JP2017183713A - エッチング方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】インジウム含有層を含む基板を高速且つ低温でエッチングできるエッチング方法を提供する。
【解決手段】塩素含有ガス及び酸素ガスを処理チャンバ内に供給し、これら各ガスをプラズマ化し、生成されたプラズマによって、インジウム含有層を含む基板をエッチングし、インジウム含有層にエッチング構造を形成する方法において、塩素含有ガス及び酸素ガスの総流量に占める酸素ガスの流量の比率が3%以上35%以下となるように、処理チャンバ内に塩素含有ガス及び酸素ガスを供給し、基板の温度を30℃以上150℃以下に調整する。
【選択図】図4

Description

本発明は、インジウム含有層を含む基板をエッチングする方法に関し、特に、塩素含有ガス及び酸素ガスを処理ガスとして用いて、前記基板をエッチングする方法に関する。
インジウム含有層を含む基板、例えば、リン化インジウム(InP)基板は、その電子移動度の高さを利用した高周波デバイスや、適正な格子定数及びバンドギャップに着目した半導体レーザなどに実用化されている。この実用化においては、基板に所定の幅や深さ、形状を有した溝や穴(エッチング構造)を高精度に形成することが求められるため、一般的に、基板に対してプラズマエッチング処理を施す手法が用いられる。
インジウム含有層を含む基板に対してプラズマエッチング処理を施す方法としては、例えば、特開2004−235405号公報(特許文献1)に開示されたドライエッチング方法が提案されている。
上記特許文献1に開示されたドライエッチング方法は、第1層にInP、第1層の下層にヒ化インジウムガリウム(InGaAs)からなる第2層が形成された基板をエッチングする方法であり、基板を配設した真空容器内に塩素原子と酸素原子とを含むガス(例えば、塩化水素ガス及び酸素ガス)を供給してプラズマを発生させ、基板に対してプラズマエッチング処理を施すようになっており、塩素原子と酸素原子とを含むガスを用いることで、InGaAsに対するInPのエッチング選択比を高くするようにしている。
また、インジウム含有層を含む基板に対してプラズマエッチング処理を施す方法としては、上記特許文献1に開示されたものの他、特許文献2や特許文献3に開示された方法なども提案されている。更に、塩素ガスを含む処理ガスを用いて、ICPプラズマによりInP基板をエッチングする方法(非特許文献1)も提案されている。
特開2004−235405号公報 特開2009−117537号公報 国際公開第2010/016249号パンフレット
チャイニーズフィジックスレターズ(Chinese physics letters)、2006年、第23巻、第4号、p. 903-906
ところで、塩素原子を含むガスを用いたInPのエッチングにおいては、揮発性化合物たる塩化インジウム(InCl)が生成され、主にこれが揮発することによってエッチングが進行するため、InClが十分に揮発する温度(200℃程度)まで基板を加熱するのが一般的である。実際に、特許文献2には、塩素ガスを用いてInPをエッチングする場合、InPと塩素ガスとの反応生成物である塩化インジウムの蒸気圧が低いため、適当なエッチングレートを得るには基板温度を200℃以上に上げることが必要とされると記載されている。
したがって、上記特許文献1には基板の温度について言及されていないものの、当該特許文献1に開示されたドライエッチング方法においても、InPのエッチングはInClが揮発することによって進行するため、基板を200℃程度の高温に加熱しているとも考えられる。
しかしながら、このように考えた場合、基板を高温に加熱するためには、高温まで加熱可能なヒータ等の設備が必要となり、エッチング装置のコストが嵩むという問題がある。
更に、基板を高温に加熱する場合、耐熱性の問題からレジストマスクを使用することが難しく、耐熱性の高いメタルマスクを使用する必要がある。しかしながら、メタルマスクを使用する場合には、メタルマスク形成工程を行う分だけレジストマスクが使用できる場合よりも工程数が増えるため、コストが高くなり、生産効率も悪くなる。
ところで、上記特許文献3には、塩素ガスなどを含む混合ガスを用いたInP基板のエッチングにおいて、InP基板のエッチングレートがおよそ1500nm/minであることが開示されており、この値は、一般的なInPのエッチングレートであると考えられる。しかしながら、上記特許文献1に開示されたドライエッチング方法について精査すると、InPのエッチングレートは最大でも300nm/min程度であり、この値は、一般的なInPのエッチングレートと比較すると極端に低い値である。
ここで、非特許文献1の図1には、塩素ガス、メタンガス及び水素ガスを用い、室温下においてInP基板をエッチングした際のエッチングレートとICPパワーとの関係が示されており、同図からは次のことが分かる。即ち、室温下において、塩素ガスを含む処理ガスを用いたエッチング処理をInP基板に施した場合、ICPパワーや処理チャンバ内の圧力によって多少の影響は受けるものの、エッチングレートの値は、高くても800nm/min程度(圧力を4mTorr、ICPパワーを1200Wとした場合)、条件次第では100nm/min以下(圧力を15mTorr、ICPパワーを200Wとした場合)という極めて低い値になる可能性があることが分かる。
つまり、非特許文献1の開示内容に鑑みれば、塩素ガスを含む処理ガスを用い、室温下においてInP基板をエッチングした場合のエッチングレートは、温度以外の条件によっても多少変動するものの、基本的に、上述したInPの一般的なエッチングレートよりも低くなる傾向にあることが明らかである。そのため、塩素ガスを含む処理ガスを用いてInP基板をエッチングした際のエッチングレートが上記一般的なエッチングレートよりも低い場合には、温度を室温以下に調整した状態でInPをエッチングしていると考えるのが自然である。
したがって、InPのエッチングレートの最大値が300nm/min程度である上記特許文献1に開示されたドライエッチング方法においては、基板を200℃以上の高温に加熱していると考えるよりも、むしろ、室温以下の極端に低い温度(例えば20℃程度の低温)に調整してエッチングを行っていると考えるのが自然であると言える。しかしながら、このように考えた場合、上述したように、一般的な場合と比較して、InPのエッチングレートが極端に低いため、エッチングに要する時間が長く、生産効率が悪いという点が問題となる。
このように、上記特許文献1に開示されたドライエッチング方法には、基板を高温でエッチングすること、或いは、低温でエッチングすることに起因した種々の問題があり、インジウム含有層を含む基板を高速且つ低温でエッチングすることができない。
本発明は以上の実情に鑑みなされたものであり、インジウム含有層を含む基板を低温で高速エッチングすることができるエッチング方法の提供を、その目的とする。
上記課題を解決するための本発明は、
塩素含有ガス及び酸素ガスを処理チャンバ内に供給し、該各ガスをプラズマ化し、生成されたプラズマによって、インジウム含有層を含む基板をエッチングし、前記インジウム含有層にエッチング構造を形成する方法において、
前記塩素含有ガス及び酸素ガスの総流量に占める酸素ガスの流量の比率が3%以上35%以下となるように、前記処理チャンバ内に前記塩素含有ガス及び酸素ガスを供給し、
前記基板の温度を30℃以上150℃以下に調整するエッチング方法に係る。
このエッチング方法においては、塩素含有ガス及び酸素(O)ガスを用いるようにしていることで、各ガス由来の反応種(ClやO)とインジウム含有層に含まれるインジウムとが反応して、塩化インジウム(InCl)、過塩素酸インジウム(In(ClO)及び酸化インジウム(InO)が生成される。尚、前記塩素含有ガスとしては、塩素ガス及び塩化水素ガスを例示することができる。
ここで、本願発明者らの実験によって得られた知見によると、前記In(ClOは、InClよりも揮発性が高いため、圧力等の条件が同じであればInClよりも低温で揮発する。したがって、基板の温度をInClが揮発し難い温度に調整した場合であっても、In(ClOが生成されることによって、このIn(ClOが揮発し、適当なエッチングレートで基板のエッチングが進行する。これに対して、前記InOは、InCl及びIn(ClOと比較して、蒸気圧が極端に低く、物理的なエッチングでなければほとんど除去されないため、InOの生成量が増加するとエッチングレートは低下する。
そして、本願発明者らの実験結果によると、図4に示すように、基板の温度が30℃以上150℃以下、即ち、InClが揮発し易い温度より低い場合には、酸素ガスの流量比率とエッチングレートとの間に非線形関係がある。このように、酸素ガスの流量比率とエッチングレートとが非線形の関係となるのは、酸素ガスの流量比率が0%から徐々に増加するにつれて、In(ClOの生成量が増加し、これが揮発するためエッチングレートが徐々に高くなるが、酸素ガスの流量比率が更に高くなると、InOの生成量が増加するためエッチングレートが徐々に低くなることによると考えられる。
そこで、上記エッチング方法においては、塩素含有ガス及び酸素ガスの総流量に占める酸素ガスの流量の比率が3%以上35%以下となるように、処理チャンバ内に塩素含有ガス及び酸素ガスを供給するようにして、基板の温度が30℃以上150℃以下において、良好なエッチングレートでエッチングが適切に進行するようにしている。
このように、上記エッチング方法においては、塩素含有ガス及び酸素ガスの総流量に占める酸素ガスの流量の比率を3%以上35%以下にするとともに、基板の温度を30℃以上150℃以下に調整することで、インジウム含有層を含む基板を高速且つ低温でエッチングすることができる。したがって、耐熱性の低いレジストマスクをエッチングマスクとして使用して基板をエッチングすることができ、工程数を少なくしてコストを抑えつつ生産効率を向上させることができ、更に、基板を高温に加熱するための設備等を必要としないため、エッチング装置のコストを抑えることができる。また、低温でも良好なエッチングレートが得られるため、生産効率の低下という問題も生じない。
ところで、上記特許文献1に開示されたドライエッチング方法においては、ガスに含まれる酸素原子の割合を所定範囲内にすることで、InGaAsのエッチングレートが極端に低下し、InGaAsに対するInPの選択比が高くなるが、InGaAsのエッチングレートだけでなく、InPのエッチングレートも低下しており、各エッチングレートは、酸素原子の割合が増加するにつれて徐々に低下している。即ち、当該引用文献1に開示されたドライエッチング方法は、酸素原子の割合とエッチングレートとの間に線形関係があり、本発明に係るエッチング方法とは、明らかに傾向が異なる。
そして、このように、InPやInGaAsのエッチングレートが、酸素原子の割合を増加させるにつれて徐々に低下するのは、InClが揮発し易い温度、或いは、In(ClOが極めて揮発し難い温度に基板温度を調整する場合であると考えられる。
即ち、基板をInClが揮発し易い温度(例えば200℃程度)に調整してエッチングを行う場合、InClが十分に揮発するため、酸素原子の割合が増加してIn(ClOの生成量が増えたとしてもエッチングレートが大きく変化することはなく、InOの生成量が増加することによって、エッチングレートは徐々に低下すると考えられる。また、基板をIn(ClOが極めて揮発し難い温度(例えば20℃程度)に調整してエッチングする場合、InCl及びIn(ClOが極めて揮発し難いため、酸素原子の割合が増加してIn(ClOの生成量が増えたとしても、エッチングレートが高くなることはなく、InOの生成量が増えることによって、エッチングレートが徐々に低下すると考えられる。
これらのことからも、上記特許文献1に開示されたドライエッチング方法においては、基板を200℃程度の高温、或いは、20℃程度の低温に調整しているものと推測され、本発明に係るエッチング方法のように、基板温度を30℃以上150℃以下に調整するようにはしていないと考えられる。
また、上述したように、上記特許文献1に開示されたドライエッチング方法においては、酸素原子を含むガスを供給することによって、InGaAsに対するInPの選択比(下地選択比)が高くなるものの、InPやInGaAsのエッチングレートは低下する。したがって、下地選択比を考慮しなくて良い場合においては、塩素原子と酸素原子と含むガスを用いることにより、下地選択比が高くなるというメリットを享受することなく、InPやInGaAsのエッチングレートが低下し、これらを高速でエッチングすることができないという深刻な問題のみが生じることになる。このことからすれば、上記特許文献1に開示されたドライエッチング方法は、そもそも、単一のインジウム含有層のみを含む基板をエッチングすることを想定しておらず、そのような基板をエッチングする方法としては適切でない。
これに対して、上記エッチング方法は、単一のインジウム含有層のみを含む基板をエッチングする場合に特に好適に用いることができ、単一のインジウム含有層を低温で高速エッチングすることができる。尚、上記「単一のインジウム含有層のみを含む基板」とは、2種類以上の異なるインジウム含有層を含む基板、例えば、InP層とInGaAs層とからなる基板を含むものではないが、1種類のインジウムを含む層と、1種類以上のインジウムを含まない層とからなる基板を含むものである。
また、一般的に、温度が高くなるにつれてエッチングレートも高くなる傾向があるため、基板をより高速にエッチングするという観点からすると、上記エッチング方法において、前記基板の温度は、50℃以上150℃以下に調整することが好ましい。
また、前記塩素含有ガスは、塩素ガス又は塩化水素ガスと、四塩化ケイ素ガス又は三塩化ホウ素ガスとを含む混合ガスであっても良い。このようにすれば、形成されるエッチング構造の側壁に保護膜(酸化ケイ素やホウ素−塩素化合物)が形成、堆積することにより、当該エッチング構造の形状が悪化するのを防止することができる。尚、保護膜の形成量、堆積量が増え過ぎると、エッチングレートが極端に低下する、或いはエッチングが停止するおそれがある。したがって、適度な量の保護膜を形成、堆積させるために、塩素含有ガス及び酸素ガスの総流量に占める四塩化ケイ素ガス又は三塩化ホウ素ガスの流量の比率を10%以上38%以下とすることが好ましい。
以上のように、上記エッチング方法によれば、インジウム含有層を含む基板を高速且つ従来よりも低温でエッチングすることができる。
一実施形態に係るエッチング方法を実施するためのエッチング装置の概略構成を示した断面図である。 基台及び温度調整装置を示した断面図である。 実施例1及び2並びに比較例1におけるエッチング条件及び実験結果をまとめた表である。 ガスの流量比率に対してエッチングレートをプロットしたグラフである。 基板温度に対してエッチングレートをプロットしたグラフである。
以下、本発明の具体的な実施形態について、添付図面に基づき説明する。尚、インジウム含有層を含む基板として、リン化インジウム(InP)基板Kを例にとり、当該InP基板Kをエッチングする態様について、以下説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るエッチング方法の実施に用いるエッチング装置1の概略構成を示した図である。
前記エッチング装置1は、閉塞空間を有する処理チャンバ11と、この処理チャンバ11内に昇降自在に配設され、InP基板Kが載置される基台15と、この基台15を昇降させる昇降シリンダ19と、処理チャンバ11内に処理ガスを供給するガス供給装置20と、処理チャンバ11内に供給された処理ガスをプラズマ化するプラズマ生成装置30と、基台15に高周波電力を供給する高周波電源35と、処理チャンバ11内の圧力を減圧する排気装置40と、基台15及び基台15に載置されたInP基板Kの温度を調整する温度調整装置50とから構成される。
前記処理チャンバ11は、相互に連通した内部空間を有する上チャンバ12及び下チャンバ13から構成され、上チャンバ12は、下チャンバ13よりもその内径が小径となるように形成される。
図2に示すように、前記基台15は、小径部16a及びこの小径部16aの下側に設けられ、外周部が外側に張り出した大径部16bからなる円板状の基台本体16と、当該基台本体16の小径部16a上に設けられ、上面にInP基板Kを保持する静電チャック17と、大径部16bの外周部上面に設けられ、環内部に小径部16a及び静電チャック17が配置される環状部材18とから構成され、下チャンバ13内に配置されている。前記基台本体16は、その下面に昇降シリンダ19が接続され、当該基台本体16の内部には、後述する温度調整装置50によって熱媒体が供給される空間16cが形成されている。また、前記静電チャック17は、電極板を一対の絶縁層で挟み込んだものであり、電極板に適宜電圧を印加することにより、InP基板Kが静電チャック17上に吸着保持される。
前記ガス供給装置20は、塩素含有ガスとして、塩素(Cl)ガス及び四塩化ケイ素(SiCl)ガスをそれぞれ供給するClガス供給部21及びSiClガス供給部22と、酸素(O)ガスを供給するOガス供給部23と、一端が上チャンバ12の上面に接続し、他端が分岐して前記Clガス供給部21、SiClガス供給部22及びOガス供給部23にそれぞれ接続した供給管25とを備えており、Clガス供給部21、SiClガス供給部22及びOガス供給部23から供給管25を介して、処理チャンバ11内にClガス、SiClガス及びOガスを供給する。
前記プラズマ生成装置30は、所謂誘導結合プラズマ(ICP)を生成する装置であって、上チャンバ12に配設された環状のコイル31と、当該コイル31に高周波電力を供給する高周波電源32とから構成され、高周波電源32によってコイル31に高周波電力を供給することで、上チャンバ12内に供給されたClガス、SiClガス及びOガスをプラズマ化する。
また、前記高周波電源35は、前記基台15に高周波電力を供給することで、基台15とプラズマとの間にバイアス電位を与え、Clガス、SiClガス及びOガスのプラズマ化により生成されたイオンを、基台15上に載置されたInP基板Kに入射させる。
前記排気装置40は、気体を排気する真空ポンプ41と、一端が前記真空ポンプ41に接続し、他端が下チャンバ13の側面に接続した排気管42とからなり、この排気管42を介して、真空ポンプ41が前記処理チャンバ11内の気体を排気し、処理チャンバ11内部を所定圧力に維持する。
前記温度調整装置50は、熱媒体を利用して、基台15及びInP基板Kの温度を調整する装置であり、図2に示すように、一端が分岐し、その分岐した各端部が、載置されるInP基板Kの裏面と対向するように基台本体16に接続した第1供給管51と、一端が前記基台本体16に形成された空間16cに接続した2本の第2供給管52と、前記第1供給管51の他端に接続した第1媒体供給部53と、前記第2供給管52の他端に接続した第2媒体供給部54とから構成されている。尚、本例においては、第1媒体供給部53から供給された熱媒体が前記第1供給管51を介して、前記静電チャック17の上面とInP基板Kの裏面との間に供給されるようにしている。また、第2媒体供給部54から供給された熱媒体が前記第2供給管52の一方を介して前記空間16c内に供給され、空間16c内に供給された熱媒体が他方の第2供給管52を介して第2媒体供給部54に戻る構成とし、温度管理された熱媒体が図2に図示した矢印方向に循環するようにしている。
この温度調整装置50によれば、前記第1媒体供給部53及び第2媒体供給部54からInP基板Kを所望の温度に調整するために必要な熱媒体を適宜供給することで、InP基板Kを所定の温度に調整することができる。尚、第1媒体供給部53及び第2媒体供給部54から供給する熱媒体の種類は特に限定されるものではない。また、各媒体供給部53,54から異なる熱媒体を供給するように構成しても良い。また、図示しないが、基台本体16をヒータで加熱するようにしても良い。尚、この場合、ヒータは、基台本体16の内部又は表面に取り付ければ良い。
例えば、第1媒体供給部53から熱媒体たる冷却ガスとしてHeガスを供給するとともに、第2媒体供給部54からフッ素系不活性流体や純水などを供給する。
次に、以上のように構成されたエッチング装置1を用いて、InP基板Kに対してエッチング処理を施し、当該InP基板Kにエッチング構造を形成する過程を説明する。
まず、InP基板Kを処理チャンバ11内に搬入して基台15上に載置し、前記温度調整装置50によって、InP基板Kの温度を30℃以上150℃以下の範囲内の所定温度となるように調整し、InP基板Kの温度が平衡状態になるまで待機する。尚、InP基板Kには、予め所定パターンのレジストマスクが形成されている。また、前記InP基板Kの温度は、このInP基板Kをより高速でエッチングするという観点から、50℃以上150℃以下の範囲内に調整するようにしても良い。
ついで、上記所定の温度で平衡状態に達したInP基板Kをエッチングする。具体的には、前記各ガス供給部21,22,23から処理チャンバ11内にClガス、SiClガス及びOガスをそれぞれ供給し、高周波電源32によってコイル31に高周波電力を印加し、処理チャンバ11内に供給した各ガスをプラズマ化する。また、高周波電源35によって基台15に高周波電力を印加する。
本例のエッチング方法においては、Clガス、SiClガス及びOガスの総流量に占めるOガスの流量の比率が3%以上35%以下となり、且つ前記3種類のガスの総流量に占めるSiClガスの流量の比率が10%以上38%以下となるように、各ガスの供給流量を設定した上で、各ガスを処理チャンバ11内に供給するようにしている。
このようにすることで、各ガス由来のエッチング種(ClやO)とInP基板中のインジウムとの反応によって、塩化インジウム(InCl)に加え、これよりも揮発性が高い過塩素酸インジウム(In(ClO)が生成されるため、InClが揮発し易い温度よりも基板の温度が低い場合には、In(ClOが主に揮発することによってInP基板Kのエッチングが進行してエッチング構造が形成する。
したがって、本例のエッチング方法においては、InP基板Kの温度を、InClが揮発し易い温度よりも低い30℃以上150℃以下に調整した状態で、高いエッチングレートでInP基板Kがエッチングされる。
また、InP基板Kのエッチングと同時に、SiClガス及びOガスに由来する保護膜形成種(SiやO)同士の反応によって、エッチング構造の側壁に保護膜が形成されるため、エッチング構造の形状の悪化が抑えられる。
以上のように、本例のエッチング方法においては、従来とは異なり、InP基板Kを高速且つ低温でエッチングすることができる、即ち、基板の温度を低温に調整しつつ、良好なエッチングレートで基板をエッチングすることができ、基板を高温に調整した場合に生じる種々の問題も発生しない。
そして、本願発明者らは、コイル印加電力を900W、基台に印加するバイアス電力を400W、処理チャンバ内の圧力を1Paとするとともに、InP基板の温度を100℃に調整し、処理チャンバ内に供給するClガス、SiClガス及びOガスの流量を変えて、InP基板のエッチングレートを測定する実験を行った。図3は、エッチング条件及び実験結果をまとめた表である。尚、Clガス、SiClガス及びOガスの各供給流量を、75sccm、50sccm及び10sccmとした場合が実施例1であり、75sccm、50sccm及び65sccmとした場合が実施例2である。また、Clガス及びSiClガスの各供給流量を75sccm及び50sccmとした場合が比較例1である。
また、図4は、実施例1及び2並びに比較例1について、前記Oガスの流量比率に対してInP基板のエッチングレートをプロットした図である。尚、InP基板の温度が250℃及び0℃の場合については、一般的な傾向を表したものである。
図4に示すように、一般的に、InP基板の温度を250℃に調整したとすると、Oガスを供給していない(Oガスの流量比率が0%)場合には、生成されたInClが揮発するため良好なエッチングレートが得られるが、Oガスの流量比率が増加するにつれて、InOの生成量が増えて、次第にエッチングレートが低下すると考えられる。
また、InP基板の温度を0℃に調整したとすると、この温度ではInClだけでなく、In(ClOも極めて揮発し難いため、Oガスの流量比率にかかわらず、エッチングレートが極端に低くなると考えられる。
これらと比較して、InP基板の温度を100℃に調整した場合には、図3及び図4から分かるように、Oガスの流量比率によってエッチングレートが大きく変化し、Oガスの流量比率とエッチングレートとの間に非線形関係がある。
具体的に言うと、Oガスの流量比率が0%の場合(比較例1)には、エッチングレートが1.85μm/minであるのに対し、3%程度になると、エッチングレートがおよそ7μm/minに向上し、7%の場合(実施例1)には9μm/min以上の極めて良好なエッチングレートが得られている。これは、流量比率が0%の場合、生成されるInClが揮発し難いためエッチングレートが低くなっているのに対し、流量比率が3%以上となると、In(ClOが適度に生成され、これが揮発することでエッチングレートが高くなるためだと考えられる。
一方、Oガスの流量比率が34%の場合(実施例2)には、エッチングレートが7.54μm/minとなっており、Oガスの流量比率が7%の場合と比較して僅かに低下している。これは、蒸気圧が極端に低いInOの生成量が徐々に増加したことによるものであり、Oガスの流量比率を更に高くした場合には、エッチングレートが更に低下していくと考えられる。
これらのことを基に、Oガスの流量比率が0%の場合及び7%の場合について、基板温度とエッチングレートとの関係を表すと図5のようになると考えられる。
ガスの流量比率が0%の場合には、In(ClOが生成されないため、エッチングレートはInClの揮発のし易さに依存し、InP基板の温度が100℃以下であると、InClが揮発し難くエッチングレートが低くなり、InP基板の温度が100℃を超えると、徐々にInClが揮発し易くなり、エッチングレートが高くなると考えられる。
これに対して、Oガスの流量比率が7%の場合、エッチングレートはInCl及びIn(ClOの揮発のし易さに依存する。したがって、InP基板の温度が0℃の場合には、InCl及びIn(ClOが共に揮発し難くエッチングレートが低くなるが、InP基板の温度が0℃から100℃まで徐々に高くなると、主にIn(ClOが揮発し易くなり、これに伴いエッチングレートが高くなる。そして、InP基板の温度が更に高くなることで、InClも徐々に揮発し易くなり、エッチングレートがより高くなると考えられる。
以上のことから、塩素含有ガス及び酸素ガスを用いて、単一のインジウム含有層のみを含む基板をエッチングする際に、酸素ガスの流量比率を3%以上35%以下とすることで、基板を30℃以上150℃以下の温度に調整した状態で、基板を高速でエッチングできることは明らかである。
以上、本発明の具体的な実施の形態について説明したが、本発明の採り得る態様は何らこれに限定されるものではない。
例えば、上例においては、塩素含有ガスとして、主にエッチングに寄与するClガスと、主に保護膜の形成に寄与するSiClガスとを用いたが、エッチングに寄与するガスとしては、Clガスの他、塩化水素(HCl)ガスを用いることができ、保護膜の形成に寄与するガスとしては、SiClガスの他、三塩化ホウ素(BCl)ガスを用いることができる。また、必ずしも、エッチングに寄与するガスと保護膜の形成に寄与するガスとの2種類を塩素含有ガスとして使用する必要はなく、主にエッチングに寄与するガスのみを用いるようにしても良い。
また、上例では、単一のインジウム含有層のみを含む基板をエッチングするようにしているが、これに限られるものではなく、種類の異なる複数のインジウム含有層を含む基板をエッチングするようにしても、上記と同様に、各インジウム含有層を低温で高速エッチングすることができる。
更に、上例では、単一のインジウム含有層のみを含む基板をInP基板としているが、当該単一のインジウム含有層のみを含む基板としては、InP基板の他、InGaAs基板や、シリコン(Si)基板やヒ化ガリウム(GaAs)基板上にInP層やInGaAs層が形成された基板を例示することができる。
また、上例においては、表面に所定パターンのレジストマスクが形成されたInP基板をエッチングするようにしているが、基板に形成されるエッチングマスクはメタルマスクでもあっても良い。但し、メタルマスクを使用する場合は、レジストマスクを使用する場合よりもメタルマスクの形成に要する工程が増えるため、レジストマスクを使用する場合よりもコストが増加し、生産効率も低下する。
1 エッチング装置
11 処理チャンバ
15 基台
20 ガス供給装置
21 Clガス供給部
22 SiClガス供給部
23 Oガス供給部
30 プラズマ生成装置
31 コイル
32 高周波電源
35 高周波電源
40 排気装置
50 温度調整装置

Claims (6)

  1. 塩素含有ガス及び酸素ガスを処理チャンバ内に供給し、該各ガスをプラズマ化し、生成されたプラズマによって、インジウム含有層を含む基板をエッチングし、前記インジウム含有層にエッチング構造を形成する方法において、
    前記塩素含有ガス及び酸素ガスの総流量に占める酸素ガスの流量の比率が3%以上35%以下となるように、前記処理チャンバ内に前記塩素含有ガス及び酸素ガスを供給し、
    前記基板の温度を30℃以上150℃以下に調整することを特徴とするエッチング方法。
  2. 前記基板は、単一のインジウム含有層のみを含むことを特徴とする請求項1記載のエッチング方法。
  3. 前記基板の温度を50℃以上150℃以下に調整することを特徴とする請求項1又は2記載のエッチング方法。
  4. 前記塩素含有ガスは、塩素ガス又は塩化水素ガスであることを特徴とする請求項1乃至3記載のいずれかのエッチング方法。
  5. 前記塩素含有ガスは、塩素ガス又は塩化水素ガスと、四塩化ケイ素ガス又は三塩化ホウ素ガスとであることを特徴とする請求項1乃至3記載のいずれかのエッチング方法。
  6. 前記塩素含有ガス及び酸素ガスの総流量に占める前記四塩化ケイ素ガス又は三塩化ホウ素ガスの流量の比率が10%以上38%以下となるように、前記処理チャンバ内に前記塩素含有ガス及び酸素ガスを供給することを特徴とする請求項5記載のエッチング方法。
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