以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一または同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
実施形態に係る容器用部品について説明する。容器用部品とは、開けるためのタブを備える容器を構成するための部品である。容器とは、任意の有体物を入れるための器である。タブは、他の器具を使うことなく容器を開けるために用いられる部品である。容器の例として缶および瓶が挙げられるが、容器の種類はこれらに限定されない。タブの例としてステイオンタブ、プルタブ、およびフルオープンエンドのタブが挙げられるが、タブの種類はこれらに限定されない。例えば、容器が缶であれば、容器用部品は缶蓋または缶胴であり得る。容器が瓶であれば、容器用部品は瓶の本体、または蓋であり得る。容器に入れられる有体物の例として飲料および食品が挙げられるが、その有体物の具体的な種類はこれらに限定されない。本明細書では、容器用部品を備える容器に有体物を収容することで成る物を物品という。物品の例として、店舗で販売される商品が挙げられる。
本実施形態では容器用部品の一例として缶蓋を示す。図1〜図4を示しながら缶蓋10について説明する。図1は実施形態に係る缶1の斜視図である。図2は缶蓋10の平面図である。図3は缶1が開けられた状態を示す斜視図である。図4は缶蓋10の製造方法の一例を示す図である。
缶蓋10は缶1の一部を構成する部品である。缶蓋10の一部には開口のための切欠き11が形成され、その切欠き11の一端付近にステイオンタブ12がリベット13により取り付けられる。人がステイオンタブ12を引くことで、切欠き11で囲まれた部分(スコア部分)が缶1の内部に向かって押し込まれ、これにより缶蓋10が開く。缶蓋10は、缶1の外面として機能する主面14を有する。ここで、缶1(容器)の外面とは、容器が開けられる前の状態において視認可能な面である。主面14は、缶1(容器)が開けられる前の状況下でステイオンタブ12(タブ)により覆われる第1領域14aと、その状況下でステイオンタブ12により覆われない第2領域14bとを有する。ここで、「タブにより覆われる」とは、主面内の観察対象の部分(第1領域14aまたは第2領域14b)と直交する方向からその部分を見たときに、その部分がタブで隠れて見えないことを意味する。本実施形態では第2領域14bは缶1が開けられる前の状況下で視認可能であるが、その状況下において第2領域がタブ以外の部品により覆われて視認不可能であってもよい。
主面14上にはバーコード20が設けられる。バーコード20の例として一次元バーコードおよび二次元バーコードが挙げられるが、バーコード20の種類は何ら限定されない。二次元バーコードの代表例としてQRコード(登録商標。以下同様)およびカメレオンコード(カラーバーコード)が挙げられるが、任意の種類の二次元バーコードが採用されてよい。バーコード20に埋め込まれるデータ(バーコードを読み取ることで得られるデータ)の内容は何ら限定されない。例えば、商品のシリアル番号、ロット番号、商品ID、消費期限、または製造時期がバーコード20に埋め込まれてもよい。あるいは、懸賞の応募に必要な情報がバーコード20に埋め込まれてもよい。バーコード20は、店舗にあるレジでの精算の際に読み取られるバーコードとは独立したものであってもよいし、購入手続に必要な情報を含んでもよい。
いずれにしても、バーコード20は第1領域14aおよび第2領域14bに跨って設けられる。このようなバーコード20の配置は、缶1が開けられる前の状況下で、バーコード20の一部がステイオンタブ12により覆われ、バーコード20の残りの部分がステイオンタブ12により覆われないことを意味する。具体的には、缶1が開けられる前の状況下でバーコード20をバーコードリーダで読み取ることができないかまたは困難になるように、バーコード20の一部がステイオンタブ12により覆われる(言い換えると、バーコード20の一部が第1領域14aに配される)。ここで、「バーコードの読み取りが困難である」とは、仮に最終的にバーコードを読み取ることができるとしても基本的にはその読み取りを複数回試みる必要があることを意味する。
バーコード20がQRコードである場合には、誤り訂正レベルに基づく割合の部分を第1領域14aに配してもよい。例えば、QRコードの面積の7%以上、10%以上、15%以上、20%以上、25%以上、または30%以上が第1領域14aに設けられてもよい。なお、7%、15%、25%、および30%という数値はそれぞれ、QRコードの誤り訂正能力に関するレベルL、レベルM、レベルQ、およびレベルHに対応する。また、一つのファインダパターンのみを第1領域14aに配してもよいし、二つのファインダパターンのみを第1領域14aに配してもよいし、三つのファインダパターンのすべてを第1領域14aに配してもよい。第1領域14aに配するファインダパターンの個数を多くするほど、容器が開けられる前の時点でのQRコードの読み取りを困難にすることができる。あるいは、他の基準でQRコードの一部を第1領域14aに配してもよい。
なお、QRコードのファインダパターンは、リベット13に近い第1領域14aに設けられてもよい。「リベットに近い第1領域」とは、タブに設けられた穴よりもリベットに近い部分である。開缶しない程度にタブが上に持ち上げられた場合にはリベットに近い領域は実質的にタブで覆われ続ける。したがって、リベットに近い領域にファインダパターンを設けることで、開缶前にQRコードが読み取られることをより困難にすることができる。
第1領域14aおよび第2領域14bの具体的な位置は限定されない。図1〜図3は、第2領域14bがステイオンタブ12の穴から見える領域のみから成る例を示すが、第2領域14bはタブの外縁より外側の領域を含んでもよい(例えば、図1〜図3の例においてバーコード20がステイオンタブ12の外縁からはみ出てもよい)。あるいは、第2領域14bはタブの外縁より外側の領域のみから成ってもよい。
人がステイオンタブ12を引いて缶1を開けると、その動作の間においてステイオンタブ12が図3に示すように立ち上がった状態になる。この状態ではバーコード20の全体が露出するので、バーコード20の読み取りが可能になる(基本的には、一度の読取操作でバーコード20を読み取ることが可能になる)。このように、缶蓋10に設けられたバーコード20は、缶1が開けられるまでは読み取り不可能かまたは困難であり、缶1が開けられて初めて読み取り可能になる。
缶蓋10は、例えば図4に示すような方法で作製できる。まず、缶蓋10となる金属板100上にリベット13を形成し、切欠き11を入れ、センターパネル15を形成する。続いて、ステイオンタブ12で少なくとも一部が隠れる位置にバーコード20を設ける。バーコード20を付ける手法は限定されない。例えば、レーザ印刷またはインクジェットプリンタを用いて金属板100上にバーコード20を印刷してもよい(すなわち、容器用部品の主面上にバーコードを印刷してもよい)。あるいは、バーコード20が印刷されたシールを金属板100上に貼ってもよい。最後に金属板100上にステイオンタブ12を取り付け、これにより缶蓋10が完成する。この缶蓋10を缶胴に取り付けることで缶1が完成する。缶蓋10の従来の製造方法と異なる点は、センターパネルの成形とステイオンタブ12の取付けとの間に、バーコード20の付加という一工程を挟むことである。このように従来の製造方法からの変更が容易なので、缶蓋10の製造コストの上昇を抑えることができる。なお、容器用部品およびタブの材料は何ら限定されない。ただし、タブは、バーコードの一部を隠すために、最終的には不透明または半透明な部品として提供される。
以上説明したように、本発明の一側面に係る容器用部品は、開けるためのタブを備える容器を構成するための容器用部品であって、容器の外面として機能する主面と、主面上に設けられたバーコードとを備え、主面が、容器が開けられる前の状況下でタブにより覆われる第1領域と、該状況下でタブにより覆われない第2領域とを有し、バーコードの少なくとも一部が第1領域に設けられる。
本発明の一側面に係る容器は、上記の容器用部品を備える。
本発明の一側面に係る物品は、上記の容器に有体物を収容して成る。
このような側面においては、容器の外面として機能する容器用部品の主面にバーコードが設けられるので、製造コストを上げるような特別な部材または手法を要しない。加えて、バーコードはその少なくとも一部が覆われたかたちで提供されるので、容器が開けられる前にそのバーコードを読み取ることは困難である。これは、バーコードの不正な読み取りの抑制または防止に貢献する。
他の側面に係る容器用部品では、バーコードが第1領域および第2領域に跨がって設けられてもよい。バーコードの一部を敢えて露出させることで、容器を開ける前からバーコードの存在を人に示すことができる。これにより、例えば、そのバーコード、容器、または物品に対する興味をその人に持たせることができる。
他の側面に係る容器用部品では、タブをさらに備えてもよい。タブを備える容器用部品にバーコードを設けることで、バーコードの読み取りを困難にさせるためのバーコードとタブとの位置関係の調整を容易に行うことができる。これは容器用部品の製造コストの抑制につながり得る。
他の側面に係る容器用部品では、タブに穴が形成され、第2領域がタブの穴から見える領域を含んでもよい。バーコードの少なくとも一部をタブの穴に配することで、バーコードが容器用部品の全体的なデザインに与える影響を小さくすることができる。
他の側面に係る容器用部品では、バーコードが主面上に印刷されてもよい。この場合には、容器用部品からバーコードが取り外されることを防止できる。
他の側面に係る容器用部品では、容器が缶であってもよい。この場合には、缶が開けられる前にバーコードが読み取られることを困難にすることができる。
他の側面に係る容器用部品は、タブを備える缶蓋であってもよい。この缶蓋にバーコードを設けることで、バーコードの読み取りを困難にさせるためのバーコードとタブとの位置関係の調整を容易に行うことができる。これは缶蓋および缶の製造コストの抑制につながり得る。
他の側面に係る容器用部品では、バーコードがQRコードであり、QRコードの少なくとも一つのファインダパターン、またはQRコードの誤り訂正レベルに基づく割合以上のQRコードの部分が、第1領域に設けられてもよい。このようにQRコードをタブで覆うことで、容器が開けられる前にそのQRコードが読み取られることを困難にできる。
以上、本発明をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
上記実施形態ではバーコード20が第1領域14aおよび第2領域14bに跨がって設けられたが、バーコードの全体が第1領域に設けられてもよい。すなわち、容器が開けられる前の状況下でバーコードの全体がタブにより覆われてもよい。
上述したように、容器用部品の態様は限定されない。例えば図5に示すように、瓶30の蓋31のタブ31aでバーコード20の一部が覆われるように、瓶30の本体32の主面33にバーコード20を設けてもよい。この例では、本体32が容器用部品に相当する。主面33は、瓶30(容器)が開けられる前の状況下でタブ31aにより覆われる第1領域33aと、その状況下でタブ31aにより覆われない(より具体的には、タブ31aにより覆われることなく視認可能な)第2領域33bとを有する。バーコード20は第1領域33aおよび第2領域33bに跨って設けられる。この例からわかるように、バーコードが設けられる容器用部品と、タブが設けられる容器用部品とが別であってもよい。いずれにしても、バーコードの一部は容器が開けられる前の状況下でタブにより覆われる。図5は、第2領域33bが、タブ31aの穴から見える領域と、タブ31aの外縁より外側の領域とを含む例を示す。
バーコードとしてフレームQR(登録商標。以下同様)を用いてもよい。図6はフレームQRであるバーコード20Aを主面14に設けた例を示す。フレームQRを用いることで、バーコード領域の全体または略全体を第1領域14aに位置させることが可能になる。図6に示すようにフレームQRのキャンパス領域の外縁の少なくとも一部をステイオンタブ12の穴の縁部と揃えてもよく、この場合には美観をより良くすることができる。図6ではバーコード(フレームQRのうちキャンパス領域を除いた部分)の全体が第1領域14aに設けられているが、バーコード20Aが第1領域14aおよび第2領域14bに跨がって設けられてもよい。あるいは、バーコード20Aがステイオンタブ12の外縁からはみ出てもよい。
上記実施形態では、穴が形成されたタブを示したが、タブの形状は何ら限定されない。例えば、穴が無いタブが用いられてもよい。