JP2017175968A - Pcr反応溶液の検出感度を維持する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】プライマー、DNAポリメラーゼ及びマグネシウムイオンを含む溶液にて、プライマーの分解を抑制し、調製したPCR反応溶液を室温にて一定時間以上静置後にも、標的核酸を特異性よく検出する方法を提供する。【解決手段】以下の(a)〜(d)の工程を含むことを特徴とする2種類以上の標的核酸を増幅することにより検出する方法。(a) 核酸中の標的領域を増幅するための2種類以上のプライマーセット、エキソヌクレアーゼ活性を持たないDNAポリメラーゼ及びマグネシウムイオンを含むPCR反応溶液を調製する工程、(b) 該PCR反応溶液に試料を混合する工程、(c) 該PCR反応により増幅する工程、及び、(d) 融解曲線解析によって標的領域の増幅産物を示すシグナルを検出する工程【選択図】なし

Description

本発明は、核酸増幅の分野に関する。さらに詳しくは、PCR反応溶液中のオリゴヌクレオチドプライマー(プライマー)の分解を抑制することで、標的核酸の検出感度を維持しながら保存時間をのばす方法に関する。
DNAポリメラーゼを用いた鋳型核酸からのDNAの合成は、分子生物学の分野において、シーケンシング法や核酸増幅法等、様々な方法に利用・応用されている。中でも、核酸増幅法は、研究分野のみならず、遺伝子診断、親子鑑定といった法医学分野、あるいは、食品や環境中の微生物検査等において、既に実用化されている。
中でも、DNAの特異的配列の増幅に用いられるPCR法は、研究分野から応用分野に至るまで極めて幅広く普及している技術である。現在、PCR法は更なる開発が行われており、複数のプライマーを同時に増幅するMultiplexPCR法や、蛍光色素を用いて、PCRの増幅産物をリアルタイムで検出するリアルタイムPCR法など、様々な技術が存在する。これらの技術も、研究分野のみならず、法医学分野や食品、環境中の微生物検査等において、既に実用化されている。
PCR法による遺伝子増幅方法は、標的核酸、4種類のデオキシヌクレオシド三リン酸、少なくとも一対のプライマーセット及びDNAポリメラーゼの存在下で、変性、アニーリング、伸長からなるサイクルを20〜50サイクル繰り返すことにより、上記一対のプライマーセットで挟まれる標的核酸の領域を指数関数的に増幅させる方法である。
PCR法には、一対のプライマーで挟まれる標的核酸の領域を増幅することで、目的とする遺伝子配列を増幅できる特徴がある反面、プライマーが目的としない誤った配列にハイブリダイズしてしまった場合(プライマーのミスマッチアニーリング)においても、目的としない配列の増幅が起こり、非特異的増幅が生じるという欠点がある。また、PCR中にプライマー同士が会合することで、プライマーダイマーが生じ、これが鋳型DNAとして働いて、非特異的増幅産物が作られてしまうという欠点がある。そのため、PCRにおける課題は、非特異的増幅がなく目的産物のみを増幅させることにある。
非特異的増幅を低減させる代表的な方法として、抗体を利用したホットスタート法が挙げられる。ホットスタート法では中和抗体によりDNAポリメラーゼのポリメラーゼ活性とエキソヌクレアーゼ活性を阻害することで、サイクル前のミスマッチアニーリングやプライマーダイマ―に起因する非特異的増幅を低減する手法である。しかし、係る方法は、非特異的増幅の抑制に効果が十分でないことや、特異的な増幅までも抑制してしまったりすることが多い。
さらに、プライマーとDNAポリメラーゼおよびマグネシウムイオンを同一溶液中に含むと、DNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性によりプライマーの分解が発生する。そのような場合、プライマーの特異性が下がり、プライマーダイマ―に起因する非特異的増幅が発生し、結果として標的核酸の検出感度を下げる原因となる。そのため、DNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性を抑制するため、PCR反応溶液の調製は常に氷上にて行う必要があり、PCR反応溶液調製後はすみやかにPCR反応を行わなければならないという課題が存在していた。臨床検査の現場などからは、こうした課題を解消し、PCR反応溶液を室温で一定時間静置させたいという強いニーズが存在している。
このように、室温(本発明においては、20℃から30℃までの温度をいう。)で、プライマーとDNAポリメラーゼおよびマグネシウムイオンを含むPCR反応溶液の調製が可能であり、また、調製したPCR反応溶液を室温にて一定時間以上静置後にも、標的核酸を感度よく検出する方法が求められていた。
特許第5830286号公報
上記のような事情を背景として、プライマーとDNAポリメラーゼおよびマグネシウムイオンを含む溶液にて、プライマーの分解を抑制することで室温でPCR反応溶液を調製することができ、さらに、調製したPCR反応溶液を室温にて一定時間以上静置後にも、標的核酸を特異性高く検出する方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記事情に鑑み、鋭意研究の結果、エキソヌクレアーゼ活性を有しないDNAポリメラーゼを使用することで、非特異増的幅産物の発生を抑制できること、そして、さらに、該DNAポリメラーゼを用いることでマグネシウムイオンとプライマー共存下でも、プライマーダイマ―の形成を抑制できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下のような構成からなる。
項1.以下の(a)〜(d)の工程を含むことを特徴とする2種類以上の標的核酸を増幅することにより検出する方法。
(a) 核酸中の標的領域を増幅するための2種類以上のオリゴヌクレオチドプライマーセット、エキソヌクレアーゼ活性を持たないDNAポリメラーゼ及びマグネシウムイオンを含むPCR反応溶液を調製する工程、
(b) 該PCR反応溶液に試料を混合する工程、
(c) 該PCR反応により増幅する工程、及び、
(d) 標的領域の増幅産物を示すシグナルを検出する工程
項2.前記(a)のPCR反応溶液が2mM以上のマグネシウムイオンを含むことを特徴とする項1に記載の方法。
項3.前記(a)のPCR反応溶中液に、さらにインターカレーターを含むことを特徴とする項1又は2に記載の方法。
項4.前記(a)のPCR反応溶液の調製工程を20℃から30℃の温度条件下にて行うことを特徴とする項1から3のいずれかに記載の方法。
項5.調製後の前記(a)のPCR反応溶液を20℃から30℃の温度条件下にて4時間静置後に、前記(b)〜(d)の工程を実施した際に得られる標的核酸由来のシグナルが、前記(a)の調製後10分以内のPCR反応溶液を使用し、前記(b)〜(d)の工程を実施した際に得られる標的核酸由来のシグナルと比較して30%以上残存していることを特徴とする項1から4のいずれかに記載の方法。
項6.試料に含まれる標的核酸を増幅し、検出するための核酸増幅用キットであって、該核酸の標的領域を増幅するための少なくとも2種類以上のオリゴヌクレオチドプライマーセット、エキソヌクレアーゼ活性を有しないDNAポリメラーゼ及びマグネシウムイオンを同一溶液中に含むことを特徴とする核酸増幅用キット。
本発明の方法により、PCR反応溶液を20℃から30℃で調製することが可能となる、さらに、調製後のPCR反応溶液を20℃から30℃で一定時間以上保存後も、非特異的増幅産物が発生せず、標的核酸を高い特異性をもって検出することが可能となる。
エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼを用いたPCR反応溶液の調製後10分以内のもの、および25℃にて4時間静置したものをそれぞれ用いて標的核酸の検出を行った結果である。 エキソヌクレアーゼ活性を有さないDNAポリメラーゼを用いたPCR反応溶液の調製後10分以内のもの、および25℃にて4時間静置したものをそれぞれ用いて標的核酸の検出を行った結果である。 マグネシウムイオンを反応開始直前に添加した際の、標的核酸の検出結果である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の実施形態において、PCR反応液はオリゴヌクレオチドプライマーセット(プライマーセット)、エキソヌクレアーゼ活性を有しないDNAポリメラーゼ、マグネシウムイオンを含む。その他の構成は特に限定されないが、鋳型となる核酸、1種以上のデオキシヌクレオチド三リン酸(dATP,dCTP,dTTP,dGTP)又は、デオキシヌクレオチド三リン酸の誘導体、緩衝剤、及び塩などを含有することが好ましい。
ここで緩衝剤としては、例えばトリス(TRIS)、トリシン(TRICINE)、ビスートリシン(BIS−TRICINE)、ヘペス(HEPES)、モプス(MOPS)、テス(TES)、タプス(TAPS)、ピペス(PIPES)、及びキャプス(CAPS)などが挙げられるが、特に限定されない。
反応緩衝液としてはトリス−塩酸緩衝液、トリス−硫酸緩衝液、トリシン緩衝液などが挙げられる。緩衝液の濃度としては10mMから200mM程度が好ましく、20mMから100mM程度がより好ましい。pHとしては7.0から9.5程度の範囲が好ましく、7.5から9.0程度の範囲がより好ましい。
本発明の反応組成には、1mMから10mMのマグネシウムイオンを含むことが好ましい。より好ましくは2mMから7mM、さらに好ましくは3mMから5mMのマグネシウムイオンを含む。マグネシウムイオンの添加する形態は特に限定されないが、硫酸マグネシウムや塩化マグネシウムなどのマグネシウム塩を用いることが好ましい。
本発明において使用されるプライマーは、目的の領域を増幅するように設計されていれば特に限定されない。本発明では複数のDNA領域を同時かつ迅速に検出するために、2種類以上、または3種類以上、あるいは4種類以上のプライマーセットを含み、各プライマーが標的とするDNAを増幅する。また、フォワード側又はリバース側のいずれかのプライマーを共通とすることもできる。PCR反応溶液には、PCR反応が進行しているかを確認する目的で、内部標準遺伝子とその増幅のためのプライマーをさらに含んでいてもよい。
本発明に使用する耐熱性DNAポリメラーゼは、エキソヌクレアーゼ活性を示さないDNAポリメラーゼであれば特に限定されない。エキソヌクレアーゼ活性には3‘→5’エキソヌクレアーゼ活性と5‘→3’エキソヌクレアーゼ活性が知られているが、本発明の実施形態では3‘→5’エキソヌクレアーゼ活性と5‘→3’エキソヌクレアーゼ活性を共に示さないDNAポリメラーゼを使用する。エキソヌクレアーゼ活性を示さないDNAポリメラーゼであれば特に限定されず、エキソヌクレアーゼ活性を示さない野生型のDNAポリメラーゼや、変異によってエキソヌクレアーゼ活性を欠失させたDNAポリメラーゼなどが使用できる。
本発明において使用される、変異によってエキソヌクレアーゼ活性を欠失させたDNAポリメラーゼは、特に限定されないが、例えば、特許文献1に開示されている変異型Taq DNAポリメラーゼが挙げられる。前記Taq DNAポリメラーゼは5‘→3’エキソヌクレアーゼ活性を低下もしくは欠失させるために、N末端側のアミノ酸を欠失させた改変Taq DNAポリメラーゼである。
なお、本発明において使用されるDNAポリメラーゼは、エキソヌクレアーゼ活性を示さないDNAポリメラーゼであれば、その起源、製造方法、変異箇所は特に限定されない。
本発明における標的領域の増幅産物を示すシグナルを検出する工程における検出手段としては、特に限定されるものではないが、融解曲線解析又は電気泳動等が挙げられる。特に、融解曲線解析が好ましい
本発明において、融解曲線解析により、蛍光物質を用いて増幅産物を検出する方法としてはSYBR(登録商標)Greenなどのインターカレーターを用いた、二本鎖DNAに結合する蛍光色素を添加するインターカレーター法が挙げられる。インターカレーターとは、二本鎖DNAに挿入(インターカレート)することによって、可逆的な、非共有結合的な様式で核酸と結合し、それによって核酸の存在および量を示す任意の分子を指す。一般に、インターカレーターとは、二本鎖DNAに挿入して蛍光を発する色素をいうものである。
本発明においては、多種類のインターカレーターを用いることが可能である。例えば、Ethidium bromide、シアニン色素(例えば、TOTO(登録商標)、YOYO(登録商標)、BOBOおよびPOPO)、SYBR(登録商標) Green I、SYBR(登録商標) Green ER、SYBR(登録商標) Green Gold、SYBR(登録商標) DX、PicoGreen(登録商標)、LCGeen(登録商標)、EvaGreen(登録商標)、SYTOX(登録商標) Green、ResoLight、ヨウ化プロピジウム、Acridine orange、7−アミノ−アクチノマイシン D、CyQUANT(登録商標) GR、SYTO(登録商標)9, SYTO(登録商標)10、SYTO(登録商標)13、SYTO(登録商標)14、SYTO(登録商標)82、FUN−1などが挙げられるが、特に限定されるものではない。
本発明における標的核酸由来のシグナルとは、融解曲線解析におけるインターカレーターに由来する蛍光の一次微分値の負の値(−dF/dT)を指す。また、該微分値のピーク(Tm値)が前後1℃以内の温度範囲にあるとき、同一検体由来のシグナルであると判断するものとする。
本発明においては、同一検体由来のシグナルを比較した際に、調製後10分以内にPCR反応溶液を用いて検出したシグナルと比較して、25℃にて4時間静置したPCR反応溶液をもちいて検出した蛍光の、同一Tm値における一次微分値の負の値(−dF/dT)が30%以上、好ましくは40%以上、より好ましくは50%残存していることを特徴とする。
本発明により、25℃で4時間静置した場合にあっても、シグナルの低下を抑えることができることで、一旦調製した試薬をそのまま使用することが可能であり、その結果として、臨床検査などの現場における作業性を格段に高めることができるようになる。なお、室温ではなく、冷蔵条件下に静置することにより、4時間よりもさらに長時間使用することが可能であることは言うまでもない。
本発明の核酸増幅法において用いられる反応液には、上記のほかに、キャリーオーバー汚染を防止するための組成として、ウラシルグリコシダーゼ、dUTPが含まれていてもよい。ウラシルグリコシダーゼはDNA配列中に存在するウラシルを特異的に切り出し、DNAの分解を起こす酵素である。反応液にdUTPが含まれる組成でPCRを行い得られるDNA断片はウラシルを含んでおり、ウラシルグリコシダーゼで分解される。一方、天然のDNAはウラシルを含まないため、分解されない。これを利用したキャリーオーバー汚染を防止する方法が知られている。
本発明のキットは、本発明の検出する方法に用いるためのキットである。すなわち、本発明のキットは、核酸中の標的領域を増幅するための2種類以上、または3種類以上、あるいは4種類以上のプライマーセット、エキソヌクレアーゼ活性を有しないDNAポリメラーゼ及びマグネシウムイオンを含む、試料に含まれる核酸を増幅し、融解曲線解析にて検出するためのキットであることを特徴とする。
本発明に用いられるプライマー、DNAポリメラーゼ及びマグネシウムイオンは、上記に説明した通りである。また、本発明のキットは、核酸増幅および融解曲線解析を行うのに必要とされる試薬類をさらに含んでいてもよい。具体的には、1種以上のデオキシヌクレオチド三リン酸(dATP,dCTP,dTTP,dGTP)又は、デオキシヌクレオチド三リン酸の誘導体、緩衝剤、及び塩並びに上述のdUTPを含んでいてもよい。
本キットはプライマー、DNAポリメラーゼ、マグネシウムイオンが混合物として収容されていることを特徴とするが、そのほかの試薬類は、別個に収容されていてもよいし、それらの一部が混合されていてもよい。
以下、実施例に基づき本発明をより具体的に説明する。もっとも、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1.DNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性がPCR反応液性に与える影響
サルモネラ遺伝子、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌のゲノムDNA各10コピーを試料として用い、マルチプレックスPCR反応および融解曲線解析を実施した。内部標準遺伝子のピークが71℃に、サルモネラ菌のピークが76℃に、腸管出血性大腸菌のピークが80℃に、赤痢菌のピークが85℃に、それぞれTm値を与える。
本実施例では、マルチプレックスPCR用のプライマーセットとして、腸内細菌遺伝子検出キットー高速蛍光検出―(TOYOBO)に含まれる10×プライマーミックスを使用した。本実施例のDNAポリメラーゼは、エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼとして、rTaq DNA polymerase(TOYOBO)を使用した。その他の反応溶液組成は表1に示す。
25℃にて調製後10分以内のPCR反応溶液、及び25℃にて調製後、同一温度にて4時間静置したPCR反応溶液を使用した。これらPCR反応溶液に精製ゲノムDNA各10コピーを添加し、PCR反応及び融解曲線解析を実施した。融解曲線解析は表2に示すサイクル条件にてPCRを実施し、標的核酸由来のシグナルを検出した。解析には、リアルタイムPCR装置Light Cycler(登録商標)96(Roche)を使用した。
解析の結果、エキソヌクレアーゼ活性を有するDNAポリメラーゼを使用したPCR反応溶液では、調製後10分以内のPCR反応溶液と比較して、調整後4時間静置したPCR反応溶液では部標準遺伝子、サルモネラ菌、赤痢菌の標的遺伝子を示すシグナルが消失していた。腸管出血性大腸菌の標的遺伝子を示すシグナルは残存していたが、残存率は30%程度であった。
実施例2.DNAポリメラーゼのエキソヌクレアーゼ活性がPCR反応液性に与える影響
サルモネラ遺伝子、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌のゲノムDNA各10コピーを試料として用い、マルチプレックスPCR反応及び融解曲線解析を実施した。内部標準遺伝子のピークが71℃に、サルモネラ菌のピークが76℃に、腸管出血性大腸菌のピークが80℃に、赤痢菌のピークが85℃に、それぞれTm値を与える。
本実施例ではエキソヌクレアーゼ活性を有しないDNAポリメラーゼとしてTitanium Taq DNA Polymerase(CLONTECH LABORATORIE)を使用した。その他の反応溶液組成は表1に示す。
25℃にて調製後10分以内のPCR反応溶液、および25℃にて調製後、同一温度にて4時間静置したPCR反応溶液を使用した。これらPCR反応溶液に精製ゲノムDNA各10コピーを添加し、PCR反応及び融解曲線解析を実施した。融解曲線解析は表2に示すサイクル条件にてPCRを実施し、標的核酸由来のシグナルを検出した。解析には、リアルタイムPCR装置Light Cycler(登録商標)96(Roche)を使用した。
解析の結果、エキソヌクレアーゼ活性を有しないDNAポリメラーゼを使用したPCR反応溶液では、内部標準のシグナルは内部標準を含む4つの標的遺伝子由来のシグナルが全て観察された。調製後10分以内のPCR反応溶液と比較して、調整後4時間静置したPCR反応溶液では、内部標準遺伝子、サルモネラ菌、赤痢菌を示すシグナルは100%残存しており、腸管出血大腸菌の標的遺伝子を示すシグナルは65%程度残存していた。
実施例3.マグネシウムイオンがPCR反応液性に与える影響
サルモネラ遺伝子、腸管出血性大腸菌(EHEC)、赤痢菌のゲノムDNA各10コピーを試料として用い、マルチプレックスPCR反応および融解曲線解析を実施した。25℃にて表3に示す反応溶液を調製し、25℃にて4時間静置した。本反応溶液にはエキソヌクレアーゼ活性を有するrTaq DNA polymerase(TOYOBO)を使用した。静置後の反応溶液に終濃度3mMとなるよう硫酸マグネシウムを添加した。本PCR反応溶液に精製ゲノムDNA各10コピーを添加し、PCR反応及び融解曲線解析を実施した。融解曲線解析は表2に示すサイクル条件にてPCRを実施し、標的核酸由来のシグナルを検出した。解析には、リアルタイムPCR装置Light Cycler(登録商標)96(Roche)を使用した。
解析の結果、内部標準のシグナルは、内部標準を含む4つの標的遺伝子由来のシグナルが観察された。残存率は各4つのシグナルともに90%以上であった。
本発明によれば、エキソヌクレアーゼ活性を有しないDNAポリメラーゼを使用することで、マグネシウムイオン、オリゴヌクレオチドプライマーを同一溶液中に含むPCR反応溶液組成でも、室温での安定性を高めることが可能となる。また、従来は安定性を高めるためにマグネシウムイオン、又はオリゴヌクレオチドプライマーを別容器に含むキットが用いられてきたが、本発明の方法を使用することで、DNAポリメラーゼ、マグネシウムイオン及びオリゴヌクレオチドプライマーを同一溶液中に含むキットを作成することが可能となる。したがって、試薬の調製がより簡便となるため、特に核酸増幅技術に専門的な知識を有しない者により行われることの多い臨床診断などの場でも容易に核酸増幅検出を利用した遺伝子検査が可能となり、産業界に大きく寄与することが期待される。

Claims (6)

  1. 以下の(a)〜(d)の工程を含むことを特徴とする2種類以上の標的核酸を増幅することにより検出する方法。
    (a) 核酸中の標的領域を増幅するための2種類以上のオリゴヌクレオチドプライマーセット、エキソヌクレアーゼ活性を持たないDNAポリメラーゼ及びマグネシウムイオンを含むPCR反応溶液を調製する工程、
    (b) 該PCR反応溶液に試料を混合する工程、
    (c) 該PCR反応により増幅する工程、及び、
    (d) 標的領域の増幅産物を示すシグナルを検出する工程
  2. 前記(a)のPCR反応溶液が2mM以上のマグネシウムイオンを含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
  3. 前記(a)のPCR反応溶液中に、さらにインターカレーターを含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記(a)のPCR反応溶液の調製工程を20℃から30℃の温度条件下にて行うことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 調製後の前記(a)のPCR反応溶液を20℃から30℃の温度条件下にて4時間静置後に、前記(b)〜(d)の工程を実施した際に得られる標的核酸由来のシグナルが、前記(a)の調製後10分以内のPCR反応溶液を使用し、前記(b)〜(d)の工程を実施した際に得られる標的核酸由来のシグナルと比較して30%以上残存していることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の方法。
  6. 試料に含まれる標的核酸を増幅し、検出するための核酸増幅用キットであって、該核酸の標的領域を増幅するための少なくとも2種類以上のオリゴヌクレオチドプライマーセット、エキソヌクレアーゼ活性を有しないDNAポリメラーゼ及びマグネシウムイオンを同一溶液中に含むことを特徴とする核酸増幅用キット。
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