JP2017171778A - Smcおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】材料温度の上昇速度を増加させて、樹脂コンパウンドの硬化時間ひいては成形体の成形時間を短縮することができるSMCおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】無機フィラーを含む樹脂コンパウンドとガラス繊維とからなるSMCであって、無機フィラーは、少なくともアルミナとアルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーとが併用されるものであり、アルミナとアルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーとの合計量に対し、アルミナの割合が8質量%以上70質量%以下であるものとする。
【選択図】図2

Description

本発明は、SMCおよびその製造方法に関する。
従来より、熱硬化型の樹脂コンパウンドとガラス繊維を混合してシート状に成形したSMC(シートモールディングコンパウンド、Sheet Molding Compounds)を用いて樹脂成形体を製造することが知られている。そして、SMCからの成形体は、意匠性と強度を兼ね備えていることから浴槽、洗面台やキッチンカウンター等に広く使用されている。
このようなSMCの組成やその製造方法については、従来より様々な提案がなされている。例えば、成形体を高強度かつ均質とし、また、ミミ部と呼ばれるガラス繊維の含まれていない部分の発生を抑制するためのSMC組成とその製造方法が提案されている(特許文献1)。また、樹脂コンパウンドを構成する樹脂やポリマー素材の選択により、成形体の表面平滑性や光沢性を良好なものとするためのSMC組成とその製造方法も提案されている(特許文献2)。
特開2013−216823号公報 特開平9−241496号公報
しかしながら、これまでの様々な提案にもかかわらず、従来では、樹脂コンパウンドの温度上昇が遅く、SMC製造に要する時間が長くなり、SMCの製造工程を短縮することが難しいという問題があった。
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、材料温度の上昇速度を増加させて、樹脂コンパウンドの硬化時間ひいては成形体の成形時間を短縮することができるSMCとその製造方法を提供することを課題としている。
上記の課題を解決するために、本発明のSMCは、無機フィラーを含む樹脂コンパウンドとガラス繊維とからなるSMCであって、前記無機フィラーは、少なくともアルミナとアルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーとが併用されるものであり、アルミナとアルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーとの合計量に対し、アルミナの割合が8質量%以上70質量%以下であることを特徴とする。
また、本発明のSMCの製造方法は、無機フィラーを含む樹脂コンパウンドとガラス繊維を混合してシート状に成形してなるSMCの製造方法であって、前記無機フィラーは、少なくともアルミナとアルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーとが併用されるものであり、アルミナとアルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーとの合計量に対し、アルミナを8質量%以上70質量%以下の割合で添加することを特徴とする。
本発明のSMCによれば、前記のとおりのアルミナとアルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーとの併用によって、成形体の重量増加を抑えつつ、材料温度の上昇速度を増加させて、樹脂コンパウンドの硬化時間ひいては成形体の成形時間を短縮することができる。
無機フィラーの比重と熱伝導率の関係を示したグラフである。 本発明のSMC中に含有される無機フィラー中のアルミナの添加率と熱伝導率の関係を示したグラフである。図中縦軸の熱伝導率の値は、無機フィラーのみの熱伝導率を測定した値を示している。図中白丸は、本発明の実施例1の結果を示している。 本発明のSMC中に含有される無機フィラー中のアルミナの添加率と比重の関係を示したグラフである。図中縦軸の比重の値は、無機フィラーのみの比重を測定した値を示している。
以下に、本発明のSMCおよびその製造方法について、詳細に説明する。
本発明のSMCは、無機フィラーを含む樹脂コンパウンドとガラス繊維とからなるSMCであって、前記無機フィラーは、少なくともアルミナとアルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーとが併用されるものである。また、アルミナとアルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーとの合計量に対し、アルミナの割合が8質量%以上70質量%以下である。
なお、「樹脂コンパウンド」の用語には、主剤となる樹脂に加え、必要に応じて配合される低収縮剤、硬化剤等の各種添加剤を含有するものが含まれる。
また、前記「無機フィラー」は、少なくともアルミナとアルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーとが併用されるものである。本発明は、このような併用を前記のとおりの特定の割合とすることを必須としている。
図1は、従来より知られている各種の無機フィラーの比重と熱伝導率の関係を示したグラフである。
例えば、この図1に例示したように、従来よりSMCに主に使用されている無機フィラーとしては、比較的比重の小さい炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム等が例示される。しかしながら、これらの無機フィラーでは、図1の破線で丸囲みされた部分に示すように、低比重であるものの熱伝導率が低いため、樹脂コンパウンドの温度上昇が遅く、SMCの成形に要する時間が長くなる。このため、SMCを用いた成形体の製造工程を時間短縮することが難しい。
一方、図1の実線で丸囲みされた部分に示すように、炭化ケイ素SiC、アルミナ、酸化亜鉛ZnO等の無機フィラーについては、熱伝導率は高いものの、比重が3.0以上と比較的大きいため、添加量が増大するに連れて、得られるSMCの重量が増大する。このように比重の高い無機フィラーを用いることによりSMCの重量が増大すると、SMCやその成形体のとり回しが悪くなり、輸送コストの上昇等の問題も生じかねない。また、樹脂コンパウンド中で、これらの無機フィラーが沈降してしまい、比重の偏りが生じるのみならず、加熱成形時に温度ムラが生じることにより、SMCおよびそれを用いた成形体の均一な硬化成形が妨げられるおそれもあった。
このような背景から、本発明者は、SMCに配合される無機フィラーの熱伝導率と比重のバランスに着目し、前記のとおりの本発明の構成として特定している。
アルミナは、図1の実線で丸囲みされた部分に示すように、通常、熱伝導率が60W/m・Kであり、比重が3.95g/cmと熱伝導率が高く、比重も高い。
一方、アルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーとしては、例えば、炭酸カルシウムや水酸化アルミニウム等が例示される。炭酸カルシウムは、図1の破線で丸囲みされた部分に示すように、通常、熱伝導率が0.6W/m・Kであり、比重が2.71g/cmと熱伝導率が低く、比重もアルミナより低い。水酸化アルミニウムは、通常、熱伝導率が1.5W/m・Kであり、比重が2.42g/cmと熱伝導率が低く、比重もアルミナより低い。
これらアルミナとアルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーとが、本発明においてSMCに併用配合されている。そして、この併用では、アルミナとアルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーの含有量に対し、アルミナの割合が8質量%以上70質量%以下になるようにする。
本発明のSMC中に含有される無機フィラー全体の熱伝導率の値としては、例えば、5.0W/m・Kを上回ることが好ましく考慮される。
図2は、本発明のSMC中に含有される無機フィラー中のアルミナの添加率と熱伝導率の関係を示したグラフである。図中縦軸の熱伝導率の値は、樹脂コンパウンドを含まない無機フィラーのみの熱伝導率を測定した値を示している。アルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーとしては、水酸化アルミニウムを用いたものであり、アルミナを添加しない場合は、熱伝導率が1.5W/m・Kである。一方、水酸化アルミニウムにアルミナを8質量%添加した場合、無機フィラーの熱伝導率は6.0W/m・Kと4倍程度上昇する。また、図2には、アルミナの添加率が増加するに連れて、熱伝導率の値が比例的に上昇することも示されている。
本発明のSMC中に含有される無機フィラーの比重の値としては、例えば、3.5g/cm以下であることが好ましく考慮される。また、本発明のSMCの成形体の比重としては、2.0g/cm以下であることが好ましく考慮される。
図3は、本発明のSMC中に含有される無機フィラー中のアルミナの添加率と比重の関係を示したグラフである。図中縦軸の比重の値は、無機フィラーのみの比重を測定した値を示している。図中に破線で示したように、アルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーとしての水酸化アルミニウムとアルミナの合計量に対するアルミナの添加率が70質量%を超えると、無機フィラーの比重が3.5g/cmを上回り、SMCの成形体の重量が増大し、とり回ししにくくなる。しかしながら、低熱伝導・低比重無機フィラーへのアルミナの添加率を70質量%以下に抑えると、無機フィラーの比重を3.5g/cm以下に抑制することができる、このような無機フィラーを含有するSMCの成形体を製造した場合、成形体の比重を2.0g/cm以下にすることが可能となる。
これら図2、3に示すように、アルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーにアルミナを添加して、混合、併用することにより、無機フィラー全体としての熱伝導率の値を5.0W/m・K超と高く保ったまま、その比重を3.5g/cm以下に低下させることができる。そのためには、例えば、無機フィラーの全量に対し、アルミナの添加量が8質量%以上70質量%以下、特に、15質量%以上40質量%以下の範囲であることが好ましく考慮される。前記アルミナの添加量が上記の範囲内であれば、成形体の重量を抑えつつ、材料温度の上昇速度を増加させて、樹脂コンパウンドの硬化時間ひいては成形体の成形時間を短縮することができる。
なお、アルミナとアルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラー、無機フィラー全体の熱伝導率としては、例えば、熱線法により測定された値を用いることが例示される。無機フィラーを含有するSMCや、このSMCの成形体についても同様の方法により測定された熱伝導率の値を用いることができる。
また、アルミナとアルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラー、無機フィラー全体の比重としては、例えば、JIS Z2512(2012)の金属粉−タップ密度測定方法によって測定された値を用いることが例示される。無機フィラーを含有するSMCや、このSMCの成形体の比重については、例えば、JIS K7112(1999)によって測定された値を用いることが例示される。
そしてまた、アルミナとアルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーの合計量が樹脂コンパウンドの全量に占める割合としては、無機フィラー全体の熱伝導率、比重について上記のとおりの観点を考慮して、例えば、40質量%以上80質量%以下の範囲が好ましく考慮される。無機フィラーの占める割合が、上記の範囲内であれば、硬化成形前における樹脂コンパウンドの流動性が保たれ、しかも得られるSMCの成形体の耐衝撃性も十分なものとなる。
本発明では、SMCの硬化時間、樹脂コンパウンドを含まない無機フィラーのみの比重および無機フィラーを含有するSMCの成形体の比重を評価指標として、好ましい無機フィラーの配合を決定することができる。具体的には、無機フィラーのみの比重が3.5g/cm以下、さらに無機フィラーを含有するSMCを用いて製造したFRPの比重が2.0g/cm以下であることを好適な目安とすることができる。
なお、本発明のSMCにおいては、本発明の目的、効果を阻害しない範囲において、必要に応じてアルミナ以外の高熱伝導・高比重の、例えば、SiC、ZnO等の他種の無機フィラーを配合してもよい。
前記樹脂コンパウンドの主剤としては、通常、前記SMCに用いられている樹脂であれば、特に限定されない。例えば、不飽和ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂を単独または2種類以上併用したものが例示される。このような樹脂コンパウンドには、必要に応じて、サイズ剤等を添加することができる。
前記SMCの色は、製造する浴槽、洗面台やキッチンカウンター等の色および模様に応じて着色することが可能であり、特に限定されない。例えば、前記樹脂コンパウンドに染料、顔料、着色用のトナー等を添加することにより着色することができる。
また、前記樹脂コンパウンドには、前記無機フィラーの熱伝導率に影響を及ぼさない限りにおいて、低収縮剤、硬化剤、重合防止剤、離型剤、増粘剤、低収縮剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を必要に応じて添加することができる。
硬化剤としては、例えば、t−ブチルパーオキシベンゾエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエートやt−ヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート等の有機過酸化物等が例示される。硬化剤の選択は、SMCの製造温度によって半減期温度の値に基づいて行うことができる。また、硬化剤の配合量は、熱硬化性樹脂の種類によって設定することができる。例えば、熱硬化性樹脂としてビニルエステル樹脂を使用する場合、硬化剤の配合量は、熱硬化性樹脂100質量部に対して0.5質量部〜5質量部の範囲が好ましく例示される。
増粘剤としては、通常、SMCの製造に用いられる増粘剤であれば、特に限定されることはなく、例えば、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、イソシアネート等が例示される。酸化マグネシウムは、例えば、直径75μm以下の#40番手(BET表面積46cm/g)のものや、活性度の高い#100番手(BET表面積85cm/g)のもの等が好適に例示される。増粘剤は、単独または2種類以上の併用が可能である。
前記増粘剤の添加量は、例えば、前記樹脂コンパウンドの全量に対して0.2質量部以上5質量部以下、好ましくは0.5質量部以上1.5質量部以下の範囲が例示される。
架橋剤としては、例えば、熱硬化性樹脂として不飽和ポリエステル樹脂を用いる場合、不飽和の疎水性ビニルモノマーが例示される。具体的には、例えば、スチレンやメタクリル酸メチル、モノクロロスチレン、ジアリルフタレート、トリアリルフタレート等が例示される。
前記ガラス繊維としては、通常、SMCに用いられているものであれば特に制限されず、例えば、長さが1cm〜5cmのものが例示される。前記ガラス繊維としては、単繊維状に解繊されたものであっても良いし、複数本の短繊維が編み込まれたガラスロービング状のものであってもよい。さらには、上記のガラス繊維を織布や不織布等あらかじめマット状に成形しておき、これを前記樹脂コンパウンドに含浸させることにより、SMCの原料とすることも好ましく考慮される。
そして、前記無機フィラーを含有する前記樹脂コンパウンドと、前記ガラス繊維をマット状に形成し、必要に応じて養生した後、金型内に供給し、例えば、プレス機等を用いて加熱加圧成形することが可能である。加熱成形条件は、前記樹脂コンパウンドの主剤が硬化する条件であれば特に限定されないが、例えば、成形温度として常温〜160℃の範囲が例示される。この範囲内にあると、アルミナの熱伝導率が高いため、従来よりも短時間で前記樹脂コンパウンドを硬化させることができ、SMCの製造速度を向上させることが可能となる。
また、成形時の圧力としては、例えば、0.3MPa〜3.0MPaの範囲が例示される。
得られるSMCの大きさとしては、例えば、厚みが1mm〜5mmであり、幅が0.75m〜1.5mであり、長さが400mm〜600mmの範囲内が例示される。上記の範囲内にあれば、最終製品の成形体の製造工程における取り扱いが良好となる。
また、得られるSMCは、単層で用いてもよいし、2層以上の層状に重ね合わせたものを複合化して用いることも可能である。前記SMCを2層以上の層状に重ね合わせて用いる場合、使用時における表面側に配置されるSMCと、内部面、および使用時における裏面側に配置されるSMCは、相互に異なる色調のものを用いることが好ましく考慮される。このように相互に色調の異なるSMCを積層したものを、金型により加熱加圧成形することにより、金型内で溶融したSMCが流動して、大理石等の自然石に良く似た外観の流れ柄を形成することも可能となる。
以上の製造方法によって得られたSMCは、浴槽、洗面台やキッチンカウンター等の成形に幅広く適用することができる。
以下に実施例を示すが、SMCは、実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
熱硬化性樹脂として不飽和ポリエステル樹脂(昭和電工株式会社製、M−540)89質量部に、低収縮剤としてポリスチレン(PSジャパン製、GPPS)のスチレン40%溶液を3質量部、スチレン(三菱化学株式会社製、CAS(100−42−5)準拠スチレンモノマー)を4質量部、硬化剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(日本油脂株式会社製、パーブチルZ)1質量部、重合防止剤としてp−ベンゾキノン(和光純薬製)0.05質量部、離型剤としてステアリン酸亜鉛(川村化学工業製)5質量部、無機フィラーとして、アルミナ(東京化成製)16質量部、アルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーとして水酸化アルミニウム(昭和電工株式会社製)184質量部を添加した。これらの混合物をミキサーを用いて攪拌し、樹脂コンパウンドの主剤を調製した。この主剤に対し、増粘剤として酸化マグネシウム(協和化学株式会社製、キョーワマグ#40)1質量部、低収縮剤としてポリスチレン(GPPS、PSジャパン製)を6質量部と、顔料としてトナー10質量部を添加した。これらの混合物をミキサーを用いて攪拌し、樹脂コンパウンドを調製した。
この樹脂コンパウンドに、長さ約25mmに裁断したガラス繊維(日東紡製)をSMCの総重量の22質量%となるように混合し、これらの混合物をミキサーを用いて攪拌し、シート状に成形した後、1MPa、160℃で加熱加圧成形し、SMCの成形体を作製した。
(実施例2)
無機フィラーとして、アルミナ80質量部、アルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーとして、水酸化アルミニウム120質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてSMCの成形体を作製した。
(実施例3)
無機フィラーとして、アルミナ120質量部、アルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーとして、水酸化アルミニウム80質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてSMCの成形体を作製した。
(比較例1)
無機フィラーとして、アルミナを用いず、水酸化アルミニウム200質量部に変更したこと以外は、実施例1と同様にしてSMCの成形体を作製した。
実施例および比較例で作製したSMCの成形体について、無機フィラー全体の熱伝導率、アルミナ以外の無機フィラーの熱伝導率、成形体比重および硬化時間を測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 2017171778
表1に示されるように、従来と同様に無機フィラーとしてアルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーのみを含有する比較例1のSMCの成形体では、無機フィラーの熱伝導率が1.5W/m・K、比重が1.79g/cmであり、硬化時間は140秒であった。一方、表1および図2の図中白丸で示すように、無機フィラー中にアルミナが8%添加されている実施例1のSMCの成形体については、無機フィラーの熱伝導率が6.0W/m・Kとなり、比較例1の約4倍と大幅に向上することが確認された。また、従来と同様にアルミナが添加されていない無機フィラーを用いた比較例1のSMCの成形体の硬化時間が140秒であるのに対し、実施例1のSMCの成形体の硬化時間は125秒となり、10%程度硬化時間を短縮できることが確認された。さらに、樹脂コンパウンドの温度を所定の硬化温度まで上昇させるに要する時間、すなわち、温度上昇時間は、比較例1のSMCの成形体では30秒であるのに対し、実施例1のSMCの成形体では15秒となり、温度上昇時間を1/2程度にまで短縮可能であることも確認された。
また、実施例1のSMCの成形体については、表1に示すように、比重が1.81g/cmとなり、3.5g/cmを下回ることが確認された。しかも、この成形体の比重は、従来と同様に無機フィラーとしてアルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーのみを含有する比較例1のSMCと遜色ないレベルの比重であることが確認された。
実施例2、3についても同様の傾向が認められることが確認された。
以上の結果から、本発明のSMCおよびその製造方法によれば、成形体の重量増加を抑えつつ、材料温度の上昇速度を増加させて、樹脂コンパウンドの硬化時間ひいてはSMCの成形時間を短縮可能であることが確認された。

Claims (8)

  1. 無機フィラーを含む樹脂コンパウンドとガラス繊維とからなるSMCであって、
    前記無機フィラーは、少なくともアルミナとアルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーとが併用されるものであり、アルミナとアルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーとの合計量に対し、アルミナの割合が8質量%以上70質量%以下であることを特徴とするSMC。
  2. 前記アルミナとアルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーの合計量に対し、アルミナの割合が15%質量以上40質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載のSMC。
  3. 前記アルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーの熱伝導率が5W/m・K以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のSMC。
  4. 前記アルミナとアルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーの樹脂コンパウンドの全量に占める割合が40質量%以上80質量%以下であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のSMC。
  5. 無機フィラーを含む樹脂コンパウンドとガラス繊維を混合してシート状に成形してなるSMCの製造方法であって、
    前記無機フィラーは、少なくともアルミナとアルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーとが併用されるものであり、アルミナとアルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーとの合計量に対し、アルミナを8質量%以上70質量%以下の割合で添加することを特徴とするSMCの製造方法。
  6. 前記アルミナとアルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーの合計量に対し、アルミナの割合が15質量%以上40質量%以下であることを特徴とする請求項5に記載のSMCの製造方法。
  7. 前記アルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーの熱伝導率が5W/m・K以下であることを特徴とする請求項5または6に記載のSMCの製造方法。
  8. 前記アルミナとアルミナよりも低熱伝導・低比重の無機フィラーの樹脂コンパウンドの全量に占める割合が40質量%以上80質量%以下であることを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載のSMCの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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