JP2017182979A - リチウムイオン二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】 安全性の高いリチウムイオン二次電池を提供する。【解決手段】膜厚が20〜40μmの樹脂セパレータで、粒径が30μm以上50μmの鉄又は鉄化合物を含む場合に、鉄又は鉄化合物の体積V1とセパレータ膜厚が20〜40μmの樹脂セパレータの空孔体積V2が862≦V1/V2≦7978の関係式を満たすように、鉄又は鉄化合物の粒子の体積V1に対して樹脂セパレータの1μm2当たりの空孔体積V2が調整されているため、還元析出した鉄又は鉄化合物が、負極の表面からセパレータ内に留まり、セパレータを貫通して正極まで達するのを防ぐことができる。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン二次電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池は、民生用途にとどまらず、太陽光や風力発電といった自然エネルギー向け大規模蓄電システム用途への展開が期待されている。
特に、高容量電池では、従来の18650電池とは異なり、電池に蓄えられるエネルギーが高くなるため、非定常時の安全性の確保が厳しくなるという課題がある。そこで、特許文献1では、セパレータと正極又は、負極版との間に存在する、金属又は金属化合物の粒子の体積(V1)とセパレータの1μm2当たりの空孔体積(V2)との間に関係式、V1/V2<2250を満たすことにより、リチウムイオン電池の内部短絡を防止できる技術が開示されている。
WO 2014/156891
電池の原材料、又は製造工程において、金属又は金属化合物が何らかの要因で異物として混入する場合がある。特許文献1の発明者らは、このような異物として電池内に存在する金属又は金属化合物が起点となって、電池の内部短絡が発生する可能性が高くなることを見出している。特に、膜厚が15μm〜50μmの樹脂セパレータを用いた場合において、粒径が20μm以上のニッケル又は銅粒子がセル内に存在するときに、内部短絡の可能性が高くなることを開示している。しかしながら、本発明者らの検討の結果、鉄については引用文献1に記載の技術思想の範囲外であることを突き止めた。すなわち、膜厚が20μm〜40μmの樹脂セパレータを用いた場合において、鉄又は鉄化合物に関しては粒径が50μm以上の粒子がセル内に存在するときに、内部短絡の危険性が高くなることを突き止めた。これは、銅と鉄で負極からの析出形態が異なり、銅は樹脂状に析出するのに対して、鉄は円錐状に析出していくためである。
このように電池内に異物として混入した金属又は金属化合物の粒子は、リチウムイオン二次電池が充放電を繰り返す過程で、電池内でデンドライトが成長することにより内部短絡が発生する。このデンドライトに起因する内部短絡は、概ね次の(1)〜(3)のような機構で発生する。(1)金属又は金属化合物は、正極側で酸化されて溶解し(M→Mx++xe-)、金属イオンの状態でセパレータを透過し、負極側で還元されて負極の表面に析出する(Mx++xe-→M)。(2)負極側で還元された金属又は金属化合物は、セパレータの空隙内にも析出する。(3)セパレータ内に析出した金属又は金属化合物は、その後正極まで達して、正極と負極が短絡する(すなわち、電池内で内部短絡が生じる)。特に、金属又は金属化合物の粒子が、樹脂セパレータと正極との間に存在する場合に、このような電池内の内部短絡が発生し易い傾向がある。
電池が短絡すると急激な発熱が起こり、電池の安全性に問題を生じる可能性が高くなる。特に、大規模蓄電システムでは、電池容量が10Ah〜300Ah程度に想定されており、電池に蓄えられるエネルギーが高くなるため、安全性をさらに確保する必要がある。
本発明の目的は、鉄又は鉄化合物が電池内に異物として混入している場合に、内部短絡を防止して、安全性の高いリチウムイオン二次電池を提供することにある。
本発明が改良の対象とするリチウムイオン二次電池は、厚みが20〜40μmの樹脂セパレータと、該樹脂セパレータを介して積層された正極及び負極とを有する電極群を備え、樹脂セパレータと正極又は負極との間に粒径が60μm以下の鉄又は鉄化合物の粒子が存在するリチウムイオン二次電池である。
ここで、「樹脂セパレータ」には、1枚の樹脂セパレータ・シートで構成された樹脂セパレータ、及び、複数枚の樹脂セパレータ・シートを積層して構成された樹脂セパレータの両者が含まれる。樹脂セパレータの厚み寸法(20〜40μmの厚み寸法)は、一般的なリチウムイオン二次電池のセル単位で用いるセパレータの厚み寸法である。
本明細書において「鉄又は鉄化合物の粒子」は、正極活物質又は負極活物質を構成するものではない。「鉄又は鉄化合物の粒子」は、電極材料の原材料に異物として含まれているもの、電池の製造過程で電極と端子の溶接等により発生した異物として電池内に存在するものであると予想される。「粒子」としては、例えば、粒状、フレーク状、球状、柱状、不規則形状などが挙げられる。
前記「粒状」とは、不規則形状のものではなくほぼ等しい寸法をもつ形状である(JIS Z2500:2000)。
前記フレーク状(片状)とは、板のような形状であり(JIS Z2500:2000)、鱗のように薄い板状であることから鱗片状とも言われ、本発明においては、SEM観察の結果から解析を行い、アスペクト比(粒子径a/平均厚さt)が2〜100の範囲を片状とする。ここでいう粒子径aは、片状の粒子を平面視したときの面積Sの平方根として定義するものとし、これを本願の粒径とする。
前記「球状」とは、ほぼ球に近い形状である(JIS Z2500:2000参照)。必ずしも真球状である必要はなく、粒子の長径(DL)と短径(DS)との比(DL)/(DS)(球状係数あるいは真球度と言うことがある)が1.0〜1.2の範囲にあるものとし、本願の粒径とは長径(DL)を指すものとする。
前記柱状とは、略円柱、略多角柱等が挙げられ、本願の粒径とは柱の高さを指すものとする。
なお、「粒径」は、マイクロスコープにより倍率が100〜1000倍、又は走査型電子顕微鏡により1000〜10000倍の条件で測定することができる。
粒径が30μm以上の鉄又は鉄化合物に限定したのは、粒径が30μm未満の鉄又は鉄化合物の粒子であれば、電池内で異物として存在しても内部短絡を引き起こす可能性は少ないからである。なお、粒径が30μm以上の鉄又は鉄化合物のうち、電池の製造工程で混入する鉄又は鉄化合物の粒径は最大で60μm程度である。このような鉄又は鉄化合物の粒子の粒径を体積に換算すると、金属又は金属化合物の体積は約1.141×104〜1.13×105μmの範囲となる。
本発明のリチウムイオン二次電池は、厚みが20〜40μmの樹脂セパレータと正極又は負極との間に粒径が30μm以上50μm以下の鉄又は鉄化合物の粒子が存在する場合に、鉄又は鉄化合物の粒子の体積をV1、樹脂セパレータの1μm2当たりの空孔体積をV2としたときに、V1とV2が、下記式(1)の関係を満たすように調整されている。
862≦V1/V2≦7978 …(1)
ここで、「鉄又は鉄化合物の粒子の体積V1」は、鉄又は鉄化合物の質量と密度から算出する。なお、鉄又は鉄化合物の粒子が球状の場合は、{粒径(μm)×(1/2)}3×4/3πから算出してもよい。また、「樹脂セパレータの1μm2当たりの空孔体積V2」は、樹脂セパレータの厚さと単位面積(1μm2)を乗じて算出される体積に樹脂セパレータの空孔率を乗じて算出する。
「V1/V2」の関係式は、金属又は金属化合物の粒子の体積V1を樹脂セパレータの空孔体積V2で除することを意味する。また、「862≦V1/V2≦7978」の関係式はV1/V2の値が862以上で7978以下であることを意味する。
本発明のように、異物として混入した鉄又は鉄化合物の粒子の体積を考慮して、樹脂セパレータの空孔体積を調整すると、還元析出した鉄又は鉄化合物の円錐状析出物が、負極の表面から樹脂セパレータ内に留まり、樹脂セパレータを貫通して正極まで達するのを防ぐことができる。その結果、円錐状析出物による正極と負極の短絡が防止され、電池の内部短絡を防ぐことができる。なお、V1とV2の関係式が7978より大きくなる場合は、円錐状析出物が樹脂セパレータから正極まで達し易くなり、正極と負極の短絡が発生し易くなる。
厚みが36〜40μmの樹脂セパレータと、樹脂セパレータを介して積層された正極及び負極とを有する電極群を備え、樹脂セパレータと正極又は負極との間に粒径が30μm以上60μm以下の鉄又は鉄化合物の粒子が存在するリチウムイオン二次電池の場合には、鉄又は鉄化合物の粒子の体積V1と樹脂セパレータの空孔体積V2との関係は、好ましくは、下記(2)式の関係を満たすように調整されている。
862≦V1/V2≦7659 …(2)
ここで、「862≦V1/V2≦7659」の関係式は、V1/V2の値が7659以下であることに加えて、さらにV1/V2の値が862以上であることを意味する。V1/V2の値が7659以下の範囲であっても、V1/V2の値が862より小さい範囲では、鉄又は鉄化合物の粒子の体積V1に対して、樹脂セパレータの空孔体積V2が相対的に著しく大きくなる。樹脂セパレータの空孔体積が相対的に大きくなりすぎると、析出物は樹脂セパレータを貫通し易くなり、正極と負極の短絡が発生し易くなる。そのため、V1/V2の値は、上記のように862以上に調整するのが好ましい。
樹脂セパレータには、空孔率が30〜50%に調整された樹脂セパレータを用いるのが好ましい。このような空孔率を有する樹脂セパレータを用いることにより、V1/V2の値を、粒径が30μm以上60μm以下の鉄又は鉄化合物の粒子が電池内に混入した場合でも内部短絡が発生し難い値に、調整し易くなる。
樹脂セパレータには、ポリプロピレン及びポリエチレンの少なくとも一つからなるポリオレフィンを材質として含む樹脂セパレータを用いるのが好ましい。このようなポリオレフィンからなる樹脂セパレータを用いて樹脂セパレータを構成することにより、電池の内部短絡を防止する機能を左右する樹脂セパレータの空孔率(又は空孔体積)の制御が容易になるからである。
本発明の実施の形態のリチウムイオン二次電池の構成を示す断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。本実施の形態では、正極と負極とを樹脂セパレータを介して積層した積層型リチウムイオン二次電池を対象とするが、本発明は正極と負極とを樹脂セパレータ介して積層してなる積層体を巻回した巻回形リチウムイオン電池にも当然にして適用できるものである。
(1)正極
正極は、正極活物質と結着材とを含有する正極活物質層を、正極集電体上に形成して作製される。具体的には、正極活物質と結着材、並びに必要に応じて導電材及び増粘材等を乾式で混合してシート状にしたものを正極集電体に圧着するか、又は、これらの材料を液体媒体に溶解、分散させてスラリーとして正極集電体に塗布し、乾燥することにより、正極活物質層が正極集電体上に形成させる。
正極活物質としては、リチウムを挿入脱離、溶解析出可能な公知のリチウムと遷移金属の複合酸化物を単独又は2種以上とを混合したものを用いることができる。リチウム金属と遷移金属の複合酸化物の例としては、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム、リチウム燐酸鉄等が挙げられる。これらの複合酸化物は、単相のもの、遷移金属の一部を異種元素で置換したもの、又は表面を酸化物や炭素でコーティングしたものでもよい。
正極用導電材としては、公知の導電材を任意に用いることができる。具体例としては、銅、ニッケル等の金属材料;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト);アセチレンブラック等のカーボンブラック;ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素質材料等が挙げられる。なお、これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
正極活物質層の製造に用いる結着材としては、特に限定されず、塗布法の場合は、電極製造時に用いる液体媒体に対して溶解又は分散する材料であれば良い。結着材の具体例としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂系高分子; SBR(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル−ブタジエンゴム) 、フッ素ゴム等のゴム状高分子;ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系高分子等が挙げられる。なお、これらの物質は、1種を単独で用いても良く、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。好ましくは、正極の安定性の観点から、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)やポリテトラフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体、等のフッ素系高分子が良い。
塗布、乾燥によって得られた正極活物質層は、正極活物質の充填密度を上げるために、ハンドプレス、ローラープレス等により圧密化することが好ましい。
正極集電体の材質としては特に制限は無く、公知のものを任意に用いることができる。具体例としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ、チタン、タンタル等の金属材料; カーボンクロス、カーボンペーパー等の炭素質材料が挙げられる。中でも金属材料、特にアルミニウムが好ましい。
正極集電体の形態は特に制限されるものではなく、公知の形態を任意に用いることができる。具体例としては、金属材料の場合は、金属箔、金属薄膜等が挙げられる。これらのうち、金属薄膜が好ましい。なお、薄膜は適宜メッシュ状に形成してもよい。薄膜の厚さは任意であるが、通常1μm以上、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、また、通常1mm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm 以下である。薄膜がこの範囲よりも薄いと、集電体として必要な強度が不足する場合がある。逆に、薄膜がこの範囲よりも厚いと、取り扱い性が損なわれる場合がある。
(2)負極
負極は、電気化学的にリチウムイオンを吸蔵・放出可能な負極活物質を含む負極合材が、負極集電体の両面に塗布されている。負極活物質としては、炭素質材料、酸化スズや酸化ケイ素等の金属酸化物、金属複合酸化物、リチウム単体やリチウムアルミニウム合金等のリチウム合金、スズやケイ素等のリチウムと合金形成可能な金属等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。中でも炭素質材料又はリチウム複合酸化物を用いるのが安全性の点から好ましい。
金属複合酸化物としては、リチウムを吸蔵、放出可能であれば特には制限されるものではないが、構成成分としてチタン及び/又はリチウムを含有していることが、高電流密度充放電特性の観点から好ましい。
炭素質材料としては、非晶質炭素、天然黒鉛、天然黒鉛に乾式のCVD(Chemical Vapor Deposition)法や湿式のスプレイ法で形成される被膜を形成した複合炭素質材料、エポキシやフェノール等の樹脂原料、若しくは石油や石炭から得られるピッチ系材料を原料として焼成して造られる人造黒鉛、非晶質炭素材料などの炭素質材料、又は、リチウムと化合物を形成することでリチウムを吸蔵放出できるリチウム金属、リチウムと化合物を形成し、結晶間隙に挿入されることでリチウムを吸蔵放出できるケイ素、ゲルマニウム、スズなど13族元素の酸化物若しくは窒化物を用いることができる。
また、負極合材には負極活物質以外にも、導電材として性質の異なる炭素質材料を2種以上含有しても良い。
負極集電体としては、公知のものを任意に用いることができる。負極の集電体としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられ、中でも加工し易さとコストの点から銅が好ましい。負極集電体の形状は、集電体が金属材料の場合は、例えば金属箔、金属板、金属薄膜等が挙げられる。中でも好ましくは金属薄膜、より好ましくは銅箔であり、更に好ましくは圧延法による圧延銅箔と、電解法による電解銅箔を負極集電体として用いることができる。
負極活物質を結着するバインダーとしては、非水系電解液や電極製造時に用いる溶媒に対して安定な材料であれば、特に制限はなく、正極に用いる結着剤と同様のものを用いることができ、1種を単独で用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用して用いても良い。
(3)樹脂セパレータ
樹脂セパレータは、両極間を電子的に絶縁する所定の機械的強度を有し、イオン透過度が大きく、かつ、正極に接する側における酸化性と負極側における還元性への耐性を兼ね備える樹脂が用いられる。このような樹脂としては、オレフィン系ポリマーが用いられる。具体的には、非水系電解液に対して安定で、保液性の優れた材料の中から選ぶのが好ましく、例えばポリプロピレン及びポリエチレンの少なくとも一つを材質として含む多孔性シートを用いるのが好ましい。樹脂セパレータの形態としては、薄膜形状で、孔径が0.01〜1μm、厚みが15〜50μmの微多孔性フィルム等が好適に用いられる。また、樹脂セパレータの空孔率は、30〜50%が好ましく、35〜45%がより好ましい。なお、本例の樹脂セパレータ(厚みが20〜40μmの樹脂セパレータ)は、1枚のセパレータで構成してもよく、2枚以上のセパレータを重ねて構成してもよい。
(4)鉄又は鉄化合物
本例で存在の対象とする鉄又は鉄化合物は、粒径が60μm以下である。金属としては、銅、鉄、ニッケル、アルミニウム等である。金属化合物としては、銅、鉄、ニッケル、マンガン、クロム等の酸化物やこれらを2種以上含む化合物である。鉄又は鉄化合物の形状は、粒状、フレーク状、球状、針状、不規則形等が挙げられる。本例では、SEM観察した結果から解析を行ったときの粒子のアスペクト比(粒子径a/平均厚さt)が2〜100の範囲にあり、このときの粒子径a(粒子を平面視したときの面積Sの平方根)を粒径とした。ただし、球状の場合は、粒子の長径(DL)と短径(DS)との比(DL)/(DS)(球状係数あるいは真球度と言うことがある)が1.0〜1.2の範囲にあり、このときの長径(DL)を粒径とした。さらに、柱状の場合は、柱の高さを粒径とした。
これら鉄又は鉄化合物は主として原材料や製造設備や製造工程から混入するものである。粒径が30μmより大きな鉄又は鉄化合物は電池内に含まれないことが好ましいが、製造工程上、電池内に粒径が30μm以上の鉄又は鉄化合物が全く含まれないようにすることは困難である。ここで、本発明が対象とする鉄又は鉄化合物の粒径の下限値は30μmであり、この粒径より小さい場合は、短絡の問題は発生しない。また、上限値はは、60μm以下と想定される。
(5)鉄又は鉄化合物と樹脂セパレータとの関係
鉄又は鉄化合物の粒子の体積をV1、樹脂セパレータの1μm2当たりの空孔体積をV2としたときに、V1とV2とが、V1/V2<8730の関係を満たすように調整されている。このような条件となるように、金属又は金属化合物の粒子の体積V1、樹脂セパレータの1μm2当たりの空孔体積V2とを調整すると、後述のようにリチウムイオン二次電池が内部短絡を防止できることが分かった。
ここで、V1は、鉄又は鉄化合物の粒子の質量と密度から算出し、又は、鉄又は鉄化合物の粒子が球状の場合には{鉄又は鉄化合物の粒径×(1/2)}3×4/3πから算出することができる。V2は、樹脂セパレータの厚さと単位面積(1μm2)を乗じて算出される体積に樹脂セパレータの空孔率を乗じたものである。
なお、電池の内部短絡の問題をより低減できる観点からは、V1とV2は、V1/V2≦7659の関係を満たすことが好ましい。また、樹脂セパレータと正極又は負極との間に粒径が30μm以上50μm以下の鉄又は鉄化合物の粒子が存在する場合、実用的な観点から862≦V1/V2≦7978の関係を満たすものであってもよく、さらに樹脂セパレータと正極又は負極との間に粒径が30μm以上60μm以下の鉄又は鉄化合物の粒子が存在する場合には、862≦V1/V2≦7659の関係を満たすのが好ましい。
通常、樹脂セパレータは、電解液を保持、また補液するため、内部に空孔を有している。粒径30μm以上の鉄又は鉄化合物は、リチウムイオン二次電池の動作過程で酸化溶解し、この空隙を拡散、泳動し負極表面上で還元析出する。還元析出が継続すると、金属又は金属化合物は負極表面上のみならず、セパレータ空隙内にも析出する。この析出物が正極に達すると、正極と負極が微小短絡し、電池内で内部短絡が発生すると考えられる。なお、一般的に適用されている中で最も薄い膜厚が20μm以上の樹脂セパレータでは、粒径が30μm未満の鉄又は鉄化合物を含む場合は短絡しない。
(6)電解液
本例のリチウムイオン二次電池で用いる電解液は、リチウム塩と、これを溶解する非水系溶媒とから構成されており、さらに添加剤を含有しても良い。
リチウム塩としては、リチウムイオン二次電池用非水系電解液の電解質として公知のリチウム塩が用いられ、例えば、溶媒に対する溶解性、二次電池に用いた場合の充放電特性、出力特性、サイクル特性等を総合的に判断すると、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF6)が好ましい。
非水系電解液中のこれらの電解質の濃度は、特に制限はないが、通常0.5mol/L以上、好ましくは0.6mol/L以上、より好ましくは0.7mol/L以上である。また、その上限は、通常2mol/L以下、好ましくは1.8mol/L以下、より好ましくは1.7mol/L以下である。濃度が低すぎると、電解液の電気伝導率が不十分の場合があり、一方、濃度が高すぎると、粘度上昇のため電気伝導度が低下する場合があり、リチウムイオン二次電池の性能が低下する場合がある。
非水系溶媒としては、リチウムイオン二次電池用非水系電解液の電解質として公知の非水系溶媒が用いられ、例えば次のものが挙げられ中でも、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートが好ましい。
これらは単独で用いても、2種類以上を併用してもよいが、2種以上の化合物を併用するのが好ましい。
前記添加材としては、リチウムイオン二次電池用非水系電解液の添加材として用いられ得ることが知られている添加材であれば特に制限はない。
以下、本発明の効果を確認するために行った実施例について説明する。なお実施例では、上記実施の形態と同様に、積層型リチウムイオン二次電池を作成した。
[正極の作製]
まず、活物質であるマンガン酸リチウムを後述する所定比で混合し、次に導電材の鱗片状黒鉛(平均粒径:20μm)と、結着材のポリフッ化ビニリデンとを順次混合した。混合比は、活物質:導電材:結着材=90:5:5とした。さらに混合物に対し、分散溶媒のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加、混練したスラリーを厚さ20μmの集電体としてのアルミニウム箔(正極集電体)の両面に実質的に均等かつ均質に所定量塗布した。その後乾燥し、所定密度までプレスし、更に30mm×45mm幅に裁断して正極を得た。
[負極の作製]
非晶質炭素粉末92重量部に結着材として8重量部のポリフッ化ビニリデンを添加し、これに分散溶媒のNMPを添加、混練したスラリーを厚さ10μm の第2の集電体としての圧延銅箔(負極集電体)の片面に実質的に均等かつ均質に塗布した。その後乾燥し、プレスして、31mm×46mm幅に裁断して負極を得た。
[電池の作製]
作製した正極と負極を、旭化成イーマテリアルズ製の微多孔性フィルムからなるポリエチレン製の樹脂セパレータを介して対向させて、正極と樹脂セパレータの間に鉄粒子を1個設置し、チューブ状のラミネート袋に入れて、一端を熱溶着装置で熱溶着した。金属粒子の形状は、球状のものを用いた。なお、本例では1個の鉄粒子を用いたが、実際には1個以上の鉄又は鉄化合物が混入する可能性があると考えられる。
エチレンカーボネートとジメチルカーボネートを体積比で1:2に混合した溶媒中に、電解質として6フッ化リン酸リチウムを1mol/L含有させた電解液1mLを注液後、真空溶着装置でラミネート袋を真空引きし、袋のもう一端を熱溶着して封止して、設計容量40mAhのリチウムイオン二次電池を作製した。
[内部短絡の評価]
このように作製したリチウムイオン二次電池の内部短絡の耐性を、下記に示す方法で評価した。作製したリチウムイオン二次電池について、樹脂セパレータの膜厚、鉄の粒径を変化させた電池を25℃の環境下において充電した。充電方式として定電流定電圧方式を採用し、20mAで定電流充電後、電池電圧4.2Vに達した段階で定電圧充電に切り替え、合計5時間充電した。5時間後の定電圧充電時の電流値が(鉄又は鉄化合物金属が存在していない電池と比較して)0.1mAより高いものを「短絡あり」とした。
鉄粒子の体積(V1)及び樹脂セパレータの空孔体積(V2)は、以下のようにして算出した。
鉄粒子の体積(V1)=(金属の粒径の1/2)3×4π/3
樹脂セパレータの空孔体積(V2)=(1μm2)×(樹脂セパレータの厚さ)×(セパレータの空孔率)
なお、鉄粒子の粒径は、マイクロスコープ(キーエンス製、VHX−2000)を用いて、倍率1000倍の条件で測定した。
表1に示すように、セパレータの膜厚と鉄の粒径を変化させ、正極上に粒径(粒径)の異なる鉄粒子1個を導入した電池を作製した。評価結果を表1に示す。
Figure 2017182979
本例では、20、30、36、40μmの4種類の樹脂セパレータを使用した。具体的には、実施例1〜3及び比較例1〜2では、厚みが20μmの樹脂セパレータを用いた。実施例4〜6及び比較例3〜4では、厚みが30μmのセパレータを用いた。実施例7〜10及び比較例5では、厚みが36μmのセパレータを用いた。実施例11〜14及び比較例6では、厚みが40μmのセパレータを用いた。
実施例1〜14では、樹脂セパレータの空孔率が41%のであり、空孔率から得られる1μm2当たりの空孔体積が8〜16μm3の範囲となっている。
実施例1〜14では、金属粒子の体積は、1.41×104〜1.13×105μmの範囲に含まれている。なお粒径の範囲は、前述の鉄又は鉄化合物の粒子の体積V1と樹脂セパレータの1μm2当たりの空孔体積V2との関係を満たせばよく、30〜60μmの範囲の粒径において、本発明の効果が得られることが確認されている。
各実施例と各比較例から、膜厚が20〜40μmの樹脂セパレータで、粒径が30μm以上50μmの鉄又は鉄化合物を含む場合に、鉄又は鉄化合物の体積V1とセパレータ膜厚が20〜40μmの樹脂セパレータの空孔体積V2が862≦V1/V2≦7978の関係式を満たすときに、電池の内部短絡の発生を防止することができることが判った。また膜厚が36〜40μmの樹脂セパレータで、粒径が30μm以上60μmの鉄又は鉄化合物を含む場合に、鉄又は鉄化合物の体積V1とセパレータ膜厚が20〜40μmの樹脂セパレータの空孔体積V2が862≦V1/V2≦7659の関係式を満たすときに、電池の内部短絡の発生を防止することができることが判った。
以上、本発明の実施の形態及び実施例について具体的に説明したが、本発明はこれらの実施の形態及び実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく変更が可能であるのは勿論である。
本発明によれば、膜厚が20〜40μmの樹脂セパレータで、粒径が30μm以上50μmの鉄又は鉄化合物を含む場合に、鉄又は鉄化合物の体積V1とセパレータ膜厚が20〜40μmの樹脂セパレータの空孔体積V2が862≦V1/V2≦7978の関係式を満たすように、鉄又は鉄化合物の粒子の体積V1に対して樹脂セパレータの1μm2当たりの空孔体積V2が調整されているため、還元析出した鉄又は鉄化合物が、負極の表面からセパレータ内に留まり、セパレータを貫通して正極まで達するのを防ぐことができる。その結果、円錐状析出の正極と負極の短絡が防止され、電池の内部短絡を防ぐことができる。したがって、本発明によれば、安全性の高いリチウムイオン二次電池を提供することができる。

Claims (8)

  1. 厚みが20〜40μmの樹脂セパレータと、前記樹脂セパレータを介して積層された正極及び負極とを有する電極群を備え、前記樹脂セパレータと前記正極又は負極との間に粒径が60μm以下の鉄又は鉄化合物の粒子が存在しているリチウムイオン二次電池。
  2. 厚みが20〜40μmの樹脂セパレータと、前記樹脂セパレータを介して積層された正極及び負極とを有する電極群を備え、前記樹脂セパレータと前記正極又は負極との間に粒径が30μm以上50μm以下の鉄又は鉄化合物の粒子が存在するリチウムイオン二次電池であって、
    前記鉄又は鉄化合物粒子の体積V1と前記樹脂セパレータの1μm2当たりの空孔体積V2との関係が、下記式(1)の関係を満たすリチウムイオン二次電池。
    862≦V1/V2≦7978 …(1)
  3. 厚みが36〜40μmの樹脂セパレータと、前記樹脂セパレータを介して積層された正極及び負極とを有する電極群を備え、前記樹脂セパレータと前記正極又は負極との間に粒径が30μm以上60μm以下の鉄又は鉄化合物の粒子が存在するリチウムイオン二次電池であって、
    前記鉄又は鉄化合物の粒子の体積V1と前記樹脂セパレータの1μm2当たりの空孔体積V2との関係が、下記(2)式の関係を満たすリチウムイオン二次電池。
    862≦V1/V2≦7659 …(2)
  4. 前記樹脂セパレータの空孔率が、41%である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
  5. 前記樹脂セパレータはポリプロピレン及びポリエチレンの少なくとも一つを材質として含む請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池
  6. 前記鉄又は鉄化合物の粒子が、前記樹脂セパレータと前記正極との間に存在する請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリチウムイオン二次電池。
  7. 前記鉄又は鉄化合物の粒子の前記体積V1が、1.41×104〜6.54×104μmである請求項2に記載のリチウムイオン二次電池。
  8. 前記鉄又は鉄化合物の粒子の前記体積V1が、1.41×104μ〜1.13×105μmある請求項3に記載のリチウムイオン二次電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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