JP2017182031A - クリーニング装置及び画像形成装置 - Google Patents

Abstract

【課題】簡易な構成で、壁面へのトナーの堆積を効率的に軽減することのできるトナー搬送装置、クリーニング装置及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】クリーニング装置は、クリーニング部材と、容器７と、容器７の内部のトナーを容器７の外部へと搬送するための羽根５ａを有する搬送スクリュー５と、搬送スクリュー５の回転軸線方向に沿って延伸し、該回転軸線に沿う回動軸線を中心に該回転軸線と交差する方向に揺動して、搬送スクリュー５の周りに設けられた容器７の壁面Ｗ２上のトナーを崩す崩し部材６と、を有し、崩し部材６は、搬送スクリュー５が所定の位相範囲にあるときに羽根５ａに当接して搬送スクリュー５の回転に伴って崩し部材６を第１の方向Ｂ１に回動させる当接部６ａと、崩し部材６を第１の方向Ｂ１とは逆の第２の方向Ｂ２に回動させる力を崩し部材６に付与する付勢部６ｂと、を有する構成とする。
【選択図】図５

Description

本発明は、電子写真方式や静電記録方式を用いた画像形成装置において用いられるクリーニング装置、及びその画像形成装置に関するものである。

電子写真方式や静電記録方式を用いた画像形成装置では、適宜のプロセスで像担持体上に形成されたトナー像が被転写体上に転写される。転写工程後の像担持体上に残留するトナー（転写残トナー）は、クリーニング手段によって像担持体上から除去されて回収される。クリーニング手段としては、像担持体に当接して配置されたクリーニング部材としてのクリーニングブレードと、クリーニングブレードを支持するクリーニング容器と、を有するクリーニング装置が多く用いられている。このクリーニング装置は、クリーニングブレードによって、移動する像担持体上から転写残トナーを掻き落として、クリーニング容器内に回収する。クリーニング容器内に回収された転写残トナーは、クリーニング容器内に設けられたトナー搬送手段としての搬送スクリューによってクリーニング容器の外部へと搬送される。クリーニング容器から排出された転写残トナーは、廃トナーボックスに送られる。

このようなクリーニング装置では、搬送スクリューの周辺のクリーニング容器の壁面にトナーが付着して堆積し、クリーニング容器の外部への排出が難しくなるという課題がある。特に、画像形成プロセスに供された後に像担持体から回収されたクリーニング後のトナーは流動性が悪く、堆積しやすい。

このような課題に対し、搬送スクリューの近傍に電極を設け、電極にトナーとは逆特性の電圧を印加することで、クリーニング容器の壁面にトナーが付着しにくくなるようにしてトナーの堆積を軽減する構成が提案されている（特許文献１）。

また、搬送スクリューの近傍に溜まったトナーを崩す構成として、搬送スクリューの回転と自重によって回動動作を繰り返す針金状の攪拌部材によって、搬送スクリューに付着したトナーを崩す構成が提案されている（特許文献２）。

特開平７−１６８４９２号公報 特開２００８−２２４７２６号公報

しかしながら、特許文献１の構成では、電極を設けることで大幅なコストアップとなってしまう。また、クリーニング装置に回収されるトナーの電位は必ずしも正又は負のいずれか一方の極性をもっている訳ではなく、一般には少量ではあっても両極性のトナーが回収される。仮に正負いずれかの極性に帯電した多くのトナーの壁面への付着を抑制できたとしても、少量であっても逆極性のトナーは逆に壁面に付着しやすくなってしまう。電極に対して両極性の電圧を適当な割合で切り替えて印加することも考えられるが、クリーニング装置に回収されるトナーの電位の極性の割合はコントロールすることが困難なため、正負の割合を設定することは難しい。また、このような構成とすると、更なるコストアップとなってしまう。

また、特許文献２の構成では、攪拌部材をその自重によって搬送スクリューのピッチ間に沈み込ませ、搬送スクリューの回転動作に伴いスクリュー羽根を撹拌部材と干渉させて、撹拌部材を回動動作させる。しかし、自重だけで溜まったトナーを崩しつつ所望の回動動作をさせることは難しい。特に、特許文献２の構成を応用してクリーニング容器の壁面に堆積したトナーを崩すことは、壁面に堆積したトナーを搬送スクリュー側に送るように攪拌部材の自重方向をスクリュー方向に設定することが困難であるため難しい。また、搬送スクリューが正転、逆転の両方向に回転する場合を考えると、正転時は撹拌部材がスクリューから離れる方向に回動するが、逆転時にはその逆に撹拌部材が搬送スクリューに引き込まれる方向の分力を受ける。これにより、撹拌部材が搬送スクリューに巻き込まれ、撹拌部材又は搬送スクリューの変形や破損が起こる場合がある。

したがって、本発明の目的は、簡易な構成で、壁面へのトナーの堆積を効率的に軽減することのできるクリーニング装置及び画像形成装置を提供することである。

上記目的は本発明に係るクリーニング装置及び画像形成装置にて達成される。要約すれば、第１の本発明は、トナー像を担持する像担持体からトナーを除去するクリーニング部材と、前記クリーニング部材により前記像担持体から除去されたトナーを収容する容器と、前記容器の内部のトナーを容器の外部へと搬送するための羽根を有する搬送スクリューと、前記搬送スクリューの回転軸線方向に沿って延伸し、前記回転軸線に沿う回動軸線を中心に前記回転軸線と交差する方向に揺動して、前記搬送スクリューの周りに設けられた前記容器の壁面上のトナーを崩す崩し部材と、を有し、前記崩し部材は、前記搬送スクリューが所定の位相範囲にあるときに前記羽根に当接して前記搬送スクリューの回転に伴って前記崩し部材を第１の方向に回動させる当接部と、前記崩し部材を前記第１の方向とは逆の第２の方向に回動させる力を前記崩し部材に付与する付勢部と、を有することを特徴とするクリーニング装置である。

第２の本発明は、上記本発明のクリーニング装置と、前記像担持体と、を有する画像形成装置である。

本発明によれば、簡易な構成で、壁面へのトナーの堆積を効率的に軽減することができる。

画像形成装置の概略断面図である。 実施例１のベルトクリーニング装置の近傍の断面図である。 実施例１のベルトクリーニング装置内のトナーの挙動を示す模式図である。 実施例１の崩し部材と搬送スクリューの斜視図である。 実施例１の崩し部材の動作を示す崩し部材の近傍の断面図及び側面図である。 実施例１の崩し部材の当接部の配置を説明するための説明図である。 搬送スクリューの軸部材の有無による崩し部材の可動範囲を説明するための説明図である。 他の例の崩し部材の断面図及び側面図である。 搬送スクリューの逆回転時の他の例の崩し部材の動作を示す断面図及び側面図である。 実施例１の崩し部材の断面図及び側面図である。 搬送スクリューの逆回転時の実施例１の崩し部材の動作を示す断面図及び側面図である。 中間転写体ベルトの駆動ローラ及び搬送スクリューの駆動列の斜視図である。

以下、本発明に係るクリーニング装置及び画像形成装置を図面に則して更に詳しく説明する。

［実施例１］
１．画像形成装置の全体的な構成及び動作
図１は、本実施例に係る画像形成装置１００の概略断面図である。本実施例の画像形成装置１００は、電子写真方式を用いてフルカラー画像の形成が可能な、中間転写方式を採用したタンデム型のプリンタである。

画像形成装置１００は、複数の画像形成部（ステーション）として第１、第２、第３、第４の画像形成部ＰＹ、ＰＭ、ＰＣ、ＰＫを有する。第１、第２、第３、第４の画像形成部ＰＹ、ＰＭ、ＰＣ、ＰＫは、それぞれイエロー（Ｙ）、マゼンタ（Ｍ）、シアン（Ｃ）、ブラック（Ｋ）の各色の画像を形成する。本実施例では、各画像形成部Ｐの構成及び動作は、後述する現像工程で使用するトナーの色が異なることを除いて実質的に同じである。したがって、特に区別を要しない場合は、いずれかの色用の要素であることを表す符号の末尾のＹ、Ｍ、Ｃ、Ｋは省略して、当該要素について総括的に説明する。本実施例では、後述する感光ドラム１１、帯電器１２、露光装置１３、現像装置１４、一次転写ローラ３５、ドラムクリーニング装置１５などで画像形成部Ｐが構成される。

第１の像担持体としての、ドラム状（円筒形）の感光体（電子写真感光体）である感光ドラム１１は、図中矢印Ｒ１方向（反時計回り）に回転駆動される。回転する感光ドラム１１の表面は、帯電手段としての帯電器１２によって所定の極性（本実施例では負極性）の所定の電位に一様に帯電される。帯電した感光ドラム１１の表面は、露光装置（レーザースキャナー）１３によって、各画像形成部に対応する成分色の画像信号に応じて走査露光される。これによって、感光ドラム１１上に静電潜像（静電像）が形成される。感光ドラム１１上に形成された静電潜像は、現像手段としての現像装置１４によって、現像剤としてのトナーが供給されて、トナー像として現像（可視化）される。本実施例では、一様に帯電処理された後に露光されることで電位の絶対値が低下した感光ドラム１１上の露光部に、感光ドラム１１の帯電極性と同極性（本実施例では負極性）に帯電したトナーが付着する（反転現像）。

各画像形成部Ｐの各感光ドラム１１に対向するように、第２の像担持体としての、無端状のベルトで構成された中間転写体である中間転写ベルト３１が配置されている。中間転写ベルト３１は、複数の張架ローラ（支持部材）としての駆動ローラ３３、テンションローラ３４、及び二次転写対向ローラ３２に巻回されて、所定のテンションで張架されている。中間転写ベルト３１は、駆動ローラ３３によって駆動されて、図中矢印Ｒ２方向（時計回り）に回転（周回移動）する。中間転写ベルト３１の内周面側には、各感光ドラム１１に対応して、一次転写手段としてのローラ型の一次転写部材である一次転写ローラ３５が配置されている。一次転写ローラ３５は、中間転写ベルト３１を介して感光ドラム１１に向けて押圧（付勢）され、感光ドラム１１と中間転写ベルト３１とが接触する一次転写部（一次転写ニップ）Ｎ１を形成する。

上述のように感光ドラム１１上に形成されたトナー像は、一次転写部Ｎ１において、所定の加圧力及び静電的負荷バイアスが与えられて、中間転写ベルト３１に転写（一次転写）される。例えば、フルカラー画像の形成時には、各感光ドラム１１に形成されたイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色のトナー像が、中間転写ベルト３１上に重ね合わせるようにして順次転写される。一次転写工程後に感光ドラム１１上に残留したトナー（一次転写残トナー）は、感光体クリーニング手段としてのドラムクリーニング装置１５によって感光ドラム１１上から除去されて回収される。

中間転写ベルト３１の外周面側において、二次転写対向ローラ３２と対向する位置には、二次転写手段としてのローラ型の二次転写部材である二次転写ローラ４１が配置されている。二次転写ローラ４１は、中間転写ベルト３１を介して二次転写ローラ４１に向けて押圧（付勢）され、中間転写ベルト３１と二次転写ローラ４１との接触部である二次転写部（二次転写ニップ）Ｎ２を形成する。

上述のように中間転写ベルト３１上に形成されたトナー像は、二次転写部Ｎ２において、所定の加圧力及び静電的負荷バイアスが与えられて、中間転写ベルト３１と二次転写ローラ４１との間に挟持されて搬送される紙などの転写材Ｓに転写（二次転写）される。転写材Ｓは、例えばカセット６１、６２、６３に収納されており、ピックアップローラ６１ａ、６２ａ、６３ａなどにより送り出された後、給送路８１を通ってレジストローラ７６まで搬送される。そして、この転写材Ｓは、レジストローラ７６によって、中間転写ベルト３１上のトナー像とタイミングが合わされて二次転写部Ｎ２に供給される。二次転写工程後に中間転写ベルト３１上に残留したトナー（二次転写残トナー）は、中間転写体クリーニング手段としてのベルトクリーニング装置１によって中間転写ベルト３１上から除去されて回収される。ベルトクリーニング装置１については後述して詳しく説明する。

トナー像が転写された転写材Ｓは、搬送ベルト４２によって定着手段としての定着装置５０へと搬送される。定着装置５０は、定着ローラ５１と加圧ローラ５２とで転写材Ｓを挟持して搬送しながら転写材Ｓを加熱及び加圧することで、トナー像を転写材Ｓに定着（溶融固着）させる。トナー像が定着された転写材Ｓは、搬送路８２を通って画像形成装置１００の装置本体１１０の外部に設けられた排出トレー６６に排出される。

２．ベルトクリーニング装置
次に、本実施例におけるベルトクリーニング装置１について説明する。図２は、ベルトクリーニング装置１の近傍の断面図である。

ベルトクリーニング装置１は、第１のクリーニング部材としてのクリーニングブレード２と、第２のクリーニング部材としてのファーブラシ３と、スクレーパー４と、搬送スクリュー５と、崩し部材６と、クリーニング容器７と、を有する。

クリーニングブレード２は、中間転写ベルト３１の移動方向において二次転写部Ｎ２より下流かつ一次転写部Ｎ１（最上流の一次転写部Ｎ１Ｙ）より上流で中間転写ベルト３１に当接して配置されている。特に、本実施例では、クリーニングブレード２は、中間転写ベルト３１を介して駆動ローラ３３に押圧されている。クリーニングブレード２は、中間転写ベルト３１の移動方向と略直交する方向に配置される長手方向と、該長手方向と略直交する短手方向と、にそれぞれ所定の長さを有し、所定の厚さを有する、弾性材料（例えばウレタンゴム）で形成された板状の部材である。クリーニングブレード２は、中間転写ベルト３１の移動方向に対してカウンター方向、すなわち、短手方向の自由端部が中間転写ベルト３１の移動方向の上流側に向くようにして、中間転写ベルト３１に当接されている。

ファーブラシ３は、中間転写ベルト３１の移動方向において二次転写部Ｎ２より下流かつクリーニングブレード２と中間転写ベルト３１との当接部より上流で中間転写ベルト３１に接触して配置されている。特に、本実施例では、ファーブラシ３は、クリーニングブレード２より重力方向下方に配置され、また中間転写ベルト３１を介して駆動ローラ３３に押圧されている。ファーブラシ３は、中間転写ベルト３１の移動方向と略直交する方向に配置される回転軸の周囲に複数の繊維（例えばアクリル繊維）が設けられた、回転可能なブラシ状の部材である。ファーブラシ３は、装置本体１１０に設けられた駆動手段としての駆動モータ（図示せず）からの駆動力が伝達されて回転する。本実施例では、ファーブラシ３は、図中矢印Ｒ３で示すように、中間転写ベルト３１の移動方向に対してカウンター方向、すなわち、中間転写ベルト３１との接触部において中間転写ベルト３１とは逆方向に移動するように回転駆動される。

スクレーパー４は、ファーブラシ３の回転方向においてファーブラシ３と中間転写ベルト３１との接触部より下流側でファーブラシ３に接触して配置されている。スクレーパー４は、中間転写ベルト３１の移動方向と略直交する方向に配置される棒状部材である。スクレーパー４は、ファーブラシ３の毛の間に入り込んだトナーなどをこすり落として除去する。

搬送スクリュー５は、クリーニングブレード２、ファーブラシ３及びスクレーパー４より重力方向下方において、クリーニング容器７の底部の近傍に配置されている。搬送スクリュー５は、中間転写ベルト３１の移動方向と略直交する方向に配置される回転軸線の周りを回転してトナーなどを搬送する搬送部である羽根（スクリュー斜面）５ａ（図４）を有する。搬送スクリュー５は、装置本体１１０に設けられた駆動手段としての駆動モータ（図示せず）からの駆動力が伝達されて回転する。搬送スクリュー５は、クリーニングブレード２やファーブラシ３によって中間転写ベルト３１の表面から掻き落された、クリーニング容器７の内部のトナーなどをクリーニング容器７の外部へと搬送する。本実施例では、搬送スクリュー５は、図中矢印Ｒ４で示すように、ファーブラシ３と同方向に回転駆動される。

崩し部材６は、クリーニング容器７の壁面（内壁）上に堆積したトナーを崩して搬送スクリュー５へと搬送する。

クリーニング容器７は、クリーニングブレード２、ファーブラシ３、スクレーパー４、搬送スクリュー５、崩し部材６を支持すると共に、クリーニンブレード２やファーブラシ３によって中間転写ベルト３１の表面から掻き落とされたトナーなどを収容する。上述のように、搬送スクリュー５は、クリーニング容器７の底部の近傍に配置されている。搬送スクリュー５に隣接して設けられた、中間転写ベルト３１の移動方向と略直交する方向に延在するクリーニング容器７の壁面は、搬送スクリュー５の下方に向けて傾斜した斜面となっている。この搬送スクリュー５に隣接するクリーニング容器７の傾斜した壁面のうち、搬送スクリュー５の回転軸線（回転中心）を通る鉛直面に対し中間転写ベルト３１とは反対側の壁面を第１の壁面Ｗ１、中間転写ベルト１側の壁面を第２の壁面Ｗ２とする。なお、搬送スクリュー５によって搬送されてクリーニング容器７の外部に排出されたトナーなどは、画像形成装置１００に設けられた廃トナーボックス（図示せず）に送られる。

図２、図３を参照して、ベルトクリーニング装置１の作用について更に説明する。図３は、クリーニング動作時のクリーニング容器７内のトナーなどの挙動を示す断面図である。

二次転写工程後に中間転写ベルト３１上に残ったトナー（転写残トナー）はベルトクリーニング装置１による中間転写ベルト３１のクリーニング部へと送られる。この時、転写残トナーだけではなく、転写材Ｓ上に乗っていた微小な異物や紙粉などのトナー以外の付着物（ここでは、単に「異物」ともいう。）も、ベルトクリーニング装置１による中間転写ベルト３１のクリーニング部に送られてしまう。クリーニングブレード２は、例えばウレタンゴムなどのゴムで形成されていることが多い。そのため、クリーニングブレード２と中間転写ベルト３１との当接部（ここでは「ブレードニップ」ともいう。）に異物が送られてしまうと、ブレードニップに異物が挟まって、クリーニング不良を引き起こしてしまうおそれがある。そこで、そのような異物をブレードニップの上流で中間転写ベルト３１上から除去するためにファーブラシ３が設けられている。

ファーブラシ３は、中間転写ベルト３１の移動方向に対してカウンター方向に回転し、中間転写ベルト３１上の転写残トナーの一部と異物とを中間転写ベルト３１上から叩き落とす。その後、ファーブラシ３でも除去しきれなかった中間転写ベルト３１上の転写残トナーはクリーニングブレード２により掻き落される。クリーニングブレード２により掻き落されたトナーは、重力方向下方に位置するファーブラシ３上に落下する。そして、そのトナーの一部はファーブラシ３の毛の間に入り込み、残りのトナーは図３（ａ）の矢印Ａ３で示すようにファーブラシ３の回転方向とは逆方向の隙間より搬送スクリュー５上へ自由落下する。

クリーニングブレード２により掻き落されファーブラシ３の毛の間に入り込んだトナーと、中間転写ベルト３１上の転写残トナーの一部は、次のような挙動をする。つまり、図３（ａ）に示すように、中間転写ベルト３１に侵入して変形していたファーブラシ３の毛が起き上がる動作によって、クリーニング容器７の第２の壁面Ｗ２に向かって図中矢印Ａ１方向へと弾き出される。また、上記毛が起き上がる動作によって弾き出されなかった、ファーブラシ３の毛の間に入り込んだトナーは、次のような挙動をする。つまり、ファーブラシ３に対して侵入して配置されたスクレーパー４により変形していたファーブラシ３の毛が起き上がる動作によって、搬送スクリュー５に向かって図中矢印Ａ２方向へと弾き出される。このとき、通常、図３（ｂ）に示すように、ファーブラシ３とスクレーパー４との接触部の接線方向に弾き出される。

なお、本実施例では、クリーニングブレード２、ファーブラシ３、スクレーパー４、搬送スクリュー５の長手方向の長さは、中間転写ベルト３１の移動方向と略直交する方向における中間転写ベルト３１上の画像形成領域の長さより長い。つまり、中間転写ベルト３１の移動方向と略直交する方向において、中間転写ベルト３１上の画像形成領域の長さの範囲は、上記各部材の長さの範囲内に収まる。中間転写ベルト３１の移動方向と略直交する方向における中間転写ベルト３１上の画像形成領域の長さとは、その方向における中間転写ベルト３１上のトナー像を形成することが可能な領域の最大の長さのことをいうものとする。また、ここでは中間転写ベルト３１の移動方向と略直交する方向（幅方向）を「スラスト方向」ともいう。

ここで、クリーニング容器における搬送スクリューの周辺の壁面にトナーが付着して堆積するのを抑制するためには、次のような構成が望ましい。つまり、搬送スクリューは、ブレードニップの重力方向直下近辺に配置し、搬送スクリューの両側の壁面の角度をクリーニング後のトナーの安息角よりも十分に立った角度にしておくことが望ましい。しかし、その他の構成部品との関係などによって、搬送スクリューをブレードニップの重力方向直下近辺に配置することが難しいことがある。また、クリーニングブレードに加えて、ファーブラシが配置されている場合、クリーニングブレードからとファーブラシからとの複数個所から搬送スクリューに向けてトナーが排出される。この複数のトナー排出部のそれぞれの重力方向直下近辺に搬送スクリューを配置することが難しいことがある。なお、安息角とはトナーを水平板上に山盛りした場合に、自然に崩れ出す時の斜面の水平板に対する角度をいう。安息角は、市販の測定装置を用いて測定することができ、ベルトクリーニング装置１の代表的な使用環境（例えば温度２３℃、湿度６０％ＲＨなど）における平均値で代表できる。

本実施例では、搬送スクリュー５の配置は、ブレードニップの重力方向直下に極力近付けられてはいるが直下ではない。また、本実施例では、搬送スクリュー５の図２中左側の第１の壁面Ｗ１の壁面角度（使用状態における水平面となす角度）は８０度、図２中右側の第２の壁面Ｗ２の壁面角度は４０度、転写残トナーの安息角は４５度である。第１の壁面Ｗ１の壁面角度は転写残トナーの安息角に対して十分に大きいため、第１の壁面Ｗ１に転写残トナーが堆積することはない。しかし、第２の壁面Ｗ２の壁面角度は転写残トナーの安息角と同等以下であるため、第２の壁面Ｗ２上には転写残トナーが堆積しやすい。

そこで、本実施例では、ベルトクリーニング装置１には、第２の壁面Ｗ２上に堆積したトナーを崩して搬送スクリュー５へと搬送する崩し部材６が設けられている。つまり、搬送スクリュー５の回転軸線を通る鉛直面の両側の搬送スクリュー５の周りに設けられた壁面のうち、第１の壁面Ｗ１の壁面角度は容器内のトナーの安息角よりも大きく、第２の壁面Ｗ２の壁面角度は第１の壁面Ｗ１の壁面角度より小さい。そして、崩し部材６は、第１、第２の壁面Ｗ１、Ｗ２のうち、壁面角度が相対的に小さい第２の壁面上のトナーを崩すように設けられている。特に、本実施例では、第２の壁面Ｗ２の壁面角度は、容器内のトナーの安息角より小さくなっている。

本実施例では、搬送スクリュー５、崩し部材６、クリーニング容器７などでトナー搬送装置１０が構成される。

３．崩し部材
次に、図４及び図５を参照して、崩し部材６の構成及び動作について説明する。図４は、搬送スクリュー５及び崩し部材６の斜視図であり、搬送スクリュー５は後述する保持部５ｂが設けられた端部側と自由端部５ｃ側とが分けて示されている。また、図５は、崩し部材６の動作を経時的に示す断面図及び側面図である。

崩し部材６は、搬送スクリュー５の回転軸線方向に沿って延伸し、搬送スクリュー５の回転軸線に沿う（本実施例では略平行）回動軸線を中心に、搬送スクリュー５の回転軸線と交差（本実施例では略直交）する方向に揺動するように設けられている。そして、この崩し部材６は、搬送スクリュー５の周りに設けられたクリーニング容器７の壁面上、特に本実施例では第２の壁面Ｗ２上のトナーを崩すようになっている。崩し部材６は、搬送スクリュー５が所定の位相範囲にあるときに搬送スクリュー５の羽根５ａに当接して、搬送スクリュー５の回転に伴って崩し部材６を第１の方向（図５（ａ）中矢印Ｂ１方向）に回動させる当接部６ａを有する。また、崩し部材６は、該崩し部材６を第１の方向Ｂ１とは逆の第２の方向（図５（ｃ）中矢印Ｂ２方向）に回動させる力を崩し部材６に付与する付勢部６ｂを有する。特に、本実施例では、崩し部材６は、当接部６ａ、付勢部６ｂ、及びトナーを崩す崩し部６ｃが、線状のバネ材（線バネ）で一体的に形成されている。つまり、本実施例では、崩し部材６は、１部品により構成されている。以下、更に詳しく説明する。

図４及び図５に示すように、本実施例では、崩し部材６は、全体として搬送スクリュー５の回転軸線Ｄに沿って（本実施例では略平行）に延伸した線バネで形成されている。崩し部材６は、その回動軸線Ｅ方向の一方の端部がねじりコイルバネ形状とされて、付勢部（ねじりコイルバネ形状部）６ｂが構成されている。崩し部材６は、付勢部６ｂのコイル部６ｂ１の中心軸線が、崩し部材６の回動軸線Ｅとなるように該コイル部６ｂ１を介して回動可能（揺動可能）に支持されている。本実施例では、崩し部材６の回動軸線Ｅは、スクレーパー４の中心軸線と同軸とされている。付勢部６ｂの一方の腕部は、崩し部材６の付勢部６ｂ側の最端部に向けて回動軸線Ｅと略平行に延伸するように屈曲され、後述する被係合部７ａと係合する係合部６ｂ２を構成している。また、付勢部６ｂの他方の腕部は、崩し部材６の付勢部６ｂとは反対側の端部に向けて回動軸線Ｅと略平行に延伸するように屈曲されている。そして、その延伸した部分に、当接部６ａと、崩し部６ｃと、付勢部６ｂから当接部６ａまでをつなぐ接合部６ｄと、が形成されている。つまり、その延伸した部分の一部が、撹拌スクリュー５側に突出するように曲げられて、撹拌スクリュー５の羽根５ａと当接する当接部６ａが構成されている。そして、この当接部６ａよりも付勢部６ｂとは反対側に向けて回動軸線Ｅと略平行に更に延伸した部分が、第２の壁面Ｗ２上に堆積したトナーを崩して搬送スクリュー５へと搬送する崩し部６ｃを構成している。

このように、本実施例では、崩し部６ｃは、中間転写ベルト３１の移動方向と略直交する方向（スラスト方向）に伸びている。本実施例では、スラスト方向において、崩し部６ｃの長さは中間転写ベルト３１上の画像形成領域の長さより長い。つまり、スラスト方向において、中間転写ベルト３１上の画像形成領域の長さの範囲は、崩し部６ｃの長さの範囲内に収まる。崩し部材６における当接部６ａの配置については、後述して更に詳しく説明する。

崩し部材６は、搬送スクリュー５の回転軸線Ｄに最も近い第１のポジション（図５（ａ））と、搬送スクリュー５の回転軸線Ｄから最も離れた第２のポジション（図５（ｃ））と、の間を回動する。

搬送スクリュー５が回転すると、羽根５ａと当接部６ａとが当接することで、当接部６ａが羽根５ａによって押されて、崩し部材６は第１のポジション（図５（ａ））から第２のポジション（図５（ｃ））に向けて第１の方向Ｂ１に回動する。また、崩し部材６は、係合部６ｂ２が搬送スクリュー５以外の部品、本実施例ではクリーナ容器７に形成された被係合部７ａと係合することで、付勢部６ｂが弾性力に抗して圧縮されて復元力が蓄えられる。つまり、付勢部６ｂは、ねじりコイルバネ形状の腕部間の角度が、付勢部６ｂに圧力が作用していない自由角θ１から、所望のねじりモーメントトルクが発生するねじり角θ２まで変化するように変形する。

このとき、崩し部材６が第１のポジション（図５（ａ））から第２のポジション（図５（ｃ））へと回動する途中の第３のポジション（図５（ｂ））までは、係合部６ｂ２は被係合部７ａと係合しない。この間、崩し部材６は、付勢部６ｂの腕部間の角度が自由角θ１のまま回動するため、ねじりモーメントトルクは発生しない。崩し部材６が第３のポジション（図５（ｂ））に到達すると、係合部６ｂ２が被係合部７ａと係合する。そして、第３のポジションで係合部６ｂ２が被係合部７ａと係合してから、崩し部材６が第２のポジションへと回動することで、付勢部６ｂは崩し部材６を第２の方向Ｂ２に回動させる力を崩し部材６に付与する。つまり、崩し部材６は、第３のポジションから、付勢部６ｂの腕部間の角度を自由角θ１からねじり角θ２へと小さくしていくことでねじりモーメントトルクを増幅させながら、第２のポジションへと回動する。

その後、本実施例では、崩し部材６が第２のポジションに到達するのと略同時に、当接部６ａが羽根５ａの頂点を乗り越えて羽根５ａと係合しなくなる。そのため、崩し部材６は、付勢部６ｂに蓄積されたねじりモーメントトルクにより一気に第２のポジション（図５（ｃ））から第１のポジション（図５（ａ））へと第２の方向Ｂ２に回動する。

以上の揺動動作（回動動作）を繰り返すことで、崩し部材６は第２の壁面Ｗ２上に堆積したトナーを崩して搬送スクリュー５へと搬送する。

ここで、本実施例では、崩し部材６の揺動動作の範囲の全てにおいてねじりモーメントトルクが発生する構成にせず、揺動動作の途中から発生する構成とした。これにより、第２の壁面Ｗ２上に堆積したトナーを崩すのに必要最低限のねじりモーメントトルクを発生させて、揺動動作により発生する動作音を低減することが可能となる。

特に、本実施例では、付勢部６と崩し部６ｃとが１部品で形成されている。例えば、Ａ４サイズ幅以上の画像を形成する画像形成装置１００で用いられるベルトクリーニング装置１の場合、崩し部６ｃのスラスト方向の長さは３００ｍｍ程度以上となる。そのため、崩し部材６の揺動動作によって第２の壁面Ｗ２上に堆積したトナーを十分に崩すためには、崩し部６ｃが撓んで動作不良とならないように、崩し部材６を十分な線径の線材で構成することが望まれる。しかし、崩し部材６を構成する線材の線径を大きくするにつれて、崩し部材６が発生するねじりモーメントトルクが大きくなり、揺動動作により発生する動作音が大きくなってしまう。そのため、本実施例のように、揺動動作の途中からねじりモーメントトルクが発生する構成として、揺動動作により発生する動作音を低減することが好ましい。

以上のように、本実施例では、崩し部材６の駆動のために別途アクチュエーターを設けることなく、第２の壁面Ｗ２上に堆積したトナーを十分に崩して搬送スクリュー５へと搬送することができる。これにより、大幅なコストアップをすることなく、また動作音を極力抑えた構成で、第２の壁面Ｗ２へのトナーの堆積を軽減して、良好にトナーをベルトクリーニング装置１の外部へと搬送することが可能となる。

４．崩し部材の当接部の配置
次に、図６を参照して、崩し部材６における当接部６ａの配置について説明する。図６は、スラスト方向における中間転写ベルト３１上の画像形成領域Ｇと当接部６ａの配置との関係を説明するための説明図であり、図中一点鎖線Ｚはスラスト方向における画像形成領域Ｇの中央を示している。

図６に示すように、本実施例では、当接部６ａは、スラスト方向における画像形成領域Ｇの中央Ｚから端部側に距離Ｌ１の位置に配置されている。つまり、当接部６ａは、崩し部材６の回動軸線方向において崩し部材６の中央よりも崩し部材６の端部側に設けられている。

本実施例では、崩し部材６の付勢部６ｂは、崩し部材６の回動軸線方向において崩し部材６の端部に設けられている。そして、崩し部材６の崩し部６ｃは崩し部材６の回動軸線に沿って延伸されている。仮に当接部６ａをスラスト方向における画像形成領域Ｇの中央部近傍、すなわち、崩し部材６の回動軸線方向の中央部近傍に配置した場合には、崩し部６ｃが撓んで動作不良となることが考えられる。これを抑制するために、崩し部材６を構成する線材の線径を大きくすることが考えられるが、線径が大きい場合にはバネ定数が立ってしまうため、公差が振れると動作音が大きくなることがある。そのため、当接部６ａは端部に配置することが好ましい。

また、本実施例では、崩し部材６は１部品の線バネで形成されている。この場合、スラスト方向における当接部６ａの位置は崩し部６ｃがないことに等しい。そのため、スラスト方向における当接部６ａの位置は、崩し部材６の全体がスラスト方向にガタ分やバネの変形分移動して一定の崩し効果は得られるものの、崩し部６ｃに較べて崩し効果が少ない個所となる。そこで、本実施例では、当接部６ａは、スラスト方向において中間転写ベルト３１上のトナー像を担持する領域の外側に設けられている。つまり、スラスト方向における画像形成領域Ｇの中央Ｚから端部までの距離をＬ２としたとき、当接部６ａはＬ１＞Ｌ２となるように配置されている。これにより、スラスト方向における当接部６ａの位置にはトナーが殆ど来ないため、例え当接部６ａの位置で崩し効果が少なくても問題ない。

また、中間転写ベルト３１上には調整用のトナー像（テスト画像）が形成されることがある。例えば、中間転写ベルト３１に対向して光学センサで構成されたパッチ検知センサが配置され、中間転写ベルト３１上に形成されたテスト画像の中間転写ベルト３１上での位置や濃度がパッチ検知センサで検知される。そして、その検知結果に基づいて画像書込み位置や濃度変化の補正が行われる。このテスト画像は、ユーザなどの操作者の指示に応じて、あるいは所定のタイミングで形成される。所定のタイミングは、例えば、画像形成装置１００の立上げ時や、所定の画像出力数ごとなど適宜設定される。そして、このテスト画像は、転写材Ｓ上に転写されず、そのほぼ全てがベルトクリーニング装置１によるクリーニング部へと搬送される。そのため、このテスト画像が形成される位置に対応するベルトクリーニング装置１の箇所には、他の箇所に比べて多くのトナーが来ることになる。そして、結果的に、テスト画像が形成される位置に対応する第２の壁面Ｗ２上には、他の個所より多くのトナーが堆積することとなる。そこで、当接部６ａは、少なくとも、スラスト方向において中間転写ベルト３１上の調整用のトナー像が形成される位置よりも崩し部材６の端部側に設けられていることが好ましい。つまり、スラスト方向における画像形成領域Ｇの中央Ｚからテスト画像が形成される領域の端部までの距離をＬ３としたとき、当接部６ａはＬ１＞Ｌ３となるように配置されることが好ましい。これにより、スラスト方向における当接部６ａの位置に他の位置より多くのトナーが来ることはないため、例え当接部６ａの位置で崩し効果が少なくても問題ない。

なお、本実施例では、Ｌ１＝１６５ｍｍ、Ｌ２＝１６２ｍｍ、Ｌ３＝１５０ｍｍである。

５．搬送スクリューと崩し部材の当接部との関係
図４に示すように、本実施例では、搬送スクリュー５は、その回転軸線方向の一方の端部に設けられた保持部５ｂにおいてのみ保持されており、他方の端部は自由端部５ｃとなっている。すなわち、本実施例では、搬送スクリュー５は、その回転軸線方向の両端部のうち片側の端部のみで保持されている。この場合、当接部６ａは、搬送スクリュー５の回転軸線方向において搬送スクリュー５の中央よりも保持部５ｂが設けられている一方の端部側に設けられていることが好ましい。これは、自由端部５ｃ側に当接部６ａを設けると、搬送スクリュー５が撓んで当接部６ａから逃げてしまい、崩し部材６の所望の揺動動作を行えなくなることが考えられるからである。

また、搬送スクリュー５は、少なくとも当接部６ａと当接する羽根５ａの半径方向内側に軸部材が設けられていないことが好ましい。図７は、搬送スクリュー５の中心部に軸部材がある場合と無い場合とで崩し部材５の揺動可能領域が異なることを説明するための断面図である。図７に示すように、搬送スクリュー５の中心部に軸部材５ｄがある場合、当接部６ａと軸部材５ｄが干渉してしまうため、崩し部材６の揺動可能領域は相対的に小さくなる。これに対し、搬送スクリュー５の中心部に軸部材５ｄが無い場合、当接部６ａと軸部材５ｄとが干渉しないため、軸部材５ｄがある場合よりも当接部６ａを図７のＸ１分だけ深く搬送スクリュー５側へ揺動させることができる。これにより、図７のＸ２の範囲分だけ第２の壁面Ｗ２に堆積したトナーを多く崩すことができる。そのため、少なくとも当接部５ａと当接する羽根５ａに対応する位置では、搬送スクリュー５の中心部に軸部材５ｄが無いことが好ましい。本実施例では、搬送スクリュー５は、保持部５ｂ近傍の所定範囲を除くほとんどの部分で羽根５ａの中央部に軸部材が通っていない軸無しスクリューで構成されている。

６．崩し部材の当接部の形状
次に、崩し部材６の当接部６ａの形状の詳細について説明する。図８は、後述する搬送スクリュー５への巻き込みが生じる可能性のある崩し部材６の形状の一例を示す断面図及び側面図である。

崩し部材６は、搬送スクリュー５の回転軸線Ｄに最も近い第１のポジション（図５（ａ））と、搬送スクリュー５の回転軸線Ｄから最も離れた第２のポジション（図５（ｃ））と、の間を回動する。また、本実施例では、当接部６ａは、線バネを搬送スクリュー５に向けて近づけた後に搬送スクリュー５から遠ざかる方向に折り返された折り返し部を有した構成とされている。したがって、崩し部材６が第１のポジションに位置するためには、図８に示すように、搬送スクリュー５の回転軸線方向における当接部（折り返し部）６ａの幅Ｗ６ａが搬送スクリュー５のピッチＰ５よりも小さい、すなわちＷ６ａ＜Ｐ５である必要がある。

しかし、搬送スクリュー５が崩し部材６を第１の方向（図５（ａ）中矢印Ｂ１方向）に回動させる際の正方向及びその逆方向の両方向に回転可能である場合がある。この場合、上記条件だけでは、崩し部材６が搬送スクリュー５へ巻き込まれ、崩し部材６の変形や破損が起こる場合がある。

図９を参照して、搬送スクリュー５が逆回転することで発生する可能性のある崩し部材６の搬送スクリュー５への巻き込みについて説明する。図９（ａ）〜（ｃ）は、搬送スクリュー５の逆回転に伴い、図８に示す崩し部材６の姿勢が順次第１、第４、第５のポジションへと遷移して搬送スクリュー５に巻き込まれていく様子を示す断面図及び側面図である。

まず、図９（ａ）に示す第１のポジションでは、当接部６ａは、自重及び付勢部６ｂによる付勢力によって搬送スクリュー５のピッチＰ５間に落ち込んでいる。次に、図９（ｂ）に示す第４のポジションでは、当接部６ａの搬送スクリュー５側の先端は、第１のポジションから第２の方向（図９（ｂ）中矢印Ｂ２方向）に回動して、搬送スクリュー５の羽根５ａ上に乗り上げる。この時、搬送スクリュー５の回転軸線方向における接合部６ｄの幅Ｗ６ｄが搬送スクリュー５のピッチＰ５よりも小さい（Ｗ６ｄ＜Ｐ５）場合、バネの自重やソリの影響により、接合部６ｄが、搬送スクリュー５のピッチＰ５間に落ち込む場合がある。その場合、搬送スクリュー５の逆回転方向において当接部６ａの上記先端より上流側に位置する当接部６ａの根元（接合部６ｄと当接部６ａとの結合部（屈曲部））Ｐ６は、搬送スクリュー５の最外径より内側に落ち込むことになる。その状態で更に搬送スクリュー５の逆回転が進むと、搬送スクリュー５の羽根５ａの側面部が当接部６ａの根元Ｐ６に干渉し、この点を作用点とした干渉力Ｆ６（水平面内のみに作用する力に着目）が崩し部材６に働く。また、この干渉力Ｆ６は、搬送スクリュー５の回転軸線方向の分力Ｆ６２と、該回転軸に対し直交方向の分力Ｆ６１と、に分解される。そして、この直交方向の分力６１の作用により、崩し部材６は更に図９（ｂ）中矢印Ｂ２方向へ回動する。その後、本例では、崩し部材６は、図９（ｃ）に示す第５のポジションまで回動すると、搬送スクリュー５の鉛直方向上側に設けられたファーブラシ３と干渉し、崩し部材６の変形や破損が起こる場合がある。

このように、図８に示す形状の崩し部材６の場合、搬送スクリュー５が逆回転した際に、当接部６ａの根元Ｐ６が搬送スクリュー５の羽根５ａの側面と干渉し、崩し部材６が搬送スクリュー５へ巻き込まれて、変形や破損に至る場合がある。

一方、図１０は、本実施例の崩し部材６の形状を示す断面図及び側面図である。本実施例では、搬送スクリュー５の回転軸線方向と略直交する方向から見たとき、当接部（折り返し部）６ａの搬送スクリュー５の回転軸線方向の幅Ｗ６ａは、搬送スクリュー５の羽根５ａの搬送スクリュー５の回転軸線方向の幅Ｗ５と略同一又はそれ以下である。すなわち、Ｗ６Ａ≦Ｗ５である。また、本実施例では、接合部６ｄの搬送スクリュー５の回転軸線方向の幅Ｗ６ｄは、搬送スクリュー５のピッチＰ５と同等以上である。すなわち、Ｗ６ｄ≧Ｐ５である。これにより、詳しくは後述するように、搬送スクリュー５の羽根５ａの側面が当接部６ａの根元Ｐ６に干渉して崩し部材６が搬送スクリュー５に巻き込まれることを抑制することができる。

なお、本発明では、当接部６ａの幅Ｗ６ａが搬送スクリュー５の羽根５ａの幅Ｗ５と略同一であるとは、幅Ｗ６ａが幅Ｗ５に対して±１０％範囲内であれば略同一とみなせる。すなわち、当接部６ａの幅Ｗ６ａの上限値は、搬送スクリュー５の羽根５ａの幅Ｗ５の１１０％（＝Ｗ５×１．１）まで許容される。また、当接部６ａの幅Ｗ６ａの下限値は、１ｍｍ以上であることが好ましい。当接部６ａの幅Ｗ６ａが１ｍｍより小さい場合は、耐久性の観点で好ましくない場合がある。すなわち、当接部６ａは、線ばねを折り返して形成されているため、当接部６ａの幅Ｗ６ａが１ｍｍより小さいと、折り返し部にクラックなどの亀裂が生じる可能性がある。したがって、当接部６ａの幅Ｗ６ａは、１ｍｍ以上、かつ、搬送スクリュー５の羽根５ａの幅Ｗ５×１．１以下であることが好ましい。

図１１を参照して、搬送スクリュー５が逆回転する際の本実施例の崩し部材６の挙動について説明する。図１１（ａ）〜（ｃ）は、搬送スクリュー５の逆回転に伴い、図１０に示す本実施例の崩し部材６の姿勢が順次第１、第６、第７のポジションへと遷移する様子を示す。

まず、図１１（ａ）に示す第１のポジションでは、当接部６ａは、自重及び付勢部６ｂによる付勢力によって搬送スクリュー５のピッチＰ５間に落ち込んでいる。次に、図１１（ｂ）に示す第６のポジションでは、当接部６ａの先端は、第１のポジションから第２の方向（図１１（ｂ）中矢印Ｂ２方向）に回動して、搬送スクリュー５の羽根５ａ上に乗り上げる。しかし、図８の崩し部材６とは異なり、本実施例の崩し部材６では、当接部６ａの幅Ｗ６ａが搬送スクリュー５の羽根５ａの幅Ｗ５以下である（Ｗ６Ａ≦Ｗ５）。そのため、当接部６ａにおける搬送スクリュー５の回転軸線方向と略直交する方向に延伸した部分の間に、搬送スクリュー５の羽根５ａが入り込むことがない。そして、その状態で更に搬送スクリュー５の逆回転が進んでも、図１１（ｃ）に示す第７のポジションでは、当接部６ａは搬送スクリュー５の羽根５ａに乗り上げた状態に維持され、当接部６ａの根元Ｐ６は搬送スクリュー５の最外径より内側に侵入しない。したがって、当接部６ａの根元Ｐ６が搬送スクリュー５の羽根５ａの側面と干渉することはなく、崩し部材６に更に第２の方向（図１１（ｂ）中矢印Ｂ２方向）へ回動する力が作用しないため、崩し部材６が搬送スクリュー５へ巻き込まれることは防止される。つまり、崩し部材６の回動方向における姿勢は、上記第６のポジションと上記第７のポジションとで実質的に変わらない。また、本実施例の崩し部材６では、接合部６ｄの幅Ｗ６ｄが搬送スクリュー５のピッチＰ５と同等以上に設定されている（Ｗ６ｄ≧Ｐ５）。そのため、図９（ｂ）の場合とは異なり、図１１（ｂ）の第６のポジションにおいて搬送スクリュー５の羽根５ａが接合部６ｄを規制し、当接部６ａの根元Ｐ６が搬送スクリュー５の最外径より内側に落ち込み難くなる効果が更に高くなる。なお、上記効果は、接合部６ｄの幅Ｗ６ｄが搬送スクリュー５のピッチＰ５と同等以上の範囲であれば、同様の効果を得ることができる。本発明では、接合部６ｄの幅Ｗ６ｄが搬送スクリュー５のピッチＰ５と同等以上であるとは、接合部６ｄの幅Ｗ６ｄが搬送スクリュー５のピッチＰ５の９割以上の場合を含む（Ｗ６ｄ≧Ｐ５×０．９）。

このように、崩し部材６は、当接部６ａの幅Ｗ６ａが羽根５ａの幅Ｗ５と略同一又はそれ以下（Ｗ６Ａ≦Ｗ５）、かつ、接合部６ｄの幅Ｗ６ｄが搬送スクリュー５のピッチＰ５と同等以上（Ｗ６ｄ≧Ｐ５）の条件が成り立つ形状とすることが好ましい。これにより、搬送スクリュー５が逆回転する場合であっても、崩し部材６が搬送スクリュー５に巻き込まれることを防止することができる。これら２つの条件のいずれか一方が成り立つ場合にも、相応に巻き込みを抑制する効果が得られるが、両方の条件が成り立つことによって、より確実に巻き込みを防止することができる。

なお、本実施例では、Ｗ６ａ＝２．０ｍｍ、Ｗ５＝２．０ｍｍ、Ｗ６ｄ＝１５ｍｍ、Ｐ５＝１４ｍｍである。

ここで、搬送スクリュー５は、次のような場合に、正転、逆転の両方向に回転することがある。つまり、コスト削減の観点などから搬送スクリュー５の駆動源と像担持体（本実施例では中間転写ベルト３１）の駆動源とが同一（共通）の駆動源であることが多い。図１２は、一例として、本実施例の中間転写ベルト３１の駆動ローラ３３及び搬送スクリュー５の駆動列を示す。本実施例では、駆動ローラ３３及び搬送スクリュー５だけでなく、ファーブラシ３も同一の駆動源としての駆動モータＭによって駆動される。駆動モータＭの駆動軸の先端部分にはモータギアＧｒＭが取り付けられており、駆動モータＭの駆動軸とモータギアＧｒＭとは一体で回転する。モータギアＧｒＭには、減速ギアＧｒ１が噛み合っている。モータギアＧｒＭは、減速ギアＧｒ１によって回転数が減速されて、駆動ローラ３３の軸上に取り付けられた駆動ローラ大ギアＧｒ２を回転させ、この駆動ローラ大ギアＧｒ２と一体に駆動ローラ３３を回転させる。駆動ローラ３３の軸上には更に駆動ローラ小ギアＧｒ３が組み付けられており、この駆動ローラ小ギアＧｒ３は駆動ローラ３３と一体で回転する。駆動ローラ小ギアＧｒ３には、アイドラギアＧｒ４が噛み合っている。また、ファーブラシ３の軸上にはファーブラシ駆動ギアＧｒ６、搬送スクリュー５の軸上にはスクリュー駆動ギアＧｒ５がそれぞれ組み付けられている。そして、これらファーブラシ駆動ギアＧｒ６及びスクリュー駆動ギアＧｒ５はアイドラギアＧｒ４と噛み合っており、駆動モータＭからの駆動が伝達される。

このように中間転写ベルト３１の駆動ローラ３３と搬送スクリュー５（本実施例では更にファーブラシ３）とが同一の駆動源により駆動される場合、中間転写ベルト３１が逆回転すると搬送スクリュー５も逆回転することになる。なお、中間転写ベルト３１などの像担持体は、例えばクリーニングブレード３６ａの捲れ対策などを目的として画像形成時とは逆方向に回転させることがある（例えば、特開２０１２−８８５６９号公報、特開２０１０−１３４３５９号公報参照）。そのため、上述のように搬送スクリュー５が逆回転した際の崩し部材６の搬送スクリュー５への巻き込みを考慮することが望まれる。

これに対し、搬送スクリュー５の駆動源と中間転写ベルト３１の駆動源とを別にすることで、搬送スクリュー５が正回転しかしない構成とすることが考えられる。しかし、駆動源の増加によりコストアップにつながる。同様に、搬送スクリュー５の駆動列中にワンウェイクラッチを入れることでも、搬送スクリュー５が正回転しかしない構成とすることが可能であるが、部品点数の増加によりコストアップにつながる。

また、搬送スクリュー５は、駆動源（搬送スクリュー駆動手段）によっては正回転方向にしか回転駆動されない場合であっても、メンテナンス作業などにおいて手動で逆回転させられる場合がある。例えば、クリーニングブレード２を交換した際に、トナーがブレードニップに供給される前の初期の捲れを防止するために、中間転写ベルト３１の移動方向においてブレードニップの上流側に潤滑剤を塗布することがある。この潤滑剤は、ブレードニップの上流の近傍に塗ることが望ましいが、メンテナンス作業時にブレードニップの上流の近傍にアクセスできない場合がある。その場合、中間転写ベルト３１の移動方向においてブレードニップの下流側にアクセスしやすい場合には、その箇所に潤滑剤を塗布した後に中間転写ベルト３１を手動で逆回転させる。そして、潤滑剤を塗布した箇所がブレードニップの上流側に来るようにしてから、クリーニングブレード２を設置することがある。このように、駆動源によっては正回転方向にしか回転駆動されない場合であっても、手動で逆回転させられることがあるため、搬送スクリュー５が正方向及び逆方向の両方向に回転可能に保持されている場合に、上記崩し部材６の形状の設定が有効となる。

以上説明したように、本実施例によれば、簡易な構成で、壁面へのトナーの堆積を効率的に軽減することができる。

［その他］
以上、本発明を具体的な実施例に即して説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではない。

上述の実施例では、中間転写ベルトをクリーニングするベルトクリーニング装置に本発明を適用したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、感光ドラムをクリーニングするドラムクリーニング装置など、トナー像を担持する像担持体をクリーニングするクリーニング装置であれば本発明を適用することができる。像担持体は、静電記録誘電体であってもよい。

また、上述の実施例では、崩し部材は線バネの１部品で構成されたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、上述の実施例における付勢部に対応するバネ材で形成されたねじりコイルバネ形状部と、上述の実施例における崩し部に対応する樹脂部材で形成された崩し部と、の２部品で構成されるなどしてもよい。ただし、上述の実施例の構成によれば、部品数を低減することでコストを抑制することができる。

１ ベルトクリーニング装置
２ クリーニングブレード
３ ファーブラシ
４ スクレーパー
５ 搬送スクリュー
６ 崩し部材
１０ トナー搬送装置
３１ 中間転写ベルト

Claims (18)

1. トナー像を担持する像担持体からトナーを除去するクリーニング部材と、
   前記クリーニング部材により前記像担持体から除去されたトナーを収容する容器と、
   前記容器の内部のトナーを容器の外部へと搬送するための羽根を有する搬送スクリューと、
   前記搬送スクリューの回転軸線方向に沿って延伸し、前記回転軸線に沿う回動軸線を中心に前記回転軸線と交差する方向に揺動して、前記搬送スクリューの周りに設けられた前記容器の壁面上のトナーを崩す崩し部材と、
   を有し、
   前記崩し部材は、前記搬送スクリューが所定の位相範囲にあるときに前記羽根に当接して前記搬送スクリューの回転に伴って前記崩し部材を第１の方向に回動させる当接部と、前記崩し部材を前記第１の方向とは逆の第２の方向に回動させる力を前記崩し部材に付与する付勢部と、を有することを特徴とするクリーニング装置。
2. 前記崩し部材は、前記回転軸線に最も近い第１のポジションと、前記回転軸線から最も離れた第２のポジションと、の間を回動し、前記第１のポジションから第２のポジションへと回動する途中の第３のポジションまでは前記付勢部は被係合部と係合せず、前記第３のポジションで前記付勢部が被係合部と係合してから前記第２のポジションへと回動することで前記崩し部材を前記第２の方向に回動させる力を前記付勢部が前記崩し部材に付与することを特徴とする請求項１に記載のクリーニング装置。
3. 前記付勢部は、前記回動軸線方向において前記崩し部材の端部に設けられていることを特徴とする請求項１又は２に記載のクリーニング装置。
4. 前記当接部は、前記回動軸線方向において前記崩し部材の中央よりも前記崩し部材の端部側に設けられていることを特徴とする請求項１〜３のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
5. 前記搬送スクリューは、前記回転軸線方向の一方の端部のみで保持されており、前記当接部は、前記回転軸線方向において前記搬送スクリューの中央よりも前記搬送スクリューの前記一方の端部側に設けられていることを特徴とする請求項１〜４のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
6. 前記搬送スクリューは、少なくとも前記当接部と当接する前記羽根の半径方向内側に軸部材が設けられていないことを特徴とする請求項１〜５のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
7. 前記回転軸線を通る鉛直面の両側の前記搬送スクリューの周りに設けられた第１、第２の壁面のうち、前記第１の壁面の壁面角度は前記容器内のトナーの安息角よりも大きく、前記第２の壁面の壁面角度は前記第１の壁面の壁面角度より小さく、前記崩し部材は第２の壁面上のトナーを崩すことを特徴とする請求項１〜６のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
8. 前記第２の壁面の壁面角度は、前記容器内のトナーの安息角より小さいことを特徴とする請求項７に記載のクリーニング装置。
9. 前記クリーニング部材により前記像担持体から除去されたトナーは、前記第２の壁面へ落下することを特徴とする請求項７又は８に記載のクリーニング装置。
10. 複数の前記クリーニング部材を有し、複数の前記クリーニング部材のうち少なくとも１つのクリーニング部材により前記像担持体から除去されたトナーは、前記第２の壁面へ落下することを特徴とする請求項７又は８に記載のクリーニング装置。
11. 前記崩し部材は、線バネであることを特徴とする請求項１〜１０のいずれか一項に記載のクリーニング装置。
12. 前記搬送スクリューは、前記崩し部材を前記第１の方向に回動させる際の正方向及びその逆方向に回転可能に保持されており、
    前記当接部は、前記線バネを前記搬送スクリューに向けて近づけた後に前記搬送スクリューから遠ざかる方向に折り返された折り返し部を有し、
    前記搬送スクリューの回転軸線方向と略直交する方向からみたとき、前記折り返し部の前記搬送スクリューの回転軸線方向の幅は、前記羽根の前記搬送スクリューの回転軸線方向の幅と略同一又はそれ以下であることを特徴とする請求項１１に記載のクリーニング装置。
13. 前記付勢部を構成する前記線バネのコイルバネ形状部から前記折り返し部までをつなぐ接合部の前記搬送スクリューの回転軸線方向の幅は、前記搬送スクリューのピッチと同等以上であることを特徴とする請求項１２に記載のクリーニング装置。
14. 前記搬送スクリューは、搬送スクリュー駆動手段により前記正方向及び前記逆方向の両方に回転駆動されることを特徴とする請求項１２又は１３に記載のクリーニング装置。
15. 前記搬送スクリュー駆動手段は、前記像担持体も駆動することを特徴とする請求項１４に記載のクリーニング装置。
16. 請求項１〜１５のいずれか一項に記載のクリーニング装置と、前記像担持体と、を有する画像形成装置。
17. 前記当接部は、前記像担持体の移動方向と略直交する方向において前記像担持体上のトナー像を担持する領域の外側に設けられていることを特徴とする請求項１６に記載の画像形成装置。
18. 前記当接部は、前記像担持体の移動方向と略直交する方向において前記像担持体上の調整用のトナー像が形成される位置よりも前記崩し部材の端部側に設けられていることを特徴とする請求項１６に記載の画像形成装置。

Images