JP5689061B2 - 逆転写ポリメラーゼ連鎖反応用の組成物 - Google Patents

逆転写ポリメラーゼ連鎖反応用の組成物 Download PDF

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Description

本発明は、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応に有用な組成物、該組成物を用いるcDNAの合成方法、該組成物を用いるRNAの検出方法、及び逆転写ポリメラーゼ連鎖反応用キットに関する。
なお、本願は、2009年9月1日出願の日本国特許出願第2009−201561号に対して優先権を主張するものであり、日本国特許出願第2009−201561号の全内容を本願に組み込むものである。
ポリメラーゼ連鎖反応(Polymerase Chain Reaction、PCR)法は、試験管内において簡便に所望の核酸断片を増幅する技術であり、遺伝子に関する研究のみならず生物学、医学、農業等幅広い分野において不可欠の実験手法となっている。PCR法は、RNAの検出方法にも応用され、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(Reverse Transcription−Polymerase Chain Reaction、Reverse Transcriptase−Polymerase Chain Reaction、RT−PCR)法と呼ばれている。RT−PCR法は、RNA依存性DNAポリメラーゼ活性、すなわち逆転写活性を有する逆転写酵素、あるいは逆転写活性を併せ持つDNAポリメラーゼを用いてRNAに相補的なDNA転写物(cDNA)を合成し、続いてこれを鋳型としてPCRを行うことによりRNA由来のcDNAを特異的に増幅、検出する方法である。RT−PCR法は、mRNA由来のcDNAのクローニングやcDNAライブラリーの作製に利用されるほか、特定のmRNAの発現状態を調べる方法としても有用である。
一般的に、RT−PCR法は、まず逆転写反応によってcDNAを合成した後、PCRによりcDNAを増幅する2段階の反応系を用いる。しかしながら、この方法ではサンプルが多くなればなるほど労力と時間がかかるうえ、サンプル間のコンタミネーションの恐れも高くなる。この問題の改善策として、逆転写反応とPCRとを連続的に1つの容器内で行うことができるワンステップRT−PCR法が開発された(非特許文献1)。この方法は、逆転写酵素及び耐熱性DNAポリメラーゼを同一反応系に存在させ、RNAを鋳型に用いるcDNA合成と合成されたcDNAを鋳型に用いるPCR増幅とを温度プログラムにより制御可能にしたシステムである。
RT−PCR等の遺伝子増幅反応によって生成された増幅産物の解析法としては、増幅産物の鎖長とその量を同時に知ることができる電気泳動法がよく使用されている。電気泳動による増幅産物の解析は、反応後の溶液の一部をとってこれに試料用色素緩衝液(ローディング・バッファー)を添加し、電気泳動に供するのが一般的である。このような試料用色素緩衝液は、泳動距離の指標となる成分として色素(色素マーカー)を含み、反応液をゲルのウェル内に容易にアプライできるように反応液の比重を増加させる成分(比重増加剤)としてグリセロール等を含んでいる。
多数の試料について遺伝子増幅法を実施し、その結果の解析を電気泳動によって行う場合、個々の反応液を試料用色素緩衝液と混合して電気泳動に供するのは非常に煩雑な作業である。この作業は増幅反応が終った容器からの反応液の採取、試料用色素緩衝液の添加、混合といった一連の操作を要し、また、混合のための新たな容器も必要である。更に操作中に試料を取り違えてしまう危険もある。この問題を解決するため、PCR後の反応液を直接電気泳動に供することができる、予め色素マーカーと比重増加剤とが加えられたPCR用の反応液が開発されている(特許文献1)。しかしながら、異なる2つの酵素の両方に対して色素マーカー及び比重増加剤が悪影響を及ぼさないようにする必要があるため、予め色素マーカーと比重増加剤とが加えられたワンステップRT−PCR用の反応液の開発は困難と考えられていた。
特許第3587284号公報
バイオテクニークス(BioTechniques)、第18巻、第4号、第678頁−第687頁(1995)
本発明の目的は、色素マーカーと比重増加剤とを含み、かつ逆転写酵素による逆転写反応及び耐熱性DNAポリメラーゼによるPCRの2つの反応を効率よく実施することが可能な、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応用組成物を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意努力した結果、色素マーカー及び比重増加剤を含む組成物であっても、逆転写酵素による逆転写反応及び耐熱性DNAポリメラーゼによるPCRの両方の反応に悪影響を及ぼすことがなく、反応性に優れたワンステップRT−PCRが実施可能であり、かつRT−PCR後の反応液を電気泳動用ゲルに直接供することが可能であることを見出した。更には、当該組成物を用いて、酵素溶液の保存条件として一般的な−20〜−30℃の保存条件下でも凍結しない、操作性に優れたワンステップRT−PCR用の5倍濃度のプレミックス試薬を調製することが可能であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の態様は、耐熱性DNAポリメラーゼ、逆転写酵素、色素マーカー、及び比重増加剤を含む逆転写ポリメラーゼ連鎖反応用の組成物に関する。本発明の第一の態様における比重増加剤としては、グリセロール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール又はその組合せが、色素マーカーとしては、タートラジン、アシッドレッド18、キシレンシアノール又はその組合せが例示される。本発明の第1の態様の組成物に含まれる比重増加剤としては、20〜30容量%のグリセロール、及び2.5〜7.5重量/容量%のポリエチレングリコールが例示され、更に、5〜7.5容量%のエチレングリコールが比重増加剤として含まれていてもよい。
本発明の第2の態様は、本発明の第1の態様の組成物、並びに鋳型として用いるRNA、及び少なくとも1種のオリゴヌクレオチドプライマーを含む逆転写ポリメラーゼ連鎖反応用の反応液に関する。本発明の第2の態様の反応液に含まれる比重増加剤としては、4〜6容量%のグリセロール、及び0.5〜1.5重量/容量%のポリエチレングリコールが例示され、更に、1〜1.5容量%のエチレングリコールが比重増加剤として含まれていてもよい。
本発明の第3の態様は、本発明の第2の態様の反応液を逆転写ポリメラーゼ連鎖反応に供する工程を含むcDNAの合成方法に関する。
本発明の第4の態様は、(A)本発明の第2の態様の反応液を逆転写ポリメラーゼ連鎖反応に供する工程、及び(B)工程(A)において増幅されたcDNAを、電気泳動により検出する工程を含む、RNAの検出方法に関する。
本発明の第5の態様は、耐熱性DNAポリメラーゼ及び逆転写酵素を含有する酵素溶液、並びに色素マーカー及び比重増加剤を含有する反応緩衝液を含む、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応用のキットに関する。
本発明により、簡便で、コンタミネーションの発生及び試料の取り違いの可能性が低く、かつ反応性が優れた、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応用組成物、該組成物を用いるcDNAの合成方法、該組成物を用いるRNAの検出方法、及び逆転写ポリメラーゼ連鎖反応用キットが提供される。
比重増加剤としてポリエチレングリコール含むワンステップRT−PCR用反応液を使用して得られた反応産物の、アガロースゲル電気泳動の結果を示す図である。 比重増加剤として6%のグリセロール及び種々の濃度のポリエチレングリコールを含むワンステップRT−PCR用反応液を使用して得られた反応産物の、アガロースゲル電気泳動の結果を示す図である。 比重増加剤として種々の濃度のグリセロール、ポリエチレングリコール及び/又はエチレングリコールを含むワンステップRT−PCR用反応液を使用して得られた反応産物の、アガロースゲル電気泳動の結果を示す図である。
(1)本発明の組成物
本発明の組成物は、耐熱性DNAポリメラーゼ、逆転写酵素、色素マーカー、比重増加剤、及び反応緩衝剤を含む。
本明細書において、耐熱性DNAポリメラーゼとは、75℃以上の温度で30分間処理した後であっても活性を保持するDNA依存性DNAポリメラーゼをいう。本発明において、耐熱性DNAポリメラーゼは、5’→3’エキソヌクレアーゼ活性、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性、及び/又はRNA依存性DNAポリメラーゼ活性を更に有するものでもよい。
本発明に使用される耐熱性DNAポリメラーゼとしては、特に本発明を限定するものではないが、高度好熱菌由来のDNAポリメラーゼが例示される。高度好熱菌とは、75℃以上の環境下でも生育できる菌のことをいう。高度好熱菌としては、例えば、真正細菌ではThermus aquaticus、Thermus thermophilus、Thermus flavus、及びThermus filiformisのようなThermus属の真正細菌、古細菌ではPyrococcus furiosus、Pyrococcus woseii、Pyrococcus horikoshiiのようなPyrococcus属の古細菌、並びにThermococcus litoralis、Thermococcus celler、Thermococcus siculi、Thermococcus sp. KS−1、及びThermococcus kodakaraensisのようなThermococcus属の古細菌が挙げられる。また、耐熱性DNAポリメラーゼとしては、天然由来酵素又は組換体酵素のいずれも本発明に使用でき、耐熱性DNAポリメラーゼ活性を有する範囲で天然由来のアミノ酸配列に改変が施された耐熱性DNAポリメラーゼも本発明に使用できる。
本発明の組成物には、2種類以上の耐熱性DNAポリメラーゼが含まれていても良い。2種類以上の耐熱性DNAポリメラーゼとしては、3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を有する耐熱性DNAポリメラーゼと3’→5’エキソヌクレアーゼ活性を実質的に有さない耐熱性DNAポリメラーゼとの組み合わせが例示される。なお、2種類の耐熱性DNAポリメラーゼを含む反応液でPCRを行うこのような技術は、LA−PCR(Long and Accurate PCR)として知られている。
本発明の組成物中の耐熱性DNAポリメラーゼの濃度は、当該組成物を使用して調製されるRT−PCR反応液中においてPCRに適した濃度となるように設定すればよい。例えば、Thermus aquaticus由来DNAポリメラーゼを用いて反応液量25μLでDNA合成反応を行う場合、反応液中の該酵素の量は0.125〜5Uであってもよい。なお、本明細書に記載の耐熱性DNAポリメラーゼの活性は市販の酵素の表示に基づくものであり、例えば、活性化サケ精子DNAを鋳型/プライマーとして用い、活性測定用反応液(25mM TAPS Buffer(pH9.3、25℃)、50mM KCl、2mM MgCl、1mM 2−Mercaptoethanol、各200μM dATP・dGTP・dTTP、100μM [α−32P]dCTP及び0.25mg/mL 活性化サケ精子DNA)中にて、74℃において30分間に10nmolの全ヌクレオチドを酸不溶性沈殿物に取り込む活性を1Uとしてもよい。
本発明に使用される逆転写酵素は、逆転写活性、すなわちRNAを鋳型としてこれに相補的なDNAを合成する活性を有するものであればよく、例えば、モロニーマウス白血病ウイルス由来逆転写酵素(MMLV由来逆転写酵素)、トリ骨髄芽球症ウイルス由来逆転写酵素(AMV由来逆転写酵素)等のウイルス由来の逆転写酵素、好熱性バチルス(Bacillus)属細菌由来DNAポリメラーゼ(Bca DNAポリメラーゼ等)等の真正細菌由来の逆転写酵素が例示される。本発明には、ウイルス由来の逆転写酵素が好適に使用され、MMLV由来逆転写酵素がより好適に使用される。また、逆転写酵素として天然由来酵素又は組換体酵素のいずれも本発明に使用でき、逆転写活性を有する範囲で天然由来のアミノ酸配列に改変が施された逆転写酵素も本発明に使用できる。
本発明の組成物中の逆転写酵素の濃度は、当該組成物を使用して調製されるRT−PCR反応液中において逆転写反応に適した濃度となるように設定すればよく、例えば、RT−PCRを行う際の反応液中の濃度が従来のワンステップRT−PCRにおいて使用されていた濃度となるように設定してもよい。例えば、MMLV由来逆転写酵素を用いて反応液量50μLでワンステップRT−PCRを行う場合、反応液中の該酵素量は1〜200Uであってもよく、cDNA合成効率の観点から、好ましくは5U〜60Uであり、更に好ましくは10〜30Uである。なお、本明細書に記載の逆転写酵素の活性は市販の酵素の表示に基づくものであり、例えば、Poly(rA)・oligo(dT)12−18を鋳型/プライマーとし、37℃、10分間に1nmolの[H]dTTPを取り込む酵素活性を1Uとしてもよい。
本発明に使用される色素マーカーは、RT−PCR後の電気泳動時に泳動距離の指標として利用可能なものであり、逆転写酵素による逆転写反応と耐熱性DNAポリメラーゼによるPCRとを阻害しないものであれば特に限定はない。電気泳動時に泳動距離の指標として利用可能な色素マーカーとしては、タートラジン、オレンジG、オレンジGII、ブロモフェノールブルー、アシッドブルー9、ポンソーS、アシッドレッド18、キシレンシアノール、ファーストグリーンFCF、アミドブラック等が例示される。本発明の組成物には、1種類の色素マーカーのみが含まれていてもよいが、2種類又はそれ以上の色素マーカーが含まれていてもよい。2種類の色素マーカーが本発明の組成物に含まれる場合、本発明を特に限定するものではないが、キシレンシアノールとタートラジンとの組み合わせ、キシレンシアノールとアシッドレッド18との組み合わせが好適に例示される。
本発明の組成物中の色素マーカーの濃度は、反応液中で逆転写反応及びPCRを阻害せず、かつ電気泳動時に泳動距離の指標として目視可能な濃度であればよい。当該組成物を使用して調製されるRT−PCR反応液中での濃度が、例えば、キシレンシアノールであれば10〜250ng/μL、オレンジGIIでは25〜100ng/μL、ポンソーSでは25〜50ng/μLとなるように設定されるのが適当である。
本発明に使用される比重増加剤とは、RT−PCR後の反応液のゲルのウェルへの添加が容易となるよう、反応液の比重を高めることが可能な化合物のことを言う。比重増加剤としては、例えば、グリセロール、エチレングリコール(EG)、ポリエチレングリコール(PEG)、ショ糖等が挙げられる。その反応液中での濃度は、逆転写酵素による逆転写反応及び耐熱性DNAポリメラーゼによるPCRに悪影響を与えず、かつ反応液に適度な比重を与える範囲であれば、特に限定はない。RT−PCRを行う際の反応液中の濃度が、例えば、グリセロールでは2〜6容量%(v/v%)、ポリエチレングリコールでは0.5〜10重量/容量%(w/v%)、エチレングリコールでは1〜3v/v%となるのが適当である。また、RT−PCRを行う際の反応液中のポリエチレングリコールが3〜10w/v%である反応液では、反応産物の増幅量が大きい。従って、本発明の組成物は、このような濃度で比重増加剤を含有する反応液を調製可能なように設計されることが好ましい。
本発明の組成物には、1種類の比重増加剤のみが含まれていてもよいが、2種類又はそれ以上の比重増加剤が含まれていてもよい。2種類以上の比重増加剤が本発明の組成物に含まれる場合、本発明を特に限定するものではないが、その組み合わせとしてグリセロール、ポリエチレングリコール、及びエチレングリコールからなる群より選択された2種以上の比重増加剤の組み合わせが好適に例示される。例えば、6v/v%のグリセロール及び0.5〜2w/v%のポリエチレングリコールを比重増加剤として含むワンステップRT−PCR用の反応液は、6v/v%のグリセロールのみを比重増加剤として含む反応液を用いた場合と比較して反応産物の増幅量が大きいことから、当該反応液の調製に適した組成物は本発明に好適である。本発明の好適な態様として、30v/v%のグリセロールと2.5〜7.5w/v%のポリエチレングリコールとを比重増加剤として含むワンステップRT−PCR用の5倍濃度のプレミックス試薬、20〜30v/v%のグリセロール、2.5〜7.5w/v%のポリエチレングリコール、及び5〜7.5v/v%エチレングリコールを比重増加剤として含むワンステップRT−PCR用の5倍濃度のプレミックス試薬等が例示される。これらのプレミックス試薬は、−20〜−30℃の保存条件下でも凍結せず、かつRT−PCRに利用した際に優れた反応性を示すため、本発明の組成物として好適である。
本発明の組成物には、反応緩衝剤、少なくとも1種のデオキシリボヌクレオチド、マグネシウム塩及び/又はマンガン塩が更に含まれていてもよい。
反応緩衝剤とは、反応溶液の水素イオン濃度(pH)の変動を和らげる作用を持つ化合物又は混合物のことをいう。一般に、弱酸及びその塩、あるいは弱塩基及びその塩の混合溶液は強い緩衝作用を持つので、反応緩衝剤としてpHコントロールの目的で広く用いられている。本発明の組成物のpHは、遺伝子増幅反応が実施される通常の範囲、例えば、pH8.3〜pH9.5の範囲に設定されることが適当である。
デオキシリボヌクレオチドは、有機塩基に結合したデオキシリボースにホスホエステル結合によってリン酸基が結合したものである。天然型DNAは、各々4つの異なるヌクレオチドを含有する。アデニン、グアニン、シトシン及びチミン塩基を有するヌクレオチドが天然型DNAに見られる。塩基のアデニン、グアニン、シトシン、及びチミンはそれぞれ、A、G、C、及びTと略されることが多い。
本発明に使用されるデオキシリボヌクレオチドは、遊離の三リン酸型(すなわち、リン酸基が3つのリン酸部分を有する)デオキシリボヌクレオチド、すなわち、デオキシリボヌクレオシド三リン酸(例えば、dATP、dCTP、dITP、dGTP及びdTTP)であり、更にそれらの誘導体を使用することもできる。デオキシリボヌクレオチド誘導体は、[αS]dATP、7−デアザ−dGTP、7−デアザ−dATP又は核酸分解に抵抗性を示すデオキシヌクレオチド誘導体を含む。ヌクレオチド誘導体は、例えば、検出を可能にするために、32Pもしくは35Sなどの放射性同位体、蛍光部分、化学発光部分、生物発光部分又は酵素で標識されているデオキシリボヌクレオチドを含む。
反応緩衝剤、デオキシリボヌクレオチド、並びにマグネシウム塩及び/又はマンガン塩)を含有する本発明の組成物は、RT−PCRの実施前に鋳型として用いるRNA、オリゴヌクレオチドプライマー、及び必要に応じて水を加えるのみでRT−PCR用の反応液とすることができる。すなわち、ワンステップRT−PCR用のプレミックス試薬は、本発明の組成物の態様の一つである。この場合、例えば、本発明の組成物に鋳型として用いるRNA、オリゴヌクレオチドプライマーを加え、及び必要に応じて水を加えて本発明の組成物を1.5〜5倍に希釈することにより、ワンステップRT−PCRの反応液を調製することができる。なお、6倍以上の希釈を必要とするプレミックス試薬は、反応液を調製する際の計量誤差が大きくなりすぎるため、本発明の態様としては好ましくない。
ワンステップRT−PCR用のプレミックス試薬は、酵素溶液の保存で一般的な、−20〜−30℃での保存で凍結しないものが好ましい。プレミックス試薬がその保存条件下で凍結しなければ、プレミックス試薬の使用時に融解及び混合の操作を必要とせず、また、凍結/融解の繰り返しによる酵素の失活を避けることができる。
例えば、30v/v%のグリセロールと2.5〜7.5w/v%のポリエチレングリコールとを比重増加剤として含むワンステップRT−PCR用のプレミックス試薬、並びに20〜30v/v%のグリセロール、2.5〜7.5w/v%のポリエチレングリコール、及び5〜1.5v/v%のエチレングリコールを比重増加剤として含むワンステップRT−PCR用のプレミックス試薬は、−20〜−30℃の保存条件下でも凍結せず、かつRT−PCRに利用した際に優れた反応性を示すので、本発明の組成物として好適である。
また、上記のプレミックス試薬を用いて調製されるRT−PCR用の反応液も、本発明に包含される。本発明の反応液は、本発明の組成物と、鋳型として用いるRNA、及び少なくとも1種のオリゴヌクレオチドプライマーとを用いて調製することができる。
鋳型として用いるRNAは、プライマーがハイブリダイズした場合に、プライマーからの逆転写反応の鋳型として働くことができるRNAである。本発明の組成物には、1種類の鋳型を含んでも、又は異なるヌクレオチド配列を有する複数種の鋳型を含んでもよい。特定の鋳型に特異的なプライマーを使用することによって、核酸混合物中の複数種の鋳型についてプライマー伸長産物を作製することができる。複数の鋳型は、異なる核酸内に存在しても、同一の核酸内に存在してもよい。
本発明に適用することができる鋳型として用いるRNAとしては特に制限はなく、試料中の全RNA、mRNA、tRNA、rRNA等のRNA分子群、あるいは特定のRNA分子群(例えば、共通の塩基配列モチーフを有するRNA分子群、RNAポリメラーゼによる転写物、サブトラクション法によって濃縮されたRNA分子群)が挙げられ、逆転写反応に使用されるプライマーが作製可能な任意のRNAが挙げられる。
本発明において、鋳型として用いるRNAは、例えば、細胞、組織又は血液のような生体由来試料、食品、土壌又は排水のような生物を含有する可能性のある試料等に含有されたものであっても良く、該試料等を公知の方法で処理することによって得られる核酸含有調製物に含有されたものであっても良い。該調製物としては、例えば、細胞破砕物又はそれを分画して得られる試料、該試料中の全RNA、あるいは特定のRNA分子群、例えば、mRNAを富化した試料等が挙げられる。
オリゴヌクレオチドプライマーは、鋳型RNAに相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチド又は鋳型RNAから合成されるcDNAに相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドであり、使用される反応条件において鋳型として用いるRNA又はcDNAに対してアニールするものであれば特に限定されるものではない。なお、オリゴ(dT)等のオリゴヌクレオチドやランダムな配列を有するオリゴヌクレオチド(ランダムプライマー)もオリゴヌクレオチドプライマーとして本発明に利用することができる。プライマーの鎖長は、特異的なアニーリングを行う観点から、好ましくは6ヌクレオチド以上であり、更に好ましくは10ヌクレオチド以上であり、オリゴヌクレオチドの合成の観点から、好ましくは100ヌクレオチド以下であり、更に好ましくは30ヌクレオチド以下である。前記オリゴヌクレオチドは、例えば公知の方法により化学的に合成することができる。また、生物試料由来のオリゴヌクレオチドであっても良く、例えば、天然の試料より調製したDNAの制限エンドヌクレアーゼ消化物から単離して作製しても良い。
本発明の組成物中のオリゴヌクレオチドプライマーの濃度は、RT−PCRを行う際の反応液中の濃度がワンステップRT−PCRに適した濃度となるように設定すればよく、特に制限はないが、0.1〜1μMの濃度であれば良い。
(2)本発明のcDNAの合成方法
本発明のcDNAの合成方法は、本発明のRT−PCR用の反応液を逆転写ポリメラーゼ連鎖反応に供する工程を含む。当該逆転写ポリメラーゼ連鎖反応は、逆転写反応終了後にそのままポリメラーゼ連鎖反応を実施するワンステップ逆転写ポリメラーゼ連鎖反応であることが好ましい。
本発明のcDNAの合成方法における逆転写反応の条件は、鋳型RNAに相補的なプライマー伸長鎖を合成するために十分な条件であれば特に限定はない。鋳型RNAに相補的なプライマー伸長鎖を合成するために十分な条件とは、特に限定するものではないが、温度条件としては25〜60℃が例示され、30〜50℃がより好適である。また、反応時間としては、5〜120分間が例示され、15〜60分間がより好適である。なお、ワンステップRT−PCRにおける逆転写反応は、一般的な逆転写反応の温度よりも高い温度で実施されることがある[バイオテクニークス(BioTechniques)、第18巻、第4号、第678頁−第687頁(1995)]。一般的な逆転写反応よりも高い温度での逆転写反応では、反応時間の経過に伴って逆転写酵素が失活するが、その一方で、プライマーのアニーリングの特異性が向上するうえ鋳型として用いるRNAの二次構造による影響も回避でき、結果として逆転写反応の特異性の向上及び反応感度の向上が認められる。例えば、MMLV由来の逆転写酵素を用いる逆転写反応の一般的な逆転写反応の温度は42℃であり、この逆転写酵素の反応初速度の至適温度は44〜50℃[ジャーナル オブ バイオケミストリー(J. Biochem)、第143巻、第261頁〜第268頁(2008)]であるが、RT−PCRの感度及び特異性の向上のために、45〜50℃、あるいはMMLV由来逆転写酵素の至適温度よりも高い50℃以上の温度で逆転写反応を実施してもよい。
本発明のcDNAの合成方法では、上記の逆転写反応後に、逆転写酵素が不活化する条件で反応液をインキュベートしてもよい。逆転写酵素を不活化する条件としては、例えば、94℃で2分間でインキュベートする条件が例示される。
本発明のcDNAの合成方法におけるポリメラーゼ連鎖反応の条件は、一般的なPCRの条件が適用でき、例えば、二本鎖鋳型DNAの一本鎖への解離(変性)、一本鎖鋳型DNAへのプライマーのアニーリング及びプライマーからの相補鎖合成(伸長)の3つのステップからなる反応により、又は「シャトルPCR」[『PCR法最前線』、「蛋白質核酸 酵素」別冊、第41巻、第5号、425頁〜428頁(1996)]と呼ばれる、前述の3ステップ反応のうちプライマーのアニーリング及び伸長のステップを同一温度で行なう2ステップ反応により実施される。
(3)本発明のRNAの検出方法
本発明のRNAの検出方法は、(A)本発明のRT−PCR用の反応液を逆転写ポリメラーゼ連鎖反応に供する工程、及び(B)工程(A)において増幅されたcDNAを、電気泳動により検出する工程を含む。上記の工程(A)における逆転写ポリメラーゼ連鎖反応は、「(2)本発明のcDNAの合成方法」と同様の条件で実施することができる。
上記の工程(B)における電気泳動としては、例えば、アガロースゲル電気泳動又はポリアクリルアミドゲル電気泳動が例示される。電気泳動に用いられる泳動用緩衝液(泳動バッファー)としては、アガロースゲル電気泳動の場合、TAEバッファー又はTBEバッファー、ポリアクリルアミドゲル電気泳動の場合、TBEバッファーが一般的である。アガロースゲル電気泳動の場合、TAEバッファーは数kb以上の長鎖のDNAの分離に優れ、TBEバッファーは単鎖のDNAの分離に優れている。工程(A)において実施されたRT−PCR後の反応液は、泳動バッファーとしてTAEバッファー又はTBEバッファーのいずれを用いる場合も、試料用色素緩衝液を加えることなく、そのまま電気泳動に供することが可能である。
(4)本発明の逆転写ポリメラーゼ連鎖反応用のキット
本発明の逆転写ポリメラーゼ連鎖反応用のキットは、耐熱性DNAポリメラーゼ及び逆転写酵素を含有する酵素溶液、並びに色素マーカー及び比重増加剤を含有する反応緩衝液
を含む。
当該酵素溶液に含まれる耐熱性DNAポリメラーゼ及び逆転写酵素、並びに当該反応緩衝液に含まれる色素マーカー及び比重増加剤としては、前記の「(1)本発明の組成物」において例示されたものが好適に利用できる。なお、比重増加剤は、反応緩衝液だけでなく酵素溶液にも含まれていてもよい。
色素マーカー及び比重増加剤を含有する反応緩衝液には、前記の「(1)本発明の組成物」において例示される、反応緩衝剤、少なくとも1種のデオキシリボヌクレオチド、マグネシウム塩及び/又はマンガン塩が更に含まれていてもよい。
本発明のキットに含まれる酵素溶液と反応緩衝液とを混合し、鋳型として用いるRNA、オリゴヌクレオチドプライマー、及び必要に応じて水を更に加えることにより、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応用の反応液を調製することができる。
実施例1
ワンステップRT−PCR用反応液への、色素マーカー及び比重増加剤の添加を検討した。RT−PCR用反応液の調製には、逆転写酵素及び耐熱性DNAポリメラーゼとしてPrimeScript(登録商標) One Step RT−PCR Kit Ver.2(タカラバイオ社製)に含まれるPrimeScript(登録商標) 1 step Enzyme Mixを用いた。鋳型として、HL60細胞から取得した全RNAを用い、プライマーとして、CCND2遺伝子の2.8kbの領域を増幅するためのプライマー対、CCND2F(配列番号:1)及びCCND2R(配列番号:2)を用いた。
まず、対照として、色素マーカー及び比重増加剤を添加しない25μLの反応液5種類(それぞれ50pg、500pg、5ng、50ng及び500ngの鋳型全RNAを含む)を調製した。対照の反応液の調製には、逆転写酵素及び耐熱性DNAポリメラーゼとして、PrimeScript(登録商標) One Step RT−PCR Kit Ver.2に含まれるPrimeScript(登録商標) 1 step Enzyme Mixを1μL使用した。また、反応液の酵素及び鋳型全RNA以外の組成は、50mM Tris−HCl(pH9.2)、2.5mM MgCl、14mM (NHSO、各0.4mM dNTP、12.5mM KCl、0.01% BSA、400nM CCDN2F、及び400nM CCDN2Rとした。上記のPrimeScript(登録商標) 1 step Enzyme Mixは、MMLV由来の逆転写酵素であるPrimeScript(登録商標) RTaseと、2種類の耐熱性DNAポリメラーゼの混合物であるTaKaRa Ex Taq(登録商標)HSとを含む酵素混合液である。なお、上記反応液は、PrimeScript(登録商標) 1 step Enzyme Mixから持ち込まれる終濃度2v/v%のグリセロールを含む。
次に、色素マーカーとしてXylene Cyanol FF(ナカライテスク社製)又はTartrazine(ナカライテスク社製)を含み、比重増加剤としてグリセロールを含む25μLの反応液1〜7を、50pg、500pg、5ng、50ng及び500ngの鋳型全RNAのそれぞれについて調製した。反応液1〜7は、表1に示す通り、グリセロール濃度がそれぞれ異なる反応液である。また、各鋳型全RNA量に対する反応液1〜7は、表1に示す濃度で色素マーカー、及びグリセロールを含む点以外は、前記の対照の反応液と同じ成分を含有する。
Figure 0005689061
調製した各25μLの反応液について、TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice(登録商標、タカラバイオ社製)を用いてワンステップRT−PCRを行った。ワンステップRT−PCRは、42℃での30分間の逆転写反応、それに続く94℃での2分間の加温の後、98℃で10秒間〜55℃で30秒間〜72℃で3分間のインキュベーションを1サイクルとする計30サイクルのPCRにより実施した。反応終了後の反応液のそれぞれより3μLを採取して1%アガロース電気泳動に供し、UV照射により増幅産物量を確認した。
その結果、色素マーカー及び比重増加剤を含む反応液であっても、ワンステップRT−PCRによって鋳型RNAからcDNAを増幅できることが明らかとなった。また、色素マーカー及び終濃度2v/v%以上のグリセロールを含む反応液は、アガロース電気泳動の泳動バッファーとしてTAEバッファー又はTBEバッファーのどちらを用いた場合も、反応終了後に試料用色素緩衝液を添加することなく、直接アガロースゲルにアプライすることが可能であった。色素マーカー及び比重増加剤を含む反応液は、対照と比べ、グリセロール濃度4v/v%までは感度及び増幅量とも同等であったが6v/v%では増幅量が若干低下し、8v/v%以上では感度及び増幅量ともに低下した。
実施例2
色素マーカー及び比重増加剤を含むワンステップRT−PCR用反応液の比重増加剤として、ポリエチレングリコールを使用した場合の効果を検討した。
表2に記載の濃度のポリエチレングリコール #6000(ナカライテスク社製;以下の実施例において、単にポリエチレングリコール又はPEGと記載する)を比重増加剤として含む反応液1〜7を調製した以外は、実施例1と同様の方法でRT−PCR用反応液を調製した。調製した各反応液について、実施例1と同様の方法でワンステップRT−PCRを行った。アガロース電気泳動の結果を図1に示す。
Figure 0005689061
その結果、比重増加剤としてポリエチレングリコールを含む色素マーカー入り反応液であっても、ワンステップRT−PCRによって鋳型RNAからcDNAを増幅できることが明らかとなった。また、色素マーカー及び終濃度0.5w/v%以上のポリエチレングリコールを含む反応液は、アガロース電気泳動の泳動バッファーとしてTAEバッファー又はTBEバッファーのどちらを用いた場合も、反応終了後に試料用色素緩衝液を添加することなく、直接アガロースゲルにアプライすることが可能であった。比重増加剤としてポリエチレングリコールを3〜10w/v%含む反応液においては、増幅量が対照よりも増大した。また、ポリエチレングリコールを0.5〜5w/v%含む反応液においては、対照と同等の検出感度を示した。
実施例3
色素マーカー及び比重増加剤を含むワンステップRT−PCR用反応液の比重増加剤として、エチレングリコールを使用した場合の効果を検討した。
表3に記載の各濃度のエチレングリコール(ナカライテスク社製)を比重増加剤として含む反応液1〜7を調製する以外は、実施例1と同様の方法で、RT−PCR用反応液を調製した。調製した各反応液について、実施例1と同様の方法でワンステップRT−PCRを行った。表3中、EGはエチレングリコールを意味する。
Figure 0005689061
その結果、比重増加剤としてエチレングリコールを含む、色素マーカー入り反応液であっても、ワンステップRT−PCRによって鋳型RNAからcDNAを増幅できることが明らかとなった。また、色素マーカー及び終濃度1v/v%以上のエチレングリコールを含む反応液は、アガロース電気泳動の泳動バッファーとしてTAEバッファー又はTBEバッファーのどちらを用いた場合も、反応終了後に試料用色素緩衝液を添加することなく、直接アガロースゲルにアプライすることが可能であった。比重増加剤としてエチレングリコールを1v/v%含む反応液において、対照と同等の増幅量を示した。また、エチレングリコールを1〜3v/v%含む反応液において、対照と同等の検出感度が示された。
実施例4
種々の色素マーカーが1ステップRT−PCRに及ぼす影響について検討した。
Xylene Cyanol FF及びTartrazineの代わりにOrangeG(ナカライテスク社製)、OrangeGII(ナカライテスク社製)、Bromo Phenol Blue(ナカライテスク社製)、Acid Blue9(メルク社製)、Amaranth(ナカライテスク社製)、Acid Red18(東京化成工業社製)、又はPonceauS(メルク社製)を表4記載の濃度で色素マーカーとして含み、PrimeScript(登録商標) 1 step Enzyme Mixから持ち込まれる終濃度2v/v%のグリセロール以外に比重増加剤を含まない反応液を調製する以外は、実施例1と同様の方法でワンステップRT−PCR用反応液を調製した。調製した各反応液について、実施例1と同様の方法でワンステップRT−PCRを行った。
Figure 0005689061
その結果、いずれの色素マーカーを含有する反応液についても、ワンステップRT−PCRによって、鋳型RNAからcDNAを増幅できることが明らかとなった。また、どの色素マーカーを添加した反応液についても、検出感度及び増幅量は、対照の反応液と同等であった。
実施例5
色素マーカーの含有量が1ステップRT−PCRに及ぼす影響について検討した。
Xylene Cyanol FF及びTartrazineの代わりに、Xylene Cyanol FF、OrangeGII、又はPonceauSを表5記載の濃度で色素マーカーとして含み、PrimeScript(登録商標) 1 step Enzyme Mixから持ち込まれる終濃度2v/v%のグリセロール以外に比重増加剤を含まない反応液を調製する以外は、実施例1と同様の方法でRT−PCR用反応液を調製した。調製した各反応液について、実施例1と同様の方法でワンステップRT−PCRを行った。
Figure 0005689061
10〜250ng/μLのXylene Cyanolを含む反応液はどの色素濃度でも検出感度及び増幅量とも対照と同等であった。一方、OrangeGIIを含む反応液は、25〜100ng/μLの色素マーカー濃度までは検出感度及び増幅量とも対照と同等であったが、250ng/μLの色素マーカー濃度では、検出感度及び増幅量とも対照よりも低下した。PonceauSを含有する反応液は、25〜50ng/μLの色素マーカー濃度までは検出感度及び増幅量ともに対照と同等であったが、100ng/μL以上の色素マーカー濃度では、検出感度及び増幅量ともに対照よりも低下した。
実施例6
−30℃の保存条件下でも凍結しない、操作性に優れたワンステップRT−PCR用の5倍濃度のプレミックス試薬について検討した。
(1)グリセロール濃度の検討
10v/v%、15v/v%、20v/v%、25v/v%及び30v/v%のグリセロールを含むワンステップRT−PCR用の5倍濃度のプレミックス試薬(以下、5×プレミックス)をそれぞれ2mLずつ調製した。当該5×プレミックスのグリセロール以外の成分を、表6に示す。
Figure 0005689061
調製した各5×プレミックスを1.5mLのチューブに650μLずつ分注し、−30℃に設定した冷凍庫[MEDICAL FREEZER(三洋電機社製)]で1〜2日間静置した後、凍結の有無を確認した。結果を表7に示す。
Figure 0005689061
表7に示す通り、グリセロール濃度を30v/v%とした5×プレミックス(RT−PCR時のグリセロール濃度は6v/v%)は、−30℃の保存において凍結しなかった。
(2)ポリエチレングリコール濃度の検討
−30℃の保存条件下でも凍結しない、操作性に優れたワンステップRT−PCR用の5倍濃度のプレミックス試薬について検討した。
30v/v%のグリセロール及び前記の表6の成分を有する5×プレミックス、並びに30v/v%のグリセロール及び前記の表6の成分に加えて2.5w/v%、5w/v%、7.5w/v%、あるいは10w/v%のポリエチレングリコールを含有する4種類の5×プレミックスを2mLずつ調製した。対照として、2v/v%のグリセロール及び表6の組成を有する5×プレミックスを2mL調製した。
調製した上記6種類の5×プレミックスを1.5mLのチューブに650μLずつ分注し、−30℃に設定した冷凍庫(MEDICAL FREEZER)で1〜2日間静置した後、凍結の有無を確認した。対照の5×プレミックスは凍結していたが、他の5種類の5×プレミックスはいずれも凍結していなかった。次に、各5×プレミックス5μLに20μMのCCDN2Fを0.5μL、20μMのCCDN2Rを0.5μL、HL60から取得した鋳型全RNA溶液を1μL、及び滅菌蒸留水18μLをそれぞれ加え、RT−PCR反応液を調製した。このとき、鋳型全RNA溶液は50pg/μL、500pg/μL、5ng/μL、50ng/μL、及び500ng/μLのものを使用し、それぞれの5×プレミックスについて鋳型量の異なる5種類の反応液を調製した。調製した反応液について、TaKaRa PCR Thermal Cycler Dice(登録商標)を用いてワンステップRT−PCRを行った。ワンステップRT−PCRは、42℃で30分間の逆転写反応とそれに続く94℃で2分間の加温の後、98℃で10秒間〜55℃で30秒間〜72℃で3分間のインキュベーションを1サイクルとする計30サイクルのPCRにより実施した。反応終了後の反応液のそれぞれより3μLを採取して1%アガロース電気泳動に供し、UV照射により増幅産物量を確認した。結果を表9に示す。なお、表9の操作性、反応性及び総合評価の欄に記した印の意味を表8に示す。また、アガロース電気泳動の結果を図2に示す。
Figure 0005689061
Figure 0005689061
表9中、グリセロール及びポリエチレングリコールの濃度は、反応に供したRT−PCR用反応液における濃度を示す。表9に示す通り、グリセロール濃度が6v/v%の反応液を用いたRT−PCRにおいて、反応液に0.5〜2w/v%のポリエチレングリコールを更に含有させることにより、反応性が向上することが明らかになった。ただし、10w/v%ポリエチレングリコールを含む5×プレミックス(RT−PCR反応時のポリエチレングリコール濃度が2w/v%)は、5×プレミックスの状態での粘度が非常に高く、マイクロピペットによる吸い上げ及び排出が困難であった。本実施例により、ワンステップRT−PCR用の5倍濃度プレミックス試薬として、グリセロールを30v/v%、及びポリエチレングリコールを2.5〜7.5w/v%(RT−PCR反応時のグリセロール濃度が6v/v%、ポリエチレングリコール濃度が0.5〜1.5w/v%)含むものが優れた性質を示すことが明らかとなった。
(3)エチレングリコール濃度及びポリエチレングリコール濃度の検討−1
実施例6−(1)において、−30℃の保存条件下での凍結が認められたグリセロール濃度が20v/v%又は25v/v%の5×プレミックス(RT−PCR反応時のグリセロール濃度がそれぞれ4v/v%及び5v/v%)について、エチレングリコール及びポリエチレングリコールの添加を検討した。
前記の表6の組成に加え、下記表10に示す濃度の比重増加剤を有する計20種類の5×プレミックスを2mLずつ調製した。対照として、2v/v%のグリセロール及び表6の成分を有する5×プレミックスを2mL調製した。
Figure 0005689061
調製した5×プレミックスを1.5mLのチューブに650μLずつ分注し、−30℃に設定した冷凍庫(MEDICAL FREEZER)で1〜2日間静置した後、凍結の有無を確認した。次に、各5×プレミックス5μLに20μMのCCDN2Fを0.5μL、20μMのCCDN2Rを0.5μL、HL60から取得した鋳型全RNA溶液を1μL、及び滅菌蒸留水18μLをそれぞれ加え、RT−PCR反応液を調製した。このとき、鋳型全RNA溶液は50ng/μL、5ng/μL、及び500pg/μLのものを使用し、それぞれの5×プレミックスについて鋳型量の異なる3種類の反応液を調製した。調製した反応液について、実施例6−(2)と同様の方法でワンステップRT−PCRを行った。反応終了後の反応液を1%アガロース電気泳動に供し、UV照射により増幅産物量を確認した。結果を表11に示す。表11の操作性、反応性及び総合評価の欄に記した印の意味は、前記の表8に示す通りである。また、アガロース電気泳動の結果を図3に示す。
Figure 0005689061
表11中、グリセロール、ポリエチレングリコール、及びエチレングリコールの濃度は、1倍濃度のRT−PCR用反応液を調製した際の濃度を示す。表11に示す通り、30v/v%未満のグリセロール濃度(RT−PCR反応時のグリセロール濃度が6v/v%未満)の5×プレミックスであっても、ポリエチレングリコール及び5〜7.5v/v%のエチレングリコール(RT−PCR反応時のエチレングリコール濃度が1〜1.5v/v%)を共存させることにより、−30℃の保存条件下でも凍結せず、かつRT−PCRの反応性に優れた5×プレミックスとすることが可能であることが明らかとなった。
(4)エチレングリコール濃度及びポリエチレングリコール濃度の検討−2
実施例6−(3)において認められた、グリセロール、ポリエチレングリコール、及びエチレングリコールを共存させることによる効果について、ポリエチレングリコールの濃度による影響を確認した。
前記の表6の成分に加え、下記表12に示す比重増加剤を含む計20種類の5×プレミックスを2mLずつ調製した。対照として、2v/v%のグリセロール及び表6の組成を有する5×プレミックスを2mL調製した。
Figure 0005689061
調製した5×プレミックスを1.5mLのエッペンチューブに650μLずつ分注し、−30℃に設定した冷凍庫(MEDICAL FREEZER)で1〜2日間静置した後、凍結の有無を確認した。次に、実施例6−(3)と同様の方法でRT−PCR反応液を調製し、ワンステップRT−PCRを行った。反応終了後の反応液を1%アガロース電気泳動に供し、UV照射により増幅産物量を確認した。結果を表13に示す。表13の操作性、反応性及び総合評価の欄に記した印の意味は、前記の表8に示す通りである。
Figure 0005689061
表13中、グリセロール、ポリエチレングリコール、及びエチレングリコールの濃度は、1倍濃度のRT−PCR用反応液を調製した際の濃度を示す。表13に示す通り、20〜25v/v%のグリセロール濃度(RT−PCR反応時のグリセロール濃度が4〜5v/v%)の5×プレミックスであっても、2.5〜7.5w/v%のポリエチレングリコール(RT−PCR反応時のポリエチレングリコール濃度が0.5〜1.5w/v%)及び5〜7.5v/v%のエチレングリコール(RT−PCR反応時のエチレングリコール濃度が1〜1.5v/v%)を共存させることにより、−30℃の保存条件下でも凍結せず、かつRT−PCRの反応性に優れた5×プレミックスとすることが可能であることが明らかとなった。
本発明は、遺伝子工学、生物学、医学、農業等幅広い分野において有用である。
SEQ ID NO:1 ; Primer CCND2F to amplify a 2.8k bp fragment of CCND2 gene.
SEQ ID NO:2 ; Primer CCND2R to amplify a 2.8k bp fragment of CCND2 gene.

Claims (7)

  1. 逆転写ポリメラーゼ連鎖反応用の1.5〜5倍濃度のプレミックス試薬であって、耐熱性DNAポリメラーゼ、逆転写酵素、色素マーカー、及び比重増加剤を含むプレミックス試薬
  2. 比重増加剤が、グリセロール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール及びその組合せからなる群より選択される、請求項1に記載のプレミックス試薬
  3. 色素マーカーが、タートラジン、アシッドレッド18、キシレンシアノール及びその組合せからなる群より選択される、請求項1に記載のプレミックス試薬
  4. 比重増加剤として、20〜30容量%のグリセロール、及び2.5〜7.5重量/容量%のポリエチレングリコールを含む、請求項2に記載のプレミックス試薬
  5. 比重増加剤として5〜7.5容量%のエチレングリコールを更に含む、請求項4に記載のプレミックス試薬
  6. −20℃〜−30℃の保存条件下でも凍結しない、請求項1記載のプレミックス試薬。
  7. RNAの検出方法であって、
    (A)請求項1〜6のいずれか一項に記載のプレミックス試薬、並びに鋳型として用いるRNA、及び少なくとも1種のオリゴヌクレオチドプライマーを含む逆転写ポリメラーゼ連鎖反応用の反応液を調製する工程、
    (B)工程(A)の反応液を逆転写ポリメラーゼ連鎖反応に供する工程、及び
    )工程()において増幅されたcDNAを、電気泳動により検出する工程、
    を含む方法。
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