JP2021153393A - 核酸増幅反応用組成物 - Google Patents

核酸増幅反応用組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2021153393A
JP2021153393A JP2020053768A JP2020053768A JP2021153393A JP 2021153393 A JP2021153393 A JP 2021153393A JP 2020053768 A JP2020053768 A JP 2020053768A JP 2020053768 A JP2020053768 A JP 2020053768A JP 2021153393 A JP2021153393 A JP 2021153393A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
nucleic acid
acid amplification
amplification reaction
reaction
kit
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020053768A
Other languages
English (en)
Inventor
旦 岡山
Akira Okayama
旦 岡山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP2020053768A priority Critical patent/JP2021153393A/ja
Publication of JP2021153393A publication Critical patent/JP2021153393A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

【課題】 高効率に核酸増幅反応を行うことを可能にする手法を提供すること。【解決手段】 一般式(I):CH3(CH2)10CH2(OCH2CH2)nOH・・・(I) (ここで式中、nは平均付加モル数であり、n=6〜12の範囲内の数を示す)で表される非イオン界面活性剤を含むように核酸増幅反応用組成物を調製する。特定の実施形態において、本発明の組成物は、核酸増幅反応時の反応液中における前記非イオン界面活性剤の濃度が、0.001〜1容量%となるようにして調製される。本発明の前記核酸増幅反応用組成物は、ヘパリンなどの多糖類を更に含有することが好ましい。【選択図】 なし

Description

本発明は、核酸増幅効率や検出感度を向上させ、効率的な核酸増幅を行うことができる、核酸増幅反応用の組成物及びキット、並びに核酸増幅方法等に関する。
核酸増幅法は数コピーの標的核酸を可視化可能なレベル、すなわち数億コピー以上に増幅する技術であり、生命科学研究分野のみならず、遺伝子診断、臨床検査といった医療分野、あるいは、食品や環境中の微生物検査等においても、広く用いられている。代表的な核酸増幅法はPCR(Polymerase Chain Reaction)である。PCRは、(1)熱処理によるDNA変性(2本鎖DNAから1本鎖DNAへの解離)、(2)鋳型1本鎖DNAへのプライマーのアニーリング、(3)DNAポリメラーゼを用いた前記プライマーの伸長、という3ステップを1サイクルとし、このサイクルを繰り返すことによって、試料中の標的核酸を増幅する方法である。
また、近年では、PCRの中でも、リアルタイムPCR法が広く実施されるようになってきた。リアルタイムPCR法は、増幅された核酸を経時的に解析することができ、高い定量性を確保し、高感度の検出を行うことができる。このようなリアルタイムPCRを行う際には、核酸増幅効率を向上させることで、定量性と検出感度を高めることが重要である。
これまでにも、前記核酸増幅法の効率や感度を向上させるために、核酸増幅反応液中に様々な試薬を添加する方法が報告されている。
例えば、ジメチルスルホキシド(DMSO)、ベタイン誘導体、イオン性液体などの融解温度調整剤が核酸増幅効率を向上させる方法として報告されている。これらはいずれも核酸の融解温度を低下させることで、核酸の増幅効率を向上させることが知られている(特許文献1〜3)。また、特許文献4、5では、グリコール類を核酸増幅反応中に添加することによって、核酸の融解温度を低下させ、非特異増幅を抑制する方法が記載されている。
しかしながら、上記の方法を用いても、増幅効率、検出感度が十分でない場合があり、更なる有用な核酸増幅方法が求められていた。特に、標的核酸のコピー数が極めて少ない場合であっても高効率で核酸増幅反応を行う手法の開発が望まれている。
更に近年では、遺伝子診断用途や遺伝子検査用途において、マルチプレックスPCR法を用いた解析が行われている。マルチプレックスPCR法とは、数組のプライマー対を、一つのPCRアッセイで同時に用いる方法である。一つの反応混合液中で複数のDNA領域を同時に増幅するこの方法は、サンプルの取り扱いが最小限で済むので、労力や時間、費用が節約でき、またクロスコンタミネーションの危険性を減らすことができるが、一方で、複数のプライマーを添加することによりプライマーダイマー等が形成されやすく、非特異増幅を生じさせ易い。このような非特異増幅の発生は、目的とする標的核酸の増幅効率にも影響を与えることになる。
加えて、マルチプレックスPCR法において、反応混合液中で同時に増幅されるDNA領域の各増幅鎖長が異なる場合、増幅産物の長さの違いによって増幅効率のバラつきが発生することが懸念される。それに伴い、正確な定量結果が得られないといった問題や、標的DNAの検出感度の低下といった問題が生じる恐れがある。
ところで、核酸増幅反応に用いられる試薬には一般に、種々の成分が配合されており、界面活性剤等の添加物が配合されることもある。例えば、特許文献1では、Triton(登録商標)X−100(ポリオキシエチレン(10)オクチルフェニルエーテル)、Tween(登録商標)20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)、及びNonidet(登録商標)P−40(オクチルフェニル−ポリエチレングリコール)等の非イオン性界面活性剤、ポリ(エチレングリコール)4−ノニルフェニル3−スルホプロピルエーテル(PNSE)等の陰イオン性界面活性剤、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム等の陽イオン性界面活性剤、及びコカミドプロピルベタイン等の両性界面活性剤を含むことを特徴とする核酸増幅用組成物を用いることで、インターカレーティング色素によるPCRの阻害の阻害を軽減することが記載されている。しかしながら、特許文献1において、上記のような界面活性剤を使用することで核酸増幅反応の増幅効率を高めることについては一切記載されていない。
特許4761265号公報 特許4300321号公報 特開2014−27934号公報 特開2010−246528号公報 特開2010−246529号公報 特開2013−255489号公報
核酸増幅法において、核酸増幅効率及び検出感度を向上させる核酸増幅方法の検討が進められてきた。しかしながら、増幅する核酸配列によっては増幅効率や感度の低下が認められる場合があり、更なる改善が求められている。また、標的核酸のコピー数が極めて少ない場合やマルチプレックスPCRを行う場合においても、増幅効率や検出感度が低下してしまう場合があることが問題となっていた。
そこで、本発明は核酸増幅法において、高効率に増幅可能な核酸増幅反応組成物やキット等をを提供することを目的とする。さらに本発明の他の目的として、標的核酸のコピー数が極めて少ない場合及び/又はマルチプレックスPCRを行う場合においても、高効率な増幅を維持できる核酸増幅反応組成物やキット等の提供を目的とする。
本発明者は、上記課題に取り組み、鋭意研究の結果、特定の構造を有する非イオン界面活性剤の存在下で核酸増幅を行うことで、高効率に核酸増幅反応を実施することが可能であることを見出した。更に、本発明者は検討を重ね、ヘパリン等の多糖類及び/又はThermus thermophilus由来のDNAポリメラーゼを組み合わせることで、標的核酸のコピー数が極めて少ない場合においても、又はマルチプレックスPCRにおいても、高効率な核酸増幅を維持できることを見出し、本発明を成すに至った。
即ち、本発明の概要は以下の通りである。
[項1] 以下の一般式(I):
CH(CH10CH(OCHCHOH ・・・(I)
(式中、nは平均付加モル数であり、n=6〜12の範囲内の数を示す)
で表される非イオン界面活性剤を含む核酸増幅反応用キット。
[項2] 核酸増幅反応時の反応液中における前記非イオン界面活性剤の濃度が0.001〜1容量%となるように調整された試薬を含む、項1に記載の核酸増幅反応用キット。
[項3] 核酸増幅反応時の反応液中における前記非イオン界面活性剤の濃度が0.01〜0.1容量%となるように調整された試薬を含む、項1又は2に記載の核酸増幅反応用キット。
[項4] 一般式(I)においてn=8〜10である非イオン界面活性剤を含む、項1〜3のいずれかに記載の核酸増幅反応用キット。
[項5] 更にThermus thermophilus由来のDNAポリメラーゼを含む項1から4のいずれかに記載の核酸増幅反応用キット。
[項6] 更に多糖類を含む項1から5のいずれかに記載の核酸増幅反応用キット。
[項7] 前記多糖類が、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の酸性多糖類である、項6に記載の核酸増幅反応用キット。
[項8] 前記多糖類が、ヘパリンおよびその塩である項6又は7に記載の核酸増幅反応用キット。
[項9] 核酸増幅反応時の反応液中における前記多糖類の濃度が0.2ng/μL以上4ng/μL以下となるように調整されている項6から8のいずれかに記載の核酸増幅反応用キット。
[項10] 核酸増幅反応がリアルタイムPCR反応である、項1から9のいずれかに記載の核酸増幅反応用キット。
[項11] 核酸増幅反応がマルチプレックスPCR反応である、項1から10のいずれかに記載の核酸増幅反応用キット。
[項12] 検出対象の標的核酸の検出領域に対応するハイブリダイゼーションプローブを含む項1から11のいずれかに記載の核酸増幅反応用キット。
[項13] 以下の一般式(I):
CH(CH10CH(OCHCHOH ・・・(I)
(式中、nは平均付加モル数であり、n=6〜12の範囲内の数を示す)
で表される非イオン界面活性剤を含む、核酸増幅反応用組成物。
[項14] 更に、Thermus thermophilus由来のDNAポリメラーゼ、多糖類、及びハイブリダイゼーションプローブからなる群より選択される少なくとも1つを含む、項13に記載の核酸増幅反応用組成物。
[項15] 前記多糖類が、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の酸性多糖類である、項14に記載の核酸増幅反応用組成物。
[項16] 以下の一般式(I):
CH(CH10CH(OCHCHOH ・・・(I)
(式中、nは平均付加モル数であり、n=6〜12の範囲内の数を示す)
で表される非イオン界面活性剤の存在下において核酸増幅反応を行うことを特徴とする、核酸増幅効率の向上方法。
[項17] 前記非イオン界面活性剤と、Thermus thermophilus由来のDNAポリメラーゼ、多糖類、及びハイブリダイゼーションプローブからなる群より選択される少なくとも1つとの存在下で核酸増幅反応を行う、項16に記載の核酸増幅効率の向上方法。
[項18] 前記多糖類がヘパリン、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の酸性多糖類である、項17に記載の核酸増幅効率の向上方法。
[項19] 核酸増幅反応がリアルタイムPCR反応である、項16から18のいずれかに記載の核酸増幅効率の向上方法。
[項20] 核酸増幅反応がマルチプレックスPCR反応である、項16から19のいずれかに記載の核酸増幅効率の向上方法。
本発明により、高効率に核酸増幅を行うことが可能となる。本発明は、特にリアルタイムPCRにおいて有効であり、なかでも従来高効率な増幅が難しいマルチプレックスPCRにおいて本効果は顕著なものである。また、本発明によれば、標的核酸のコピー数が極めて少量(例えば、1〜5コピー程度)であることが予想される被験サンプルから核酸増幅を行う場合にも、高効率での核酸増幅が可能となり得るという利点がある。
実施例1の結果を示す図である。ポリドカノールを0.1容量%添加した場合又は無添加の場合において、リアルタイムPCRを行った際のPCR効率を検討した結果を示す。 実施例2の結果を示す図である。種々の界面活性剤を0.1容量%添加した場合又は無添加の場合において、マルチプレックスPCRを行った際のPCR効率をリアルタイムPCR法を用いて検討した結果を示す。 実施例3の結果を示す図である。ポリドカノール、ノナエチレングリコールモノドデシルエーテルを0.1容量%添加した場合又は無添加の場合において、マルチプレックスPCRを行った際のPCR効率をリアルタイムPCR法を用いて検討した結果を示す。 実施例4の結果を示す図である(N/Aは検出不可を表す)。ポリドカノールを0.1容量%と共に、ヘパリンを1ng/μl〜5ng/μl添加した場合又は無添加の場合における、ゲノム1コピーに対する検出率をリアルタイムPCR法を用いて検討した結果を示す。 実施例5の結果を示す図である。ポリドカノールを各濃度で添加した場合又は無添加の場合における、マルチプレックスPCRを行った際のPCR効率をリアルタイムPCR法を用いて検討した結果を示す。
以下、本発明の実施形態を示しつつ、本発明について詳説するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明は一つの態様として、以下の一般式(I):
CH(CH10CH(OCHCHOH ・・・(I)
(式中、nは平均付加モル数であり、n=6〜12の範囲内の数を示す)
で表される非イオン界面活性剤を含むことを特徴とする核酸増幅反応用キットを提供する。本明細書において核酸増幅反応用キットは、1又は複数の核酸増幅反応用組成物を含むように構成されたものであり得る。さらにここでいう、核酸増幅反応用組成物は、例えば、核酸増幅反応用試薬として提供されるものであり得る。核酸増幅用反応組成物は、予め調製されて核酸増幅反応時にそのまま使用することができる試薬の状態であってもよいし、核酸増幅反応前に用時調製される状態の試薬であってもよい。例えば、本発明の核酸増幅反応用組成物は、PCR用試薬、リアルタイムPCR試薬、RT−PCR用試薬、リアルタイムRT−PCR用試薬などの態様で提供することができる。また、本発明の核酸増幅反応用組成物は、核酸増幅反応用試薬を調製するための原料である組成物であってもよい。
本明細書において、核酸増幅反応とは、鋳型の核酸に対し、相補的な配列を持つ核酸を配列依存的に合成する反応を指し、その様式は特に限定されないが、より具体的には、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法、Loop−Mediated Isothermal Amplification(LAMP)法、Transcriprtion Reverse Transcription Concerted Reaction (TRC)法、Nucleic Acid Sequence−Based Amplification (NASBA)法などの特定の標的配列を指数関数的に増幅する方法をいう。本発明は、そのいずれの核酸増幅反応にも用いられ得るが、好ましくは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法を用いた方法に用いられる。
PCR法としては、通常のPCR法のみならず、リアルタイムPCR、RT−PCR(Reverse Transcription PCR)、LA−PCR(Long and Accurate PCR)、競合的PCR、In situ PCR、RNA−primered PCR、multiplex PCR、シャトルPCR、PCR/GC−calmp法、ストレッチPCR、Alu PCR、メガプライマーPCR、Immuno PCR、などの種々のPCR法が当該分野で公知である。本発明は、当該分野で公知の任意のPCR法に用いられ得るが、好ましくは、リアルタイムPCR法に用いられる。
上記のようなPCR法は通常、熱変性、アニーリング及び伸長の各反応ステップを繰り返すことによって進行する。熱変性とは二本鎖DNAを乖離させるためのステップであり、アニーリングは乖離したDNAにプライマーをアニーリングするステップであり、伸長はDNAポリメラーゼにより相補鎖を合成するステップを指す。本発明で行われるPCR法では、アニーリング温度と伸長温度とは異なる温度であってもよいし、同一温度であってもよい。本発明において、アニーリング温度と伸長温度とを同一温度で行う場合は、アニーリング反応を行う時間と伸長反応を行う時間とを合わせた保持時間を伸長反応保持時間とする。伸長反応保持時間は特に限定されないが、例えば60秒以下、好ましくは50秒以下、より好ましくは40秒以下、更に好ましくは30秒以下であり得る。伸長反応保持時間の下限は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、一例として1秒以上、好ましくは5秒以上、より好ましくは10秒以上であり得る。ここで、保持時間は全てのサイクルで同一時間であっても良いし、異なっていてもよい。
本発明では、以下の一般式(I):
CH(CH10CH(OCHCHOH ・・・(I)
(式中、nは平均付加モル数であり、n=6〜12の範囲内の数を示す)
で表される非イオン界面活性剤を核酸増幅反応に用いることを一つの特徴とする。このような非イオン界面活性剤の存在下で核酸増幅反応を行うことで、例えばリアルタイムPCR反応において高いPCR効率で核酸増幅を行うことができる。本発明には、上記一般式(I)で示される任意の非イオン界面活性剤を使用することができるが、好ましくは、前記一般式(I)においてn=7〜11である非イオン界面活性剤であることが好ましく、n=8〜10である非イオン界面活性剤であることがより好ましく、n=9である非イオン界面活性剤が特に好ましい。前記一般式(I)でn=9である非イオン界面活性剤は、ポリドカノール、ノナエチレングリコールモノドデシルエーテル等とも呼ばれる場合がある。これらの非イオン界面活性剤は1種類のみを用いてもよいし、2種類を組み合わせて用いたとしても本発明の効果を奏する。
核酸増幅反応時の反応液中における前記一般式(I)で表される非イオン界面活性剤の濃度は、反応液全体に対して、0.001〜1容量%が好ましく、0.01〜0.1容量%であることがより好ましい。反応液中におけるこれらの非イオン界面活性剤の濃度が0.001容量%未満では、増幅効率や検出感度を向上させる効果が少ない傾向がある。また1容量%より高い濃度の場合、効果の大きさに比べて、ハンドリングが悪くなるというデメリットが大きくなる。従って、本発明の核酸増幅反応用組成物(例えば、核酸増幅反応用キットに含まれる試薬)は、核酸増幅反応時の反応液中における前記非イオン界面活性剤化合物の濃度が上記範囲内となるようにして調製されることが好ましい。
本発明における核酸増幅反応用組成物は、例えば保存用のために濃縮状態の核酸増幅反応用試薬として調製されることもできる。このような核酸増幅用反応用組成物は、例えば2〜10倍の濃縮状態とすることができる。その場合では、核酸増幅反応の反応溶液中における終濃度が好ましい濃度となるよう、前記一般式(I)で表される非イオン界面活性剤を反応溶液における終濃度の2〜10倍濃度で含有させておけばよい。
近年、作業性を向上させる目的で、2倍濃度(またはそれ以上の高濃度)のプレミック試薬が好適に使用されている。プレミックス試薬とは反応バッファー、反応基質(dNTPs)、マグネシウムイオン、ポリメラーゼ等をあらかじめ混合した試薬である。上記のような濃縮状態で調製された核酸増幅反応用組成物は、このようなプレミックス試薬として提供される場合に好適である。また、プレミックス試薬は種々の成分を予め混合した状態で長期保存されるため安定性に劣る場合があるが、本発明の核酸増幅反応用組成物は、混合液状態で長期間(例えば、1ヶ月以上)保存しても安定であることが分かっている。
本発明では、前記一般式(I)で表される非イオン界面活性剤と共に多糖類が存在する条件下で、核酸増幅反応を行うことが好ましい。このように多糖類を組み合わせることによって、例えば、標的核酸のコピー数が極めて少ない場合(例えば、1〜5コピー程度)であっても高効率で核酸増幅反応を行うことが可能となり得る。このような多糖類としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、代表的な多糖類として、例えばアミロース、アミロペクチン、グリコーゲン、セルロース、キチン、アガロース、カラギーナン、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、コンドロイチン、コンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ペクチン、キシログルカン、グルコマンナン、デキストリン、シクロデキストリン、デキストラン、及びこれらの塩が挙げられる。より一層効果的に非特異増幅を抑制できるという観点から、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の酸性多糖類を用いることが好ましい。より好ましくは、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸及びこれらの塩からなる群より選択される酸性ムコ多糖類が望ましく、ヘパリン及び/又はその塩が特に好ましい。多糖類の塩の形態としては、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩等を挙げることができる。具体的に、ヘパリンの塩を用いる場合は、例えば、ヘパリンナトリウム、ヘパリンリチウム、ヘパリンカルシウムなどのヘパリン塩を核酸増幅反応組成物中に含まれればよい。
特定の好ましい実施形態では、上記のような多糖類を、核酸増幅反応組成物中の終濃度が0.2ng/μL以上5ng/μL以下となるように調製することが望ましい。多糖類は、好ましくは、反応液中終濃度が0.2ng/μL以上5ng/μL以下となるように、より好ましくは反応液中終濃度が0.4ng/μL以上3ng/μL以下となるように、更に好ましくは反応液中終濃度が0.4ng/μL以上2.5ng/μL以下となるように調整することがよい。上記のような濃度で多糖類を用いることにより、前記のような効果をより一層確実に得ることが可能となる。
本発明における核酸増幅反応用組成物を、例えば保存用のために濃縮状態の核酸増幅反応用試薬として調製する場合には、上述のように、例えば2〜10倍の濃縮状態とすることができる。その場合では、核酸増幅反応の反応溶液中における終濃度が好ましい濃度となるよう、多糖類を反応溶液における終濃度の2〜10倍濃度で含有させておけばよい。
本発明において、前記一般式(I)で表される非イオン界面活性剤と、多糖類との配合比は、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、一例として、多糖類が2ng/μlの場合に、前記非イオン界面活性剤が0.001〜1容量%であることが好ましく、0.01〜1容量%であることがより好ましい。このような比率で、両成分を含むことで、より一層効果的に核酸増幅効率を向上させることができる。
核酸増幅反応を実施するために、本発明の核酸増幅反応用組成物は、前記非イオン界面活性剤及び多糖類に加えて、さらに鋳型となる核酸、DNAポリメラーゼ、プライマーとなるオリゴヌクレオチド、ジデオキシヌクレオシド三リン酸(dNTPs)、反応バッファー、金属イオン(例えば、マグネシウムイオン)等を実施する核酸増幅方法により必要に応じて含むことができる。一例として、PCR法を用いた核酸増幅方法においては、DNAポリメラーゼを更に含むことが好ましく、鋳型核酸、DNAポリメラーゼ、オリゴヌクレオチド、及びdNTPsを含むことがより好ましく、鋳型核酸、DNAポリメラーゼ、オリゴヌクレオチド、dNTPs、及び反応バッファーを含むことが更に好ましい。
本発明の核酸増幅反応に使用されるDNAポリメラーゼは、特に限定されないが、Thermus thermophilus由来のDNAポリメラーゼを使用することが好ましい。ここで、Thermus thermophilus由来のDNAポリメラーゼとは、Thermus thermophilusから直接得られたDNAポリメラーゼに限定されず、Thermus thermophilusの変異株から直接得られたDNAポリメラーゼであってもよいし、Thermus thermophilus又はその変異体から得られたDNAポリメラーゼの配列情報を元に遺伝子工学的又は化学的等の方法で改変を加え、Thermus thermophilus由来のDNAポリメラーゼと実質的に同等の活性を有するDNAポリメラーゼであってもよい。前記Thermus thermophilus由来のDNAポリメラーゼはThermus thermophilusから直接抽出したものでもよいし、さらにそれを適当な発現系で組換え生産したものでもよい。
本発明の核酸増幅反応用組成物は、リアルタイムPCRを行うために用いられる場合には、核酸増幅を経時的に確認するために蛍光色素又は蛍光標識したハイブリダイゼーションプローブを更に含むことが好ましい。このような蛍光色素又は蛍光標識したハイブリダイゼーションプローブは、本発明の効果を奏する限り特に限定されないが、例えば、SYBR GreenI(登録商標)、Eva Green(登録商標)、PicoGreen(登録商標)などの蛍光色素や、蛍光標識をしたハイブリダイゼーションプローブを含むことが好ましい。ハイブリダイゼーションプローブとしては、例えば、TaqMan加水分解プローブ(米国特許第5,210,015号公報、米国特許第5,538,848号公報、米国特許第5,487,972号公報、米国特許第5,804,375号公報)、モレキュラービーコン(米国特許第5,118,801号公報)、FRETハイブリダイゼーションプローブ(国際公開第97/46707号パンフレット,国際公開第97/46712号パンフレット,国際公開第97/46714号パンフレット)などが挙げられる。
本発明の核酸増幅反応用組成物は、RT−PCRやリアルタイムRT−PCRを行うために用いられる場合には、検出対象となるRNAを効率的にDNAに変換するために、逆転写酵素を更に含むことが好ましい。
本発明の核酸増幅反応用組成物は、ホットスタートPCR法を実施するために用いられる場合には、抗DNAポリメラーゼ抗体を含むことが好ましい。ここでいう抗DNAポリメラーゼ抗体は、単一種のモノクローナル抗体であってもよいし、複数のモノクローナル抗体を組合せて用いてもよいし、ポリクローナル抗体を用いてもよい。
本発明の別の態様は、前記一般式(I)で表される非イオン界面活性剤を備えた、核酸増幅反応用キットである。好ましくは、本発明の前記核酸増幅反応用キットは、Thermus thermophilus由来のDNAポリメラーゼ、多糖類、及びハイブリダイゼーションプローブからなる群より選択される少なくとも1つを更に含むキットであり、より好ましくは多糖類を更に含むキットである。このような本発明の核酸増幅反応用キットは、例えば、前記一般式(I)で表される非イオン界面活性剤と、ヘパリン又はその塩等に代表される多糖類とを、同一の容器に含む状態で提供されてもよいし、別々の容器に含む状態で提供され、使用前に混合して用いる態様であってもよい。別々の容器に含む状態で提供される場合、任意に含んでもよい他の成分(例えば、Thermus thermophilus由来のDNAポリメラーゼ)は、前記非イオン界面活性剤と同一の容器に含まれていてもよいし、前記多糖類と同一の容器に含まれていてもよいし、前記非イオン界面活性剤及び前記ヘパリン及びその塩とは更に別の容器に含まれていてもよい。より簡便に使用することが可能であるという観点からは、同一の容器に前記非イオン界面活性剤及び多糖類を含むことが好ましく、同一の容器に、前記非イオン界面活性剤、多糖類、及び更に任意に含んでもよい他の成分(例えば、Thermus thermophilus由来のDNAポリメラーゼ)を含むことがより好ましい。
上記のような本発明のキットにおいて使用される前記非イオン界面活性剤や多糖類の濃度や種類等は、上記核酸増幅反応用組成物で説明したものと同じであり得る。
本発明の更に別の態様は、核酸増幅反応を、前記一般式(I)で表される非イオン界面活性剤の存在下において行うことを特徴とする核酸増幅方法である。好ましくは、本発明の前記核酸増幅方法は、Thermus thermophilus由来のDNAポリメラーゼ、多糖類、及びハイブリダイゼーションプローブからなる群より選択される少なくとも1つが更に存在する条件下で核酸増幅反応を行うことを特徴とし、より好ましくは多糖類が更に存在する条件下で核酸増幅反応を行うことを特徴とする。更に別の観点から、本発明は、前記一般式(I)で表される非イオン界面活性剤の存在下において、又は前記一般式(I)で表される非イオン界面活性剤と、Thermus thermophilus由来のDNAポリメラーゼ、多糖類、及びハイブリダイゼーションプローブからなる群より選択される少なくとも1つ(なかでも好ましくは多糖類)との存在下において核酸増幅反応を行うことを特徴とする、核酸増幅効率の向上方法ということもできる。これらの本発明の方法は、試薬やキットなどのような態様で前記非イオン界面活性剤及び多糖類を含む状態で市販品として流通するものに限定されず、自家調製によるもの等を含み、形態を問わない。
上記のような本発明の方法において使用される前記非イオン界面活性剤や多糖類の濃度や種類等は、上記核酸増幅反応用組成物又は上記核酸増幅反応用キットで説明したものと同じであり得る。
特定の態様において、リアルタイムPCR法における増幅の効率性(核酸増幅効率)を評価する指標としてPCR効率(PCR増幅効率)を評価する手法が用いられる。PCR効率とは検量線の傾き(slope)から求められる値であり、X軸に初期鋳型濃度(Log10)を、Y軸にCt値を取った場合に以下のような数式で求められることが公知の値である
PCR効率E=10[−1/slope]−1
このPCR効率は100%に近い方が理想とされるが、PCR阻害物やプライマーの設計により変動する。そのため、80%〜120%が適正値といわれており、満たない場合は実験系の見直しが通常必要と言われている。本発明によれば、このPCR効率を高めることができ、一例として、PCR効率を80%〜120%とすることができ、好ましくは85%〜115%とすることができる
リアルタイムPCR法では未知試料の絶対定量方法として、スタンダードサンプルの希釈系列により得られた検量線を使用する。この場合、スタンダードサンプルと未知試料におけるPCR効率が一致していなければならず、一致していない場合は、誤った結果を与えてしまうことにつながる点に留意しなければならない。
本発明によれば、数組のプライマー対を、一つのPCRアッセイで同時に用いるマルチプレックスPCR法においても、PCR効率、検出感度を改善することができる。複数プライマーを含むことによる増幅効率のバラつきが改善され、正確な結果を得ることが可能になり、標的DNAの検出感度低下を抑制することが可能となり得る。
以下、本発明を実施例に基づき、より詳細に説明する。なお、本発明は実施例に特に限定されるものではない。
実施例1 ポリドカノールの評価
リアルタイムPCR反応におけるポリドカノールの効果を検証するため、下記(2)PCR反応用試薬に、ポリドカノール〔CH(CH10CH(OCHCHOH〕を無添加、または0.1容量%を添加しリアルタイムPCR反応を行い、PCR効率の評価を行った。
(1)DNAサンプル
DNAサンプルとしてHela Total RNA(タカラバイオ社)をReverTra Ace qPCR RT Kit(TOYOBO)を用いて逆転写して調製したcDNAを使用した。cDNAを5ngから0.078ngまで、1/4ずつ段階希釈し、鋳型として使用した。
そして、IL−1β遺伝子を増幅する各々のプライマー(配列番号1及び2)、Taqmanプローブ(配列番号3)を使用し、リアルタイムPCR反応によってPCR効率を測定した。
(2)PCR反応用試薬の調製
本実施例で使用するPCR反応用試薬は、以下の処方に従って調製した。
10mM Tris−HCl(pH7.5)
40mM 酢酸カリウム
3mM 硫酸マグネシウム
0.3mM dNTPs
0.3μM フォワードプライマー
0.3μM リバースプライマー
0.2μM Taqmanプローブ
0.05U/μL rTthDNAポリメラーゼ(TOYOBO)
0.4μg 抗Tth抗体(TOYOBO)
(3)リアルタイムPCR反応
リアルタイムPCR反応はCFX96 Touch Deep wellリアルタイムPCR解析システムを使用し、反応条件は初期変性95℃30秒、PCRサイクル95℃5秒−60℃ 30秒で50サイクル行った。
(4)結果
その結果を図1に示す。図1は、各条件で二回実施したCt値と、PCR効率E=10[−1/slope]−1によって求められるPCR効率(%)の値を示す。ここで、Ct値は値が小さいほど増幅効率が高いことを示し、PCR効率の値が100%に近いほどPCR効率が高いことを示す。ポリドカノールの添加により、PCR効率、Ct値が改善されることが確認された。
実施例2 種々の界面活性剤の比較
下記に示すPCR反応用試薬に、4種類の界面活性剤(ポリドカノール、MEGA−10〔n−デカノイル−N−メチル−D−グルカミン〕、Tween20〔ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート〕、CHAPS〔3−[(3−コラミドプロピル)ジメチルアンモニオ]プロパンスルホン酸〕)をそれぞれ0.1容量%添加した場合と、無添加の場合のマルチプレックスPCRの増幅効率をリアルタイムPCR法を用いて検証した。
(1)DNAサンプル
DNAサンプルとしてSALMONELLA ENTERICA TYPHIMURIUM Z005(ZeptoMetrix Corporation社)を使用した。SALMONELLA ENTERICA TYPHIMURIUM Z005を表示値よりコピー数を計算し、1000コピーから10コピーまで、1/10ずつ段階希釈し、鋳型として使用した。
そして、腸内細菌遺伝子検出キット−プローブ検出−(TOYOBO)付属の10×Primer Mix、10×Probe Mixを使用し、リアルタイムPCR反応によってPCR効率を測定した。
・PCR反応用試薬の調製
本実施例で使用するPCR反応用試薬は、以下の処方に従って調製した。
10mM Tris−HCl(pH7.5)
40mM 酢酸カリウム
3mM 硫酸マグネシウム
0.3mM dNTPs
10×Primer Mix
10×Probe Mix
0.05U/μL rTthDNAポリメラーゼ(TOYOBO)
0.4μg 抗Tth抗体(TOYOBO)
(2)リアルタイムPCR反応
リアルタイムPCR反応はCFX96 Touch Deep wellリアルタイムPCR解析システムを使用し、反応条件は初期変性95℃30秒、PCRサイクル95℃5秒−60℃ 30秒で60サイクル行った。
(3)結果
その結果を図2に示す。ポリドカノールを添加した条件において、他の条件よりPCR効率が高いことが確認された(PCR効率:98.1%)すなわち、マルチプレックスPCRにおいて、他の界面活性剤よりも、ポリドカノールは優れた核酸増幅効率を示すことが確認された。
実施例3 ポリドカノールとノナエチレングリコールモノドデシルエーテルの評価
前記実施例2で使用したものと同じPCR反応用試薬に、式(I):CH(CH10CH(OCHCHOHで表されるポリドカノール(シグマアルドリッチ社製)とノナエチレングリコールモノドデシルエーテル(シグマアルドリッチ社製)を0.1容量%添加した場合又は無添加の場合にマルチプレックスPCRを行った際の増幅効率をリアルタイムPCR法を用いて検討した。
(1)DNAサンプル
DNAサンプルとしてShigella sonnei Z004,Genomic DNA(ZeptoMetrix Corporation社)を使用した。Shigella sonnei Z004,Genomic DNAを表示値よりコピー数を計算し、5000コピーから78.125コピーまで、1/4ずつ段階希釈し、鋳型として使用した。
PCR反応調製試薬は実施例2で使用したものと同様とした。
(2)リアルタイムPCR反応
リアルタイムPCR反応はCFX96 Touch Deep wellリアルタイムPCR解析システムを使用し、反応条件は初期変性95℃30秒、PCRサイクル95℃5秒−60℃ 30秒で50サイクル行った。
その結果を図3に示す。ポリドカノールとノナエチレングリコールモノドデシルエーテルを添加した場合には、78.125コピーまで検出が確認され、PCR効率も理想値の範囲であった。マルチプレックスPCRにおいて、これらの非イオン界面活性剤を加えることで、検出感度が向上することを見出した。
実施例4 ポリドカノールとヘパリンの組み合わせの評価
前記実施例2使用したものと同じPCR反応用試薬に、ポリドカノール〔CH(CH10CH(OCHCHOH〕を0.1容量%で添加すると共に、ヘパリンを無添加又は1ng/μl〜5ng/μl添加とする条件下で、ゲノム1コピー相当に対する検出率をリアルタイムPCR法を用いて検討した。
(1)DNAサンプル
DNAサンプルとしてSALMONELLA ENTERICA TYPHIMURIUM Z005(ZeptoMetrix Corporation社)を使用した。SALMONELLA ENTERICA TYPHIMURIUM Z005を表示値よりコピー数を計算し、1コピー(N=16)を鋳型として使用した。PCR反応試薬とリアルタイムPCR反応の条件は実施例3と同様とした。
その結果を図4に示す。ヘパリンを添加した場合、無添加よりも1コピー相当の検出率が高いことが確認された。一般に、1コピー相当のサンプルからの核酸増幅は非常に困難とされるが、ポリドカノールとヘパリンを組み合わせることで、標的核酸のコピー数が極めて少ない場合であっても検出感度が向上することを見出した。
実施例5 ポリドカノール濃度の評価
前記実施例2使用したものと同じPCR反応用試薬に、ポリドカノール〔CH(CH10CH(OCHCHOH〕を各濃度(0.01、0.1、1容量%)で添加した場合又は無添加の場合に、マルチプレックスPCRを行った際の増幅効率をリアルタイムPCR法を用いて検討した。
(1)DNAサンプルとしてHela Total RNA(タカラバイオ社)をReverTra Ace qPCR RT Kit(TOYOBO)を用いて逆転写して調製したcDNAを使用した。cDNAを2ngから0.002ngまで、1/10ずつ段階希釈し、鋳型として使用した。
そして、β−Actin遺伝子を増幅する各々のプライマー(配列番号4及び5)、Taqmanプローブ(配列番号6)と3対のプライマー(配列番号7,8,9,10,11,12)を使用し、リアルタイムPCR反応によってPCR効率を測定した。
その結果を図5に示す。いずれのポリドカノールの濃度においても、無添加の場合よりも、高い増幅効率(PCR効率)を示した。この結果から、0.01容量%〜1容量%のポリドカノールを添加した場合に、同等の効果が得られることを見出した。
なお、上記開示した実施形態および実施例はすべて例示であり制限的なものではない。また、実施形態および実施例に開示された内容を組み合わせた実施形態及び実施例も本発明の範囲に含まれる。本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲によって有効であり、特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内のすべての変更・修正・置き換え等を含むものである。
本発明は、核酸増幅反応の増幅効率や検出感度を高めることができ、例えば、複数プライマー対を1反応液中に添加するマルチプレックスPCRにおいても効果的に核酸増幅させることを可能とできる。従って、生命科学研究分野のみならず、遺伝子診断、臨床検査といった医療分野、食品や館共通の微生物検査等において有用である。

Claims (20)

  1. 以下の一般式(I):
    CH(CH10CH(OCHCHOH ・・・(I)
    (式中、nは平均付加モル数であり、n=6〜12の範囲内の数を示す)
    で表される非イオン界面活性剤を含む核酸増幅反応用キット。
  2. 核酸増幅反応時の反応液中における前記非イオン界面活性剤の濃度が0.001〜1容量%となるように調整された試薬を含む、請求項1に記載の核酸増幅反応用キット。
  3. 核酸増幅反応時の反応液中における前記非イオン界面活性剤の濃度が0.01〜0.1容量%となるように調整された試薬を含む、請求項1又は2に記載の核酸増幅反応用キット。
  4. 一般式(I)においてn=8〜10である非イオン界面活性剤を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の核酸増幅反応用キット。
  5. 更にThermus thermophilus由来のDNAポリメラーゼを含む請求項1から4のいずれかに記載の核酸増幅反応用キット。
  6. 更に多糖類を含む請求項1から5のいずれかに記載の核酸増幅反応用キット。
  7. 前記多糖類が、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の酸性多糖類である、請求項6に記載の核酸増幅反応用キット。
  8. 前記多糖類が、ヘパリンおよびその塩である請求項6又は7に記載の核酸増幅反応用キット。
  9. 核酸増幅反応時の反応液中における前記多糖類の濃度が0.2ng/μL以上4ng/μL以下となるように調整されている請求項6から8のいずれかに記載の核酸増幅反応用キット。
  10. 核酸増幅反応がリアルタイムPCR反応である、請求項1から9のいずれかに記載の核酸増幅反応用キット。
  11. 核酸増幅反応がマルチプレックスPCR反応である、請求項1から10のいずれかに記載の核酸増幅反応用キット。
  12. 検出対象の標的核酸の検出領域に対応するハイブリダイゼーションプローブを含む請求項1から11のいずれかに記載の核酸増幅反応用キット。
  13. 以下の一般式(I):
    CH(CH10CH(OCHCHOH ・・・(I)
    (式中、nは平均付加モル数であり、n=6〜12の範囲内の数を示す)
    で表される非イオン界面活性剤を含む、核酸増幅反応用組成物。
  14. 更に、Thermus thermophilus由来のDNAポリメラーゼ、多糖類、及びハイブリダイゼーションプローブからなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項13に記載の核酸増幅反応用組成物。
  15. 前記多糖類が、ヘパリン、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の酸性多糖類である、請求項14に記載の核酸増幅反応用組成物。
  16. 以下の一般式(I):
    CH(CH10CH(OCHCHOH ・・・(I)
    (式中、nは平均付加モル数であり、n=6〜12の範囲内の数を示す)
    で表される非イオン界面活性剤の存在下において核酸増幅反応を行うことを特徴とする、核酸増幅効率の向上方法。
  17. 前記非イオン界面活性剤と、Thermus thermophilus由来のDNAポリメラーゼ、多糖類、及びハイブリダイゼーションプローブからなる群より選択される少なくとも1つとの存在下で核酸増幅反応を行う、請求項16に記載の核酸増幅効率の向上方法。
  18. 前記多糖類がヘパリン、コンドロイチン硫酸、ケラタン硫酸、ヒアルロン酸、ヘパラン硫酸、デルマタン硫酸、及びこれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種の酸性多糖類である、請求項17に記載の核酸増幅効率の向上方法。
  19. 核酸増幅反応がリアルタイムPCR反応である、請求項16から18のいずれかに記載の核酸増幅効率の向上方法。
  20. 核酸増幅反応がマルチプレックスPCR反応である、請求項16から19のいずれかに記載の核酸増幅効率の向上方法。
JP2020053768A 2020-03-25 2020-03-25 核酸増幅反応用組成物 Pending JP2021153393A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020053768A JP2021153393A (ja) 2020-03-25 2020-03-25 核酸増幅反応用組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020053768A JP2021153393A (ja) 2020-03-25 2020-03-25 核酸増幅反応用組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021153393A true JP2021153393A (ja) 2021-10-07

Family

ID=77915854

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020053768A Pending JP2021153393A (ja) 2020-03-25 2020-03-25 核酸増幅反応用組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021153393A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024157925A1 (ja) * 2023-01-26 2024-08-02 東洋紡株式会社 リボソーマルrna由来の逆転写の抑制

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000093176A (ja) * 1998-09-21 2000-04-04 Shimadzu Corp 核酸合成法
JP2003199592A (ja) * 2001-12-03 2003-07-15 F Hoffmann La Roche Ag インビトロdna合成および増幅のための可逆的に修飾された熱安定酵素
JP2003210199A (ja) * 2001-11-20 2003-07-29 F Hoffmann La Roche Ag 高度ダイナミックレンジを有する定量的多重pcr
JP2008526226A (ja) * 2005-01-04 2008-07-24 モレキュラー リサーチ センター インコーポレイテッド Dna分析のための生物学的サンプルの保管及び加工処理のための試薬並びに方法
JP2012514473A (ja) * 2009-01-08 2012-06-28 バイオ−ラッド ラボラトリーズ インコーポレーティッド 核酸増幅反応の効率を改善するための方法および組成物
WO2017184028A1 (en) * 2016-04-18 2017-10-26 Limited Liability Company "Nearmedic Plus" Stabilized mixture of reagents for molecular diagnostics

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000093176A (ja) * 1998-09-21 2000-04-04 Shimadzu Corp 核酸合成法
JP2003210199A (ja) * 2001-11-20 2003-07-29 F Hoffmann La Roche Ag 高度ダイナミックレンジを有する定量的多重pcr
JP2003199592A (ja) * 2001-12-03 2003-07-15 F Hoffmann La Roche Ag インビトロdna合成および増幅のための可逆的に修飾された熱安定酵素
JP2008526226A (ja) * 2005-01-04 2008-07-24 モレキュラー リサーチ センター インコーポレイテッド Dna分析のための生物学的サンプルの保管及び加工処理のための試薬並びに方法
JP2012514473A (ja) * 2009-01-08 2012-06-28 バイオ−ラッド ラボラトリーズ インコーポレーティッド 核酸増幅反応の効率を改善するための方法および組成物
WO2017184028A1 (en) * 2016-04-18 2017-10-26 Limited Liability Company "Nearmedic Plus" Stabilized mixture of reagents for molecular diagnostics

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2024157925A1 (ja) * 2023-01-26 2024-08-02 東洋紡株式会社 リボソーマルrna由来の逆転写の抑制

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR20110106922A (ko) 단일 세포 핵산 분석
JP2014507950A (ja) 混合個体群における標的dnaを配列決定するためのキットおよび方法
JP2020508692A (ja) Dnaおよびrnaの同時濃縮を含むプライマー伸長標的濃縮およびそれに対する向上
US20180094309A1 (en) Nucleic acid retro-activated primers
WO2019178346A1 (en) Enrichment of nucleic acids
JP2005518216A (ja) 融解温度依存dna増幅
Yilmaz et al. Real-time PCR for gene expression analysis
EP4074840A1 (en) Pcr method and pcr kit for increasing allelic discrimination
JP5593582B2 (ja) 核酸の迅速な検出方法
Liu et al. Development of a POCT detection platform based on a locked nucleic acid-enhanced ARMS-RPA-GoldMag lateral flow assay
JP2008161165A (ja) 競合オリゴヌクレオチドを用いた遺伝子検出法
JP6964900B2 (ja) 核酸増幅の特異的抑制方法
JP2021153393A (ja) 核酸増幅反応用組成物
CN107190091B (zh) 适用于ffpe样品的基因表达定量的实时定量pcr方法
JP5884869B2 (ja) 核酸増幅における非特異反応抑制方法
JP6402905B2 (ja) 核酸増幅の非特異反応を抑制する新規の方法
EP2284281A1 (en) REAGENT COMPRISING PRIMER FOR DETECTION OF mRNA FOR CYTOKERATIN-7
EP4269612B1 (en) Nucleic acid amplification method, primer set, probe, and kit for nucleic acid amplification method
JP7533219B2 (ja) 核酸増幅反応用組成物
JP2021141898A (ja) 核酸増幅用試薬及び核酸増幅法
CN110603328B (zh) 定量pcr扩增引物对及其应用
US20230357830A1 (en) Primer extension target enrighment and improvements thereto including simultaneous enrichment of dna and rna
JP2025515495A (ja) 低バイアス連続マルチプレックス増幅アッセイ
JP6834164B2 (ja) Pcr反応溶液の検出感度を維持する方法
JP2007000040A (ja) B型肝炎ウイルスの検出方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230119

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20231121

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20231124

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20240116

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240318

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20240702

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240924

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20241002