JP2017179387A - 水路用鋼材およびその製造方法ならびに鋼製水路 - Google Patents

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Abstract

【課題】水没環境下の耐食性に優れた水路用鋼材を提供する。
【解決手段】所定形状に加工された鋼材の表面に溶融めっき層と、該溶融めっき層の上層としてプライマー塗装層と、該プライマー塗装層の上層として上塗り塗装層を有する鋼材。上塗り塗装層が、特殊エポキシ樹脂層又は無機系ポリマー層のいずれかとし、プライマー塗装層が、特殊変性ビニル樹脂層、変性エポキシ樹脂層、エポキシ樹脂層のうちのいずれかとすることが好ましい水路用鋼材。前記水路用鋼材を用いることにより、農業用水路等の水没環境下で使用される鋼構造物(鋼製水路)の耐食性が向上し、鋼製水路等の鋼構造物の長寿命化が図れる。
【選択図】図1

Description

本発明は、農業用水路等の環境下で使用される鋼材、とくに水路用鋼材に係り、とくに水没環境下における耐食性の向上に関する。
従来、農業用水路は、コンクリート製が一般的であった。しかし、近年、薄鋼板を用いた鋼製コルゲートパイプ、鋼製コルゲートフリューム等の、鋼製波形水路が建設されるようになってきた。鋼製波形水路は、軽量で高い強度を確保でき、施工が簡単であり、軟弱な地盤であっても容易に設置することができる。しかし、鋼材は耐食性が劣るため、表面に亜鉛めっきを施した鋼材(溶融亜鉛めっき鋼材)が一般に用いられてきた。
しかし、溶融亜鉛めっき鋼材では、環境によっては亜鉛めっきの耐食性が不足するという問題があった。そのため、亜鉛めっきの被覆物として、アスファルトタールエポキシ塗料が使用された。しかし、これらの被覆物でも十分な防食性は得られなかった。
このような問題に対し、例えば、特許文献1には、「耐衝撃性に優れたポリエチレン被覆重防食Znめっき鋼材」が記載されている。特許文献1に記載された技術は、Znめっき鋼材上に下地処理層として化成処理層および/またはプライマー塗布層と、接着性ポリエチレン被覆層と、該接着性ポリエチレン被覆層に融着したポリエチレンペレット層とを有する耐衝撃性に優れたポリエチレン被覆重防食Znめっき鋼材である。この鋼材は、最外層としてポリエチレンペレット層が付着し、かつ融着しているため、優れた耐衝撃性、付着性、耐塩水噴霧性、耐候性、および耐熱劣化性などの重防食性を有するとしている。
また、特許文献2には、「防食性および耐衝撃性に優れたポリエチレン被覆防食亜鉛めっき鋼材」が記載されている。特許文献2に記載された技術は、Cr3+/全Cr原子比=0.3〜0.5、全Si/全Cr原子比=1〜2、付着量が全Cr換算で180〜260mg/mのシリカゾル含有クロメート層を有し、その上に変性度0.03〜0.05重量%、メルトインデックス2〜4のカーボンを0.5〜1.5重量%含有する接着性ポリエチレン層を有するポリエチレン被覆重防食亜鉛めっき鋼材である。
特許文献2に記載された技術では、亜鉛めっき鋼材にシリカゲル添加クロメートを塗布し、その後、鋼材を加熱炉に入れて240〜300℃で加熱し、その直後に鋼材にポリエチレン粉体をふりかけ、溶着させて接着性ポリエチレン層を形成する。その後、さらに加熱炉に装入し、200〜250℃に加熱しポリエチレン粉体の更なる融着を図るとともに、ポリエチレン層表面を滑らかにする。これにより、優れた耐衝撃性、付着性、耐塩水噴霧性、耐候性、および耐熱劣化性などの重防食性を有する鋼材となり、農業用水路など、土砂などの固形物からの衝撃を受けやすく、かつ水質が酸、塩分を含み、重防食性が要求される環境下でも有利に使用することができるとしている。
また、特許文献3には、送電用鉄塔等の、亜鉛めっき処理が施された鋼構造物の表面に、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂(A)、ウレタン変性エポキシ樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、ケトン樹脂、クマロン樹脂及び石油樹脂からなる群より選ばれる少なくとも一種の樹脂(B)、及びアミン系硬化剤(C)を含有し、該樹脂(B)の含有量が該樹脂(A)の固形分100重量部に対して10〜300重量部である下塗り塗料(I)を、硬化膜厚で10〜200μmとなるように塗装し、ついで1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂(D)、リン片状顔料(E)、及びアミン系硬化剤(F)を含有し、かつリン片状顔料(E)の含有量が該樹脂(D)の固形分100重量部に対して5〜100重量部の塗料である上塗り塗料(II)を硬化膜厚で100〜1500μmとなるように塗装する亜鉛めっき処理が施された鋼構造物の防食塗装方法が記載されている。
特開昭64―56542号公報 特開平02−160549号公報 特許第4979581号公報
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、加熱してポリエチレン粉体を融着させ、さらに後加熱することによってポリエチレン被覆を行い、その直後にポリエチレンペレットをZnめっき鋼材の外面または両面に付着させ、再加熱してポリエチレンペレットをポリエチレン被覆に融着させる必要がある。このため、特許文献1に記載された技術では、加熱処理を2回施す必要があり、加熱処理設備、しかも大型の設備を必要とし、経済的に不利となるという問題があった。
また、ポリエチレンは、金属等との耐水密着性が劣り、化成処理層等の下地処理が重要となる。しかし、加熱処理を施すと、化成処理層等が酸化し、所望の特性を確保できなくなるという問題がある。さらには、ポリエチレン樹脂は水透過性や酸素透過性が高く、とくに農業用水路等の水没環境下で使用する場合には、塗膜下腐食による塗膜の膨れが発生しやすいという問題がある。
また、特許文献2に記載された技術においても、接着性ポリエチレン層の形成に際して、ポリエチレン粉体の融着、ポリエチレン層表面の滑らかさを増加させるために、2回の加熱を必要としており、特許文献1に記載された技術と同様の問題点がある。さらには、ポリエチレン樹脂は水透過性や酸素透過性が高く、とくに農業用水路等の水没環境下で使用する場合には、塗膜下腐食による塗膜の膨れが発生しやすいという問題がある。
またさらに、特許文献3に記載された技術では、上塗り塗料(II)に、エポキシ樹脂(D)に加えてリン片状顔料(E)を必須含有させて塗膜を形成させている。特許文献3に記載された技術では、リン片状顔料(E)として、ガラスフレーク、ステンレスフレーク等の硬い物質を含有させている。特許文献3に記載された技術を例えば、水路に適用した場合には、水路には小石等も流れており、とくに流れが速い箇所では、小石等が塗膜中に含まれた硬い物質(リン片状顔料)にあたり、その衝撃でリン片状顔料とともに樹脂が剥がされ、塗膜の摩耗が不均一に促進されやすいという問題があった。
なお、さらに、最近では年々、水路等に流入する水が、塩分の増加、pHの低下などにより、水質が悪化する傾向にある。そのため、農業用水路等の水路を構成する鋼構造物(鋼材)に錆が発生するという問題が生じ、とくに、水流速度が大きくなる箇所や、水が溜まりやすい箇所、乾燥と湿潤とを繰返す箇所など(以下、このような箇所を水没環境下の箇所ともいう)で、錆発生が顕著となるといわれている。これは、このような箇所では早期に亜鉛めっき層が消失するためであると考えられている。このため、水路を構成する鋼構造物(鋼材)の、水没環境下における耐食性の向上が要望されている。
本発明は、かかる従来技術の問題を有利に解決し、水没環境下の耐食性に優れた水路用鋼材およびその製造方法、並びに鋼製水路を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記した目的を達成するため、溶融めっき層(溶融亜鉛めっき層)の上層として塗装層を形成した際に、水没環境下の耐食性に影響する各種要因について鋭意研究した。その結果、塗装層を形成する樹脂の種類、さらには塗装層の厚さの影響が大きいことに想到し、とくに下地である溶融めっき層(溶融亜鉛めっき層)と塗装層を構成する樹脂との密着性、および、塗装層を構成する樹脂における水、イオン、酸素等の透過性が、塗装層付き鋼材の耐食性に大きく影響することを知見した。
このような観点から、本発明者らは、加熱することなく、緻密な塗装層を形成できる、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、無機系ポリマーに着目し、溶融めっき層の上層として、上記した樹脂による塗装層を形成することにより、溶融めっき層と塗装層との密着性が向上し、しかも水、酸素等の透過性が低減し、とくに水没環境下の耐食性が向上することを知見した。
本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨はつぎのとおりである。
(1)所定形状に加工された鋼材の表面に溶融めっき層と、該溶融めっき層の上層としてプライマー塗装層と、該プライマー塗装層の上層として上塗り塗装層を有する鋼材であって、前記上塗り塗装層が、特殊エポキシ樹脂層または無機系ポリマー層であることを特徴とする水没環境下における耐食性に優れた水路用鋼材。
(2)(1)において、前記プライマー塗装層が、特殊変性ビニル樹脂層、変性エポキシ樹脂層、ウレタン変性エポキシ樹脂層およびエポキシ樹脂層のいずれかであることを特徴とする水路用鋼材。
(3)(1)または(2)において、前記水路用鋼材が、鋼矢板、波形鋼板、コルゲートパイプまたはコルゲートフリュームのいずれかであることを特徴とする水路用鋼材。
(4)薄鋼板に加工を施し所定形状の水路用鋼材とし、ついで該水路用鋼材に溶融めっき処理を施して表面に溶融めっき層を形成したのち、水路設置時に内側となる面の表面にさらに、前記溶融めっき層の上層としてプライマー塗装を施してプライマー塗装層を、さらに該プライマー塗装層の上層として上塗り塗装を施し上塗り塗装層を形成する水路用鋼材の製造方法であって、前記上塗り塗装が、特殊エポキシ樹脂層の形成用塗料、または、無機系ポリマー層の形成用塗料、を塗布し、乾燥して前記上塗り塗装層を形成することを特徴とする水没環境下における耐食性に優れた水路用鋼材の製造方法。
(5)表面に溶融めっき層を備えた溶融めっき薄鋼板に、加工を施し所定形状の水路用鋼材とし、該水路用鋼材の内表面にさらに、前記溶融めっき層の上層としてプライマー塗装を施してプライマー塗装層を、さらに該プライマー塗装層の上層として上塗り塗装を施し上塗り塗装層を形成する水路用鋼材の製造方法であって、前記上塗り塗装が、特殊エポキシ樹脂層の形成用塗料、または、無機系ポリマー層の形成用塗料、を塗布し、乾燥して前記上塗り塗装層を形成することを特徴とする水没環境下における耐食性に優れた水路用鋼材の製造方法。
(6)(4)または(5)において、前記プライマー塗装層が、特殊変性ビニル樹脂層、変性エポキシ樹脂層、エポキシ樹脂層のうちのいずれかであることを特徴とする水路用鋼材の製造方法。
(7)少なくとも内面側が鋼表面に溶融めっき層と、該溶融めっき層の上層としてプライマー塗装層と、該プライマー塗装層の上層として上塗り塗装層とをその順に有する鋼製水路であって、前記上塗り塗装層が、特殊エポキシ樹脂層または無機系ポリマー層であることを特徴とする水没環境下の耐食性に優れた鋼製水路。
(8)(7)において、前記プライマー塗装層が、特殊変性ビニル樹脂層、変性エポキシ樹脂層、エポキシ樹脂層のうちのいずれかであることを特徴とする鋼製水路。
本発明によれば、農業用水路等の水没環境下で使用される鋼構造物(鋼材)の耐食性が向上し、水路等の鋼構造物の長寿命化が図れ、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、軟弱な地盤のうえでも、簡単な施工で耐久性に優れた水路を構築することが可能になるという効果もある。
本発明鋼材の断面構造の一例を模式的に示す説明図である。 水路用として好適なコルゲートフリュームの形状を模式的に示す説明図である。
本発明鋼材は、水路環境、とくに水没環境下において優れた耐食性を示し、とくに水路用として好適な鋼材である。本発明鋼材は、図1に示すように、加工されて所定形状を有する鋼材の表面に、溶融めっき層と、該溶融めっき層の上層としてプライマー塗装層と、該プライマー塗装層の上層として上塗り塗装層とを有する。なお、所定形状への加工は、溶融めっき層を形成する前(後めっき)でも、溶融めっき層を形成したのち(プレめっき)としてもよい。
本発明鋼材の所定形状としては、各種形状の軽量鋼矢板や波形鋼板、各種断面形状のコルゲートパイプ、各種断面形状のコルゲートフリューム等の鋼製コルゲート等が例示できる。なお、本発明鋼材を用いて鋼製水路を構築する場合には、構築する水路の大きさ等に準じて、図2に示す各種断面形状を有するコルゲートフリュームとすることが好ましい。コルゲートフリュームには、長手方向に、各種ピッチ、深さの波型が付与されていることはいうまでもない。また、各コルゲートフリューム同士の接続は、常用である、亜鉛めっきまたは亜鉛めっきにさらに塗装を施されたボルト、ナットで行うことはいうまでもない。
本発明鋼材は、鋼材(鋼板)表面に溶融めっき層を有する。
溶融めっき層としては、鋼材を所定形状に加工した後、溶融めっき層を形成する場合、すなわち後めっきの場合には、めっき処理の容易性の観点から常用の、溶融亜鉛めっき層、5質量%Al−Zn合金系溶融めっき層、5質量%Al−1質量%Mg−Zn合金系溶融めっき層のいずれか、とすることが好ましい。また、めっき鋼板等のめっき鋼材を所定形状に加工する場合、すなわちプレめっきの場合には、溶融めっき層として、常用の、溶融亜鉛めっき層、5質量%Al−Zn合金系溶融めっき層、5質量%Al−3質量%Mg−Zn合金系溶融めっき層、溶融アルミニウムめっき層のいずれか、とすることが好ましい。
なお、溶融めっき層の形成方法は、とくに限定する必要はなく、常用の、浸漬(ドブ漬け)、スプレー塗布、溶射等の通常のめっき方法がいずれも、適用できる。なお、溶融めっき層の付着量は、100〜600g/mとすることが耐食性の観点から好ましい。
本発明鋼材では、溶融めっき層の上層として、プライマー塗装層を有する。なお、プライマー塗装層を形成する前に、溶融めっき層にブラスト処理を施すことが好ましい。ブラスト処理を施し、表面の酸化層を軽く削除することが、塗膜の密着性に有利に作用する。また、ブラスト処理に代えて、溶融めっき層の上層としてクロメート被膜、リン酸塩被膜を形成してもよい。これにより、溶融めっき層とプライマー塗装層との密着性が向上する。なお、クロメート被膜、リン酸塩被膜は、常用の形成方法を適用して、形成することができる。
本発明で用いるプライマー塗装層は、特殊変性ビニル樹脂層、変性エポキシ樹脂層、エポキシ樹脂層のうちのいずれかとすることが好ましい。
特殊変性ビニル樹脂層は、常温硬化型であり、例えば、変性ビニル樹脂を、溶剤に、固形分で30〜90質量%含有させた塗料(例えば、スイヨウマルチプライマー(商品名)(川上塗料(株)製))を、スプレー、刷毛塗り、ローラ等で塗布し、乾燥させて、溶融めっき層の上層とすることが好ましい。
また、変性エポキシ樹脂層は、例えば、変性エポキシ樹脂をキシレン、イソブチルアルコール、ブタノール等の有機溶剤に、固形分で30〜90質量%含有させた主剤(例えば、エコピンB-100プライマー(商品名)(中国塗料(株)製))を、硬化剤である、変性脂肪族アミン系硬化剤(エコピンB-100プライマー硬化剤(商品名)(中国塗料(株)製))を主剤全量に対する質量%で、15〜20%、混合し、スプレー、刷毛塗り、ローラ等で塗布し、乾燥させて、溶融めっき層の上層とすることが好ましい。
なお、形成するプライマー塗装層の膜厚は、20〜100μmとすることが好ましい。プライマー塗装層の膜厚が20μm未満では、ピンホールなどの欠陥部を生じやすくなる。一方、100μm超えても、効果が飽和し経済的に不利となる。
また、本発明鋼材では、プライマー塗装層の上層として、上塗り塗装層を有する。本発明で用いる上塗り塗装層は、上塗り塗料を用いて、刷毛塗り、スプレー塗装、ローラ塗り等の常用の塗装方法を用いて形成することが好ましい。
上塗り塗料としては、特殊エポキシ樹脂塗料、無機系ポリマー塗料のいずれか、とする。特殊エポキシ樹脂塗料は、エポキシ樹脂、あるいは変性エポキシ樹脂を含む主剤と、アミン系化合物を含む硬化剤とを、塗装時に混合し、刷毛塗り、スプレー塗装、ローラ塗装により、プライマー塗装層の上層として形成する。なお、特殊エポキシ樹脂層は、塗膜厚:100〜1000μmとすることが好ましい。塗膜厚が100μm未満では、所望の耐食性を確保することができなくなる。一方、1000μmを超えると、厚くなりすぎて、耐剥離性が低下する。なお、好ましくは150〜700μmである。
特殊エポキシ樹脂塗料の主剤は、有機溶剤に、樹脂としてキレート型ウレタン変性エポキシ樹脂、シリコーン変性エポキシ樹脂、あるいはエポキシ樹脂を、固形分として30〜90質量%含む。有機溶剤としては、エチルベンゼン、キシレン、イソブチルアルコール、メチルイソブチルケトン等の従来公知の有機溶剤が使用できる。なお、主剤としては、例えば、変性エポキシ樹脂塗料(例えばエコマックスS-HB(商品名)(中国塗料(株)製))、変性エポキシ樹脂塗料(エトン2300NB(商品名)(川上塗料(株)製))がある。主剤には、上記した樹脂に加えて、さらに必要に応じて、着色顔料、防錆顔料、増粘剤、可塑剤、充填剤等の各種添加剤を配合することができる。
特殊エポキシ樹脂塗料の硬化剤は、エポキシ樹脂の硬化剤であるアミン系硬化剤とする。アミン系硬化剤としてはポリアミン化合物が例示できる。ポリアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミンなどの脂肪族ポリアミン類、メタキシレンジアミン、ジアミノジフェニルなどの芳香族ポリアミン類、イソホロンジアミン、シクロヘキシルプロピルアミンなどの脂環族ポリアミン類、変性ポリアミン類、等が挙げられる。硬化剤としては、変性脂肪族ポリアミン(エコマックスS-HB硬化剤(商品名)(中国塗料(株)製)、変性ポリアミドアミン(エコマックスBiECO硬化剤(商品名)(中国塗料(株)製)等が挙げられる。
上記した主剤と上記した硬化剤とを混合し、刷毛塗り、スプレー塗布、ローラ塗布等の常用の塗布方法で塗布することにより、常温で硬化し、上塗り塗装層とすることができる。
また、上塗り塗料として無機系ポリマー塗料を用いて、上塗り塗装層として、無機系ポリマー層を形成してもよい。無機系ポリマー層は、塗膜厚:100〜500μmとすることが好ましい。塗膜厚が100μm未満では、所望の耐食性を確保することができなくなる。一方、500μmを超えると、厚くなりすぎて、耐剥離性が低下する。
なお、無機系ポリマー塗料は、液状オルガノポリシロキサンと架橋剤と硬化触媒とからなるオルガノシロキサン成分、およびグリシジル基を有するオルガノシロキサンからなる液状組成物(第1液)と、シリコーンで粒度調整した第3級アミン基含有の無溶剤のアクリル共重合体(第2液)とを混合して、刷毛塗り、スプレー塗布等で鋼材表面に塗膜を形成し、無機系ポリマー層として上塗り塗装層とすることができる。無機系ポリマー層は、ポリシロキサンの網目構造を有する塗膜である。
なお、液状オルガノポリシロキサンの例としては、メチルフェニル系シリコーン等が例示できる。また、架橋剤としては、フェニルトリメトキシシラン等が例示でき、硬化触媒としては、ジブチル錫ジアセテート等が例示できる。なお、第1液には、上記した成分以外に、目的に応じて、活性剤、充填剤、顔料、着色剤等の群から選ばれた填剤を配合することが好ましい。
また、第1液に対する第2液の混合割合は、第1液/第2液:(50〜80%)/(20〜40%)とすることが好ましい。
以下、さらに実施例に基づき、さらに本発明について説明する。
薄鋼板(鋼種:SPHC;板厚:2.7mm)を素材として、農業水路用として図2に示す形式C形のコルゲートフリューム(幅1058mm×長さ3237mm)に成形加工した。得られたコルゲートフリュームを、溶融亜鉛めっき浴に浸漬し、表裏面に溶融亜鉛めっき層を形成した。なお、付着量を表3に示す。なお、一部では、溶融亜鉛めっき鋼板、溶融Al−Mg−Zn合金系めっき鋼板(5%Al−3%Mg−Zn合金系めっき鋼板)(板厚:2.7mm)を素材として、同様の、コルゲートフリュームに成形した。
ついで、溶融めっき層の上層として、表1に示すプライマー塗装層を形成した。なお、一部では、プライマー塗装の前処理として、めっき用のスイープブラスト加工、クロメート処理、あるいはリン酸塩処理のいずれかを行った。
そして、プライマー塗装層の上層として、表2に示す上塗り塗装層を形成して、表3に示す構成の塗装層を有する水路用鋼材(コルゲートフリューム)とした。
得られた水路用鋼材(コルゲートフリューム)で、最も加工量の多い箇所から、腐食試験片(大きさ:t2.7mm×100mm×200mm)を採取し、JIS K5600-6-1の規定に準拠して、塩温水浸漬試験(5%食塩水(液温:55℃)中で4ヶ月浸漬)を実施した。なお、一部の試験片には塗膜の上からクロスカットを付与した。試験終了後、試験片表面の観察、および塗膜を剥離して界面の状況を観察し、耐食性を評価した。耐食性の評価は、塗膜の剥離の有無、界面の錆の発生状況で行った。塗膜の剥離が、全表面積の0%である場合を◎、1〜5%を○、6〜20%を△、21%以上を×とした。また、塗膜を強制的に剥離し、界面に赤錆および白錆が無い場合を◎、赤錆の発生が無く白錆の発生した面積が50%以下の場合を○、白錆の発生した面積が51〜100%または赤錆の発生した面積(錆発生面積)が、全表面積の1〜30%を△、赤錆の発生した面積が31〜100%を×とした。
また、試験片を、水路の底に水没させる、いわゆる水没環境下で、3年間、および5年間、浸漬する腐食試験を実施した。なお、試験片の浸漬位置におけるpHは6であった。試験終了後、腐食試験片の表面を観察し、耐食性を評価した。なお、耐食性の評価は、塗膜の剥離の有無、界面の錆の発生状況で行った。塗膜の剥離が、無である場合を◎、全表面積の0%超え5%以下を○、6〜20%を△、21%以上を×とした。また、赤錆および白錆が無い場合を◎、赤錆の発生が無く白錆の発生した面積が50%以下の場合を○、白錆の発生した面積が51〜100%または赤錆の発生した面積(錆発生面積)が、全表面積の1〜30%を△、赤錆の発生した面積が31〜100%を×とした。なお、錆は点状の赤錆の場合を含む。
得られた結果を表4に示す。なお、溶融めっき層のみの場合およびプライマーがない場合を比較例とした。
Figure 2017179387
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Figure 2017179387
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めっきにプライマー塗装と上塗り塗装を施した本発明例はいずれも、水路中の水没環境下という厳しい腐食環境においても、塗膜の剥離、錆発生も認められず、従来に比べて格段に耐食性に優れた水路用鋼材となっている。一方、本発明の範囲を外れる比較例は錆発生が著しく、水没環境下での耐食性が充分でない。

Claims (8)

  1. 所定形状に加工された鋼材の表面に溶融めっき層と、該溶融めっき層の上層としてプライマー塗装層と、該プライマー塗装層の上層として上塗り塗装層を有する鋼材であって、前記上塗り塗装層が、特殊エポキシ樹脂層または無機系ポリマー層であることを特徴とする水没環境下における耐食性に優れた水路用鋼材。
  2. 前記プライマー塗装層が、特殊変性ビニル樹脂層、変性エポキシ樹脂層、ウレタン変性エポキシ樹脂層およびエポキシ樹脂層のいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の水路用鋼材。
  3. 前記水路用鋼材が、鋼矢板、波形鋼板、コルゲートパイプまたはコルゲートフリュームのいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の水路用鋼材。
  4. 薄鋼板に加工を施し所定形状の水路用鋼材とし、ついで該水路用鋼材に溶融めっき処理を施して表面に溶融めっき層を形成したのち、水路設置時に内側となる面にさらに、前記溶融めっき層の上層としてプライマー塗装を施してプライマー塗装層を、さらに該プライマー塗装層の上層として上塗り塗装を施し上塗り塗装層を形成する水路用鋼材の製造方法であって、前記上塗り塗装が、特殊エポキシ樹脂層の形成用塗料、または、無機系ポリマー層の形成用塗料、を塗布し、乾燥して前記上塗り塗装層を形成することを特徴とする水没環境下における耐食性に優れた水路用鋼材の製造方法。
  5. 表面に溶融めっき層を備えた溶融めっき薄鋼板に、加工を施し所定形状の水路用鋼材とし、ついで該水路用鋼材の内表面にさらに、前記溶融めっき層の上層としてプライマー塗装を施してプライマー塗装層を、さらに該プライマー塗装層の上層として上塗り塗装を施し上塗り塗装層を形成する水路用鋼材の製造方法であって、前記上塗り塗装が、特殊エポキシ樹脂層の形成用塗料、または、無機系ポリマー層の形成用塗料、を塗布し、乾燥して前記上塗り塗装層を形成することを特徴とする水没環境下における耐食性に優れた水路用鋼材の製造方法。
  6. 前記プライマー塗装層が、特殊変性ビニル樹脂層、変性エポキシ樹脂層、エポキシ樹脂層のうちのいずれかであることを特徴とする請求項4または5に記載の水路用鋼材の製造方法。
  7. 少なくとも内面側が鋼表面に溶融めっき層と、該溶融めっき層の上層としてプライマー塗装層と、該プライマー塗装層の上層として上塗り塗装層とをその順に有する鋼製水路であって、前記上塗り塗装層が、特殊エポキシ樹脂層または無機系ポリマー層であることを特徴とする水没環境下の耐食性に優れた鋼製水路。
  8. 前記プライマー塗装層が、特殊変性ビニル樹脂層、変性エポキシ樹脂層、エポキシ樹脂層のうちのいずれかであることを特徴とする請求項7に記載の鋼製水路。
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