JP2017181639A - パターン形成方法および半導体素子の製造方法 - Google Patents

パターン形成方法および半導体素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】感度を高め、解像性の低下を抑制できるパターン形成方法を提供すること。
【解決手段】レジスト膜2上に酸発生剤を含む溶液を塗布し、レジスト膜2中に前記酸発生剤を浸透させる。次に、前記酸発生剤が浸透されたレジスト膜2の一部の領域にエネルギー線4を照射し、その後、レジスト膜2を加熱する。そして、加熱されたレジスト膜2を現像する。
【選択図】図5

Description

本願は、パターン形成方法およびそれを用いる半導体素子の製造方法に関する。
近年、半導体デバイスの量産においては、感度が高いという利点を有する化学増幅型レジストが一般に用いられている。ポジ型の化学増幅型レジストは、現像液に可溶なベース樹脂に保護基を導入して可溶性を阻害したバインダー樹脂と、i線や極端紫外線(Extreme Ultra-Violet:EUV)等のエネルギー線の照射により酸を発生する光酸発生剤(Photo Acid Generator:PAG )とを含む。
エネルギー線は、露光マスクを介して、化学増幅型レジストの一部の領域(露光領域)内に照射される(露光工程)。エネルギー線が照射された露光領域内には酸が発生する。
その後、化学増幅型レジストは加熱される。この加熱はPEB(Post Exposure Bake)と呼ばれる。露光工程で発生した酸はPEBによって化学増幅型レジスト中を拡散し、そして、保護基は酸を触媒にして連鎖的に脱保護反応を起こす。その結果、化学増幅型フォトレジストの露光領域は現像液に可溶になる。
特開2010−002538号公報
しかしながら、酸は化学増幅型レジスト中を等方的に拡散し、エネルギー線が照射されていない化学増幅型レジストの領域(未露光領域)内にも酸は拡散する。未露光領域内に酸が拡散することは、解像性の低下を招く。
そこで、本願では、感度を高め、解像性の低下を抑制できるパターン形成方法および半導体素子の製造方法を提供することを目的とする。
本願に係るパターン形成方法は、化学増幅型レジストを含むレジスト膜上に酸発生剤を含む溶液を塗布し、前記レジスト膜中に前記酸発生剤を浸透させる工程と、前記レジスト膜の一部の領域にエネルギー線を照射する工程と、前記レジスト膜を加熱する工程と、前記レジスト膜を現像する工程とを具備する。
本願に係るパターン形成方法は、酸失活剤を含む層を形成する工程と、前記層上に化学増幅型レジストを含むレジスト膜を形成し、前記レジスト膜中に前記酸失活剤を浸透させる工程と、前記レジスト膜の一部の領域にエネルギー線を照射する工程と、前記レジスト膜を加熱する工程と、前記レジスト膜を現像する工程とを具備する。
本願に係るパターン形成方法は、バインダー樹脂を含み、光酸発生剤を含まないレジスト膜上に、光酸発生剤を含む溶液を塗布し、前記レジスト膜中に前記光酸発生剤を浸透させる工程と、前記レジスト膜の一部の領域にエネルギー線を照射する工程と、前記レジスト膜を加熱する工程と、前記レジスト膜を現像する工程とを具備する。
本願に係る半導体素子の製造方法は、上記三つの本願に係るパターン形成方法のいずれかを用いて、基板上に、現像されたレジスト膜を形成する工程と、前記レジスト膜をマスクにして前記基板をエッチングする工程とを具備する。
本願によれば、感度を高め、解像性の低下を抑制できるパターン形成方法および半導体素子の製造方法を提供できる。
図1は、第1の実施形態に係るパターン形成方法を説明するための断面図である。 図2は、図1に続く、第1の実施形態に係るパターン形成方法を説明するための断面図である。 図3は、図4中のx軸、y軸およびz軸を説明するための図である。 図4は、第1の実施形態のレジスト膜のx軸方向、y軸方向およびz軸方向のPAG濃度分布の一例を模式的に示す図である。 図5は、図2に続く、第1の実施形態に係るパターン形成方法を説明するための断面図である。 図6は、図5に続く、第1の実施形態に係るパターン形成方法を説明するための断面図である。 図7は、実施形態および比較例のレジスト膜の可溶領域を模式的に示す断面図である。 図8は、図6に続く、第1の実施形態に係るパターン形成方法を説明するための断面図である。 図9は、第2の実施形態に係るパターン形成方法を説明するための断面図である。 図10は、図9に続く、第2の実施形態に係るパターン形成方法を説明するための断面図である。 図11は、図12中のx軸、y軸およびz軸を説明するための図である。 図12は、第2の実施形態のレジスト膜のx軸方向、y軸方向およびz軸方向の酸失活材の濃度分布の一例を模式的に示す図である。 図13は、図10に続く、第2の実施形態に係るパターン形成方法を説明するための断面図である。 図14は、図13に続く、第2の実施形態に係るパターン形成方法を説明するための断面図である。 図15は、図14に続く、第2の実施形態に係るパターン形成方法を説明するための断面図である。 図16は、第3の実施形態に係るパターン形成方法を説明するための断面図である。 図17は、図16に続く、第3の実施形態に係るパターン形成方法を説明するための断面図である。 図18は、第4の実施形態に係るパターン形成方法を説明するための断面図である。 図19は、図18に続く、第4の実施形態に係るパターン形成方法を説明するための断面図である。 図20は、図19に続く、第4の実施形態に係るパターン形成方法を説明するための断面図である。 図21は、図20に続く、第4の実施形態に係るパターン形成方法を説明するための断面図である。
以下、図面を参照しながら本願の実施形態を説明する。図面は、模式的または概念的なものであり、各図面の寸法および比率等は、必ずしも現実のものと同一であるとは限らない。また、図面において、同一符号は同一または相当部分を付してあり、重複した説明は必要に応じて行う。
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係るパターン形成方法について説明する。
まず、図1に示すように、基板1上に化学増幅型レジストを含む膜(以下、レジスト膜と略記)2を形成する。より詳細には、例えば、溶媒中にベース樹脂、保護基およびPAG等が溶解した溶液を基板1上に塗布し、当該溶液を加熱(プリベーク)することによりレジスト膜2は得られる。
本実施形態ではレジスト膜2はポジ型とする。レジスト膜2は、現像液に可溶なベース樹脂に保護基を導入して可溶性を阻害したバインダー樹脂とPAGとを含む。
以下、バインダー樹脂およびPAGについてさらに説明する。
(A)バインダー樹脂
バインダー樹脂(A)は、アルカリ現像液に可溶であるという性質を有する樹脂(A0)に酸解離性基を結合させた化合物であれば特に限定されない。
酸解離性基を結合させうる樹脂(A0)としては、アルカリ現像液と親和性を示す官能基、例えばフェノール性水酸基、カルボキシル基などの酸性官能基を有する樹脂であればよい。好適な樹脂(A0)としては、例えば以下の化学式(1)で表わされる繰返し単位、化学式(2)で表わされる繰返し単位、および、化学式(3)で表わされる繰返し単位の少なくとも1つの繰返し単位を含有する樹脂を挙げることができる。
Figure 2017181639
Figure 2017181639
Figure 2017181639
なお、式(1)および式(2)でRは水素原子またはメチル基であり、Rは、ヒドロキシル基、カルボキシル基、−RCOOH、−ORCOOHまたは−OCORCOOHであり、そしてRは−(CHn1−であり、n1は1〜4の整数である。
また、式(3)で、R、R、R、R、およびRは同一もしくは異なり、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基である。
樹脂(A0)は、化学式(1)、化学式(2)、または化学式(3)で表わされる繰返し単位のみで構成されてもよいし、またその他の繰返し単位を有してもよい。ここにおけるその他の繰返し単位としては、例えば無水マレイン酸、フマロニトリル、アクリルアミド、アクリロニトリル、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、ビニルアニリンなどの二重結合を含有するモノマーの二重結合が開裂した繰返し単位を挙げることができる。
上記樹脂(A0)における化学式(1)、化学式(2)、または化学式(3)で表わされる繰返し単位の含有量は、通常、15モル%以上、好ましくは20モル%以上である。本願の樹脂(A0)の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定したポリスチレン換算重量平均分子量(以下、「Mw」という)が、好ましくは1,000〜150,000、特に好ましくは3,000〜100,000である。
バインダー樹脂(A)は、上述の樹脂(A0)の酸性官能基のフェノール性水酸基またはカルボキシル基の水素原子をメチル基、1−置換エチル基、ゲルミル基、アルコキシカルボニル基およびアシル基から選ばれる少なくとも1種の酸解離性基で置換したアルカリ不溶性または難溶性樹脂である。ここで、酸解離性基とは酸の存在下で解離することが可能な基のことであり、所謂、保護基として作用する。
保護基の具体例としては、メトキシメチル基、メチルチオメチル基、メトキシエトキシメチル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基、ベンジルオキシメチル基、フェナシル基、ブロモフェナシル基、メトキシフェナシル基、α−メチルフェナシル基、シクロプロピルメチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、ベンジル基、トリフェニルメチル基、ジフェニルメチル基、ブロモベンジル基、ニトロベンジル基、メトキシベンジル基、ピペロニル基
などの置換メチル基;1−メトキシエチル基、1−エトキシエチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、1,1−ジメチルプロピル基などの1−置換エチル基;トリメチルゲルミル基、トリエチルゲルミル基、t−ブチルジメチルゲルミル基、イソプロピルジメチルゲルミル基、フェニルジメチルゲルミル基などのゲルミル基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基;および、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、ヘプタノイル基、ヘキサノイル基、バレリル基、ピバロイル基、イソバレリル基、ラウリロイル基、ミリストイル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オキサリル基、マロニル基、スクシニル基、グルタリル基、アジポイル基、ピペロイル基、スベロイル基、アゼラオイル基、セバコイル基、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリル基、クロトノイル基、オレオイル基、マレオイル基、フマロイル基、メサコノイル基、カンホロイル基、ベンゾイル基、フタロイル基、イソフタロイル基、テレフタロイル基、ナフトイル基、トルオイル基、ヒドロアトロポイル基、アトロポイル基、シンナモイル基、フロイル基、テノイル基、ニコチノイル基、イソニコチノイル基、p−トルエンスルホニル基、メシル基などのアシル基を挙げることができる。
その中でもt−ブチル基、ベンジル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロチオフラニル基、テトラヒドロチオピラニル基またはt−ブトキシカルボニル基が好ましい。
上記保護基の導入は、樹脂(A0)の光酸性官能基を介して行なわれ、保護基は、樹脂(B0)の全酸性官能基に対し、好ましくは15〜100%、さらに好ましくは30〜100%導入する。樹脂(A)の分子量はGPCで測定したMwが好ましくは1,000〜150,000、特に好ましくは3,000〜100,000である。
(B)PAG
PAGは、高エネルギー線の照射により酸を発生することができる。このPAG(B)としては、例えばジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルフォニウム塩、フェニルジアゾニウム塩などのオニウム化合物、イミドスルフォネート誘導体、トシラート化合物、ベンジル誘導体のカルボナート化合物、ならびにトリアジン誘導体のハロゲン化物などが挙げられる。
上記ジアリールヨードニウム塩は、化学式(4)で表される。
Figure 2017181639
式(6)中、Arはアリール基であり、Yはアニオンを表す。
化学式(4)で示されるジアリールヨードニウム塩中のカチオン(Ar)としては、例えばジフェニルヨードニウム、4−メトキシフェニル−フェニルヨードニウム、ビス(4−メトキシフェニル)ヨードニウムおよびビス(4−t−ブチルフェニル)ヨードニウムなどが挙げられる。
また、前記アニオン(Y)としては、例えばナフタレン−1−スルフォネート、ナフタレン−2−スルフォネート、2−t−ブチル−ナフタレン−2−スルフォネートなどのナフタレン誘導体;アントラセン−1−スルフォネート、アントラセン−2−スルフォネート、9−ニトロアントラセン−1−スルフォネート、5,6−ジクロロアントラセン−3−スルフォネート、9,10−ジクロロアントラセン−2−スルフォネート、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルフォネート、9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルフォネート、ベンズ(a)アントラセン−4−スルフォネートなどのアントラセン誘導体;フェナンスレン−2−スルフォネート、ピレン−スルフォネート、トリフェニレン−2−スルフォネート、クリセン−2−スルフォネート、アントラキノン−スルフォネートなどのその他の多環構造を有するアニオン;トリフルオロメタンスルフォネート、ヘキサフルオロアンチモネート、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロフォスフェート、ベンゼンスルフォネートなどが挙げられ、これらの中では、アントラセン誘導体およびトリフルオロメタンスルフォネートが好ましい。
また、前記トリアリールスルフォニウム塩は、化学式(5)で表される。
Figure 2017181639
式(5)中、Arはアリール基であり、Yはアニオンを表す。
化学式(5)で示されるトリアリールスルフォニウム塩中のカチオン(Ar)としては、例えばトリフェニルスルフォニウム、メトキシフェニル−ジフェニルスルフォニウム、ビス(メトキシフェニル)−フェニルスルフォニウム、トリス(メトキシフェニル)スルフォニウム、4−メチルフェニル−ジフェニルスルフォニウム、2,4,6−トリメチルフェニル−ジフェニルスルフォニウム、4−t−ブチルフェニル−ジフェニルスルフォニウム、トリス(4−t−ブチルフェニル)−スルフォニウムなどが挙げられる。また、アニオン(Y)の具体例は、前記ジアリールヨードニウム塩で例示したものと同様である。
前記イミドスルフォネート誘導体としては、例えばトリフルオロメチルスルフォニルオキシビシクロ[2.2.1]−ヘプト−5−エン−ジカルボキシイミド、スクシンイミドトリフルオロメチルスルフォネート、フタルイミドトリフルオロメチルスルフォネートなどが挙げられる。また、前記トシラート化合物としては、例えばベンジルトシラート、ニトロベンジルトシラート、ジニトロベンジルトシラートなどのベンジル誘導体が挙げられる。
さらに、前記ベンジル誘導体のカルボナート化合物としては、例えばベンジルカルボナート、ニトロベンジルカルボナート、ジニトロベンジルカルボナートなどのベンジルカルボナート誘導体が挙げられる。そして、前記トリアジン誘導体のハロゲン化物としては、例えば2,4,6−(トリスクロロメチル)−s−トリアジンなどのトリクロロメチルトリアジン誘導体が挙げられる。
PAG(B)の使用量は、バインダー樹脂(A)100重量部に対して、0.5〜30重量部でよく、好ましくは5〜25重量部、特に好ましくは10〜20重量部とすることができる。PAGが少なすぎると、露光による脱保護反応が不十分となる場合があり、その結果、形成されるパターンが現像時に十分に溶解しない場合がある。逆に、多すぎると、露光部がバックグラウンド程度に少ない場合でも脱保護反応が進行し、その結果、パターンが形成できなくなる場合がある。PAG(B)は、1種あるいは2種以上を併用して用いてもよい。
図1の工程後は、図2に示すように、溶媒中にPAGおよび樹脂等が溶解した溶液を含む層(以下、PAG供給層という)3をレジスト膜2上に塗布し、PAG供給層3内のPAGをレジスト膜2中に浸透させる。また、レジスト膜2上に塗布したPAG供給層3を加熱し、PAG供給層3を固化した状態で、PAG供給層3内のPAGをレジスト膜2中に浸透させても構わない。
本実施形態では、図3に示すように、レジスト膜2の幅、奥行きおよび厚さを規定するそれぞれの辺a,b,cが互いに直交するとして、直交座標のx軸、y軸およびz軸を規定する。x軸、y軸およびz軸は、それぞれ、辺a、辺bおよび辺cに対応する。レジスト膜2とPAG供給層3との界面は、x−y平面に対応する。z軸の正の方向はレジスト膜2の上面から下面の方向である。
レジスト膜2のz軸方向(厚さ方向)のPAG濃度分布は、レジスト膜2の上面から下面に向かってPAG濃度が減少するという濃度勾配を有する。図4(a)に、z軸方向のPAG濃度分布の一例を模式的に示す。
レジスト膜2中のx軸方向のPAG濃度分布は、z軸の値を固定した場合、x軸の値にかかわらず略一定値のPAG濃度を有する。したがって、x軸方向のPAGの濃度勾配は、z軸方向のPAGの濃度勾配に比べて十分に小さい。図4(b)に、x軸方向のPAG濃度分布の一例を模式的に示す。
同様に、レジスト膜2中のy軸方向のPAG濃度分布は、z軸の値を固定した場合、y軸の値にかかわらず略一定のPAG濃度を有する。したがって、y軸方向のPAGの濃度勾配は、z軸方向のPAGの濃度勾配に比べて十分に小さい。図4(c)に、y軸方向のPAG濃度分布の一例を模式的に示す。
図2の工程において、PAG供給層3中のPAGがレジスト膜2中に浸透すると、PAG供給層3中のPAGは減少する。レジスト膜2中にPAGを浸透させた後は、PAG供給層3は除去しても、または、残したままでも構わない。PAG供給層3が水溶性樹脂を含む場合、純水でPAG供給層3を容易に除去できる。本実施形態では、図2の工程後にPAG供給層3を純水で除去した場合について説明する。
PAG供給層3を除去した後は、図5に示すように、i線(波長365nm)やEUV(波長13.6nm)等のエネルギー線(露光光)4を露光マスク(不図示)を介して、レジスト膜2の一部の領域(露光領域)内に照射する(露光工程)。その結果、露光領域内には酸が発生する。
i線やEUV以外のエネルギー線としては、例えば、KrFエキシマレーザーによるエネルギー線(波長248nm)、ArFエキシマレーザーによるエネルギー線(波長193nm)、F2 エキシマレーザーによるエネルギー線(波長157nm)を用いても構わない。これらのエネルギー線のうち、EUVを用いた場合には反射型の露光マスクが用いられ、その他の場合には透過型の露光マスクが用いられる。また、本実施形態は液浸露光にも適用できる。
次に、図6に示すように、ホットプレート10上に基板1を載置し、ホットプレート10によりレジスト膜2を加熱する。すなわち、レジスト膜2はPEBと呼ばれる加熱工程により加熱される。この加熱工程において、露光工程で発生した酸はレジスト膜2中を拡散し、そして、保護基は酸を触媒にして連鎖的に脱保護反応を起こす。
ここで、上述したように、レジスト膜2のz軸方向のPAGの濃度勾配は、レジスト膜2のx軸方向およびy軸方向のPAGの濃度勾配よりも大きく、そして、x軸方向およびy軸方向のPAGの濃度勾配は十分に小さい。物質の拡散は一般に当該物質の濃度差が高いところで起こりやすい。そのため、z軸方向の酸の拡散は促進されるが、x軸方向およびy軸方向の酸の拡散は抑制される。
したがって、本実施形態では、PEB後のレジスト膜2のz軸方向の酸の濃度勾配は、PEB前のレジスト膜2のその厚さ方向の酸の濃度勾配よりも大きい。また、PEB前のレジスト膜2のx軸方向、y軸方向およびz軸方向の酸の濃度勾配をそれぞれGx、Gy、Gzとし、PEB後のレジスト膜2のx軸方向、y軸方向およびz軸方向の酸の濃度勾配をそれぞれGx’、Gy’、Gz’とすると、|Gx’−Gx|<|Gz’−Gz|、かつ、|Gy’−Gy|<|Gz’−Gz|となる。
図7(a)はレジスト膜2を用いた場合(実施形態)の酸の拡散によって脱保護反応が生じたレジスト膜2の領域(可溶領域)12を模式的に示す断面図であり、当該断面図は図2の断面図に対応する。図7(b)は周知の化学増幅型レジスト膜を用いた場合(比較例)の酸の拡散によって脱保護反応が生じた化学増幅型レジスト膜の可溶領域12を模式的に示す断面図である。
本実施形態では、z軸方向の酸の拡散が促進され、x軸方向およびy軸方向の酸の拡散は抑制されるという異方性拡散が実現される。そのため、高エネルギー線4が照射されていないレジスト膜2の領域(未露光領域)内に酸が拡散することは抑制される。したがって、断面図で見た場合、例えば、図7(a)に示すように、z軸に長軸を有する楕円状の可溶領域12が得られる。レジス膜2内では酸は三方向に拡散するので、実施形態の可溶領域は実際には例えば楕円体状となる。
一方、比較例の場合、酸はレジスト膜中を等方的に拡散する。したがって、断面図で見た場合、例えば、図7(b)に示すように、円状の可溶領域12が得られる。レジス膜内では酸は三方向に拡散するので、比較例の可溶領域は実際には例えば球状となる。
図6の工程後は、図8に示すように、現像液を用いてレジスト膜2を現像する(現像工程)。以下、現像工程後のレジスト膜2をレジストパターン2という。
なお、本実施形態では露光工程前にPAG供給層3を除去したが、露光工程前にPAG供給層3を除去しない場合においては、例えば、現像液に溶ける酸性樹脂を含むPAG層3を用いることにより、現像工程でPAG層3を除去することできる。
図8の工程後は、レジストパターン2をマスクにして、基板1をエッチングすることにより、所望のマスクパターンに対応した基板のパターンを形成することができる。
ここで、基板1がシリコン基板(半導体基板の一例)を含み、当該シリコン基板をエッチングする場合、上記パターンは例えば素子分離用のトレンチである。
また、基板1がシリコン基板およびその上に形成された導電膜を含み、当該導電膜をエッチングする場合、上記パターンは例えばラインパターンを含む。具体的には、ゲートパターン(ゲート電極、ゲート配線)中のラインパターンである。
また、基板1がシリコン基板およびその上に形成された絶縁膜を含み、当該絶縁膜をエッチングする場合、上記パターンは例えばコンタクトホール(ビアホール)である。
また、基板1のエッチングは、例えば、RIE(Reactive Ion Etching)プロセスを用いて行う。
以上述べたように、本実施形態によれば、PAG供給層3からレジスト膜2中に拡散されたz軸方向のPAG濃度勾配は大きいので、加熱工程(PEB)においては、z軸方向の酸の拡散が促進され、x軸方向およびy軸方向の酸の拡散は抑制される。これにより、レジスト膜2の未露光領域内に酸が拡散することは抑制され、レジスト膜2の解像性の低下は抑制される。また、レジスト膜2は化学増幅型レジストを含み、体積当たりの酸の量が増大するので、レジスト膜2の感度は高まる。したがって、本実施形態によれば、感度を高め、解像性の低下を抑制できるパターン形成方法を実現することができる。
また、本実施形態のパターン形成方法を用いることにより、微細なパターンを含む半導体素子を製造することができる。例えば、半導体素子が微細なゲート電極(線幅が約10nm)を含むMOSトランジスタに本実施形態のパターン形成方法を適用した場合、ゲート電極中のラインパターンのラインエッジラフネス(Line Edge Roughness:LER)を改善することができる。
MOSトランジスタは例えば以下の製造方法を用いて製造される。
まず、シリコン基板上にゲート絶縁膜となる絶縁膜を形成し、この絶縁膜上にゲート電極となる導電膜を形成する。ゲート電極はラインパターンを含む。
次に、本実施形態のパターン形成方法を用いて、導電膜上にレジストパターンを形成する。レジストパターンはゲート電極に対応するパターンを有する。
次に、レジストパターンをマスクにして上記導電膜および上記絶縁膜をエッチングすることにより、ゲート電極およびゲート絶縁膜を形成する。
次に、ゲート電極をマスクに用いたイオン注入法により、シリコン基板中にドーパントを導入する。
その後、アニールにより上記ドーパントを活性化し、ソース/ドレイン領域を形成することにより、MOSトランジスタが得られる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係るパターン形成方法について説明する。
まず、図9に示すように、基板1上に酸を失活させる酸失活剤を含む層(以下、酸失活剤供給層という)20を形成する。より詳細には、例えば、溶媒中に酸失活剤および樹脂等が溶解した溶液を基板1上に塗布し、その後、基板1を加熱することにより、上記溶媒を固形化することにより、酸失活剤供給層20は形成される。
上記樹脂として、例えば、第1の実施形態で述べたバインダー樹脂(A)を用いることができる。次に、酸失活剤および溶媒についてさらに説明する。
(C)酸失活剤
酸失活剤としては例えば酸拡散制御剤がある。酸拡散制御剤は、露光によりPAGから生じた酸のレジスト被膜中における拡散を制御して、未露光領域での好ましくない化学反応を制御する作用等を有する。このような酸拡散制御剤を使用することにより、レジスト組成物の貯蔵安定性が向上し、また解像性が向上するとともに、露光前の引き置き時間、露光後の引き置き時間(Post Exposure Time Delay;PED)の変動によるレジストパターンの線幅変化を抑えることができ、プロセス安定性に極めて優れたものとなる。
酸拡散制御剤としては、窒素原子含有塩基性化合物あるいは塩基性スルフォニウム化合物、塩基性ヨードニウム化合物の如き塩基性化合物が挙げられる。
このような窒素原子含有塩基性化合物としては、例えば、化学式(6)、アミド基含有化合物、ウレア化合物、含窒素複素環化合物等を挙げることができる。
Figure 2017181639
化学式(6)(R、R10およびR11は相互に独立に水素原子、アルキル基、アリール基を示し、該アルキル基およびアリール基はヒドロキシ基等の官能基で置換されていてもよい。)で表される化合物(以下、「含窒素化合物(I)」という。)、同一分子内に窒素原子を2個有するジアミノ化合物(以下、「含窒素化合物(II)」という。)、窒素原子を3個以上有するジアミノ重合体(以下、「含窒素化合物(III)」という。)とすることができる。
含窒素化合物(I)としては、例えば、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリエタノールアミン、ジメチル−n−ドデシルアミンおよびジシクロヘキシルメチルアミンの如きトリアルキルアミン類;アニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミンおよび1−ナフチルアミンの如き芳香族アミン類等を挙げることができる。
含窒素化合物(II)としては、例えば、エチレンジアミン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノジフェニルアミン、2,2−ビス(4'−アミノフェニル)プロパン、2−(3'−アミノフェニル)−2−(4'−アミノフェニル)プロパン、2−(4'−アミノフェニル)−2−(3'−ヒドロキシフェニル)プロパン、2−(4'−アミノフェニル)−2−(4'−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,4−ビス[1'−(4''−アミノフェニル)−1'−メチルエチル]ベンゼンおよび1,3−ビス[1'−(4''−アミノフェニル)−1'−メチルエチル]ベンゼン等を挙げることができる。
含窒素化合物(III)としては、例えば、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン、ジメチルアミノエチルアクリルアミドの重合体等を挙げることができる。アミド基含有化合物としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、ピロリドンおよびN−メチルピロリドン等を挙げることができる。ウレア化合物としては、例えば、尿素、メチルウレア、1,1−ジメチルウレア、1,3−ジメチルウレア、1,1,3,3−テトラメチルウレア、1,3−ジフェニルウレア、トリ−n−ブチルチオウレア等を挙げることができる。
含窒素複素環化合物としては、例えば、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾールの如きイミダゾール類;ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、2−メチル−4−フェニルピリジン、2,2,2−トリピリジン、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8−オキシキノリン、アクリジンの如きピリジン類のほか、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、キノザリン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、ピペラジン、1,4−ジメチルピペラジン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等を挙げることができる。
酸拡散制御剤の配合量は、樹脂(A)100重量部当たり、好ましくは、0.001〜30重量部、より好ましくは0.01〜20重量部、さらに好ましくは1〜15重量部とすることができる。この場合、酸拡散制御剤の配合量が0.001重量部未満では、プロセス条件によっては、解像度の低下、パターン形状、寸法忠実度等が劣化する傾向があり、さらに、PEBの熱処理時間が長くなると、パターン上層部においてパターン形状が劣化する傾向がある。一方、酸拡散制御剤の配合量が30重量部を超えると、レジストとしての感度、未露光部の現像性等が低下する傾向がある。
(D)溶媒
溶媒としては、例えばエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルプロピオネート、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン、2−ヒドロキシプロピオン酸エチル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2−ヒドロキシ−3−メチルブタン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸プロピル等を挙げることができる。さらに、これらの溶剤にN−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等の高沸点溶剤を添加することもできる。これらの溶剤は、単独であるいは2種以上を組み合わせて使用される。
上述の溶媒は、レジスト膜2を形成するために用いられる溶液の溶媒や、PAG供給層3を形成するために用いられる溶液の溶媒にも使用することができる。
次に、図10に示すように、酸失活剤供給層20上にレジスト膜2を形成し、酸失活剤供給層20内の酸失活剤をレジスト膜2中に浸透させる。
ここで、図11に示すように、直交座標のx軸、y軸およびz軸を規定する。図3のx軸、y軸およびz軸と異なる点は、レジスト膜2と酸失活剤供給層20との界面がx−y平面に対応し、そして、z軸の正の方向がレジスト膜2の下面から上面の方向であることである。
レジスト膜2のz軸方向の酸失活剤の濃度分布は、レジスト膜2の下面から上面に向かって酸失活剤濃度が減少するという濃度勾配がある。酸失活剤は重力に逆らって下から上に拡散するからである。図12(a)にz軸方向の酸失活剤の濃度分布の一例を模式的に示す。
レジスト膜2のx軸方向の酸失活剤の濃度分布は、z軸の値を固定した場合、x軸の値にかかわらず略一定値の酸失活剤濃度を有する。したがって、x軸方向の酸失活剤の濃度勾配は、z軸方向の酸失活剤の濃度勾配に比べて十分に小さい。図12(b)に、x軸方向の酸失活剤の濃度分布の一例を模式的に示す。
同様に、レジスト膜2中のy軸方向の酸失活剤の濃度分布は、z軸の値を固定した場合、y軸の値にかかわらず略一定の酸失活剤濃度を有する。したがって、y軸方向の酸失活剤の濃度勾配は、z軸方向の酸失活剤の濃度勾配に比べて十分に小さい。図12(c)に、y軸方向の酸失活剤の濃度分布の一例を模式的に示す。
図10の工程後は、図13に示すように、エネルギー線4を露光マスク(不図示)を介して、レジスト膜2の一部の領域(露光領域)内に照射する(露光工程)。その結果、露光領域内には酸が発生する。
ここで、上述したように、レジスト膜2中のz軸方向の酸失活剤の濃度勾配は、レジスト膜2中のx軸方向およびy軸方向の濃度勾配よりも大きい。そのため、レジスト膜2のz軸方向の酸の濃度勾配は、レジスト膜2のx軸方向およびy軸方向の酸濃度勾配よりも大きく、そして、x軸方向およびy軸方向の酸の濃度勾配は十分に小さい。
次に、図14に示すように、ホットプレート10上に基板1を載置し、ホットプレート10によりレジスト膜2を加熱する(PEB)。この加熱により、露光工程で発生した酸はレジスト膜2中を拡散し、そして、保護基は酸を触媒にして連鎖的に脱保護反応を起こす。
ここで、上述したように、レジスト膜2中のz軸方向の酸の濃度勾配は、レジスト膜2のx軸方向およびy軸方向の酸の濃度勾配よりも大きく、そして、x軸方向およびy軸方向の酸の濃度勾配は十分に小さい。そのため、z軸方向で酸の拡散が促進され、x軸方向およびy軸方向で酸の拡散は抑制されるという異方性拡散が実現される。したがって、レジスト膜2の未露光領域内に酸が拡散することは抑制される。
図14の工程後は、図15に示すように、現像液を用いて、レジスト膜2を現像する。本実施形態では、酸失活剤供給層20は除去されずに残る。
図15の工程後は、現像後のレジスト膜(レジストパターン)2をマスクにして、基板1をエッチングすることにより、パターンを形成する工程が行われる。
以上述べたように、本実施形態によれば、酸失活剤供給層20からレジスト膜2中に拡散された酸失活剤の濃度勾配はz軸方向において最も大きく、露光工程において発生した酸の濃度勾配はz軸方向において最も大きくなるので、加熱工程(PEB)においては、z軸方向の酸の拡散が促進され、x軸方向およびy軸方向の酸の拡散は抑制される。そのため、レジスト膜2の未露光領域内に酸が拡散することは抑制される。これにより、レジスト膜2の解像性の低下は抑制される。また、レジスト膜2は化学増幅型レジストを含み、体積当たりの酸の量が増大するので、レジスト膜2の感度は高まる。したがって、本実施形態によれば、感度を高め、解像性の低下を抑制できるパターン形成方法を実現することができる。
本実施形態のパターン形成方法を用いることにより、第1の実施形態と同様に、微細なパターンを含む半導体素子を製造できる。
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態に係るパターン形成方法について説明する。本実施形態では、第1の実施形態のPAG供給層3および第2の実施形態の酸失活剤供給層20を用いる。
まず、図16に示すように、基板1上に酸失活剤供給層20およびレジスト膜2を順次形成し、酸失活剤供給層20内の酸失活剤をレジスト膜2中に浸透させる。
次に、図17に示すように、レジスト膜2上にPAG供給層3を形成し、PAG供給層3内のPAGをレジスト膜2中に浸透させる。その後、PAG供給層3を除去する。
次に、図13と同様に、エネルギー線4を露光マスク(不図示)を介して、レジスト膜2の一部の領域(露光領域)内に照射し、露光領域内には酸を発生させる。
次に、図13と同様に、ホットプレート10上に基板1を載置し、ホットプレート10によりレジスト膜2を加熱する(PEB)。この加熱により、酸はレジスト膜2中を拡散し、そして、保護基は酸を触媒にして連鎖的に脱保護反応を起こす。
ここで、本実施形態ではPAG供給層3および酸失活剤供給層20の両方を用いているので、z軸方向の酸の拡散は効果的に促進され、一方、x軸方向およびy軸方向の酸の拡散は効果的に抑制されるという異方性拡散が実現される。これにより、レジスト膜2の未露光領域内に酸が拡散することは抑制される。
次に、図14と同様に、現像液を用いて、レジスト膜2を現像する。
その後、レジストパターン2をマスクにして、基板1をエッチングすることにより、パターンを形成することができる。
以上述べたように、本実施形態によれば、PAG供給層3および酸失活剤供給層20の両方を用いているので、加熱工程(PEB)においては、z軸方向の酸の拡散が効果的に促進され、x軸方向およびy軸方向の酸の拡散は効果的に抑制される。そのため、レジスト膜2の未露光領域内に酸が拡散することは効果的に抑制される。また、レジスト膜2は化学増幅型レジストを含み、単位体積当たりの酸の量が増大するので、レジスト膜2の感度は高まる。したがって、本実施形態によれば、感度を高め、解像性の低下を効果的に抑制できるパターン形成方法を実現することができる。
本実施形態のパターン形成方法を用いることにより、第1の実施形態および第2の実施形態と同様に、第1の実施形態または第2の実施形態と同様に、微細なパターンを含む半導体素子を製造できる。
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態に係るパターン形成方法について説明する。
まず、図18に示すように、基板1上にレジスト膜(高分子膜)2aを形成する。レジスト膜2aはバインダー樹脂を含んでいる。しかし、この段階では、レジスト膜2aはPAGを含んでいない。
次に、図19に示すように、レジスト膜2a上にPAGを含む溶液(以下、PAG溶液という)41を塗布し、PAG溶液41中のPAGをレジスト膜2a中に浸透させる。PAG溶液41の溶媒は例えば有機溶媒(ポリマーを除く)である。
レジスト膜2のz軸方向のPAG濃度分布は、第1の実施形態と同様に、レジスト膜2の上面から下面に向かってPAGの濃度は減少するという濃度勾配を有する。レジスト膜2のx軸方向およびy軸方向のPAG濃度分布も第1の実施形態と同様である。
次に、例えば、加熱処理によりPAG溶液41を蒸発させることにより、レジスト膜2a上のPAG溶液41を取り除き、その後、図20に示すように、エネルギー線4を露光マスク(不図示)を介して、レジスト膜2aの一部の領域(露光領域)内に照射する(露光工程)。その結果、露光領域内には酸が発生する。
次に、ホットプレート(不図示)によりレジスト膜2aを加熱し(PEB)、その後、図21に示すように、現像液を用いてレジスト膜2を現像する。
図21の工程後は、現像後のレジスト膜(レジストパターン)2aをマスクにして、基板1をエッチングすることにより、パターンを形成することができる。
以上述べたように、本実施形態によれば、PAG溶液41からレジスト膜2a中に拡散されたz軸方向のPAGの濃度勾配は大きいので、加熱工程(PEB)においては、z軸方向の酸の拡散が促進され、x軸方向およびy軸方向の酸の拡散は抑制されるという異方性拡散が実現される。そのため、レジスト膜2aの未露光領域内に酸が拡散することは抑制される。また、図20の露光工程においては、レジスト膜2aはPAGを含んでいるので、レジスト膜2aは化学増幅型レジストと同様に高い解像性を有する。したがって、本実施形態によれば、感度を高め、解像性の低下を抑制できるパターン形成方法を実現することができる。
また、本実施形態のパターン形成方法を用いることにより、第1の実施形態、第2の実施形態または第3の実施形態と同様に、微細なパターンを含む半導体素子を製造することができる。
以下、実施例をあげて、本願の実施形態を具体的に説明する。
(実施例1)
まず、シリコン基板上に、保護率50%のポリ(ヒドロキシスチレン-tert-ブチルアクリレート)とトリフェニルスルホニルペルフルオロブタンスルホネートとを重量比で100:5で含むプロピレングリコールメチルエーテルアセテート溶液を回転塗布し、そして、130℃1分間の加熱により上記溶液を乾燥させることにより、シリコン基板上に膜厚200nmのレジスト薄膜を形成する。
次に、レジスト薄膜上に、ポリ(ヒドロキシアダマンチルメタクリレート)とトリフェニルスルホニルペルフルオロブタンスルホネートとを重量比で100:50で含むブタノール溶液を回転塗布し、そして、130℃1分間の加熱により上記溶液を乾燥させることにより、レジスト膜上に膜厚10nmのPAG供給層(酸供給層)を形成する。
次に、露光マスクおよびEUV露光装置を用い、20mJ/cm2 の露光量でもってEUV線をレジスト膜に照射する。露光マスクはラインパターンを形成するためのパターン領域を含む。次に、130℃30秒間の加熱処理(PEB)を行い、続いて、0.26 N 水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて30秒間の現像処理を行う。現像時にPAG供給層(酸供給層)は除去される。
現像後のラインパターンを走査型電子顕微鏡で観察すると、良好な垂直形状で線幅20nmのラインパターンを解像できたことが確認された。すなわち、LERが改善された微細なラインパターンを形成することができた。これは、PAG供給層(酸供給層)から高濃度の酸が供給されて酸の異方性拡散が生じて、レジストの解像性が向上した結果と考えられる。
(比較例1)
実施例1のPAG供給層(酸供給層)を設けないことを除き、実施例1と同じ方法でラインパターンを形成する。
形成したラインパターンを走査型電子顕微鏡で観察すると、線幅20nmのラインパターンを解像できなかったことが確認された。
(実施例2)
実施例1の酸供給層を保護率50%のポリ(ヒドロキシスチレン-tert-ブチルアクリレート)とトリフェニルスルホニルペルフルオロブタンスルホネートとを重量比で100:50で含むプロピレングリコールメチルエーテルアセテート溶液を回転塗布し、そして、130℃1分間の加熱により上記溶液を乾燥させることにより、シリコン基板上に膜厚10nmの酸供給層を形成すること以外を除き、実施例1と同じ方法でラインパターンを形成する。
実施例2のトリフェニルスルホニルペルフルオロブタンスルホネート(樹脂)の重量比率(50)は、第1の実施形態のそれ(5)よりも高いので、現像後も酸供給層は残り、酸供給層としてレジストパターンとして使用できる。
形成したラインパターンを走査型電子顕微鏡で観察すると、良好な垂直形状で線幅が20nmのパターンを解像できたことが確認された。すなわち、LERが改善された微細なラインパターンを形成することができた。これは、酸供給層から高濃度の酸が供給されて異方性拡散が生じて、レジストの解像層が向上した結果と考えられる。
(実施例3)
シリコン基板上に、保護率90%のポリ(ヒドロキシスチレン-tert-ブチルアクリレート)とトリエタノールアミンとを重量比で100:20で含むプロピレングリコールメチルエーテルアセテート溶液を回転塗布し、そして、150℃10分間の加熱処理により、上記溶液を乾燥させることにより、シリコン基板上に膜厚100nmの失活剤供給層を形成する。
次に、失活剤供給層上に、保護率50%のポリ(ヒドロキシスチレン-tert-ブチルアクリレート)とトリフェニルスルホニルペルフルオロブタンスルホネートとを重量比で100:20で含むプロピレングリコールメチルエーテルアセテート溶液を回転塗布し、そして、130℃1分間の加熱処理により、上記溶液を乾燥させることにより、失活剤供給層上に膜厚20nmのレジスト薄膜を形成する。
次に、レジスト薄膜上に、ポリ(ヒドロキシアダマンチルメタクリレート)とトリフェニルスルホニルペルフルオロブタンスルホネートとを重量比で100:50で含むブタノール溶液を回転塗布し、そして、130℃1分間の加熱処理により、上記溶液を乾燥させることにより、レジスト薄膜上に膜厚10nmのPAG供給層(酸供給層)を形成する。
次に、露光マスクおよびEUV露光装置を用いて、20 mJ/cm2 の露光量でもってEUV線をレジスト膜に照射する。露光マスクはラインパターンを形成するためのパターン領域を含む。次に、130℃30秒間の加熱処理(PEB)を行い、続いて、0.26 N 水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて30秒間の現像処理を行う。
現像後のラインパターンを走査型電子顕微鏡で観察すると、良好な垂直形状で線幅20nmのラインパターンを解像できたことが確認された。すなわち、LERが改善された微細なラインパターンを形成することができた。これは、PAG供給層(酸供給層)から高濃度の酸が供給され、そして、失活剤供給層からは失活剤が供給されて酸の異方性拡散が生じて、レジストの解像性が向上した結果と考えられる。
なお、以上の実施形態ではポジ型のレジスト膜を用いた場合について説明したが、ネガ型のレジスト膜を用いても構わない。
また、本発明は、上記実施形態および実施例そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態および実施例に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態および実施例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々変形して実施できる。
1…基板、2,2a…レジスト膜、3…PAG供給層、4…エネルギー線、10…ホットプレート、12…可溶領域、20…酸失活剤供給層、41…PAG溶液。

Claims (5)

  1. 化学増幅型レジストを含むレジスト膜上に酸発生剤を含む溶液を塗布し、前記レジスト膜中に前記酸発生剤を浸透させる工程と、
    前記レジスト膜の一部の領域にエネルギー線を照射する工程と、
    前記レジスト膜を加熱する工程と、
    前記レジスト膜を現像する工程と
    を具備してなることを特徴とするパターン形成方法。
  2. 酸失活剤を含む層を形成する工程と、
    前記層上に化学増幅型レジストを含むレジスト膜を形成し、前記レジスト膜中に前記酸失活剤を浸透させる工程と、
    前記レジスト膜の一部の領域にエネルギー線を照射する工程と、
    前記レジスト膜を加熱する工程と、
    前記レジスト膜を現像する工程と
    を具備してなることを特徴とするパターン形成方法。
  3. バインダー樹脂を含み、光酸発生剤を含まないレジスト膜上に、光酸発生剤を含む溶液を塗布し、前記レジスト膜中に前記光酸発生剤を浸透させる工程と、
    前記レジスト膜の一部の領域にエネルギー線を照射する工程と、
    前記レジスト膜を加熱する工程と、
    前記レジスト膜を現像する工程と
    を具備してなることを特徴とするパターン形成方法。
  4. 前記レジスト膜を加熱する工程後の前記レジスト膜のその厚さ方向に酸の濃度勾配は、前記レジスト膜を加熱する工程前の前記レジスト膜のその厚さ方向に酸の濃度勾配よりも大きいことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  5. 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のパターン形成方法を用いて、基板上に、現像されたレジスト膜を形成する工程と、
    前記レジスト膜をマスクにして前記基板をエッチングする工程と
    を具備してなることを特徴とする半導体素子の製造方法。
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