JP2017173671A - 感光性樹脂組成物、フォトスペーサーの製造方法、液晶表示装置の製造方法 - Google Patents

感光性樹脂組成物、フォトスペーサーの製造方法、液晶表示装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】レンズスキャン方式で露光した場合においても形成されるフォトスペーサーの高さのばらつきが生じにくい、感光性樹脂組成物フォトスペーサーの製造方法、液晶表示装置の製造方法を提供する。
【解決手段】液晶表示装置に用いられるフォトスペーサー用感光性樹脂組成物であって、前記感光性樹脂組成物が溶剤または微粒子を含有する場合には溶剤および微粒子を除いた、組成物のエチレン性不飽和基当量が100〜155であり、前記感光性樹脂組成物の乾燥後の26℃における粘度が、1×10〜1×10Pa・sであることを特徴とする、感光性樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、感光性樹脂組成物、フォトスペーサーの製造方法、液晶表示装置の製造方法に関する。
液晶表示装置は軽量、薄型、低消費電力等の特性を活かし、ノートパソコン、携帯情報端末、スマートフォン、デジタルカメラ及びデスクトップモニタ等の様々な用途で使用されている。
液晶表示装置は、カラーフィルター基板とTFT(Thin Film Transistor)基板との間に、所定の配向により画像表示を可能とする液晶層を備えており、これらの基板の間隔(セルギャップ)を均一に保つことは、画質を左右する重要な要素の一つである。
従来は、セルギャップを均一に保つために、所定の粒子径を有するガラス又はアルミナ等のスペーサー粒子が使用されていたが、これらスペーサー粒子は基板上にランダムに散布されるため、表示領域にスペーサー粒子が混入すると、スペーサー粒子の写りこみや、入射光の散乱によるコントラストの低下等の問題が生じるものであった。
これらの問題を解消すべく、基板上の非表示領域にのみ柱状等のフォトスペーサーを形成する方法(特許文献1)が開発されている。しかし、柱状等のフォトスペーサーは、カラーフィルターとTFTアレイ基板との組み立て(セル圧着)時に塑性変形し、所定距離のセルギャップを均一に維持できなくなって表示ムラが生じる等の問題があった。そのような塑性変形を防止する方法としては、フォトスペーサーを形成する樹脂の架橋密度を高めて、高復元率化する方法がある。具体的には、フォトスペーサーの原料となる感光性樹脂組成物において、光もしくは熱により硬化反応を進行させる、官能基数の多いモノマー量を増大させる方法(特許文献2)、又は、さらに感光性樹脂のアクリル当量を低減させ、感光性樹脂組成物全体のアクリル当量を200以下にすること(特許文献3)で、高架橋密度のフォトスペーサーを形成することが提案されている。
一方で、面取り数を増やして歩留まりを向上させるために、マザーガラス基板の大型化が進んでおり、大型のフォトマスクを用いることなく、フォトマスク等を随時移動させて広範囲を露光する、スキャン露光なる方法も生み出されている(特許文献4)。
特に複数のレンズを二列に並べるレンズスキャン方式の露光では、通常部よりも露光量が低くなるレンズとレンズとの継目の部分において、2回の露光で通常部と同一露光量になるように設計がされており、広範囲の焼付けが可能となっている。
特開平11−174464号公報 特開2003−241199号公報 特開2005−292269号公報 特開2006−292955号公報
しかしながら、モノマーを多量に含有する感光性樹脂組成物の塗布膜は乾燥後であっても流動性が高く、生産工程において膜厚ムラが生じ、その結果としてフォトスペーサーの高さにばらつきが生じることから、多官能のモノマー量の増大は、最終製品である液晶表示装置の表示ムラ等の問題を解消し切れないものであった。
また、モノマーを多量に含有する感光性樹脂組成物をレンズスキャン方式で露光した場合には、レンズとレンズとの継目の部分で形成されるフォトスペーサーの高さのばらつきが大きくなることから、液晶表示装置の表示ムラをさらに悪化させかねないことが指摘されていた。
そこで本発明は、モノマーを多量に含有する感光性樹脂組成物をレンズスキャン方式で露光した場合においても形成されるフォトスペーサーの高さのばらつきが生じにくい、感光性樹脂組成物フォトスペーサーの製造方法、液晶表示装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討をした結果、感光性樹脂組成物の乾燥後の26℃における粘度が、1×10〜1×10Pa・sである感光性樹脂組成物が、上記課題の解決に極めて有効であることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、液晶表示装置に用いられるフォトスペーサー用感光性樹脂組成物であって、前記感光性樹脂組成物が溶剤またはフィラーを含有する場合には溶剤および微粒子を除いた組成物のエチレン性不飽和基当量が100〜155であり、前記感光性樹脂組成物の乾燥後の26℃における粘度が、1×10〜1×10Pa・sであることを特徴とする。
本発明の感光性樹脂組成物によれば、レンズスキャン方式で露光した場合においても得られるフォトスペーサーの高さにばらつきが生じにくく、さらには形成されたフォトスペーサーは高復元率であるため、表示ムラの問題が顕著に改善された液晶表示装置を製造することが可能となる。
フォトスペーサーの弾性特性評価により作成される、ヒステリシス曲線の一例を示す概略図である。
本発明の感光性樹脂組成物は、溶剤または微粒子を含有する場合には溶剤および微粒子を除いた、組成物のエチレン性不飽和基当量が100〜155であり、前記感光性樹脂組成物の乾燥後の26℃における粘度が、1×10〜1×10Pa・sであることを特徴とする。
ここで乾燥後の粘度とは、オーブンやホットプレートにより、溶剤を揮発させて残る固形分の粘度のことをいう。感光性樹脂組成物の乾燥後の26℃における粘度は、1×10以上であり、1×10以上がより好ましい。乾燥後の粘度が1×10未満であると、感光性樹脂組成物を基板に塗布し、乾燥させた塗布膜の流動性が高く、乾燥工程後の搬送工程や露光工程、加熱乾燥(ポストベイク)工程でムラが生じる原因となる。また、1×10Pa・sを超えると、現像性が悪化する。
本発明の感光性樹脂組成物は、溶剤および微粒子を除いた組成物のエチレン性不飽和基当量が100〜155になる範囲で、エチレン性不飽和結合を有する化合物を含有する。
また、エチレン性不飽和基当量はエチレン性不飽和基1モルに対するグラム数のことをいい、その値が小さい方が、含まれるエチレン性不飽和基の量が多くなる。 溶剤を除く感光性樹脂組成物全体のエチレン性不飽和基当量は、100〜155であり、105〜153がより好ましく、110〜150がさらに好ましい。エチレン性不飽和基当量を100未満にすることは、感光性樹脂組成物を構成するアルカリ可溶性樹脂、あるいは重合性モノマーの設計上困難である。また、155以上であると、架橋が不十分となり、高復元率のフォトスペーサーは得られない。
本発明の感光性樹脂組成物に含まれるアルカリ可溶性樹脂とは、共重合成分として不飽和カルボン酸又はその誘導体を含む樹脂をいう。共重合成分となる不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸若しくはビニル酢酸等のモノカルボン酸又はイタコン酸、マレイン酸若しくはフマル酸等のジカルボン酸あるいはその酸無水物が挙げられる。また不飽和カルボン酸の誘導体としては、例えば、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸nープロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸n−ブチル、アクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、アクリル酸イソ−ブチル、メタクリル酸イソ−ブチル、アクリル酸tert−ブチル、メタクリル酸tert−ブチル、アクリル酸n−ペンチル、メタクリル酸n−ペンチル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート若しくはイソボルニル(メタ)アクリレート等の不飽和カルボン酸アルキルエステル、アミノエチルアクリレート等の不飽和カルボン酸アミノアルキルエステル、グリシジル(メタ)アクリレートなどの不飽和カルボン酸グリシジルエステル又はフタル酸モノ(2−(メタ)アクリロイロキシエチル)等の多価カルボン酸モノエステルが挙げられるが、(メタ)アクリル酸又はその誘導体が共重合成分として含まれることが好ましい。
不飽和カルボン酸又はその誘導体以外の共重合成分としては、現像密着性の向上のため、さらにトリシクロデカン骨格又はジシクロペンタジエン骨格を有するエチレン性不飽和化合物が含まれることがより好ましい。トリシクロデカン骨格又はジシクロペンタジエン骨格を有するエチレン性不飽和化合物としては、例えば、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂は、上記以外のエチレン性不飽和化合物を共重合成分として含んでも構わない。そのようなエチレン性不飽和化合物としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン若しくはα−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物、酢酸ビニル若しくはプロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル若しくはα−クロルアクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物、1,3−ブタジエン若しくはイソプレン等の脂肪族共役ジエン、それぞれの末端にアクリロイル基若しくはメタクリロイル基を有するポリスチレン又はポリメチルアクリレート、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリブチルアクリレート、ポリブチル(メタ)アクリレート若しくはポリシリコーン等のマクロモノマーが挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂は、露光及び現像の際の感度向上のため、側鎖にビニル基、アリル基、アクリル基又はメタクリル基のようなエチレン性不飽和基を有することが好ましい。アルカリ可溶性樹脂の側鎖にエチレン性不飽和基を導入する方法としては、例えば、アルカリ可溶性樹脂が有するカルボキシル基又は水酸基に対し、エポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物又はアクリル酸若しくはメタクリル酸クロライドを付加反応させる方法が挙げられる。ここでエポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物としては、例えば、グリシジル基又は脂環式エポキシ基を有するエチレン性不飽和化合物が挙げられる。より具体的には、グリシジルアクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、α−エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、N−(3,5−ジメチル−4−グリシジル)ベンジルアクリルアミド又は(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレートが挙げられる。ここでエチレン性不飽和基としては、アクリル基又はメタクリル基が好ましい。
アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(以下、「Mw」)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定し、標準ポリスチレンによる検量線を用いて換算したもの)は、8千〜15万が好ましく、2万〜10万がより好ましい。Mwを8千以上とすることで、形成したフォトスペーサーの復元率をより向上させることができる。一方で、Mwを15万以下とすることで、現像性の悪化を防ぐことができる。アルカリ可溶性樹脂の分子量によって、感光性樹脂組成物の乾燥後の粘度の調整が可能である。多くの場合、同じ共重合比のアルカリ可溶性樹脂同士で比較した場合には、分子量が大きい方が乾燥後の粘度は大きくなる。またアルカリ可溶性樹脂の酸価は、適度なアルカリ現像性を得るため、20〜200(mgKOH/g)が好ましく、30〜150(mgKOH/g)がより好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物に含まれる重合性モノマーとしては、例えば、多官能若しくは単官能のアクリル系モノマー又はオリゴマーが挙げられる。多官能のアクリル系モノマーとしては、例えば、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリアクリルホルマール、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、9,9−ビス[4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3−メチル−4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3−クロロ−4−(3−アクリロキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル]フルオレン、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート又はビスフェノキシエタノールフルオレンジメタアクリレートが挙げられる。
重合性モノマーの種類の選択及び組み合わせによって、感光性樹脂組成物の乾燥後の粘度や、露光感度、さらには加工性を適宜調整することが可能である。
本発明の感光性樹脂組成物は、フィラーとして微粒子を含有しても構わない。感光性樹脂組成物がフィラーを含有すると、塗布膜の乾燥後の粘度が上昇し、流動性を抑制することができる。
フィラーとしては、例えば、シリカ、アルミナ、チタニア若しくは硫酸バリウム等の無機酸化物粒子、金属粒子又はアクリル、スチレン、シリコーン若しくはフッ素含有ポリマー等の樹脂粒子が挙げられるが、粒子径と分散性の観点から、シリカ粒子が好ましい。フィラーの粒子径は、比表面積換算の平均粒子径で4〜120nmが好ましい。粒子径が4nm以上であると、フィラーの添加による効果が十分なものとなる。一方で、粒子径が120nm以内であると、フォトスペーサーの形状が良好なものになる。
感光性樹脂組成物の全固形分に対する微粒子の割合は、塗布膜の乾燥後の粘度の流動性の低減と形成するフォトスペーサーの高硬度化のため、5〜60重量%が好ましく、さらに10〜50重量%がより好ましく、15〜45重量%がさらに好ましい。5重量%以上とすることで、乾燥後の流動性の低減を十分なものとすることができ、また、60重量%以下とすることで、樹脂分が不足して加工性や形状の悪化が生じるのを防ぐことができる。
シリカ粒子を含むフォトスペーサーは、アルカリ可溶性樹脂をはじめとする樹脂成分を低減させることができ、形成するフォトスペーサーの硬度を高めることができる。一方で、シリカ粒子の有無による弾性復元率への影響は小さい。
本発明の感光性樹脂組成物は、その感度をさらに高めるため、光重合性開始剤を含有することが好ましい。ここで光重合開始剤とは、光(紫外線又は電子線を含む)により分解及び/又は反応し、ラジカルを発生させる化合物をいう。光重合開始剤としては、例えば、オキシムエステル系化合物、α−アミノアルキルフェノン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、チオキサントン系化合物、イミダゾール系化合物、ベンゾチアゾール系化合物、ベンゾオキサゾール系化合物、トリアジン系化合物、リン系化合物又はチタネート等の無機系光重合開始剤が挙げられるが、中でも、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物が好ましい。
Figure 2017173671
Figure 2017173671
一般式(1)又は(2)で表される化合物以外の光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、N,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソピルチオキサントン又は1−クロロ−4−プロピルチオキサントン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、2−(4−メチル)ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、1−(9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル)、1,2−オクタンジオン,t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール又は4−(p−メトキシフェニル)−2,6−ジ−(トリクロロメチル)−s−トリアジンが挙げられる。上記以外のオキシムエステル系化合物としては、例えば、イルガキュア(登録商標)OXE01(1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−2−(O−ベンゾイルオキシム)])若しくは同OXE02(エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム);いずれもBASF(株)製)、4−(p−メトキシフェニル)−2,6−ジ−(トリクロロメチル)−s−トリアジン又はアデカクルーズNCI−831(旭電化工業(株)製)が挙げられる。
また、本発明の感光性樹脂組成物が芳香族又は脂肪族の第3級アミン等の増感助剤を含有すると、さらに感度が高まるため、好ましい。
感光性樹脂組成物の全固形分に占める光重合開始剤の割合は、2〜30質量%が好ましく、5〜25質量%がより好ましい。ここで全固形分とは、感光性樹脂組成物における、溶媒以外の全成分をいう。
本発明の感光性樹脂組成物は、溶媒を含有しても構わない。溶媒としては、例えば、エステル類、脂肪族アルコール類又はケトン類が挙げられる。
エステル類としては、例えば、酢酸エチル(沸点77℃)、酢酸ブチル(沸点126℃)、酢酸イソペンチル(沸点142℃)、ベンジルアセテート(沸点214℃)、エチルベンゾエート(沸点213℃)、γ−ブチロラクトン(沸点204℃)、メチルベンゾエート(沸点200℃)、マロン酸ジエチル(沸点199℃)、2−エチルヘキシルアセテート(沸点199℃)、2−ブトキシエチルアセテート(沸点192℃)、3−メトキシ−3−メチル−ブチルアセテート(沸点188℃)、シュウ酸ジエチル(沸点185℃)、アセト酢酸エチル(沸点181℃)、シクロヘキシルアセテート(沸点174℃)、3−メトキシ−ブチルアセテート(沸点173℃)、アセト酢酸メチル(沸点172℃)、エチル−3−エトキシプロピオネート(沸点170℃)、2−エチルブチルアセテート(沸点162℃)、イソペンチルプロピオネート(沸点160℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート(沸点160℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点158℃)、酢酸ペンチル(沸点150℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点146℃)又はジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点213℃)が挙げられるが、酢酸エステル系又はプロピオン酸エステル系の溶媒である、3−メトキシ−3−メチル−ブチルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(以下、「PGMEA」)、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート、3−メトキシ−ブチルアセテート又はプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好ましい。
脂肪族アルコール類としては、例えば、ブタノール(沸点118℃)、3−メチル−2−ブタノール(沸点112℃)又は3−メトキシ−1−ブタノール(沸点158℃)、3−メチル−3−メトキシブタノール(沸点174℃)が挙げられる。
ケトン類としては、例えば、シクロペンタノン又はシクロヘキサノンが挙げられる。
上記以外の溶媒としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点120℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテル(沸点133℃)、プロピレングリコールターシャリーブチルエーテル(沸点153℃)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(沸点176℃)若しくはジプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点188℃)等の脂肪族エーテル類、エチルベンゼン(沸点136℃)又はソルベントナフサ(石油留分:沸点165〜178℃)が挙げられる。
基板の大型化に伴い、ダイコーティング装置による塗布が主流になってきているところ、適度な揮発性及び乾燥性を実現するため、溶媒は2成分以上の混合溶媒が好ましく、沸点が150〜200℃の溶媒を30〜75質量%含有する混合溶媒がより好ましく、3−メトキシ−3−メチル−ブチルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート及び3−メトキシ−ブチルアセテートからなる群から選ばれるエステル類を30〜75質量%含有する混合溶媒がさらに好ましい。混合溶媒は沸点が150℃未満の溶媒を多く含むと、塗布膜厚が不均一となる、塗布終了部の膜厚が厚くなる、塗布膜にスジが発生するといった多くの問題が生じる場合がある。一方で、混合溶媒が沸点200℃を超える溶媒を多く含むと、塗布膜表面の粘着性が増して、スティッキングを生じる場合がある。
本発明の感光性樹脂組成物は、透明性が高く、かつ微細でテーパーの短いフォトスペーサーを形成するため、有機化合物系紫外線吸収剤を含有しても構わない。透明性及び非着色性に優れる有機化合物系紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物又はトリアジン系化合物が挙げられるが、ベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、例えば、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−p−クレゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−6−ビス(1−メチル−1−フェニルエチル)フェノール、2−[5クロロ(2H)−ベンゾトリアゾール−2−イル]−4−メチル−6−(tert−ブチルフェノール)、2,4ジ−tert−ブチル−6−(5−クロロベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4,6−tert−ペンチルフェノール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、2(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−ドデシル−4−メチルフェノール又は2[2−ヒドロキシ−3−(3,4,5,6テトラヒドロフタルイミド−メチル)−5−メチルフェニル]ベンゾトリアゾールが挙げられる。
ベンゾフェノン系化合物としては、例えば、オクタベンゾン又は2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノンが挙げられる。
トリアジン系化合物としては、例えば、2−(4,6−ジフェニル−1,3,5トリアジン−2−イル)−5−[(ヘキシル)オキシ]−フェノールが挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂及び重合性化合物に対する、有機化合物系紫外線吸収剤の割合は、0.3〜10質量%が好ましく、2.0〜8.0質量%がより好ましい。有機化合物系紫外線吸収剤を0.3質量%以上とすることで、テーパー部を十分に短くすることができる。一方で、有機化合物系紫外線吸収剤を10質量%以下とすることで、感度の低下を防ぐことができる。
本発明の感光性樹脂組成物は、その他の添加剤を含有しても構わない。その他の添加剤としては、例えば、アルカリ可溶性樹脂以外の高分子化合物、密着改良剤、界面活性剤、重合禁止剤、有機酸、有機アミノ化合物又は硬化剤が挙げられる。
密着改良剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン又は3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。
全固形分に占める密着改良剤の割合は、アルカリ可溶性樹脂や重合性化合物の凝集を抑制しながら現像密着性を確保するため、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がより好ましい。なお、ここでいう固形分とは、感光性樹脂組成物に含まれる溶媒を除くその他の成分をいう。固形分の質量は、感光性樹脂組成物を常圧又は減圧下、40〜200℃で10分〜24時間(例えば、150℃で60分間)加熱して溶媒を気化させることで、その測定が可能となる。
界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸アンモニウム若しくはポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン等の陰イオン界面活性剤、ステアリルアミンアセテート若しくはラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等の陽イオン界面活性剤、ラウリルジメチルアミンオキサイド若しくはラウリルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリウムベタイン等の両性界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル若しくはソルビタンモノステアレート等の非イオン界面活性剤、フッ素系界面活性剤又はシリコン系界面活性剤が挙げられる。
全固形分に占める界面活性剤の割合は、感光性樹脂組成物の塗布性を適度なものとしつつフォトスペーサーの表面均一性を向上させるため、0.001〜10質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。
重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン系又はカテコール系の重合禁止剤が挙げられる。ヒドロキノン系の重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ヒドロキノン又は2,5−ビス(1,1−ジメチルブチル)ヒドロキノンが挙げられ、カテコール系の重合禁止剤としては、例えば、カテコール又はtert−ブチルカテコールが挙げられる。
全固形分に占める重合禁止剤の割合は、0.1〜0.5質量%が好ましい。重合禁止剤の割合を0.1質量%以上とすることで、フォトスペーサーの太りを軽減する効果を得ることができる。一方で、重合禁止剤の割合を0.5質量%以下とすることで、極性溶媒浸漬時に感度の低下により膜表面が浸食されシミが発生するのを防ぐことができる。
アルカリ可溶性樹脂以外の高分子化合物としては、例えば、アクリル樹脂、アルキド樹脂、メラミン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリエーテル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド又はポリイミド前駆体が挙げられる。
次に、本発明の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、露光及び現像することで形成されたフォトスペーサーの製造方法、及び、そのフォトスペーサーを有するカラーフィルター基板、あるいはTFT基板を用いる液晶表示装置の製造方法について説明する。
本発明のフォトスペーサーを有するカラーフィルターの構成要素である基板としては、例えば、ガラス又は高分子フィルム等の透明基板が挙げられる。
カラーフィルターの画素のパターン形状としては、例えば、ストライプ状又はアイランド状が挙げられる。カラーフィルターの画素の形成方法としては、例えば、フォトリソグラフィー法、印刷法又は電着法が挙げられる。
例えばフォトリソグラフィー法による画素の形成では、まず透明基板上にブラックマトリックスを格子状に形成し、その格子により区画された開口部に、赤、緑及び青の各画素をそれぞれ形成する。その後、必要に応じてオーバーコートを製膜し、さらに必要に応じて透明電極を形成する。そこに本発明の感光性樹脂組成物を塗布し、乾燥及びマスクを介した露光をして露光部分を硬化させ、最後にアルカリ溶液で現像することで、フォトスペーサーのパターニングを行うことができる。露光の方式としては、例えば、プロキシミティ露光又はレンズスキャン露光が挙げられる。レンズスキャン露光装置として、例えば、FX−65S((株)ニコン製)が挙げられる。
フォトスペーサーは、非表示領域すなわちブラックマトリックスの上方に形成されることが好ましい。なお、駆動素子側基板にフォトスペーサーを形成する場合においては、駆動素子側基板上のブラックマトリックスの上方にフォトスペーサーを形成しても構わないし、貼り合わせるカラーフィルターのブラックマトリックスの対面基板上に直接フォトスペーサーを形成しても構わない。
本発明のフォトスペーサーの弾性復元率は、65%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。弾性復元率を65%以上とすることで、塑性変形による表示ムラを防ぐことができる。また、100%であればフォトスペーサーの変形によるセルギャップへの影響はなく、表示ムラは生じない。弾性復元率は、図1にその一例を示すような、フォトスペーサーに加えた荷重と、フォトスペーサーの変形量とのヒステリシス曲線が得られる。このとき、総変形量Ha、塑性変形量Hb及び弾性変形量Hcを求め、フォトスペーサーの弾性復元率((Hc/Ha)×100)を算出した。
液晶表示装置としては、例えば、本発明のカラーフィルターと、該カラーフィルターに対向して配置される駆動素子側基板と、該カラーフィルター及び該駆動素子側基板上にそれぞれ設けられた液晶配向膜と、これらの液晶配向膜間の間隔すなわちセルギャップを均一に保つフォトスペーサーと、該空間内に充填された液晶と、を具備する。液晶配向膜には、液晶配向のためのラビング処理が施されている。
カラーフィルターと、駆動素子側基板とを対向させて、フォトスペーサーを介して貼り合わせ、シール部に設けられた注入口から液晶を注入してから注入口を封止し、最後にICドライバー等を実装することで、液晶表示装置を作製することができる。なお、駆動素子側基板上に走査線や信号線に加えて薄膜トランジスタ(TFT)素子又は薄膜ダイオード(TFD)素子を設けることで、TFT液晶表示装置又はTFD液晶表示装置を作製することもできる。
以下に本発明をその実施例及び比較例を挙げて詳細に説明するが、本発明の態様はこれらに限定されるものではない。
(樹脂ブラックマトリックス付基板の作製)
無アルカリガラス基板(OA−10;日本電気硝子(株)製;50mm×70mm、厚さ0.7mm)の表面上に、公知の方法によりポリイミド樹脂及びカーボンブラックからなる1.0μm厚の樹脂ブラックマトリクスを形成し、樹脂ブラックマトリックス付基板を作製した。
(保護膜付基板の作製)
作製した樹脂ブラックマトリックス付基板を、UV/オゾン装置(SSP16−110;セン特殊光源(株)製)を用いて60秒間の露光により洗浄処理し、保護膜材(NN901;JSR製)をスピンコート法により塗布して乾燥して、2.0μm厚の透明保護層を形成した。これを90℃で10分間加熱乾燥(プリベイク)し、飽和露光量に達するまで紫外線を照射して露光した。次に、0.1質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム(以下、「TMAH」)と、0.3質量%のエマルゲン A−60(以下、「A−60」;花王(株)製)とをそれぞれ含む23℃の水溶液でシャワー現像し、さらに水洗して未露光の塗布膜を洗い流してから、230℃で30分間加熱乾燥(ポストベイク)をして、保護膜付基板を作製した。
(アルカリ可溶性樹脂1の合成)
84gのメタクリル酸、1.8gのベンジルメタクリレート、2.2gのトリシクロデカニルメタクリレート、3gの2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)及び220gのPGMEAを重合容器中に仕込み、窒素雰囲気下で90℃にて2時間撹拌してから液温を100℃に上げ、さらに5時間反応させた。次に、空気置換し、得られた反応溶液に97gのメタクリル酸グリシジル、1.2gのジメチルベンジルアミン及び0.2gのp−メトキシフェノールを添加して110℃で6時間撹拌し、反応終了時に50gのPGMEAを添加して、アルカリ可溶性樹脂1の溶液を得た(固形分40質量%、Mw23000、エチレン性不飽和基当量250)。
(アルカリ可溶性樹脂2の合成)
33gのメタクリル酸メチル、33gのスチレン、34gのメタクリル酸、3gの2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)及び140gのPGMEAを重合容器中に仕込み、窒素雰囲気下で90℃にて2時間撹拌してから液温を100℃に上げ、さらに1時間反応させた。次に、空気置換し、得られた反応溶液に20gのメタクリル酸グリシジル、1.2gのジメチルベンジルアミン及び0.2gのp−メトキシフェノールを添加して90℃で4時間撹拌し、反応終了時に30gのPGMEAを添加して、アルカリ可溶性樹脂2の溶液を得た。(固形分45質量%、Mw21000、エチレン性不飽和基当量570)。
(アルカリ可溶性樹脂3の合成)
84gのメタクリル酸、1.8gのベンジルメタクリレート、2.2gのトリシクロデカニルメタクリレート、3.6gの2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)及び180gのPGMEAを重合容器中に仕込み、窒素雰囲気下で90℃にて2時間撹拌してから液温を100℃に上げ、さらに5時間反応させた。次に、空気置換し、得られた反応溶液に97gのメタクリル酸グリシジル、1.2gのジメチルベンジルアミン及び0.2gのp−メトキシフェノールを添加して110℃で6時間撹拌し、反応終了時に100gのPGMEAを添加して、アルカリ可溶性樹脂3の溶液を得た。(固形分40質量%、Mw10000、エチレン性不飽和基当量250)。
(感光性樹脂組成物1の調製)
下記分量の各材料を室温で撹拌及び混合し、感光性樹脂組成物1を得た。
アルカリ可溶性樹脂1:7.12質量部
ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(KAYARAD DPHA;日本化薬;以下、「DPHA」)(エチレン性不飽和基当量100):4.28質量部
シリカ粒子(PMA−ST;日産化学工業(株)製:5.94質量部
上記一般式(1)の化合物:0.18質量部
上記一般式(2)の化合物:0.45質量部
2,4−ジエチルチオキサントン(KAYACURE DETX−S;日本化薬(株)製;以下、「DETX」):0.45質量部
メガファック(登録商標)R−08(大日本化学工業(株)製;以下、「R−08」):0.02質量部
2,5−ビス(1,1,3,3−テトラメチルブチル)ヒドロキノン(和光純薬工業(株)製;以下、「DOHQ」):0.01質量部
PGMEA:31.56質量部
(感光性樹脂組成物2〜9の調製)
表1記載の分量の各材料を室温で撹拌及び混合し、感光性樹脂組成物2〜9をそれぞれ得た。
なお、表1における「ACA(Z251)」とは、サイクロマーP ACA(Z−251)(Z251;ダイセル・オルネクス(株)製)をいい、そのエチレン性不飽和基当量は380である。また、「M520」とは、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及びジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物と無水コハク酸との反応物(M520;東亞合成(株)製)をいい、そのエチレン性不飽和基当量を104、「V#802」とは、トリペンタエリスリトールオクタアクリレートを主成分とする混合物(V#802;大阪有機化学工業(株)製)をいい、そのエチレン性不飽和基当量を101とした。
Figure 2017173671
(実施例1)
<乾燥後の粘度評価>
感光性樹脂組成物1をアルミカップに入れ、105℃のオーブン(PERFECTOVEN PV−210;ダバイエスペック(株)製)で2時間乾燥して溶剤を除去し、厚み0.5mmでセットした加熱残分について、φ15mmのプレートを用いて、周波数1Hz、歪み0.5%、25℃から0.083℃/secで昇温したときの26℃における粘度をレオメーター(MCR−302;アントンパール(株)製)により測定した。
なお、オーブンにおける乾燥温度や時間は、上述に限らず、感光性樹脂組成物が含有する溶剤の種類により適宜変更することができるが、その際、加熱残分の重量が感光性樹脂組成物の固形分から計算される重量の5%以内となることを条件とする。
<フォトスペーサーの弾性特性評価>
保護膜付基板を、UV/オゾン装置を用いて60秒間の露光により洗浄処理し、感光性樹脂組成物1をスピンコーター(1HD2型;ミカサ(株)製)を用いて塗布した。これを105℃のオーブン(PERFECTOVEN PV−210;ダバイエスペック(株)製)内で10分間加熱乾燥(プリベイク)し、3.00μm厚の塗布膜を形成した。次に、この基板を室温まで冷却し、ガラス製UVフィルター(UV−35;旭テクノガラス(株)製)を取り付けた紫外線露光機(PEM−6M;ユニオン光学(株)製;コリメーションアングルθ=2°、i線(365nm)照度=30mW/cm)を用いてネガフォトマスク(○(丸型)パターン設計Φが7及び10μmのもの;HOYA(株)製)を介して、i線:365nm、h線:405nm及びg線:436nmの各波長を含む紫外線を照射光として24mJ/cmの露光量(i線換算)で露光した。
次に、0.3質量%のTMAHと、0.3質量%のA−60とをそれぞれ含む23℃の水溶液を現像液として、自動現像装置(AD−2000;ミカサ(株)製)でシャワー現像し、さらに水洗して風乾した。最後に、230℃のオーブン内で30分間加熱乾燥(ポストベイク)をして、設計Φが異なる○(丸型)パターンフォトスペーサーをそれぞれ形成した。
形成した○(丸型)パターンフォトスペーサーを設計Φの1サイズ当たり5箇所ずつ、フィッシャー(Fischerscope H100;Helmut Fischer GmbH & Co社製)を用いて弾性特性を評価した。
より具体的には、φ50μmの平型圧子を用い、設計Φが7μmの○(丸型)パターンフォトスペーサーに、速度2.5mN/secで荷重50mNに到達するまで圧力を加えた後、速度2.5mN/secで開放した。このときのヒステリシス曲線から、総変形量Ha、塑性変形量Hb及び弾性変形量Hcを求め、フォトスペーサーの弾性復元率((Hc/Ha)×100)を算出した。さらに、設計Φが10μmの○(丸型)パターンについても同様に弾性復元率を算出し、圧力との関係からφ6μmにおける弾性復元率を算出し、以下の基準に基づきフォトスペーサーの復元率を評価した。評価結果を表2に示す。
×:φ6μmにおける弾性復元率が65%未満
○:φ6μmにおける弾性復元率が65%以上
◎:φ6μmにおける弾性復元率が70%以上
<フォトスペーサーのスキャンムラ評価>
保護膜付基板を、UV/オゾン装置を用いて所定の露光量で洗浄処理し、感光性樹脂組成物1をスピンコーターを用いて塗布した。これを105℃のオーブン内で10分間加熱乾燥(プリベイク)し、3.00μm厚の塗布膜を形成した。次に、この基板を室温まで冷却し、マルチレンズスキャンシステムを用いてネガフォトマスク(○(丸型)パターン設計Φが10μmのもの)を介して露光をした。
次に自動現像装置でシャワー現像し、さらに水洗して風乾した。最後に、230℃のオーブン内で30分間加熱乾燥(ポストベイク)をして、○(丸型)パターンフォトスペーサーを形成した。
形成したフォトスペーサーのうち、レンズとレンズとの継目の部分に該当する基板面内20mm角の範囲において、基板面内で複数のレンズが二列に並ぶのと直行する方向に一定の間隔で20個のフォトスペーサーの高さのばらつき(最大高さ−最小高さ)を段差測定器で測定し、以下の基準に基づきフォトスペーサーのスキャンムラを評価した。
×:フォトスペーサーの高さのばらつきが0.03μm以上。
○:フォトスペーサーの高さのばらつきが0.02μm以上0.03μm未満。
◎:フォトスペーサーの高さのばらつきが0.02μm未満。
(実施例2〜7及び比較例1〜2)
表2記載の感光性樹脂組成物を用い、実施例1と同様の評価をした。評価結果を表2に示す。
Figure 2017173671
本発明の感光性樹脂組成物は、液晶表示装置のフォトスペーサーを形成するための材料として好適に用いられる。

Claims (6)

  1. 液晶表示装置に用いられるフォトスペーサー用感光性樹脂組成物であって、前記感光性樹脂組成物が溶剤または微粒子を含有する場合には溶剤および微粒子を除いた、組成物のエチレン性不飽和基当量が100〜155であり、前記感光性樹脂組成物の乾燥後の26℃における粘度が、1×10〜1×10Pa・sであることを特徴とする、感光性樹脂組成物。
  2. さらに平均粒子径が4〜120nmの微粒子を含有することを特徴とする、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 上面の直径が6μm、高さが3μmのフォトスペーサーとし、50mNの荷重をかけたときの弾性復元率が65%以上を示すことを特徴とする、請求項1又は2のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、露光及び現像することでフォトスペーサーを形成する、フォトスペーサーの製造方法。
  5. 前記露光が、レンズスキャン方式の露光であることを特徴とする、請求項4に記載のフォトスペーサーの製造方法。
  6. 請求項5、又は6に記載の製造方法で形成されたフォトスペーサーを有するカラーフィルター、あるいは駆動素子側基板を用いる、液晶表示装置の製造方法。
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