JP2017171334A - 揮発性物質発散具およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】使用に簡単な操作でより多くの揮発性物質を空気中に速やかに発散させることができる揮発性物質発散具を提供する。この揮発性物質発散具を用いることで、使用時に、揮発性物質を迅速に強く作用させることができる。【解決手段】揮発性物質を空気中に発散させるための揮発性物質発散具10であって、熱可塑性樹脂組成物の多孔質構造体により形成された外覆部1と、前記外覆部の内部に収容された揮発性物質2が封入された破割性容器3とを有することを特徴とする揮発性物質発散具10。【選択図】 図1

Description

本発明は、未使用時には揮発性物質等を安定に保管でき、使用時にその揮発性物質をより多く発散させ、効率的に揮発性物質を作用させることのできる発散具に関する。
従来から、必要時に芳香剤や消臭剤等の揮発性物質を空気中に発散させることで、その効果を得ることができる様々な器具や装置が提案されている。
例えば、揮発性物質を発散させるための発散装置として、本出願人は、微多孔質プラスチック製の中空密閉容器内に薬剤や香料等を充填させた破割自在なアンプルを内包した発散装置を開示している(特許文献1)。この発散装置は保存・取扱いが安全かつ簡便な装置に関するものである。しかしながら、その微多孔質プラスチック製の中空密閉容器に、エチレン酢酸ビニル共重合体等の分子構造としての微多孔を有するプラスチックを利用して、充填されている揮発性物質を発散させるものであり、揮発性物質が外部に発散されるまでに時間を要することが多い。
この特許文献1の発散装置をさらに改良するために、本出願人は、特許文献2において、香料等の揮発性物質を封入した破割性アンプルを、可撓性を有する外側容器の内部に収容させ、外側容器の発散口に吸収性素材を装着した揮発性物質発散具を開示している。この揮発性物質発散具は、外側容器を折り曲げ、内部の破割性アンプルを破割することで、香料等が吸収性素材に一旦吸収させた後に、発散口から発散させるため、より迅速かつ効果的に揮発性物質を発散させることができる。さらに、過度な折り曲げや、撓ませたり戻したりする動作を繰り返しても揮発性物質が外部に漏れだすのを効果的に回避する構成を開示するものである。
実公昭58−160042号公報 特開2003−250630号公報
一般的に、プラスチックは、架橋した分子鎖間に空間が発生するので、微多孔が存在し、わずかながらに通気性を有するが、その微多孔としての空間は少なく、プラスチック容器の内部に収容される揮発性物質等の容器の外部への揮発性は低い。そのため、特許文献1に開示されているような微多孔質プラスチック製の中空容器に薬剤を封入した破割性のアンプルを内包した発散具は、揮発性物質が迅速に発散できないという課題があった。
また、特許文献2に開示されているような発散口を有する揮発性物質発散具では、揮発性物質は発散口から空気中に発散されており、発散口は、揮発性物質発散具の口径サイズに依存した面積しか確保できず、発散量が少ないといった課題があった。例えば、揮発性物質として芳香物質を用いた場合、強く香らないという課題があり、改善の余地があった。
また、発散口で吸収性素材が揮発性物質を吸収してから揮発性物質は発散するため、発散口を上にして用いると揮発性物質が吸収され発散するまでに時間がかかる等、使用するとき、発散口がある方向に発散量が依存する傾向があった。
係る状況下、本発明の目的は、従来のこれらの課題を解消し、使用時に簡単な操作でより多くの揮発性物質を速やかに発散させることができる発散具を提供することである。
本発明の揮発性物質発散具(以下、「本発明の発散具」という場合がある。)は、熱可塑性樹脂組成物の多孔質構造体により形成された外覆部と、前記外覆部の内部に収容された揮発性物質が封入された破割性容器と、を有することを特徴とする。このような構成の揮発性物質発散具とすることで、使用時に破割性容器を破割したとき、その内部に封入された揮発性物質が多孔質構造体により形成された外覆部から効率よく発散される。
本発明の発散具は、さらに、外覆部を包装する透湿性フィルムによる包装部を有することが好ましい。このような構成とすることで、破割性容器の飛散防止性が増し、揮発性物質が染み出すことを抑え、手等への付着をより防止できる。
前記熱可塑性樹脂組成物が、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、およびセルロースからなる群より選択される少なくとも1以上の熱可塑性樹脂を用いた熱可塑性樹脂組成物であることが好ましい。
前記外覆部を形成する多孔質構造体が、繊維構造体、三次元網目構造体、および発泡体からなる群から選択される1以上の多孔質構造体であることが好ましい。
本発明は、揮発性物質発散具の製造方法であって、開口部を有する熱可塑性樹脂組成物の多孔質構造体の前記開口部から、揮発性物質を封入した破割性容器を前記多孔質構造体内に挿入し、前記開口部の周辺部を熱溶着することにより密閉することで前記揮発性物質発散具を前記多孔質構造体により形成された外覆部の内部に収容する揮発性物質発散具の製造方法とすることができる(以下、この製造方法を「本発明の製造方法」という場合がある)。また、本発明の製造方法は、本発明の発散具を製造する方法として適した製造方法である。本発明の製造方法によれば、破割性容器の全体が収容された揮発性物質発散具として適した形状のものを効率よく簡便に生産することができる。
本発明の揮発性物質発散具によれば、未使用時には、揮発性物質を安定に保管でき、使用時に、簡単な操作でより多くの揮発性物質を空気中に速やかに発散させることができる。そのため、この揮発性物質発散具を用いることで、使用時に、揮発性物質を迅速に強く作用させることができる。
本発明の発散具の概要を示す図である。 本発明の製造方法を説明した図である。
以下、本発明に係る揮発性物質の発散具を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施の形態および構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を超えない限り、以下の内容に限定されない。
本発明の揮発性物質発散具は、熱可塑性樹脂組成物の多孔質構造体により形成された外覆部と、前記外覆部の内部に収容された揮発性物質が封入された破割性容器と、を有することを特徴とする。
このような構成とすることで、揮発性物質発散具を折り曲げることにより内部に収容された破割性容器を割り、揮発性物質を発散させることができる。また、破割により破割性容器より漏れだし、揮発した揮発性物質は外覆部の微細孔を通過して発散できる。よって、発散口等のサイズに依存して揮発性物質の発散量が制限されるということがない。すなわち、破割性容器を破割した後に揮発性物質が空気に触れやすいほど発散し易くなるが、本発明の発散具のように外覆部を多孔質構造体にすることで、多孔質構造体の微細孔を介して揮発性物質の発散量を増やすことができる。さらに、多孔質構造体による外覆部を、液状での揮発性物質は通過しにくく、使用時の本発明の発散具からの液漏れ等も少ない。
本発明の発散具において、前記破割性容器は、外覆部により全体が収容された構造をしている。前記破割性容器を収容する外覆部は、部分的に熱可塑性樹脂組成物の多孔質構造体により形成されていてもよいし、破割性容器の全体を収容するように熱可塑性樹脂組成物の多孔質構造体により形成されてもよい。この部分的に熱可塑性樹脂組成物の多孔質構造体により形成されている場合、他の部分は微細孔がほとんどないような熱可塑性樹脂組成物の緻密構造体により形成されていてもよい。この緻密構造体は多孔質構造体を加熱加工(熱溶着等)することで緻密な構造となっている場合もある。この多孔質構造体と緻密構造体のような構成となる場合も、それらの密着性が向上するように、同一の熱可塑性樹脂組成物により形成されることが好ましい。
本発明の発散具は、その全体の形状としては特に制限はなく、本発明の目的を達成することができる範囲で適宜設計することができる。例えば、円筒状や、直方体状、円筒の両端が丸みを帯びた半球状にされたカプセル様状等として設計することができる。また、一部がくびれた構造等としてもよい。本発明の発散具は使用時には、折り曲げて内部に収容された破割性容器を破割することが求められるため、内部に応力がかかりやすいように破割性容器の長軸方向に長いような折り曲げ応力をかけやすい形状が好ましい。
本発明の発散具の外覆部は、熱可塑性樹脂組成物の多孔質構造体により破割性容器を収容するように形成されているため、熱溶着することができ、中空容器等の開口部から内包された破割性容器の全体を収容するために開口部を塞ぐ蓋を設けたり、接着剤で接着したりする必要がない。また、同種の熱可塑性樹脂組成物で外覆部全体を形成すれば、異素材間や接着部の剥離も起こりにくい。また、従来の中空容器等に発散口を別に設けることなく、多孔質構造体全体が、発散効率が良い発散部となるため、発散口等に加工するような製造のプロセスも簡略化できる。
本発明において多孔質構造体とは、単一又は複数の微細孔の連続構造や、独立孔が多数存在する構造を有する構造体のことである。熱可塑性樹脂組成物の多孔質構造体としては、繊維構造体や、三次元網目構造体、発泡体等が挙げられる。繊維構造体とは、繊維状の熱可塑性樹脂組成物同士に適当な隙間ができるように織りこんだり、熱溶着した構造体等であり、例えばファイバーロッド等が挙げられる。三次元網目構造体とは、熱可塑性樹脂に後工程で除去可能な粒子や塩を混合させ製造した成形体から、粒子や塩を溶出させて微細孔を形成させた構造体や、種々の形状の微細な樹脂を適当な隙間ができるように接着剤や熱で結合した構造体等が挙げられる。発泡体とは、熱可塑性樹脂に化学発泡剤を添加したり、圧力や加熱を調整したりすることによって、樹脂加工中に樹脂中に気泡を多数発生させた構造体等が挙げられる。
このような構造体は、可撓性、通気性を有する多孔質構造となる。これらの構造体は、使用目的にあわせて種々の形状の構造体を所望の大きさに切り出すことで、容易に外覆部の作製ができ、様々なサイズの製品にも対応しやすく、製品サイズに合わせて外部容器を作製する必要がある従来の発散具に対して生産効率の観点からも優れる。なお、これらの構造体は、一般的に、破割性容器を収容する部材として、それらを主たるものとしては用いられていない。
また、外覆部に用いる多孔質構造体は、空隙率が50〜90%の多孔質構造体を好適に用いることができる。空隙率が50%より小さいと、揮発性物質が発散するまでに時間がかかる傾向にある。空隙率が90%より大きいと、揮発性物質を十分に保持できず、漏れだす場合がある。空隙率は、外覆部に用いる多孔質構造体の材料としての空隙率を採用して、その空隙率の素材とみなして利用することができる。この空隙率は、多孔質構造体の全体積に占める微細孔の体積の割合であり、各多孔質構造体の材料に応じて求められる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物の多孔質構造体は、可撓性を有するが、内部に収容された破割性容器が破割し、封入されている揮発性物質が外覆部内で破割性容器から漏出する程度に破割することができる程度に変形することができればよい。
本発明の発散具は、さらに、外覆部を包装する透湿性フィルムによる包装部を有することが好ましい。透湿性フィルムとは、気体は透過させるが液体は透過させない性質を有するフィルムのことである。透湿性フィルムは、フィルムを延伸し微多孔を形成させる等の方法で製造され、密閉しやすいように、ヒートシール性(熱溶着性)を備えていることが好ましい。透湿性フィルムとしては、具体的には、エクセポール(登録商標)(三菱樹脂株式会社)や、ゴアテックス(登録商標)(日本ゴア株式会社)、エントラント(登録商標)(東レ株式会社)、ブレスロン(登録商標)(日東ライフテック株式会社)等が挙げられる。
本発明の発散具は、透湿性フィルムによる包装部を有することで、破割性容器の飛散防止性が増し、また、外覆部を握る等の強い圧力がかかった時に外覆部から染み出す場合がある液状の揮発性物質のさらなる漏出も防止でき、手等に直接接触することをより防止できる。
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物の多孔質構造体は、液体保持性を有することが好ましい。液体保持性を有することで、破割により破割性容器より漏れだした揮発性物質が、外覆部の多孔質構造体全体に濡れ広がることで、外覆部での揮発性物質の発散のむらが少なくなり、外覆部の全体の面積から空気中に発散できる。また、発散具から液状の揮発物質が染み出して漏れるおそれが少なくなる。
なお、この液体保持性は、液体を吸収して保持する性質のことで、エタノールの吸収速度を測定することで評価することができる。本発明の熱可塑性樹脂組成物の多孔質構造体の液体保持性は、エタノール吸収速度が0.02〜15mm/秒であることが好ましく、0.2〜15mm/秒であることが特に好ましい。エタノール吸収速度が小さ過ぎると、揮発性物質がほとんど浸透しないことになって発散にむらができ、また、エタノール吸収速度が大きすぎると、揮発性物質を吸収した後の保持力が乏しくなってくるので、重力によって揮発性物質が容易に滴り落ちてしまう場合がある。なお、エタノール吸収速度とは、下記の測定法によって測定された吸収速度を意味するものである。
このエタノール吸収速度の測定法は次の方法で測定することができる。評価体として、内径5mm(外径6mm)×高さ30mmの熱可塑性樹脂組成物の多孔質構造体を用いる。吸収速度測定用のエタノールとしては目視で確認しやすいよう、色素(0.05%青色1号エタノール溶液)を2〜5%程度溶解させた99.5%エタノールを用いる。半径5cmのガラスシャーレにエタノール2gを入れ、その上に熱可塑性樹脂組成物の多孔質構造体を垂直に立て、20℃においてエタノールとともに浸透してくる色素が、熱可塑性樹脂組成物の多孔質構造体の上面まで到達した時間を計測する。すなわち、エタノール吸収速度(mm/秒)は、30mmを到達時間(秒)で除した値で示される。
本発明の発散具の多孔質構造体に用いる熱可塑性樹脂組成物は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、およびセルロースからなる群より選択される少なくとも1以上の熱可塑性樹脂を用いた熱可塑性樹脂組成物であることが好ましい。少なくともポリオレフィンまたは、ポリエステルのいずれかを用いることがより好ましい。この熱可塑性樹脂組成物は、これらの樹脂を単独で用いたり組み合わせて用いたり、さらに適宜、添加剤や、無機充填剤、安定化剤(紫外線吸収剤、熱安定剤、耐光安定剤等)、着色剤、難燃剤、分散剤等の助成剤を用いた組成物を用いることができる。このような熱可塑性樹脂組成物は、多孔質構造体としての成形が行いやすく、本発明の発散具の多孔質構造体に適している。これらの熱可塑性樹脂は、適宜、収容される破割性容器の硬さに合わせた強度で選択したり、揮発性物質に対する耐溶剤性等に基づいて選択される。
より具体的な、熱可塑性樹脂組成物の多孔質構造体としては、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアクリレート等の繊維を円筒状やブロック状、シート状に加工した繊維構造体があり、熱融着により結合させたポリオレフィンやポリエチレンの繊維構造体等を好適に用いることができる。発泡体としては、発泡ウレタンが好適例として挙げられる。
本発明の発散具の外覆部は、これらの中でも繊維構造体であることが好ましい。繊維構造体は、液体保持性に優れ、クッション性があり、破割性容器が製造時や未使用時に破損しにくく、破割性容器の保存安定性が向上する構造に形成しやすい。また、繊維や、繊維構造体としての加工方法により、繊維構造体の空隙率や弾性率等の物性を容易に調整でき、本発明の発散具の用途に合わせて設計される揮発性物質等に合わせて変更しやすく、外覆部の素材として使用し易い。
本発明の発散具の破割性容器は、円筒や直方体のような、略筒状であって、前記略筒状の破割性容器の外周面の全体が、前記熱可塑性樹脂組成物の多孔質構造体により収容されていることが好ましい。このような構成であれば、外部から折り曲げやすく破割性容器を割りやすい。また、熱可塑性樹脂組成物の多孔質構造体が液体保持性を有する場合、破割性容器の主な破割部となる、その筒状部の胴部に直接接触する外覆部が、効率的に揮発性物質を保持できるので、揮発性物質の封入量が多い場合でも、揮発性物質が染み出しにくい。また、折り曲げる場所にかかわらず、破割により漏れだした揮発性物質は、外覆部と即座に接触、濡れ広がり、より広い面積からより均一に発散できるので、発散具の使用時の向き等による発散量のむらも小さくなる。
本発明の発散具の破割性容器は、略筒状であって、破割性容器の筒状部の胴部の周囲において、前記破割性容器の軸芯方向に対して垂直な断面の前記外覆部の最小直径が、前記破割性容器の最大直径の2倍以上10倍以下であることが好ましい。このような構成であれば、破割したときの破割性容器の細片の飛散防止性が向上し、使用時に揮発性物質が染みださない。また、未使用時の衝撃による破割性容器の破損をより安定して防止できる。
本発明の発散具の外覆部の最小厚みは、2mm以上であることが好ましい。本発明の発散具は、外覆部を多孔質構造体として、破割性容器を収容するように形成しているため、使用時に破割性容器に封入された揮発性物質を効率よく発散させることができる。よって、外覆部自体の厚みは比較的厚くして、破割性容器の割れにより、その容器が尖鋭になっている部分により発散具全体が壊れにくいように外覆部で被覆しておくことができる。よって、前記したように2mm以上のように安全性が高い厚みとしてもよい。一方、その厚さの上限は発散具内部の破割性容器を破割することができる程度に、折り曲げることができればよく、例えば10mm以内程度とすることができる。
ここで、破割性容器に封入される揮発性物質としては、例えば、芳香剤、消臭剤、殺虫剤、防虫剤等を挙げることができる。芳香剤は液体芳香剤を使用し、香水やオーデコロン等や癒しのにおいが出るものも含まれる。消臭剤としては、アリルイソチオシアネート、ヒノキチオール、オイゲノール等がある。殺虫剤としては除虫菊や合成ピレトリンを代表とするピレスロイドがある。そのなかでアレスリン、フタルスリン、レスメトリン等がある。防虫剤あるいは忌避剤としてはフタル酸ジメチルエステル、2−エチル−1、3−ヘキサンジオール、シメチル・カーベイト、N,N−ジエチルスクシンアミド酸ノルマルプロピルエステル等があるがこれらに限定するものではない。又、この防虫剤には繊維製品の防虫剤も含まれる。
なお、芳香剤、消臭剤、殺虫剤、防虫剤の何れにおいても、揮発性の調整や、溶解性の向上等を目的として、エタノール、イソプロピルアルコール等の1価のアルコール、ジプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール等の多価アルコール、フタル酸ジエチル、ミリスチン酸イソプロピル、クエン酸トリエチル等のエステル油、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素油、環状シリコン等のシリコーンオイル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の界面活性剤等を配合して用いることができる。
また、本発明の揮発性物質発散具の好適な製造方法は、揮発性物質発散具の製造方法であって、開口部を有する熱可塑性樹脂組成物の多孔質構造体の前記開口部から、揮発性物質を封入した破割性容器を前記多孔質構造体内に挿入し、前記開口部の周辺部を熱溶着することにより密閉することで前記揮発性物質発散具を前記多孔質構造体により形成された外覆部の内部に収容することを特徴とすることができる。
このような製造方法を採用することで、蓋や接着剤を使用せずに、破割性容器を収容する外覆部の密閉構造を単一の素材で簡易に形成することができる。そして製造された揮発性物質発散具は、発散量のむらが生じにくく、均一に発散させることができる。また、破割性容器のサイズに合わせて開口部の大きさを変更するだけで、様々な破割性容器に対応した発散具を作り分けることができる。
(第一の実施形態)
第一の実施形態に係る揮発性物質発散具10の側面図を図1(a)、断面図を図1(b)に示す。図1(a)に示す揮発性物質発散具10は、折り曲げる事で破割性容器を割り、外覆部を通して、揮発性物質を発散させる揮発性物質発散具である。図1(a)に示す揮発性物質発散具10は、熱可塑性樹脂組成物の多孔質構造体により形成される外覆部1と破割性容器2を備えている。また、破割性容器2の中には揮発性物質3が封入されている。
破割性容器2は、両端が閉塞されることで液密性を有する略円筒状に形成されたガラスアンプル製の容器である。この破割性容器2は、折り曲げた時に破割することができる材料であればよいが、非使用時に周囲の空気と接触しにくく内容物が安定する等の観点からもガラス容器を用いることが好適である。この破割性容器2のガラスアンプルは指の力で破割できる薄肉のもので製造されている。このような薄肉のガラスの厚みは0.1〜0.4mmが最適である。また、ガラスアンプルを使用する事により、封入された揮発性物質は高温多湿の条件下でも長期間品質の安定が維持される。
外覆部1は、破割性容器2を保護し、また、破割により破割性容器2より漏れだした揮発性物質3を発散させることができるカプセル様状の熱可塑性樹脂組成物の多孔質構造体である。この熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィンを用いることができる。
破割性容器2として円筒状のガラスアンプルを用いるとき、外覆部1も破割性容器2と同じように、カプセル様状や、直方体状、円筒状のような長細い形状であることが好ましい。また、外覆部1が、細長い形状であると、より均一に揮発性物質3を発散できる。この破割性容器2には、芳香剤、消臭剤、殺虫剤、防虫剤等の揮発性物質3が適宜封入される。
また、外覆部1は、長さ20mm〜200mm、最小外径が6〜20mmの長細形状が好ましい。最小外径が8mmより小さい場合は、破割性容器の細片が飛散する可能性があり、安全性が低下する場合がある。20mmより大きい場合は、揮発性物質の発散が遅くなる場合がある。外覆部1の最小外径D1は、破割性容器2の最大外径D2の2倍以上10倍以下が好ましい。
[発散具10の製造方法]
次に、第一の実施形態に係る発散具10の製造方法の一例を図2に基づいて説明する。
まず、図2(a)に示すように、多孔質構造体である円筒状の繊維構造体4の軸心方向に貫通孔5を開けて開口部とした。次に、繊維構造体4の軸長より約1cm短い揮発性物質3を封入した破割性容器2を、貫通孔より挿入して、繊維構造体4の中心に配置する(図2(b)、(c))。その後、貫通孔の周辺部を熱融着し(図2(d))、密閉することで、揮発性物質3を封入した破割性容器2を繊維構造体4により形成される外覆部の内部に収容する(図2(e))。
なお、この繊維構造体4には、貫通孔(開口部)5を開けても、形状を保持することができる程度の機械強度を有する繊維構造体を用いる。また、破割性容器を収容できる開口部が設けられていれば、貫通孔である必要はない。またこの製造方法の例では、融着によって、貫通孔の周辺部を密閉しているが、他の方法を用いてもよい。
[実施例1]
熱可塑性樹脂組成物の多孔質構造体として、繊維構造体である熱融着により結合された円筒状のポリオレフィン系ファイバーロッド(アサヒ繊維工業株式会社製)を用いた。このファイバーロッドは、外径約Φ11mm、長さ50mmであり、空隙率70%であった。破割性容器として、外径約Φ4mm、長さ35mmガラスアンプルを用いた。このガラスアンプルには、0.2mlのローズ香料が封入されている。
まず、外径約Φ11mm、長さ50mmの円筒状のポリオレフィン系ファイバーロッドの軸心方向にΦ約3mm貫通孔を開けた。次に、香料を封入したガラスアンプルを貫通孔(開口部)より挿入して、ポリオレフィン系ファイバーロッドの中心に配置した。貫通孔の上下を熱融着させ、発散具(1)とした。なお、ファイバーロッドは多孔質構造体であり弾性変形するため、その貫通孔の径よりも太い破割性容器であっても、速やかに挿入することができる。また、ファイバーロッドの貫通孔内でのガラスアンプルの位置の調整と固定も行いやすい。
なお、外覆部に用いたものと同じ仕様のファイバーロッドを用いて、エタノール吸収速度の測定と電子顕微鏡観察の評価をしたところ、ファイバーロッドは、液体保持性を有し、全体にわたって、細孔が観察された。
[実施例2]
発散具(1)と同様にして発散具(2’)を作製した。さらに、透湿性フィルムであるエクセポールフィルムで発散具(2’)を包装し、ヒートシールにより発散具(2’)をエクセポールフィルムに封入した発散具(2)を作製した。
[比較例1](アロマスティック)
外径約Φ10mm、長さ50mmのエチレンビニルアセテート中空容器を作製した。このエチレンビニルアセテートの中空容器に、実施例1と同様のローズ香料を封入したガラスアンプルを収容し、封入口は溶着することで密閉して比較発散具(1)とした。
なお、同じ条件で作製したエチレンビニルアセテート中空容器のエタノール吸収速度の測定と電子顕微鏡観察の評価をしたところ、液体保持性はなく、細孔はほとんどが観察されなかった。
[比較例2]
ポリエステル・ポリプロピレン混合樹脂の容器の一端に小さな発散穴を設けた外径約Φ10mm、長さ50mmの中空容器を作製した。この中空容器の発散穴から、実施例1と同様のローズ香料を封入したガラスアンプルを中空容器に収容し、発散穴の内側の大きさに加工したファイバーロッドを詰め、比較発散具(2)とした。
なお、同じ条件で作製したポリエステル・ポリプロピレン混合樹脂の容器のエタノール吸収速度の測定と電子顕微鏡の評価をしたところ、液体保持性はなく、細孔はほとんどが観察されなかった。
[評価]
実施例と比較例の発散具を、力を加え折り曲げて、内部のガラスアンプルを割り、香りの強さを評価した。
発散具(1)、(2)と比較発散具(1)、(2)を比較すると、発散具(1)、(2)では、ガラスアンプルを破割後、すぐに強い香りが感じられた。一方、比較発散具(1)は、ガラスアンプルを破割後も、香りを感じることができなかった。また、比較発散具(2)は、ガラスアンプルを破割後、すぐに香りが感じられるものの、感じられる香りが弱かった。
本発明によれば、芳香剤、消臭剤、殺虫剤、防虫剤等の揮発性物質を封入した発散具が提供され、使用時に封入されている揮発性物質が速やかに効率よく揮発することでその揮発性物質の効果を速やかに奏することができる。
1 外覆部
2 破割性容器
3 揮発性物質
4 繊維構造体
5 貫通孔
10 発散具

Claims (5)

  1. 揮発性物質を空気中に発散させるための揮発性物質発散具であって、
    熱可塑性樹脂組成物の多孔質構造体により形成された外覆部と、
    前記外覆部の内部に収容され揮発性物質が封入された破割性容器と、
    を有することを特徴とする揮発性物質発散具。
  2. さらに、前記外覆部を包装する透湿性フィルムによる包装部を有する請求項1記載の揮発性物質発散具。
  3. 前記外覆部を形成する熱可塑性樹脂組成物が、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、およびセルロースからなる群より選択される少なくとも1以上の熱可塑性樹脂を用いた熱可塑性樹脂組成物である請求項1または2に記載の揮発性物質発散具。
  4. 前記外覆部を形成する多孔質構造体が、繊維構造体、三次元網目構造体、および発泡体からなる群から選択される1以上の多孔質構造体である請求項1から3のいずれか1項に記載の揮発性物質発散具。
  5. 揮発性物質発散具の製造方法であって、
    開口部を有する熱可塑性樹脂組成物の多孔質構造体の前記開口部から、揮発性物質を封入した破割性容器を前記多孔質構造体内に挿入し、
    前記開口部の周辺部を熱溶着することにより密閉することで前記揮発性物質発散具を前記多孔質構造体により形成された外覆部の内部に収容する揮発性物質発散具の製造方法。
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