JP2017179205A - プリプレグの製造方法及びプリプレグ - Google Patents

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Abstract

【課題】 より繊維の含有率を高くすることができるプリプレグの製造方法を提供すること。【解決手段】 メジアン径が1μm以下で、融点が80℃以上且つ130℃以下である、酸変性されたポリオレフィン系の熱可塑性樹脂粒子が水に分散されてなる水分散性エマルジョンを、一方向に引き揃えられた複数の繊維により構成される繊維束に含浸させる含浸工程と、含浸工程にて前記繊維束に含浸された水分散性エマルジョンから水分を除去する水分除去工程と、を含む、プリプレグの製造方法とすること。【選択図】 無し

Description

本発明は、プリプレグの製造方法及びプリプレグに関する。
プリプレグは、炭素繊維のような強化繊維からなる複数の繊維が一方向に引き揃えられてなる繊維束に、樹脂を含浸させることにより、製造される。このようなプリプレグの製造方法として、種々の方法が、従来から知られている。
例えば、特許文献1及び特許文献2は、それぞれ、フィルム状に成形された熱可塑性樹脂により構成される樹脂フィルムと繊維束とを重ね合わせ、その後、重ね合わされた樹脂フィルムと繊維束とを加熱及び加圧して、プリプレグを製造する方法を開示する。また、特許文献3は、熱可塑性樹脂をアセトンに分散させたサスペンジョンを繊維束に含浸させ、その後、アセトンを除去することにより、プリプレグを製造する方法を開示する。また、特許文献4は、押出機のクロスヘッドダイを通過する繊維束に溶融樹脂を含浸させることにより、プリプレグを製造する方法を開示する。
特開2014−105310号公報 特開2013−203941号公報 特開2008−44165号公報 特開2012−107189号公報
(発明が解決しようとする課題)
特許文献1及び特許文献2に記載のプリプレグの製造方法によれば、互いに積層された繊維束と樹脂フィルムとを加圧して、繊維間の隙間に溶融樹脂を押し込むことにより、樹脂が繊維に含浸される。このような方法では、樹脂フィルムを構成する樹脂の溶融粘度が比較的高いため、繊維間の隙間が狭い場合に繊維束中に樹脂を十分に含浸させることができない。よって、繊維束に十分に樹脂を含浸させるために、繊維間の隙間を広くしなければならない。繊維間の隙間を広くした場合、繊維の含有量が低下する。それ故に、特許文献1及び特許文献2に示す方法によりプリプレグを製造した場合、プリプレグ中の繊維の重量含有率は70wt%程度にとどまり、繊維の重量含有率をそれ以上にまで高めることができない。
また、特許文献3に記載のプリプレグの製造方法においては、基本的に溶剤としてアセトンが用いられているため、溶剤の取扱いに注意を要する。また、溶剤に分散される樹脂粉末の平均粒子径が5〜20μmであるため、これが含浸する繊維間の隙間が樹脂粉末の粒子径よりも小さい場合、その隙間に樹脂粉末を入れ込むことができない。よって、繊維束に十分に樹脂を含浸させるためには、繊維間の隙間を広くしなければならない。繊維間の隙間を広くした場合、繊維の含有量が低下する。それ故に、特許文献3に示す方法によりプリプレグを製造した場合、プリプレグ中の繊維の重量含有率は、70wt%以下にとどまり、繊維の重量含有率をそれ以上にまで高めることができない。
また、特許文献4に記載のプリプレグの製造方法によれば、繊維量を増加させると、クロスヘッドダイの出口圧力が高まり、成形品をクロスヘッドダイから引き抜くことが困難になる。よって、成形品をクロスヘッドダイから引き抜くことができる程度に、繊維の含有量を低下させなければならない。それ故に、特許文献4に示す方法によりプリプレグを製造した場合、プリプレグ中の繊維の重量含有率は、60wt%以下にとどまり、繊維の重量含有率をそれ以上にまで高めることができない。
プリプレグは、例えばテープ形状を呈し、補強材として使用されることがある。プリプレグを補強材として使用する場合における補強効果は、プリプレグ中の繊維の含有率に依存し、繊維の含有率が高いほど補強効果も高い。また、プリプレグ中の樹脂は、繊維同士を結合させてプリプレグの形状(テープ形状)を維持するための役割を果たす。従って、プリプレグ中の樹脂の含有率が低すぎる場合、樹脂を介した繊維同士の結合が不十分となって、テープ形状を維持することができない。以上のことから、プリプレグを補強材として用いる場合、プリプレグの形状を維持し得る程度の樹脂が含まれる範囲において、できるかぎり、繊維の含有率を高くすることが、望ましい。この点に関し、従来のプリプレグにおいては、繊維の重量含有率が70wt%以下であり、十分に繊維の重量含有率が高いとは言えないので、プリプレグを補強材として利用した場合における補強効果を十分に高めることができない。
本発明は、より繊維の含有率を高くすることができるプリプレグの製造方法、及び、繊維の含有率が高められたプリプレグを提供することを目的とする。
(課題を解決するための手段)
本発明は、メジアン径が1μm以下で、融点が80℃以上且つ130℃以下である、酸変性されたポリオレフィン系の熱可塑性樹脂粒子が水に分散されてなる水分散性エマルジョンを、一方向に引き揃えられた複数の繊維により構成される繊維束に含浸させる含浸工程と、含浸工程にて繊維束に含浸された水分散性エマルジョンから水分を除去する水分除去工程と、を含む、プリプレグの製造方法を提供する。
本発明によれば、繊維束に含浸される水分散性エマルジョンに含まれる熱可塑性樹脂粒子のメジアン径が1μm以下であるため、繊維間の隙間が1μm程度の微小な隙間であってもその隙間に熱可塑性樹脂粒子を入り込ませることができる。従って、プリプレグ中の繊維の含有量を多くするように繊維間の隙間が狭められている場合であっても、十分に樹脂を繊維表面に付着させることができる。つまり、繊維間の隙間に入り込まずに繊維同士の結合に寄与しない樹脂、すなわちプリプレグの形状の維持に寄与しない樹脂の量を減らすことができる。このようにして効率的に且つ無駄なく樹脂が繊維に付着されるため、プリプレグ中の樹脂の量を減らすことができる。別の言い方をすれば、本発明に係るプリプレグの製造方法によれば、樹脂の含有量を減らして繊維の含有量を増やした場合においても、プリプレグの形状が維持されるように、樹脂を繊維に付着させることができる。このようにして樹脂の量を減らしてプリプレグを製造できるため、繊維の含有率を高めることができる。つまり、本発明によれば、繊維の含有率が高いプリプレグを製造することができる。
本発明に係る製造方法により製造されるプリプレグ中の繊維の重量含有率は、75wt%以上であるのがよい。好ましくは、本発明に係る製造方法により製造されるプリプレグ中の繊維の重量含有率は、75wt%以上であり且つ90wt%以下であるのがよい。この場合、含浸工程にて、所定の圧力を付与しながら繊維束に水分散性エマルジョンを含浸させることにより、繊維の含有率が75wt%以上に調整されるとよい。また、含浸工程は、タッチロール方式、或いは、スプレー方式のいずれかの方式によりなされるとよい。
また、本発明において、水分散性エマルジョンに含まれる熱可塑性樹脂粒子を構成する熱可塑性樹脂は、酸変性されたポリオレフィン系の熱可塑性樹脂である。これによれば、水分散性エマルジョン中における熱可塑性樹脂粒子の水への分散性(均一性)、及び、繊維への熱可塑性樹脂粒子の付着性(付着しやすさ)を向上させることができる。特に、繊維が炭素繊維である場合、熱可塑性樹脂粒子の付着性が顕著に向上する。酸変性されたポリオレフィン系の熱可塑性樹脂として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂を例示できる。また、酸変性された熱可塑性樹脂の酸価は、5KOHmg/g以上であり且つ80KOHmg/gであるとよい。
また、酸変性されたポリオレフィン系の熱可塑性樹脂の融点は、80℃以上且つ130℃以下である。より好ましくは、酸変性されたポリオレフィン系の熱可塑性樹脂の融点が、95℃以上且つ130℃以下であるのがよい。ポリオレフィン系の熱可塑性樹脂の融点が上記した範囲内であると、水分散性エマルジョンを作製するにあたって水とポリオレフィン系の熱可塑性樹脂とを混合した場合に、ポリオレフィン系の熱可塑性樹脂を容易に1μm以下の微細な熱可塑性樹脂粒子にさせることができ、且つ、このような微細な熱可塑性樹脂粒子を均一に水に分散させることができる。
また、本発明に係るプリプレグの製造方法は、水分除去工程にて水分が除去された成形体(プリプレグ)を、溶融した熱可塑性樹脂によって加熱及び加圧する加熱加圧工程を、含むとよい。この場合、加熱加圧工程が、水分除去工程にて水分が除去された成形体(プリプレグ)がインサートされた型内に、溶融した熱可塑性樹脂を射出する射出成形工程であるとよい。これによれば、水分除去工程にて水分が除去されることにより成形されたプリプレグを、溶融した熱可塑性樹脂によって加熱及び加圧することにより、プリプレグ中の空孔率が低減される。このためプリプレグの機械的強度(例えば曲げ弾性率)が向上し、その結果、プリプレグを補強材として利用した場合における補強効果がより一層高められる。
また、本発明は、一方向に引き揃えられた複数の繊維により構成される繊維束と、繊維に付着され、融点が80℃以上且つ130℃以下である、酸変性されたポリオレフィン系の熱可塑性樹脂とを備え、繊維の重量含有率が75wt%以上である、プリプレグを提供する。この場合、酸変性されたポリオレフィン系の熱可塑性樹脂の酸価は、5KOHmg/g以上であり且つ80KOHmg/gであるとよい。また、酸変性されたポリオレフィン系の熱可塑性樹脂の融点は、95℃以上且つ130℃以下であるとより好ましい。また、繊維が炭素繊維であるのがよい。また、プリプレグ中の繊維の重量含有率は、好ましくは、75wt%以上であり且つ90wt%以下であるのがよい。
本発明に係るプリプレグによれば、繊維の重量含有量が75wt%以上であるため、これを補強材として利用したときに、十分に高い補強効果を得ることができる。
実施例1に係るプリプレグ及び射出樹脂一体プリプレグの研磨断面の顕微鏡写真である。 実施例2に係るプリプレグ及び射出樹脂一体プリプレグの研磨断面の顕微鏡写真である。 実施例3に係るプリプレグ及び射出樹脂一体プリプレグの研磨断面の顕微鏡写真である。 実施例4に係るプリプレグ及び射出樹脂一体プリプレグの研磨断面の顕微鏡写真である。 実施例7に係るプリプレグ及び射出樹脂一体プリプレグの研磨断面の顕微鏡写真である。 実施例8に係るプリプレグ及び射出樹脂一体プリプレグの研磨断面の顕微鏡写真である。
本発明に係るプリプレグの製造方法は、含浸工程と、水分除去工程と、加熱加圧工程とを含む。含浸工程では、水分散性エマルジョンが、一方向に引き揃えられた複数の繊維により構成される繊維束に含浸される。ここで、「水分散性エマルジョン」とは、樹脂粒子が水中に均一に分散され、密閉容器に入れた状態で所定の期間(例えば1年)以上沈降物が発生しないものを言う。
含浸工程に用いられる水分散性エマルジョンは、水と、水に分散された熱可塑性樹脂粒子とを含む。水に分散された熱可塑性樹脂粒子のメジアン径は、1μm以下である。熱可塑性樹脂粒子のメジアン径が1μm以下である場合、水分散性エマルジョン中における熱可塑性樹脂粒子の水への分散性が、長期に亘り安定する。また、熱可塑性樹脂粒子を構成する熱可塑性樹脂は、ポリオレフィン系の熱可塑性樹脂である。ポリオレフィン系の熱可塑性樹脂として、ポリプロピレン樹脂が例示される。
また、ポリオレフィン系の熱可塑性樹脂は、熱可塑性樹脂粒子を水に良好に分散させるため、及び、繊維への付着性を向上させるために、酸により変性される。つまり、水分散性エマルジョン中の樹脂粒子は、酸変性されたポリオレフィン系の熱可塑性樹脂(以下、酸変性ポリオレフィン樹脂と呼ぶ場合もある)である。ここで、酸変性ポリオレフィン樹脂の酸価が5KOHmg/g未満である場合、熱可塑性樹脂粒子の水への分散性が低下することがある。また、酸変性ポリオレフィン樹脂の酸価が80KOHmg/gを超える場合、相対的にポリオレフィン樹脂成分の含有量が低下するため、後述する射出成形工程にて酸変性ポリオレフィン樹脂と射出される樹脂との相溶性が低下することがある。以上のことから、酸変性ポリオレフィン樹脂の酸価は、5KOHmg/g以上であり且つ80KOHmg/g以下であるのがよい。
また、酸変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、3000以上であり且つ150000以下であるのがよく、好ましくは、8000以上であり且つ120000以下であり、さらに好ましくは、20000以上であり且つ80000以下である。酸変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量が3000未満であると、これを用いて製造されるプリプレグの耐熱性が悪化することがある。また、酸変性ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量が150000を超えると、熱可塑性樹脂粒子の水への分散性が低下することがある。
また、酸変性ポリオレフィン樹脂の融点は、80℃以上であり且つ130℃以下である。酸変性ポリオレフィン樹脂の融点が上記範囲内である場合、水分散性エマルジョン内にて1μm以下の微細な熱可塑性樹脂粒子としてポリオレフィン系の熱可塑性樹脂を存在させることができ、且つ、このような微細な熱可塑性樹脂粒子を均一に水に分散させることができる。また、酸変性ポリオレフィン樹脂の融点が95℃より低いとプリプレグの耐熱性が低下することがある。よって、より好ましくは、酸変性ポリオレフィン樹脂の融点は、95℃以上であり且つ130℃以下である。
上記した酸変性ポリオレフィン樹脂と水とを混合して、酸変性ポリオレフィン樹脂からなるメジアン径1μm以下の熱可塑性樹脂粒子を水に分散させることにより、本実施形態に係る水分散性エマルジョンが作製される。この場合、例えば、耐圧容器にテトラヒドロフラン(THF)、水及び酸変性ポリオレフィン樹脂を入れ、耐圧容器を密閉し、耐圧容器内の混合物を100℃〜120℃に加温する。その状態でこれらの混合物を撹拌して溶解させるとともに、テトラヒドロフラン(THF)を留去することにより、水分散性エマルジョンが作製される。また、水中で酸変性ポリオレフィン樹脂を安定的に存在させるために、混合物中に、トリエチルアミン等の安定剤を加えてもよい。
また、水分散性エマルジョンの粘度は、温度25℃において、50mPa・s以下であるのがよい。水分散性エマルジョンの粘度が上記した値よりも大きい場合、含浸工程において、水分散性エマルジョンの繊維への含浸性が低下することがある。
こうして作製された水分散性エマルジョンが、繊維束に含浸される。繊維束は、複数の繊維が一方向に引き揃えられることにより構成され、テープ状、あるいは平面状(シート状)に構成される。この繊維束を構成する繊維の材質は、一般的に強化繊維と呼ばれ、且つ、水分散性エマルジョンに分散された熱可塑性樹脂粒子が付着する性質を有するものであれば、特に限定されないが、炭素繊維であるのが好ましい。また、炭素繊維束を構成する炭素繊維の本数は特に限定されないが、好ましくは、3000本以上であり且つ60000本以下である。
繊維束を構成するそれぞれの繊維は、通常は、集束剤を介して結合されていて、繊維間の隙間が集束剤により塞がれている。従って、含浸工程を実施する前に、繊維間の隙間を僅かに開くための開繊工程を実施すると良い。この開繊工程は、例えば、表面に梨地処理が施された対の梨地ロール間に繊維束を通すことにより実施することができる。
含浸工程においては、上述した開繊工程にて開繊された繊維束に水分散性エマルジョンが含浸される。含浸方法については特に限定されない。例えば、表面に水分散性エマルジョンが付着された対のコータロール間に繊維束を通すことにより、すなわちタッチロール方式により、繊維束に水分散性エマルジョンを含浸させることができる。或いは、水分散性エマルジョンを繊維束に向かって噴霧することにより、すなわちスプレー方式により、繊維束に水分散性エマルジョンを含浸させることができる。また、所定の圧力を付与しながら繊維束に水分散性エマルジョンを含浸させると良い。例えば、上記した対のコータロールを介して繊維束に所定の圧力を付与することもできる。これにより、繊維束への水分散性エマルジョンの含浸性が向上する。また、繊維束への水分散性エマルジョンの含浸量を調整するために、複数回の含浸を実施してもよい。
この含浸工程において、繊維束を構成する繊維間の隙間に水分散性エマルジョン中の熱可塑性樹脂粒子が入り込む。そして、繊維の表面に熱可塑性樹脂粒子が付着する。上述したように、水分散性エマルジョン中の熱可塑性樹脂粒子の径は1μm以下と非常に小さいため、繊維間の隙間が小さい場合であっても、十分に熱可塑性樹脂粒子が繊維間に入り込む。
水分除去工程においては、含浸工程にて繊維束に含浸された水分散性エマルジョンから水分が除去される。この場合、熱により水分散性エマルジョン中の水分を蒸発させることによって、水分散性エマルジョンから水分を除去するのがよい。加熱方法は特に限定されないが、例えば、所定の温度に加熱された対の熱ロール間に、水分散性エマルジョンが含浸した繊維束を通すことによって、水分散性エマルジョンから水分を除去することができる。加熱温度は、水が蒸発するような温度であればよく、特に、80℃〜120℃であるとよい。この水分除去工程にて、繊維束に含浸された水分散性エマルジョンから水分が除去されることにより、繊維束及び繊維束を構成する繊維に付着した熱可塑性樹脂とを備えるプリプレグが成形される。
本実施形態に係るプリプレグの製造方法によれば、上記含浸工程にて繊維束に含浸される水分散性エマルジョン中の熱可塑性樹脂粒子のメジアン径が1μmと非常に小さいため、開繊後の繊維間の隙間が比較的狭い場合であっても、その隙間に容易に樹脂粒子が入り込む。従って、プリプレグ中の繊維の含有量を多くするように繊維間の隙間が狭められている場合であっても、十分に樹脂を繊維表面に付着させることができる。つまり、繊維間の隙間に入り込まずに繊維同士の結合に寄与しない樹脂、すなわちプリプレグの形状の維持に寄与しない樹脂の量を減らすことができる。このようにして効率的に且つ無駄なく樹脂が繊維に付着されるため、プリプレグ中の樹脂の量を減らすことができる。別の言い方をすれば、本実施形態に係るプリプレグの製造方法によれば、樹脂の含有量を減らして繊維の含有量を増やした場合においても、プリプレグの形状が維持されるように、樹脂を繊維に付着させることができる。このようにして樹脂の量を減らしてプリプレグを製造できるため、繊維の含有率を高めることができる。従って、本実施形態によれば、繊維の含有率が高いプリプレグ、例えば、繊維の重量含有率が75wt%以上のプリプレグを製造することができる。
ここで、プリプレグ中の繊維の含有率を高くするほど、プリプレグ内の空孔率が高くなる傾向にある。空孔率はプリプレグの補強効果に影響を及ぼし、空孔率が高いほど、補強効果は低下する。よって、プリプレグの空孔率は低い方がよい。
本実施形態では、プリプレグの空孔率を低減させるために、上記含浸工程及び水分除去工程を実施した後に、加熱加圧工程を実施する。
加熱加圧工程では、水分除去工程にて水分が除去された成形体(プリプレグ)を、溶融した熱可塑性樹脂によって加熱及び加圧する。本実施形態においては、この加熱加圧工程は、水分除去工程にて水分が除去された成形体(プリプレグ)がインサートされた型内に、溶融した熱可塑性樹脂を射出する射出成形工程である。射出成形工程にて型内に射出される熱可塑性樹脂は、型内にインサートされている成形体(プリプレグ)を構成する熱可塑性樹脂と同一の樹脂であるのがよい。
この射出成形工程において溶融した熱可塑性樹脂が射出成形型内に射出されたとき、その溶融樹脂の熱及び射出圧力(及びその後の保圧)によって、型内にインサートされている成形体(プリプレグ)が加熱されるとともに加圧される。加熱によって、成形体(プリプレグ)中の繊維に付着した樹脂粒子がさらに溶融して繊維により均一に付着する。また、加圧によって、成形体(プリプレグ)内の空孔(ボイド)が押し潰されて、空孔内部の気体が成形体(プリプレグ)の外部に放出される。このため、空孔率が低減される。
射出成形工程において、射出成形型の型温度は、型内にインサートされている成形体(プリプレグ)を構成する熱可塑性樹脂の融点より低い温度であるのがよい。型温度が成形体(プリプレグ)を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも高い温度、或いは融点に近い温度であると、型(キャビティ)に成形体(プリプレグ)を構成する熱可塑性樹脂が付着して、離型が困難になるからである。この場合、型温度は、成形体(プリプレグ)を構成する熱可塑性樹脂の融点よりも、40℃以上低い温度であるのがよい。
(実施例)
1.水分散性エマルジョンの作製
まず、酸変性されたポリオレフィン系の熱可塑性樹脂として、無水マレイン酸変性ポリプロピレン−ブテン共重合体(以下、酸変性PPと呼ぶ場合もある)を用意した。そして、耐圧容器に、酸変性PP、水、テトラヒドロフラン(THF)を入れた。次いで、耐圧容器を密閉し、耐圧容器内の混合物を加温するとともに撹拌して、酸変性PPを溶解させた。次に、耐圧容器内の混合物を冷却し、その後、混合物を、還流冷却管を備えたガラスフラスコに移した。還流冷却管とガラスフラスコとの間にディーン・スターク装置を設置し、ガラスフラスコ内の混合物を加温し、トリエチルアミンを混合物に添加して、撹拌した。次に、混合物を加温し、ガラスフラスコ内を減圧してTHF及び水を留去しその後水を加える工程を繰り返した。これにより、THFが完全に留去された。また、水分調整により、水分散性エマルジョンを作製した。
2.水分散性エマルジョン内の熱可塑性樹脂粒子の粒子径の測定
得られた水分散性エマルジョンには、酸変性PPからなる熱可塑性樹脂粒子が分散して存在している。この酸変性PPからなる熱可塑性樹脂粒子のメジアン径を測定した。メジアン径は、D50とも言われ、粉体をある粒子径から2つにわけたとき、大きい側と小さい側が等量となる径を言う。本実施例では、レーザー回折式粒度分布計を用いて、水分散性エマルジョンに分散している熱可塑性樹脂粒子のメジアン径を測定した。体積基準によって解析した結果、熱可塑性樹脂粒子のメジアン径は、0.12μmであった。水分散性エマルジョンに存在する熱可塑性樹脂粒子のメジアン径がこのように非常に小さくされる理由は、以下のように推察される。すなわち、酸変性PPの融点は、80℃であり、この温度は、酸変性PPと水とを混合する際の温度に近い。このため、酸変性PPは、水との混合過程で溶融する。また、酸変性PPと水との相溶性は高いので、水中で溶融した酸変性PPが、ほぼ均一に水に分散する。よって、その後の冷却により均一に水中に溶けた酸変性PPが非常に微細な粒子として析出する。このため、水分散性エマルジョン内に、非常に小さい径の熱可塑性樹脂粒子が均一に生成される。
3.含浸工程及び除去工程
一方向に引き揃えられた複数の炭素繊維によりテープ状に構成される炭素繊維束(炭素繊維:SGL製 SIGRAFIL C030 T050 EPY)を用意した。この炭素繊維束を構成する炭素繊維の長さあたりの質量は、3.3g/mであり、幅は8〜13mmである。用意した炭素繊維束を、80℃〜120℃に加熱された対の熱ロール間に通して加熱し、各炭素繊維どうしを結合させている集束剤を軟化させた。その後、表面に凹凸状の梨地処理が施されている対の梨地ロール間に炭素繊維束を通した。梨地ロール間を通過する際に炭素繊維束が梨地ロールから受ける摩擦力によって、炭素繊維束が開繊された。このとき、炭素繊維束の幅が、15mm〜35mm程度に広げられた。その後、水分散性エマルジョンが表面に塗布されている対のコータロール間に炭素繊維束を通した。このとき対のコータロールから、0.1MPa以上且つ0.3MPa以下の圧力を炭素繊維束に付与することにより、炭素繊維束を加圧した。これにより、炭素繊維束に水分散性エマルジョンを含浸させた(含浸工程)。
次いで、対のコータロール間を通過した炭素繊維束を、表面が80℃〜120℃に加熱された対の熱ロール間に通した。これにより、炭素繊維束に含浸された水分散性エマルジョンから水分を除去した(水分除去工程)。
上記含浸工程及び水分除去工程を3回繰り返すことにより、実施例1に係るプリプレグを製造した。また、上記含浸工程及び水分除去工程を2回繰り返すことにより、実施例2に係るプリプレグ及び実施例3に係るプリプレグを製造した。また、上記含浸工程及び水分除去工程を1回のみ実施することにより、実施例4に係るプリプレグ及び実施例5に係るプリプレグを製造した。また、上記含浸工程及び水分除去工程を4回繰り返すことにより、実施例6に係るプリプレグを製造した。ここで、上記含浸工程にて所定の圧力が炭素繊維束に付与されているので、含浸工程の繰り返し回数が多いほど、炭素繊維に付着する熱可塑性樹脂の量が多くなると考えられる。従って、繰り返し回数が多いほど、プリプレグ内の炭素繊維の含有率が減少すると考えられる。つまり、含浸工程にて、所定の圧力を付与しながら前記繊維束に水分散性エマルジョンを含浸させることにより、成形品としてのプリプレグ中の繊維の含有率が所望の含有率に調整される。後述するように、実施例1〜4に係るプリプレグ内の炭素繊維の重量含有率は、75wt%〜89wt%である。また、実施例5に係るプリプレグ内の炭素繊維の重量含有率は、92wt%である。また、実施例6に係るプリプレグ内の炭素繊維の重量含有率は、71wt%である。
また、比較のため、変性されていないポリプロピレンパウダー(株式会社セイシン企業製、商品名:PPW−5、平均粒子径:5μm)をアセトンに分散させた溶液を、上記と同じような方法で炭素繊維束に含浸させることにより、比較例1に係るプリプレグを製造した。
4.評価
製造した各プリプレグ中の炭素繊維の含有率を計算した。この場合において、炭素繊維の長さあたりの質量が3.3g/mであるため、製造したプリプレグを長さ20cmに切断してその重量Mを測定し、計算式(3.3×0.2/M×100)により、炭素繊維の重量含有率(wt%)を算出した。
また、実施例1〜4及び比較例1に係るプリプレグをエポキシ樹脂で固定した状態で表面を研磨した。そして、研磨面を顕微鏡で観察し、観察領域の空孔率を画像解析により求めた。また、製造した各プリプレグの成形性を評価した。この場合において、樹脂、繊維、空孔の分布がほぼ均一であり、且つ、十分に樹脂が繊維に付着している場合を○と評価した。また、樹脂、繊維、空孔の分布が不均一である場合、及び、十分に樹脂が繊維に付着していない場合、すなわちプリプレグとしての形状(テープ形状)が十分に維持されていない場合を、×と評価した。
製造した各プリプレグにおいて、算出した炭素繊維の重量含有率、成形性の評価結果、及び空孔率を、その他の条件(使用した樹脂、分散媒、含浸工程及び水分除去工程の繰り返し回数)とともに表1に示す。
表1において、WFは、プリプレグ中の炭素繊維の重量含有率(wt%)である。また、表1において、「絞り圧力」の欄には、含浸工程にてコータロールから付与される圧力が、繰り返し回数に応じて示されている。
表1からわかるように、実施例1〜4に係るプリプレグにおいては、成形性が良好であり、且つ、プリプレグ中の炭素繊維の重量含有率(WF)が75wt%以上である。なお、炭素繊維の重量含有率(WF)が92wt%の実施例5においては、樹脂の含有量が少なすぎるために、成形性が悪く、テープ状の形態を十分にとどめておくことができなかった。また、実施例6においては、炭素繊維の重量含有率(WF)が71wt%と少ない。従って、実施例1〜4に係るプリプレグの製造方法により、プリプレグ中の炭素繊維の重量含有率が75wt%以上であり、且つ成形性の良好なプリプレグを得ることができることがわかる。また、比較例1に係るプリプレグにおいては、樹脂粒子が酸変性されておらず、また、樹脂粒子(ポリプロピレンパウダー)の平均粒子径が5μmであるために、樹脂粒子が炭素繊維に安定して付着せず、それ故に、成形性が悪い。さらに、比較例1においては、樹脂粒子を炭素繊維に十分に付着させることができなかった。
以上のことから、本実施形態に係る水分散性エマルジョンを炭素繊維に含浸させ、その後、水分を除去することによって、高い炭素繊維の含有率を有するプリプレグを製造できることがわかる。また、実施例1〜4では、プリプレグ中の炭素繊維の重量含有率が75wt%以上且つ90wt%以下となるように、含浸工程にて所定の圧力を付与しながら繊維束に水分散性エマルジョンが含浸される。換言すれば、含浸工程にて、所定の圧力を付与しながら繊維束に水分散性エマルジョンを含浸させることにより、作製されるプリプレグ中の繊維の含有率が75wt%以上且つ90wt%以下に調整される。これにより、高い炭素繊維の含有率を有し、且つ、成形性も良好な、プリプレグを製造できることがわかる。
次に、上記実施例に係るプリプレグの製造に用いた水分散性エマルジョンに含まれる酸変性PP(無水マレイン酸変性ポリプロピレン−ブテン共重合体)の融点を変えて、上記と同様の工程を経てプリプレグを製造した。具体的には、融点が80℃の酸変性PPが含まれる水分散性エマルジョン(粘度:9mPa・s(25℃))を用いて実施例2に係るプリプレグを製造し、融点が95℃の酸変性PPが含まれる水分散性エマルジョン(粘度:12mPa・s(25℃))を用いて実施例7に係るプリプレグを製造し、融点が130℃の酸変性PPが含まれる水分散性エマルジョン(粘度:41mPa・s(25℃))を用いて実施例8に係るプリプレグを製造した。そして、製造した各プリプレグ中の炭素繊維の重量含有率、成形性、及び空孔率を測定した。測定結果を表2に示す。
表2において、実施例2に示すプリプレグは、表1の実施例2に示すプリプレグと同一のプリプレグである。表2からわかるように、酸変性PPの融点が80℃〜130℃の範囲であれば、成形性が良好であり、且つ、炭素繊維の重量含有率が75wt%以上のプリプレグを製造できることがわかる。また、表2に示すいずれの実施例においても、作製した水分散性エマルジョン中の熱可塑性樹脂粒子のメジアン径は、1μm以下であった。このことから、酸変性PPの融点が80℃以上且つ130℃以下であれば、水分散性エマルジョン内に1μm以下の微細な熱可塑性樹脂粒子を存在させることができ、且つ、このような微細な熱可塑性樹脂粒子を十分に水に分散させ得ることがわかる。
5.加熱加圧工程(射出成形工程)
ところで、表1及び表2からわかるように、各実施例に係るプリプレグの空孔率は、比較的大きい。特に、炭素繊維の重量含有率が高くなるほど、空孔率が大きくなる傾向にある。また、酸変性PPの融点が高いほど、空孔率が大きくなる傾向にある。空孔率が大きいと、補強効果が悪化する虞がある。故に、空孔率は小さい方がよい。
そこで、各実施例に係るプリプレグを、溶融した熱可塑性樹脂によって加熱及び加圧することにより、空孔率を低減することを試みた(加熱加圧工程)。具体的には、各実施例(実施例1〜4,7,8)にて製造したプリプレグを、長さ100mm、幅25mmに切断し、切断したプリプレグを射出成形用金型のキャビティ内にポリイミドテープで固定して、射出成形用金型のキャビティ内にインサートする。そして、プリプレグをキャビティ内にインサートしたまま、キャビティ内に溶融樹脂(射出樹脂)を所定の圧力でもって射出する。これにより、プリプレグが射出樹脂により覆われるとともに、射出樹脂からの熱によって加熱され、さらに、射出圧力によって加圧される(射出成形工程)。このとき、射出樹脂として、炭素繊維が30重量%含有されたポリプロピレン樹脂(東レ株式会社製:トレカTLP−8169)を用い、射出シリンダの温度を230℃に設定した。また、射出成形用金型の温度は、型内にインサートされているプリプレグを構成する酸変性PPの融点よりも、約40℃低い温度に設定した。また、溶融樹脂の射出後、81.8Mpaの圧力で、保圧した。
そして、射出成形工程の実施後、金型から射出樹脂と一体化された成形品(以下、射出樹脂一体プリプレグと呼ぶこともある)を取り出し、エポキシ樹脂で固めて表面を研磨した。研磨面を顕微鏡で観察し、観察領域における空孔率を画像解析で求めた。その結果を表3に示す。なお、表3には、それぞれの実施例(実施例1〜4,7,8)において、射出成形工程を実施する前の空孔率(表1及び表2に示す空孔率)が第一空孔率として示され、射出成形工程を実施した後の空孔率が第二空孔率として示される。
表3からわかるように、いずれの実施例に係る射出樹脂一体プリプレグにおいても、その空孔率(第二空孔率)は1%未満である。このことから、射出成形工程(加熱加圧工程)を実施することによって、プリプレグの空孔率を低減できることがわかる。なお、図1〜図6に、各実施例(実施例1〜4,7,8)に係るプリプレグ及び射出樹脂一体プリプレグの研磨断面の顕微鏡写真(倍率:300倍)を示す。図1が、実施例1に係るプリプレグ及び射出樹脂一体プリプレグの研磨断面の顕微鏡写真、図2が、実施例2に係るプリプレグ及び射出樹脂一体プリプレグの研磨断面の顕微鏡写真、図3が、実施例3に係るプリプレグ及び射出樹脂一体プリプレグの研磨断面の顕微鏡写真、図4が、実施例4に係るプリプレグ及び射出樹脂一体プリプレグの研磨断面の顕微鏡写真、図5が、実施例7に係るプリプレグ及び射出樹脂一体プリプレグの研磨断面の顕微鏡写真、図6が、実施例8に係るプリプレグ及び射出樹脂一体プリプレグの研磨断面の顕微鏡写真である。各図において、プリプレグを表す部分のうち、黒い部分が空孔を表す。これらの写真を見てもわかるように、射出成形工程(加熱加圧工程)の実施によって、プリプレグ中の空孔率が減少していることが理解される。
6.補強効果の評価
次に、実施例1〜4,7,8に係るプリプレグの補強効果を評価するために、各射出樹脂一体プリプレグの曲げ弾性率を測定した。この場合において、各射出樹脂一体プリプレグの中央部分から、10mm×80mmの短冊形状の試験片を切り出し、試験片のプリプレグ面側が圧子と反対面になるように試験片を試験台上に設置し、3点曲げ試験を実施して各試験片の曲げ弾性率を測定し、測定した曲げ弾性率から、曲げ弾性率の向上率を算出した。ここで、曲げ弾性率の向上率とは、射出成形に用いた溶融樹脂の持つ曲げ弾性率を100とした場合における射出樹脂一体プリプレグの曲げ弾性率の相対値の大きさから100を減じた値である。従って、曲げ弾性率の向上率は、射出樹脂に一体化されているプリプレグによって射出樹脂が補強されている分の曲げ弾性率の比率を表す。すなわち、曲げ弾性率の向上率は、プリプレグの補強効果の大きさを表す。
表4からわかるように、いずれの実施例に係る射出樹脂一体プリプレグにおいても、約50%程度、曲げ弾性率が向上することがわかる。このことから、本実施形態に示すプリプレグは、補強材として、十分に適用可能であることがわかる。また、上記した射出成形工程を利用して、プリプレグと、そのプリプレグによって補強される樹脂成形部材とを一体化することができる。これによれば、補強される部材へのプリプレグの取付と、プリプレグの補強効果の向上とを、同時に実施することができる。

Claims (6)

  1. メジアン径が1μm以下で、融点が80℃以上且つ130℃以下である、酸変性されたポリオレフィン系の熱可塑性樹脂粒子が水に分散されてなる水分散性エマルジョンを、一方向に引き揃えられた複数の繊維により構成される繊維束に含浸させる含浸工程と、
    前記含浸工程にて前記繊維束に含浸された水分散性エマルジョンから水分を除去する水分除去工程と、
    を含む、プリプレグの製造方法。
  2. 請求項1に記載のプリプレグの製造方法において、
    前記含浸工程にて、所定の圧力を付与しながら前記繊維束に前記水分散性エマルジョンを含浸させることにより、繊維の含有率が75wt%以上に調整される、プリプレグの製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載のプリプレグの製造方法において、
    前記水分除去工程にて水分が除去された成形体を、溶融した熱可塑性樹脂によって加熱及び加圧する加熱加圧工程を、含む、プリプレグの製造方法。
  4. 請求項3に記載のプリプレグの製造方法において、
    前記加熱加圧工程が、前記水分除去工程にて水分が除去された成形体がインサートされた型内に、溶融した熱可塑性樹脂を射出する射出成形工程である、プリプレグの製造方法。
  5. 一方向に引き揃えられた複数の繊維により構成される繊維束と、前記繊維に付着され、融点が80℃以上且つ130℃以下である、酸変性されたポリオレフィン系の熱可塑性樹脂とを備え、
    前記繊維の重量含有率が75wt%以上である、プリプレグ。
  6. 請求項4に記載のプリプレグにおいて、
    前記繊維の重量含有率が90wt%以下である、プリプレグ。
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