JP2017172897A - 吸収式冷凍機 - Google Patents

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Abstract

【課題】設置コストの低減を図るとともに、能力以上の能力以上の運転に対応することのできる吸収式冷凍機を提供する。【解決手段】吸収器14と、高温再生器10と、凝縮器12と、蒸発器13と、高温再生器10を加熱するバーナ20と、吸収器14および凝縮器12に冷却水を循環させる冷却水ポンプ30と、空調負荷および蒸発器13に冷水を循環させる冷水ポンプ31と、少なくとも蒸発器13の冷水出口温度を検出する冷水出口温度センサ33と、制御装置41と、を有し、制御装置41は、温度センサで検出された水温がしきい値を超えた状態が所定時間以上継続した場合に、定格運転から冷却水ポンプ30および冷水ポンプ31の能力を増大させる定格出力以上の運転に切り換えるとともに、定格出力以上の運転が開始されてから一定時間が経過するまでは、定格運転への切換えを行わないように制御する。【選択図】図1

Description

本発明は、吸収式冷凍機に係り、特に、定格出力が低くても定格出力以上の運転に対応することを可能とした吸収式冷凍機に関する。
一般に、高温再生器、低温再生器、蒸発器、凝縮器および吸収器を備え、これらを配管接続して吸収液及び冷媒の循環経路をそれぞれ形成した吸収式冷凍機が知られている。吸収式冷凍機は、例えば、オフィスビルのセントラル空調などに用いられている。
このような吸収式冷凍機においては、冷房負荷の最大値と暖房負荷の最大値とをそれぞれ別個に設定し、どちらの最大負荷にも対応することができるように、これらの最大値に安全率を見込んで、過大な容量の吸収式冷凍機を設置するようにしていた。
しかしながら、最大負荷に対応可能な吸収式冷凍機を設置すると、効率の低い部分負荷領域で運転することになるため、全体の効率が低下してしまうという問題があり、初期導入コストが高くなってしまうという問題がある。
このような問題を解決するため、従来から、例えば、冷水ラインの空調負荷から蒸発器に向かう領域に介装されて水温を計測する温度センサと、制御手段とを有し、該制御手段は、温度センサで計測された水温がしきい値を超えた状態が所定時間以上継続した場合に、再生器を加熱する加熱手段への入力を増加させる制御を行う技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2008−232460号公報
しかしながら、従来の技術においては、運転効率の低下を防止するために、例えば、吸収式冷凍機の溶液ポンプ、冷却塔の冷却塔ファンおよび加熱手段の能力を増大させる必要があるという問題がある。そのため、吸収式冷凍機を新たに設置する場合に、少なくとも溶液ポンプおよび加熱手段として能力が高いものを設ける必要があり、やはり設置コストの増大を招くおそれがある。
本発明は、前記した事情に鑑みてなされたものであり、設置コストの低減を図るとともに、定格出力以上の運転に対応することのできる吸収式冷凍機を提供することを目的とするものである。
前記目的を達成するため、本発明は、吸収器と、再生器と、凝縮器と、蒸発器と、前記再生器を加熱する加熱手段と、前記吸収器および前記凝縮器に冷却水を循環させる冷却水ポンプと、空気調和機および前記蒸発器に冷水を循環させる冷水ポンプと、少なくとも前記蒸発器の冷水出口温度を検出する温度センサと、制御手段と、を有し、前記制御手段は、前記温度センサで検出された水温がしきい値を超えた状態が所定時間以上継続した場合に、定格運転から前記冷却水ポンプおよび前記冷水ポンプの能力を増大させる定格出力以上の運転に切り換えるとともに、定格出力以上の運転が開始されてから一定時間が経過するまでは、定格運転への切換えを行わないように制御することを特徴とする。
前記構成において、前記制御手段は、定格出力以上の運転が開始されてから一定時間が経過した場合には、自動的に定格運転に切り換えるように制御することを特徴とする。
前記構成において、前記制御手段は、定格出力以上の運転の積算時間を計測し、前記積算時間が一定時間を経過した場合には、予報発報を行うように制御することを特徴とする。
前記構成において、前記制御手段は、定格出力以上の運転の積算時間を計測し、前記積算時間が前記予報発報を行った後、一定時間を経過した場合には、点検発報を行うように制御することを特徴とする。
本発明によれば、吸収式冷凍機の定格出力を従来よりも低く設定した場合でも、定格出力以上の運転に適正に対応することが可能となる。そのため、定格出力以上の運転に対応できる吸収式冷凍機の定格出力を低く設定することができるので、設備コストの低減を図ることができる。また、定格出力以上の運転が開始されてから一定時間が経過するまでは、定格運転への切換えを行わないようにすることで、冷水および冷却水の供給の安定性を確保することができる。
本実施形態に係る吸収式冷温水機の概略構成図である。 本実施形態の制御構成を示すブロック図である。 本実施形態の冷却水ポンプによる冷却水の流量を示すグラフである。 本実施形態の動作を示すフローチャートである。
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。
図1は、本実施形態に係る吸収式冷凍機の概略構成図である。本実施形態においては、吸収式冷凍機1として二重効用吸収式冷凍機1の例を示しており、この吸収式冷凍機1は、冷媒に水を、吸収液に臭化リチウム(LiBr)水溶液を使用している。
吸収式冷凍機1は、図1に示すように、高温再生器10と、低温再生器11と、凝縮器12と、蒸発器13と、吸収器14とを備えている。本実施形態においては、低温再生器11と、凝縮器12とは、一体の容器に収納されており、蒸発器13と、吸収器14とは一体の容器に収納されている。
高温再生器10、低温再生器11、凝縮器12、蒸発器13、吸収器14、高温熱交換器15、低温熱交換器16は、それぞれ吸収液配管17および冷媒配管18により接続され、吸収液系の循環路および冷媒系の循環路が構成されている。
高温再生器10は、加熱手段としてのバーナ20を備えており、高温再生器10には、吸収器14から稀吸収液ポンプ21により吸収液配管17aを介して戻された稀吸収液が貯留されている。そして、バーナ20を燃焼させることにより、稀吸収液を加熱することで、冷媒蒸気を稀吸収液から分離させるものである。これにより、稀吸収液は中濃吸収液となり、吸収液配管17bを介して低温再生器11に送られるが、高温熱交換器15を通過する際に吸収液配管17aを流れる稀吸収液との間で熱交換することにより放熱して低温再生器11に貯留される。
一方、蒸発した冷媒蒸気は、冷媒配管18aを介して凝縮器12に供給されるが、低温再生器11内を通過する際に低温再生器11に貯留された中濃吸収液との間で熱交換することにより放熱して気液混合液となり、その後、液化して冷媒液となって凝縮器12の底部に貯留される。
低温再生器11は、高温再生器10から供給された中濃吸収液を低温再生器11内を通過する冷媒蒸気によって加熱させ、中濃吸収液中の冷媒液を蒸発させて分離させて濃吸収液とするものである。濃吸収液は、濃吸収液ポンプ22により吸収液配管17cを介して吸収器14に供給される。この場合に、濃吸収液は、低温熱交換器16を通過する際に高温再生器10に向かって吸収液配管17aを流れる稀吸収液との間で熱交換することにより放熱して吸収器14の濃吸収液散布装置23に送られる。一方、低温再生器11で蒸発した冷媒蒸気は、仕切壁24の上部を越えて凝縮器12側に流入される。
また、凝縮器12には、冷却水配管25が挿通されており、凝縮器12の内部の冷媒蒸気は、冷却水配管25を通る冷却水と熱交換して凝縮して冷媒液となる。冷媒液は、冷媒配管18bを介して蒸発器13に送られる。
蒸発器13には、図示しない空気調和装置などの空調負荷に接続される冷水配管26が挿通されており、蒸発器13は、冷媒ポンプ27により、蒸発器13の下部に貯留された冷媒液を冷媒配管18c蒸発器13の上部に設置された冷媒散布装置28から散布するように構成されている。冷水配管26を流れる冷水は、冷媒散布装置から散布された冷媒液と熱交換して冷却される。また、液冷媒は、蒸発器13における冷温水との熱交換により気化し、冷媒蒸気となって吸収器14に流れ込む。
吸収器14には、冷却水配管25が挿通されており、吸収器14においては、蒸発器13から流れ込む冷媒蒸気が濃吸収液散布装置23から散布される濃吸収液に吸収されて濃度が低くなるとともに、冷却水配管25を流れる冷却水と熱交換され、低温の稀吸収液となる。
吸収器14の底部に溜まった稀吸収液は、稀吸収液ポンプ21により吸収液配管17aを介して高温再生器10に戻されるが、途中で低温熱交換器16を通過する際に低温再生器11から吸収器14に向かって流れる中温濃吸収液との間で熱交換して加熱され、次いで高温熱交換器15を通過する際に高温再生器10から低温再生器11に向かって流れる高温濃吸収液との間で熱交換して再加熱された後に高温再生器10に戻される。
また、冷却水配管25の入口側および出口側は、それぞれ図示しない冷却塔などの冷却水装置に接続されており、冷却水配管25の入口側には、冷却水ポンプ30が設けられている。この冷却水ポンプ30は、インバータ制御により、能力を可変することができるように構成されている。
そして、冷却水ポンプ30を駆動することにより、冷却水配管25を介して吸収器14と凝縮器12を経由して冷却水を循環させるように構成されている。
また、冷水配管26の入口側には、冷水を循環させるための冷水ポンプ31が設けられており、冷水ポンプ31を駆動することにより、蒸発器13と空気調和装置との間で冷水を循環させるように構成されている。冷水ポンプ31は、同様に、インバータ制御により、能力を可変することができるように構成されている。
さらに、冷水配管26の入口側および出口側には、冷水の温度を検出するための冷水入口温度センサ32および冷水出口温度センサ33(温度センサ)がそれぞれ設けられている。
次に、本実施形態の制御構成について説明する。
図2は、本実施形態の制御構成を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施形態の吸収式冷凍機1は、コントローラ40を備えており、コントローラ40は、制御手段としての制御装置41を備えている。制御装置41は、吸収式冷凍機1の各部を中枢的に制御するものであり、演算実行部としてのCPU、このCPUによって実行可能な基本制御プログラムや所定のデータ等を不揮発的に記憶するROM、RAM、その他の周辺回路などを備えている。
また、制御装置41には、冷水入口温度センサ32および冷水出口温度センサ33の検出信号が入力されるように構成されている。
また、コントローラ40は、メモリ42と、タイマ43と、操作部44と、運転表示部45とをそれぞれ備えている。
コントローラ40の制御装置41は、吸収式冷凍機1のバーナ20の燃料制御弁46を制御することで、バーナ20による燃焼制御を行うとともに、稀吸収液ポンプ21、濃吸収液ポンプ22および冷媒ポンプ27の駆動制御を行うように構成されている。さらに、コントローラ40の制御装置41は、冷却水ポンプ30および冷水ポンプ31のインバータ制御を行うことで、冷却水ポンプ30および冷水ポンプ31による流量制御を行うように構成されている。
一般に、吸収式冷凍機1は、例えば、夏季など外気が極めて高温となるような条件下で運転を行ういわゆる高負荷時に、対応できる定格出力の機器が用いられる。そして、高負荷時以外の通常の負荷時には、吸収式冷凍機1の定格出力の70〜80%程度の能力で運転を行っている。能力以上の運転は、年間を通じておよそ5%程度の時間しか行われないため、高負荷時に対応できる定格出力を備えた機器を設置すると、1年のうち95%程度の時間は、定格出力を用いない状態で運転することになり、吸収式冷凍機1を最大に利用することができず、機器の設置コストも高くなってしまう。
そのため、本実施形態の吸収式冷凍機1は、高負荷以外の通常の負荷に対応することができる機器を用い、高負荷時には、冷却水ポンプ30および冷水ポンプ31の能力を高めるとともに、バーナ20の能力を上げることで、対応するようにしたものである。
具体的には、本実施形態における吸収式冷凍機1は、冷却水流量を標準型の吸収式冷凍機に対して30〜35%削減して、定格出力を発揮することが可能な節電型の吸収式冷凍機1が用いられる。また、バーナ20は、その能力を増加して燃焼量を増加できるように構成されており、定格運転時には、バーナ20の燃料制御弁46を制御して、バーナ20の能力を、例えば、90%程度の能力で燃焼させて、運転を行うことができるように構成されている。すなわち、本実施形態の吸収式冷凍機1は、高負荷時に定格出力を発揮する機器ではなく、通常の負荷時に定格出力を発揮する機器を用いるようになっている。これにより、高負荷時には、定格以上の出力を発揮し、通常の負荷時には定格出力で運転を行うため、従来よりも定格出力の低い小型の吸収式冷凍機1を用いることが可能となる。
また、冷却水ポンプ30は、定格運転時には、最大で供給することができる冷却水流量の70%程度の冷却水流量で駆動することができるように構成されていてる。すなわち、最大能力を100%とした場合、定格運転時には、70%程度の能力で駆動するようになっている。
図3は、本実施形態における冷却水ポンプによる冷却水の流量を示すグラフである。
図3に示すように、通常の負荷時には、冷房負荷が100%に至るまでは、冷却水の流量が定格流量以下となるように、冷却水ポンプを最大能力より押さえた能力で駆動するものである。そして、定格出力以上の運転を行う場合には、冷却水ポンプを最大能力で運転させることで、高負荷まで対応することが可能となる。
また、冷水ポンプ31は、最大能力を100%とした場合、定格運転時には、90%程度の能力で駆動するようになっている。
すなわち、冷却水ポンプ30および冷水ポンプ31は、定格運転時には、余力を残した状態で駆動され、定格出力以上の運転時には、最大能力で駆動させることが可能となっている。
コントローラ40の制御装置41は、通常の負荷時には、稀吸収液ポンプ21、濃吸収液ポンプ22、冷媒ポンプ27およびバーナ20をそれぞれ制御することで、吸収液と冷媒との流量、燃焼能力などを制御することで、冷水の温度を所定の設定値になるように制御する。
そして、制御装置41は、外気温が極めて高い場合などには、空調負荷が定格出力を超える場合には、定格出力以上の運転に切り換える制御を行う。
定格出力以上の運転に切り換える条件としては、まず、冷水で口温度センサにより、冷水の出口温度T1を検出し、制御装置41は、この冷水出口温度T1が冷水の設定温度Tを一定以上超えたか否かで判断する。
例えば、冷水の入口温度を12℃、出口温度を7℃に設定した場合、入口温度と出口温度との差は、5℃となっている。そのため、その温度差の1割程度、すなわち、冷水の出口温度T1が設定温度T+0.5℃より高くなったか否かで判断する。
また、制御装置41は、冷水の出口温度T1が、一定以上高い状態が一定時間、例えば、30分以上継続したか否かで判断する。
さらに、制御装置41は、冷凍能力比が所定以上になったか否か判断する。冷凍能力比は、冷水の入口温度、出口温度および冷水流量割合などに基づいて算出されるものであり、制御装置41は、例えば、冷凍能力比が110%以上になったか否かを判断する。
そして、制御装置41は、冷水の出口温度が設定温度+0.5℃より高くなり、この状態が30分以上継続し、さらに、冷凍能力比が110%以上になったと判断した場合に、能力以上の運転に切り換える。
定格出力以上の運転を行う場合は、制御装置41は、定格運転時に設定されていた冷却水ポンプ30の冷却水変流量制御値、冷水ポンプ31の冷水変流量制御値およびバーナ20のガス最大開度制限値をそれぞれ解除する。すなわち、冷却水ポンプ30、冷水ポンプ31およびバーナ20の駆動制限を解除する。このようにすることで、吸収式冷凍機1がもともと備えている定格出力を超えた運転が可能となる。
なお、本実施形態においては、定格出力以上の運転に切り換える条件として、冷水出口温度T1が冷水の設定温度Tを一定以上超えたか否かを判断するとともに、冷水の出口温度T1が、一定以上高い状態が一定時間継続したか否かで判断するようにした例を示したが、本発明はこれに限定されない。
例えば、空調負荷が定格出力を超えたと判断した場合に、制御装置41ではなく、吸収式冷凍機1をコントロールする外部制御装置により、定格出力以上の運転に切り換えるようにしてもよい。また、その他に、空調負荷が定格出力を超えたと判断した場合に、使用者が手動でスイッチなどを操作して、定格出力以上の運転に切り換えるようにしてもよい。
また、定格出力以上の運転に切り換えられた場合は、制御装置41は、運転表示部45に、定格出力以上の運転中である旨の表示を行う。この表示は、例えば、液晶表示パネルなどからなる表示部に文字表示するようにしてもよいし、表示ランプなどで点灯表示するようにしてもよい。
また、制御装置41は、定格出力以上の運転開始からタイマ43により時間を計測し、少なくとも1時間経過するまでは、定格出力以上の運転を継続するように制御する。標準運転と定格出力以上の運転とを短時間で切り換えると、冷水および冷却水の供給の安定性が悪くなるためである。
また、制御装置41は、定格出力以上の運転の最大継続時間は12時間とし、12時間経過した場合には、標準モードに変更するように制御する。通常、定格出力以上の運転を行う場合は、夏季の日中のように外気温が高い場合であるので、12時間経過すると夜間になり、外気温も下がり、定格出力以上の運転が不要となる場合がほとんどと考えられるためである。
さらに、制御装置41は、吸収式冷凍機1の運転を停止した場合にも、標準モードにリセットするように制御する。
なお、運転時間の計測は年ごとにリセットして、最初から計測するようになっている。
さらに、制御装置41は、タイマ43により、定格出力以上の運転を行い、かつ、冷却水ポンプ30を最大流量で駆動した場合の時間を計測する。制御装置41は、このタイマ43により計測された時間は、定格出力以上の運転から標準運転に切り換えられた場合に、メモリ42に記憶しておき、定格出力以上の運転が行われるごとに積算して逐次メモリ42に記憶させておく。
そして、この積算時間が一定時間、例えば、250時間となった場合、制御装置41は、運転表示部45により、まもなく点検が必要である旨の予報発報を行う。さらに、能力以上の運転を行い、かつ、冷却水ポンプ30を最大流量で駆動した場合の積算時間が300時間となった場合には、制御装置41は、運転表示部45により、点検を促す点検発報を行う。
この場合に、予報発報および点検発報を行った場合でも、吸収式冷凍機1の運転は継続される。
なお、暖房運転時には、冷却水の供給を行わないので、定格出力以上の運転の時間のみを計測するようにすればよい。
また、点検を行った場合には、能力以上の運転の積算時間をリセットする。
次に、本実施形態の冷房運転時における動作について、図4に示すフローチャートを参照して説明する。
吸収式冷凍機1が通常負荷の定格運転を行っている場合において、制御装置41は、冷水出口温度センサ33により、冷水の出口温度を検出し、冷水の出口温度が冷水の設定温度より0.5℃高くなったか否かを判断する(ST1)。そして、冷水の出口温度T1が設定温度T+0.5℃より高くなった場合には(ST1:YES)、タイマ43により出口温度T1が設定温度T+0.5℃より高くなっている時間を計測する。
そして、冷水の出口温度T1が設定温度T+0.5℃より高くなっている時間が30分以上継続した場合には(ST2:YES)、制御装置41は、冷凍能力比が110%以上になったか否かを判断する(ST3)。
そして、制御装置41は、冷凍能力比が110%以上になったと判断した場合に(ST3:YES)、定格出力以上の運転に切り換える(ST4)。
定格出力以上の運転に切り換えられると、制御装置41は、タイマ43による時間の計測を開始する。同時に、制御装置41は、定格出力運転時に設定されていた冷却水ポンプ30の冷却水変流量制御値を解除し、冷却水ポンプ30を最大能力で運転させ(ST5)、冷却水ポンプ30による冷却水の供給量を増大させる。
続いて、制御装置41は、定格出力運転時に設定されていた冷水ポンプ31の冷水変流量制御値を解除し、冷水ポンプ31を最大能力で運転させ(ST6)、冷水ポンプ31による冷水の供給量を増大させる。
さらに、制御装置41は、バーナ20のガス最大開度制限値を解除し、バーナ20の燃料制御弁46の開度上限を解除して、バーナ20の能力を増大させる(ST7)。このようにバーナ20の燃料供給量を増大させることにより、高温再生器10における冷媒発生量が増加して、吸収式冷凍機1の冷房能力が増加し、定格出力を超える冷房負荷に対応できる。
そして、制御装置41は、冷水出口温度センサ33により冷水の出口温度を常に検出し、冷水の出口温度T1が設定温度T+0.5℃より低くなった場合(ST8:YES)、タイマ43による計測時間が1時間経過したら(ST9:YES)、定格出力以上の運転から通常負荷における定格運転に切り換える(ST10)。
なお、冷水の出口温度T1が設定温度T+0.5℃より低くなった場合であっても、能力以上の運転の開始から1時間経過していない場合には(ST9:NO)、定格運転への切換えは行わず、定格出力以上の運転を継続する(ST4)。
そして、定格出力以上の運転から定格運転に切り換わった場合には、制御装置41は、タイマ43により、定格出力以上の運転を行い、かつ、冷却水ポンプ30を最大流量で駆動した場合の時間を計測する(ST11)。このタイマ43により計測された時間は、定格出力以上の運転から定格運転に切り換えられた場合に、メモリ42に記憶しておき、定格出力以上の運転が行われるごとに積算してメモリ42に記憶させておく。
そして、この積算時間が250時間となった場合は(ST12:YES)、制御装置41は、運転表示部45により予報発報を行う(ST13)。積算時間が250時間未満の場合は(ST12:NO)、定格運転を行い、制御装置41は、冷水の出口温度が冷水の設定温度より0.5℃高くなったか否かを判断する(ST1)。
定格出力以上の運転を行い、かつ、冷却水ポンプ30を最大流量で駆動した場合の積算時間が300時間となった場合には(ST14:YES)、制御装置41は、運転表示部45により点検発報を行う(ST15)。
以上述べたように、本実施形態によれば、吸収器14と、高温再生器10と、凝縮器12と、蒸発器13と、高温再生器10を加熱するバーナ20(加熱手段)と、吸収器14および凝縮器12に冷却水を循環させる冷却水ポンプ30と、空調負荷および蒸発器13に冷水を循環させる冷水ポンプ31と、少なくとも蒸発器13の冷水出口温度を検出する冷水出口温度センサ33と、制御装置41(制御手段)と、を有し、制御装置41は、温度センサで検出された水温がしきい値を超えた状態が所定時間以上継続した場合に、定格運転から冷却水ポンプ30および冷水ポンプ31の能力を増大させる定格出力以上の運転に切り換えるとともに、定格出力以上の運転が開始されてから一定時間が経過するまでは、定格運転への切換えを行わないように制御する。
これによれば、吸収式冷凍機1の定格出力を従来よりも低く設定した場合でも、定格出力以上の運転に適正に対応することが可能となる。そのため、定格出力以上の運転に対応できる吸収式冷凍機1の定格出力を低く設定することができるので、設備コストの低減を図ることができる。また、定格出力以上の運転が開始されてから一定時間が経過するまでは、定格運転への切換えを行わないようにすることで、冷水および冷却水の供給の安定性を確保することができる。
また、本実施形態によれば、制御装置41は、定格出力以上の運転が開始されてから一定時間が経過するまでは、定格運転への切換えを行わないように制御する。
これによれば、定格出力以上の運転が開始されてから一定時間が経過するまで、定格運転への切り換えを行わないようにすることで、冷水および冷却水の供給を安定させることが可能となる。
また、本実施形態によれば、制御装置41は、定格出力以上の運転が開始されてから一定時間が経過した場合には、自動的に定格運転に切り換えるように制御する。
これによれば、定格出力以上の運転が開始されてから一定時間が経過した場合には、定格出力以上の運転が不要となる場合があるので、定格運転に切り換えることで、運転の無駄をなくすことができる。
また、本実施形態によれば、制御装置41は、定格出力以上の運転の積算時間を計測し、積算時間が一定時間を経過した場合には、予報発報を行うように制御する。
これによれば、制御装置41により、定格出力以上の運転の積算時間が一定時間を経過した場合に、予報発報を行うように制御するので、利用者は近いうちに点検が必要となることを認識することができる。
また、本実施形態によれば、制御装置41は、定格出力以上の運転の積算時間を計測し、積算時間が予報発報を行った後、一定時間を経過した場合には、点検発報を行うように制御する。
これによれば、制御装置41により、定格出力以上の運転の積算時間が予報発報を行った後、一定時間を経過した場合に、点検発報を行うように制御するので、利用者は点検が必要であることを認識することができる。
なお、本実施形態は本発明を適用した一態様を示すものであって、本発明は前記実施形態に限定されない。
例えば、本実施形態では、高温再生器10にて吸収液を加熱する加熱手段として燃料ガスを燃焼させて加熱を行うバーナ20を備える構成について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、灯油やA重油を燃焼させるバーナ20を備える構成や、蒸気や排気ガスなどの温熱を用いて加熱する構成としてもよい。
1 吸収式冷凍機
10 高温再生器
11 低温再生器
12 凝縮器
13 蒸発器
14 吸収器
15 高温熱交換器
16 低温熱交換器
20 バーナ
21 稀吸収液ポンプ
22 濃吸収液ポンプ
25 冷却水配管
26 冷水配管
27 冷媒ポンプ
30 冷却水ポンプ
31 冷水ポンプ
32 冷水入口温度センサ
33 冷水出口温度センサ
40 コントローラ
41 制御装置
42 メモリ
43 タイマ
45 運転表示部
46 燃料制御弁

Claims (4)

  1. 吸収器と、再生器と、凝縮器と、蒸発器と、前記再生器を加熱する加熱手段と、前記吸収器および前記凝縮器に冷却水を循環させる冷却水ポンプと、空気調和機および前記蒸発器に冷水を循環させる冷水ポンプと、少なくとも前記蒸発器の冷水出口温度を検出する温度センサと、制御手段と、を有し、
    前記制御手段は、前記温度センサで検出された水温がしきい値を超えた状態が所定時間以上継続した場合に、定格運転から前記冷却水ポンプおよび前記冷水ポンプの能力を増大させる定格出力以上の運転に切り換えるとともに、定格出力以上の運転が開始されてから一定時間が経過するまでは、定格運転への切換えを行わないように制御することを特徴とする吸収式冷凍機。
  2. 前記制御手段は、定格出力以上の運転が開始されてから一定時間が経過した場合には、自動的に定格運転に切り換えるように制御することを特徴とする請求項1に記載の吸収式冷凍機。
  3. 前記制御手段は、定格出力以上の運転の積算時間を計測し、前記積算時間が一定時間を経過した場合には、予報発報を行うように制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の吸収式冷凍機。
  4. 前記制御手段は、定格出力以上の運転の積算時間を計測し、前記積算時間が前記予報発報を行った後、一定時間を経過した場合には、点検発報を行うように制御することを特徴とする請求項3に記載の吸収式冷凍機。
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