JP3762241B2 - 画像形成装置およびクリーニング装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンター、Faxなどの電子写真記録方式の画像形成装置およびクリーニング装置に関するものである。
【0002】
【徒来の技術】
昨今、複写機、プリンター、Faxといった出力端末をすべてかね備えた複合機が市場で広く受け入れられるようになってきている。このようなネットワーク対応の出力端末として電子写真システムが広く受け入れられてきているわけであるが、大きな問題の一つとして本体のデューティサイクルが挙げられてきている。サービスマンメンテなしで本体が正常に稼動し続ける限界枚数のことであるが、デューティサイクルの最大の律速となっている一つに感光ドラムの寿命が挙げげられている。
【0003】
また、エコロジーの観点から廃棄物をなくす、すなわち消耗品を減らすこと、消耗品の寿命を延ばすこと、信頼性を上げることが我々の重要な課題となってきている。従来のアナログの装置からデジタル化が進み、本体コストはアナログ等価もしくは、それ以下にすることも我々の重要な課題となってきている。
【0004】
さらに、近年では複写機ならびにプリンターでは、従来白黒横が主流であったが、オフイスにおいても原稿もしくは出カフアイルのフルカラー化が急増している。前記アナログ等価デジタル機というばかりか、本体コストならびにランニングコスト白黒等価フルカラープリンターが我々の重要な課題となってきている。そのためには、TCO(ユーザーからみた仝体の必要費用)を画期的に下げることが可能な技術が望まれている。
【0005】
このような状況の中で、近年複数の感光体(像担持体)と、被記録材を担持・搬送する転写ベルトを備え、この転写ベルトに担持された被記録材にそれぞれの感光体に形成された異なる色のトナー像を順次重ねて転写することによってカラー画像を得るカラー画像形成装置、すなわち4連ドラム方式のカラー画像形成装置が主流となってきている。
【0006】
像担持体表面に形成した可転写トナー像を、紙を主とする被記録材に転写する工程を繰り返す画像形成装置においては、転写の際、被記録材に転移せず像担持体に残る残留トナーをその都度充分に除去することが必須である。
【0007】
このため、像担持体のクリーニング手段として、徒来から幾多の提案がなされているが、ウレタンゴムなどの弾性材料からなるクリーニングブレードによって前記残留トナーを掻き落とすようなものが、その構成が簡単でコンパクトで低コストであり、しかもトナー除去機能もすぐれているので広く実用化されている。クリーニングブレードのゴム材料としては、高硬度でしかも弾性に富み、耐摩耗性、機械的強度、耐油性、耐オゾン性に卓越しているウレタンゴムが一般的に使われている。
【0008】
また、昨今は複写機の長寿命化を図る手段として、使用する像担持体の表面を削れにくい材質のものにしたり、フッ素微粒子を分散させて滑り性を付与させたりするなどの化学的手段及び、帯電方法をAC帯電方式、DC帯電方式からコロナ帯電方式に変更するなどの物理的手段等がとられてきた。AC帯電方式から比較すると、コロナ帯電方式ではその像担持体の削れ量は半分以下にもなることが確認されている。
【0009】
しかしながら、前述のような方法で像担持体の耐久寿命は格段に長期化されたが、その反面、像担持体が削れにくいことにより、前記像担持体表面に付着した付着物が掻き取られず、融着やフィルミングを起こし、画像不良の原因となることがあるという弊害が生じた。従って、トナーの外添処方を変え、研磨効果のある外添剤を増量することにより、前記像担持体の表面をクリーニングブレードとの間に介在した前記外添剤で研磨させる試みやクリーニング手段としてのクリーニングブレード自体に掻き取り能カをもたせる技術の開発として、熱可塑性又は熱硬化性ポリウレタンからなり、該ブレード表面の少なくとも像担持体に接触する部分に低摩擦係数のコーティング層が形成されたクリーニングブレードの開発がなされた。このブレードによれば、低摩擦のコーティング層が直接像担持体と接触するため、融着やフイルミングが発生して極端に摩擦抵抗の大きくなった像担持体に対してさえも、該ブレードのビビリ(異常振動)や捲れを発生させることなくクリーニングが行える。また、ブレードエツジが高硬度であるので像担持体表面に付着する付着物を掻き取り除去し、融着、フイルミングを抑制する効果にも優れている。
【0010】
しかしながら、このようなブレードはブレードの像担持体と接触する部分、すなわち形成されるブレードのニツプの部分が高硬度となっているため、ニツプ領域近傍にトナーが多く存在すると、トナー内に合有される比較的小粒径の外添剤(無機微粒子等)がニツプ領域に侵入し、押しつぶされて、逆に像担持体側に摺擦傷をつけ、画像不良の原因となり得ることが分かってきた。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、像担持体との滑り性を確保するために発明されたブレードである熱可塑性又は熱硬化性ポリウレタンからなり、該ブレード表面の少なくとも像担持体に接触する部分に低摩擦係数のコーティング層が形成されたブレードを用いる画像形成装置において、材料の物性や本体の構成を大きく変えることなく、像担持体への過剰な傷を軽減することであり、画像形成装置の信頼性を大きく向上させることである。またこれを可能とするクリーニング装置を提供することも本発明の目的である。
【0012】
【課題解決する手段】
本発明は、熱可塑性又は熱硬化性ポリウレタンからなり、像担持体との接触部に低摩擦係数のコーティング層を有するブレードと、このブレードを主走査方向に移動させる移動機構と、このブレードにより掻き落とされたトナーを受け止めるトナー受けシートと、このシート上に堆積するトナーを掻き落とす掻き落とし手段と、前記ブレードから除去されたトナーを搬送する搬送スクリューと、を有するクリーニング装置において、前記掻き落とし手段は、前記移動機構により主走査方向に移動する際に前記搬送スクリューに干渉して弾かれる掻き落とし部材を有することを特徴とするクリーニング装置である。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の装置において、前記トナー受け手段は、前記ブレードで掻き落とされたトナーが落下する位置に設けられたシートであることが簡易であるという観点から好ましい。このトナー受けシートは、軽量である点でプラスティック製が好ましく、特にはポリウレタン、PET製が好ましい。その構造は、落下してくるトナーを受け止めることができるものであれば特に制限は無いが、ドラムの回転方向と順方向設置されたシートが好ましい。シートの厚さは特に限定されず、その機能を果たせる程度の強度が確保される厚さがあれば良い。
【0023】
上記掻き落とし部材は、上記トナー受けシートの下流にあって、該クリーニングブレードよりは上流に配置されており、該トナー受けシート上に滞積して、且つ廃トナー搬送スクリューでは搬送できない位置に滞積したトナーを掻き落とすものである。
【0024】
掻き落とし部材の一形態として、レシプロ機構と同期してレシプロ運動し、レシプロ運動の際に廃トナー搬送スクリューと干渉して弾かれる構造を有する部材が挙げられる。スダレ部材はクリーニングブレードの自由長を決めている背板に、廃トナー搬送スクリューに干渉する形状にカット、または折り返したシートを貼り付けたものが好ましい。
【0025】
上記掻き落とし部材の一例を図3に示す。この部材は、プラスティック製のシートJに、カット位置Hにおいてスダレ状に切込みを入れ、各スダレ状部の一部を折り返し位置Iにおいて折り返したものを板金Kに取り付けたもの(以後これを「スダレ部材」と呼ぶ)である。スダレ状に切込みを入れて各スダレ状部を一部折り返すことにより、折り返した部分が廃トナー搬送スクリューにはじかれ、トナー受けシート上や前記スダレ部材を構成しているプラスチック製シート上等に滞積したトナーを掻き落とすことができる。板金を使用することにより、プラスティック製シートのみで構成する場合より部材としての強度が増すという効果がある。板金はクリーニングブレードの背板と機能として一体化させることが可能で、この場合アングル部の位置でクリーニングブレードの自由長を規制することができる。つまり、図3において板金Kの掻き落としシートJが取り付けられていない面をクリーニングブレードに当接することで、ブレードの自由長が規制される。
【0026】
スダレ部材は図2のように配置すればよい。像担持体である感光ドラムAに接するように設けられたクリーニング装置Nには、感光ドラムの表面に当接するようにクリーニングブレードCが保持される。感光ドラム表面上のトナーは、クリーニングブレードによって掻き落とされ、トナー受けシートD上に落ち、廃トナー搬送スクリューEによって図面左方向に搬送されるが、トナー受けシートD上に積み上がりもする。
【0027】
一方、スダレ部材の折り返した部分が廃トナー搬送スクリューEに干渉するように、かつ、スダレ部材がレシプロ機構によってクリーニングブレードと追随して主走査方向に移動するようにスダレ部材Bを配置すれば、スダレ部材はスクリューと干渉してはじかれ、その振動によってトナー受けシートD上に積みあがったトナーは掻き落とされる。従って、クリーニングブレードニップ領域にトナーが溜まることが抑制され、トナーに含まれる外添剤もたまりにくく、従って、像担持体への傷は軽減される。
【0028】
プラスティック製のシートJとしては、主に難燃性の掛脂シートが好適に用いられ、より好ましくは難燃性PETフィルムが用いられる。ポリエチレンやPIフィルムも使用可能である。その厚さは特に限定されず、その機能を果たせる程度の強度が確保される厚さがあれば良い。
【0029】
参考として、トナー受けシート上に蓄積したトナーを掻き落とす部材の別の形態として、図4に示すようなブラシ状のものも有効である。
【0030】
この場合ブラシGの材質としては、粘着性のある合成樹脂や合成ゴムが望ましく、例えばポリビニルエチルエーテル、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル、ポリイソブチレン、ブチルゴム、クロロプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、塩化ゴム、環化ゴム、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリメタクリル酸、ポリアクリル酸エステル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラールからなる群から選ばれた1種または2種類以上の混合物が使用できる。
【0031】
ブラシGは、像担持体とは干渉しないように配置し、像担持体と対向する位置において移動方向が像担持体の移動方向とは反対になるように回転させることが好ましい。このようにすることにより、該クリーニングブレードによって掻き落とされたトナーが前記トナー受けシートに積みあがるのを防止する効果が高い。
【0032】
前記トナー除去手段は、前記像担持体の後回転時に像担持体を逆回転させる手段であることが好ましい。
【0033】
後回転とは、被記録材に画像を形成し終えた後に、像担持体を回転させることであり、通例現像器の濃度補正のためのパッチ検知のために行う。このとき像担持体を逆回転(画像形成時の回転方向とは逆方向の回転)させることにより、画像形成時にクリーニングニップ近傍に溜まったトナーはふるい落とされ、該クリーニングブレードニップ領域にはトナーおよびこれに含まれる外添剤はたまりにくく、従って、像担持体への傷は軽減される。
【0034】
像担持体を逆回転させるためには、専用のモーターを設けてもよいが、画像形成時に像担持体を回転させるモーターを逆回転させるための電気回路を設けても良い。あるいはモーター自体は正回転としてギヤにより逆回転にする構造でも良い。また後回転時であることを判定し、回転方向を逆回転に切り替えるための制御手段を設ける。逆回転の回数は特に制限しないが、数回(3〜4回)行えば十分である。
【0035】
また、前記トナー除去手段が、前記像担持体の後回転時に主走査方向画像域全幅で該像担持体上に帯状のトナー像を形成し、該トナー像が前記ブレードに到達するように制御する制御手段であることが好ましい。
【0036】
帯状画像の長さ(主走査方向と直交する方向)は特に制限はなく、0.5g/cmくらいの濃度があれば縞状でも構わない。
像担持体上の帯状の画像が後回転時に該クリーニングブレードエッジに到達することによって、画像形成時に該ブレードにニップ近傍に溜まったトナーはパッキング状態からほぐされ、はじき落とされる。従って、クリーニングブレードニップ領域にはトナーおよびそれに含まれる外添剤はたまりにくく、像担持体への傷は軽減される。
【0037】
クリーニングブレードは熱可塑性又は熱硬化性ポリウレタンからなり、ブレード表面の少なくとも前記像担持体に接触する部分に低摩擦係数のコーティング層が形成されたものであるが、コーティング層はブレードの像担持体に接触する部分のみ、もしくは接触する面のみ、又は全面にわたって設けることができる。
【0038】
クリーニングブレードのコーティング層の摩擦係数は0.05〜0.5であることが好ましい。
【0039】
コーティング層は、樹脂、あるいは樹脂に潤滑材を分散させたもので形成することができる。特には、コーティング層は平均粒径が10μm以下のフッ化カーボン粒子を分散させたナイロン層であることが好ましい。分散させるフッ化カーボンは比較的小粒径のものが良く、10μm以下とすることにより、該クリーニングブレードニツプ部にフッ化カーボンが挟まった際にブレードエツジが不安定となることを抑制でき、トナーのすり抜けを防止することができる。
【0040】
フッ化カーボンの種類しては、たとえば(C2F)n型であるセフボンDM(商品名、セントラル硝子社製)、(CF)n型であるセフボンCMA、セフボンCMF(商品名、セントラル硝子社製)、フッ化炭素#2065、#1030、#1000(商品名、旭硝子社製)、CF−100(商品名、日本カーボン社製)、また(CF)n型でフッ化率を変えたフッ化炭素#2028、#2010(商品名、旭硝子社製)、さらには上記フッ化カーボンをアミン等の塩基で処理し表面のフッ素を除去したもの等が挙げられる。
【0041】
ナイロンは特に硬度が適当な樹脂であるが、コーティング層に使用できる樹脂は、これだけに及ばず、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン変性アクリル樹脂、ポリビニリルアセタール樹脂、エポキシ樹脂等も使用可能である。
【0042】
潤滑材としては、上記フッ化カーボン以外に、トスパール(商品名、GE東芝シリコーン社製シリコーン微粒子)等が使用できる。
【0043】
以上説明したトナー受け手段、掻き落とし手段およびトナー除去手段以外の画像形成装置の構成については、公知の画像形成装置の技術を適用することができる。
【0044】
【実施例】
本発明の実施例において使用した画像形成装置につき説明する。
【0045】
図1は、実施例で使用した、像担持体クリーニング手段及び転写ベルトクリーニング手段を持つ4連ドラム方式のカラー電子写真複写装置の全体構成を示す断面説明図である。
【0046】
画像形成装置本体の内部には、プロセス手段を内蔵する画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdが横方向に配置されており、各画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdの下部にはベルト駆動ローラ13、14、15に無端状の転写ベルト130が掛けわたされている。上記転写ベルト130は、図示しない駆動モーターによりベルト駆動ローラ13を矢印の方向に回転させることにより回転させる。10はカセットであって、被記録材である記録シートPを収納しており、上記カセット10内に収納された記録シートPは、最上側より給送される。そしてレジストローラ対7によって斜行が補正されると共に、前記画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdと同期どりされて転写ベルト130上に搬送される。12は上記記録シートPをレジストローラ対より転写ベルト130に導くための搬送ガイドである。
【0047】
次に上記画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdの構成を説明すると、回転可能な像担持体である感光ドラム3a、3b、3c、3dを有し、その周囲にプロセス手段を構成する一次帯電器2a、2b、2c、2d、現像器1a、1b、1c、1d、転写帯電器24a、24b、24c、24d、クリーニング装置4a、4b、4c、4d、前露光光源113a、113b、113c(Pd部にも存在するが図面では省略)が夫々設けられている。また上記感光ドラム3a、3b、3c、3dの上方には、レーザービームスキヤナーが設けられている。
【0048】
上記一次帯電器2a、2b、2c、2dは、感光ドラム3a、3b、3c、3dを露光するに先立って、ドラム表面を均一に帯電するものであり、現像器1a、1b、1c、1dは、露光されてドラム表面に形成された静電潜像にブラツク、マゼンタ、イエロー、シアンの各色トナーを付着させて可視像(トナー像)化するものである。また転写帯電器24a、24b、24c、24dは、感光ドラム3a、3b、3c、3dに形成されたトナー像を記録シートPに転写させるものであり、クリーニング装置4a、4b、4c、4dは画像転写後にドラム面に付着している残留トナーを除去するものである。前露光光源113a、113b、113c(Pd部にも存在するが図面では省略)は感光ドラム3a、3b、3c、3dの表面電位を除電するものであり、レーザービームスキヤナーは半導体レーザー、ポリゴンミラー、fθレンズ等を有し、電気デジタル画像信号の入カを受けてその信号に対応して変調されたレーザービームを感光ドラム3a、3b、3c、3dの母線方向に照射して露光するものである。
【0049】
32は、転写ベルト3上を搬送されてきた記録シートPを分離するための分離帯電器であり、9は記録シートPに転写された転写画像を定着させるための定着器であって、内部にヒータ等の加熱手段を有する定着ローラ51とこれに圧接する加圧ローラ52を有している。
【0050】
63は装置外に排出された記録シートPを積載するための排出トレイである。
【0051】
本画像形成装置例において、被記録材を担持および搬送する担持搬送手段は、上記ベルト駆動ローラ、転写ベルト、駆動モーター、レジストローラおよび搬送ガイドにより構成される。
【0052】
像担持体を帯電する帯電手段は、上記一次帯電器、補助帯電器等により構成される。
【0053】
像担持体上にトナー像を形成するトナー像形成手段は、上記現像器、レーザービームスキヤナー、補助帯電器等により構成される。
【0054】
担持搬送手段に担持された被記録材にトナー像を転写する手段は、上記転写帯電器により構成される。
【0055】
像担持体を清掃するクリーニング手段は、上記クリーニング装置である。
【0056】
次に画像形成動作について説明すると、画像形成作業開始信号が装置本体に入力されると、感光ドラム3aは矢印の方向に回転し始め、一次帯電器2aによって一様に帯電され、レーザービームスキヤナーによって原塙画像のブラック成分に対応する画像信号によって変調されたレーザー光がドラム面に照射されて静電潜像が形成される(露光)。次に現像器1aによってブラック色のトナーが供給されて前記潜像を可視像化したトナー像が形成される。
【0057】
一方、カセット10に収納された記録シートPは、給送され、一時的に停止しているレジストローラ対によって斜行が補正された後、前記感光ドラム3aに形成されたトナー像とのタイミングをとって、転写ベルト130上に搬送される。上記転写ベルト130に送り込まれた記録シートPは、画像形成部Paの転写部で転写帯電器24aによって転写帯電が行われて、トナー像が記録シートPに転写される。上記工程が画像形成部Pb、Pc、Pdにおいても同様に行われ、マゼンタ色トナー像、イエロー色トナー像、シアン色トナー像が順次記録シートPに転写される。
【0058】
画像転写が終了した記録シートPは、転写ベルト130の左端部で分離帯電器32によってAC除電を受けながら転写ベルト130より分離され定着器9に搬送される。そして、上記定着器9によって画像定着が行われた記録シートPは、装置外の排出トレイ63に排出される。
【0059】
尚、本実施例に係る電子写真複写機における最大画像幅はA4横の約290mmであり、ドラム周速は200mm/secである。また、上記感光ドラムは、導電性基材とその上に被覆された電荷発生層と更に、その上に被覆された電荷輸送層、また更にその上に被覆されたテフロンを含有した離型性層を備えている。
【0060】
次に、図2に従ってクリーニング装置について説明する。クリーニング装置4のクリーニング容器には、前記感光ドラムAの表面に当接されたクリーニングブレードCが保持されている。
【0061】
クリーニングブレードは、ウレタンを主体とした弾性ブレードで硬度77度(Hs)、反発弾性率41(%)(40℃での反発弾性率63%)、300%モジュラス200(kg/cm2)(いずれもJIS規格による)のもので、当接角度25度、当接圧33(g/cm)にて感光体Aに当接してある。クリーニングブレードは板厚2mmであり、SUS(板厚1.0mm)が背板として配設されている。クリーニングブレードの自由長としては、8mmである。クリーニングブレードはウレタンを主体とした弾性ブレードで、該ブレード表面の像担持体に少なくとも接触する部分、ここでは図5のようにブレードの両面に、低摩擦係数のコーティング層として、ディッピング法により粒径が10μm以下のフッ化カーボンを分散させたナイロンコーティング層を形成したものを使用した。ナイロンコーティング層Lが設けられたクリーニングブレードCは、ブレード貼り付け板金Mに固定されている。
【0062】
このブレードの製法としては、まず上述基材のウレタンゴムを研磨機にかけブラスト処理をし、その上に接着層をディッピング法により形成した。接着層形成用の溶液は、アルコール可溶性ナイロンをメタノールに溶解させた溶液にジイソプロピルエーテル、及びN−β−γ−アミノプロピルトリメトキシシランを加え、室温で30分攪拌することによって得た。次に接着層の上に、ナイロンを溶解させた溶液にフッ化黒鉛(粒径10μm以下、セントラル硝子社製)を添加し、分散させたものを再びディッピング法により塗布し、80℃で5分間乾燥させ、ナイロン樹脂コーティング層を形成した。本例で行った方法はディッピング法による塗布方法であるが、塗布方法としては特に制限はなく、他にスクリーン印刷法、スプレー法、ロールコーティング法などがあり、図6、図7のようにブレードの片面のみ、又は片面と先端切断面のみにコーティング層を有するブレードとしても良い。
【0063】
前露光光源113としては、660nmのピーク波長を主体とした発光ダイオード(素子GaAIAs)を用いピーク波長の1/2になる半値幅は約25nmであり露光量としては、20μJ/cm2である。
【0064】
定着装置9は、定着ローラ51、加庄ローラ52と、その各々をクリーニングする耐熱性クリーニング部材54、55と、ローラ51、52内に設置されたローラ加熱ヒータ56、57と、定着ローラ51にジメチルシリコーンオイル等の離型剤オイルを塗布する塗布ローラ50と、そのオイルの溜め53と、加庄ローラ52表面の温度を検知して定着温度を制御するサーミスタ58とからなっている。4色のトナー像を転写された被記録材Pはこの定着装置により、トナー像の混色及び被記録材Pへの固定が行なわれて、フルカラーのコピー画像が形成される。
【0065】
ところで、カラー用トナーの特性としては、先ず、二成分系現像剤としては、懸濁重合法により作製した重合トナーと、重合法により作製した樹脂磁性キヤリアとの混合物を使用した。得られた現像剤のT/D比(トナー/現像剤)は8%であった。磁性キヤリアとしては、1キロエルステツドの磁界中の磁化量が100emu/cm3であり、且つ個数平均粒径が40μmであって、更に比抵抗が1013Ω・cmのものを使用した。又、非磁性重合トナーは、粉砕法によって製造された紛砕トナーであって、重量平均粒径が8μmであって、比重が1.05g/cm3の単位質量当たりの平均電荷量が25μC/gであるトナーを用いた。
【0066】
〔実施例1〕
上記の画像形成装置において、図2に示すように、クリーニングブレードの像担持体回転方向上流にはブレードで掻き落とされたトナーを受け止めるトナー受け手段としてポリウレタン製のシートがドラム回転方向と順方向に配され、さらにそのシート上に積みあがったトナーを掻き落とす掻き落とし部材として、スダレ部材がついているというクリーニング構成を有するクリーニング装置を用いて、常温、常湿環境下、画像被覆率10%のコピーを1枚間欠で5万枚コピーの実写テストを行い、5万枚目に得られた画像を目視により評価した。
【0067】
前記スダレ部材は図2に示すように、プラステイツク樹脂(難燃性PETフィルム)シートをスダレ状に切って多端を折り返し(図3)、該折り返した部分を廃トナー搬送スクリューに干渉させる機構を有しており、該スダレ部材がレシプロ機構によって、該クリーニングブレードと追随して、主走査方向に移動することで、該スダレ部材はスクリューと干渉してはじかれ、その振動によってスダレ部材上に積みあがったトナーは掻き落とされるという仕組みになっている。
【0068】
このようなクリーニング装置を用いることによって、上記トナー受けシート上に溜まったトナーはある程度以上積みあがると(スダレ部材に干渉するところまで積みあがると)、前述スダレ部材によって掻き落とされ、クリーニング装置容器奥のほうへはじき落とされた。従って、クリーニングブレードニップ近傍までトナーが積みあがることはなく、ニップに外添剤が過剰に挟まって、像担持体表面を過剰に傷つけることがなくなり、5万枚目に出力された画像も良好であった。
【0069】
参考例1〕上記の画像形成装置において、図4に示すように、クリーニングブレードの像担持体回転方向上流にはブレードで掻き落とされたトナーを受け止めるトナー受け手段としてポリウレタン製のシートがドラム回転方向と順方向に配され、さらにそのトナー受けシート上に積みあがったトナーを掻き落とす掻き落とし部材として、ポリビニルエチルエーテル製のブラシがついているというクリーニング構成を有するクリーニング装置を用いて、常温、常湿環境下、画像被覆率10%のコピーを1枚間欠で5万枚コピーの実写テストを行い、5万枚目に得られた画像を目視により評価した。前記ブラシは図4に示すように、クリーナ開口部内に像担持体とは決して干渉しない位置にあり、像担持体と対向する位置において像担持体の移動方向とは反対方向に移動するように回転していて、クリーニングブレードによって掻き落とされたトナーが前記トナー受けシートに積みあがるのを防止する仕組みになっている。
【0070】
このようなクリーニング装置を用いることによって、上記トナー受けシート上に溜まったトナーはある程度以上積みあがると(ブラシに干渉するところまで積みあがると)、前記ブラシによって掻き落とされ、クリーニング装置容器奥のほうへはじき落とされた。従って、該クリーニングブレードニップ近傍までトナーが積みあがることはなく、該ニップに外添剤が過剰に挟まって、像担持体表面を過剰に傷つけることがなくなり、5万枚目に出力された画像も良好であった。
【0071】
〔比較例1〕実施例1および参考例1との比較として、上記画像形成装置において、前記クリーニングブレードの像担持体回転方向上流にはブレードで掻き落とされたトナーを受け止めるトナー受け手段としてポリウレタン製のシートがついているが、クリーニング装置容器内には掻き落とし部材は設けないまま、常温、常湿環境下、画像被覆率10%のコピーを1枚間欠で5万枚コピーの実写テストを行い、得られた画像を目視により評価したしたところ、約3万枚目で画像不良が発生した。トナー受けシート上には該クリーニングブレードによって掻き落とされたトナーがぎっしりと積みあがり、積みあがったトナーはブレードエッジ部にまで達した。前記クリーニングブレードニップには小粒径の外添剤が過剰に挟まり、外添剤が像担持体倒に押し付けられ、像担持体にはかなり深い傷がついた。
【0072】
参考例2〕上記の画像形成装置において、クリーニングブレードの像担持体回転方向上流にはブレードで掻き落とされたトナーを受け止めるトナー受け手段としてポリウレタン製のシートがついており、トナー除去手段として、像担持体を回転させるモーターを逆回転可能とする電気回路を付加し、かつ、制御装置に画像形成後の像担持体後回転時に像担持体が2〜4回逆回転するシーケンスをもたせた構成で、常温、常湿環境下、画像被覆率10%のコピーを1枚間欠で5万枚コピーの実写テストを行い、5万枚目に得られた画像を目視により評価した。上記構成とすることによって、トナー受けシート上に溜まったトナーは後回転時に行われる逆回転によってもたらされる重力方向の力及び、そのとき発生する微小な振動によってはじき落とされ、クリーニング装置容器奥のほうへ追いやられた。従って、該クリーニングブレードニップ近傍までトナーが積みあがることはなく、該ニップに外添剤が過剰に挟まって、像担持体表面を過剰に傷つけることがなくなり、5万枚目に出力された画像も良好であった。
【0073】
参考例3〕上記の画像形成装置において、クリーニングブレードの像担持体回転方向上流にはブレードで掻き落とされたトナーを受け止めるトナー受け手段としてポリウレタン製のシートがついており、トナー除去手段として、該像担持体の後回転時に該像担持体中央を中心に主走査方向画像域全幅で該像担持体上に帯状の画像が形成され、この画像が転写されずにクリーニングブレードに到達するようなシーケンスを制御装置に持たせ、常温、常湿環境下、画像被覆率10%のコピーを1枚間欠で5万枚コピーの実写テストを行い、5万枚目に得られた画像を目視により評価した。帯状画像は幅(主走査方向)290mm、長さ50mmである。上記構成とすることによって、パッキング状態となったトナー受けシート上に溜まったトナーはクリーニングブレードニップ近傍まで到達しても、前述後回転時に形成される主走査方向全幅の帯状の画像によって、アタツクを受け、ほぐし落とされた。従って、該ニップに外添剤が過剰に挟まって、像担持体表面を過剰に傷つけることがなくなり、5万枚目に出カされた画像も良好であった。
【0074】
〔比較例2〕参考例2、3との比較として、上記画像形成装置において、トナー受けシートを設けず、従ってクリーニング装置容器底面と該像担持体との間に隙間が空いた状態で、常温、常湿環境下、画像被覆率10%のコピーを1枚間欠で5万枚コピーの実写テストを行い、得られた画像を目視により評価した。トナー除去手段も設けなかった。すると、クリーニングブレードで掻き落とされたトナーは積みあがることはなく、従って、クリーニングブレードニップには小粒径の外添剤が過剰に扶まることはなく、該像担持体の寿命は長くなった。しかしながら、該クリーニングブレードで掻き落とされたトナーはクリーニング装置からボタ落ちし、クリーニング装置下方にある転写ベルト上に降りかかった。そのため、約5千枚で被記録材の裏汚れが発生してしまった。
【0075】
【発明の効果】
本発明によれば像担持体との滑り性を確保するために発明されたブレードである熱可塑性又は熱硬化性ポリウレタンからなり、該ブレード表面の少なくとも前記像担持体に接触する部分低摩擦係数のコーティング層を形成したブレードを主走査方向に移動させると共に、このブレードの移動により移動する掻き落とし部材を搬送スクリューに干渉させることでトナー受けシートに堆積するトナーを掻き落とすことにより、クリーニングブレードニップ領域にトナーが溜まることが抑制され、像担持体への傷は軽減される。
【0076】
また、本発明は前記像担持体への傷をつける要因となっている該クリーニングニツプに侵入し、挟まる外添剤(小径無機微粒子)について、初期的にトナーの外添処方を変えることによって、その量を制御するのではなく、クリーニング装置内に補助部材を設置したり、簡単なシーケンスを後回転時に設けたりして制御しているので、現像器内のトナーの流動性や定着性に影響を与えることがないというメリットを有する。
【0077】
また、その結果、電子写真装置の信頼性を大きく向上させることができ、かつ電子写真装置のプロダクティビティーが画期的に向上しても対応可能なクリーニング装置を有している電子写真装置を提供することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例で使用した、像担持体クリーニング手段を有する4連ドラム方式のカラー電子写真複写装置の概略図である。
【図2】実施例1で用いたスダレ部材を設けたクリーニング装置の概略図である。
【図3】実施例1で用いたスダレ部材の構成を示す槻略図である。
【図4】参考例1で用いたブラシを設けたクリーニング装置の概略図である。
【図5】ディッピング法により、フッ化カーボンを分散させたナイロン層をブレードの両面に形成したブレードの模式図である。
【図6】スクリーン印刷法により、フッ化カーボンを分散させたナイロン層をブレードの片面に形成したブレードの模式図である。
【図7】スプレーコート法により、フッ化カーボンを分散させたナイロン層をブレードの片面と先端切断面に形成したブレードの模式図である。

Claims (1)

  1. 熱可塑性又は熱硬化性ポリウレタンからなり、像担持体との接触部に低摩擦係数のコーティング層を有するブレードと、このブレードを主走査方向に移動させる移動機構と、このブレードにより掻き落とされたトナーを受け止めるトナー受けシートと、このシート上に堆積するトナーを掻き落とす掻き落とし手段と、前記ブレードから除去されたトナーを搬送する搬送スクリューと、を有するクリーニング装置において、
    前記掻き落とし手段は、前記移動機構により主走査方向に移動する際に前記搬送スクリューに干渉して弾かれる掻き落とし部材を有することを特徴とするクリーニング装置。
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