JP2017181126A - グローブテスター - Google Patents

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Yasushi Kawasaki
康司 川崎
加藤 哲
Satoru Kato
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Abstract

【課題】グローブポートへの装着の有無に拘らず、作業用グローブの破損を検知すると共に破損の恐れがある劣化部分の状態を検知することができ、また、破損或いは劣化の箇所を正確に確認することができるグローブテスターを提供する。
【解決手段】作業用グローブの内部に閉鎖空間を形成するグローブ内閉鎖部材と、グローブ内閉鎖部材を介して閉鎖空間の内部に圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段と、閉鎖空間の内部から作業用グローブの内面を照射する光照明手段とを有することを特徴とするグローブテスター。
【選択図】図3

Description

本発明は、アイソレーター装置やグローブボックスなどに使用する作業用グローブの損傷又は劣化を検査するグローブテスターに関するものである。
清浄な雰囲気で行われる作業、例えば、医薬品の製造段階の作業、或いは、半導体や電子部品の製造段階の作業においては、外部環境から汚染物質が入り込まないように内部を無菌・無塵状態に保った清浄な作業環境で作業が行われる。このような作業環境としては、一般にはクリーンルームが使用される。このクリーンルーム内では、無塵衣を身に付けた作業者が作業を行う。しかし、無菌性保証水準、無塵性保証水準を高めるためには、クリーンルーム内に更に高度なクリーン領域を構成して作業が行われる。
高度なクリーン領域を構成する1つの方法として、アイソレーター装置又はグローブボックス(以下、統一して「アイソレーター装置」という。)が利用される。このアイソレーター装置は、外部環境から密閉されたチャンバーを使用し、作業者がこのチャンバーの外部から作業用グローブなどを介して作業を行う。このようなアイソレーター装置は、特に無菌アイソレーター装置と呼ばれている。
また、高度なクリーン領域を構成する他の方法として、RABS(アクセス制限バリアシステム)が利用される。このRABSは、クリーンルーム内の一部に下方部が解放された壁面で囲まれた領域を設け、その内部に上方から下方に流れる一方向流の清浄空気の層流(ラミナーフロー)を流すと共に、作業者の厳格なアクセス制限を行うようにしたものである。このRABSにおいては、作業者は壁面に設けられた作業用グローブなどを介して作業を行う。
一般に医薬品などを製造するアイソレーター装置やRABSの内部は、GMP(Good Manufacturing Practice)に即した高度な除染バリデーションを完了し、グレードA(厚生労働省・無菌医薬品製造指針)を保証している。この場合、アイソレーター装置やRABSの外部は、グレードB或いはグレードC、Dなどの状態に維持されている。このように、高度な無菌性保証水準を要求されるアイソレーター装置やRABSの内部だけでなく、その外部環境の無菌環境を維持することも重要である。
一方、人体に影響を及ぼす物質を取り扱う作業、例えば、医薬品の製造段階の作業、医学や生物学の分野において毒性の強い微生物を取り扱う作業、或いは、放射性物質を取り扱う作業などにおいては、人体に影響を及ぼす化学物質や微生物等の汚染から作業者を保護し、また、これらの人体に影響を及ぼす化学物質や微生物等が作業環境から外部環境に漏洩することを防止する必要がある。かかる作業においても、外部環境から密閉されたチャンバーの外部からグローブやハーフスーツを介して作業をすることのできるアイソレーター装置が利用される。このようなアイソレーター装置は、特に封じ込めアイソレーター装置と呼ばれている。
アイソレーター装置は、作業者が作業を行う外部環境とは気密的に遮蔽されており、また、外部の空気をフィルタで清浄化してチャンバー内に供給すると共にチャンバー内の空気をフィルタで清浄化して外部に排気する。従って、このようなアイソレーター装置は、基本的には無菌アイソレーター装置としても封じ込めアイソレーター装置としても使用できる。
また、アイソレーター装置を使用する場合には、目的に応じてチャンバー内の空気圧を調整することにより更に安全性を向上することができる。すなわち、無菌アイソレーター装置として使用するときには、チャンバー内を外部の空気圧より高圧(以下、陽圧という)として、仮にチャンバーからの漏洩が生じた場合にも空気はチャンバー側から外部へ流れるため、外部から浮遊菌等がチャンバー内に侵入しないようにしている。
一方、封じ込めアイソレーター装置として使用するときには、チャンバー内を外部の空気圧より低圧(以下、陰圧という)として使用することにより、仮にチャンバーからの漏洩が生じた場合にも空気は外部からチャンバー内へ流れるため、チャンバー内の化学物質等が外部環境を汚染することがないようにしている。
ここで、無菌アイソレーター装置やRABSの内部と外部との境界において、内部の高度な無菌環境を維持するために、特に重要と考えられるのが作業用グローブの気密性である。作業者が頻繁に使用する作業用グローブなどにおいて、その本体に穴(ピンホール)や裂け目などの破損が発生して気密性が破綻することにより、内部の高度な無菌環境を維持できなくなる。
一方、封じ込めアイソレーター装置と外部との境界においても、人体に影響を及ぼす化学物質や微生物等の汚染から作業者を保護するために、特に重要と考えられるのが作業用グローブの気密性である。作業用グローブの本体に穴(ピンホール)や裂け目などの破損が発生して気密性が破綻することにより、人体に影響を及ぼす化学物質や微生物等が外部環境に漏洩し作業者が汚染される。
そこで、作業用グローブの破損を検査するために、各種の気密性検査装置(一般に「グローブテスター」という)が提案され実際に使用されている。例えば、下記特許文献1においては、陰圧チャンバーを備えた陰圧式グローブ気密性検査装置が提案されている。この装置は、アイソレーター装置に作業用グローブを装着する接続部材(以下「グローブポート」という)を陰圧チャンバーのチャンバー基部で覆い、作業用グローブと陰圧チャンバーとの間に陰圧空間を形成して作業用グローブ及び装着部分からの空気の漏れを検知して破損を検査する。
また、下記非特許文献1においては、装置本体と有線で繋がれた気密性蓋材とを備えたグローブ・インテグリティー・テスターが紹介されている。この装置は、気密性蓋材でグローブポートを覆い、作業用グローブの内部を陽圧状態に加圧して作業用グローブ及び装着部分からの空気の漏れを検知して破損を検査する。更に、下記非特許文献2においては、無線機能を有する気密性蓋材を備えた無線型グローブリーク試験装置が紹介されている。この装置は、無線機能を有する気密性蓋材でグローブポートを覆い、作業用グローブを陽圧状態に加圧して作業用グローブ及び装着部分からの空気の漏れを検知して破損を検査する。
特開2002−280277号公報
Glove Integrity Testers(SKAN AG)、2016年1月13日検索、インターネットURL:http://www.pharmaceuticalonline.com/doc/glove-integrity-testers-0001 無線型グローブリーク試験装置(株式会社エアレックス)、2016年1月13日検索、インターネットURL:http://www.airexx.co.jp/en/contents/aboutus/news.htm
ところで、上記特許文献1並びに非特許文献1及び2の各装置は、いずれも作業用グローブに空気圧を作用させ、その圧力変化すなわち空気の漏れを検知して破損を検出するものである。すなわち、これらの装置は、空気圧によって開放された破損個所からの空気の漏れを検知するものである。しかし、作業用グローブは、一般にゴム又は合成樹脂などの弾性体からなり、空気圧が作用すると膨張する。このとき、ピンホールや破れなどの破損個所の大きさや形状によっては、開放されずに逆に空気圧による膨張で閉鎖される場合がある。このような状態では、空気の漏れが検知できず、破損した作業用グローブを気密性があるものとして間違って評価する恐れがある。
また、上記各装置は、いずれも作業用グローブをアイソレーター装置のグローブポートに装着した状態で検査するものである。しかし、規格品として使用する作業用グローブにおいても、グローブポートに装着する前にも気密性の確認が必要である。また、長期間使用している作業用グローブであっても、グローブポートへの装着パッキンの取り換えや装着箇所の確認の際に、使用中の作業用グローブをグローブポートから取り外して破損の確認をする場合もある。
更に、上記各装置は、あくまでも破損が生じていなければ空気の漏れが生じないので、破損の危険性がある劣化を検知して破損を未然に防ぐことができない。特に、長期間の使用により部分的に劣化が進行し、ゴム又は合成樹脂が薄くなっている箇所がある。これを気密性ありとして使用し続ければ、使用中に破損を生じて無菌環境の破壊や危険物質の外部環境への漏洩が生じる。また、上記各装置による検査で作業用グローブの破損を検出しても、どの部分が破損しているか、また破損の状態はどの程度かなどの情報を得ることができず、作業用グローブの改良、或いは、使用状態の改善に繋がる情報を得ることができない。
そこで、本発明は、上記の諸問題に対処して、グローブポートへの装着の有無に拘らず、作業用グローブの破損を検知すると共に破損の恐れがある劣化部分の状態を検知することができ、また、破損或いは劣化の箇所を正確に確認することができるグローブテスターを提供することを目的とする。
上記課題の解決にあたり、本発明者らは、鋭意研究の結果、光の照射を利用した目視検査が作業用グローブの損傷だけでなく、損傷可能性のある劣化までも検知できることを見出して本発明の完成に至った。
即ち、本発明に係るグローブテスターは、請求項1の記載によれば、
気密性を要求される作業用グローブ(20)に対して、当該作業用グローブ本体の損傷又は劣化を検査するためのグローブテスター(10、40)であって、
前記作業用グローブの内部に閉鎖空間(19、43)を形成するグローブ内閉鎖部材(11、41)と、
前記グローブ内閉鎖部材を介して前記閉鎖空間の内部に圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段(13)と、
前記閉鎖空間の内部から前記作業用グローブの内面の全面に亘って光を照射する光照射手段(12、42)とを有することを特徴とする。
また、本発明は、請求項2の記載によれば、請求項1に記載のグローブテスターであって、
前記グローブ内閉鎖部材(11)は、円盤体又は円柱状筒体であって、前記作業用グローブ(20)の腕付根部(21)の内面に上記円盤体又は円柱状筒体の側面が当接するようにして前記閉鎖空間(19)を形成し、
前記圧縮空気供給手段(13)は、前記閉鎖空間の内部に圧縮空気を供給して前記作業用グローブを膨張させ、
前記光照射手段(12)は、前記グローブ内閉鎖部材の前記閉鎖空間側の端面に一体的に設けられて、前記作業用グローブの内面の全面に亘って光を照射することを特徴とする。
また、本発明は、請求項3の記載によれば、請求項1に記載のグローブテスターであって、
作業室(32)の壁面に開口した作業用開口部(35)に設けられたグローブポート(36)から、当該作業室の内部に向けて気密性を保持して取付けられた前記作業用グローブ(20)を検査するために、
前記グローブ内閉鎖部材(41)は、前記グローブポートを前記作業室の外部から覆う蓋部分(41a)と、当該蓋部分と一体化され前記グローブポートの内周部に気密的に挿入される筒部分(41b)とから構成されており、
前記筒部分は、前記作業用グローブの内部に前記閉鎖空間(41)を形成し、
前記圧縮空気供給手段は、前記閉鎖空間の内部に圧縮空気を供給して前記作業用グローブを膨張させ、
前記光照射手段(42)は、前記筒部分の前記閉鎖空間側の端面に一体的に設けられて、前記作業用グローブの内面の全面に亘って光を照射することを特徴とする。
また、本発明は、請求項4の記載によれば、請求項1〜3のいずれか1つに記載のグローブテスターであって、
前記光照射手段(12、42)は、発光ダイオードを光源として、少なくとも300ルーメン(lm)の光束を有していることを特徴とする。
上記請求項1の構成によれば、本発明に係るグローブテスターは、グローブ内閉鎖部材と圧縮空気供給手段と光照射手段とを有している。グローブ内閉鎖部材は、作業用グローブの内部に閉鎖空間を形成する。また、圧縮空気供給手段は、グローブ内閉鎖部材を介して閉鎖空間の内部に圧縮空気を供給する。また、光照射手段は、閉鎖空間の内部から作業用グローブの内面の全面に亘って光を照射する。このように、上記請求項1の構成によれば、グローブテスターは、光照射手段から照射される光の漏れ又は透過によって作業用グローブを検査する。このことにより、作業用グローブの損傷だけでなく、破損の恐れがある劣化部分の状態を検知することができる。また、これらの損傷又は劣化の箇所を正確に確認することができる。
また、上記請求項2の構成によれば、グローブ内閉鎖部材は、円盤体又は円柱状筒体である。この円盤体又は円柱状筒体の側面が作業用グローブの腕付根部の内面に当接することにより、グローブ内閉鎖部材が作業用グローブの内部に閉鎖空間を形成する。また、圧縮空気供給手段は、閉鎖空間の内部に圧縮空気を供給して作業用グローブを膨張させる。また、光照射手段は、グローブ内閉鎖部材の閉鎖空間側の端面に一体的に設けられている。この光照射手段は、膨張した作業用グローブの内面の全面に亘って光を照射する。このように、上記請求項2の構成によれば、特にグローブポートに装着されていない作業用グローブに対して、光の漏れ又は透過によって損傷又は劣化部分の状態及び場所を正確に確認することができる。
また、上記請求項3の構成によれば、グローブ内閉鎖部材は、蓋部分と筒部分とから構成されている。この蓋部分は、作業室の壁面に開口した作業用開口部に設けられたグローブポートを前記作業室の外部から覆う。一方、筒部分は、蓋部分と一体化されグローブポートの内周部に気密的に挿入される。この筒部分は、作業用グローブの内部に閉鎖空間を形成する。また、圧縮空気供給手段は、閉鎖空間の内部に圧縮空気を供給して作業用グローブを膨張させる。また、光照射手段は、筒部分の閉鎖空間側の端面に一体的に設けられている。この光照射手段は、膨張した作業用グローブの内面の全面に亘って光を照射する。このように、上記請求項3の構成によれば、特にグローブポートに装着されている作業用グローブに対して、光の漏れ又は透過によって損傷又は劣化部分の状態及び場所を正確に確認することができる。
また、上記請求項4の構成によれば、光照射手段は、発光ダイオードを光源とする。また、この光源は、少なくとも300ルーメン(lm)の光束を有している。このように、上記請求項3の構成によれば、特に光源の明るさにより作業用グローブからの光の漏れ又は透過が明確になって損傷又は劣化部分の状態及び場所を正確に確認することができる。
よって、上記各構成によれば、グローブポートへの装着の有無に拘らず、作業用グローブの破損を検知すると共に破損の恐れがある劣化部分の状態を検知することができ、また、破損或いは劣化の箇所を正確に確認することができるグローブテスターを提供することができる。
第1実施形態に係るグローブテスターを示す正面図である。 図1のグローブテスターを示す平面図である。 図1のグローブテスターに作業用グローブを装着した状態を示す正面の断面図である。 図1のグローブテスターに作業用グローブを装着して内部に光を照射した状態を正面から写した写真である。 図4の作業用グローブを上方から写した写真である。 図4の作業用グローブの指股部を写した拡大写真である。 作業用グローブを配備したアイソレーター装置の正面図である。 図7に示すアイソレーター装置の左側面の断面図である。 図8に示すアイソレーター装置の作業用グローブに第2実施形態に係るグローブテスターを装着した状態を示す左側面の断面図である。
以下、本発明に係るグローブテスターを各実施形態により説明する。なお、本発明は、下記の各実施形態にのみ限定されるものではない。
《第1実施形態》
本第1実施形態は、アイソレーター装置のグローブポートに装着前の作業用グローブ、又はグローブポートから取り外した状態の作業用グローブに対して、その破損或いは劣化部分の状態を検知するためのグローブテスターに関するものである。
図1は、本第1実施形態に係るグローブテスターを示す正面図である。また、図2は、その平面図である。図1及び図2において、グローブテスター10は、閉鎖材本体11とLED光源12と加圧ポンプ13とスイッチ14とを有している。閉鎖材本体11は、金属、樹脂又は強化樹脂製の略円柱状の筒体であって、その外径は検査対象である作業用グローブの腕付根部(裾部)の内径よりも僅かに太くなるように構成されている。このことにより、グローブテスター10に作業用グローブを装着したときに腕付根部から内部にかけて閉鎖空間が形成される(詳細は後述する)。本第1実施形態においては、閉鎖材本体11は外径150mmのものを使用した。
また、閉鎖材本体11の外径は、検査対象である作業用グローブのサイズに合わせて複数種類を取り揃えるようにしてもよく、或いは、閉鎖材本体11の外周にアダプターを取り付けて、その外径を数段階に太く変化できるようにしてもよい。なお、この閉鎖材本体11は、その円柱軸を垂直方向にして支柱15により台座16の上方に固定されている。
LED光源12は、樹脂製又はガラス製の球冠状の照射面を持ち、閉鎖材本体11の上面に一体的に構成されている。なお、本第1実施形態においては、LED光源12の光源本体及び制御回路は、閉鎖材本体11の内部に収容され照射方向を上方に向けている。よって、LED光源12の照射面から垂直上方に向かって照射された光は、上方に向かって広がっていく。このLED光源12は、消費電力の少ない発光ダイオード(Light Emitting Diode)を光源としたもので、長時間安定して作動することができる。
ここで、LED光源12による各部位の照度(又は照射面の光束)は、作業用グローブの内部から照射した光の透過状態を作業用グローブの外部から目視にて検知し、破損或いは劣化部分の状態を判断できることが必要である。すなわち、作業用グローブの腕付根部(裾部)にあるLED光源12の照射面から、作業用グローブの指先部(先端部)までを判断する必要がある。しかし、人の目視による判断は、非常に鋭敏であると共に適応範囲が高い。また、人が使用する作業用グローブの長さも、ある範囲に限定されている。
そこで、本発明においては、LED光源12の照射面の光束は、検査対象である作業用グローブの内部から光を照射して表面側から破損又は劣化の状態が確認できるものであればよい。従って、本発明における照射面の光束は、特に限定するものではないが、一般に300ルーメン(lm)以上とすることが好ましく、500ルーメン(lm)以上とすることがより好ましい。また、700ルーメン(lm)以上とすることが更に好ましい。LED光源12の照射面の光束が300ルーメン(lm)以上であれば、一般に使用される作業用グローブの腕付根部(裾部)から指先部(先端部)までの全範囲を検査することができる。
一方、LED光源12の色彩は、検査対象である作業用グローブの色彩(色温度)により検査し易いものとすることが必要である。なお、本第1実施形態においては、一般に使用される作業用グローブに対して汎用的に使用できる光源として、消費電力7W、光束750ルーメン(lm)、色温度5000ケルビンの昼光色LEDを採用した。なお、LED光源12の作動は、台座16に固定されたスイッチ14により行う。
加圧ポンプ13は、閉鎖材本体11を介して閉鎖空間の内部に圧縮空気を供給する(詳細は後述する)。なお、この加圧ポンプ13は、台座16に固定され、圧縮空気を供給する供給管17が配管されている。この供給管17は、閉鎖材本体11の内部を経てLED光源12の照射面の端部から、その吐出口18を開口している(図2参照)。
また、加圧ポンプ13の種類と出力については、特に限定するものではないが、LED光源12の光が作業用グローブの内面の全面に亘って照射されるように作業用グローブを膨らませる吐出力を必要とする。なお、本第1実施形態においては、ダイアフラムを使用した、消費電力2.3W、吐出量2500cc/min、最大圧力14Kpaのエアーポンプを採用した。なお、加圧ポンプ13の作動は、台座16に固定されたスイッチ14により行う。
次に、このように構成したグローブテスター10の使用状態について説明する。図3は、グローブテスター10に合成樹脂製の作業用グローブ20を装着した状態を示す正面の断面図である。グローブテスター10の閉鎖材本体11は、作業用グローブ20の腕付根部21まで挿入されている。この部分において、グローブテスター10の閉鎖材本体11の側面が、作業用グローブ20の腕付根部21の内面に当接している。このことにより、閉鎖材本体11は、作業用グローブ20の内部に閉鎖空間19を形成している。
このようにして、閉鎖空間19が形成された状態において、スイッチ14により加圧ポンプ13を作動する。すると、圧縮空気が供給管17及び吐出口18を介して閉鎖空間19の内部に供給される。このことにより、合成樹脂製の作業用グローブ20の全体が膨張して、腕付根部(裾部)21、腕部22、掌部23、及び、指先部24が膨らみ、且つ、指股部25が開いている。なお、図3においては、4箇所の指股部のうち1箇所にのみに符号を記している。
次に、スイッチ14によりLED光源12を作動する。すると、LED光源12の球冠状の照射面から上方に照射された光は、作業用グローブ20の内面で反射されながら広がり、内面の全面に亘って照射される。作業用グローブ20の内面に照射された光は、作業用グローブ20の表面から漏れる光として外部から目視で確認できる。また、室内照明を暗くすることにより、作業用グローブ20の表面から漏れる光をより明確に確認することができる。
このことにより、作業用グローブ20の内面の光が漏れる箇所が、ピンホールや破れなどの破損個所であり、その大きさや形状を特定することができる。また、光の漏れがない場合であっても、内部の光によって明るくなっている箇所が確認できる。この明るさが異常に強くなっている箇所は、劣化が進んでいることが考えられ、このまま使用すると使用中に破損が生じる可能性があると特定できる。
図4は、グローブテスター10に実際の作業用グローブ20を装着して内部に光を照射した状態を正面から写した写真である。また、図5は、その作業用グローブ10の掌部23及び指先部24を上方から写した写真である。また、図6は、その作業用グローブ10の指股部25を写した拡大写真である。図4において、作業用グローブ20の腕付根部(裾部)21よりも上方にある腕部22、掌部23及び指先部24の各部は、内部からの光照射により明るく見える。また、指股部25が特に明るく見える。一方、腕付根部(裾部)21よりも下方にある基端部26は、内部からの光照射がなく暗く見える。
なお、作業用グローブ20の各部によって明るさが異なっているのは、各部の材料の肉厚が異なっているからである。これは、劣化の進行だけではなく製造段階から生じているものもあるが、これらの特に明るい部分が劣化しやすい部分でもある。図5及び図6において、各指の間の指股部25を確認したところ、薬指と小指の間の指股部25から光が漏れており、破れが確認された。
ここで、図4で使用した作業用グローブ20を一例として、明るさの異なる各部について材料の肉厚を測定した。その結果、腕部22の肉厚:0.40〜0.42mm、掌部23の肉厚:0.46〜0.47mm、指股部25の肉厚:0.10〜0.15mmであった。
このことから、肉厚の薄い指股部25が特に破損や劣化が進行しやすいと考えられる。また、作業で特に使用される掌部23や指先部24も劣化しやすい部分といえる。これらのことから、本第1実施形態のグローブテスターを使用することにより、材料の肉厚が製造段階から薄い部分や、頻繁に使用される部分の破損だけでなく、劣化状態の確認にも光照射による方法の有効性が確認できた。
以上のことから、本第1実施形態においては、グローブポートに装着されていない作業用グローブの破損を検知すると共に破損の恐れがある劣化部分の状態を検知することができ、また、破損或いは劣化の箇所を正確に確認することができるグローブテスターを提供することができる。
《第2実施形態》
本第2実施形態は、アイソレーター装置のグローブポートに装着された状態の作業用グローブに対して、その破損或いは劣化部分の状態を検知するためのグローブテスターに関するものである。
図7は、作業用グローブを配備したアイソレーター装置の正面図である。図8は、当該アイソレーター装置の左側面の断面図である。図7及び図8において、アイソレーター装置30は、床面上に載置される架台31と、この架台31の上に乗載される作業室(チャンバー)32と、このチャンバー32の右側面の壁部に接合された機械室33(図7参照)とにより構成されている。
チャンバー32は、外部環境とは気密的に遮蔽されたステンレススチール製の筐体からなり、吸気用及び排気用のフィルタユニット(図示せず)、並びに、チャンバー32の内部の空気をフィルタユニットで濾過したのち外部に排気するためのブロワー(図示せず)を備えている。
チャンバー32の正面の壁部には、内部を視認できる透明なガラス窓34が設けられている(図7参照)。このガラス窓34は、外部とチャンバー32の内部とを連通させる2つの円形の作業用開口部35を有する。これらの作業用開口部35には、それぞれ作業用グローブを気密的に装着するためのグローブポート(取付け枠)36と、このグローブポート36に装着された合成樹脂製の作業用グローブ20(図8参照)が取り付けられている。図8においては、作業用グローブ20を水平方向に膨張した状態で示している。
図9は、図8に示すアイソレーター装置30の作業用グローブ20に本第2実施形態に係るグローブテスター40を装着した状態を示す左側面の断面図である。図9において、グローブポート36は、作業用開口部35に挿入してガラス窓34に固定され、グローブポート36の内周側は、作業者が腕を挿入する挿入部を形成する。一方、グローブポート36のチャンバー32の内部側(図示左側)の外周側には、グローブポート36に装着する作業用グローブ20の基端部26が2本のオーリング37で固定されている(図9参照)。
図9において、グローブポート36には、グローブテスター40が装着されている。このグローブテスター40は、閉鎖材本体41とLED光源42と加圧ポンプ(図示しない)とスイッチ(図示しない)とを有している。閉鎖材本体41は、蓋体41aと筒体41bとから一体的に構成されている。蓋体41aは、金属、樹脂又は強化樹脂製の略球帯状の筒体であって、その外径はグローブポート36の内周径よりも大きく構成されて、グローブポート36をチャンバー32の外部から覆うように装着されている。
筒体41bは、金属、樹脂又は強化樹脂製の略円柱状の筒体であって、その外径はグローブポート36の内周部に挿入し膨張シール(図示しない)の作用で気密的に装着できる外周径を有している。このことにより、グローブポート36にグローブテスター40を装着したときに作業用グローブ20の内部に閉鎖空間43が形成される(詳細は後述する)。また、一体的に構成された蓋体41aと筒体41bの内部には、加圧ポンプ及び圧縮空気を供給する供給管(共に図示せず)が収容されている。この供給管は、筒体41bの内部を経てLED光源42の照射面(後述する)の端部から、その吐出口(図示せず)を開口している。
なお、本第2実施形態においては、加圧ポンプとして上記第1実施形態と同じく、ダイアフラムを使用した、消費電力2.3W、吐出量2500cc/min、最大圧力14Kpaのエアーポンプを採用した。なお、加圧ポンプの作動は、蓋体41aに固定されたスイッチ(図示せず)により行う。
図9において、LED光源42は、樹脂製又はガラス製の球冠状の照射面を持ち、閉鎖材本体41の筒体41bの端面(図示左端面であって蓋体41aと反対側)に一体的に構成されている。なお、本第2実施形態においては、LED光源42の光源本体及び制御回路は、筒体41bの内部に収容され照射方向を作業用グローブ20の内部(図示左方向)に向けている。よって、LED光源42の照射面から照射された光は、作業用グローブ20の内部に向かって広がっていく。
なお、本第2実施形態において、LED光源42の照度や光束、及び色彩(色温度)などについては、上記第1実施形態と同様であり、消費電力7W、光束750ルーメン(lm)、色温度5000ケルビンの昼光色LEDを採用した。なお、LED光源42の作動は、蓋体41aに固定されたスイッチ(図示せず)により行う。
次に、このように構成したグローブテスター40の使用状態を図9により説明する。上述のように、グローブテスター40の閉鎖材本体41は、その筒体41bによってグローブポート36の内周部に膨張シールの作用で気密的に装着されている。このことにより、閉鎖材本体41は、作業用グローブ20の内部に閉鎖空間43を形成している。
このようにして、閉鎖空間43が形成された状態において、スイッチにより加圧ポンプを作動する。すると、圧縮空気が供給管及び吐出口を介して閉鎖空間43の内部に供給される。このことにより、合成樹脂製の作業用グローブ20の全体が膨張して、腕付根部(裾部)21、腕部22、掌部23、及び、指先部24が膨らみ、且つ、指股部25が開いている。なお、図9においては、4箇所の指股部のうち1箇所にのみに符号を記している。
次に、スイッチによりLED光源42を作動する。すると、LED光源42の球冠状の照射面から照射された光は、作業用グローブ20の内面で反射されながら広がり、内面の全面に亘って照射される。作業用グローブ20の内面に照射された光は、作業用グローブ20の表面から漏れる光として外部から目視で確認できる。また、アイソレーター装置30のチャンバー32の内部を暗くすることにより、作業用グローブ20の表面から漏れる光をより明確に確認することができる。
なお、本第2実施形態において、作業用グローブ20は、アイソレーター装置30のチャンバー32の内部に背面壁38に向かって水平方向に膨張して装着されている(図8参照)。従って、チャンバー32の背面壁38に向かって水平方向に膨張した作業用グローブ20の掌部23、指先部24、指股部25の光の漏れは、グローブテスター40の側(作業者側)からは確認し辛い場合がある。この場合には、作業者側から反射鏡などをチャンバー32の内部に挿入して、各部から漏れる光を詳細に確認するようにすればよい。
このことにより、作業用グローブ20の内面の光が漏れる箇所が、ピンホールや破れなどの破損個所であり、その大きさや形状を特定することができる。また、光の漏れがない場合であっても、内部の光によって明るくなっている箇所が確認できる。この明るさが異常に強くなっている箇所は、劣化が進んでいることが考えられ、このまま使用すると使用中に破損が生じる可能性があると特定できる。
これらのことから、本第2実施形態のグローブテスターを使用することにより、材料の肉厚が製造段階から薄い部分や、頻繁に使用される部分の破損だけでなく、劣化状態の確認にも光照射による方法の有効性が確認できた。
以上のことから、本第2実施形態においては、アイソレーター装置のグローブポートに装着された状態の作業用グローブの破損を検知すると共に破損の恐れがある劣化部分の状態を検知することができ、また、破損或いは劣化の箇所を正確に確認することができるグローブテスターを提供することができる。
なお、本発明の実施にあたり、上記各実施形態に限らず、次のような種々の変形例が挙げられる。
(1)上記第1実施形態においては、閉鎖材本体は、略円柱状の筒体を使用したが、これに限定するものではなく、円盤や楕円盤などの盤体を使用するようにしてもよい。
(2)上記各実施形態においては、光照射手段としてLED光源を使用したが、これに限定するものではなく、蛍光管やハロゲンランプなど他の光源を使用するようにしてもよい。
(3)上記各実施形態においては、LED光源は、球冠状の照射面を持つものを使用したが、これに限定するものではなく、照射面は平面であってもよく、或いは、複数の光源を埋め込んだ状態のまま照射面を形成せずに使用するようにしてもよい。
(4)上記各実施形態においては、作業用グローブからの光の漏れを目視で確認したが、これに限定するものではなく、光の漏れを照度計などで確認するようにしてもよい。
(5)作業用グローブに使用される材料の肉厚と、材料を透過する透過光の強度との関係を予め測定しておき、これを基準にして材料の劣化の状態を判断するようにしてもよい。
10、40…グローブテスター、11、41…閉鎖材本体、
41a…蓋体、41b…筒体、12、42…LED光源、
13…加圧ポンプ、14…スイッチ、15…支柱、16…台座、
17…供給管、18…吐出口、19、43…閉鎖空間、
20…作業用グローブ、21…腕付根部(裾部)、22…腕部、23…掌部、
24…指先部、25…指股部、26…基端部、
30…アイソレーター装置、31…架台、32…チャンバー、33…機械室、
34…ガラス窓、35…作業用開口部、36…グローブポート、37…オーリング。

Claims (4)

  1. 気密性を要求される作業用グローブに対して、当該作業用グローブ本体の損傷又は劣化を検査するためのグローブテスターであって、
    前記作業用グローブの内部に閉鎖空間を形成するグローブ内閉鎖部材と、
    前記グローブ内閉鎖部材を介して前記閉鎖空間の内部に圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段と、
    前記閉鎖空間の内部から前記作業用グローブの内面の全面に亘って光を照射する光照射手段とを有することを特徴とするグローブテスター。
  2. 前記グローブ内閉鎖部材は、円盤体又は円柱状筒体であって、前記作業用グローブの腕付根部の内面に上記円盤体又は円柱状筒体の側面が当接するようにして前記閉鎖空間を形成し、
    前記圧縮空気供給手段は、前記閉鎖空間の内部に圧縮空気を供給して前記作業用グローブを膨張させ、
    前記光照射手段は、前記グローブ内閉鎖部材の前記閉鎖空間側の端面に一体的に設けられて、前記作業用グローブの内面の全面に亘って光を照射することを特徴とする請求項1に記載のグローブテスター。
  3. 作業室の壁面に開口した作業用開口部に設けられたグローブポートから、当該作業室の内部に向けて気密性を保持して取付けられた前記作業用グローブを検査するために、
    前記グローブ内閉鎖部材は、前記グローブポートを前記作業室の外部から覆う蓋部分と、当該蓋部分と一体化され前記グローブポートの内周部に気密的に挿入される筒部分とから構成されており、
    前記筒部分は、前記作業用グローブの内部に前記閉鎖空間を形成し、
    前記圧縮空気供給手段は、前記閉鎖空間の内部に圧縮空気を供給して前記作業用グローブを膨張させ、
    前記光照射手段は、前記筒部分の前記閉鎖空間側の端面に一体的に設けられて、前記作業用グローブの内面の全面に亘って光を照射することを特徴とする請求項1に記載のグローブテスター。
  4. 前記光照射手段は、発光ダイオードを光源として、少なくとも300ルーメン(lm)の光束を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載のグローブテスター。
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