JP2017169811A - 血液処理フィルターおよび血液処理回路 - Google Patents
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Abstract
【課題】血液処理フィルターの濾過材の細孔内の血液が回収でき、血液処理時に血液損失を生じることのない血液処理フィルターおよび血液処理回路を提供する。【解決手段】血液処理フィルター55は、流入口82、流出口84、流入口82と連通する流入側液室86および流出口84と連通する流出側液室88とを有するハウジング58と、流入側液室86と流出側液室88とを隔てるようにハウジング58に収容され、血液から所定の血液成分を除去する濾過材56と、予め気体が封入された気体容器50と、一端が流入側液室86と連通し、他端が気体容器50に接続され、気体容器50と流入側液室86の空間とを連通可能とする封止部材52と、流入側液室86と、気体容器50との間に設けられた逆止弁106と、流入口82よりも上流側の流路を選択的に閉塞するクレンメ110と、を有する。【選択図】図2
Description
本発明は、献血などで採血者から採取した血液を処理する血液処理フィルターおよび血液処理回路に関する。
従来、献血など採血者から採取した血液を血液センターなどで処理する際、採取した抗凝固剤が添加された採取血液中の余分な成分(主として白血球)を除去することが行われている。そのため、採血などで用いる血液処理回路には、白血球を除去するための白血球除去フィルターが取り付けられている。その際、採取バッグを上にした状態で吊るすなどして、自由落下条件で採取血液中の白血球を除去する。
このような手法においては、採取した血液全てについて白血球の除去を行うことはできず、白血球除去フィルターで白血球を除去された処理済み採取血液が、除去フィルターと濾過後血液バッグとの間の回路中に残ってしまうという問題があった。
そこで、従来では、白血球除去フィルター内と回路中に残った処理済みの採取血液を漏れなく回収するため、回路中の血液を回収するための回路構成が提案されるようになった。
特許文献1に記載の血液処理回路は、採取バッグと回収バッグとを結ぶ血液ライン上に血液処理フィルターを設け、一端が血液処理フィルターの流出側液室と連通し、他端が気体容器に接続される気体ラインと、気体ライン上に設けられ、操作によって気体容器と流出側液室の空間とを連通可能とする封止部材と、を有するものである。そして、特許文献1に記載の血液処理回路では、血液処理フィルターにおいて所定の血液成分を濾過材で除去後、気体容器内の気体を流出側液室の空間に導入することによって、血液ライン中に残存する処理済み血液を回収バッグに移送している。
しかしながら、特許文献1に記載の血液処理回路においては、気体容器内の気体を流出側液室に導入しても、濾過材にバブルポイント以上の圧力がかからないため、濾過材の細孔内に血液が残存し、濾過材内から血液が回収できず、血液処理時に血液損失を生じるという問題がある。
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、血液処理フィルターの濾過材の細孔内の血液が回収でき、血液処理時に血液損失を生じることのない血液処理フィルターおよび血液処理回路を提供することを課題とする。
前記課題を解決するため、本発明に係る血液処理フィルターは、血液から所定の血液成分を除去して処理済み血液とする血液処理フィルターであって、流入口、流出口、前記流入口と連通する流入側液室および前記流出口と連通する流出側液室とを有するハウジングと、前記流入側液室と前記流出側液室とを隔てるように前記ハウジングに収容され、前記血液から所定の血液成分を除去する濾過材と、予め気体が封入された気体容器と、一端が前記流入側液室と連通し、他端が前記気体容器に接続され、前記気体容器と前記流入側液室の空間とを連通可能とする封止部材と、前記流入側液室と、前記気体容器との間に設けられた逆止弁と、前記流入口よりも上流側の流路を選択的に閉塞するクレンメと、を有することを特徴とする。
この場合、血液ラインを通って流れる血液は、上流側に存在する気体により、血液処理回路内およびフィルター内を通過するように圧し動かされ、濾過材によって所定の血液成分が除去されて処理済み血液として血液ラインの下流側に移送される。上流側の全ての血液が濾過材によって処理済み血液とされたとき、流入側液室の気体は、濾過材の細孔から血液を押し出すために必要な圧力を負荷しない限り、濾過材を通れない。よって、濾過材の細孔に血液が残存することとなる。そこで、封止部材およびクレンメを操作することによって、気体容器と流入口側の空間とが連通すると共に、気体容器内の気体が逆止弁を通って流入側液室の空間に流通して、流入側液室が高圧となって濾過材の細孔内に残存していた血液を圧し動かすことができ、回収バッグ側に回収されることとなる。
このように、本発明においては、濾過材の細孔内に残存していた血液を回収することができ、しかも、気体が血液に混合することがないため、気体導入部より下部の流入側液室、流出側液室および血液ラインに残存する血液を回収できる。作業者は前記操作を行った後は、処理済み血液が残存する血液ラインをローラーペンチなどでしごき、処理済み血液を回収する操作がなくなる。これは作業者の作業負荷の軽減につながる。また、血液ラインおよび回収バッグが破損しないかどうか等をいちいち監視する必要がなくなる。これも、作業者の作業負荷の軽減につながる。さらには、他の経路に気体を排出する必要がないため、処理済み血液が他の経路に残存するというリスクもない。
すなわち、本発明においては、血液が濾過材の細孔内に残存していた場合でも、気体容器内の気体を流入側液室の空間に導入することで確実に濾過材の細孔内の血液を回収バッグに移送可能となる。
本発明に係る血液処理フィルターは、前記封止部材が、一端が前記気体容器に気密に封止され、他端が前記流入側液室に連通した可撓性を有するチューブと、前記チューブ内に収容され、前記気体容器から前記流入側液室への気体の流通を遮断する閉塞部とを有し、前記閉塞部の一部が破断することにより、前記気体容器から前記流入側液室への気体の流通が行われるようにしてもよい。
この場合、血液が順に濾過材によって所定の血液成分が除去されて処理済み血液として回収バッグに回収される段階では、封止部材の閉塞部によって、前記気体容器から前記流入側液室への気体の流通が遮断される。そして、上流側の全ての血液が濾過材によって処理済み血液とされたとき、血液が濾過材の細孔内に残存することとなる。この段階で、前記操作によってクレンメにより封止部材よりも上流側の流路を閉塞し、閉塞部の一部が破断されることにより、気体容器の気体が封止部材および逆止弁を通って流入側液室の空間に入り、これにより、流入側液室が高圧となり濾過材の細孔内に残存していた血液を圧し動かすことができ、回収バッグ側に回収されることとなる。この場合、クレンメにより封止部材よりも上流側の流路を閉塞し、可撓性を有するチューブの外側から圧力(例えば作業者の指による圧力等)をかけて封止部材の閉塞部の一部を破断すればよいため、簡単に操作でき、複雑な操作や熟練等は不要となる。
本発明に係る血液処理フィルターは、前記封止部材が、一端が前記気体容器に気密に封止され、他端が前記流入側液室に連通する可撓性を有するチューブと、前記チューブの外周に取り付けられ、前記チューブの中空部を遮蔽するクリップとを有し、前記操作によって前記クリップを取り外すことにより、前記気体容器から前記流入側液室への気体の流通が行われるようにしてもよい。これにより、第1封止部材としてチューブとクリップを用いればよいため、第1封止部材の構成を簡単にすることができる。
本発明に係る血液処理回路は、採血者より採取された血液を収容するバッグと、一端が前記採血バッグに接続された血液ラインと、前記血液ライン上に設けられ、該血液ラインを流れる血液から所定の血液成分を除去して処理済み血液とする血液処理フィルターと、前記血液ラインの他端に接続され、前記処理済み血液を回収する回収バッグと、を有する血液処理回路において、前記血液処理フィルターは、流入口、流出口、前記流入口と連通する流入側液室及び前記流出口と連通する流出側液室を有するハウジングと、前記流入側液室と前記流出側液室とを隔てるように前記ハウジングに収容され、前記血液から所定の血液成分を除去する濾過材と、予め気体が封入された気体容器と、一端が前記流入側液室と連通し、他端が前記気体容器に接続され、操作によって前記気体容器と前記流入側液室の空間とを連通可能とする封止部材と、前記流入側液室と、前記気体容器との間に設けられた逆止弁と、前記流入口よりも上流側の前記血液ラインを選択的に閉塞するクレンメと、を有することを特徴とする。
採血バッグに収容されていた血液を、濾過材によって所定の血液成分を除去して処理済み血液とした後において、濾過材の細孔内に血液が残存していた場合でも、クレンメによって封止部材よりも上流側の血液ライン(流路)を閉塞し、気体容器内の気体を流入側液室の空間に導入することで確実に濾過材の細孔内の血液を回収バッグに移送可能となる。
以上説明したように、本発明に係る血液処理フィルターおよび血液処理回路によれば、フィルターの濾過材の細孔内に血液が残存していた場合でも、フィルターの上流側を閉塞して、気体容器内の気体を流入側液室の空間に導入することで、確実に濾過材の細孔内の血液を回収バッグに移送可能とすることができる。
以下、本発明に係る血液処理フィルタ及び血液処理回路の実施の形態例を図1〜図5を参照しながら説明する。
本実施の形態に係る血液処理フィルター55は、図1〜図3に示すように、血液から所定の血液成分を除去して処理済み血液とするもので、ハウジング58と、採取血液から所定の血液成分を除去する濾過部42(濾過材56)とを有する。ここで、血液は、全血、または、濃厚赤血球、濃厚血小板等の血液成分であって、除去される所定の血液成分は、白血球のほか、血小板、ウイルス等である。
ハウジング58は、硬質樹脂または軟質樹脂から形成され、流入口82と、流出口84と、流入口82と連通する流入側液室86と、流出口84と連通する流出側液室88とを有する。流入口82には入口側チューブ44が第1分岐コネクタ46を介して液密に接続され、流出口84には出口側チューブ48がコネクタチューブ43を介して液密に接続される。
濾過材56は、一方の面から他方の面に連通する多数の微細な細孔を有した通液性のある多孔質体からなり、流入側液室86と流出側液室88とを隔てるようにハウジング58内に収容される。
そして、本実施の形態に係る血液処理フィルター55は、予め気体が封入された気体容器50と、一端が流入側液室86と連通し、他端が気体容器50に接続され、使用者の操作によって気体容器50と流入側液室86の空間とを連通可能とする第1封止部材52と、逆止弁106と、流入口82よりも上流の流路(入口側チューブ44)を選択的に閉塞するクレンメ110と、を有する。
気体容器50は、例えばポリ塩化ビニル、ポリオレフィンのような軟質樹脂製の容器であってもよいし、採血バッグ20や回収バッグ64と同様に、軟質樹脂製の可撓性を有するシート材を重ね、その周縁のシール部において融着(熱融着、高周波融着)又は接着し、袋状に構成されたものであってもよい。また、気体容器50に予め封入される気体の量は、濾過材56の細孔体積以上であることが好ましい。それによって、濾過部42の流入側液室86が濾過材56のバブルポイント以上の高圧となり、濾過材56の細孔内に残存している血液が流出側液室88側に圧し押し出され易くなる。
本実施の形態に係る血液処理フィルター55および血液処理回路10(図5参照)のようなユニットは医療用具であるから、菌による汚染を防止するため、滅菌袋などに挿入され、ガンマ線照射滅菌、エチレンオキサイドガス滅菌、オートクレーブ滅菌などの滅菌が施され、同時に、気体容器50には滅菌エアー(気体)が封入されることとなる。
第1封止部材52は、チューブ96と、該チューブ96内に気密に収容され、気体容器50から流入側液室86への滅菌エアーの流通を遮断する閉塞部98とを有する。
チューブ96は、例えば軟質ポリ塩化ビニルのような可撓性を有する樹脂にて構成され、一端96aが気体容器50に気密に封止され、且つ、他端96bが第1分岐コネクタ46の第3ポート46cの開口部に気密に封止される。
閉塞部98は、中実柱状部100によりその一端が閉塞された筒体102を有する。筒体102のうち、中実柱状部100との境界部分には、薄肉で脆弱な図示しない破断部が形成されている。手指等によりチューブ96の外部からチューブ96ごと中実柱状部100を折り曲げて破断部を破断し、中実柱状部100を分離することにより、図3に示すように、筒体102に開口104が形成され、滅菌エアーの流路が開通することとなる。筒体102の構成材料としては、例えば、硬質ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリエステル等の硬質材料が挙げられる。
中実柱状部100の先端部100a(気体容器50寄りの部分)は、気体容器50に向かって外径が徐々に小さくなる形状を有する。これにより、中実柱状部100の破断分離後に、気体容器50からの滅菌エアーが、破断した中実柱状部100の後方(筒体102に形成された開口104)に向かって流通しやすくなる。また、本実施の形態では、中実柱状部100の表面に、滑り止め用の複数の溝100bが形成されている。そのため、手指等によりチューブ96の外部からチューブ96ごと中実柱状部100を折り曲げやすくなり、中実柱状部100の破断を迅速に、且つ、確実に行うことができる。
逆止弁106は、流入側液室86と気体容器50との間に設けられ、好ましくは第1分岐コネクタ46の分岐部より気体容器50側に設けられる。逆止弁106を設けることによって、気体容器50からの滅菌エアーが確実に流入側液室86に流通し、流入側液室86を濾過材56のバブルポイント以上に高圧にすることができる。その結果、濾過材56の細孔内に残存している血液が回収される。また、逆止弁106を設けることによって、入口側チューブ44から血液が流入側液室86に流入する際に、第1分岐コネクタ46の第3ポート46c側に誤って血液が流入することがなくなる。逆止弁106としては、従来公知の逆止弁が用いられる。
クレンメ110は、流路閉塞に使用される従来公知のクレンメが用いられる。クレンメ110により入口側チューブ44が閉塞されることによって、気体容器50からの滅菌エアーが流入側液室86に流通しやすくなり、気体容器50からの滅菌エアーによって、流入側液室86が濾過材56のバブルポイント以上の高圧となり、濾過材56の細孔内に残存している血液が回収される。
本発明に係る血液処理フィルター55は、第1分岐コネクタ46の第3ポート46cの根元部は、第3ポート46cの開口部よりも下方(濾過部42寄り)に位置していることが好ましい。第3ポート46cの根元部は、ハウジング58の流入口82から10cm以下の範囲内に設けられている。10cmよりも長くなると、第3ポート46cの根元部が濾過部42の上方に位置することになる。また、第1封止部材52を操作し易い位置に設置する目的で第3ポート46cの軸方向の長さを大きくする場合がある。このような場合、全体のサイズが大型化し、取り扱いも不便になるおそれがあるからである。また、第3ポート46cは、流入口82側(第2ポート46b側)に傾斜していてもよいが、第3ポート46c側への血液の流入を抑制する観点から、入口側チューブ44側(第1ポート46a側)に傾斜していることが好ましい。
上述の例では、チューブ96内に収容された閉塞部98の一部を、前記操作によって破断することにより、気体容器50から流入側液室86への滅菌エアーの流通が行われるように構成した例を示したが、その他、第1封止部材52を図4の変形例に示すように構成してもよい。
すなわち、変形例に係る第1封止部材52は、図4に示すように、上述したチューブ96と、該チューブ96の外周に取り付けられ、チューブ96の中空部を遮蔽するクリップ108とを有する。そして、前記操作によってクリップ108を取り外すことにより、気体容器50から流入側液室86への滅菌エアーの流通が行われることになる。この変形例によれば、第1封止部材52としてチューブ96とクリップ108を用いればよいため、第1封止部材52の構成を簡単にすることができる。
次に、本実施の形態に係る血液処理回路10について、図面を参照して説明する。
本実施の形態に係る血液処理回路10は、図5に示すように、所定の血液成分を除去する濾過部42(血液処理フィルター55)と、一端が採血バッグ20に液密に接続され、他端が濾過部42の入口に第1分岐コネクタ46によって液密に接続された入口側チューブ44と、一端が濾過部42の出口にコネクタチューブ43を介して液密に接続され、他端が回収バッグ64に接続された出口側チューブ48とを有する。第1分岐コネクタ46の第1ポート46aには入口側チューブ44が接続され、第2ポート46bには濾過部42が接続され、第3ポート46cには気体容器50が第1封止部材52を介して接続されている。
本実施の形態に係る血液処理回路10は、図5に示すように、所定の血液成分を除去する濾過部42(血液処理フィルター55)と、一端が採血バッグ20に液密に接続され、他端が濾過部42の入口に第1分岐コネクタ46によって液密に接続された入口側チューブ44と、一端が濾過部42の出口にコネクタチューブ43を介して液密に接続され、他端が回収バッグ64に接続された出口側チューブ48とを有する。第1分岐コネクタ46の第1ポート46aには入口側チューブ44が接続され、第2ポート46bには濾過部42が接続され、第3ポート46cには気体容器50が第1封止部材52を介して接続されている。
ここで、入口側チューブ44、濾過部42、第1分岐コネクタ46および出口側チューブ48にて本実施の形態に係る血液処理回路10の血液ライン54が構成され、第1分岐コネクタ46および入口側チューブ44にて血液ライン54の一次ライン54aが構成され、出口側チューブ48にて血液ライン54の二次ライン54bが構成される。また、濾過部42、コネクタチューブ43、第1分岐コネクタ46、第1封止部材52、気体容器50および入口側チューブ44を選択的に閉塞するクレンメ110にて本実施の形態に係る血液処理フィルター55(図1参照)が構成される。なお、血液処理フィルター55については、前記のとおりであるので、説明を省略する。
入口側チューブ44は、透明で柔軟な樹脂製のチューブであって、ドナーから採取した血液を採血バッグ20から濾過部42に移送するためのチューブであり、採血バッグ20の上部に接続されている。本実施の形態では、入口側チューブ44のうち、採血バッグ20側の端部に第2封止部材60が設けられている。この第2封止部材60は、上述した第1封止部材52と同様の構成及び機能を有している。
出口側チューブ48は、透明で柔軟な樹脂製のチューブであって、濾過部42で所定の血液成分が除去された残余の血液成分(処理済み血液)を回収バッグ64に移送するためのチューブである。
採血バッグ20および回収バッグ64は、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィンのような軟質樹脂製の可撓性を有するシート材を重ね、その周縁のシール部において融着(熱融着、高周波融着)又は接着し、袋状に構成されたものである。
回収バッグ64は、濾過部42で所定の血液成分が除去された残余の血液成分(処理済み血液)を回収するためのバッグと、当該血液成分を遠心分離して得られた沈降成分(濃厚赤血球)を保存するためのバッグとを兼ねている。
回収バッグ64には、破断可能な第3封止部材78を介して第1チューブ74aの一端部が接続されている。第3封止部材78は、破断操作が行われるまで、回収バッグ64内の血液成分が他のバッグに移行することを防止する。この第3封止部材78は、上述した第1封止部材52と同様の構成及び機能を有している。
この血液処理回路10は、図5に示すように、例えば図示しないイルリガートルスタンドに、採血バッグ20を上にした状態で吊るし、自由落下条件で採取血液を、鉛直方向に延びる血液ライン54に流通させ、途中の濾過部42にて所定の血液成分を除去し、処理済み血液として回収バッグ64に回収するように構成される。
また、血液処理回路10は、採血バッグ20に接続されている第1採血チューブ22aの他端側に、図示しない採血針、初流血バッグ等(特開2013−203689号参照)を有するものであってもよい。さらに、血液処理回路10は、回収バッグ64に接続されている第1チューブ74aの他端側に、図示しない保存バッグ、薬液バッグ等(特開2013−203689号参照)を有するものであってもよい。
本実施の形態に係る血液処理フィルター55および血液処理回路10は、基本的には上記のように構成されるものであり、次に、その使用方法について説明する。
図5に示すように、まず、採血バッグ20に従来公知の方法で血液を採取する。次に、例えば図示しないイルリガートルスタンドに、採血バッグ20を吊るして、採血バッグ20を上方位置とし、回収バッグ64を下方位置とし、その中間位置に血液処理フィルター55を配置してから、入口側チューブ44の一端部に設けられた第2封止部材60に対して破断操作を行って、入口側チューブ44の流路を開通させる。これにより、採血バッグ20内の採取血液は、血液ライン54の一次ライン54a(入口側チューブ44)を介して濾過部42に流入し、該濾過部42を通る過程で白血球及び血小板が除去されて処理済み血液とされ、その後、二次ライン54b(第1分岐コネクタ46および出口側チューブ48)を介して回収バッグ64に流入し回収される。すなわち、血液ライン54を通って流れる血液は、採血バッグ20に存在する気体により、血液ライン54内および血液処理フィルター55内を通過するように圧し動かされ、濾過材56によって所定の血液成分が除去されて処理済み血液として回収バッグ64に移送される。
採血バッグ20内にあった全ての血液が濾過材56によって処理済み血液とされたとき、流入側液室86の気体は、濾過材56の細孔から血液を押し出すために必要な圧力を負荷しない限り、濾過材56を通れない。よって、濾過材56の細孔内の血液を圧し動かすことができず、血液は濾過材56の細孔内に残存することとなる。そこで、クレンメ110で入口側チューブ44を閉塞し、第1封止部材52を操作することによって、気体容器50と流入側液室86の空間とが連通する。そして、気体容器50を押圧等することによって、気体容器50内の滅菌エアーが逆止弁106を通って流入側液室86の空間に流通して、流入側液室86が濾過材56のバブルポイント以上の高圧となる。それによって、濾過材56の細孔内に残存していた血液を圧し動かすことができ、濾過材56の細孔内に残存していた血液は自由落下によって回収バッグ64に回収されることとなる。その後は、チューブシーラー等によって、回収バッグ64に接続された出口側チューブ48を溶着および封止したうえで、出口側チューブ48を封止した部分で切断する。そして、回収バッグ64に回収された処理済み血液を用いて、従来公知の方法で各種の血液製剤の製造を行う。
上記において、本発明について好適な実施の形態を挙げて説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改変が可能なことは言うまでもない。
10 血液処理回路
20 採血バッグ
42 濾過部
43 コネクタチューブ
44 入口側チューブ
46 第1分岐コネクタ
46a 第1ポート
46b 第2ポート
46c 第3ポート
48 出口側チューブ
50 気体容器
52 第1封止部材
54 血液ライン
54a 一次ライン
54b 二次ライン
55 血液処理フィルター
56 濾過材
58 ハウジング
64 回収バッグ
82 流入口
84 流出口
86 流入側液室
88 流出側液室
96 チューブ
98 閉塞部
100 中実柱状部
102 筒体
104 開口
106 逆止弁
108 クリップ
110 クレンメ
20 採血バッグ
42 濾過部
43 コネクタチューブ
44 入口側チューブ
46 第1分岐コネクタ
46a 第1ポート
46b 第2ポート
46c 第3ポート
48 出口側チューブ
50 気体容器
52 第1封止部材
54 血液ライン
54a 一次ライン
54b 二次ライン
55 血液処理フィルター
56 濾過材
58 ハウジング
64 回収バッグ
82 流入口
84 流出口
86 流入側液室
88 流出側液室
96 チューブ
98 閉塞部
100 中実柱状部
102 筒体
104 開口
106 逆止弁
108 クリップ
110 クレンメ
Claims (4)
- 血液から所定の血液成分を除去して処理済み血液とする血液処理フィルターであって、
流入口、流出口、前記流入口と連通する流入側液室および前記流出口と連通する流出側液室とを有するハウジングと、
前記流入側液室と前記流出側液室とを隔てるように前記ハウジングに収容され、前記血液から所定の血液成分を除去する濾過材と、
予め気体が封入された気体容器と、
一端が前記流入側液室と連通し、他端が前記気体容器に接続され、前記気体容器と前記流入側液室の空間とを連通可能とする封止部材と、
前記流入側液室と、前記気体容器との間に設けられた逆止弁と、
前記流入口よりも上流側の流路を選択的に閉塞するクレンメと、を有することを特徴とする血液処理フィルター。 - 前記封止部材は、一端が前記気体容器に気密に封止され、他端が前記流入側液室に連通した可撓性を有するチューブと、前記チューブ内に収容され、前記気体容器から前記流入側液室への気体の流通を遮断する閉塞部とを有し、前記閉塞部の一部が破断することにより、前記気体容器から前記流入側液室への気体の流通が行われることを特徴とする請求項1に記載の血液処理フィルター。
- 前記封止部材は、一端が前記気体容器に気密に封止され、他端が前記流入側液室に連通する可撓性を有するチューブと、前記チューブの外周に取り付けられ、前記チューブの中空部を遮蔽するクリップとを有し、前記操作によって前記クリップを取り外すことにより、前記気体容器から前記流入側液室への気体の流通が行われることを特徴とする請求項1に記載の血液処理フィルター。
- 採血者より採取された血液を収容するバッグと、
一端が前記採血バッグに接続された血液ラインと、
前記血液ライン上に設けられ、該血液ラインを流れる血液から所定の血液成分を除去して処理済み血液とする血液処理フィルターと、
前記血液ラインの他端に接続され、前記処理済み血液を回収する回収バッグと、を有する血液処理回路において、
前記血液処理フィルターは、
流入口、流出口、前記流入口と連通する流入側液室及び前記流出口と連通する流出側液室を有するハウジングと、
前記流入側液室と前記流出側液室とを隔てるように前記ハウジングに収容され、前記血液から所定の血液成分を除去する濾過材と、
予め気体が封入された気体容器と、
一端が前記流入側液室と連通し、他端が前記気体容器に接続され、操作によって前記気体容器と前記流入側液室の空間とを連通可能とする封止部材と、
前記流入側液室と、前記気体容器との間に設けられた逆止弁と、
前記流入口よりも上流側の前記血液ラインを選択的に閉塞するクレンメと、を有することを特徴とする血液処理回路。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2016059187A JP2017169811A (ja) | 2016-03-23 | 2016-03-23 | 血液処理フィルターおよび血液処理回路 |
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