ところで、ホッパなどに対し、剛体電極のみからなる通常のリード線を並べて貯留したときには、リード線の向きや位置はある程度一定となる。そのため、例えば、上述した貫通孔に対しリード線を挿通する工程など、所定の被供給部に対しリード線を供給する際には、例えば、所定のチャック手段などを用いて、ホッパ等に貯留されたリード線を掴んでピックアップし、ピックアップしたリード線を被供給部へと供給するといった具合に、リード線の供給を自動化することが可能である。
しかしながら、上記のような剛体電極及び軟質導線を有するリード線に関しては、ホッパなどに貯留されたときに、軟質導線における曲がりの影響で、剛体電極の向きや位置にバラツキが生じてしまいやすい。そのため、チャック手段によって剛体電極を掴もうとしたときに、剛体電極を掴むことができなかったり、不適切な位置にて剛体電極を掴んでしまったりするおそれがある。また仮に、剛体電極を適切な位置にて掴むことができたとしても、掴まれたリード線に対しその他のリード線における軟質導線が絡んでしまうことも考えられる。このような事情から、従来のリード線の供給は、人手によって行われるのが実状であった。ところが、人手によるリード線の供給は、ランプの高速生産の妨げとなり、生産性を十分に向上させることができないおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、剛体電極及び軟質導線を有するリード線の供給の自動化を図ることができ、もって生産性の向上を図ることができるリード線の供給方法及びリード線の供給装置並びにランプの製造方法を提供することにある。
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
手段1.所定のリード線を所定の被供給部へと供給するためのリード線の供給方法であって、
前記リード線は、針状又は棒状の剛体電極と、当該剛体電極に対し直列的に接合され、前記剛体電極よりも柔軟性を有する軟質導線とを備え、
磁力及び吸引力のうち少なくとも一方に基づき、貯留された複数の前記リード線から少なくとも1本の前記リード線における前記剛体電極をピックアップするピックアップ工程と、
ピックアップされた前記剛体電極を保持する第一保持工程と、
保持された前記剛体電極に連なる前記軟質導線における前記剛体電極側に位置する一端側部分を、外周に溝部を有する溝付ローラの前記溝部上に配置した状態で、当該軟質導線の他端部側に向けて前記溝付ローラを移動させるとともに、移動後の前記溝付ローラと所定の受け治具とで前記軟質導線を挟持状態とすることにより、当該軟質導線の姿勢をほぼ一定の状態とするしごき工程と、
姿勢がほぼ一定とされた前記軟質導線を保持する第二保持工程とを含むことを特徴とするリード線の供給方法。
上記手段1によれば、磁力及び吸引力のうち少なくとも一方に基づき、剛体電極がピックアップされる。そのため、軟質導線における曲がり等の影響で剛体電極の向きや位置にバラツキが生じていたとしても、剛体電極をより確実にピックアップすることができる。
また、剛体電極を保持した後、溝付ローラの溝部上(溝付ローラの上方における前記溝部内)に軟質導線の一端側部分が配置された上で、溝付ローラが軟質導線の他端側に向けて(直線状に)移動する。この際、溝付ローラによってリード線に絡んだ軟質導線を外すことができ、リード線に対する軟質導線の絡みの解消を図ることができる。
そして、溝付ローラが移動した後には、溝付ローラ及び受け治具によって軟質導線が挟持状態とされ、軟質導線の姿勢がほぼ一定(例えば、ほぼ直線状)とされる。その上で、第二保持工程において、軟質導線が保持される。従って、軟質導線の姿勢がほぼ一定となった状態で、剛体電極及び軟質導線の双方を保持することができる。その結果、被供給部に対しリード線を安定した姿勢で供給することができる。
以上のように、上記手段1によれば、剛体電極のより確実なピックアップ、及び、リード線に対する軟質導線の絡み解消を図ることができる。つまり、リード線の供給の自動化を行う上で支障となっていた課題をより確実に解決することができる。これにより、リード線の供給を自動化することができ、生産の高速化ひいてはランプの生産性の向上を図ることができる。また、リード線を安定した姿勢で供給することができるため、生産性をより向上させることができる。
手段2.前記ピックアップ工程後、前記第一保持工程前において、1本の前記リード線における前記剛体電極のみをピックアップした状態とする保持数調節工程を含むことを特徴とする手段1に記載のリード線の供給方法。
上記手段2によれば、保持数調節工程において、1本のリード線の剛体電極のみをピックアップした状態とすることができる。これにより、被供給部に対しリード線をより確実に1本ずつ供給することができ、生産性を一層向上させることができる。
手段3.前記ピックアップ工程においては、磁性を有するピックアップ手段により、少なくとも1本の前記リード線における前記剛体電極がピックアップされ、
前記保持数調節工程においては、前記ピックアップ手段が上方へと移動し、その移動方向と直交する方向に沿って1本の剛体電極のみが通過可能な幅のスリット内に、前記ピックアップ手段によりピックアップされた前記剛体電極が入れられることを特徴とする手段2に記載のリード線の供給方法。
上記手段3によれば、磁性を有するピックアップ手段によって、剛体電極の位置等にバラツキがあった場合であっても、剛体電極を一層確実にピックアップすることができる。また、ピックアップ手段によって仮に複数の剛体電極がピックアップされたとしても、スリット内へとピックアップされた剛体電極が入れられることにより、余分なリード線を落下させることができる。これにより、より確実に1本のリード線の剛体電極のみをピックアップした状態とすることができる。
手段4.前記保持数調節工程においては、前記スリットに対し1本の前記剛体電極のみを入れた状態で、前記スリットの開口に沿って所定の除去手段が移動させられることを特徴とする手段3に記載のリード線の供給方法。
上記手段4によれば、除去手段の移動に伴い、スリット外に位置している余分なリード線をより確実に落下させることができる。従って、より一層確実に1本のリード線の剛体電極のみをピックアップした状態とすることができる。
手段5.前記しごき工程においては、前記溝付ローラの下方にて前記溝付ローラの移動方向と同一方向に沿って所定の切離手段が移動させられることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載のリード線の供給方法。
尚、「同一方向」とあるのは、溝付ローラの移動方向と厳密な同一方向のみならず、溝付ローラの移動方向に対し若干斜めになっている方向も含む。
上記手段5によれば、溝付ローラの下方に位置する切離手段が移動することで、リード線からこれに絡んだ軟質導線をより確実に外すことができる。その結果、リード線に対する軟質導線の絡みをより一層確実に解消することができる。
手段6.前記リード線は、外側に膨出し、前記剛体電極及び前記軟質導線を接合する溶接こぶを有するものであることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載のリード線の供給方法。
上記手段6によれば、溶接こぶによって剛体電極及び軟質導線をより確実に接合することができる。従って、しごき工程などにおいて、剛体電極から軟質導線が分離してしまうといった事態をより確実に防止することができる。
一方、リード線に溶接こぶが存在する場合には、しごき工程において溶接こぶが邪魔になってしまうおそれがあるが、上記手段1等によれば、溝付ローラは、溶接こぶから外れた位置に配置された上で、溶接こぶとは反対側に移動することとなる。そのため、溶接こぶの存在による悪影響は生じることなく、リード線に対する軟質導線の絡みの解消を図りつつ、軟質導線の姿勢をほぼ一定とすることができる。
手段7.前記ピックアップ工程においては、所定の被接触部に対しピックアップされた前記剛体電極が接触することで、当該剛体電極の向きが一定とされることを特徴とする手段1乃至6のいずれかに記載のリード線の供給方法。
上記手段7によれば、ピックアップされた剛体電極の向きを一定(厳密な一定のみならず、向きに若干のばらつきがある場合も含む)とすることができる。そのため、第一保持工程における剛体電極の保持などをより安定的に行うことができる。また、しごき工程後において、リード線の姿勢にばらつきがより生じにくくなる。その結果、被供給部に対しリード線をより安定した姿勢で供給することができる。
手段8.所定のリード線を所定の被供給部へと供給するためのリード線の供給装置であって、
前記リード線は、針状又は棒状の剛体電極と、当該剛体電極に対し直列的に接合され、前記剛体電極よりも柔軟性を有する軟質導線とを備え、
磁力及び吸引力のうち少なくとも一方に基づき、貯留された複数の前記リード線から少なくとも1本の前記リード線における前記剛体電極をピックアップするピックアップ手段と、
ピックアップされた前記剛体電極を保持する第一保持手段と、
外周に周方向に延びる溝部を有する溝付ローラ及び当該溝付ローラとの間で前記軟質導線を挟み込み保持可能な受け治具を具備し、保持された前記剛体電極に連なる前記軟質導線における前記剛体電極側に位置する一端側部分を、前記溝部上に配置した状態で、当該軟質導線の他端部側に向けて前記溝付ローラを直線移動させるとともに、移動後の前記溝付ローラと前記受け治具とで前記軟質導線を挟持状態とすることにより、当該軟質導線の姿勢をほぼ一定の状態とするしごき手段と、
姿勢がほぼ一定とされた前記軟質導線を保持する第二保持手段とを有することを特徴とするリード線の供給装置。
手段9.手段1乃至7のいずれかに記載のリード線の供給方法を含むことを特徴とするランプの製造方法。
上記手段9によれば、上記手段1等と同様の作用効果が奏されることとなる。
以下、一実施形態について図面を参照しつつ説明する。まず、本実施形態におけるランプ1について説明する。図1に示すように、ランプ1は、無色透明のガラスからなるバルブ2と、当該バルブ2内に一部が封入された一対、すなわち二本のリード線3とを備えている。尚、リード線3を複数対備えていてもよい。
バルブ2は、内部が密閉された状態となっており、所定の不活性ガス(例えば、アルゴンガス、アルゴン−ネオンガス等)が封入された状態となっている。
リード線3は、針状又は棒状をなす剛体電極4と、当該剛体電極4に対し直列的に接合され、剛体電極4よりも柔軟性を有する軟質導線5とを備えている。尚、図1等では、図示の便宜上、剛体電極4や後述する溶接こぶ6を実際よりも太くした状態で示している。
剛体電極4は、自重によりほとんど変形しない程度の十分な剛性を有する導電性金属から構成されている。本実施形態における剛体電極4は、その線径が、例えばφ1mm〜3mmとされ、その長さが、例えば30mm〜50mmとされている。
軟質導線5は、細い導電性の金属線を撚り合わせてなる撚り線により構成されており、剛体電極4よりも柔軟性を有している。本実施形態における軟質導線5は、その線径が、例えばφ1mm〜3mmとされ、その長さが、例えば50mm〜400mmとされており、剛体電極4よりも長いものとなっている。そのため、軟質導線5は、自重により容易に曲がり変形可能となっており、例えば、一端部のみを保持した場合、他端部側が垂れ下がるようになっている。尚、剛体電極4や軟質導線5の長さは適宜変更可能であり、例えば、軟質導線5の長さを50mm未満としてもよい。
さらに、剛体電極4及び軟質導線5は、溶融金属が凝固してなる溶接こぶ6によって接合されている。溶接こぶ6は、リード線3の外側に膨出した状態となっている。
また、ランプ1において、各リード線3は、前記バルブ2の開口を塞ぐようにして設けられた円板状のガラス板7に取着されている。具体的には、ガラス板7には、その板厚方向に貫通する一対の取付孔8が形成されており、各リード線3は、その剛体電極4が前記取付孔8に挿通された状態で前記ガラス板7に対し取着されている。
さらに、各リード線3のうちバルブ2内に位置する部位の先端部には、コイル状に形成されたフィラメント9が取着されている。フィラメント9により各リード線3の先端部同士が継線された状態となっている。
次いで、上記ランプ1を製造するためのランプ製造装置10について説明する。ランプ製造装置10は、図2に示すように、リード線供給装置11、リード線取着装置12、マウント装置13、封止装置14、排気・ガス導入装置15及びシールカット装置16を備えている。本実施形態では、リード線取着装置12が被供給部に相当する。
リード線供給装置11は、1本のリード線3を直線状に保持した上で、リード線取着装置12へとリード線を供給するものである。リード線供給装置11の詳細な構成及び動作については、後に説明する。
リード線取着装置12は、リード線3をガラス板7へと取着するものである。より具体的には、リード線取着装置12は、図示しないバーナーを備えており、各取付孔8に対しリード線3が挿通された状態で、前記バーナーによりガラス板7を加熱することによって、ガラス板7に対し各リード線3を融着させる。尚、本実施形態において、取付孔8に対するリード線3の挿通は、リード線供給装置11により行われるようになっているが、取付孔8に対するリード線3の挿通を、リード線供給装置11からリード線3を受け取ったリード線取着装置12が行うように構成してもよい。また、この段階におけるバルブ2は、ガラス板7が配置される側とは反対側に、バルブ2内に連通する排気管2A(図4参照)を備えた状態となっている。尚、ガラス板7に対し排気管や排気孔を設けることとしてもよい。
マウント装置13は、各リード線3に対しフィラメント9を取付けるものである。より具体的には、マウント装置13は、ガラス板7に取着された各リード線3における剛体電極4の先端側部分をそれぞれ鋭角状に折り曲げた上で、折り曲げられた剛体電極4間にフィラメント9を配置する。次いで、剛体電極4の前記折り曲げ部分を加締めることで、リード線3(剛体電極4)に対しフィラメント9を固定する。
封止装置14は、バルブ2の開口を塞ぐようにしてバルブ2に対しガラス板7を取着するものである。より具体的には、封止装置14は、図示しないバーナーを備えており、バルブ2の開口部の内周へとガラス板7を配置した状態で、前記バーナーによってバルブ2の前記開口部に対応する部分を加熱する。これにより、バルブ2の内周に対しガラス板7の外周が融着される。
排気・ガス導入装置15は、前記排気管2Aを通してバルブ2内の気体を排出した後、前記排気管2Aを通してバルブ2内へと不活性ガスを導入する。
シールカット装置16は、前記排気管2Aをチップオフするものである。より具体的には、シールカット装置16は、図示しないバーナーを備えており、当該バーナーによって排気管2Aを加熱することで、排気管2Aを閉塞しつつ切断する。尚、完成したランプ1において、排気菅2Aの被切断部を所定のカバー(図示せず)で覆うこととしてもよい。
次いで、リード線供給装置11の構成について説明する。リード線供給装置11は、図3に示すように、ホッパ21と、ピックアップ手段としてのピックアップ機構22と、保持数調節機構23と、第一保持手段としての第一保持機構26と、しごき手段としてのしごき機構27と、第二保持手段としての第二保持機構32と、第三保持機構33とを備えている。
ホッパ21は、図5に示すように、屈曲部分が下向きに突出するように配置された屈曲板状の被載置部21Aを備えおり、当該被載置部21Aに対し複数のリード線3が載置されて貯留された状態となっている。尚、被載置部21Aに載置された各リード線3は、被載置部21Aにおける屈曲部分の延びる方向にほぼ沿った向きで配置されるが、軟質導線5における曲がりの影響で、剛体電極4の向きや位置に多少のバラツキが生じた状態となり得る(図6参照)。
ピックアップ機構22は、磁力及び吸引力のうち少なくとも一方に基づき、ホッパ21に貯留された複数のリード線3から少なくとも1本のリード線3における剛体電極4をピックアップするものである。本実施形態におけるピックアップ機構22は、その下端部に、通電により磁界を生成可能な磁着部22Aを有しており、磁力により剛体電極4をピックアップするように構成されている。また、ピックアップ機構22における少なくとも磁着部22Aは、図示しない駆動手段により、被載置部21Aの上方において上下移動可能に構成されている。尚、磁着部22Aを、永久磁石などにより構成してもよい。
保持数調節機構23は、ピックアップ機構22によって複数の剛体電極4がピックアップされている場合に、余分な剛体電極4を落下させることで、1本の剛体電極4のみをピックアップされた状態とするものである。保持数調節機構23は、被載置部21Aの上方に配置されており、図7に示すように、接触限定部24及び除去手段としての除去機構25を備えている。
接触限定部24は、上下方向に貫通するスリット24Sを備えている。当該スリット24Sは、その幅が剛体電極4の線径以上であって当該線径の2倍未満とされており、その長さが剛体電極4の長さ以上とされている。また、スリット24Sに対し、ピックアップ機構22における少なくとも磁着部22Aが配置可能となっている。そして、ピックアップ機構22が上昇することで、スリット24Sの下方からスリット24S内へと磁着部22A及びこれに磁着された剛体電極4が入り込むようになっている。本実施形態において、スリット24Sに対する磁着部22Aの入り込み量は、予め設定された所定量とされており、具体的には、磁着部22Aに磁着された1本の剛体電極4のみがスリット24S内へと完全に入り込む程度の量とされている。
除去機構25は、スリット24Sの下部開口近傍に設けられており、一対の分離部25Aを備えている。両分離部25Aは、スリット24S内へと磁着部22Aや剛体電極4が入り込む際の磁着部22A等の移動空間を挟んで相対向しており、両分離部25Aの対向面は傾斜面となっている。また、両分離部25Aは、図示しない駆動手段によってスリット24Sの下部開口に沿って移動可能に構成されており、両分離部25A同士が接触又は接近した状態となる前進位置と、両分離部25A同士がスリット24Sの幅以上の間隔を隔てて離間した状態となる後退位置との間で移動可能となっている。
第一保持機構26は、ピックアップ機構22によりピックアップされている剛体電極4を保持するものである。第一保持機構26は、図8に示すように、ピックアップ機構22の下方に位置する挟持時位置と、ピックアップ機構22の下方から退避する退避位置との間で移動可能に構成されている。また、第一保持機構26は、前記挟持時位置において上下方向に移動可能となっている。前記挟持時位置に配置された第一保持機構26は、ピックアップ機構22に対しその下方から接近移動し、当該ピックアップ機構22との間でピックアップされている剛体電極4を挟み込むことにより、当該剛体電極4を保持するように構成されている。尚、図8においては、挟持時位置に配置された第一保持機構26を示している。
しごき機構27は、溝付ローラ28、受け治具29及び切離手段としての切離ローラ30を備えている。
溝付ローラ28は、軟質導線5をしごいて直線状としつつ、当該軟質導線5に対するその他の軟質導線5の絡み解消を図るものである。溝付ローラ28は、自由回転可能であるとともに、外周に周方向に延びる窪み状の1本の溝部28Aを備えている。溝部28Aは、溝付ローラ28の回転軸側に向けて徐々に幅の狭くなる形状(例えば、V字形状)とされている。
また、溝付ローラ28は、後述するしごき工程P4においてしごきの開始位置となるしごき開始位置と、当該しごき開始位置から退避した退避位置との間で移動可能に構成されている。さらに、しごき開始位置に配置された溝付ローラ28は、ピックアップ機構22側から受け治具29側に向けて水平方向(図8における左右方向)に沿って直線移動可能に構成されている。
受け治具29は、軟質導線5を移動後の溝付ローラ28との間で保持するものである。受け治具29は、平坦状をなす下面を有しており、第一保持機構26との間で剛体電極4を保持したピックアップ機構22と一定距離(リード線3の長さに対応する距離)だけ隔てた位置であって、自身の下面と当該ピックアップ機構22の下部とがほぼ同じ高さとなる位置に設けられている。
切離ローラ30は、軟質導線5の絡みを解消するために用いられるものである。切離ローラ30は、自由回転可能であるとともに、その回転軸方向に沿った長さが、溝付ローラ28におけるその回転軸方向に沿った長さよりも大きなものとされている。
また、切離ローラ30は、後述するしごき工程P4において切離しの開始位置となる切離開始位置と、当該切離開始位置から退避した退避位置との間で、溝付ローラ28と同期して移動可能に構成されている。切離開始位置に配置された状態において、切離ローラ30は、前記しごき開始位置に配置された溝付ローラ28の下方であって、当該溝付ローラ28に対しその進行方向前方側に若干ずれた位置に配置されるようになっている。また、切離ローラ30は、溝付ローラ28の水平移動時に、溝付ローラ28と同じ方向に沿って水平移動するようになっている。尚、図8においては、しごき開始位置に配置された溝付ローラ28と、切離開始位置に配置された切離ローラ30とを示している。
第二保持機構32は、軟質導線5の他端部を保持するものであり、それぞれ上下動可能に構成された上挟持部32A及び下挟持部32Bを備えている。また、第二保持機構32は、受け治具29の近傍であって、後述する第二保持工程P5において軟質導線5を保持する際に配置される挟持時位置と、当該挟持時位置から退避した退避位置との間で移動可能に構成されている。
さらに、第三保持機構33は、剛体電極4を保持するものであり、それぞれ上下動可能に構成された上挟持部33A及び下挟持部33Bを備えている。また、第三保持機構33は、後述する第三保持工程P6において剛体電極4を保持する際に配置される挟持時位置と、当該挟持時位置から退避した退避位置との間で移動可能に構成されている。尚、図8においては、それぞれ挟持時位置に配置された第二保持機構32及び第三保持機構33を示している。
次いで、上記ランプ製造装置10を用いたランプ1の製造方法のうち、特にリード線取着装置12に対するリード線3の供給に係る工程である、リード線3の保持供給工程(リード線3の供給方法)について説明する。
リード線3の保持供給工程は、リード線供給装置11において実行されるものであり、図9に示すように、ピックアップ工程P1、保持数調節工程P2、第一保持工程P3、しごき工程P4、第二保持工程P5、第三保持工程P6及び供給工程P7を含んでいる。尚、保持供給工程の開始時において、第一保持機構26、溝付ローラ28、切離ローラ30、第二保持機構32及び第三保持機構33は、それぞれ退避位置に配置された状態となっている。
ピックアップ工程P1においては、まず、ホッパ21における剛体電極4の配置予定領域(剛体電極4が通常配置される領域)に向けて磁着部22Aを下動させる。そして、ホッパ21に貯留された剛体電極4に対し磁着部22Aを接近又は接触させた上で、磁着部22Aを上昇させる。これにより、磁着部22Aの磁力によって、ピックアップ機構22により1又は複数の剛体電極4がピックアップされる(図10参照)。このとき、ピックアップされた剛体電極4に連なる軟質導線5は、自重などにより下方に垂れた状態となる。また、ピックアップされた剛体電極4に連なる軟質導線5に対し、その他の軟質導線5が絡んだ状態となることもある。
次いで、保持数調節工程P2において、まず、前記両分離部25A同士が前記後退位置に配置されている状態において、ピックアップ機構22を上昇させて、磁着部22Aをスリット24Sへと入り込ませる(図11参照)。そして、ピックアップ機構22をさらに上昇させることで、磁着部22Aをスリット24Sに対し前記所定量だけ入り込ませた状態とする。このとき、スリット24Sの幅が上記のように設定されることにより、スリット24S内においては、ピックアップ機構22の移動方向と直交する方向に沿って2本の剛体電極4が並んで配置されることはない。そのため、スリット24S内へと磁着部22Aが前記所定量だけ入り込んだときに、スリット24S内には、磁着部22Aに接触した1本の剛体電極4のみが入った状態となる。また、複数の剛体電極4がピックアップされている場合、磁着部22Aに接触する剛体電極4以外の剛体電極4は、スリット24S外に配置された状態となる。このとき、磁着部22Aに接触する剛体電極4以外の剛体電極4は、接触限定部24に対する接触や作用する磁力の減少に伴いホッパ21へと落下し得る。
続いて、両分離部25Aを前記前進位置に移動させる。これにより、スリット24S外において落下せずに残存していた剛体電極4は、スリット24S内に配置された剛体電極4から分離させられるとともに、ホッパ21へと落下させられる(図12参照)。これにより、1本の剛体電極4のみがピックアップされた状態となる。
次いで、第一保持工程P3において、ピックアップ機構22を下動させて、スリット24S外へと磁着部22A等を移動させるとともに、第一保持機構26を前記挟持時位置(ピックアップ機構22の下方の位置)に配置する。そして、第一保持機構26を上動させることで、ピックアップ機構22及び第一保持機構26によって剛体電極4を挟み込んで保持する(図13参照)。
次に、しごき工程P4において、まず、溝付ローラ28を前記しごき開始位置に配置し、切離ローラ30を前記切離開始位置に配置する。これにより、溝付ローラ28は、軟質導線5の下方において、当該軟質導線5における剛体電極4側に位置する一端側部分(溶接こぶ6に隣接する部分)が溝部28Aに収まった状態で配置される。また、切離ローラ30は、溝付ローラ28の下方であって、その進行方向やや前方側に配置される。
その上で、溝付ローラ28及び切離ローラ30を軟質導線5の他端側に向けて直線移動させる(図14参照)。そして、溝付ローラ28が軟質導線5の他端部の手前に対応する位置まで移動した段階で、両ローラ28,30を停止させる。これにより、軟質導線5は、他端部を除いた部位が直線状をなすように姿勢が矯正され、ほぼ一定の姿勢とされるとともに、溝付ローラ28及び受け治具29で挟持された状態となる(図15参照)。また、溝付ローラ28及び切離ローラ30によって、軟質導線5の絡みが解消され、絡んでいた他の軟質導線5が落下させられる。その結果、1本のリード線3のみがほぼ一定の姿勢で保持された状態となる。
続く第二保持工程P5では、第二保持機構32を挟持時位置に配置した上で、第二保持機構32の両挟持部32A,32Bによって軟質導線5の他端部を挟み込んで保持する。
また、第三保持工程P6においては、第三保持機構33を挟持時位置に配置した上で、第三保持機構33の両挟持部33A,33Bによって剛体電極4における他端部(溶接こぶ6に隣接する部位)を挟み込んで保持する(図16参照)。
尚、第二保持工程P5の前に、第三保持工程P6を行ってもよいし、両保持工程P5,P6を同時期に行ってもよい。すなわち、第三保持機構33によって剛体電極4を保持した後に、第二保持機構32によって軟質導線5を保持してもよいし、両保持機構32,33によってリード線3における保持対象を同時期に保持してもよい。
そして、供給工程P7においては、第一保持機構26や溝付ローラ28等を退避位置へと移動させた上で、両保持機構32,33によって保持されたリード線3をリード線取着装置12へと搬送し、当該リード線3を前記取付孔8へと挿通する。これにより、リード線取着装置12に対するリード線3の供給が完了する。
以上詳述したように、本実施形態によれば、磁力に基づき剛体電極4がピックアップされるため、軟質導線5における曲がりなどの影響により剛体電極4の向きや位置にバラツキが生じていたとしても、剛体電極4をより確実にピックアップすることができる。
また、第一保持機構26等により剛体電極4を保持した後、溝付ローラ28の移動によってリード線3に絡んだ軟質導線5を外すことができ、リード線3に対する軟質導線5の絡みの解消を図ることができる。特に本実施形態では、切離ローラ30が移動することで、リード線3からこれに絡んだ軟質導線5をより確実に外すことができる。その結果、リード線5に対する軟質導線5の絡みをより一層確実に解消することができる。
さらに、溝付ローラ28が移動した後には、溝付ローラ28及び受け治具29によって軟質導線5が挟持状態とされ、軟質導線5の姿勢がほぼ一定(ほぼ直線状)とされる。その上で、第二保持機構32及び第三保持機構33により、軟質導線5が保持される。従って、軟質導線5の姿勢がほぼ一定となった状態で、剛体電極4及び軟質導線5の双方を保持することができる。その結果、リード線取着装置12に対しリード線3を安定した姿勢で供給することができる。
以上のように、本実施形態によれば、剛体電極4のより確実なピックアップ、及び、リード線3に対する軟質導線5の絡み解消を図ることができる。つまり、リード線3の供給の自動化を行う上で支障となっていた課題をより確実に解決することができる。これにより、リード線3の供給を自動化することができ、生産の高速化ひいてはランプ1の生産性の向上を図ることができる。また、リード線3を安定した姿勢で供給することができるため、生産性をより向上させることができる。
加えて、本実施形態では、保持数調節工程P2において、スリット24S内へとピックアップされた剛体電極4が入れられることにより、余分なリード線3を落下させることができる。さらに、除去機構25(分離部25A)の移動に伴い、スリット24S外に位置している余分なリード線3をより確実に落下させることができる。従って、より確実に1本のリード線3の剛体電極4のみをピックアップした状態とすることができる。その結果、リード線3をより確実に1本ずつ供給することができ、生産性を一層向上させることができる。
さらに、本実施形態では、溶接こぶ6によって剛体電極4及び軟質導線5をより確実に接合することができ、しごき工程P4などにおいて、剛体電極4から軟質導線5が分離してしまうといった事態をより確実に防止することができる。
一方、リード線3に溶接こぶ6が存在する場合には、しごき工程P4において溶接こぶ6が邪魔になってしまうおそれがあるが、溝付ローラ28は、溶接こぶ6から外れた位置に配置された上で、溶接こぶ6とは反対側に移動することとなる。そのため、溶接こぶ6の存在による悪影響は生じることなく、リード線3に対する軟質導線5の絡みの解消を図りつつ、軟質導線5の姿勢をほぼ一定とすることができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態において、ピックアップ機構22は、磁力に基づき剛体電極4をピックアップするように構成されているが、吸引力に基づき剛体電極4をピックアップするように構成されていてもよい。また、ピックアップ機構22は、磁力及び吸引力の双方に基づき剛体電極4をピックアップするものであってもよい。
(b)図17に示すように、ピックアップ機構22に対し、磁着部22Aの下方に位置するとともに、磁着部22Aに向けて徐々に幅の狭くなる凹部22Cを備えてなる被接触部22Bを設け、ピックアップした剛体電極4が被接触部22Bへと接触することで、当該剛体電極4の向きが一定とされるように構成してもよい。被接触部22Bを設けることで、ピックアップされた剛体電極4の向きを一定とすることができ、第一保持工程P3や第三保持工程P6における剛体電極4の保持などをより安定的に行うことができる。また、しごき工程P4後において、リード線3の姿勢にばらつきがより生じにくくなるため、リード線3をより安定した姿勢で供給することができる。
尚、第一保持機構26に対し、剛体電極4と接触することにより当該剛体電極4の向きを一定とする被接触部を設けることとしてもよい。例えば、第一保持機構26のうち、ピックアップ機構22との間で剛体電極4を挟み込む部位に、底部に向けて幅の狭くなる凹部を設け、第一保持機構26における当該凹部を形成する部位によって被接触部を構成してもよい。
(c)上記実施形態では、第一保持機構26及びピックアップ機構22によって剛体電極4を保持した後に、第三保持機構33によって剛体電極4を保持し、この状態で、リード線3をリード線取着装置12へと供給するように構成されている。すなわち、剛体電極4が保持し直されるように構成されている。これに対し、第三保持機構33を省略し、第一保持機構26及びピックアップ機構22によって剛体電極4を保持した状態で、リード線3をリード線取着装置12へと供給するように構成してもよい。
(d)除去機構25の構成は上記実施形態で挙げているものに限定されず、例えば、スリット24Sの開口において移動可能なブラシなどを用いてもよい。
(e)上記実施形態では、切離手段として切離ローラ30を挙げているが、切離手段の構成はこれに限定されるものではない。従って、例えば、溝付ローラ28とともに移動可能なスライド板によって切離手段を構成してもよい。
(f)上記実施形態では、被供給部としてリード線取着装置12を挙げているが、被供給部はリード線3の供給対象となるものである限り、特に限定されるものではない。