JP2017179466A - 銀被覆樹脂粒子及びその製造方法並びに該粒子を含む導電ペースト - Google Patents

銀被覆樹脂粒子及びその製造方法並びに該粒子を含む導電ペースト Download PDF

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Abstract

【課題】良好な導電性を有するとともに、露光や現像を利用してパターニングを行う際の露光不良を抑制することができ、これにより良好なパターン形状の電極等を形成できる銀被覆樹脂粒子及びその製造方法並びに該粒子を含む導電ペーストを提供する。
【解決手段】コア樹脂粒子と、コア樹脂粒子を被覆する銀被覆層とを備えた銀被覆樹脂粒子において、コア樹脂粒子は、未被覆率が7〜40%となるように、その粒子表面が銀被覆層によって部分的に、かつ網目状に被覆され、銀被覆層の厚さが0.07〜0.3μmであり、銀被覆樹脂粒子の平均粒径が0.5〜4μmである。
【選択図】図1

Description

本発明は、電極や電気配線等の形成に利用される導電ペースト中に、導電性フィラーとして含まれる銀被覆樹脂粒子及びその製造方法並びに該粒子を含む導電ペーストに関する。更に詳しくは、良好な導電性を有するとともに、露光や現像を利用してパターニングを行う際の露光不良を抑制することができ、これにより良好なパターン形状の電極等を形成できる銀被覆樹脂粒子及びその製造方法並びに該粒子を含む導電ペーストに関するものである。
導電ペーストは、例えば、太陽電池パネル、液晶ディスプレイ、タッチパネル等の電子機器、電子表示機器又は半導体素子等が備える電子部品(電極又は電気配線等)の形成等に広く利用されている。近年、電子機器等の小型化や軽量化が益々進んでおり、これらが備える電極等についてもより高精細化、高密度化又は高解像度化が求められている。
導電ペーストを利用して電極等を所望のパターン形状に形成する方法としては、例えばスクリーン印刷等の印刷法を利用して直接パターニングを行う方法や、露光や現像工程を経てパターニングを行うフォトリソグラフィ法等が広く利用されている。印刷法を利用して直接パターニングを行う方法では、導電ペーストを基板表面に印刷して塗布膜を形成する際に、当該塗布膜を所望のパターン形状を有する印刷パターンに形成する。その後、形成した印刷パターンを乾燥又は焼成することで、所望のパターン形状を有する電極等に形成される。一方、フォトリソグラフィ法では、先ず、基板表面に導電ペーストを塗布して塗布膜を形成し、その表面に、回路図等の所望のマスクパターンが描かれたフォトマスクを密着させ、これにより光の照射部分を制御して露光を行う。次いで、露光した基板を、例えば現像液に浸漬させることで余分な部分を除去し、その後、焼成等を経ることで所望のパターン形状を有する電極等に形成される。
印刷法を利用して直接パターニングを行う方法では、フォトリソグラフィ法のような露光や現像といった工程を経ることなく、必要な部分にのみ印刷し、印刷と同時に直接パターニングするため、材料等の無駄は少なくなるものの、高解像度の微細電極等の形成には対応できない。そのため、電極等の高解像度化や微細化等が特に要求される機器や半導体素子等の製造、或いはタッチパネルの狭額縁配線の形成等には、上述のフォトリソグラフィ法を利用したパターニング技術が主に利用されている。このパターニング技術では、上述のように露光や現像工程を経て所望のパターン形状に成型することから、導電性フィラー等の通常のペースト材料に加え、光の照射によって物性等が変化する感光性材料を添加した感光性導電ペースト(フォトレジスト)が用いられる。
このようなフォトリソグラフィ法を利用したパターニング技術では、電極等の更なる高解像度化、微細化又は狭額縁化を実現するため、露光、現像といった製造工程を見直すほか、新たな感光性導電ペーストを開発する等、材料面からの改良も日々検討されている。例えば、導電性フィラーに、ポリエチレンイミン等のアミノ基を有する化合物とアクリル系重合体を添加し、更に光重合性開始剤等の他の成分を含有させた感光性導電ペースト等が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。この特許文献1に示された感光性導電ペーストでは、上記所定の化合物等をペースト中に含ませることで基板との密着性が顕著に高くなり、また、比較的低温で焼成しても良好な導電性が得られるとされている。また、ペースト中に通常含まれる導電性フィラーには、これまで単層の銀粒子等が広く使用されていたが、粒子の中心に銀よりも低コストの樹脂製のコア粒子を配し、その表面を銀被覆層で被覆した銀被覆樹脂粒子等も提案されている(例えば、特許文献2参照。)。これまで、このような銀被覆樹脂粒子は、上述の印刷法を利用したパターニング技術や導電スペーサの製造等向けに主に開発が進められていたが、低コスト化等へ向け、こうしたフォトリソグラフィ法を利用したパターニング技術等への早期展開も期待されている。
特許第5673890号公報(請求項1〜7、段落[0008]〜段落[0010]) 特許第5497183号公報(請求項1〜4)
一方、フォトリソグラフィ法を利用したパターニング技術では、露光、現像によって所望の形状にパターニングする際に、露光不良等に起因して良好なパターン形状の電極等が形成されないといった問題が生じる場合がある。例えばネガ型のレジストを用いた場合、光を照射した部分が硬化して現像液に溶解しない性質に変化し、次工程で光が照射されていない部分のみが現像液にて溶解除去される。これにより所望の形状にパターニングされる。しかし、ペースト中に含まれる銀粒子は紫外線等の光を遮蔽するため、基板に塗布した塗布膜の表面から光を照射して露光を行う際に、当該光が塗布膜中の銀粒子によって遮蔽され、基板側まで十分に行き届かない場合がある。この場合、基板付近の硬化が不十分となって、現像時に必要な部分まで除去され、結果的に所望のパターン形状を有する電極等が形成されなくなる。このような問題に対して、従来は、銀粒子の粒径等を制御し、粒子同士の開口率(粒子間の隙間)を制御する手法等で対処していたが、この方法のみでは、近年の高解像度化又は微細化等への要求には十分に対応することはできない。
上記特許文献1に示される感光性導電ペーストでは、導電性フィラーに一般的な銀粒子を使用しているため、このような露光不良によるパターン形状の問題が改善されないことが懸念される。また、上記特許文献2等に示される銀被覆樹脂粒子等も、粒子表面が銀によって被覆されているため、この銀被覆樹脂粒子をそのまま感光性導電ペーストに使用しても、低コスト化等の目的は達成されるものの、同様の露光不良によるパターン形状の問題が生じる場合がある。
本発明の目的は、良好な導電性を有するとともに、露光や現像を利用してパターニングを行う際の露光不良を抑制することができ、これにより良好なパターン形状の電極等を形成できる銀被覆樹脂粒子及びその製造方法並びに該粒子を含む導電ペーストを提供することにある。
本発明の第1の観点は、コア樹脂粒子と、コア樹脂粒子を被覆する銀被覆層とを備えた銀被覆樹脂粒子において、コア樹脂粒子は、未被覆率が7〜40%となるように、その粒子表面が銀被覆層によって部分的に、かつ網目状に被覆され、銀被覆樹脂粒子の平均粒径が0.5〜4μmであることを特徴とする。
本発明の第2の観点は、コア樹脂粒子と、コア樹脂粒子を被覆する銀被覆層とを備えた銀被覆樹脂粒子の製造方法において、コア樹脂粒子を前処理して、その粒子表面に錫吸着層を形成する工程と、前処理によって錫吸着層が形成されたコア樹脂粒子の粒子表面に、無電解めっき法により銀被覆層の厚さが0.07〜0.3μmとなるように銀被覆層を形成して、銀被覆樹脂粒子前駆体を得る工程と、銀被覆樹脂粒子前駆体に、気相中又は液相中、温度250〜350℃、処理時間30〜180分間の条件で加熱処理を施す工程とを含むことを特徴とする。
本発明の第3の観点は、第1の観点の銀被覆樹脂粒子を含む導電ペーストである。
本発明の第4の観点は、第3の観点に基づく発明であって、導電ペーストが感光性導電ペーストであることを特徴とする。
本発明の第5の観点は、第4の観点に基づく発明であって、銀被覆樹脂粒子以外に、アルカリ可溶性樹脂、多官能(メタ)アクリレート、光重合開始剤、光吸収剤及び溶剤を含むことを特徴とする。
本発明の第6の観点は、第3ないし第5の観点の導電ペーストを用いて形成された電極である。
本発明の第1の観点の銀被覆樹脂粒子は、コア樹脂粒子と、コア樹脂粒子を被覆する銀被覆層とを備え、コア樹脂粒子は、その粒子表面が所望の未被覆率を満たすように、銀被覆層によって部分的に、かつ網目状に被覆される。これにより、この銀被覆樹脂粒子は照射された紫外線等の光を透過する性質を有する。そのため、該粒子を、例えば感光性導電ペーストに含まれる導電性フィラーに用いれば、基板に塗布した塗布膜の表面から光を照射して露光を行う際に、当該光を基板側まで十分に行き届かせることができる。これにより露光不良が抑制され、良好なパターン形状の電極等を形成できる。また、この銀被覆樹脂粒子は所定の平均粒径に制御されるため、部分的な被覆であっても、良好な導電性を十分に確保できる。また、膜厚のばらつき等も特に生じることなく、均一な厚さに形成できる。
本発明の第2の観点の製造方法は、コア樹脂粒子と、コア樹脂粒子を被覆する銀被覆層とを備えた銀被覆樹脂粒子の製造方法において、コア樹脂粒子を前処理して、その粒子表面に錫吸着層を形成する工程と、前処理によって錫吸着層が形成されたコア樹脂粒子の粒子表面に、無電解めっき法により銀被覆層の厚さが0.07〜0.3μmとなるように銀被覆層を形成して、銀被覆樹脂粒子前駆体を得る工程と、銀被覆樹脂粒子前駆体に、気相中又は液相中、温度250〜350℃、処理時間30〜180分間の条件で加熱処理を施す工程とを含む。この方法により得られる銀被覆樹脂粒子は、コア樹脂粒子の表面が所望の未被覆率を満たすように、銀被覆層によって部分的に、かつ網目状に被覆され、紫外線等の光の透過性に優れる。そのため、該粒子を、例えば感光性導電ペーストに含まれる導電性フィラーに用いれば、露光不良が抑制され、良好なパターン形状の電極等を形成できる。また、得られる銀被覆樹脂粒子は所定の平均粒径に対し、銀被覆層が所定の厚さを有するため、部分的な被覆であっても、良好な導電性を十分に確保できる。
本発明の第3の観点の導電ペーストは、導電性フィラーとして本発明の銀被覆樹脂粒子を含むため、比重が大きい単層の銀粒子が含まれるペーストに比べて、印刷パターン形成後の形状保持性に優れる。
本発明の第4、第5の観点の導電ペーストは、感光性の導電ペーストであって、ペースト中に本発明の銀被覆樹脂粒子が導電性フィラーとして含まれる。そのため、基板に塗布した塗布膜の表面から露光を行う際に、光を基板側まで十分に行き届かせることができる。これにより露光不良が抑制され、良好なパターン形状の電極等を形成できる。また、導電性フィラーとして含まれる銀被覆樹脂粒子は所定の平均粒径に制御され、銀被覆層が所定の厚さを有するため、良好な導電性を十分に確保できる。また、膜厚のばらつき等も特に生じることなく、均一な厚さに形成できる。
本発明の第6の観点の電極は、本発明の銀被覆樹脂粒子が導電性フィラーとして含まれるペーストによって形成されるため、形状が良好で膜厚が均一であり、また導電性に優れた電極に形成される。
実施例1で得られた銀被覆樹脂粒子の走査型電子顕微鏡(SEM)による写真図である。 実施例2で得られた銀被覆樹脂粒子の走査型電子顕微鏡による写真図である。 比較例1で得られた銀被覆樹脂粒子の走査型電子顕微鏡による写真図である。 比較例2で得られた銀被覆樹脂粒子の走査型電子顕微鏡による写真図である。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
<銀被覆樹脂粒子>
本発明の銀被覆樹脂粒子は、コア樹脂粒子(母粒子)と、その表面を被覆する銀被覆層から構成される。なお、後述する前処理により、銀を被覆する前のコア樹脂粒子表面に、予め錫吸着層等が設けられていてもよい。この銀被覆樹脂粒子は、実装後の接合部や形成後の電子部品等において導通を確保する導電性フィラーとしての役割を担う。このような非金属製の樹脂粒子を中央に配した構造を採ることで、粒子表面の銀被覆層により高い導通を確保できるとともに、従来の銀単層の金属粒子等に比べて比重を小さくすることができる。そのため、比重が大きい導電性フィラーが自重によって沈降し、塗布後のペースト内或いは印刷パターン(印刷後のペースト)内でフィラーが偏在することで、導電性のムラが生じたり、印刷パターンの形状が崩れるといった不具合を抑制できる。また、良好な導通を確保しつつ、銀の使用量を減らすことができるため、低コスト化が図られる。
そして、この銀被覆樹脂粒子は、図1又は図2に示すように、未被覆率が所望の値になるように、コア樹脂粒子の粒子表面を銀被覆層が部分的に、かつ網目状に被覆する構造になっている。
このような部分的な被覆により、コア樹脂粒子の表面には、その一部が、銀によって被覆されていない開口部が形成される。照射された紫外線等の光は、銀で被覆されていない当該開口部から粒子内へ入射して、更に粒子内へ入射した光は別の開口部から粒子外へ放射される。これにより、この銀被覆樹脂粒子は、照射された光を十分に透過する性質を有する。また、図1又は図2に示すように、部分的に被覆する銀被覆層は粒子表面の一箇所に偏在することなく、開口部が疎らに存在するように、コア樹脂粒子の粒子表面を網目状に被覆している。そのため、例えば、この銀被覆樹脂粒子を導電性フィラーに用いて感光性導電ペーストを調製すれば、基板に塗布した塗布膜の表面に紫外線等の光を照射して露光を行う際に、光を基板側まで十分に行き渡らせることができるため、露光不良によるパターン形状の形状不良を抑制できる。コア樹脂粒子の表面を網目状に被覆する銀被覆層は、その未被覆率が7〜40%を満たすように当該粒子表面を部分的に被覆している。未被覆率が下限値未満では、照射された光を十分に透過することができず、一方、未被覆率が上限値を超えると、良好な導電性が得られない。このうち、未被覆率は10〜35%を満たすことが好ましい。
銀被覆樹脂粒子を構成する銀被覆層の厚さは0.07〜0.3μmであることが好ましい。なお、ここで言う銀被覆層の厚さとは、下記式(1)より算出した平均膜厚(d)である。また、この厚さは、銀被覆樹脂粒子を製造する過程で、後述の加熱処理を施す前に測定した値、即ち銀被覆樹脂粒子前駆体における銀被覆層の厚さである。
但し、式(1)中、rはコア樹脂粒子の半径、dcoreはコア樹脂粒子の比重、dAgは銀の比重、aは銀の質量である。また、ここで言う、aの銀の質量とは、銀被覆樹脂粒子1個当たりに含まれる銀の質量である。銀被覆層の厚さが下限値未満では、銀の量が不足し、上述の未被覆率が大きくなりすぎて十分な導電性が得られない。一方、上限値を超えると、未被覆率が小さくなりすぎて、光の透過性が悪化する。このうち、銀被覆層の厚さは0.07〜0.3μmであることが更に好ましい。
銀被覆樹脂粒子の形状は、特に限定されず、球状でもよいし、球状以外の異形状、例えば扁平状、板状、針状でもよい。なお、微細な電極や電気配線等を形成する場合は、球状であることが好ましい。銀被覆樹脂が、例えば板状であると充填率が不足して細線印刷が困難になる場合があるからである。また、球状とは、完全な真球に限られず、楕円のような球形に近い形状や、表面に若干の凹凸がある形状等も含まれる。また、充填率を向上させるために、球状のものと、扁平状、板状、針状のものを組み合わせてもよい。
銀被覆樹脂粒子の平均粒径は0.5〜4μmである。銀被覆樹脂粒子の平均粒径が下限値未満では、凝集が起こりやすくなる場合があり、また、比表面積が大きくなることで銀の使用量が増加し、コストが上がる。一方、上限値を超えると粒子同士の接点が少なくなり、十分な導電性が得られない。このうち、平均粒径は0.7〜2μmであることが特に好ましい。なお、本明細書において、銀被覆樹脂粒子の平均粒径とは、走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 型式名:SU−1500)を用いて、ソフトウェア(品名:PC SEM)により、倍率5000倍で、300個の銀被覆樹脂の直径を測定し、算出された平均値をいう。また、ここで言う直径とは、真球以外の粒子の場合は、その長径をいう。
<コア樹脂粒子>
銀被覆樹脂粒子を構成するコア樹脂粒子の樹脂材質は、特に限定されないが、光の透過性、耐薬品性、耐熱性等の理由から、アクリル、フェノール、ポリスチレン、シリコーン、メラミン、ポリアミド及びPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)からなる群より選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい。
コア樹脂粒子の形状は、特に限定されず、球状でもよいが、球状以外の異形状、例えば扁平状、板状、針状でもよい。銀被覆樹脂粒子の形状を球状に形成する場合は、使用するコア樹脂粒子の形状も球状であることが好ましい。なお、球状とは、上述のように、完全な真球に限られず、楕円のような球形に近い形状や、表面に若干の凹凸がある形状等も含まれる。
コア樹脂粒子の平均粒径は、形成される銀被覆樹脂粒子の平均粒径や、銀被覆樹脂粒子を構成する銀被覆層の厚さ等を上述の所望の範囲に制御するのに好適であることから、0.4〜2.8μmの範囲であることが好ましい。コア樹脂粒子の平均粒径が小さすぎると、製造過程で凝集が起こり、後述の製造過程において、均等に被覆された銀被覆樹脂粒子前駆体が得られにくくなる場合がある。また、比表面積が大きくなることから、銀の使用量が必要以上に増大する場合がある。一方、コア樹脂粒子の平均粒径が大きすぎると、銀被覆樹脂粒子の平均粒径が所望の大きさを超える場合がある。このうち、コア樹脂粒子の平均粒径は、0.4〜1.8μmの範囲とするのが特に好ましい。なお、本明細書において、コア樹脂粒子の平均粒径とは、上述の銀被覆樹脂粒子の平均粒径と同じ方法及び条件により測定される値である。また、コア樹脂粒子の変動係数が、好ましくは20%以下、更に好ましくは10%以下であり、粒径が揃っているものを使用するのが好ましい。変動係数(CV値、単位:%)は、上記300個の粒子の粒径(真球以外は長径)から、式〔(標準偏差/平均粒径)×100〕より求められる。
なお、銀を被覆する前のコア樹脂粒子の表面には、後述する前処理により、予め錫吸着層等が設けられていることが望ましい。錫吸着層は、前処理で使用される錫化合物中の錫の2価イオンが、コア樹脂粒子の表面に付着することによって形成されたものである。一般に、有機質材料や無機質材料等の不導体の表面に無電解めっきを実施する際、予め不導体の表面に対して触媒化処理を行う必要がある。前処理として、この触媒化処理を実施して、コア樹脂粒子の表面に錫吸着層が設けられていることにより、後述する無電解めっきにより、銀(銀被覆層)が形成される。
<銀被覆樹脂粒子の製造>
銀被覆樹脂粒子は、以下の方法により製造することができる。先ず、コア樹脂粒子に、錫化合物の水溶液による前処理を行い(錫吸着層の形成工程)、次いで、前処理を行ったコア樹脂粒子に、還元剤を用いて無電解銀めっきを行う(銀被覆層の形成工程)。これにより、銀被覆樹脂粒子前駆体が得られる。そして、得られた銀被覆樹脂粒子前駆体に、所定の条件で加熱処理を施す(開口部の形成工程)。
コア樹脂粒子に錫吸着層を形成する前処理では、例えば、錫化合物の水溶液にコア樹脂粒子を添加し、攪拌する。そして、コア樹脂粒子を濾別して水洗する。攪拌時間は、以下の錫化合物の水溶液の温度及び錫化合物の含有量によって適宜決定されるが、好ましくは、0.5〜24時間である。
錫化合物の水溶液の温度は、好ましくは5〜45℃であり、より好ましくは10〜40℃である。錫化合物の水溶液の温度が5℃未満であると、温度低下により、水溶液の活性が低くなり、コア樹脂粒子に錫化合物が十分に付着しない。一方、錫化合物の水溶液の温度が45℃より高い場合は、錫化合物が酸化するため、水溶液が不安定となり、コア樹脂粒子に錫化合物が十分に付着しない。この前処理を5〜45℃の水溶液で実施することによって、適切な結晶子径の銀の結晶粒子を析出させることができる。このため、密着性、緻密性に優れた銀めっき層(銀被覆層)を形成できる。
前処理で使用する錫化合物としては、塩化第一錫、フッ化第一錫、臭化第一錫、ヨウ化第一錫等が挙げられる。塩化第一錫を用いる場合、錫化合物の水溶液中の塩化第一錫の含有量は、30〜100g/dm3が好ましい。塩化第一錫の含有量が30g/dm3以上であれば、均一な錫吸着層を形成しやすい。また、塩化第一錫の含有量が100g/dm3以下であると、塩化第一錫中の不可避不純物の量を抑制しやすい。なお、塩化第一錫は、飽和になるまで錫化合物の水溶液に含有させることができる。
錫化合物の水溶液は、塩化第一錫1gに対して、35%濃度の塩酸水溶液0.5〜2cm3を含有することが好ましい。塩酸水溶液の量が0.5cm3以上であると、塩化第一錫の溶解性が向上し、かつ錫の加水分解を抑制することができる。塩酸水溶液の量が2cm3以下であると、錫化合物の水溶液のpHが低くなり過ぎず、錫をコア樹脂粒子に効率よく吸着させることができる。
銀被覆層の形成工程では、無電解めっき法により銀被覆層の形成を行う。これにより、上述の前処理後のコア樹脂粒子の表面を銀被覆層が被覆する銀被覆樹脂粒子前駆体が得られる。無電解めっき法としては、(1)錯化剤、還元剤等を含む水溶液中に、前処理をしたコア樹脂粒子を浸漬し、銀塩水溶液を滴下する方法、(2)銀塩、錯化剤を含む水溶液中に、前処理をしたコア樹脂粒子を浸漬し、還元剤水溶液を滴下する方法、(3)銀塩、錯化剤、還元剤等を含む水溶液に、前処理をしたコア樹脂粒子を浸漬し、苛性アルカリ水溶液を滴下する方法が挙げられ、いずれの方法を適用してもよい。また、この銀被覆層を形成する工程では、銀被覆樹脂粒子前駆体における銀被覆層の厚さが、上述のように、0.07〜0.3μmの範囲内になるように銀被覆層を形成する。
銀塩としては、硝酸銀或いは銀を硝酸に溶解したもの等を用いることができる。錯化剤としては、アンモニア、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム、ニトロ三酢酸、トリエチレンテトラアンミン六酢酸等の塩類を用いることができる。還元剤としては、ホルマリン、ブドウ糖、ロッシェル塩(酒石酸ナトリウムカリウム)、ヒドラジン及びその誘導体等を用いることができる。還元剤としては、ホルムアルデヒドが好ましく、少なくともホルムアルデヒドを含む2種以上の還元剤の混合物がより好ましく、ホルムアルデヒドとブドウ糖を含む還元剤の混合物が最も好ましい。
上記得られた銀被覆樹脂粒子前駆体に加熱処理を施して、銀被覆層に開口部を形成する工程では、当該加熱処理を気相中で行ってもよいし、液相中で行ってもよいが、いずれの場合も処理温度250〜350℃、処理時間30〜180分間の条件にて行う。気相中で行う方法としては、例えば上記得られた銀被覆樹脂粒子前駆体を炉内に投入して、炉内に熱風ガスを送り込みながら、送風によって撹拌する方法等が挙げられる。
液相中で行う方法としては、例えば反応容器内に充填させた高沸点溶媒中に、上記得られた銀被覆樹脂粒子前駆体を投入して、この反応容器を、好ましくは不活性ガス雰囲気に設定した雰囲気炉内へ搬送して加熱保持する方法が挙げられる。使用する高沸点溶媒は、沸点が250℃を超えるものであれば特に限定されない。例えば1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカンジオール又はミリスチルアルコール等の非水溶性高沸点溶媒や、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、ポリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル又はポリエチレングリコールモノメチルエーテル等の水溶性高沸点溶媒が挙げられる。
加熱処理の際の処理条件を上記範囲に限定したのは、処理温度又は処理時間が下限値未満では、コア樹脂粒子の表面に形成した銀被覆層に所望の開口部が十分に形成されない。一方、上限値を超えると、開口部が広くなり過ぎる等の理由から導電性が低下するといった不具合が生じる。この加熱処理を所望の処理条件で施すことにより、銀被覆層に所望の開口部が適度に形成され、最終的に、コア樹脂粒子の表面が銀被覆層によって部分的に、かつ網目状に被覆された上述の銀被覆樹脂粒子が得られる。なお、上記開口部の形成は、加熱処理の際に起こる銀の低温焼結等に起因するものと推察される。
<導電ペースト等>
このようにして得られた本発明の銀被覆樹脂粒子は、上述のように、光の透過性に優れているため、特に、感光性の導電ペーストに含まれる導電性フィラーとして好適に利用することができる。また、この銀被覆樹脂粒子は、光の透過性以外に、導電性や印刷パターン形成後の形状保持性等にも優れることから、感光性を持たない、通常の導電ペースト等にも利用できる。その他、異方性導電接着剤等の異方性導電材料、或いは導電スペーサといった導電性材料に含まれる導電性フィラーとしても使用することができる。
本実施形態では、上述の銀被覆樹脂粒子を用いて調製される感光性導電ペーストを例に挙げ、その調製方法等を代表的に説明する。なお、導電性フィラーに当該銀被覆樹脂粒子を使用すること以外は、この実施形態に限定されず、感光性導電ペーストの調製に用いられる周知の材料又は方法等により調製することができる。
一般に、感光性導電ペーストには、導電性フィラー(A)以外に、アルカリ可溶性樹脂(B)、多官能(メタ)アクリレート(C)、光重合開始剤(D)、光吸収剤(E)、溶剤(F)、その他添加剤等が含まれる。
アルカリ可溶性樹脂(B)としては、例えばアルカリ可溶性官能基含有モノマーと(メタ)アクリル酸誘導体との共重合体が挙げられる。アルカリ可溶性官能基含有モノマーとしては、アルカリ可溶性官能基と不飽和結合とを有するモノマーを用いることができる。具体的には、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ケイ皮酸、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート又はω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有モノマー類、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル又は(α−ヒドロキシメチル)アクリレート等の水酸基含有モノマー類、o−ヒドロキシスチレン、m−ヒドロキシスチレン又はp−ヒドロキシスチレン等のフェノール性水酸基含有モノマー類等である。これらのアルカリ可溶性官能基含有モノマーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、これらのアルカリ可溶性官能基含有モノマーの中では、(メタ)アクリル酸、2−メタクリロイルオキシエチルフタル酸、2−アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2−アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート又は(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルが特に好ましい。アルカリ可溶性官能基含有モノマーを共重合することにより、樹脂にアルカリ可溶性を付与することができる。アルカリ可溶性官能基含有モノマー由来の構成単位の含有量は、アルカリ可溶性樹脂(B)の全構成単位中、5〜90質量%の範囲とすることが好ましく、10〜80質量%の範囲とすることがより好ましく、15〜70質量%の範囲とすることが更に好ましい。(メタ)アクリル酸誘導体としては、アルカリ可溶性官能基含有モノマーと共重合可能な(メタ)アクリル酸誘導体であれば特に限定されない。使用可能な(メタ)アクリル酸誘導体としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、トリチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の、上記したアルカリ可溶性官能基含有モノマー以外の(メタ)アクリレート類を挙げることができる。
上述のアルカリ可溶性官能基含有モノマーと(メタ)アクリル酸誘導体との共重合の際、ラジカル重合開始剤を用いることが好ましい。ラジカル重合開始剤としては、ビニル単量体の重合に用いられるラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、例えば2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2−メチルブチルニトリル)、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、1,1'−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、ジメチル−2,2'−アゾビスイソブチレート又は4,4'−アゾビス(4−シアノバレリック酸)等のアゾ化合物、t−ブチルパーオキシビバレート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート又はクミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート等のパーオキシエステル類の有機過酸化物等を挙げることができる。
ラジカル重合開始剤は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ラジカル重合開始剤の使用量は、上述の共重合に使用する全モノマー100質量部に対して、0.1〜10質量部程度とすることが好ましい。
多官能(メタ)アクリレート(C)としては、例えばアリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、2,5−ヘキサンジ(メタ)アクリレート、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート又はトリグリセロールジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート類、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンPO(プロピレンオキサイド)変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンEO(エチレンオキサイド)変性トリ(メタ)アクリレート、ベンジルメルカプタントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート又はジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。また、多官能(メタ)アクリレート(C)として、上述の化合物中の芳香族環に結合した水素原子のうち、1〜5個が塩素原子又は臭素原子に置換されたモノマーを挙げることもできる。これらの多官能(メタ)アクリレート(C)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
光重合開始剤(D)としては、公知の光重合開始剤を用いることができる。また、露光感度を向上させるために、光重合開始剤とともに、増感剤を用いることもできる。光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4’−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、カンファーキノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン又は2,2'−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン等のカルボニル化合物を挙げることができる。また、光重合開始剤(D)として、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド又はビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物を挙げることもできる。これらの光重合開始剤(D)は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
増感剤としては、例えば2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)−イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カルボニル−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオテトラゾール又は1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオテトラゾール等を挙げることができる。
光吸収剤(E)としては、350〜450nmの波長範囲で高い光吸収係数を有するものが好ましく用いられる。そして、光吸収剤(E)は、吸収極大波長が350〜450nmの波長範囲にあるものがより好ましく、400〜420nmの波長範囲にあるものが更に好ましい。
光吸収剤(E)としては、例えばクルクミン系光吸収剤、アゾ系光吸収剤、アミノケトン系光吸収剤、キサンテン系光吸収剤、キノリン系光吸収剤、アミノケトン系光吸収剤、アントラキノン系光吸収剤、ベンゾフェノン系光吸収剤、ジフェニルシアノアクリレート系光吸収剤、トリアジン系光吸収剤又はp−アミノ安息香酸系光吸収剤等の有機系光吸収剤が挙げられる。また、例えば無機系顔料である、酸化亜鉛、酸化チタン又は酸化セリウム等の無機系光吸収剤が挙げられる。
溶剤(F)としては、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ジオキサン、ヘキサン、トルエン、メチルセロソルブ、シクロヘキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジアセトンアルコール、ジメチルアセトアミド、γ−ブチロラクトン、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、エチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、ブチルセルソルブ、ブチルセロソルブアセテート、エチルセルソルブ、α−テルピネオール等が挙げられる。
感光性導電ペーストには、上記以外に必要に応じて、重合禁止剤、酸化防止剤、密着助剤、溶解促進剤等のその他の添加剤を適宜含ませることができる。
感光性導電ペーストを調製するには、先ず、ペースト中に含まれる各成分、即ち上述の銀被覆樹脂粒子と、アルカリ可溶性樹脂、多官能(メタ)アクリレート、光重合開始剤、光吸収剤及び溶剤、更には必要に応じてその他の添加剤を所望の割合になるように調合する。
感光性導電ペースト100質量%中に占める導電性フィラー(A)、即ち上述の銀被覆樹脂粒子の好ましい割合は、40〜80質量%である。また、ペースト100質量%中に占める樹脂成分、即ちアルカリ可溶性樹脂(B)の割合は、5〜50質量%の範囲とすることが好ましく、10〜80質量%の範囲とすることがより好ましく、15〜70質量%の範囲とすることが更に好ましい。また、ペースト100質量%中に占める多官能アクリレート(C)の割合は、3〜60質量%の範囲とするのが好ましい。また、光重合開始剤(D)は、多官能アクリレート(C)100質量%に対して2〜40質量%の範囲とするのが好ましい。また、光吸収剤(E)は、導電性フィラー(A)100質量%に対して0.1〜9.5質量%の範囲とするのが好ましい。また、ペースト100質量%中に占める溶剤(F)の割合は、5〜40質量%の範囲であることが好ましい。
次いで、これら各成分を、三本ローラー、ボールミル或いは遊星式ボールミル等の分散機又は混練機を用いて混練することにより、ペースト状に調製される。調製後のペーストは、粘度が100〜50000mPa・sであることが好ましい。粘度がこの範囲に調整されることで印刷性等に優れる。
<電極等の形成>
続いて、上記方法で調製された感光性導電ペーストを用いて電極を形成する方法について説明する。具体的には、先ず、基材にこのペーストを塗布して塗布膜(ゲル膜)を形成する。塗布方法としては、例えばスクリーン印刷法や、バーコーター、ブレードコーター、フィルムアプリケーター等を用いた方法が挙げられる。基材としては、電極の用途に応じて、例えばガラス基板やセラミック基板等が用いられる。
次に、熱風循環式乾燥炉、遠赤外線乾燥炉等を用いて、印刷パターンを乾燥させる。そして、塗膜にパターン露光して、現像する。露光方法としては、例えば、所定の露光パターンを有するネガマスクを用いた接触露光又は非接触露光が可能である。露光光源としては、ハロゲンランプ、高圧水銀灯、レーザー光、メタルハライドランプ、ブラックランプ、無電極ランプ等が一般的に使用される。
現像方法としては、スプレー法、浸漬法等が用いられる。現像液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム等の金属アルカリ水溶液や、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン水溶液を使用することができる。現像後は、不要な現像液の除去のため、水洗や酸中和を行うことが好ましい。
そして、露光、現像により得られた所望のパターンを有する塗布膜を焼成し、熱硬化させて電極パターンに形成する。焼成は、熱風循環炉等の装置を用いて、好ましくは150〜250℃の温度で0.5〜1時間保持することにより行うことができる。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
先ず、塩化第一錫20gと、濃度が35%の塩酸20cm3を、容量1dm3のメスフラスコを用いて水で1dm3に希釈(メスアップ)し、25℃に保温した。この水溶液に、平均粒径が0.8μmであり、かつ粒径の変動係数が7%のシリコーン樹脂粒子10gを添加して、2時間撹拌し、その後、シリコーン樹脂粒子を濾別して水洗することにより前処理を行った。なお、上記シリコーン樹脂粒子には、ポリメチルシルセスキオサキサン樹脂粒子を使用した。
次に、上記前処理により表面に錫吸着層が形成されたシリコーン樹脂粒子に、無電解めっきにより銀被覆層を形成するため、水5dm3に、エチレンジアミン四酢酸四ナトリウム(錯化剤)700g、水酸化ナトリウム161g、37%濃度のホルマリン(還元剤)320cm3を溶解し、錯化剤及び還元剤を含む水溶液を作製した。また、硝酸銀105g、25%濃度のアンモニア水135cm3、水550cm3を混合し、硝酸銀を含む水溶液を作製した。
次に、上記調製した錯化剤及び還元剤を含む水溶液中に、上記前処理後のシリコーン樹脂粒子を浸漬させた。その後、水溶液を撹拌しながら、硝酸銀を含む水溶液を滴下することにより、銀被覆樹脂粒子前駆体を得た。銀被覆樹脂粒子前駆体は、その後、水洗して乾燥させた。
次いで、上記得られた銀被覆樹脂粒子前駆体に、次の手順により、気相中で加熱処理を施した。具体的には、上記得られた銀被覆樹脂粒子前駆体を炉内に投入し、炉内に熱風を送り込みながら、送風によって撹拌することにより、大気雰囲気中、300℃の温度で60分間加熱処理を行った。これにより、以下の表1に示す銀被覆樹脂粒子を得た。実施例1で得られた銀被覆樹脂粒子を走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 型式名:SU−1500)で観察したときの写真図を図1に示す。
<実施例2>
コア樹脂粒子として、平均粒径が1.8μmであり、かつ粒径の変動係数が5%のシリコーン樹脂粒子を使用したこと、及び銀被覆層の厚さを以下の表1に示す厚さに制御したこと以外は、実施例1と同様にして、以下の表1に示す銀被覆樹脂粒子を得た。なお、銀被覆層の厚さの制御は、上述の錯化剤及び還元剤を含む水溶液又は硝酸銀を含む水溶液を作製するときの各成分の使用量を、コア樹脂粒子の平均粒径に応じて調整することにより行った(後述する他の実施例又は比較例において同じ)。
<実施例3>
コア樹脂粒子として、平均粒径が1.2μmであり、かつ粒径の変動係数が5%のアクリル樹脂粒子(PMMA樹脂)を使用したこと、銀被覆層の厚さを以下の表1に示す厚さに制御したこと、及び加熱処理の際の処理時間を180分間としたこと以外は、実施例1と同様にして、以下の表1に示す銀被覆樹脂粒子を得た。なお、
<実施例4>
コア樹脂粒子として、平均粒径が1.8μmであり、かつ粒径の変動係数が7%のシリコーン樹脂粒子を使用したこと、銀被覆層の厚さを以下の表1に示す厚さに制御したこと、銀被覆樹脂粒子前駆体の加熱処理を、液相中で行ったこと以外は、実施例1と同様にして、以下の表1に示す銀被覆樹脂粒子を得た。なお、液相中での加熱処理は次の手順により行った。具体的には、先ず、ガラス製の反応容器内に高沸点溶媒として1,10−デカンジオールを充填し、ここに上記得られた銀被覆樹脂粒子前駆体を投入した。次いで、この反応容器をN2ガス雰囲気に設定した雰囲気炉内へ搬送し、250℃まで昇温させて180分間静置することにより行った。
<実施例5>
加熱処理する際に、高沸点溶媒としてミリスチルアルコールを用いたこと、処理温度を330℃、処理時間を60分間としたこと以外は、実施例4と同様にして、以下の表1に示す銀被覆樹脂粒子を得た。
<実施例6>
コア樹脂粒子として、平均粒径が0.5μmであり、かつ粒径の変動係数が10%のシリコーン樹脂粒子を使用したこと、銀被覆層の厚さを以下の表1に示す厚さに制御したこと、及び加熱処理の際の処理温度を250℃、処理時間を30分間としたこと以外は、実施例1と同様にして、以下の表1に示す銀被覆樹脂粒子を得た。
<実施例7>
コア樹脂粒子として、平均粒径が3μmであり、かつ粒径の変動係数が4%のアクリル樹脂粒子(PMMA樹脂)を使用したこと、銀被覆層の厚さを以下の表1に示す厚さに制御したこと、及び加熱処理の際の処理時間を180分間としたこと以外は、実施例1と同様にして、以下の表1に示す銀被覆樹脂粒子を得た。
<比較例1>
コア樹脂粒子として、平均粒径が1.8μmであり、かつ粒径の変動係数が5%のシリコーン樹脂粒子を使用したこと、銀被覆層の厚さを以下の表1に示す厚さに制御したこと、銀被覆樹脂粒子前駆体の加熱処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、以下の表1に示す銀被覆樹脂粒子を得た。
<比較例2>
コア樹脂粒子として、平均粒径が1.8μmであり、かつ粒径の変動係数が5%のシリコーン樹脂粒子を使用したこと、銀被覆層の厚さを以下の表1に示す厚さに制御したこと、及び加熱処理の際の処理時間を30分間としたこと以外は、実施例1と同様にして、以下の表1に示す銀被覆樹脂粒子を得た。なお、この比較例2では、最終的に得られる銀被覆樹脂粒子の銀被覆層の厚さを非常に薄く制御したため、加熱処理後の未被覆率が所望の範囲を超える大きい値を示した。
<比較例3>
アトマイズ法により得られた、平均粒径が2μmの銀粒子を比較例3とした。
<比較例4>
コア樹脂粒子として、平均粒径が1.8μmであり、かつ粒径の変動係数が5%のシリコーン樹脂粒子を使用したこと、銀被覆層の厚さを以下の表1に示す厚さに制御したこと、及び加熱処理の際の処理時間を180分間としたこと以外は、実施例1と同様にして、以下の表1に示す銀被覆樹脂粒子を得た。
<比較例5>
コア樹脂粒子として、平均粒径が0.3μmであり、かつ粒径の変動係数が15%のシリコーン樹脂粒子を使用したこと、銀被覆層の厚さを以下の表1に示す厚さに制御したこと、及び加熱処理の際の処理時間を180分間としたこと以外は、実施例1と同様にして、以下の表1に示す銀被覆樹脂粒子を得た。
<比較例6>
コア樹脂粒子として、平均粒径が4μmであり、かつ粒径の変動係数が7%のシリコーン樹脂粒子を使用したこと、銀被覆層の厚さを以下の表1に示す厚さに制御したこと、及び加熱処理の際の処理時間を180分間としたこと以外は、実施例1と同様にして、以下の表1に示す銀被覆樹脂粒子を得た。
<比較例7>
加熱処理の際の処理時間を20分間としたこと以外は、実施例1と同様にして、以下の表1に示す銀被覆樹脂粒子を得た。
<比較例8>
コア樹脂粒子として、平均粒径が0.5μmであり、かつ粒径の変動係数が10%のシリコーン樹脂粒子を使用したこと、銀被覆層の厚さを以下の表1に示す厚さに制御したこと、加熱処理の際の処理時間を200分間としたこと以外は、実施例1と同様にして、以下の表1に示す銀被覆樹脂粒子を得た。
<比較例9>
コア樹脂粒子として、平均粒径が1.8μmであり、かつ粒径の変動係数が7%のシリコーン樹脂粒子を使用したこと、銀被覆層の厚さを以下の表1に示す厚さに制御したこと、加熱処理の際の処理温度を360℃としたこと以外は、実施例1と同様にして、以下の表1に示す銀被覆樹脂粒子を得た。
<比較試験及び評価1>
実施例1〜7及び比較例1〜9で得られた銀被覆樹脂粒子等について、以下の(i)〜(v)の評価を行った。これらの結果を以下の表1に示す。また、実施例1,2及び比較例1、2で得られた銀被覆樹脂粒子を走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 型式名:SU−1500)で観察したときの写真図を、それぞれ図1〜図4に示す。
(i) 平均粒径:走査型電子顕微鏡(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 型式名:SU−1500)を用いて、ソフトウェア(品名:PC SEM)により、倍率5000倍で、300個の銀被覆樹脂の直径を測定し、その平均値を算出した。
(ii) 未被覆率:SEM画像解析により、各実施例又は比較例で得られた銀被覆樹脂粒子の未被覆率を測定した。具体的には、倍率5000倍で撮影した銀被覆樹脂粒子の写真図について、画像解析ソフト(Mountech社 Mac-View)により未被覆部分の面積を割り出し、その割合を算出した。なお、表1に示す値は、上記写真図に映し出された任意の粒子100個について上記割合を算出し、これらを平均した値である。
(iii) 銀被覆層の厚さ:下記式(1)より、加熱処理前の銀被覆層の厚さを測定した。
式(1)中、rはコア樹脂粒子の半径、dcoreはコア樹脂粒子の比重、dAgは銀の比重、aは銀の質量である。
(iv) 圧粉体積抵抗率:各実施例又は比較例で得られた銀被覆樹脂粒子等を圧力容器に入れて、印加圧力200MPaにて圧縮し、この圧粉の体積抵抗率を抵抗率計(三菱化学社製、ロレスタ−GP[型式:UV−3101PC])を用いて測定した。
(v) UV透過率:各実施例又は比較例で得られた銀被覆樹脂粒子等を導電性フィラーに用いて導電ペーストを調製した後、当該ペーストを用いて塗膜を形成し、そのUV(紫外線)透過率を測定した。具体的には、先ず、導電性フィラーとしての銀被覆樹脂粒子80質量%と、バインダ成分としてのアクリル樹脂(関西ペイント社製 商品名:アクリックNo.1000クリヤー)20質量%とを混合して、導電ペーストを調製した。
次に、上記調製した導電ペーストを、スクリーン印刷により100×100mm角のガラス基板上に塗布して塗布膜を形成した後、大気雰囲気中、80℃の温度で30分間熱処理することにより、厚さ40μmの塗膜を形成した。そして、形成した塗膜の透過率を、分光光度計(日立ハイテク社製、型式名:UH-4150)により測定した。
(vi) 塗膜形状:上記形成した塗膜について、目視による外観の評価と膜厚のばらつきを評価した。膜厚のばらつきは、デジタルノギスを用い、各塗膜ごとに5箇所で膜厚を測定し、これらのばらつき具合をそれぞれ評価した。なお、表1中、「良好」は、均一な塗膜であり、かつ5箇所で測定した膜厚のばらつきが±10%以内であった場合を示す。一方、「不良」は、均一な塗膜でなく、かつ5箇所で測定した膜厚のばらつきが±10%を超えた場合を示す。
表1から明らかなように、実施例1〜7と比較例1〜9を比較すると、単層の銀粒子を使用した比較例3ではUV透過率が最も低い値を示した。
また、未被覆率が所定値に満たない比較例1、及び未被覆率が所定値に満たず、銀被覆層の厚さが所定値を超えるように制御した比較例4では、UV透過率が低い値(17%以下)を示した。一方、未被覆率が所定値を超え、銀被覆層の厚さが所定値に満たないように制御した比較例2では、体積抵抗率が非常に高い値(1×10-4Ω・cm以上)を示し、導電性が大幅に低下した。
また、銀被覆樹脂粒子の平均粒径が所定値に満たない比較例5では、銀被覆樹脂粒子が凝集して、塗布膜を形成する際にスクリーン目詰まりが起こり、均一な塗膜を形成することができなかった。また、銀被覆樹脂粒子の平均粒径が所定値を超える比較例6では、体積抵抗率が高い値を示し、導電性が低下した。
また、所定の処理時間に満たない条件にて加熱処理を行った比較例7では、未被覆率が所定値に満たず、UV透過率が低い値を示した。また、所定の処理時間又は処理温度を超える条件にて加熱処理を行った比較例8,9では、未被覆率が所定値を超えたため、体積抵抗率が非常に高い値を示し、導電性が大幅に低下した。
これに対し、実施例1〜7では、すべての評価において良好な結果が得られた。
<比較試験及び評価2>
上述の実施例1、2及び7で得られた銀被覆樹脂粒子と、比較例3で得られた銀粒子と、比較例4で得られた銀被覆樹脂粒子をそれぞれ用いて感光性導電ペーストを調製し、露光、現像後のパターン形状について評価した。この結果を以下の表2〜表4に示す。
(vii) 露光、現像後のパターン形状:先ず、導電性フィラーとして実施例1、2及び7で得られた銀被覆樹脂粒子と、比較例3で得られた銀粒子と、比較例4で得られた銀被覆樹脂粒子をそれぞれ用意し、以下の手順により感光性導電ペーストをそれぞれ調製した。具体的には、導電性フィラー(A)として銀被覆樹脂粒子が80質量%、アルカリ可溶性樹脂(B)としてカルボキシル基含有アクリル樹脂が8.0質量%、多官能(メタ)アクリレート(C)としてトリメチロールプロパンEO変性トリアクリレートが4.0質量%、光重合開始剤(D)として2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1が1.0質量%、溶剤(F)としてジプロピレングリコールモノメチルエーテルが7.0質量%となる割合に調合し、これらを3本ロールミルにて混練することにより感光性導電ペーストを調製した。なお、表2〜表4において、感光性導電ペースト(a)、(b)、(c)は、実施例1、2及び7で得られた銀被覆樹脂粒子を用いて調製した感光性導電ペーストであり、感光性導電ペースト(d)は、比較例3で得られた銀粒子を用いて調製した感光性導電ペーストであり、感光性導電ペースト(e)は、比較例4で得られた銀被覆樹脂粒子を用いて調製した感光性導電ペーストである。また、上記カルボキシル基含有アクリル樹脂とは、具体的には、カルボキシル基含有モノマー(アルカリ可溶性官能基含有モノマー)であるアクリル酸と、(メタ)アクリル酸誘導体であるエチルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート及びグリシジルメタクリレートとの共重合体である。
次に、上記調製した感光性導電ペーストを用いて、基板上に所望の電極パターンを有する試験用サンプルを作製した。具体的には、先ず、PETフィルムからなる、厚さ100μmの基板上に、上記調製した感光性導電ペーストをスクリーン印刷法にて塗布することにより、塗布膜を形成した。次いで、形成した塗布膜を、乾燥炉を用いて80℃の温度で20分間乾燥させた。その後、所望の露光パターンを有する露光マスクと露光装置を用いて、塗布膜の表面から、露光量200mJ/cm2(波長365nm換算)の条件で全線露光を行った。続いて、0.3質量%の炭酸ナトリウム水溶液を用いて現像することで非露光部分を除去し、その後水洗した。最後に、現像後のパターンを、乾燥炉を用いて140℃の温度で30分間保持して硬化させることにより、基板上に電極パターンを形成した。なお、塗布膜を形成する際の膜厚を12μm、10μm、7μmに変更し、また、露光マスクに、ライン(L)/スペース(S)が10/10(μm)、15/15(μm)、20/20(μm)、25/25(μm)、30/30(μm)、50/50(μm)又は100/100(μm)のいずれかの露光パターンを有する、計7種の露光マスクを用いることにより、各ペーストごとに、塗布膜の膜厚条件又はL/Sの条件が異なる試験用サンプルをそれぞれ21個ずつ作製した。
上記作製した試験用サンプルの電極パターンの形状を光学顕微鏡にて観察した。表2〜表4中、「良」は、露光不良による未現像部もなく、所望の形状の電極パターンが形成された場合を示す。一方、「不良」は、露光不良によって未現像部が生じ、形成した電極パターンに形状不良が確認された場合を示す。
表2〜表4から明らかなように、塗布膜の膜厚が厚く、L/Sの幅が狭くなるに従い、露光の際のUV光が基板側まで届きにくく、露光不良によって電極パターンに形状不良が生じやすくなることが分かる。そして、比較例3の粉末を用いた感光性導電ペースト(d)では、塗布膜の膜厚を7μmと最も薄く形成したときには、L/Sの幅を20/20(μm)と比較的狭く形成しても、形状不良はみられなかった。一方、塗布膜の膜厚を12μmと最も厚く形成した場合には、L/Sの幅を25/25(μm)と比較的広く形成しても形状不良が確認された。比較例4の粉末を用いた感光性導電ペースト(e)では、塗布膜の膜厚を12μmと最も厚く、かつL/Sの幅を10/10(μm)と最も狭く形成した場合に形状不良が確認された。
これに対して、実施例1、2及び7の粉末を用いた感光性導電ペースト(a)、(b)及び(c)では、塗布膜の膜厚を7μm、10μmに形成した場合は、L/Sの幅を最も狭く形成しても形状不良はみられなかった。また、塗布膜の膜厚を最も厚く形成した場合でも、形状不良は確認されず、非常に優れた結果が得られた。
本発明は、電子機器又は電子表示機器等が備える電子部品(電極又は電気配線等)の形成に好適に利用できる。特に、より高解像度で微細な電子部品の形成に好適に利用できる。

Claims (6)

  1. コア樹脂粒子と、前記コア樹脂粒子を被覆する銀被覆層とを備えた銀被覆樹脂粒子において、
    前記コア樹脂粒子は、未被覆率が7〜40%となるように、その粒子表面が前記銀被覆層によって部分的に、かつ網目状に被覆され、
    前記銀被覆樹脂粒子の平均粒径が0.5〜4μmであることを特徴とする銀被覆樹脂粒子。
  2. コア樹脂粒子と、前記コア樹脂粒子を被覆する銀被覆層とを備えた銀被覆樹脂粒子の製造方法において、
    前記コア樹脂粒子を前処理して、その粒子表面に錫吸着層を形成する工程と、
    前記前処理によって錫吸着層が形成されたコア樹脂粒子の粒子表面に、無電解めっき法により前記銀被覆層の厚さが0.07〜0.3μmとなるように前記銀被覆層を形成して、銀被覆樹脂粒子前駆体を得る工程と、
    前記銀被覆樹脂粒子前駆体に、気相中又は液相中、温度250〜350℃、処理時間30〜180分間の条件で加熱処理を施す工程と
    を含むことを特徴とする銀被覆樹脂粒子の製造方法。
  3. 請求項1記載の銀被覆樹脂粒子を含む導電ペースト。
  4. 前記導電ペーストが感光性導電ペーストである請求項3記載の導電ペースト。
  5. 前記銀被覆樹脂粒子以外に、アルカリ可溶性樹脂、多官能(メタ)アクリレート、光重合開始剤、光吸収剤及び溶剤を含む請求項4記載の導電ペースト。
  6. 請求項3ないし5いずれか1項に記載の導電ペーストを用いて形成された電極。
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