JP2017179944A - 耐火シールド構造及び耐火シールド材 - Google Patents

耐火シールド構造及び耐火シールド材 Download PDF

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Shigeru Morishita
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Abstract

【課題】厚さの大きい複数枚の石膏ボードを重ねた構造と同等以上の遮熱性や耐火性がそれよりも薄い厚さの構造によって達成できるようにする。【解決手段】耐火シールド構造Sは、ロックウール又はガラスウールからなる熱溶融性耐熱無機繊維が積み重なって絡み合ったウールマットに、膨張黒鉛又はバーミキュライトからなる加熱膨張材が配合されて圧密化され、加熱時に加熱膨張材によって厚さ方向に膨張する耐火シールド材1と、この耐火シールド材1の裏面(表裏面の少なくとも一方)に一体的に積層された石膏ボード5,5からなる板状体とを備えたものとする。【選択図】図1

Description

本発明は、耐火シールド構造及びそれに用いられる耐火シールド材に関する。
従来、建物における木材構造材や鉄骨を火災等の加熱から保護するための耐火シールド構造として、複数枚の石膏板(強化石膏)を重ねた構造、木材構造材や鉄骨の表面に発泡系耐火膨張塗料を塗布して耐火塗膜を形成する構造、木材構造材や鉄骨の表面に発泡系耐火シートを施工する構造等が一般に知られている。
複数枚の石膏板を重ねた構造では、例えば21mm厚の石膏板(強化石膏)を2枚重ねにしたり、15mm厚及び21mm厚の石膏板(強化石膏)を重ねたりする仕様とすることで、火災時の火炎による高熱の伝導を抑制して木材構造材や鉄骨を保護し、或いは建物内への加熱を抑制して耐火構造を発現させている構法が一般的である。しかし、この構法では、厚さの大きい複数枚の石膏ボードを用いるので、総厚さが厚くなるだけでなく重量も増大することは避けられず、このことから施工負担等が大きくなる難がある。
また、発泡系耐火膨張塗料を塗布して耐火塗膜を形成する構造では、安定した耐火性を得るために塗膜厚みの均一性等の施工管理をする必要があり、そのための負担が大きく、このことから総合的なコストが高くなるという問題がある。また、表面に化粧材を施すに当たり、凹凸感や平滑性に問題がある。
さらに、発泡系耐火シートを用いる構造では、その施工は発泡系耐火塗料よりも容易であるものの、面材としての取り扱いが難しいので、大面積の施工が困難となる。また、平滑性が低くて化粧等を上面に施すことも困難である。また、価格が高いという問題もある。
そこで、従来、例えば特許文献1に示されるように、ロックウールやセラミックウール等の鉱物繊維と加熱膨張性無機粉末とを含んだ加熱膨張型の繊維フェルトが提案されている。
特許第4264164号
上記特許文献1のものでは、フェルトが火災時に加熱されると、加熱膨張性無機粉末が膨張してフェルトの厚さ方向の熱伝導を抑制するようになり、耐火性が得られるようになっている。
ところが、フェルトは、その組成物を含むスラリーから抄造されて乾燥硬化されただけのものであり、厚さを薄くするのに限度がある。さりとて、厚さを薄くすると、その分、耐火性能に影響を及ぼすのは避けられなくなる
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、鉱物繊維と加熱膨張材とを含む耐火シールド材を用いる構造に工夫を凝らすことにより、厚さの大きい複数枚の石膏ボードを重ねた構造と同等以上の遮熱性や耐火性がそれよりも薄い厚さの構造によって達成できるようにすることにある。
上記の目的の達成のため、この発明では、耐火シールド材は、熱溶融性耐熱無機繊維のウールマットに加熱膨張材が配合されて圧密化されたものとし、その耐火シールド材に石膏ボード又はケイカル板を重ねて耐火シールド構造とするようにした。
具体的には、第1の発明の耐火シールド構造は、熱溶融性耐熱無機繊維が積み重なって絡み合ったウールマットに加熱膨張材が配合されて圧密化され、かつ加熱時に上記加熱膨張材によって厚さ方向に膨張する耐火シールド材と、この耐火シールド材の表裏面の少なくとも一方に一体的に設けられ、石膏ボード又はケイカル板の少なくとも一方からなる板状体とを備えていることを特徴とする。ここで、圧密化とは、緩やかに積み重なった熱溶融性耐熱無機繊維が圧縮により高密度にされ、繊維同士の密着度が高まった状態を示しており、ハンドリング性や施工性を高めたものである。
この第1の発明では、耐火シールド構造が例えば建物の外壁等に施工されて、その外壁が火災等の火炎に曝されると、耐火シールド材の加熱膨張材が加熱されて膨張し、その加熱膨張材によって耐火シールド材自体が厚さ方向に膨張する。そのとき、耐火シールド材は、一般的な耐火膨張塗料やシート材料とは異なり、例えば抄造時に形成されるフロックの積層・絡み合い構造が有効な空隙を作り出し、断熱性が発現される。
また、耐火シールド構造は、耐火シールド材の表裏面の少なくとも一方に石膏ボード又はケイカル板の少なくとも一方からなる板状体が一体的に設けられている構造であるので、板状体が耐火シールド材の表裏面の一方のみに設けられている構造、或いは耐火シールド材の表裏面にそれぞれ板状体が設けられている構造のいずれであっても、その板状体が耐火シールド材の膨張に伴って押圧されて耐火シールド構造の厚さ方向に膨らむようになる。このような耐火シールド材自体及び板状体の厚さ方向への膨張により、耐火シールド構造が耐火耐熱層となって熱の伝導を阻止するようになり、耐火シールド効果を得ることができる。このことで、厚さの大きい複数枚の石膏ボードを重ねた構造と同等以上の遮熱性や耐火性をそれよりも薄い厚さの構造によって達成することができる。
また、耐火シールド材は、熱溶融性耐熱無機繊維が積み重なって絡み合ったウールマットに加熱膨張材が配合されて圧密化されたものであるので、加熱されて膨張しても無機繊維が溶融状態となって絡みが維持される。このことで、耐火シールド材が崩壊して膨張材が飛散することはなく、耐火シールド材が断熱層として安定して保形される。
第2の発明は、第1の発明において、耐火シールド材の表裏面の一方に板状体が一体的に設けられていることを特徴とする。
この第2の発明では、耐火シールド材の加熱に伴う厚さ方向への膨張により、その表裏面の一方に設けられている板状体が押圧されて耐火シールド構造の厚さ方向に膨らむ。このような膨張により、耐火シールド構造が耐火耐熱層となって熱の伝導を阻止し、耐火シールド効果を得ることができる。
第3の発明は、第1の発明において、耐火シールド材の表裏面の両方にそれぞれ板状体が一体的に設けられていることを特徴とする。
この第3の発明では、耐火シールド材の加熱に伴う厚さ方向への膨張により、その表裏面に設けられている板状体が押圧されて耐火シールド構造の厚さ方向に膨らむ。このような膨張により、耐火シールド構造が耐火耐熱層となって熱の伝導を阻止し、耐火シールド効果を得ることができる。
第4の発明は、第1〜第3の発明のいずれか1つにおいて、耐火シールド材と板状体との間に金属箔が介在していることを特徴とする。
この第4の発明では、耐火シールド材と板状体との間に介在された金属箔が熱反射層になり、この金属箔により加熱源からの輻射熱を反射して、耐火シールド効果をさらに高めることができる。
第5の発明の耐火シールド材は、熱溶融性耐熱無機繊維が積み重なって絡み合ったウールマットに加熱膨張材が配合されてなり、かつ表裏面の少なくとも一方に石膏ボード又はケイカル板の少なくとも一方からなる板状体が設けられ、加熱時に加熱膨張材によって厚さ方向に膨張可能なことを特徴とする。
この第5の発明では、第1の発明と同様に、耐火シールド材とその表裏面の少なくとも一方に一体化された板状体とを有する耐火シールド構造が例えば建物の外壁等に施工され、その外壁が火災等の火炎に曝されると、耐火シールド材の加熱膨張材が加熱されて膨張し、その加熱膨張材によって耐火シールド材自体が厚さ方向に膨張する。その耐火シールド材は、例えば抄造時に形成されるフロックの積層・絡み合い構造が有効な空隙を作り出し、断熱性が発現される。
また、耐火シールド材の表裏面の少なくとも一方に板状体が一体的に設けられているので、耐火シールド材の表裏面の一方のみに板状体が設けられている構造、或いは耐火シールド材の表裏面にそれぞれ板状体が設けられている構造のいずれであっても、その板状体が耐火シールド材の膨張に伴って押圧されて耐火シールド構造の厚さ方向に膨らむようになる。この耐火シールド材自体及び板状体の厚さ方向への膨張により、耐火シールド構造が耐火耐熱層となって熱の伝導を阻止するようになり、耐火シールド効果を得ることができる。
また、耐火シールド材は、熱溶融性耐熱無機繊維が積み重なって絡み合ったウールマットに加熱膨張材が配合されて圧密化されているので、加熱により膨張しても無機繊維が溶融状態となって絡みが維持されるようになり、耐火シールド材が崩壊して膨張材が飛散することはなく、耐火シールド材を断熱層として安定して保形することができる。
以上説明のように、本発明によると、熱溶融性耐熱無機繊維が積み重なって絡み合ったウールマットに加熱膨張材が配合されて圧密化された耐火シールド材に対し、その表裏面の少なくとも一方に石膏ボード又はケイカル板からなる板状体を一体的に設けて耐火シールド構造としたことにより、火災等による加熱より加熱膨張材が膨張して耐火シールド材自体が厚さ方向に膨張し、断熱性が発現されるとともに、耐火シールド材の表裏面の少なくとも一方に一体的に設けられている板状体が、耐火シールド材の膨張に伴って押圧されて耐火シールド構造の厚さ方向に膨らみ、この板状体の厚さ方向への膨張により耐火シールド構造が耐火耐熱層となって熱の伝導を阻止し、耐火シールド効果を得ることができる。よって、厚さの大きい複数枚の石膏ボードを重ねた構造と同等以上の遮熱性や耐火性がそれよりも薄い厚さの構造によって達成される。また、熱溶融性耐熱無機繊維が積み重なって絡み合ったウールマットに加熱膨張材が配合されて圧密化された耐火シールド材は、加熱により無機繊維が溶融状態となって絡みが維持され、耐火シールド材の崩壊により膨張材が飛散することはなく、耐火シールド材を断熱層として安定して保形することができる。
図1は、本発明の実施形態1に係る耐火シールド構造を概略的に示す側面図である。 図2は、実施形態2に係る耐火シールド構造を概略的に示す側面図である。 図3は、実施形態3に係る耐火シールド構造を概略的に示す側面図である。 図4は、耐火シールド構造の試験結果を示す図である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
[実施形態1]
図1は、本発明の実施形態1に係る耐火シールド構造Sを示し、この耐火シールド構造Sは、例えば建物の外壁等に耐火シールド用途として施工される。耐火シールド構造Sは、薄板状の耐火シールド材1と、この耐火シールド材1の裏面(図1で下側の面)に設けられた2枚の板状体としての石膏ボード5,5とを備え、これらが積層状に一体化された構造となっている。
上記耐火シールド材1は、例えばロックウールからなる熱溶融性耐熱無機繊維が積み重なって絡み合ったウールマットに例えば膨張黒鉛からなる加熱膨張材が配合されて圧密化されたもので、例えば厚さ3mmの薄い板材とされている。
上記耐火シールド材1は、スラリーから湿式抄造により成形される。このスラリーは、上記熱溶融性耐熱無機繊維と加熱膨張材とを主成分としてそれらを水に投入し撹拌して形成されるもので、スラリーを抄造してウェットマットを成形し、そのウェットマットを加熱プレス等することで、耐火シールド材1が形成される。このような抄造後のプレス処理により、耐火シールド材1は、熱溶融性耐熱無機繊維が積み重なって絡み合ったウールマットに加熱膨張材が配合されて圧密化されたものとなる。耐火シールド材1の比重は0.1〜1.2の範囲であり、0.9程度が好ましい。
上記熱溶融性耐熱無機繊維としては、通常、ロックウールとして製鉄高炉スラグを原料としたスラグウールを用いるが、ロックウールの代わりにガラスウールを用いてもよく、ロックウール及びガラスウールを混在させたものでもよい。要は、加熱により溶融される性質を有し、その溶融により被膜を形成して耐火シールド材1の崩壊を抑制できる無機繊維であればよく、セラミックウール等のように熱で溶融しないものは、このような作用効果が生じないので、好ましくない。
また、上記加熱膨張材は、加熱されて膨張するものであり、この加熱膨張材がウールマットに配合されていることにより、耐火シールド材1は加熱時に加熱膨張材の膨張によって厚さ方向に膨張するようになっている。加熱膨張材としては、膨張黒鉛の代わりにバーミキュライトを用いてもよく、両者を混在したものであってもよい。その他、加熱して膨張する材料であれば使用することができる。
また、耐火シールド材1に、加熱によりヤニ化する成分、例えばペンタエリスリトール等の糖類が添加されていてもよい。耐火シールド材1は、上記の如く、その熱溶融性耐熱無機繊維(ロックウール等)の絡みが加熱時の崩壊を防ぎ、また積み重ね構造のために厚さ方向の膨張を誘導するので、本来、ヤニ化成分の添加を必要としない。しかし、ヤニ化成分を添加することで、加熱時の崩壊をさらに確実に防ぐことができる。
一方、上記各石膏ボード5は、いずれも例えば耐火用の強化石膏ボードからなり、かつ同じ例えば12mmの厚さを有する。従って、耐火シールド構造Sの総厚さは例えば27(=3+12+12)mmであり、従来の42(=21+21)mmや36(=15+21)mmに比較して薄くできる。
また、耐火シールド材1と2枚の石膏ボード5,5とは、必ずしも連結されていなくてもよいが、バラバラにならないように簡易に接着剤で積層一体化されていれば、現場での扱いもし易くなる。
耐火シールド材1の組成及び製造方法は以下の通りである。
(組成)
(1)熱溶融性耐熱無機繊維
メインとなる材料で、ロックウール、スラグウール、ガラス繊維、ニッケルウール等が用いられ、添加率は20〜75重量%である。
(2)膨張剤
膨張黒鉛やバーミキュライトからなり、添加率は2〜45重量%である。一般的な膨張黒鉛の熱膨張倍率は200倍(cm/g)程度で、40%の添加率は過剰(加熱時の膨張により崩壊しやすい)である。一方、バーミキュライトの熱膨張倍率は10〜15倍で膨張黒鉛に及ばないため、45%程度の添加でもよい。
尚、バーミキュライトは、硫酸系化合物の含浸処理で発泡開始温度を低下させることができる。
(3)高分子水系接着剤
耐水性接着剤で不足する強度を補うもので、PVA、でんぷん、酢酸ビニルエマルジョン等からなる。添加率は、耐水性や寸法安定性の観点より15重量%以下が望ましい。
(4)耐水性接着剤
粉体バインダーとしては、フェノール系(レゾール系、ノボラック系)が、またエマルジョン系バインダーとしては、自己乳化タイプのイソシアネート系接着剤(MDI等)、各種エポキシ、アクリル系、アクリルウレタン系、ウレタン系がそれぞれ用いられる。添加率は0.1〜15%以下である。
(5)凝集剤
ポリアクリルアマイド(アニオンタイプ)、ポリ塩化アルミニウム、エピクロルヒドリン(カチオン凝集剤)、ポリエチレンイミン(カチオン系高分子)等が使用される。尚、凝集剤は接着剤としても機能する。
(6)有機繊維
ポリエステル系、ポリプロピレン系、ビニロン系、セルロース系(各種パルプ、故紙)、麻系(麻、亜麻)が用いられる。添加率は必要に応じて10%以下とされる。
(7)その他
シランカップリング剤(無機と有機を強固に結合)や、その他の各種カップリング剤(チタネート系、アルミネート系)も使用することができる。
(製造方法)
熱溶融性耐熱無機繊維、膨張剤、接着剤、有機繊維等を水中に分散させてスラリーとし、そのスラリーに凝集剤を添加してフロックを生成し、丸網式や長網式の抄造機で抄き上げてウェットマットを形成する。その脱水後、熱圧して薄板状の耐火シールド材を得、これを所望の寸法に切断する。
また、施工後の火災時に膨張や反りにより目地部から火の侵入を防止するために、耐火シールド材に実加工をしてもよいが、その場合は、5mm以上の厚さが必要となり、実部の強度を向上するために水系の樹脂(エポキシ系エマルジョン、アクリルスチレン系エマルジョン、ウレタン系エマルジョン)を含浸させることが好ましい。
したがって、この実施形態においては、耐火シールド構造Sが建物の外壁等に施工され、その外壁が火災等の火炎に曝された場合、耐火シールド構造Sを構成している耐火シールド材1内の加熱膨張材が加熱されて膨張する。耐火シールド材1は、耐熱無機繊維が積み重ね構造となっているために、加熱膨張材の膨張に伴い、厚さ方向に膨張が誘導され、その加熱膨張材によって耐火シールド材1自体が厚さ方向に膨張する。その耐火シールド材1は、一般的な耐火膨張塗料やシート材料とは異なり、抄造時に形成されるフロックの積層・絡み合い構造が有効な空隙を作り出し、断熱性が発現される。
また、耐火シールド構造Sは、耐火シールド材1の裏面に2枚の石膏ボード5,5(板状体)が一体的に積層されて設けられたものであるので、その2枚の石膏ボード5,5が耐火シールド材1の厚さ方向への膨張に伴って押圧されて、耐火シールド構造S厚さ方向に膨らむようになる。このような耐火シールド材1自体及び石膏ボード5,5の厚さ方向への膨張により、耐火シールド構造Sが厚さ方向に空隙を持った耐火耐熱層となり、この耐火耐熱層により熱の伝導が阻止され、耐火シールド構造Sによる耐火シールド効果を得ることができる。すなわち、厚さの大きい複数枚の石膏ボードを重ねた通常の構造、例えば厚さ21mmの2枚の石膏ボードを重ねた総厚さ42mmの耐火性能と同等以上の遮熱性、耐火性がそれよりも薄い厚さ(例えば総厚さ27mm)の耐火シールド構造Sによって達成することができる。
また、耐火シールド構造Sの耐火シールド材1は、熱溶融性耐熱無機繊維が積み重なって絡み合ったウールマットに加熱膨張材が配合されて圧密化されたものであるので、加熱されて厚さ方向に膨張しても、無機繊維が部分的に溶けて溶融状態となることにより、この無機繊維の絡みがそのまま維持される。この絡みのある無機繊維により耐火シールド材1が崩壊せず、崩壊に伴う膨張材の飛散が防止され、耐火シールド材1が断熱層として安定して保形される。尚、耐火シールド材1は、このように熱溶融性耐熱無機繊維の絡みにより加熱時の崩壊が抑制され、積み重ね構造のために厚さ方向の膨張が誘導されるので、本来、ヤニ化成分の添加を必要としないものの、上述の如く、ヤニ化成分を添加しておけば、加熱時の崩壊をさらに確実に防ぐことができる。
[実施形態2]
図2は、本発明の実施形態2に係る耐火シールド構造Sを示している(尚、以下の各実施形態では、図1と同じ部分については同じ符号を付してその詳細な説明は省略する)。
この実施形態では、耐火シールド構造Sは、耐火シールド材1と、この耐火シールド材1の表裏面にそれぞれ積層されて設けられた2枚の石膏ボード5,5(板状体)とを備え、これらが積層されて一体化された構造となっている。
この実施形態の耐火シールド材1は、各々厚さが例えば3mmの表層1a及び裏層1bを有する厚さ6mmの2層構造の板材からなり、スラリーから湿式抄造により成形される。表層1a及び裏層1bの組成は互いに同じである。このスラリーは、ロックウールやガラスウールからなる熱溶融性耐熱無機繊維と、膨張黒鉛やバーミキュライトからなる加熱膨張材とを主成分としてそれらを水に投入し撹拌して形成されるもので、スラリーを抄造して2枚のウェットマットを成形し、それらのウェットマットを加熱プレス等により圧密接着することで、2層の耐火シールド材1が形成される。
一方、上記表側及び裏側の石膏ボード5,5は、いずれも例えば耐火用の強化石膏ボードからなり、表側の石膏ボード5(図2上側のもの)の厚さは例えば12mmであり、裏側の石膏ボード5(図2下側のもの)の厚さは表側よりも厚い例えば15mmである。このため、耐火シールド構造Sの総厚さは例えば33mmとなっている。
さらに、耐火シールド材1と裏面側の石膏ボード5との間には金属箔7が介在されている。この金属箔7は、厚さ15μm〜40μmでアルミニウム箔が好ましい。また、アルミニウム箔の代わりに例えば銅箔、銀箔、金箔等を用いてもよい。
尚、耐火シールド材1と表面側の石膏ボード5との間に金属箔7を介在させてもよく、さらには耐火シールド材1と表裏面側の石膏ボード5,5との間にそれぞれ金属箔7を介在させてもよい。本実施形態におけるその他の構成は上記実施形態1と同様である。
したがって、この実施形態においても実施形態1と同様の作用効果を奏することができる。
特に、この実施形態では、耐火シールド材1と裏側の石膏ボード5(板状体)との間に金属箔7が介在されているので、この金属箔7が耐火シールド構造Sにおいて熱反射層になる。すなわち、この金属箔7により加熱源(火災等の火炎)からの輻射熱が反射されるようになり、耐火シールド構造Sの耐火シールド効果をさらに高めることができる。
また、耐火シールド材1は表裏層1a,1bが積層一体化された2層構造のものであるので、表裏層1a,1b間に界面1cが形成され、この界面1cで表裏層1a,1b間の非連続性が生じる。そして、耐火シールド材1が加熱されたときに厚さ方向の熱伝導が非連続性の界面1cで抵抗となって抑制され、耐火シールド効果を増大させることができる。
[実施形態3]
図3は、本発明の実施形態3に係る耐火シールド構造Sを示す。この実施形態では、上記実施形態2における表側の石膏ボード5に代えて新たな別の耐火シールド材1を設けたものであり、この表側の耐火シールド材1は、裏側の耐火シールド材1と同じ組成及び厚さ(例えば6mm)を有している。すなわち、この実施形態の耐火シールド構造Sは、2枚の耐火シールド材1,1を重ねて配置し、その裏側に1枚の石膏ボード5を配置したものであり、総厚さは例えば27mmとなる。
その他の構成は実施形態2と同じである。したがって、この実施形態でも実施形態2と同様の作用効果が得られる。
[その他の実施形態]
尚、上記各実施形態では、板状体として、石膏ボード5を用いているが、この石膏ボード5に代えてケイカル板を用いてもよく、石膏ボード5とケイカル板との両方を用いてもよい。
また、上記実施形態1及び3では、石膏ボード5を耐火シールド材1の裏面に配置しているが、耐火シールド材1の表面に配置してもよく、想定される加熱源に応じて適宜選択することができる。
さらに、耐火シールド材1及び石膏ボード5(ケイカル板)の各枚数は必要に応じて変えることができるが、耐火シールド構造Sの総厚さを薄くできる点では、上記各実施形態のように耐火シールド材1及び石膏ボード5をいずれも1枚又は2枚用いるのが好ましい。
また、耐火シールド材1と石膏ボード5との間に介在される金属箔7は必須ではないが、耐火シールド構造Sにおいて熱反射層を形成して、耐火シールド構造Sの耐火シールド効果を高め得る点では設けるのが好ましい。
次に、具体的に実施した例について説明する。上記実施形態1の構成を有する総厚さ27mmの耐火シールド構造(図1参照)を実施例1とし、実施形態2の構成を有する総厚さ33mmの耐火シールド構造(図2参照)を実施例2とし、実施形態3の構成を有する総厚さ27mmの耐火シールド構造(図3参照)を実施例3として、各々の試験片を作製した。
また、比較例1は、厚さ15mmの1枚の石膏ボードの表面側に、厚さ12.5mmの2枚の火山性ガラス質複層板(例えば大建工業株式会社製の商品名「ダイライト」)を重ねて積層した構造のものとした(総厚さ40mm)。
さらに、比較例2は、比較例1において、石膏ボードの厚さを12mmに変えたものである(総厚さ37mm)。
これら実施例及び比較例に対し、必要に応じた簡易耐火試験及び小型炉試験を行った。簡易耐火試験では、耐火シールド構造(試験片)に表面から1200〜1300℃の一定温度のバーナの火炎を当てて裏面の温度を測定するようにした簡易的な試験である。また、小型炉試験では、密閉箱形の耐火炉の裏側壁部に耐火シールド構造の試験片をその表面が耐火炉内に面するように取り付け、耐火炉内で試験片(耐火シールド構造)の表面にバーナの火炎をISO指定の昇温カーブに沿って昇温するように当てて裏面の温度を測定するようにした。いずれも正式な試験に合格できるかどうかの概要を知る上で有用である。
いずれの試験でも、加熱時間を1時間とし、その1時間の経過後に消火してバーナの火炎を当てるのを停止し、その間の温度を測定した。その測定温度の変化を図4に示す。
この図4の測定結果を見ると、比較例2を除いたいずれも温度の上昇が120℃未満の温度になっている。このことから、例えば「加熱から1時間経過した後の試験片裏面の温度が気温+180℃以下となる」という耐火シールド基準を設定したときに、比較例2を除いたいずれもその基準を満たしている。
そして、比較例1の総厚さは40mm、比較例2の総厚さは37mmであるのに対し、実施例1〜3は総厚さが27〜33mmでいずれも比較例よりも薄くなっている。このことから、本発明の耐火シールド構造では、厚さの大きい複数枚の石膏ボードを重ねた構造と同等以上の遮熱性、耐火性がそれよりも薄い厚さによって達成できることが明らかである。
本発明は、厚さの大きい複数枚の石膏ボードを重ねた構造と同等以上の遮熱性、耐火性がそれよりも薄い厚さの構造によって達成することができ、耐火シールド構造の分野で極めて有用となる。
S 耐火シールド構造
1 耐火シールド材
5 石膏ボード(板状体)
7 金属箔

Claims (5)

  1. 熱溶融性耐熱無機繊維が積み重なって絡み合ったウールマットに加熱膨張材が配合されて圧密化され、加熱時に上記加熱膨張材によって厚さ方向に膨張する耐火シールド材と、
    上記耐火シールド材の表裏面の少なくとも一方に一体的に設けられ、石膏ボード又はケイカル板の少なくとも一方からなる板状体とを備えていることを特徴とする耐火シールド構造。
  2. 請求項1において、
    耐火シールド材の表裏面の一方に板状体が一体的に設けられていることを特徴とする耐火シールド構造。
  3. 請求項1において、
    耐火シールド材の表裏面の両方にそれぞれ板状体が一体的に設けられていることを特徴とする耐火シールド構造。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つにおいて、
    耐火シールド材と板状体との間に金属箔が介在していることを特徴とする耐火シールド構造。
  5. 熱溶融性耐熱無機繊維が積み重なって絡み合ったウールマットに加熱膨張材が配合されてなり、かつ表裏面の少なくとも一方に石膏ボード又はケイカル板の少なくとも一方からなる板状体が一体化され、加熱時に加熱膨張材によって厚さ方向に膨張可能なことを特徴とする耐火シールド材。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2021100376A1 (ja) * 2019-11-22 2021-05-27 三菱重工業株式会社 輻射熱防護装置および方法並びに走行作業車

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