収容する受座部本体4bと、球体5の上側半球部分部の一部(突出部5a)を突出させるように球体上部を押さえる蓋体4cとを有している。なお、図示例では、ロール44が回転する際に蓋体4cの角が金属板1に干渉する惧れがないように、蓋体4cの上面形状をロール外周面に合わせている。
この金属板の加工装置41において、金属板1は上下のロール44、45間を通過する際に、下側のロール44の球面状凸型46の球体5と上側のロール45に形成された凹球面の窪み(凹型)47とにより、エンボス(凹み)1bが形成される。
図6、図7はその場合の実施例であり、球面状凸型として図4の実施例の球面状凸型46を上下のロール51、52のそれぞれに複数設け、ロール外周面に形成された凹球面の窪みである凹型47を上下のロール51、52のそれぞれに設ける。
すなわち、この実施例では、上下一対のロール51、52のそれぞれのロールに、周方向に間隔をあけて複数設けた球面状凸型46と凹型(凹球面の窪み)47との列を、ロール幅方向(図7では上下方向)に間隔をあけて複数列設けて、金属板1の全面にエンボスを形成する。
さらに、この実施例では、球面状凸型46と凹型47とをロール幅方向に交互に入れ替わる態様で設けている。
図7は図6を上から見た図であり、金属板1が矢印のように送られて、金属板1に面状に分布する多数のエンボス1bが形成されたエンボス金属板1cが製造される。
図7において、上から見て凹のエンボスと凸のエンボスをグレイ色の有無で示す。52a(51a)は上下ロールのロールシャフトを示す。
この場合、凹溝に対応する成形ロール(凹溝を潰さないプロフィルにした成形ロール)を組み込んだロール成形機において、図5と同様に最初の成形スタンドの前あるいは上流側の成形スタンド間に加工装置11を設置して、平板状態で連続する又は断続する凹溝を形成した後、続く成形スタンドで連続する又は断続する凹溝を有する軽量形鋼、例えば図10(イ)の溝付き軽量山形鋼、図(ロ)の溝付き軽量溝形鋼、図(ハ)の溝付き軽量C形鋼、その他種々のオープン断面の成形製品に対して適用可能である。
また、凹部としては、前述の各実施例のように成形製品の全長に続く連続凹溝、あるいは間隔をあけて設けた断続凹溝、あるいはエンボスを形成できる。
また、球体の大きさを変えることで、凹部の大きさを容易に変更可能である。
また、図11(へ)に示すように、1つの辺に例えば2つなど、複数の溝を持つ四角形金属管(多角形金属管)を製造することもできる。
前記金属板加工装置51で4つの連続する凹溝1a、1bが形成された金属板1を、続く複数段(図示例は4段)のブレークダウンロール(BDR)で円弧状に湾曲成形し、次いで複数段(図示例では3段)のフィンパスロール(FPR)で両エッジが接近したほぼ円形状(開放円形)に成形し、続くスクイズロール(SQR)と高周波溶接機とによる溶接工程にて両エッジを突き合わせ溶接して円形管にする。
続く複数段のサイジングロール(SZR)による整形工程及び矯正用の例えば1段のタークスヘッドロール(THR)で円管又は角形金属管にする。あるいは、図示のように面が水平から傾斜した四角属管8に整形する傾斜整形を行う。
1a 凹部(凹溝)
1b 凹部(凹み(エンボス))
4 受座部
4a 凹球面座
4b 受座部本体
4c 蓋体
5 球体
5a 突出部
6、46 球面状凸型6
7、27、37 凹型
47 凹型(凹球面の窪み)
37b ロール
7a、27a、37a 凹面(弧状凹溝面)
8 圧下軸
11、21、31、41 金属板の加工装置
15 ロール成形機
16 成形スタンド
44、45 ロール
51、52 ロール
Claims (9)
- 金属板に連続又は断続する凹部又は凸部を形成する金属板の加工装置であって、
凹球面座を有する受座部の前記凹球面座に球体を任意方向に回転可能に面接触させて収容支持してなる球面状凸型と、前記球面状凸型に対向して配されるとともに、前記球面状凸型の球体の前記受座部から突出している突出部に対応する凹面を有する凹型とを有することを特徴とする金属板の加工装置。 - 前記凹型の凹面が弧状凹溝面であることを特徴とする請求項1記載の金属板の加工装置。
- 前記凹型の凹面が、板送り方向の平坦面に続いて形成された弧状凹溝面であることを特徴とする請求項1記載の金属板の加工装置。
- 前記凹型として、前記球面状凸型に対向配置したロールの外周面の周方向全周に前記球体に対応する弧状凹溝面を形成したことを特徴とする請求項1記載の金属板の加工装置。
- 上下一対のロールのうちの一方のロールの外周面に、周方向に間隔をあけて、前記球面状凸型を設け、他方のロールの外周面に前記球面状凸型の前記球体に対応する位置に、前記凹面が前記球体に対応する凹球面である凹型を設けたことを特徴とする請求項1記載の金属板の加工装置。
- 前記球面状凸型がロール本体に形成した凹所に組み込まれた別部材であり、前記凹型がロール本体の外周面に直接形成した凹状球面であることを特徴とする請求項4記載の金属板の加工装置。
- 上下一対のロールのうちの一方のロールの外周面に、周方向に間隔をあけて、前記球面状凸型を設け、他方のロールの外周面に前記球面状凸型の前記球体に対応する位置に前記凹型を設け、前記周方向の球面状凸型と凹型との列を、ロール幅方向に間隔をあけてかつ球面状凸型と凹型とがロール幅方向に交互に入れ替わる態様で設けたことを特徴とする請求項5記載の金属板の加工装置。
- 上下一対の成形ロールを持つ複数の成形スタンドを有して金属板を所定の断面形状に成形するロール成形機における最初の成形スタンドの前に、又は成形スタンド間に設置されたことを特徴とする請求項4又は5記載の金属板の加工装置。
- 請求項1〜7のいずれかの金属板の加工装置を使用して金属板に連続又は断続する凹部又は凸部を形成する金属板の加工方法であって、前記球面状凸型と凹型との間に金属板を通過させて、金属板に凹部又は凸部を形成することを特徴とする金属板の加工方法。
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