JP2017173554A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の静電荷像現像用トナーは、トナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、前記トナー粒子が、結着樹脂として結晶性樹脂と、ブラックの着色剤と、を含有し、前記静電荷像現像用トナーにより、ガラス上に付着量が6.5g/m2のトナー層を形成し、前記トナー層の表面との距離が100μmの位置から185℃の熱を5秒間加えたときの前記トナー層の690nmの波長の光の透過率が、1〜3%の範囲内にあることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
このような低温定着性の向上に加えて、トナー画像の高画質化も求められている。特に、繊維径が太い針葉樹を原料とする用紙のように、用紙面内の地合いと呼ばれる厚さムラが大きい用紙は、トナー画像の濃度ムラが発生しやすく、画質の向上が求められている。
また、上記特許文献1に記載のトナーの粘弾性を測定するときの状況が、定着時に加熱されてトナーが溶融するときの状況とは異なるため、実際に濃度ムラを抑えるようにトナーが溶融するかどうかは不明である。
1.トナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、
前記トナー粒子が、結着樹脂として結晶性樹脂と、ブラックの着色剤と、を含有し、
前記静電荷像現像用トナーにより、ガラス上に付着量が6.5g/m2のトナー層を形成し、前記トナー層の表面との距離が100μmの位置から185℃の熱を5秒間加えたときの前記トナー層の690nmの波長の光の透過率が、1〜3%の範囲内にあることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
前記非晶部の重量平均分子量が、10000〜40000の範囲内にあることを特徴とする第7項に記載の静電荷像現像用トナー。
前記トナー粒子中の前記金属元素の含有量が、0.05〜0.25質量%の範囲内にあることを特徴とする第1項から第9項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
前記トナー粒子中の前記スチレン−アクリル樹脂の含有量が、5質量%以上であることを特徴とする第1項から第11項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
トナーは加熱によって融け広がり、トナー層が薄くなるとともに、膜化が進みトナー粒子間の境界がなくなると、トナー層の光の透過率が高くなることから、上記加熱条件下でのトナー層の光の透過率は、透過率が高いほどトナーが溶融しやすいことを表している。光の透過率が上記範囲内にあるトナーは、用紙の凸部ではトナー層の過剰な溶融を抑え、用紙の凹部ではトナー層が溶融して膜化が進むように、トナーの溶融性が調整されている。すなわち、上記加熱条件下でトナー層の光の透過率が3%以下のトナーは、定着時に定着部材に当接して、大きな熱及び圧力が加わる用紙の凸部でトナーが過剰に溶融して凹部へ流れ込むことを抑えて、凸部と凹部のトナー層の厚さを均一化することにより、濃度ムラを減らせることができると推察される。また、光の透過率が1%以上のトナーは、定着部材に当接せず、加えられる熱及び圧力が小さい用紙の凹部でもトナーが溶融して膜化するため、優れた低温定着性が得られると推察される。
なお、本願において、「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
本発明の静電荷像現像用トナーは、トナー粒子を含有している。トナー粒子は、結着樹脂として結晶性樹脂と、ブラックの着色剤と、を含有している。
また、本発明の静電荷像現像用トナーは、静電荷像現像用トナーにより、ガラス上に付着量が6.5g/m2のトナー層を形成し、このトナー層の表面との距離が100μmの位置から185℃の熱を5秒間加えたときのトナー層の690nmの波長の光の透過率が、1〜3%の範囲内にある。
トナー層の透過率を3%以下とすることにより、定着部材が当接し、大きな熱や圧力が加わる用紙の凸部においてトナーの溶融を抑えるように、トナーの溶融性を調整することができる。凸部で過剰に溶融したトナーの凹部へ流れ込みを抑えて、凸部と凹部のトナー層の厚さの均一化を図ることができ、トナー画像の濃度ムラを減らすことができる。
また、トナー層の透過率を1%以上とすることにより、定着部材が当接せずに、加わる熱や圧力が小さい用紙の凹部においてトナー層が溶融しやすくなるように、トナーの溶融性を調整することができる。凹部での溶融したトナー層の膜化を進めて、トナーの低温定着性を向上させることができる。
トナー粒子は、結着樹脂として、結晶性樹脂とともにブロックポリマー、非晶性樹脂等の他の樹脂も含有することができる。結晶性樹脂は結晶性を示す樹脂であり、結晶性を示すとは、示差走査熱量測定(DSC:Differential Scanning Calorimetry)により得られる吸熱曲線において、融点すなわち昇温時に明確な吸熱ピークを有することをいう。明確な吸熱ピークとは、10℃/minの昇温速度で昇温したときの吸熱曲線において半値幅が15℃以内のピークをいう。非晶性樹脂は非晶性を示す樹脂であり、非晶性を示すとは、上述した吸熱曲線において融点すなわち昇温時に明確な吸熱ピークを有しないことをいう。
耐熱性及び低温定着性を両立する観点からは、トナー粒子は、耐熱性に優れた非晶性樹脂をマトリクスとして、マトリクス中に低温定着性を付与する結晶性樹脂をドメインとして分散させた、マトリクス・ドメイン構造を有することが好ましい。
なお、ピークトップ分子量(Mp)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC:Gel Permeation Chromatography)により測定して得られる樹脂の分子量分布において、ピーク面積が最大の極大ピークのピークトップに対応する分子量をいう。
ピークトップ分子量(Mp)が上記範囲内にあれば、上記加熱条件下におけるトナー層の光の透過率が1〜3%の範囲内となるように、トナーの溶融性を調整することができる。
樹脂のピークトップ分子量(Mp)は、結着樹脂として使用する各樹脂の組成を選択する、後述するブロックポリマーを使用する、結着樹脂を合成する際に使用する重合開始剤や連鎖移動剤の含有量を調整する等の方法により調整することができる。
試料(トナー)を濃度1mg/mLとなるようにテトラヒドロフラン(THF)中に添加し、40℃において超音波分散機を用いて15分間分散処理した後、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して、試料液を調製する。GPC装置HLC−8220(東ソー社製)及びカラムTSKguardcolumn+TSKgelSuperHZ-M3連(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフランを流速0.2mL/minで流す。キャリア溶媒とともに、調製した試料液10μLをGPC装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて試料を検出し、単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて、試料の分子量分布を算出する。検量線は、分子量がそれぞれ6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106である10点のポリスチレン標準粒子(Pressure Chemical社製)を測定することにより、作成する。
トナー粒子は、より優れた低温定着性を得る観点から、結晶性樹脂として結晶性ポリエステル樹脂を含有することが好ましい。
結晶性ポリエステル樹脂は、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)単量体と、2価以上のアルコール(多価アルコール)単量体との重縮合反応によって得られる公知のポリエステル樹脂のうち、結晶性を示すポリエステル樹脂である。
結晶性ポリエステル樹脂の合成に使用できる多価カルボン酸単量体としては、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、n−ドデシルコハク酸、1,10−デカンジカルボン酸(ドデカン二酸)等の飽和脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等の芳香族ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸等の3価以上の多価カルボン酸;これらカルボン酸化合物の無水物、炭素数1〜3のアルキルエステル等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂の合成に使用できる多価アルコール単量体としては、例えば1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール等の脂肪族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトール等の3価以上の多価アルコール等が挙げられる。
これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
具体的には、試料をアルミニウム製パンKITNO.B0143013に封入し、熱分析装置Diamond DSC(パーキンエルマー社製)のサンプルホルダーにセットして、加熱、冷却、加熱の順に温度を変動させる。1回目の加熱時には室温(25℃)から、2回目の加熱時には0℃から、10℃/minの昇温速度でそれぞれ150℃まで昇温して150℃を5分間保持し、冷却時には、10℃/minの降温速度で150℃から0℃まで降温して0℃の温度を5分間保持する。2回目の加熱時に得られる吸熱曲線における吸熱ピークのピークトップの温度を融点として測定する。
トナー粒子は、結着樹脂としてブロックポリマーを含有することが好ましい。ブロックポリマーは、2種以上の樹脂のブロック共重合体である。
ブロックポリマーの分子量や含有量等を調整することにより、上記加熱条件下におけるトナー層の光の透過率が1〜3%の範囲内となるように、トナーの溶融性を調整することができる。
ブロックポリマーの含有量が1質量%以上であれば、定着時に加熱だけでトナーが過剰に溶融することを抑え、20質量%以下であれば、定着時に大きな熱量と圧力を加えなくてもトナーが溶融するように、トナーの溶融性を調整することができる。このようなトナーの溶融性により、低温定着性に優れ、濃度ムラが少ないトナーを得ることができる。
結晶部とは結晶性樹脂に由来の構造を有する樹脂部分をいい、非晶部とは、非晶性樹脂に由来の構造を有する樹脂部分をいう。
結晶部によりトナーの溶けにくさを、非晶部によりトナーの溶けやすさを調整することができ、トナーの溶融性の制御が容易になる。また、このようなブロックポリマーは、ミクロな相分離状態を形成することから、定着時の加圧によるトナーの融け広がりに圧力依存性を付与することができる。
結晶部の形成に使用する樹脂は、融点(Tm)が65〜85℃の範囲内にあることが好ましい。
この範囲内にあれば、良好な結晶性が得られ、トナーの溶けにくさを調整しやすくなるとともに、トナーの低温定着性がより良化する。
樹脂の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、上述したGPCによって測定した樹脂の分子量分布から求めることができる。
非晶部は、トナー粒子の結着樹脂として使用される非晶性樹脂に由来の構造を有する樹脂部分であると、結着樹脂との相溶性が高まり、ブロックポリマーの分散性を向上させることができ、好ましい。
樹脂のガラス転移点(Tg)は、ASTM(米国材料試験協会規格)D3418−82に規定された方法(DSC法)にしたがって測定することができる。測定には、DSC−7示差走査カロリメーター(パーキンエルマー社製)、TAC7/DX熱分析装置コントローラー(パーキンエルマー社製)等を用いることができる。
この範囲内であれば、トナーの溶けやすさを調整しやすくなるとともに、トナーのロバストネスが良好になり、感光体へのフィルミングを抑えることができる。
非晶性樹脂としては、ビニル樹脂、非晶性ポリエステル樹脂等を使用することができる。ビニル樹脂は、ビニル単量体の重合体である。具体的なビニル樹脂としては、スチレン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂等が挙げられる。
耐熱保管性と低温定着性を両立する観点からは、トナー粒子中のスチレン−アクリル樹脂の含有量は、80質量%以下であることが好ましい。
スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン及びこれらの誘導体等のスチレン構造を有する単量体
(2)(メタ)アクリル酸系単量体
(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル及びこれらの誘導体等の(メタ)アクリル基を有する単量体
(3)ビニルエステル類
プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等
(4)ビニルエーテル類
ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等
(5)ビニルケトン類
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトン等
(6)N−ビニル化合物類
N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドン等
(7)その他
ビニルナフタレン、ビニルピリジン等のビニル化合物類、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド等のアクリル酸あるいはメタクリル酸誘導体等
(8)多官能性ビニル類
ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート等
酸基とは、カルボキシ基、スルホン酸基、リン酸基等のイオン性解離基をいう。
例えば、カルボキシ基を有するビニル単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等が挙げられる。
スルホン酸基を有するビニル単量体としては、スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。
リン酸基を有するビニル単量体としては、アシドホスホオキシエチルメタクリレート等が挙げられる。
非晶性ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸単量体と、多価アルコール単量体との重合反応によって得られるポリエステル樹脂のうち、非晶性を示す樹脂をいう。
非晶性ポリエステル樹脂は、上述した結晶性ポリエステル樹脂と同様に、エステル化触媒を使用し、多価カルボン酸単量体と多価アルコール単量体を重合することにより、合成することができる。
このような非晶性ポリエステル樹脂は多くのイオン架橋を形成することができ、イオン架橋が多いほどトナーが溶融しにくくなるため、イオン架橋の度合いを調整することによりトナーの溶融性を容易に調整することができる。
トナー粒子は、結着樹脂をイオン架橋する金属元素を含有し、トナー粒子中の金属元素の含有量が、0.05〜0.25質量%の範囲内にあることが好ましく、0.05〜0.20質量%の範囲内がより好ましく、0.05〜0.15質量%の範囲内がさらに好ましい。
上記範囲内の金属元素を含有することにより、上記加熱条件下におけるトナー層の光の透過率が1〜3%の範囲内となるように、トナーの溶融性を調整することができる。
凝集剤に由来の金属元素の含有量は、結着樹脂のイオン架橋度を表し、含有量が多いほどイオン架橋度も大きくなって、トナーが溶融しにくくなることから、金属元素の含有量により加熱時のトナーの溶融性を制御することができる。
上記試料100mgを密閉式マイクロ波分解装置ETHOS1(マイルストーンゼネラル社製)にセットし、硫酸、硝酸による分解を行う。このとき、未分解物がある場合は塩酸、フッ化水素酸、過酸化水素等を用いて目的成分を溶出させた。分解液は超純水を用いて適宜希釈する。試薬は、関東化学社製の超高純度試薬を用いる。
高周波誘導結合プラズマ発光分析装置SPS3520UV(エスアイアイナノテクノロジー社製)に、上記前処理を施した試料をセットし、結着樹脂のイオン架橋に寄与する金属元素の含有量を測定する。このとき、目的の金属元素の波長を検出波長とする。
なお、検量線は、試料を含まない分解液に、関東化学社製の各元素の原子吸光用標準液を添加し、試料液と同じ酸濃度になるように調整した溶液を用いて作成する。
ブラックの着色剤としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック、マグネタイト、フェライト等の磁性体、染料、非磁性酸化鉄を含む無機顔料等の公知の種々のものを任意に使用することができる。
他の色の着色剤としては、染料、有機顔料等の公知のものを1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。有機顔料としては、例えばC.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同81:4、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222、同238、同269、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185、C.I.ピグメントオレンジ31、同43、C.I.ピグメントブルー15:3、同60、同76等を挙げることができる。染料としては、例えばC.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同68、同11、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同69、同70、同93、同95等を挙げることができる。
〔離型剤〕
離型剤としては、特に限定されるものではなく公知の種々のワックスを用いることができる。使用できる離型剤としては、例えばポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等のポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の分枝鎖状炭化水素ワックス、パラフィンワックス、サゾールワックス等の長鎖炭化水素系ワックス、ジステアリルケトン等のジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘン酸ベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエート等のエステル系ワックス、エチレンジアミンベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミド等のアミド系ワックス等が挙げられる。
荷電制御剤としては、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩等の公知の化合物を用いることができる。荷電制御剤の添加により、帯電特性に優れたトナーを得ることができる。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、通常0.1〜5.0質量部の範囲内とすることができる。
上述したトナー粒子をそのままトナーとして用いることができるが、トナー粒子がコア粒子であり、当該コア粒子の表面を被覆するシェル層を備えて、コア・シェル構造を形成していてもよい。
シェル層は、コア粒子の少なくとも一部を被覆していればよく、部分的にコア粒子が露出していてもよい。コア・シェル構造の断面は、例えば透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)、走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)等の公知の観察手段によって、確認することができる。
これにより、トナー粒子の表層のイオン架橋を増やして、全体としての弾性率を変えることなく、表層のみトナーの弾性率を高めることができる。定着部材に当接する用紙の凸部では溶けにくく、当接しない用紙の凹部では溶けやすくなるように、トナーの溶融性を容易に調整できる。
この範囲内であれば、定着部材に当接する用紙の凸部では溶けにくく、当接しない用紙の凹部では溶けやすい溶融性のトナーが得られやすい。
トナー粒子は、そのままトナーとして用いることができるが、流動性、帯電性、クリーニング性等を改良するため、その表面に流動化剤、クリーニング助剤等の外添剤が添加されていてもよい。
これらの無機粒子は、耐熱保管性及び環境安定性の向上の観点から、シランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイル等によって、光沢処理が行われていることが好ましい。
本発明の静電潜像現像用トナーは、磁性又は非磁性の一成分現像剤として使用することもできるが、キャリアと混合して二成分現像剤として使用してもよい。
トナーを二成分現像剤として使用する場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。
キャリアの平均粒径は、体積基準のメジアン径で20〜100μmの範囲内であることが好ましく、さらに好ましくは25〜80μmの範囲内とされる。
キャリアの体積基準のメジアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置ヘロス(HELOS、シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
本発明の静電荷像現像用トナーの製造方法としては、例えば懸濁重合法、乳化凝集法、その他の公知の方法等を挙げることができる。製造コスト及び製造安定性の観点から、トナー粒子の小粒径化が容易な乳化凝集法を用いることが好ましい。
水系媒体中の水以外の成分としては、水に溶解する有機溶媒を挙げることができ、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。なかでも、樹脂を溶解しない有機溶媒であるメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノールのようなアルコール系有機溶媒が好ましい。
(工程(1))
工程(1)では、結晶性樹脂、ブロックポリマー、非晶性樹脂等の結着樹脂粒子の分散液をそれぞれ調製する。
有機溶媒の使用量は、結晶性ポリエステル樹脂100質量部に対して、通常1〜300質量部の範囲内である。
油相液の乳化分散は、機械的エネルギーを利用して行うことができる。
水系媒体中には、油滴の分散安定性を向上させる目的で、界面活性剤等が添加されていてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂粒子の体積基準のメジアン径(D50)は、マイクロトラックUPA−150(日機装社製)を用いて測定することができる。
結合剤を使用しない場合、例えばポリエステル樹脂同士の場合は、加熱減圧して縮合反応を進めることにより、重合させることができる。ポリエステル樹脂以外でも、各樹脂の末端が酸とアルコールの官能基を有する場合は同様の方法により合成できる。
界面活性剤としては、例えばドデシルアンモニウムブロマイド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロマイド等のカチオン性界面活性剤、ドデシルポリオキシエチレンエーテル、ヘキサデシルポリオキシエチレンエーテル、ノリルフェニルポリキオシエチレンエーテル、ラウリルポリオキシエチレンエーテル、ソルビタンモノオレアートポリオキシエチレンエーテル等のアニオン性界面活性剤、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム等のノニオン性界面活性剤等の公知の界面活性剤を使用できる。
重合開始剤としては、従来公知の種々のものを用いることができる。重合開始剤としては、過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)を好ましく使用できるが、4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等のアゾ系化合物、パーオキシド化合物、アゾビスイソブチロニトリル等を用いてもよい。
ビニル樹脂の分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を水系媒体中に添加することができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えば2−クロロエタノール、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート等のメルカプタンや、スチレンダイマー等を挙げることができる。
このように、添加剤をあらかじめビニル樹脂粒子と分散させておくことが好ましいが、ビニル樹脂とは別に添加剤粒子の分散液を調製し、ポリエステル樹脂粒子等の他の分散液とともに混合して、ポリエステル樹脂粒子等とともに当該添加剤粒子を凝集させることにより、トナー粒子中に導入することもできる。
上記ビニル樹脂粒子の体積基準のメジアン径(D50)は、マイクロトラックUPA−150(日機装社製)を用いて測定することができる。
工程(2)では、ブラックの着色剤を水系媒体中に微粒子状に分散させて、着色剤粒子の水系分散液を調製する。
着色剤の分散は、機械的エネルギーを利用して行うことができ、使用する分散機としては、特に限定されないが、好ましくは超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリンや圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、サンドグラインダー、ゲッツマンミルやダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。
着色剤粒子の体積基準のメジアン径(D50)は、電気泳動光散乱光度計ELS−800(大塚電子社製)を用いて測定することができる。
工程(3)では、凝集剤の存在下で、ビニル樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子等の結着樹脂粒子、着色剤粒子及びその他のトナー構成成分の粒子を凝集させて、トナー粒子を形成する。
具体的には、水系媒体と各粒子の水系分散液を混合した系に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え、ビニル樹脂のガラス転移点(Tg)以上の温度にすることによって、凝集させる。
凝集剤としては、特に限定されるものではないが、アルカリ金属塩やアルカリ土類金属塩等の金属塩から選択されるものが好適に使用される。金属塩としては、例えばナトリウム、カリウム、リチウム等の1価の金属塩、カルシウム、マグネシウム、マンガン、銅等の2価の金属塩、鉄、アルミニウム等の3価の金属塩等が挙げられる。具体的な金属塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等を挙げることができ、これらの中で、より少量で凝集を進めることができることから、2価の金属塩を用いることが特に好ましい。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
工程(4)では、工程(3)により形成したトナー粒子の熟成処理を行い、所望の形状に制御する。工程(4)は、必要に応じて行うことができる。
具体的には、工程(3)において得られたトナー粒子の分散液を加熱撹拌し、トナー粒子が所望の円形度になるように、加熱温度、撹拌速度、加熱時間等を調整する。
工程(4B)では、工程(3)又は(4)で得られたトナー粒子をコア粒子として、コア粒子の表面の少なくとも一部を被覆するシェル層を形成する。工程(4B)は、コア・シェル構造のトナー粒子を形成する場合に行えばよい。
コア粒子にシェル層の樹脂粒子をより強固に凝集、融着させるため、シェル化工程に続いて加熱処理を行うことができる。加熱処理は、目的の円形度のトナー粒子が得られるまで行えばよい。
工程(5)では、トナー粒子の分散液を冷却し、トナー粒子の分散液から当該トナー粒子を固液分離する。固液分離によって得られたトナーケーキ(ケーキ状に成形されたウェット状態にあるトナー粒子)から界面活性剤や凝集剤等の付着物を除去して洗浄し、洗浄後のトナーケーキを乾燥する。
工程(6)では、トナー粒子に対して外添剤を添加する。工程(6)は、必要に応じて行うことができる。
外添剤の添加には、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル等の機械式の混合装置を使用することができる。
(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、温度制御装置、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に、あらかじめイオン交換水2900質量部にアニオン性界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウム2.0質量部を溶解させたアニオン性界面活性剤を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
スチレン 540質量部
n−ブチルアクリレート 270質量部
メタクリル酸 65質量部
n−オクチルメルカプタン 17質量部
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、下記組成の単量体溶液に、離型剤としてエステル系ワックス(融点:73℃)51質量部を添加し、85℃に加温して溶解させてワックス溶解液を調製した。
スチレン 94質量部
n−ブチルアクリレート 30質量部
2−エチルへキシルアクリレート 30質量部
メタクリル酸 11質量部
n−オクチルメルカプタン 5質量部
スチレン 230質量部
n−ブチルアクリレート 100質量部
メタクリル酸 18質量部
n−オクチルメルカプタン 5質量部
この分散液中のスチレン−アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は30300であり、数平均分子量(Mn)は10100であった。
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた5Lの反応容器に、多価カルボン酸であるセバシン酸300質量部及び多価アルコールである1,6−ヘキサンジオール170質量部を仕込み、撹拌しながら1時間かけて内温を190℃にまで昇温させた。均一に撹拌された状態であることを確認した後、触媒としてTi(OBu)4を、多価カルボン酸の仕込み量に対して0.003質量%の量で投入した。生成する水を留去しながら、6時間かけて内温を190℃から240℃まで昇温させ、温度240℃の条件で6時間かけて脱水縮合反応を継続して重合を行うことにより、結晶性ポリエステル樹脂を得た。この結晶性ポリエステル樹脂の融点(Tm)は66.8℃、数平均分子量(Mn)は6300であった。
すぐに、得られた乳化液800質量部とイオン交換水700質量部とを2リットルのナスフラスコに入れ、トラップ球を介して真空制御ユニットを備えたエバポレーター(東京理化器械社製)にセットした。ナスフラスコを回転させながら、60℃の湯バスで加温し、突沸に注意しつつ7kPaまで減圧し溶剤を除去した。溶剤回収量が1100質量部になった時点で常圧に戻し、ナスフラスコを水冷して分散液を得た。得られた分散液に溶剤臭は無かった。この分散液中の樹脂粒子の体積基準のメジアン径(D50)は130nmであった。その後、イオン交換水を加えて固形分濃度が20質量%になるように調整し、これを結晶性ポリエステル樹脂分散液とした。
ドデカン二酸173部、1,10−デカンジオール174部、ジブチルスズオキシド0.08部を、窒素置換したフラスコに入れ、170℃で2時間、さらに減圧下200℃で0.5時間反応させ、重量平均分子量(Mw)が1500、数平均分子量(Mn)が700、融点(Tm)が74℃の結晶性樹脂を得た。
一方、テレフタル酸ジメチル97部、イソフタル酸ジメチル78部、無水ドデセニルコハク酸27部、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物111部、ビスフェノールA−プロピレンオキサイド付加物249部、ジブチルスズオキシド0.08部を、窒素置換したフラスコに入れ、170℃で4時間、さらに減圧下220℃で2時間反応させ、重量平均分子量(Mw)が20000、数平均分子量(Mn)が9000、ガラス転移点(Tg)が59℃の非晶性樹脂を得た。
分散液中のブロックポリマー粒子の体積基準のメジアン径(D50)は200nmであった。
窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した容量10リットルの四つ口フラスコに、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物500質量部、テレフタル酸103質量部、フマル酸72質量部、トリメリット酸49質量部及びエステル化触媒(オクチル酸スズ)2質量部を入れ、230℃で8時間縮重合反応させ、さらに8kPaで1時間反応させることにより、非晶性ポリエステル樹脂を得た。この非晶性ポリエステル樹脂のガラス転移点(Tg)は60℃、軟化点(Tsp)は105℃、重量平均分子量(Mw)は40000であった。
ドデシル硫酸ナトリウム90質量部をイオン交換水1600質量部に撹拌溶解し、この溶液を撹拌しながら、カーボンブラックであるモーガルL(キャボット社製)420質量部を徐々に添加した。次いで、撹拌装置クレアミックス(エム・テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液を調製した。分散液中の着色剤粒子の平均粒径は、体積基準のメジアン径で117nmであった。
撹拌装置、温度センサー及び冷却管を取り付けた反応容器に、上記スチレン−アクリル樹脂粒子の分散液を固形分換算で260質量部、イオン交換水2000質量部を投入した。5モル/リットルの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを10に調整した後、上記着色剤粒子の分散液を固形分換算で40質量部投入した。次に、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃において10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて80℃まで昇温した。結晶性ポリエステル樹脂粒子の分散液を固形分換算で20質量部と、ブロックポリマー粒子分散液を固形分換算で40質量部を混合させた分散液を30分間かけて投入し、80℃を保持したままコア粒子の成長反応を継続した。
乾燥後のトナー粒子に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径=12nm)1質量%及び疎水性チタニア(数平均一次粒子径=20nm)0.3質量%を添加し、ヘンシェルミキサーにより混合することにより、トナー(1)を得た。
トナー(1)の製造において、分散液の添加量等を調整して、下記表1に示すように、コア粒子中のブロックポリマーの含有量、シェル層中のトリメリット酸由来の構造を有する樹脂の含有量、トナー粒子の全樹脂中のシェル層の樹脂の含有量等を変更したこと以外は同様にして、トナー(2)〜(10)、(21)、(22)及び(24)〜(27)を得た。
トナー(1)において、結晶性ポリエステル樹脂粒子の分散液を投入しなかったこと以外は同様にして、トナー(23)を得た。
各トナー(1)〜(10)及び(21)〜(27)に、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60μmのフェライトキャリアをトナー濃度が6質量%となるように添加して混合することにより、現像剤(1)〜(10)及び(21)〜(27)を製造した。
また、StAcはスチレン−アクリルを表している。CPEsは結晶性ポリエステルを表し、APEsは非晶性ポリエステルを表している。
各トナー(1)〜(10)及び(21)〜(27)中の金属元素の含有量は、酸分解:ICP−OESにより、次のようにして測定した。
試料(トナー)3質量部をポリオキシエチルフェニルエーテルの0.2質量%水溶液35質量部に添加して分散させた。この分散液を、超音波ホモジナイザーUS−1200T(日本精機製作所社製)により25℃で5分間処理し、外添剤をトナー表面から取り除いて測定用の試料を得た。
上記試料100mgを密閉式マイクロ波分解装置ETHOS1(マイルストーンゼネラル社製)にセットし、硫酸、硝酸による分解を行った。このとき、未分解物がある場合は塩酸、フッ化水素酸、過酸化水素等を用いて目的成分を溶出させた。分解液は超純水を用いて適宜希釈した。試薬は、関東化学社製の超高純度試薬を用いた。
高周波誘導結合プラズマ発光分析装置SPS3520UV(エスアイアイナノテクノロジー社製)に、上記前処理を施した試料をセットし、結着樹脂のイオン架橋に寄与する金属元素Al、Mg及びFeの含有量を測定した。このとき、各金属元素の検出波長は以下の通りとした。
Al:167.079nm
Mg:279.553nm
Fe:259.940nm
なお、検量線は、試料を含まない分解液に、関東化学社製の各元素の原子吸光用標準液を添加し、試料液と同じ酸濃度になるように調整した溶液を用いて作成した。
トナー(1)〜(10)及び(21)〜(27)からは、Mgの金属元素のみ検出されたため、表2にはMgの含有量のみを示している。
各トナー(1)〜(10)及び(21)〜(27)中の樹脂のピークトップ分子量を次のようにして、求めた。
試料(トナー)を濃度1mg/mLとなるようにテトラヒドロフラン(THF)中に添加し、40℃において超音波分散機を用いて15分間分散処理した後、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して、試料液を調製した。GPC装置HLC−8220(東ソー社製)及びカラムTSKguardcolumn+TSKgelSuperHZ-M3連(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフランを流速0.2mL/minで流した。キャリア溶媒とともに、調製した試料液10μLをGPC装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて試料を検出し、単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて、試料の分子量分布を算出した。検量線は、分子量がそれぞれ6×102、2.1×103、4×103、1.75×104、5.1×104、1.1×105、3.9×105、8.6×105、2×106、4.48×106である10点のポリスチレン標準粒子(Pressure Chemical社製)を測定することにより、作成した。
算出した分子量分布において、ピーク面積が最大の極大ピークのピークトップに対応する分子量を、ピークトップ分子量(Mp)とした。
画像形成装置として、市販の複写機bizhub PRO C6550(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)において、現像スリーブから直接ガラス基板上に現像転写され、厚みのあるガラス基板が通過できるように現像スリーブから現像転写される側までの距離が変更できるように改造し、かつガラス基板が変形しないように通紙経路を改造したものを用いた。現像剤としてそれぞれ現像剤(1)〜(10)及び(21)〜(27)を搭載し、常温常湿(温度20℃、湿度50%RH)環境下において、カバーガラス(MICRO COVER GLASS、18mm×18mm、武藤化学社製)上にトナー付着量が6.5±0.1g/m2のトナー層を形成した。このトナー層上に、中心に6mmφの穴を設けたOKトップコート128gsm(18mm×18mm、厚さ100±10μm)を載せた。このカバーガラスを50℃に加熱したホットプレートの上に置き、OKトップコートの穴を全て覆うように、上から185℃に加熱したOIML型標準分銅(円筒型、1kg、M1級)を、5秒間のせた後、カバーガラスをすぐに取り去り室温まで冷却させ、紫外可視近赤外分光光度計UH4150(日立社製)を用いて、トナー層の波長690nmの光の透過率(%)を測定した。ブランクとしてカバーガラスのみの光の透過率を同様にして測定し、カバーガラスの光の透過率を100%としたときのトナー層の光透過率(%)の割合を、トナー層の光透過率(%)として求めた。各トナー(1)〜(10)及び(21)〜(27)のトナー層の光透過率(%)を、下記表2に示している。
各トナー(1)〜(10)及び(21)〜(27)の濃度ムラ及び低温定着性を、その現像剤(1)〜(10)及び(21)〜(27)を用いて、評価した。
市販のカラー複写機bizhub PRO C6500(コニカミノルタ社製)を、定着温度、トナー付着量、システム速度を自由に設定できるように改造した。この改造機に、各現像剤を順次装填して、定着試験を行った。具体的には、改造機においてトナー付着量が11.3g/m2のベタ画像をNPi上質紙128g/m2(日本製紙製)上に形成し、定着上ベルトを150〜200℃の範囲内で5℃ごとに温度を変化させ、定着下ローラを定着上ベルトより20℃低く設定して、定着速度300mm/secで定着処理を行った。コールドオフセットが発生しなかった定着上ベルトの温度のうち、最も低い温度を定着下限温度として決定した。
◎:定着下限温度が150℃未満
○:定着下限温度が150℃以上165℃未満
×:定着下限温度が165℃以上
市販のカラー複合機bizhub PRESS C1100(コニカミノルタ社製)において、定着装置を、定着上ベルトの表面温度を140〜220℃の範囲で、定着下ローラの表面温度を120〜200℃の範囲で変更することができるように改造した。この改造機に各現像剤を順次装填して、ラフ紙Hammermill tidal(Hammermill社製)に、トナー付着量が8.0g/m2のベタ画像を形成し、定着処理した。定着処理時の定着速度は460mm/sec、定着温度(定着上ベルトの表面温度)はアンダーオフセット温度+15℃とした。
◎:濃度ムラが全く確認されない
○:濃度ムラが若干確認されるが、品質には問題ないレベル
×:濃度ムラが確認され、実用できないレベル
1.トナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、
前記トナー粒子が、結着樹脂として結晶性樹脂及びブロックポリマーと、ブラックの着色剤と、を含有し、
前記静電荷像現像用トナーにより、ガラス上に付着量が6.5g/m2のトナー層を形成し、前記トナー層の表面との距離が100μmの位置から185℃の熱を5秒間加えたときの前記トナー層の690nmの波長の光の透過率が、1〜3%の範囲内にあることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
前記非晶部の重量平均分子量が、10000〜40000の範囲内にあることを特徴とする第6項に記載の静電荷像現像用トナー。
前記トナー粒子中の前記金属元素の含有量が、0.05〜0.25質量%の範囲内にあることを特徴とする第1項から第8項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
前記トナー粒子中の前記スチレン−アクリル樹脂の含有量が、5質量%以上であることを特徴とする第1項から第10項までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
Claims (15)
- トナー粒子を含有する静電荷像現像用トナーであって、
前記トナー粒子が、結着樹脂として結晶性樹脂と、ブラックの着色剤と、を含有し、
前記静電荷像現像用トナーにより、ガラス上に付着量が6.5g/m2のトナー層を形成し、前記トナー層の表面との距離が100μmの位置から185℃の熱を5秒間加えたときの前記トナー層の690nmの波長の光の透過率が、1〜3%の範囲内にあることを特徴とする静電荷像現像用トナー。 - 前記トナー粒子中の樹脂のピークトップ分子量が、14000〜21000の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記トナー粒子が、前記結晶性樹脂として結晶性ポリエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記結晶性樹脂の融点が、65℃〜85℃の範囲内にあることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記トナー粒子が、前記結着樹脂としてブロックポリマーを含有することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記トナー粒子中の前記ブロックポリマーの含有量が、1〜20質量%の範囲にあることを特徴とする請求項5に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記ブロックポリマーが、結晶部及び非晶部を有することを特徴とする請求項5又は請求項6に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記結晶部の重量平均分子量が、1000〜3000の範囲内にあり、
前記非晶部の重量平均分子量が、10000〜40000の範囲内にあることを特徴とする請求項7に記載の静電荷像現像用トナー。 - 前記結晶部が、結晶性ポリエステル樹脂に由来の構造を有する樹脂部分であることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記トナー粒子が、前記結着樹脂をイオン架橋する金属元素を含有し、
前記トナー粒子中の前記金属元素の含有量が、0.05〜0.25質量%の範囲内にあることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。 - 前記トナー粒子が、前記結着樹脂として、トリメリット酸由来の構造を有するポリエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項1から請求項10までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記トナー粒子が、前記結着樹脂としてスチレン−アクリル樹脂を含有し、
前記トナー粒子中の前記スチレン−アクリル樹脂の含有量が、5質量%以上であることを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。 - 前記トナー粒子が、コア粒子であり、当該コア粒子の表面を被覆するシェル層を備えて、コア・シェル構造を形成していることを特徴とする請求項1から請求項12までのいずれか一項に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記シェル層が、トリメリット酸由来の構造を有するポリエステル樹脂を含有することを特徴とする請求項13に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記シェル層が含有する樹脂中の前記トリメリット酸由来の構造を有するポリエステル樹脂の含有量が、3〜15質量%の範囲内にあることを特徴とする請求項14に記載の静電荷像現像用トナー。
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