JP2017171836A - 成型炭用バインダー及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
コークス炉ガスは、ガス精製設備により精製されてエネルギー源として利用されるが、このガス精製設備においてコークス炉ガスを冷却した際には多量の固液混合物が発生する。この固液混合物はタールデカンターにおいて、水分、タール、タールと固形分を含有するタール滓に静置分離され、分別回収される。
前記したタールデカンターでは、コークス炉ガスを冷却して得られた固液混合物を経時的に層分離してタール及びタール滓を回収するが、タール成分をより多く回収するためには静置分離に長時間を要していた。また、より多くタールを回収すると、残渣であるタール滓は固形分量が増えるため、スクレパーを用いてタールデカンター底部からすくい上げるように回収することが必要となり、それによって設備運転上負荷が掛かるなどの問題があった。
更には、タールを回収した後のタール滓の組成は安定していないため、タール滓を原料炭に添加する際には、品質の均一性に問題があった。
本発明は、従来は産業廃棄物や燃料としての利用が主であったタール滓を、成型炭用バインダーとして有効に利用することを目的とする。より具体的には、本発明は、タール滓を成型炭製造用に適したバインダーとして使用することを目的とする。
また本発明は、タールデカンターからの回収に際して設備運転上負荷のかかるタール滓を、負荷をかけずに回収することを目的とする。
[1] タールとタール滓との混合物からなる成型炭用バインダーであって、70℃での粘度が330mPa・s以下であり、常温から900℃迄加熱した際の重量減少量(A)が87%以下である成型炭用バインダー。
[2] 常温から400℃迄加熱した際の重量減少量(B)が44〜55%である[1]に記載の成型炭用バインダー。
[3] 常温から900℃迄加熱した際の重量減少量(A)を、常温から400℃迄加熱した際の重量減少量(B)で除した値((A)/(B))が1.40〜1.60である[1]又は[2]に記載の成型炭用バインダー。
[4] 粒度3mm以下の固形分の含有割合が5〜30重量%である[1]〜[3]の何れかに記載の成型炭用バインダー。
[5] 石炭を乾留してコークスを製造する際に副生した固液成分からタールとタール滓を回収し、これらを混合することにより、70℃での粘度が330mPa・s以下であり、常温から900℃迄加熱した際の重量減少量(A)が87%以下のものとして得ること
を特徴とする成型炭用バインダーの製造方法。
[6] 常温から400℃迄加熱した際の重量減少量(B)が44〜55%のものとして得る[5]に記載の成型炭用バインダーの製造方法。
[7] 常温から900℃迄加熱した際の重量減少量(A)を、常温から400℃迄加熱した際の重量減少量(B)で除した値((A)/(B))が1.40〜1.60のものとして得る[5]又は[6]に記載の成型炭用バインダーの製造方法。
[8] タールとタール滓の分離をタールデカンターにより行う[5]〜[7]の何れかに記載の成型炭用バインダーの製造方法。
[9] 粉炭とバインダーとを含有するコークス製造用成型炭の製造方法であって、バインダーとして[1]〜[4]の何れかに記載の成型炭用バインダーを用いるコークス製造用成型炭の製造方法。
本発明によれば、タール滓を成型炭製造用に適したバインダーとして使用する方法を提供することができる。
本発明によれば、タールデカンターからの回収に設備運転上負荷のかかるタール滓を、より負荷をかけずに回収する方法を提供することができる。
なお、以下で用いる用語については、特に明示したもの以外はJIS M0104(1984)に基づくものとする。
コークスは通常、石炭を乾留することにより製造される。乾留条件は限定されないが、通常約1000〜1400℃、高炉用コークスでは約1100〜1300℃の温度範囲で行われ、乾留後にコークス炉から押し出されて冷却することによりコークスが得られる。コークス炉では、石炭の乾留によってコークスが製造されるとともに、乾留ガスとしてタール成分及びコークス炉ガスが生成する。通常、原料石炭に対して約70質量%がコークスとなり、約30質量%が高温(約500〜800℃)の乾留ガスとしてコークス炉から排出され、タール成分及びコークス炉ガスとなる。
タール成分及びコークス炉ガスは、コークス炉に沿って配設された集気管を通って、それぞれガス精製設備、タール精製設備(タールデカンター)へと送られる。このうちタール成分は、冷却水とともにタールデカンターに送られ、冷却水、タール、タール滓に分離された後、適宜蒸留されて各種の分留品やピッチに精製される。
等のカルボル油分;ナフタレン、メチルナフタレン、高沸点タール酸やタール塩基等の中油分;洗浄油分;アントラセン等のアントラセン油分;クレオソート油等が含まれている。
本発明におけるタール及びタール滓(以下、これらを総称して「タール成分」という場合がある。)は、石炭を乾留してコークスを製造する際に副生した固液成分であるが、タールとタール滓とは明確に区別されるものではない。通常、実質的に固形分を含まない液状物をタール、固形物(スラッジ)を含むものをタール滓という。タール滓を構成する固形分としては、石炭や一部熱分解を受けた石炭が含まれる。
前記の通りコークス炉ガスから分離された水及びタール成分は、タールデカンターにおいて、水分、タール、タール滓に静置分離されて分別回収される。タールデカンター底部にはタール滓を掻き上げるためのスクレパーが設置されており、それを適宜稼働させ、底部に沈降したタール滓をタールデカンター系外へと分離回収する。スクレパーは、タールデカンター内部を稼働する際にタール部分を通過するため、分離回収されたタール滓にはタール分が一部含有されることとなる。
分離した水分は、タールデカンター上部に設置された水分排水口3(堰)からオーバーフローし、配管にてタンクへと送られる。また、分離したタールbはタールデカンター側面に設置したタール抜出口4の配管より抜きだしポンプにて蒸留設備へと送液される。
本発明の成型炭用バインダーは、タールとタール滓との混合物であって、70℃での粘度が330mPa・s以下であり、常温から900℃迄加熱した際の重量減少量(A)が87%以下であるという特定の性状を有する。以下に、その詳細を示す。
一方、本発明の成型炭用バインダーは、70℃における粘度の上限が330mPa・s以下である。70℃における粘度が330mPa・sを超過すると、成型原料炭と成型炭用バインダーとの混合が困難となるため好ましくない。また、70℃における粘度は前記と同様の理由により、好ましくは300mPa・s以下、より好ましくは250mPa・s以下、更に好ましくは200mPa・s以下である。
ここで、70℃における粘度は、東機産業株式会社製TVC−7型粘度計で測定した値を用いる。
一方、本発明の成型炭用バインダーは、常温から900℃迄加熱した際の重量減少量(A)の上限が87%以下である。常温から900℃迄加熱した際の重量減少量(A)が87%を超過すると、成型時に成型機の型部分に付着して成型炭の歩留まりが低下し、生産性が悪くなるため好ましくない。また、常温から900℃迄加熱した際の重量減少量(A)は前記と同様の理由により、好ましくは85%以下、より好ましくは83%以下である。
ここで、常温から900℃迄加熱した際の重量減少量(A)は、JIS M8812に基づいて測定することが出来る。
一方、本発明の成型炭用バインダーは、常温から400℃迄加熱した際の重量減少量(B)の上限は限定されないが、好ましくは55%以下、より好ましくは54%以下である。常温から400℃迄加熱した際の重量減少量(B)が前記の上限を超える場合は、成型時に成型機の型部分に付着して成型炭の歩留まりが低下し、生産性が悪くなる場合がある。
ここで、常温から400℃迄加熱した際の重量減少量(B)は、JIS M8812に基づき、炉の温度を400℃に設定して測定することが出来る。
本発明の成型炭用バインダーは、「常温から900℃迄加熱した際の重量減少量(A)を、常温から400℃迄加熱した際の重量減少量(B)で除した値」(以下、「(A)/(B)」として示す場合がある。)の下限は限定されないが、通常1.40以上である。(A)/(B)が1.40未満の場合は、成型原料炭と成型炭用バインダーとの混合が困難となる場合がある。また、(A)/(B)は、前記と同様の理由により、好ましくは1.44以上、より好ましくは1.48以上である。
一方、本発明の成型炭用バインダーは、(A)/(B)の上限は限定されないが、通常1.60以下である。(A)/(B)が1.60を超過すると、成型時に成型機の型部分に付着して成型炭の歩留まりが低下し、生産性が悪くなる場合がある。また、(A)/(
B)は前記と同様の理由により、好ましくは1.55以下、より好ましくは1.50以下である。
一方、本発明の成型炭用バインダーは、粒度3mm以下の固形分量の上限は限定されないが、通常30重量%以下である。粒度3mm以下の固形分量が30重量%を超過すると、成型原料炭と成型炭用バインダーとの混合が困難となる場合がある。また、粒度3mm以下の固形分量は前記と同様の理由により、好ましくは25重量%以下、より好ましくは20重量%以下である。
ここで、粒度3mm以下の固形分量は、成型炭用バインダーをベンゼン試薬にて約10分洗浄後、目開き幅3mmの篩を通過する固形分の重量を計測することで測定することが出来る。
以下に、本発明のバインダーを用いたコークス製造用成型炭(以下、「コークス製造用成型炭」を単に「成型炭」という場合がある)及びその製造方法について詳述する。本発明における成型炭は、その原料として原料炭及びバインダーを少なくとも含有し、その他成分を任意に用いることができる。
本発明が対象とする成型炭は、原料炭(成型原料炭)として粉炭を少なくとも含有する。また、粉炭を主成分とすることが好ましい。ここで「主成分」とは50重量%以上を意味する。成型原料炭中の粉炭の含有割合は、より好ましくは70重量%以上、更に好ましくは80重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
本発明において「粉炭」とは、粉状の石炭を意味し、通常、粒径が3mm以下の石炭粒子を70〜90重量%程度の範囲で含有する。すなわち、使用する原料炭の粒径が前記範囲に該当するものである場合は、原料炭が全て粉炭で構成されていることを意味する。なお、粉炭は石炭を粉砕することによって一般的に製造される。
前記粘結炭とは、加熱したときに軟化溶融する性質(粘結性)をもつ石炭をいう。コークスは、製鉄時における高炉内の充填層の圧力に耐えて高い空隙率を保つのに十分な強度が必要であるとともに、微粉の発生を抑制しうる高い耐摩耗性が必要であるが、この特性を付与するためにコークス原料として粘結炭を用いることが好ましい。
前記非微粘結炭の反射率は特に限定されないが、好ましくは0.80%以下であり、より好ましくは0.50〜0.79%であり、更に好ましくは0.60〜0.78%である。なお、非微粘結炭の反射率とは、ビトリニットの平均最大反射率であり、たとえば、JIS M8816で規定される方法(反射率測定方法)で測定することができる。
コークス原料炭として非微粘結炭の使用比率を増大させる手法としては、成型炭の原料として高い含有割合で用いることによって達成することができる。更には後述する通り、成型炭の原料としてバインダーを最適化して添加することも効果的である。
本発明が対象とする成型炭は、原料炭とともに少なくとも、タールとタール滓とを混合することによって得られる本発明の成型炭用バインダーを含有する。バインダーとしては、本発明の成型炭用バインダー以外のものを併用することもできる。具体的には、例えば、ボトムピッチや、石油ピッチ(アスファルトピッチ)、石油アスファルト等の瀝青物、溶剤精製炭(溶剤脱瀝ピッチ)等が挙げられる。
ここで本発明において「ピッチ」「石油ピッチ」とは、石油を蒸留したときに残るタール状のアスファルトを、更に真空蒸留して残る黒色の樹脂状の物質、又はそのアスファルトを意味する。
また、ボトムピッチとは、コールタールを蒸留した際に、軽質分を留去して得られる重質成分(残留成分)を意味し、一般に「軟ピッチ」、「中ピッチ」、「硬ピッチ」と呼ばれるものが該当する。「軟ピッチ」、「中ピッチ」、「硬ピッチ」とは、コールタール常圧蒸留物を軟化点(環球法)で区分した際に、それぞれ「70℃以下」、「70〜85℃」、「85℃以上」の留分を意味する。
また、成型炭中のバインダーの含有量の上限も限定されないが、通常10重量%以下、好ましくは8重量%以下、より好ましくは6重量%以下である。成型炭中のバインダーの含有量が前記上限を超過すると、コークス炉内にカーボンが付着し、炉の閉塞が生じる場合がある。
本発明における成型炭の製造方法は、原料炭としての粉炭とバインダーを混合し、成型することによって行われ、主として以下の工程を有する。ここで工程1は任意である。
[工程1]成型原料炭を混合する。
[工程2]配合された成型原料炭とバインダーとを混合する。
[工程3]工程2の配合物を成型する。
工程1は原料炭を配合し混合して粉炭とする工程であり、原料炭として前記の粘結炭及び非微粘結炭を適宜配合し混合する。具体的には、原料となる石炭を移送する過程で自然配合することで混合してもよいが、均質化するためには混練機を用いることが好ましい。また、予め粉砕されている粘結炭及び非微粘結炭を配合して粉炭としてもよいし、原料炭を配合した後に、これを粉砕して粉炭としてもよい。通常、原料炭の粉砕には粉砕機が使用される。
原料炭を混合する際の温度は限定されないが、通常20〜80℃である。また、原料炭を混合する時間も限定されないが、通常1〜10分である。
なお、原料炭の混合及び粉砕は、この工程及び設備を成型炭製造用に独立して設けてもよいが、成型原料炭以外のコークス原料炭を配合、粉砕する工程及び設備をそのまま採用することもできる。すなわち、コークス原料炭を混合、粉砕する工程から、その一部を成型原料炭(粉炭)として分取すればよい。
工程2は、原料炭としての粉炭とバインダーを混合する工程である。原料炭とバインダーとを混合する方法は限定されないが、通常は混合装置(混合機)を用いて行われる。混合機としては、例えば、回転円板型混合機である新東工業社製「ミックスマラー混合機」、ケイハン社製「KBミキサー混合機」或いは、円筒横型混合機である中央機工社製「レディゲミキサー」、太平洋機工社製「アペックスミキサー」等が挙げられる。
なお、バインダーとして2種以上を用いる場合は、予めこれらを混合して用いてもよいし、一方又は一部は工程1において粉炭と混合しておき、他方又は残部を工程2で混合してもよい。
一方、温度の上限は特に限定されないが、通常200℃以下、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下である。混合する際の温度が前記上限を超過すると、バインダー成分から引火性のガスが発生して混合機内部で爆発の恐れが生じ、混合機内部へ窒素などの不活性な気体を注入する必要性が生じる場合がある。
なお、混合機の温度は使用する熱媒体の温度で調整することができる。
工程3は、工程2で得られた配合物を成型して成型炭を得る工程である。成型炭を成型する方法は限定されないが、通常、成型炭の形状が凹型となった金型や木枠、又は加圧成型機等を用いた成型が行われる。加圧成型機を使用すると、連続的に大量生産出来るだけでなく、大量の成型炭を一度にムラ無く圧密することができ、粉炭粒子の接着性を向上させることができる。
加圧成型機の方式や機構は限定されないが、成型炭の形状が形成された凹部を有する1対のローラー型の金型を使用し、該ローラーが回転する際に成型炭原料が凹部に充填されて圧縮される機構であることが好ましい。
このような加圧成型機による加圧条件は特に限定されないが、圧力(線圧)0.8〜2.0t/cmが好ましく、1.0〜1.2t/cmがより好ましい。加圧が上記範囲より小さいと、十分な強度を有する成型炭が得られない場合がある。
本発明が対象とする成型炭は、コークス製造用の成型炭として用いる限り使途は限定されないが、製鉄用に好適に用いることができ、特に高炉用に好適に用いることができる。
本発明の製造方法によって得られた成型炭の形状や諸特性は限定されないが、具体的に
は以下の通り例示される。
成型炭の厚さは、通常10〜50mmであり、好ましくは24〜35mmである。成型炭の厚さが大き過ぎると、成型加工時に成型機からの剥離性が低下する傾向がある。一方、成型炭の厚さが小さすぎると、生産性が低下する傾向があり、また、成型炭を用いることによるコークス品質の向上効果が低減する傾向がある。なお、成型炭の厚さは、成型炭本体(突起部位等を除く)の最短径を意味する。
本発明の製造方法によって得られた成型炭は、通常、コークス原料炭と混合されてコークス炉内へ装入される。
コークス原料として粉炭とともに成型炭を用いることにより、コークスの強度が向上する。その主な理由は、以下の通りである。(1)コークス原料炭の一部を成型炭とすることにより、石炭粒子間の間隔が狭くなり粘結性が向上する。(2)コークス製造時に成型炭部の膨張性が増大することにより、周囲にある粉炭部の圧密化が促進され、粉炭部の粘結性も向上する。(3)成型炭に含有される粘結材により、粉炭の軟化溶融性が向上する。
まず、原料ヤード(貯炭場)よりベルトコンベアー等を用いて原料となる石炭を配合槽へ移送する。コークスの原料となる石炭は前記の通り、粘結炭や非微粘結炭である。配合する際の温度や配合時間は、前記した成型炭を製造する際の工程1と同様である。配合槽にて目的とする配合割合で原料の石炭を配合した後、これを粉砕機で粉砕することにより、コークス原料炭としての粉炭を得ることが出来る。また、石炭を予め粉砕しておき、これを配合してもよい。
なお、前述の通り、ここで配合、粉砕したコークス原料炭の一部を分取して成型原料炭
として用いることが出来る。
粉炭と成型炭との混合割合は限定されないが、成型炭を通常10重量%以上、好ましくは15重量%以上で配合することが望ましく、一方、通常50重量%以下、好ましくは40重量%以下、より好ましくは30重量%以下で配合することが望ましい。成型炭の配合割合が前記下限未満であると、成型炭を石炭塔に導入する際に、石炭塔内で成型炭の存在割合に偏り(偏析)が生じる場合がある。一方、成型炭の配合割合が前記上限を超過すると、得られるコークスの強度が低下する場合がある。
これに対し、本発明の製造方法により得られた成型炭は、従来の方法で製造された成型炭と同等以上の強度を有することが可能であり、更には、成型炭の形状を最適化したり、成型炭の製造方法を最適化することにより、より強度の高いコークスを製造することができる。このため、上記のような問題点を解消することが出来る。
<成型原料炭>
以下の成型原料炭をそれぞれ粉砕し、粉炭(粒径が3mm以下のものを70〜90重量%含有)としたものを使用した。粘結炭を30重量%、非微粘結炭を70重量%の割合で配合し、水分を9.5重量%に調整した配合炭とした。
・粘結炭 : 反射率1.46%、最高流動度2.03Log DDPM、揮発分18.6%
・非微粘結炭: 反射率0.70%、最高流動度2.64Log DDPM、揮発分36.4%
<バインダー>
・アスファルトピッチ: 石油由来のアスファルトソルベントピッチ(ASP)を使用した(軟化点:252℃)。
<70℃での粘度>
東機産業株式会社製、TVC−7型粘度計を使用し、70℃で測定した。
<900℃迄の加熱減少量(A)>
JIS M8812に基づいて測定した。
<400℃迄の加熱減少量(B)>
JIS M8812に基づき、炉の温度を400℃に設定して測定した。
<粒度3mm以下の固形分量>
成型炭用バインダーをベンゼン試薬にて約10分洗浄後、目開き幅3mmの篩を通過する固形分の重量を計測することで測定した。
成型原料炭、成型炭用バインダー及びアスファルトピッチを混練して得た成型炭原料(原料混合物)を、図3(a)に示す成型機に約20g装入し、40MPaにて30秒間加圧することにより、直径30mm、高さ30mmの円筒形状の成型炭を得た。
得られた成型炭を、図3(b)に示す圧壊試験機(今田製作所製、SV−55C−20M型)に設置し、圧縮速度30mm/minの速度で圧縮して破壊時の強度を測定した。なお、成型炭は図3(b)に示す通り、円形断面が縦方向となるように設置した。
コークス炉のガス精製設備から分離された冷却水及びタール成分を図1に示すタールデカンターに供給し、常温にて十分に静置することにより、水、タール及びタール滓に分離した。分離後、タール層からタールを、底部からタール滓をそれぞれ回収した。
得られたタールとタール滓を、配合割合が90:10となるように十分に混合して成型炭用バインダーを調整した。
得られた成型炭用バインダーの性状を分析した結果、70℃での粘度が80mPa・s、900℃迄の加熱減少量(A)が81.0重量%、400℃迄の加熱減少量(B)が54.8重量%であった。
前記の成型原料炭97重量部に対し、上記で得たバインダーを5重量部、アスファルトピッチを3重量部加えて手作業で約2分間混練した。
混練した原料混合物を用い、前記した方法で成型炭を製造し、圧壊強度を測定した結果、71.0Nであった。
タールとタール滓との配合割合を表−1に示す通りとした以外は実施例1と同様にして成型炭用バインダーをそれぞれ調整した。得られた成型炭用バインダーの性状を実施例1と同様に測定した結果を表−1に示す。
得られた成型炭用バインダーを使用し、実施例1と同様にして成型炭を製造し、圧壊強度を測定した結果を表−1に示す。
タールとタール滓とを配合した成型炭用バインダーを用いずに、タールをそのまま成型炭用バインダーとして用いた。タールの性状を実施例1と同様に測定した結果を表−1に示す。
成型炭用バインダーとしてタールを使用し、実施例1と同様にして成型炭を製造し、圧壊強度を測定した結果を表−1に示す。
タールとタール滓とを配合した成型炭用バインダーを用いずに、タール滓をそのまま成型炭用バインダーとして用いた。タール滓の性状を実施例1と同様に測定した結果を表−1に示す。
成型炭用バインダーとしてタール滓を使用し、実施例1と同様にして成型炭を製造し、圧壊強度を測定した結果を表−1に示す。
コークス炉のガス精製設備から分離された冷却水及びタール成分を図1に示すタールデカンターに供給し、4時間静置した。その後、図2に示すタールデカンターのスクレパーを起動して連続運転した。スクレパー起動後の所定時間経過後に(タールが混合されている)タール滓をサンプリングし、実施例1と同様に70℃での粘度を測定した。
得られた70℃での粘度の値と、実施例1〜3及び比較例2で測定した70℃での粘度を対比し、これに相当するスクレパー起動時間のサンプルを確認した結果を表−1に示す。実施例1〜3及び比較例2で作成した成型炭用バインダーは、タールデカンターから回収したタールとタール滓とを混合して得たものであるが、表−1の結果から、同等の性状を有する成型炭用バインダーは、タールデカンターのスクレパー起動時間を調節してタール滓として回収することによっても達成出来ることが判った。
2 固液混合物流入口
3 水分排出口
4 タール抜出口
5 タール滓排出口
6 スクレパー
7 スクレパー駆動部
8 タール滓受器
9 評価用成型機
10 圧壊強度試験機
a 水分
b タール
c タール滓
d 成型炭原料
e 成型炭
Claims (9)
- タールとタール滓との混合物からなる成型炭用バインダーであって、70℃での粘度が330mPa・s以下であり、常温から900℃迄加熱した際の重量減少量(A)が87%以下である成型炭用バインダー。
- 常温から400℃迄加熱した際の重量減少量(B)が44〜55%である請求項1に記載の成型炭用バインダー。
- 常温から900℃迄加熱した際の重量減少量(A)を、常温から400℃迄加熱した際の重量減少量(B)で除した値((A)/(B))が1.40〜1.60である請求項1又は2に記載の成型炭用バインダー。
- 粒度3mm以下の固形分の含有割合が5〜30重量%である請求項1〜3の何れか1項に記載の成型炭用バインダー。
- 石炭を乾留してコークスを製造する際に副生した固液成分からタールとタール滓を回収し、これらを混合することにより、70℃での粘度が330mPa・s以下であり、常温から900℃迄加熱した際の重量減少量(A)が87%以下のものとして得ることを特徴とする成型炭用バインダーの製造方法。
- 常温から400℃迄加熱した際の重量減少量(B)が44〜55%のものとして得る請求項5に記載の成型炭用バインダーの製造方法。
- 常温から900℃迄加熱した際の重量減少量(A)を、常温から400℃迄加熱した際の重量減少量(B)で除した値((A)/(B))が1.40〜1.60のものとして得る請求項5又は6に記載の成型炭用バインダーの製造方法。
- タールとタール滓の分離をタールデカンターにより行う請求項5〜7の何れか1項に記載の成型炭用バインダーの製造方法。
- 粉炭とバインダーとを含有するコークス製造用成型炭の製造方法であって、バインダーとして請求項1〜4の何れか1項に記載の成型炭用バインダーを用いるコークス製造用成型炭の製造方法。
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CN115400688A (zh) * | 2022-09-01 | 2022-11-29 | 陕西北元化工集团股份有限公司 | 以焦油渣、煤粉为原料结球的方法 |
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- 2016-03-25 JP JP2016062090A patent/JP6877886B2/ja active Active
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CN115400688A (zh) * | 2022-09-01 | 2022-11-29 | 陕西北元化工集团股份有限公司 | 以焦油渣、煤粉为原料结球的方法 |
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