JP2017173690A - 反射防止物品の製造方法、賦型用金型の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】モスアイ構造による反射防止物品に関して、安定かつ確実に多数の金型を作製できるようにすることを目的とする。
【解決手段】反射防止物品1の微細凹凸形状に対応する微細凹凸形状を備えた原版21に、賦型樹脂層22を作製する塗工工程SP3−1と、前記賦型樹脂層22を半硬化させて微細凹凸形状を備えた凹凸面層12を作製する半硬化工程SP3−2と、前記凹凸面層12を前記原版21から剥離する剥離工程SP3−3と、前記剥離工程SP3−3で剥離した前記凹凸面層12を、賦型用金型10の基材11に積層する積層工程SP3−4と、前記積層工程SP3−4で積層した前記凹凸面層12を硬化させて賦型用金型10を作製する本硬化工程SP3−5と、前記賦型用金型10を使用した賦型処理により前記反射防止物品1を作製する賦型工程とを備える。
【選択図】図4
【解決手段】反射防止物品1の微細凹凸形状に対応する微細凹凸形状を備えた原版21に、賦型樹脂層22を作製する塗工工程SP3−1と、前記賦型樹脂層22を半硬化させて微細凹凸形状を備えた凹凸面層12を作製する半硬化工程SP3−2と、前記凹凸面層12を前記原版21から剥離する剥離工程SP3−3と、前記剥離工程SP3−3で剥離した前記凹凸面層12を、賦型用金型10の基材11に積層する積層工程SP3−4と、前記積層工程SP3−4で積層した前記凹凸面層12を硬化させて賦型用金型10を作製する本硬化工程SP3−5と、前記賦型用金型10を使用した賦型処理により前記反射防止物品1を作製する賦型工程とを備える。
【選択図】図4
Description
本発明は、反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長以下の間隔で多数の微小突起を密接配置して反射防止を図る反射防止物品に関するものである。
近年、フィルム形状の反射防止物品である反射防止フィルムに関して、透明基材(透明フィルム)の表面に多数の微小突起を密接して配置することにより、反射防止を図る方法が提案されている(特許文献1〜3参照)。この方法は、モスアイ(moth eye(蛾の目))構造の原理を利用したものであり、入射光に対する屈折率を基板の厚み方向に連続的に変化させ、これにより屈折率の不連続界面を消失させて反射防止を図るものである。
このモスアイ構造に係る反射防止物品では、隣接する微小突起の間隔dが、反射防止を図る波長帯域の最短波長Λmin以下(d≦Λmin)となるよう、微小突起が密接して配置される。また各微小突起は、透明基材に植立するように、さらに透明基材より先端側に向かうに従って徐々に断面積が小さくなるように(先細りとなるように)作製される。
このような反射防止物品に関して、特許文献4には、陽極酸化処理とエッチング処理とを交互に実行してモスアイ構造に係る微細構造を備えた原版(いわゆるマザー版である)を作製し、この原版を使用して反射防止物品を作製するための賦型用金型(いわゆるスタンパである)を多数作製する方法が開示されている。
ところで特許文献4に開示のように、原版を使用して賦型用金型を作製し、この賦型用金型から反射防止物品を生産する場合には、効率良く多くの金型を作製して反射防止物品の生産効率を向上することができる。
しかしながらこのようにモスアイ係る反射防止物品に関して、原版から賦型用金型を作製し、この賦型用金型から反射防止物品を生産する場合、結局、原版は、陽極酸化処理とエッチング処理との交互の実行により作製することになる。この場合、結局、アルミニウム材を適用して陽極酸化処理とエッチング処理とを交互に実行して原版を作製することになり、この原版表面には、陽極酸化処理によりこのアルミニウム材の表面がアルミニウムの酸化物の被膜で一様に覆われ、この金属酸化膜に微細構造が作製されることになる。なおこの金属酸化膜は、一方向にしか電流を通さないバルブとして機能することによりバルブ金属の酸化物と呼ばれる。
アルミニウムのバブル金属の酸化物は、アルマイトであり、いわゆる硬い材料であり、変形し難くい特長があり、これにより原版は、硬く変形し難いことになる。またこの原版には、モスアイ構造に対応する微細構造が作製されており、原版より多数の賦型用金型を作製する場合には、この微細構造を原版から賦型用金型に繰り返し転写することになる。
これによりこのように原版から金型を作製する場合、原版が損傷したりし、安定かつ確実に多数の金型を作製することが困難な問題があった。
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、モスアイ構造による反射防止物品に関して、安定かつ確実に多数の金型を作製できるようにすることを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を重ね、半硬化状態で原版より賦型樹脂層を剥離した後、さらに硬化する、との着想に至り、本発明を完成するに至った。
具体的には、本発明では、以下のようなものを提供する。
(1) 反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長以下の間隔で微小突起又は微細穴を密接配置した微細凹凸形状を備えた反射防止物品の製造方法において、
前記反射防止物品の微細凹凸形状に対応する微細凹凸形状を備えた原版に、賦型樹脂層を作製する塗工工程と、
前記賦型樹脂層を半硬化させて微細凹凸形状を備えた凹凸面層を作製する半硬化工程と、
前記凹凸面層を前記原版から剥離する剥離工程と、
前記剥離工程で剥離した前記凹凸面層を、賦型用金型の基材に積層する積層工程と、
前記積層工程で積層した前記凹凸面層を硬化させて賦型用金型を作製する本硬化工程と、
前記賦型用金型を使用した賦型処理により前記反射防止物品を作製する賦型工程とを備える反射防止物品の製造方法。
前記反射防止物品の微細凹凸形状に対応する微細凹凸形状を備えた原版に、賦型樹脂層を作製する塗工工程と、
前記賦型樹脂層を半硬化させて微細凹凸形状を備えた凹凸面層を作製する半硬化工程と、
前記凹凸面層を前記原版から剥離する剥離工程と、
前記剥離工程で剥離した前記凹凸面層を、賦型用金型の基材に積層する積層工程と、
前記積層工程で積層した前記凹凸面層を硬化させて賦型用金型を作製する本硬化工程と、
前記賦型用金型を使用した賦型処理により前記反射防止物品を作製する賦型工程とを備える反射防止物品の製造方法。
(1)によれば、半硬化状態で凹凸面層を原版から剥離することにより、いわゆる柔らかい状態で凹凸面層を原版から剥離することができ、これにより原版の損傷を充分に防止することができる。またこのようにして剥離した後に、さらに硬化させることにより、賦型用金型として充分な強度を確保することができる。これらにより安定かつ確実に多数の金型を作製することができる。
(2) 反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長以下の間隔で微小突起又は微細穴を密接配置した微細凹凸形状を備えた反射防止物品の製造方法において、
前記反射防止物品の微細凹凸形状に対応する微細凹凸形状を備えた原版から第1の賦型用金型を作製する第1の賦型用金型作製工程と、
前記第1の賦型用金型から第2の賦型用金型を作製する第2の賦型用金型作製工程と、
前記第2の賦型用金型を使用した賦型処理により前記反射防止物品を作製する賦型工程とを備え、
前記第1の賦型用金型作製工程は、
前記原版に、賦型樹脂層を作製する塗工工程と、
前記賦型樹脂層を半硬化させて微細凹凸形状を備えた凹凸面層を作製する半硬化工程と、
前記凹凸面層を前記原版から剥離する剥離工程と、
前記剥離工程で剥離した前記凹凸面層を、賦型用金型の基材に積層する積層工程と、
前記積層工程で積層した前記凹凸面層を硬化させて前記第1の賦型用金型を作製する本硬化工程とを備える反射防止物品の製造方法。
前記反射防止物品の微細凹凸形状に対応する微細凹凸形状を備えた原版から第1の賦型用金型を作製する第1の賦型用金型作製工程と、
前記第1の賦型用金型から第2の賦型用金型を作製する第2の賦型用金型作製工程と、
前記第2の賦型用金型を使用した賦型処理により前記反射防止物品を作製する賦型工程とを備え、
前記第1の賦型用金型作製工程は、
前記原版に、賦型樹脂層を作製する塗工工程と、
前記賦型樹脂層を半硬化させて微細凹凸形状を備えた凹凸面層を作製する半硬化工程と、
前記凹凸面層を前記原版から剥離する剥離工程と、
前記剥離工程で剥離した前記凹凸面層を、賦型用金型の基材に積層する積層工程と、
前記積層工程で積層した前記凹凸面層を硬化させて前記第1の賦型用金型を作製する本硬化工程とを備える反射防止物品の製造方法。
(2)によれば、半硬化状態で凹凸面層を原版から剥離することにより、いわゆる柔らかい状態で凹凸面層を原版から剥離することができ、これにより原版の損傷を充分に防止することができる。またこのようにして剥離した後に、さらに硬化させることにより、第1の賦型用金型として充分な強度を確保することができる。これらにより安定かつ確実に多数の金型を作製することができる。
(3) (2)において、
前記第1の賦型用金型作製工程は、
前記本硬化工程に続いて、前記凹凸面層の表面に金属薄膜を作製する金属薄膜作製工程を備える反射防止物品の製造方法。
前記第1の賦型用金型作製工程は、
前記本硬化工程に続いて、前記凹凸面層の表面に金属薄膜を作製する金属薄膜作製工程を備える反射防止物品の製造方法。
(3)によれば、第2の賦型用金型を紫外線硬化性樹脂を使用した賦型処理により作製する場合に、この紫外線硬化性樹脂の硬化の際の紫外線を遮光することができ、これにより第1の賦型用金型を長寿命化することができ、一段と生産性を向上することができる。
(4) (1)、(2)、(3)の何れかにおいて、
前記本硬化工程は、
前記反射防止物品に対応する表面形状を備えた押圧部材により前記凹凸面層を変形させた状態で硬化させる反射防止物品の製造方法。
前記本硬化工程は、
前記反射防止物品に対応する表面形状を備えた押圧部材により前記凹凸面層を変形させた状態で硬化させる反射防止物品の製造方法。
(4)によれば、賦型対象面が曲面等の非平坦面である場合に、半硬化状態の柔軟性を有効に利用して、この曲面等に対応する形状に凹凸面層を変形させることができ、種々の賦型対象面の反射防止を図ることができる。
(5) 反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長以下の間隔で微小突起又は微細穴を密接配置した微細凹凸形状を備えた賦型用金型の製造方法において、
前記微細凹凸形状に対応する形状を備えた原版に、硬化性樹脂を塗工して賦型樹脂層を作製する塗工工程と、
前記賦型樹脂層を半硬化させて凹凸面層を作製する半硬化工程と、
前記凹凸面層を前記原版から剥離する剥離工程と、
前記剥離工程で剥離した前記凹凸面層を、前記賦型用金型の基材に積層する積層工程と、
前記積層工程で積層した前記凹凸面層を硬化させて前記賦型用金型を作製する本硬化工程とを備える賦型用金型の製造方法。
前記微細凹凸形状に対応する形状を備えた原版に、硬化性樹脂を塗工して賦型樹脂層を作製する塗工工程と、
前記賦型樹脂層を半硬化させて凹凸面層を作製する半硬化工程と、
前記凹凸面層を前記原版から剥離する剥離工程と、
前記剥離工程で剥離した前記凹凸面層を、前記賦型用金型の基材に積層する積層工程と、
前記積層工程で積層した前記凹凸面層を硬化させて前記賦型用金型を作製する本硬化工程とを備える賦型用金型の製造方法。
(5)によれば、原版から賦型用金型を作製し、この賦型用金型を使用した賦型処理により反射防止物品を作製する場合、原版から第1の賦型用金型を作製し、この第1の賦型用金型から第2の賦型用金型を作製し、この第2の賦型用金型を使用した賦型処理により反射防止物品を作製する場合等において、半硬化状態で凹凸面層を原版から剥離することにより、いわゆる柔らかい状態の賦型樹脂層を原版から剥離することができ、これにより原版の損傷を充分に防止することができる。またこのようにして剥離した後に、さらに硬化させることにより、賦型用金型として充分な強度を確保することができる。これらにより安定かつ確実に多数の金型を作製することができる。
本発明によれば、モスアイ構造による反射防止物品に関して、安定かつ確実に多数の金型を作製することができる。
〔第1実施形態〕
〔反射防止物品〕
図1(A)は、本発明の第1実施形態に係る反射防止物品を示す断面図であり、図1(B)は、その反射防止層2側を部分的に拡大して示す断面図である。この反射防止物品1は、曲面による平坦でない面(以下、適宜、非平坦面と呼ぶ)を備えた反射防止物品であり、この曲面の反射を反射防止層2により低減する。より具体的に、反射防止物品1は、この曲面がレンズ面1Aである微小レンズであり、このレンズ面1Aに反射防止層2が作製されて反射防止が図られる。
〔反射防止物品〕
図1(A)は、本発明の第1実施形態に係る反射防止物品を示す断面図であり、図1(B)は、その反射防止層2側を部分的に拡大して示す断面図である。この反射防止物品1は、曲面による平坦でない面(以下、適宜、非平坦面と呼ぶ)を備えた反射防止物品であり、この曲面の反射を反射防止層2により低減する。より具体的に、反射防止物品1は、この曲面がレンズ面1Aである微小レンズであり、このレンズ面1Aに反射防止層2が作製されて反射防止が図られる。
ここで反射防止層2は、モスアイ構造の反射防止面を反転させた形状による微細凹凸を備えた反射防止層である。モスアイ構造の反射防止面は、反射防止を図る波長帯域の最短波長Λmin以下のピッチにより微小突起を密接配置した構成である。従って反射防止層2は、この微小突起に対応する微細穴3が、反射防止を図る最短波長以下のピッチにより密接配置された微細凹凸面層を備える。
この反射防止物品1は、レンズとして機能する光学部品であることにより、透明部材によりレンズ面1Aを備えたレンズ本体4が形成される。これにより反射防止物品1は、例えば撮像素子に、他のレンズと組み合わされて配置され、この撮像素子の撮像面に入射光を集光する。ここでレンズ本体4は、例えば硝材の研磨、ポリカーボネート等の透明樹脂材の射出成型等により作製される。この実施形態において、レンズ本体4は、透明樹脂材料の射出成型による多数個取りにより、複数のレンズ本体4が接続された状態で一体に作製され、この状態で、レンズ本体4に反射防止層2を作製した後、個々にレンズ本体4に分離して効率良く作製される。
より具体的には、図2(A)に示すように、レンズ本体4は、マトリックス状に配置してなるレンズ本体4の側面を、シート状の接続部4Aにより接続したシート形状のレンズ集合体によりレンズシート6が形成される。反射防止物品1は、このレンズシート6に設けられたレンズ本体4に纏めて反射防止層2が作製された後、個々にレンズ本体4に分離して作製される。なおレンズ本体4を個々に分離した後に反射防止層2を作製してもよく、またオンチップの手法により反射防止層2を作製してウエハ状態の実装対象にレンズシート6の形態で配置した後、個々に分離しても良く、種々の手法により作製する場合に広く適用することができる。
反射防止層2は、賦型処理に使用する透明の賦型樹脂層5を賦型処理して形成される。ここでこの実施形態において、この賦型樹脂層5には、光硬化性樹脂である紫外線硬化性樹脂が適用されるものの、この種の光学部品の賦型処理に使用する各種の材料を広く適用することができる。反射防止層2は、レンズ本体4の表面形状であるレンズ面1Aに対してほぼ一定の厚みにより、レンズ面1Aに倣った曲面形状によりレンズ本体4側面が作製され、このレンズ面1Aとは逆側面である表側面に、モスアイ構造による反射防止面の反転形状による微細凹凸面が設けられる。これによりこの実施形態では、このレンズ面1Aにおける入出射光に関して、反射光を充分に低減できるように構成される。
なお反射防止層2は、このようなレンズ面に配置する以外に、各種の曲面形状等による非平坦面を備えた光学部品に配置する場合、さらには平坦面を備えたミラー、回折格子等の光学部品に配置する場合等、種々の光学部品、透明部品、非透明の部材に設けて反射防止を図ることができる。
なお反射防止層2は、規則的に微細穴3を密接配置して作製しても良く、また不規則な配置により微細穴3を作製してもよい。また微細穴3は、深さ方向に複数の頂部を備えるように作製してもよく、深さ方向に1つの頂部を備えるように作製してもよい。なお深さ方向に複数の頂部を備えるように作製した場合、深さ方向に頂部が1つだけの場合に比して、反射防止に係る特性を、深さの異なる微細穴による特性を合成した特性とすることができ、反射防止を図る特性を広帯域化することができる。
ここで規則的に微細穴3を配置する場合、この規則的な配置に係る隣接する微細穴3の間隔は、隣接する微細穴3間の深さ方向の頂部の間隔である。これによりこの間隔を、反射を制限する波長帯域の最短波長以下とすることにより、充分に反射防止を図ることができる。これに対して微細穴3を不規則な配置により作製する場合、隣接する微細穴3間の深さ方向の頂部における間隔を順次計測して平均値を求め、この平均値を、反射を制限する波長帯域の最短波長以下とすることにより反射防止を図ることができる。しかしながら充分に反射防止を図る観点からは、このようにして求めた平均値と標準偏差とから求められる99%信頼区間の上限値(平均値(AV)+標準偏差(3σ))を、反射を制限する波長帯域の最短波長以下とすることにより一段と確実に反射防止を図ることができる。
なお反射防止層2は、モスアイ構造による反射防止面の反転形状に代えて、モスアイ構造による反射防止面の形状により作製してもよい。この場合、隣接する微小突起の頂部間の間隔(平均値又は99%信頼区間の上限値)を、同様に、反射を制限する波長帯域の最短波長以下とすることにより充分に反射防止を図ることができる。
〔反射防止物品の製造工程〕
図3は、この反射防止物品1の製造工程の説明に供する断面図である。この製造工程では、レンズシート製造工程において、射出成型によりレンズシート6が作製される。また反射防止層2の作製に使用する光硬化性樹脂が賦型用金型10に塗布されて賦型樹脂層2Aが形成される。なお賦型用金型10に賦型樹脂層2Aを作製する代わりに、レンズシート6側に賦型樹脂層2Aを作製しても良く、賦型用金型10とレンズシート6の双方に賦型樹脂層2Aを作製してもよい。賦型用樹脂の塗布は、ダイコート法等、この種の樹脂層の作製に使用する種々の手法を適用することができる。
図3は、この反射防止物品1の製造工程の説明に供する断面図である。この製造工程では、レンズシート製造工程において、射出成型によりレンズシート6が作製される。また反射防止層2の作製に使用する光硬化性樹脂が賦型用金型10に塗布されて賦型樹脂層2Aが形成される。なお賦型用金型10に賦型樹脂層2Aを作製する代わりに、レンズシート6側に賦型樹脂層2Aを作製しても良く、賦型用金型10とレンズシート6の双方に賦型樹脂層2Aを作製してもよい。賦型用樹脂の塗布は、ダイコート法等、この種の樹脂層の作製に使用する種々の手法を適用することができる。
ここで賦型用金型10は、レンズシート6との対比により図2(B)に示すように、反射防止層2を作製する側のレンズシート6の表面形状に倣った大きな凹凸形状面(モスアイ構造に係る微細凹凸形状に比してピッチ及び振幅が大きな凹凸形状であり、この実施形態ではレンズ面1Aの曲面形状である)を備え、さらにこの大きな凹凸形状面に、反射防止層2の表面形状に対応するモスアイ構造に係る微細凹凸形状を備える。賦型用金型10は、基材11に、凹凸面層12、凹凸面層用基材13の積層体を積層して作製される。
ここで基材11は、この種の賦型処理用の金型に使用することが可能な各種の部材を適用することができ、例えば銅、アルミ、各種の鋼材等による金属材料、ガラス材等を適用することができる。賦型樹脂層2Aに、紫外線硬化性樹脂等の光硬化性樹脂を使用する場合、基材11は、ガラス板等の透光性の材料を適応することにより賦型用金型10側からも紫外線等の、賦型樹脂層2Aの硬化に供する光を照射することができる。これにより紫外線の照射量等を広い範囲で簡易かつ種々に設定、変更することができ、これにより工程設計の自由度を高めることができる。
凹凸面層12は、原版を使用した賦型処理によって微細凹凸形状が作製された賦型樹脂層であり、モスアイ構造による微小突起を密接配置した微細凹凸形状がこの賦型処理により表面に作製される。またさらにこの微細凹凸形状に、レンズシート6の表面形状に倣った大きな凹凸形状面が重畳するようにして作製される。
凹凸面層12は、賦型処理に適用可能な各種の樹脂材料により形成される。すなわち凹凸面層12は、作製工程で詳細に説明するように、原版(マザー版)を使用した賦型処理により作製され、凹凸面層用基材13は、この原版を使用した賦型処理における基材であり、凹凸面層12を支持する支持体である。凹凸面層用基材13は、凹凸面層12と一体に原版から引きはがされた後、凹凸面層12と一体に基材11に配置される。これにより凹凸面層12は、この種の賦型処理に使用する各種賦型処理用樹脂材を適用することができ、例えば紫外線硬化性樹脂等の光硬化性樹脂を適用することができる。
凹凸面層用基材13は、この種の賦型処理に適用可能な各種のフィルム材、シート材を適用することができ、光硬化性樹脂により凹凸面層12を作製する場合には、PETフィルム、TACフィルム等の透明樹脂材を適用することが好ましい。なおこの場合、光硬化性樹脂の硬化に供する光に対して透明であれば、基材13側から硬化に供する光を照射することができ、工程設計の自由度を向上することができる。
なお凹凸面層用基材13を省略して、凹凸面層12のみ配置するようにしてもよい。このように凹凸面層12のみ配置する場合、又は基材13と一体に凹凸面層12を配置する場合、基材11との間に紫外線硬化性樹脂等による接着材層を設けて配置されるものの、この基材11との間に密着力を強化する密着力強化層等を設けるようにしてもよく、さらには粗面化処理等の密着力強化処理を実行してもよい。
なお平面形状を備えたミラー、回折格子等の光学部品に適用して反射防止を図る場合、賦型用金型10にあって、凹凸面層12の表面形状は、上述したレンズ面1Aに対応するような大きな凹凸面層が省略されて、平坦面にモスアイ構造に対応する微細凹凸形状が作製されることは言うまでも無い。
続いてこの製造工程は、図3(B)に示すように、押圧ローラを使用した押圧等により、賦型用金型10にレンズシート6を充分に押し付け、これにより賦型樹脂層2Aに係る未硬化状態で液状の紫外線硬化性樹脂をレンズシート6に充分に密着させると共に、賦型用金型10に作製された微細な凹部に充分に充填する。この製造工程は、その後、紫外線(UV)の照射により賦型樹脂層2Aを硬化させ、これによりこのレンズシート6に設けられたレンズ本体4のレンズ面1Aに反射防止層2を作製する。
この製造工程では、続いて図3(C)に示すように、反射防止層2と一体に、レンズシート6を賦型用金型10から剥離し、その後、個々に反射防止物品1を分離して作製される。なおこのレンズシート6を賦型用金型10から容易に剥離できるように、反射防止層2を半硬化状態で剥離した後、紫外線の照射、加熱等により硬化を進めるようにして、2段階の紫外線の照射により硬化させてもよい。
〔賦型用金型10の製造工程〕
図4は、賦型用金型10に係る金型作製工程を示すフローチャートである。この作製工程は、原版作製工程SP2において、原版を作製した後、続く賦型用金型作製工程SP3において、原版作製工程SP2で作製した原版を使用して賦型用金型10を作製する。これによりこの実施形態では、多数の賦型用金型10を1つの原版より作製して効率良く反射防止物品1を作製する。
図4は、賦型用金型10に係る金型作製工程を示すフローチャートである。この作製工程は、原版作製工程SP2において、原版を作製した後、続く賦型用金型作製工程SP3において、原版作製工程SP2で作製した原版を使用して賦型用金型10を作製する。これによりこの実施形態では、多数の賦型用金型10を1つの原版より作製して効率良く反射防止物品1を作製する。
〔原版作製工程〕
図5は、原版作製工程SP2を示すフローチャートである。ここで原版は、少なくとも表面にアルミニウム層が設けられた平板形状による母材の表面を加工して作製される。この作製工程は、電界研磨工程において、電解溶出作用と砥粒による擦過作用との複合による電解複合研磨法によって基材の表面を超鏡面化する。ここでこの基材には、例えば銅、ステンレス等の金属材料を適用することができるものの、ガラス板材等の透明基材を適用して、基材側からスタンパの作製に供する紫外線等を照射できるようにしてもよい。このようにすれば、凹凸面層用基材13に金属フィルム等の不透明フィルム材を適用して賦型用金型10を作製することができる。
図5は、原版作製工程SP2を示すフローチャートである。ここで原版は、少なくとも表面にアルミニウム層が設けられた平板形状による母材の表面を加工して作製される。この作製工程は、電界研磨工程において、電解溶出作用と砥粒による擦過作用との複合による電解複合研磨法によって基材の表面を超鏡面化する。ここでこの基材には、例えば銅、ステンレス等の金属材料を適用することができるものの、ガラス板材等の透明基材を適用して、基材側からスタンパの作製に供する紫外線等を照射できるようにしてもよい。このようにすれば、凹凸面層用基材13に金属フィルム等の不透明フィルム材を適用して賦型用金型10を作製することができる。
続いてこの工程は、アルミニウム層形成工程において、基材の表面にアルミニウムをスパッタリングすることにより、純度の高いアルミニウム層を基材表面に作製し、原版作製用の母材を作製する。
この工程は、続いて、陽極酸化工程A1、…、AN、エッチング工程E1、…、ENを交互に繰り返して母材を処理する。これによりこの工程は、陽極酸化工程A1、…、ANにより母材表面に微細穴を作製し、さらにこの作製した微細穴を掘り進める。またこのようにして作製、掘り進めた微細穴の穴径をエッチング工程E1、…、EN、…により拡大し、これにより深さ方向に徐々に先細りとなる形状に微細穴を整形する。
なお陽極酸化工程では、例えば負極に炭素棒、ステンレス板材等を使用する場合のように、アルミニウムの陽極酸化に適用される各種の手法を広く適用することができる。また溶解液についても、中性、酸性の各種溶解液を使用することができ、より具体的には、例えば硫酸水溶液、シュウ(蓚)酸水溶液、リン酸水溶液等を使用することができる。この製造工程は、この陽極酸化工程A1、…、ANにおける、液温、印加する電圧、陽極酸化に供する時間等の管理により、微細な穴をそれぞれ目的とする深さ及び微小突起形状に対応する形状に作製する。
またエッチング工程は、母材をエッチング液に浸漬して実行され、この種の処理に適用される各種エッチング液を広く適用することができる。より具体的には、例えば硫酸水溶液、シュウ酸水溶液、リン酸水溶液等を使用することができる。なお陽極酸化処理に用いる溶解液と同じ液を、電圧印加無しで用いることにより、溶解液をエッチング液としても兼用してもよい。
この製造工程では、陽極酸化工程A1、…、AN、エッチング工程E1、…、ENの交互の繰り返しにより所望する微細凹凸形状を作製すると、母材を洗浄、乾燥し、これにより原版が完成する。
〔スタンパ作製工程〕
このようにして原版を作製すると、この工程は、図6(A)に示すように、賦型用金型作製工程SP3における塗工工程SP3−1において、凹凸面層12の作製に供する硬化性樹脂による賦型用樹脂材の塗工液をダイ等により凹凸面層用基材13に塗工する。塗工液の塗工については、ダイによる場合に限らず、各種の手法を適用することができる。これによりこの製造工程では、凹凸面層用基材13に賦型樹脂層22を作製する。
このようにして原版を作製すると、この工程は、図6(A)に示すように、賦型用金型作製工程SP3における塗工工程SP3−1において、凹凸面層12の作製に供する硬化性樹脂による賦型用樹脂材の塗工液をダイ等により凹凸面層用基材13に塗工する。塗工液の塗工については、ダイによる場合に限らず、各種の手法を適用することができる。これによりこの製造工程では、凹凸面層用基材13に賦型樹脂層22を作製する。
続いてこの製造工程は、押圧ローラ等により、原版21に凹凸面層用基材13を加圧押圧し、これにより凹凸面層用基材13に賦型用樹脂材を充分に密着させると共に、原版21に形成された微細な凹部に賦型用樹脂材を充分に充填する(図6(B))。この状態で、続く半硬化工程SP3−2において、紫外線の照射により賦型用樹脂材を半硬化させ、これにより微細な表面凹凸形状を半硬化した硬化性樹脂層により作製して凹凸面層12を作製する。
ここで硬化性樹脂材を充分に硬化させた場合、原版21に形成されたモスアイ構造に係る微細穴が、硬く変形し難い材料であるバブル金属の酸化物の陽極酸化、エッチングにより作製されていることにより、凹凸面層12と一体に凹凸面層用基材13を剥離する際に、原版の表面に形成された微細凹凸形状が損傷する恐れがある。そこでこの実施形態では、半硬化状態により凹凸面層12を作製した後、凹凸面層用基材13と一体に剥離する。
ここでこの半硬化状態は、硬化状態に比して柔軟性を備えた状態であり、これにより原版の損傷を有効に回避することができ、その結果、安定かつ確実に原版から多数の賦型用金型を作製することができる。ここで凹凸面層12の半硬化状態は、凹凸面層12を凹凸面層用基材13と一体に原版21から剥離する際に、原版21の表面から転写された微細凹凸形状を保持するのに充分な硬度を保ちつつ、かつ剥離時における応力によっては原版21の表面の微細凹凸形状に損傷を与えない程度に柔軟性を保つことように設定される。より具体的に、硬度により硬化状態を表して本硬化を100%とした場合、硬化状態が50%以上80%以下となるように、より好ましくは60%以上70%以下となるように紫外線が照射される。
尚、硬化状態の測定は、賦型用樹脂におけるラジカル重合性不飽和基の反応率で求めることができ、フーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)を使用し、硬化前後のFT−IRチャートのラジカル重合性不飽和基の特性ピークの消失割合から測定することができる。より具体的には、本願実施例の紫外線硬化アクリル樹脂において基準値を約1730[cm−1]に定め、特性ピークを810[cm−1]として消失割合を測定した値である。
このようにして半硬化状態により凹凸面層12を作製すると、この製造工程は、剥離工程SP3−3において、凹凸面層12と一体に凹凸面層用基材13を剥離する(図6(C))。続いて積層工程SP3−4において、このようにして剥離した凹凸面層12と凹凸面層用基材13の積層体を賦型用金型10の基材11に積層する(図6(D))。
ここでこのようにして基材11に配置された凹凸面層12は、充分に柔軟性を備えている。これにより図6(E)に示すように、反射防止物品1に対応する曲面形状を備えた押圧部材18を配置すれば、押圧部材18の自重により凹凸面層12を変形させることができる。また必要に応じて押圧力を加えることにより、この変形を促進することができる。
これによりこの実施形態では、本硬化工程SP3−5において、レンズシート6を押圧部材18に適用して、レンズシート6の押圧により凹凸面層12の表面形状をレンズ面1Aに対応する形状に変形させた状態で、紫外線(UV)の照射により凹凸面層12を本硬化させ、これにより賦型用金型10を作製する。
この製造工程は、このようにして基材11の表面に凹凸面層12と凹凸面層用基材13との積層体を配置する際に、紫外線硬化性樹脂等により接着剤層を設けて配置する。ここでこのように本硬化することにより、この賦型用金型10を使用した賦型処理により反射防止層2を作製するようにして、賦型用金型10の信頼性、寿命を確保することができる。
この実施形態によれば、モスアイ構造に係る反射防止物品に関して、原版を使用して賦型用金型を作製するようにして、半硬化状態で原版から凹凸面層を剥離した後、硬化させることにより、原版が損傷しないようにすることができ、これにより安定かつ確実に多数の金型を作製することができる。
またこのときモスアイ構造による凹凸形状に比してピッチ及び振幅の大きな凹凸形状を備えた基材の表面形状に倣うように、微細凹凸形状を備えた凹凸面層を変形させて賦型用金型を作製することにより、種々の曲面形状を備えた部材に反射防止層を作製して反射防止を図ることができる。
〔第2実施形態〕
図7は、本発明の第2実施形態に係る賦型用金型の作製工程を示すフローチャートである。この実施形態では、原版作製工程SP2において、第1実施形態について上述したと同様にして原版(マスタ版)が作製される。また続く第1賦型版作製工程SP3において、原版を使用した賦型処理により第1の賦型用金型が作製される。また続く第2賦型版作製工程SP4において、第1の賦型用金型を使用した賦型処理により第2の賦型用金型が作製される。この実施形態では、この第2の賦型用金型を使用した賦型処理により反射防止物品が生産される。これによりこの実施形態に係る反射防止物品は、反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長以下の間隔で微小突起を密接配置した微細凹凸形状による反射防止層が形成され、いわゆるモスアイ構造による微細凹凸形状により反射防止が図られる。
図7は、本発明の第2実施形態に係る賦型用金型の作製工程を示すフローチャートである。この実施形態では、原版作製工程SP2において、第1実施形態について上述したと同様にして原版(マスタ版)が作製される。また続く第1賦型版作製工程SP3において、原版を使用した賦型処理により第1の賦型用金型が作製される。また続く第2賦型版作製工程SP4において、第1の賦型用金型を使用した賦型処理により第2の賦型用金型が作製される。この実施形態では、この第2の賦型用金型を使用した賦型処理により反射防止物品が生産される。これによりこの実施形態に係る反射防止物品は、反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長以下の間隔で微小突起を密接配置した微細凹凸形状による反射防止層が形成され、いわゆるモスアイ構造による微細凹凸形状により反射防止が図られる。
ここでこの実施形態において、第1賦型版作製工程SP3においては、塗工工程SP3−1において、図8(A)に示すように、凹凸面層用基材13に賦型処理用の樹脂材である紫外線硬化性樹脂が塗工されて賦型樹脂層22が作製された後、半硬化工程SP3−2で半硬化されて凹凸面層12が作製される(図8(B))。また続く剥離工程SP3−3において、凹凸面層用基材13と凹凸面層12との積層体が原版21から剥離された後(図8(C))、積層工程SP3−4において、賦型用金型用基材11に配置され(図8(D))、その後、本硬化工程SP3−5において凹凸面層12が本硬化される。
これによりこの実施形態でも、原版に損傷を与えることなく、かつ賦型用金型として充分な強度を保持してなるように第1の賦型用金型が作製される。なおこの工程では、賦型対象の曲面形状に対応する凹凸面層12の変形は、省略される。
このようにして本硬化すると、この実施形態では、続く金属薄膜作製工程SP3−6において、図8(E)に示すように、第1の賦型用金型の賦型処理面(凹凸面層12の表面)に金属薄膜12Aが作製される。ここで金属薄膜12Aは、アルミニウム、銀等の金属材料により、厚み10nm以上50nm以下により作製される。なお金属薄膜12Aの金属材料は、特に限定されることなく、アルミニウム、銀、銅、金、および、これらの合金等を用いることができる。ここでこのように可視光域の電磁波の最短波長以下の間隔で微小突起又は微細穴を密接配置した微細凹凸形状面に、厚み10nm以上50nm以下により配置した金属薄膜12Aは、紫外線に対する反射率が高く、これにより紫外線に対して遮光率が高い特徴がある。またさらに波長2000nm以下780nm以上の赤外線域においては、透過率が高い特徴がある。なお金属薄膜は、蒸着、スパッタリング等により作製することができる。
このように金属薄膜12Aを作製することにより、第1の賦型用金型は、金属薄膜12Aを作製しない場合に比して、凹凸面層12の機械的強度も向上することができる。またこの種の賦型処理では、剥離に要する力を低減する目的で、界面活性剤等による離型剤を設ける場合があるものの、このように金属薄膜12Aを設けた場合には、この離型剤を金属薄膜12Aの表面に留めおくことができ、これにより離形性を向上することができる。
これによりこの実施形態では、このようして作製した第1の賦型用金型30を使用して第2の賦型用金型を多数作製する場合に、第1の賦型用金型30における凹凸面層12の、第2の賦型用金型を作製する際の紫外線の照射による損傷を充分に低減し、賦型用金型30を長寿命化する。また必要に応じて、この第2の賦型用金型を作製する際の紫外線硬化性樹脂の硬化時、第1の賦型用金型30を透過するようにして赤外線を照射し、第2の賦型用金型における賦型樹脂層の硬化を促進させる。
すなわちこの実施形態では、このようして金属薄膜12Aを作製して第1の賦型用金型30を作製すると、続く第2賦型用金型作製工程SP4の塗工工程SP4−1において、図9(A)に示すように、紫外線硬化性樹脂を塗工して賦型樹脂層23を作製し、さらに第2の賦型用金型に係る凹凸面層用基材24を配置する。さらに続く半硬化工程SP4−2において、紫外線の照射により賦型樹脂層23を半硬化させる。
この半硬化の際に、図9(B)に示すように、この実施形態では、凹凸面層用基材24に紫外線に対して透明なフィルム材を適用して、凹凸面層用基材24の側から紫外線(UV)を照射し、これにより賦型樹脂層23を効率良く硬化させる。またこのようにして照射して賦型樹脂層23を透過して第1の賦型用金型30の表面に到来する紫外線を、金属薄膜12Aにより遮光し、これにより第1の賦型用金型30における凹凸面層12の損傷を有効に回避する。
また第1の賦型用金型30の側に赤外線(IR)の照射源を配置し、第1の賦型用金型30を透過させて第2の賦型用金型に係る賦型樹脂層23に赤外線(IR)を照射し、これにより賦型樹脂層23の硬化を促進させる。
このようにして賦型樹脂層23を半硬化させることにより、この工程は、第2の賦型用金型に係る凹凸面層25を作製する。この工程は、続く剥離工程S4−3において、凹凸面層25を凹凸面層用基材24と一体に剥離した後、第1の実施形態について上述した積層工程SP3−4、本硬化工程SP3−5と同様にして処理することにより第2の賦型用金型を作製する。
この実施形態によれば、原版から第1の賦型用金型、第2の賦型用金型を順次作製して反射防止物品を作製する場合にあっても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
また金属薄膜の作製により第2の賦型用金型の作製に供する第1の賦型用金型を長寿命化することができる。なお金属薄膜は、第2の賦型用金型に設けるようにしてもよい。
〔他の実施形態〕
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態の構成を種々に変更することができる。
以上、本発明の実施に好適な具体的な構成を詳述したが、本発明は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述の実施形態の構成を種々に変更することができる。
すなわち上述の実施形態では、陽極酸化処理とエッチング処理との繰り返しにより作製した原版を使用して、多数の賦型用金型を作製する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、賦型用金型により作製した反射防止物品を原版として使用して賦型用金型を作製する場合にも広く適用することができる。
また上述の実施形態では、陽極酸化処理とエッチング処理との繰り返しにより原版を作製する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばフォトリソグラフィの手法により作製した微小突起又は微細穴の密接配置による原版を使用して、この原版から多数の賦型用金型を作製する場合等にも広く適用することができる。
また上述の実施形態では、紫外線硬化性樹脂を使用して賦型処理する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えば熱硬化性樹脂を使用する場合等、種々の硬化性樹脂を使用して賦型処理する場合に広く適用することができる。
また上述の実施形態では、賦型対象の片面にモスアイ構造に係る微細凹凸形状を作製する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、賦型対象を間に挟んで一対の賦型用金型を対向するように保持して賦型対象の両面に微細凹凸形状を同時に作製する場合、さらには1方の面に微細凹凸形状を賦型処理により作製した後、他方の面に微細凹凸形状を賦型処理により作製することにより、賦型対象の両面に微細凹凸形状を順次作製する場合等にも広く適用することができる。
また上述の実施形態では、賦型対象にモスアイ構造に係る微細凹凸形状を作製する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、上述の実施形態に係る賦型用金型を、射出成形、ポッティング等の成形用の金型に利用して、モスアイ構造に係る微細凹凸形状と一体に賦型対象を作製する場合にも広く適用することができる。
1 反射防止物品
1A レンズ面
2 反射防止層
2A、5、22、23 賦型樹脂層
3 微細穴
4 レンズ本体
4A 接続部
6 レンズシート
10、30 賦型用金型
11、23 基材
12、25 凹凸面層
12A 金属薄膜
13、24 凹凸面用基材
21 原版
1A レンズ面
2 反射防止層
2A、5、22、23 賦型樹脂層
3 微細穴
4 レンズ本体
4A 接続部
6 レンズシート
10、30 賦型用金型
11、23 基材
12、25 凹凸面層
12A 金属薄膜
13、24 凹凸面用基材
21 原版
Claims (5)
- 反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長以下の間隔で微小突起又は微細穴を密接配置した微細凹凸形状を備えた反射防止物品の製造方法において、
前記反射防止物品の微細凹凸形状に対応する微細凹凸形状を備えた原版に、賦型樹脂層を作製する塗工工程と、
前記賦型樹脂層を半硬化させて微細凹凸形状を備えた凹凸面層を作製する半硬化工程と、
前記凹凸面層を前記原版から剥離する剥離工程と、
前記剥離工程で剥離した前記凹凸面層を、賦型用金型の基材に積層する積層工程と、
前記積層工程で積層した前記凹凸面層を硬化させて賦型用金型を作製する本硬化工程と、
前記賦型用金型を使用した賦型処理により前記反射防止物品を作製する賦型工程とを備える
反射防止物品の製造方法。 - 反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長以下の間隔で微小突起又は微細穴を密接配置した微細凹凸形状を備えた反射防止物品の製造方法において、
前記反射防止物品の微細凹凸形状に対応する微細凹凸形状を備えた原版から第1の賦型用金型を作製する第1の賦型用金型作製工程と、
前記第1の賦型用金型から第2の賦型用金型を作製する第2の賦型用金型作製工程と、
前記第2の賦型用金型を使用した賦型処理により前記反射防止物品を作製する賦型工程とを備え、
前記第1の賦型用金型作製工程は、
前記原版に、賦型樹脂層を作製する塗工工程と、
前記賦型樹脂層を半硬化させて微細凹凸形状を備えた凹凸面層を作製する半硬化工程と、
前記凹凸面層を前記原版から剥離する剥離工程と、
前記剥離工程で剥離した前記凹凸面層を、賦型用金型の基材に積層する積層工程と、
前記積層工程で積層した前記凹凸面層を硬化させて前記第1の賦型用金型を作製する本硬化工程とを備える
反射防止物品の製造方法。 - 前記第1の賦型用金型作製工程は、
前記本硬化工程に続いて、前記凹凸面層の表面に金属薄膜を作製する金属薄膜作製工程を備える
請求項2に記載の反射防止物品の製造方法。 - 前記本硬化工程は、
前記反射防止物品に対応する表面形状を備えた押圧部材により前記凹凸面層を変形させた状態で硬化させる
請求項1、請求項2、請求項3の何れかに記載の反射防止物品の製造方法。 - 反射防止を図る電磁波の波長帯域の最短波長以下の間隔で微小突起又は微細穴を密接配置した微細凹凸形状を備えた賦型用金型の製造方法において、
前記微細凹凸形状に対応する形状を備えた原版に、硬化性樹脂を塗工して賦型樹脂層を作製する塗工工程と、
前記賦型樹脂層を半硬化させて凹凸面層を作製する半硬化工程と、
前記凹凸面層を前記原版から剥離する剥離工程と、
前記剥離工程で剥離した前記凹凸面層を、前記賦型用金型の基材に積層する積層工程と、
前記積層工程で積層した前記凹凸面層を硬化させて前記賦型用金型を作製する本硬化工程とを備える
賦型用金型の製造方法。
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JP2016061637A JP2017173690A (ja) | 2016-03-25 | 2016-03-25 | 反射防止物品の製造方法、賦型用金型の製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022264467A1 (ja) * | 2021-06-18 | 2022-12-22 | 日本碍子株式会社 | テラヘルツ装置用部材 |
US12124003B2 (en) | 2021-04-27 | 2024-10-22 | Glint Photonics, Inc. | Method for producing optical article with anti-reflective surface, and optical article with anti-reflective surface |
-
2016
- 2016-03-25 JP JP2016061637A patent/JP2017173690A/ja active Pending
Cited By (3)
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JP7220333B1 (ja) * | 2021-06-18 | 2023-02-09 | 日本碍子株式会社 | テラヘルツ装置用部材 |
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