JP2017169804A - 吸収性物品 - Google Patents

Abstract

【課題】本発明は、湿潤時においてもヨレが生じ難く且つ着用感に優れた吸収性物品を提供するものである。
【解決手段】本発明は、吸液性を有する吸収層を含み、互いに直交する長手方向、幅方向及び厚さ方向を有する吸収性物品であって、前記吸収層は、前記厚さ方向において前記吸収性物品の肌対向面側に向かって突出し且つ前記長手方向に交差する方向に連続的に延びる凸部と、前記厚さ方向において前記吸収性物品の非肌対向面側に向かって窪み且つ前記凸部と並行して連続的に延びる凹部とが、前記長手方向に沿って交互に配置された凹凸構造を備えていて、前記凸部は、前記吸収層の前記非肌対向面側の表面が面する空洞部を有する、吸収性物品である。
【選択図】図１

Description

本発明は、パンティーライナー、軽失禁パッド、生理用ナプキン等の吸収性物品に関する。

従来より、パンティーライナー、軽失禁パッド、生理用ナプキン等の吸収性物品においては、尿や経血等の液状排泄物を迅速に吸収し、外部に漏れないように保持する能力が求められており、さらに近年では、このような能力に加えて柔軟性や着用者の身体へのフィット性に優れることなどが求められている。

例えば、特許文献１には、表面シート及び吸収体が一体的に凹陥してなる特定構造の溝を有する吸収性物品が開示されている。この特許文献１に開示された吸収性物品によれば、排泄液を素早く吸収・拡散し、装着者の濡れに起因する不快感を解消することができ、且つ防漏溝を有するにもかかわらず、適度な柔軟性を有し優れたフィット性が得られるとされている。また、特許文献２には、吸収体の特定の位置に複数の凹状エンボスを施した吸収性物品が開示されている。この特許文献２に開示された吸収性物品によれば、身体の曲線に違和感なくフィットするとともに、体液の漏れを低減することが可能となるとされている。

特開２０１２−２４５１３０号公報 特開２００８−７３４４９号公報

特許文献１に開示された吸収性物品は、柔軟性等に優れるとされているものの、吸収体に上述の特定構造の溝が形成されていることにより、吸収体の湿潤時における強度（湿潤強度）が低くなっているため、吸収体が尿や経血等の液状排泄物を吸収すると、着用者の両脚から吸収性物品の幅方向に掛かる力（股締め力）Ｆ_Ｗによって幅方向に潰れ易くなってしまい、結果的に、吸収性物品が幅方向に潰れて図３に示すようなヨレが生じる虞があった。

一方、特許文献２に開示された吸収性物品は、吸収体に複数の凹状エンボスが施されているため、吸収体の湿潤強度が高く、液状排泄物を吸収しても、上述のようなヨレが生じ難くなっているものの、凹状エンボス自体の硬さが硬いため、当該凹状エンボスが露出する表面の肌触りが低下したり、着用者が違和感を感取したりするなどの着用感の悪化が生じる虞があった。
このように、従来の吸収性物品においては、ヨレ難さ（特に、湿潤時におけるヨレ難さ）と良好な着用感とを両立させることが困難であった。

そこで、本発明は、湿潤時においてもヨレが生じ難く且つ着用感に優れた吸収性物品を提供することを目的とする。

本発明の一態様（態様１）は、吸液性を有する吸収層を含み、互いに直交する長手方向、幅方向及び厚さ方向を有する吸収性物品であって、前記吸収層は、前記厚さ方向において前記吸収性物品の肌対向面側に向かって突出し且つ前記長手方向に交差する方向に連続的に延びる凸部と、前記厚さ方向において前記吸収性物品の非肌対向面側に向かって窪み且つ前記凸部と並行して連続的に延びる凹部とが、前記長手方向に沿って交互に配置された凹凸構造を備えていて、前記凸部は、前記吸収層の前記非肌対向面側の表面が面する空洞部を有する、前記吸収性物品である。

この態様１の吸収性物品は、吸収層が吸収性物品の長手方向と交差する方向に延びる上記特定の凹凸構造（すなわち、吸収性物品の長手方向に沿った断面形状が波形となる凹凸構造）を備えていることにより、当該凹凸構造が延びる方向（すなわち、吸収性物品の長手方向と交差する方向）の圧縮強度が高く、さらに、着用者の両脚から掛かる力を上述の凹凸構造における凸部及び凹部によって厚さ方向に分散させることができるため、本態様の吸収性物品は、湿潤時においても一定の強度（特に、吸収性物品の長手方向と交差する方向の圧縮強度）を維持することができ、ヨレ難くなっている。
さらに、上述の凹凸構造は、吸収層に対して適度な柔軟性（具体的には、長手方向への曲がり易さ、厚さ方向のクッション性等）や良好な肌触りを付与することができるため、本態様の吸収性物品は、このような適度な柔軟性や良好な肌触りによって、着用者に優れた着用感を提供することができる。
したがって、本態様の吸収性物品は、従来の吸収性物品では困難であった、ヨレ難さ（特に、湿潤時におけるヨレ難さ）と良好な着用感との両立を実現することができる。

また、本発明の別の態様（態様２）では、前記態様１の吸収性物品において、前記長手方向に交差する方向が、吸収性物品の幅方向である。

この態様２の吸収性物品は、上述の長手方向に交差する方向の中でも、着用者の両脚から伝達される力が最も強く掛かる吸収性物品の幅方向に対して、上述の凹凸構造が延びているため、本態様の吸収性物品は、上述のヨレが更に生じ難くなっている。

更に本発明の別の態様（態様３）では、前記態様１又は２の吸収性物品において、当該吸収性物品の厚さ方向において、前記吸収層の肌対向面側及び非肌対向面側の少なくとも一方に、前記吸収層よりも吸液性が低い低吸収層を備え、且つ前記吸収層と前記低吸収層とが接合している。

一般に、吸液性を有する層は、その吸液性によって、着用者から排泄された尿などの液状排泄物を吸収したときに強度が低下する傾向（すなわち、湿潤強度が低い傾向）にあるが、本態様の吸収性物品は、前記厚さ方向において、湿潤時における強度が低下し易い吸収層の前記肌対向面側及び前記非肌対向面側の少なくとも一方に、前記吸収層よりも吸液性が低い（すなわち、湿潤時における強度が相対的に高い）低吸収層が接合されているため、前記吸収層の強度（特に湿潤強度）が補強されて、湿潤時においても一定以上の強度を維持し易く、上述のヨレがより一層生じ難くなっている。

更に本発明の別の態様（態様４）では、前記態様３の吸収性物品において、前記低吸収層は、前記吸収層よりも厚みが大きい層である。

この態様４の吸収性物品は、上述の低吸収層の厚みが吸収層よりも大きく、当該低吸収層においても、着用者の両脚から掛かる力を前記厚さ方向に分散させることができるため、本態様の吸収性物品は、前記長手方向と交差する方向に対して更にヨレ難くなっている。
また、低吸収層は、上述のとおり、湿潤時における強度が相対的に高い層であるため、特に吸収性物品の湿潤時において上述のヨレがより生じ難くなっている。

更に本発明の別の態様（態様５）では、前記態様３又は４の吸収性物品において、前記低吸収層は、熱融着性繊維を含み且つ該熱融着性繊維同士が融着した複数の融着部を有し、前記吸収層は、熱融着性繊維を含まない又は前記低吸収層よりも熱融着性繊維の含有量が少なくなっている。

この態様５の吸収性物品は、低吸収層が熱融着性繊維を含み且つ該熱融着性繊維同士が融着した複数の融着部を有することによって剛性が高く、前記長手方向に交差する方向の圧縮強度（特に、湿潤時における圧縮強度）が高くなっているのに対し、吸収層は、熱融着性繊維を含まないか、或いは含んでも低吸収層よりも少ない含有量（質量割合）で含むものであり、上述の熱融着性繊維同士の融着部が、吸収層内に存在しないか或いは低吸収層内における融着部よりも少ないため、本態様の吸収性物品は、上述の低吸収層によって更にヨレ難く（特に、湿潤時において更にヨレ難く）なっているとともに、上述の吸収層によって適度な柔軟性や良好な肌触りを更に確保し易くなっている。
したがって、本態様の吸収性物品は、上述のヨレ難さ（特に、湿潤時におけるヨレ難さ）と良好な着用感との両立を、より確実に実現することができる。

更に本発明の別の態様（態様６）では、前記態様３〜５のいずれかの吸収性物品において、前記低吸収層がエアスルー不織布によって構成されていて、さらに、当該エアスルー不織布は、吸収性物品の厚さ方向において、吸収層の前記非肌対向面側に配置されている。

この態様６の吸収性物品は、上述の低吸収層が、湿潤強度を特に維持し易いエアスルー不織布によって構成されていて、さらに、当該エアスルー不織布が、吸収性物品の厚さ方向において、吸収層の前記非肌対向面側に配置されているため、尿などの液状排泄物を吸収層に迅速に吸収させることができるとともに、上述エアスルー不織布によって前記吸収層が補強されて、吸収性物品の湿潤強度をより確実に維持することができ、結果的に上述のヨレ（特に、湿潤時におけるヨレ）をより確実に防ぐことができる。

更に本発明の別の態様（態様７）では、前記態様１又は２の吸収性物品において、当該吸収性物品は、上述の吸収層の他に、吸液性を有する層を含まない。

この態様７の吸収性物品は、上述の吸収層の他に、湿潤時に強度が低下し易い吸液性を有する層を含んでいないため、吸収性物品として湿潤強度を維持し易くなっている。
したがって、本態様の吸収性物品は、特に湿潤時におけるヨレ難さと良好な着用感との両立を、より確実に実現することができる。

更に本発明の別の態様（態様８）では、前記態様１〜７のいずれかの吸収性物品において、前記吸収層が表面シートである。

この態様８の吸収性物品は、上述の吸収層が表面シートであるため、着用者から排泄された尿などの液状排泄物を、吸液性を有する表面シートにおいて迅速に吸収及び保持することができる上、吸液性を有する吸収体を別途設ける必要がない（或いは吸収体を別途設けても、薄い吸収体で足りる）ため、吸収性物品を全体的に薄型化することができ、より一層優れた柔軟性や着用感を得ることができる。

本発明によれば、従来の吸収性物品では困難であった、ヨレ難さ（特に、湿潤時におけるヨレ難さ）と良好な着用感との両立を、実現することができる。

図１は、本発明の一実施形態に係るパンティーライナー１の部分破断斜視図である。 図２は、本発明の一実施形態に係るパンティーライナー１の図１におけるII−II線に沿った部分断面図である。 図３は、従来のパンティーライナー１’が着用者の股締め力Ｆ_Ｗによって幅方向に潰れてヨレた状態を模式的に示す平面図である。

以下、本発明の吸収性物品の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本明細書においては、特に断りのない限り、「展開した状態で水平面上に置いた対象物（例えば、吸収性物品、吸収体等）を、垂直方向の上方側（対象物が吸収性物品の場合は表面シート側）から対象物の厚さ方向に見ること」を、単に「平面視」という。

また、本明細書において用いられる各種方向等については、特に断りのない限り、以下のとおりである。
本明細書において、「幅方向」は、「平面視における縦長の対象物の長さの短い方向（短手方向）」を指し、「長手方向」は、「平面視における縦長の対象物の長さの長い方向」を指し、「厚さ方向」は、「展開した状態で水平面上に置いた対象物に対して垂直方向」を指し、これらの幅方向、長手方向及び厚さ方向は、それぞれ互いに直交する関係にある。
さらに、本明細書では、特に断りのない限り、吸収性物品の厚さ方向において、「吸収性物品の着用時に、着用者の肌面に対して相対的に近位側」を「肌対向面側」といい、「吸収性物品の着用時に、着用者の肌面に対して相対的に遠位側」を「非肌対向面側」という。

図１は、本発明の一実施形態に係るパンティーライナー１（吸収性物品）の部分破断斜視図であり、図２は、パンティーライナー１の図１におけるII−II線に沿った部分断面図である。また、図３は、従来のパンティーライナー１’が着用者の股締め力Ｆ_Ｗによって幅方向に潰れてヨレた状態を模式的に示す平面図である。

本発明の一実施形態に係るパンティーライナー１は、平面視にて、外形形状が長手方向Ｌに長い形状を有し、さらに、前記長手方向Ｌの略中央部分の外縁が幅方向Ｗに僅かに括れた略小判形の縦長の形状を有している。なお、本発明において、吸収性物品の外形形状は、特に限定されず、長手方向Ｌの長さ寸法が幅方向Ｗの幅寸法よりも長い縦長の形状のものであれば、各種用途等に応じて任意の形状（例えば、長方形、楕円形、瓢箪形など）を採用することができる。

図１及び図２に示すように、本実施形態に係るパンティーライナー１は、厚さ方向Ｔにおいて、着用者の肌対向面側に位置し且つ特定の凹凸構造２０を備えた吸収性シートからなる表面シート２と、着用者の非肌対向面側に位置する液不透過性シートからなる裏面シート３と、これらのシートの間に位置し且つ相対的に吸液性の低い低吸収性シート４と、を備えていて、表面シート２の前記肌対向面側の表面２ａは、パンティーライナー１の肌対向面側の表面ａを形成し、裏面シート３の前記非肌対向面側の表面は、パンティーライナー１の非肌対向面側の表面ｂを形成している。
なお、本実施形態においては、表面シート２と低吸収性シート４との間及び低吸収性シート４と裏面シート３との間は、図２に示すように、それぞれ後述するホットメルト型接着剤による第１接着層Ａ_１及び第２接着層Ａ_２を介して接合されている。

また、図２に示すように、裏面シート３の非肌対向面側の表面には、幅方向Ｗに連続的に延びる粘着剤層６が、長手方向Ｌに沿って複数本並ぶように（いわゆる、ストライプ状に）配置された着衣固定用粘着部を備えていて、さらに、該着衣固定用粘着部の非肌対向面側の表面には、使用前の着衣固定用粘着部を保護するための剥離シート５が配置されている。なお、粘着剤層を形成する粘着剤は、吸収性物品を着用者の着衣（例えば、下着等）に固定し得るものであれば特に限定されず、例えば、スチレン系ポリマー等を含む任意の粘着剤を用いることができる。また、着衣固定用粘着部における粘着剤層の配置パターンは、特に限定されず、粘着剤層は、幅方向Ｗに間欠的に延びていてもよく、また、長手方向Ｌに延びていてもよい。

なお、パンティーライナー１は、着用する際に、上述の剥離シート５を剥がして、パンティーライナー１を、裏面シート３の非肌対向面側の表面に配置された着衣固定用粘着部によって着用者の着衣７（例えば、下着）の内側の表面に固定し、表面シート２が着用者の肌面に対向するようにして着用される。そして、着用者から尿などの液状排泄物が排出されると、液状排泄物は、パンティーライナー１の表面シート２の肌対向面側の表面に供給されて、当該表面シート２において吸収及び保持されることとなるが、液状排泄物の量が多い場合などは、一部の液状排泄物が表面シート２を透過して、表面シート２と疎水性不織布等からなる低吸収性シート４との間に保持されることとなる。

そして、本実施形態に係るパンティーライナー１においては、図１及び図２に示すように、上述の吸収性シートからなる表面シート２が、パンティーライナー１の厚さ方向Ｔにおいて当該パンティーライナー１の肌対向面側に向かう方向Ｄａに突出し且つパンティーライナー１の幅方向Ｗ（本発明における「長手方向に交差する方向」の一例である。）に連続的に延びる凸部２１と、前記厚さ方向Ｔにおいてパンティーライナー１の非肌対向面側に向かう方向Ｄｂに窪み且つ前記凸部２１と並行して連続的に延びる凹部２２とが、前記長手方向Ｌに沿って交互に配置された特定の凹凸構造２０を備えている。さらに、当該凹凸構造２０における凸部２１は、表面シート２の前記非肌対向面側の表面２ｂが面する空洞部２３を有している。

本実施形態に係るパンティーライナー１は、吸収性シートからなる表面シート２がパンティーライナー１の幅方向Ｗに延びる上記特定の凹凸構造２０（すなわち、図２に示すように、パンティーライナー１の長手方向Ｌに沿った断面形状が波形となる凹凸構造２０）を備えていることにより、当該凹凸構造２０が延びる方向（すなわち、パンティーライナー１の幅方向Ｗ）の圧縮強度が高く、さらに、着用者の両脚から掛かる力を上述の凹凸構造２０における凸部２１及び凹部２２によって厚さ方向Ｔに分散させることができるため、本実施形態に係るパンティーライナー１は、乾燥時（すなわち、液状排泄物が供給される前）はもとより、湿潤時においても一定の強度（特に、パンティーライナー１の幅方向Ｗの圧縮強度）を維持することができ、上述のようなヨレが生じ難くなっている。
さらに、上述の特定の凹凸構造２０は、表面シート２に対して適度な柔軟性（具体的には、長手方向Ｌへの曲がり易さ、厚さ方向Ｔのクッション性等）や良好な肌触りを付与することができるため、本実施形態に係るパンティーライナー１は、このような適度な柔軟性や良好な肌触りによって、着用者に良好な着用感を提供することができる。

以下、本発明の吸収性物品を構成する各種部材について、更に詳細に説明する。

［表面シート］
本実施形態に係るパンティーライナー１において、表面シート２は、図１及び図２に示すように、着用者の肌面に直に接触し得る、パンティーライナー１の厚さ方向Ｔにおける肌対向面側の位置に配置されていて、パンティーライナー１の肌対向面側の表面ａを形成する前記表面２ａと、該表面２ａとは反対側の表面である前記非肌対向面側の表面２ｂとを有し、且つ一定の吸収性及び液保持性を有する吸収性シートによって構成されている。かかる表面シート２は、本発明の吸収性物品における「吸液性を有する吸収層」の一例である。

ここで、本明細書において、「吸液性」とは、液状排泄物等の液体を吸収する吸収性と、吸収した液体を保持する液保持性とを兼ね備えた性質を意味するものであり、例えば、従来の吸収性物品における表面シートのように、供給された液体を殆ど保持することなく透過させる（具体的には、液体の保持量よりも透過量の方が大きくなる）性質（いわゆる、液透過性）とは異なる性質である。

なお、本実施形態において表面シート２は、平面視にて、パンティーライナー１の長手方向Ｌに沿う方向に長い縦長の平面視形状を有しているが、本発明の吸収性物品においてはこのような形状に限定されず、表面シート（吸収層）は、任意の平面視形状及びサイズのものを採用することができる。

表面シート２を構成する吸収性シートとしては、吸液性を有するシートであれば特に制限されず、例えば、吸水性繊維によって形成された不織布や織布、編布等の繊維シート；吸水性樹脂によって形成された樹脂シートなどの任意の吸収性シートを用いることができる。中でも、吸液性や柔軟性、肌触り等の点から、吸水性繊維によって形成された不織布を用いることが好ましい。

表面シートに用いる不織布の種類は、特に限定されず、例えば、スパンレース不織布、エアスルー不織布、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、メルトブローン不織布、及びこれらの組み合わせ（例えば、ＳＭＳ不織布等）などの任意の不織布を用いることができる。中でも、柔軟性等に優れるという点から、スパンレース不織布を用いることが好ましい。

また、吸水性繊維は、吸液性及び液保持性等の点から、親水性繊維を用いることが好ましく、さらに、そのような親水性繊維としては、例えば、コットン、粉砕パルプ等のセルロース繊維；レーヨン、フィブリルレーヨン等の再生セルロース繊維；アセテート、トリアセテート等の半合成セルロース繊維；親水化処理を施した熱可塑性樹脂繊維や複合繊維などが挙げられる。これらの中でも、吸液性や液保持性、柔軟性、肌触り等に優れるという点から、セルロース繊維や再生セルロース繊維、半合成セルロース繊維等のセルロース系繊維を用いることが好ましく、特に、コットン、レーヨン又はこれらを組み合わせた混合繊維を用いることが好ましい。

なお、吸収性物品が、尿などの液状排泄物を吸収・保持することができる吸収体を別途備えている場合、或いは対象とする液状排泄物の量が少ないと想定される場合などにおいては、表面シートに用いる不織布は、上述の親水性繊維のほかに、ポリエチレン（ＰＥ）、ポリプロピレン（ＰＰ）等のポリオレフィン系繊維；ポリエチレンテレフタレート（ＰＥＴ）等のポリエステル系繊維；熱融着性繊維などの疎水性の熱可塑性樹脂繊維を含んでいてもよいが、一定以上の吸収性能を確保するという点から、親水性繊維を５０質量％以上の質量割合で含んでいることが好ましい。

上述のとおり、表面シートに用いる不織布は、親水性繊維のほかに、シート強度を向上させる等のために、熱融着性繊維を含んでいてもよいが、特に、後述する低吸収性シート（低吸収層）が熱融着性繊維を含んでいるような場合は、表面シートに用いる不織布は、熱融着性繊維を含まないか、或いは、含んでいても低吸収性シートの熱融着性繊維の含有量（質量割合）よりも少ない含有量（質量割合）で含んでいることが好ましい。表面シートに用いる不織布が、熱融着性繊維を含まないか、或いは、含んでいても低吸収性シートの熱融着性繊維の含有量よりも少ない含有量で含んでいると、熱融着性繊維同士の融着によって形成される接合部（融着部）が、表面シートを構成する不織布内に存在しないか、或いは、存在していても低吸収性シートを構成する吸液性の低い低吸収性シート内の接合部（融着部）の数よりも少ない数で存在することになるため、表面シートの剛性が低吸収性シートの剛性よりも低くなり、表面シートが、適度な柔軟性や良好な肌触りを確保し易くなる。
したがって、このような表面シート及び低吸収性シートを備えた吸収性物品は、上述の吸液性の低い低吸収性シート（低吸収層）によってヨレ難さ（特に、湿潤時におけるヨレ難さ）を確保しつつ、上述の吸収層によって適度な柔軟性や良好な肌触りを確保し易くなる。

表面シート（吸収層）の坪量は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、吸収性や液保持性、ヨレ難さ、柔軟性等を勘案した任意の坪量を採用することができる。そのような坪量としては、例えば、１０ｇ／ｍ²〜１００ｇ／ｍ²の範囲内の坪量が挙げられ、好ましくは２０ｇ／ｍ²〜５０ｇ／ｍ²の範囲内である。なお、坪量は、ＪＩＳ Ｌ １９０６の５．２に従って測定することができる。

表面シート（吸収層）の厚みについても、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、例えば、０．００１ｍｍ〜５．０ｍｍの範囲内の厚みを採用することができるが、吸収性や液保持性、ヨレ難さ、柔軟性、肌触りなどの点から、好ましくは０．０１ｍｍ〜３．０ｍｍの範囲内であり、更に好ましくは０．１ｍｍ〜１．０ｍｍの範囲内である。

ここで、表面シート及び後述する低吸収性シートの厚みは、次の＜各種シートの厚みの測定方法＞に従って測定することができる。なお、表面シート及び低吸収性シート以外の各種シート（例えば、裏面シート等）の厚みについても同様に測定することができる。

＜各種シートの厚みの測定方法＞
（１）測定対象のシートから、所定サイズ（例えば、１００ｍｍ×１００ｍｍ）のサンプルシートを切り出す。
（２）切り出したサンプルシートを、カトーテック（株）の自動化圧縮試験機「ＫＥＳ ＦＢ−３Ａ」にセットして、当該試験機の測定端子によるサンプルシートへの圧力が４９Ｐａのときの厚み（ｍｍ）を測定し、この測定された厚み（ｍｍ）をサンプルシートの厚みとする。

そして、本実施形態において表面シート２は、図１及び図２に示すように、パンティーライナー１の厚さ方向Ｔにおいて当該パンティーライナー１の肌対向面側に向かう方向Ｄａに突出し且つパンティーライナー１の幅方向Ｗに連続的に延びる凸部２１と、前記厚さ方向Ｔにおいてパンティーライナー１の非肌対向面側に向かう方向Ｄｂに窪み且つ前記凸部２１と並行して連続的に延びる凹部２２とが、パンティーライナー１の長手方向Ｌに沿って交互に配置された特定の凹凸構造２０を備えていて、さらに、前記凸部２１は、前記表面シート２の前記非肌対向面側の表面２ｂが面する空洞部２３を有している。

図３に示すように、従来のパンティーライナー１’（吸収性物品）では、吸液性を有する吸収体の湿潤強度が低いため、吸収体が尿などの液状排泄物を吸収すると、着用者の両脚からパンティーライナー１’の幅方向Ｗに掛かる力（股締め力）Ｆ_Ｗによって吸収体が幅方向Ｗに潰れ易くなってしまい、結果的にパンティーライナー１’が幅方向Ｗに潰れてヨレる虞があった。一方、本実施形態に係るパンティーライナー１は、吸収層としての表面シート２が、パンティーライナー１の幅方向Ｗに延びる上記特定の凹凸構造２０を備えていることにより、当該凹凸構造２０が延びる方向（すなわち、幅方向Ｗ）の圧縮強度が高く、さらに、着用者の両脚から掛かる力を上述の凹凸構造２０における凸部２１及び凹部２２によって厚さ方向Ｔに分散させることができるため、乾燥時はもとより、湿潤時においても一定の強度（特に、幅方向Ｗの圧縮強度）を維持することができ、ヨレが生じ難くなっている。さらに、上記特定の凹凸構造２０は、表面シート２に対して適度な柔軟性（具体的には、長手方向Ｌへの曲がり易さ、厚さ方向Ｔのクッション性等）や良好な肌触りを付与することができるため、本実施形態に係るパンティーライナー１は、このような適度な柔軟性や良好な肌触りによって、着用者により優れた着用感を提供することができる。

また、本実施形態において上述の凹凸構造２０は、凸部２１及び凹部２２がパンティーライナー１の幅方向Ｗに延びているが、本発明において凹凸構造の凸部及び凹部の延びる方向は、吸収性物品の「長手方向に交差する方向」であれば上述の実施形態における「幅方向」に限定されない。
なお、本明細書において、吸収性物品の「長手方向に交差する方向」とは、吸収性物品の長手方向とのなす角度が４５°以上、９０°以下の範囲内となる方向を意味する。
本発明の吸収性物品は、吸収層が吸収性物品の長手方向と交差する方向に延びる特定の凹凸構造を備えていることにより、当該凹凸構造が延びる方向の圧縮強度が高く、さらに、着用者の両脚から掛かる力を上述の凹凸構造における凸部及び凹部によって厚さ方向に分散させることができるため、湿潤時においても一定の強度（特に、吸収性物品の長手方向と交差する方向の圧縮強度）を維持することができ、ヨレが生じ難くなっている。
特に、上述の実施形態においては、パンティーライナー１（吸収性物品）の「長手方向に交差する方向」の中でも、着用者の両脚から伝達される力が最も強く掛かる「幅方向」に対して、上述の凹凸構造２０が延びているため、本実施形態に係るパンティーライナー１は、上述のヨレが更に生じ難くなっている。

また、本発明において、凹凸構造における凸部のピッチ（すなわち、隣り合う２つの凸部の頂部中心同士の間隔（ｍｍ））についても、特に制限されず、例えば、０．５ｍｍ〜５．０ｍｍの範囲内のピッチを採用することができるが、クッション性や肌触り等の観点から、好ましくは１．０ｍｍ〜４．０ｍｍの範囲内である。なお、この凸部のピッチは、無加圧状態における表面シートの平面写真又は平面画像に基づいて、隣り合う２つの凸部の頂部中心同士の間隔（ｍｍ）として測定することができる。

なお、本実施形態における表面シート２は、図２に示すように、凹凸構造２０の凹部２２の非肌対向面側の表面２ｂにおいて低吸収性シート４と接合されている。この低吸収性シート４は、後述するように、本発明の吸収性物品においては必須の構成要素ではないため、吸収性物品がこのような低吸収性シートを有していない場合は、表面シートは、前記凹凸構造の凹部の非肌対向面側の表面において吸収体或いは（吸収体も有していない場合）裏面シートと接合されていてもよい。
表面シートとこれらの構成部材（すなわち、低吸収性シート、吸収体又は裏面シート）とを接合する手段は、特に制限されず、例えば、ホットメルト型接着剤やヒートシール等の熱融着法などの任意の接合手段を採用することができる。

表面シートに上述の特定の凹凸構造を形成する方法は、特に限定されず、例えば、ギア延伸を利用する方法や、真空成形又はプレス成形を利用する方法などの任意の賦形方法を採用することができる。

また、本実施形態においては、上述のとおり、表面シート２が吸液性を有する吸収層として構成されている。このように表面シートが吸液性を有する吸収層として構成されていると、着用者から排泄された尿などの液状排泄物を、吸液性を有する表面シートにおいて迅速に吸収及び保持することができる上、吸収性物品に吸収体を別途設ける必要がない（或いは吸収体を別途設けても、薄い吸収体で足りる）ため、吸収性物品を全体的に薄型化することができ、より一層優れた柔軟性や着用感を得ることができる。
さらに、吸収体等の吸液性に優れる層は、一般に、湿潤時に強度が低下し易く、吸収性物品がヨレ易くなるため、上述の特定の凹凸構造を有する吸収層（吸液性を有する表面シート）以外に、このような吸収体等の吸液性に優れる層を含まないように吸収性物品を構成することで、吸収性物品の湿潤強度がより低下し難くなる（すなわち、湿潤時において吸収性物品にヨレ難くなる）。
したがって、吸収性物品が、吸液性を有する吸収層として上記特定の凹凸構造を備えた表面シートを有し且つ当該表面シートの他に吸液性を有する層を含まない場合は、湿潤時におけるヨレ難さと優れた着用感との両立を、より確実に実現することができる。

［低吸収性シート］
本実施形態に係るパンティーライナー１において吸液性が低い低吸収性シート４は、図２に示すように、パンティーライナー１の厚さ方向Ｔにおいて表面シート２と裏面シート３との間に位置するように配置され、且つ表面シート２と接合されて、表面シート（吸収層）の強度（特に湿潤強度）を補強するように機能するものである。かかる低吸収性シート４は、上述の表面シート２（吸収層）よりも吸液性が低い（すなわち、湿潤時における強度が相対的に高い）ため、このような低吸収性シート４が表面シート２に接合されていることで、表面シート２の強度（特に湿潤強度）が補強されて、パンティーライナー１は、湿潤時においても一定以上の強度を維持し易く、ヨレがより一層生じ難くなっている。

低吸収性シートを構成するシート材としては、吸収層よりも吸液性が低いものであれば特に制限されないが、湿潤強度やヨレ難さ、柔軟性等の点から、疎水性不織布を用いることが好ましい。なお、低吸収性シートとして疎水性不織布を用いる場合、その疎水性の程度は、疎水性不織布の表面に水を滴下したときに、滴下した水を吸収しない程度の疎水性であれば足りるが、湿潤強度やヨレ難さ等の点から、疎水性不織布の表面に水を滴下したときに、滴下した水が疎水性不織布の表面で弾かれて水滴を形成する程度の疎水性（いわゆる、撥水性）であることが更に好ましい。

低吸収性シート（低吸収層）に用いる疎水性不織布の種類は、吸収層よりも吸液性が低いものであれば特に制限されず、例えば、上述の表面シートと同様の種類の不織布を用いることができる。中でも、湿潤強度を維持し易いという点から、エアスルー不織布を用いることが好ましい。低吸収層が、湿潤強度を特に維持し易いエアスルー不織布によって構成され且つ吸収層の前記非肌対向面側の表面に接合されていると、尿などの液状排泄物を吸収層に迅速に吸収させることができる上、低吸収層によって吸収層が補強されて、吸収性物品の湿潤強度をより確実に維持することができ、結果的に上述のヨレ（特に、湿潤時におけるヨレ）をより確実に防ぐことができる。

なお、上述の低吸収性シートは、疎水性不織布を単独で用いた単層構造の疎水性不織布から構成されていても、２枚以上の疎水性不織布を用いた積層構造の疎水性積層不織布から構成されていてもよい。低吸収性シートが疎水性積層不織布によって構成されていると、当該疎水性積層不織布の積層数を調節することで、吸収性物品の湿潤強度や柔軟性を容易に調整することができる。

低吸収性シート（低吸収層）に用いる疎水性不織布を構成する繊維は、疎水性を有するものであれば特に限定されず、例えば、ＰＥ、ＰＰ等のポリオレフィン系繊維；ＰＥＴ等のポリエステル系繊維；芯鞘型複合繊維等の各種複合繊維などの疎水性の熱可塑性樹脂繊維を用いることができる。また、低吸収層に用いる疎水性不織布は、剛性を向上させるために熱融着性繊維を含んでいてもよいが、特に、上述の吸収層が熱融着性繊維を含んでいるような場合は、吸収層の熱融着性繊維の含有量（質量割合）よりも多い含有量（質量割合）で熱融着性繊維を含んでいることが好ましい。低吸収層に用いる疎水性不織布が、熱融着性繊維を、吸収層の熱融着性繊維の含有量よりも多い含有量で含んでいると、疎水性不織布内の熱融着性繊維同士の融着によって形成される接合部（融着部）が、吸収層を構成する不織布内の接合部（融着部）の数よりも多くなるため、低吸収層の剛性が吸収層の剛性よりも高くなり、当該低吸収層においてヨレ難さ（特に湿潤時におけるヨレ難さ）を確保しつつ、上述の吸収層において適度な柔軟性や良好な肌触りを確保し易くなる。

低吸収性シート（低吸収層）の坪量は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、湿潤強度や柔軟性等を勘案した任意の坪量を採用することができる。そのような坪量としては、例えば、２０ｇ／ｍ²〜２００ｇ／ｍ²の範囲内の坪量が挙げられ、好ましくは３０ｇ／ｍ²〜１００ｇ／ｍ²の範囲内である。なお、低吸収性シートが上述の疎水性積層不織布からなる場合は、当該疎水性積層不織布を構成する各層の坪量の合計坪量が、上述の範囲内にあればよい。

さらに、低吸収性シート（低吸収層）の厚みについても、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、例えば、０．０１ｍｍ〜８．０ｍｍの範囲内の厚みを採用することができるが、湿潤強度や柔軟性などの点から、好ましくは０．０５ｍｍ〜５．０ｍｍの範囲内であり、更に好ましくは０．１ｍｍ〜３．０ｍｍの範囲内である。なお、低吸収性シートが上述の疎水性積層不織布からなる場合は、当該疎水性積層不織布を構成する各層の厚みの合計厚みが、上述の範囲内にあればよい。

また、本発明においては、低吸収性シート（低吸収層）の厚みは、吸収層の厚みよりも大きいことが好ましい。低吸収層の厚みが吸収層の厚みよりも大きいと、当該低吸収層においても、着用者の両脚から掛かる力を厚さ方向に分散させることができるため、吸収性物品を更にヨレ難くすることができる。なお、低吸収層は、上述のとおり、湿潤時における強度が相対的に高い層であるため、特に吸収性物品の湿潤時において、上述のヨレを更に生じ難くすることができる。

本実施形態において、表面シート２と低吸収性シート４は、ホットメルト型接着剤からなる第１接着層Ａ_１を介して相互に接合されているが、本発明において、吸収層と低吸収層との接合形態は、本発明の効果を阻害しない限りこのような形態に限定されず、吸収層と低吸収層は、熱融着等の任意の接合手段によって接合されていてもよい。例えば、吸収層と低吸収層とが熱融着によって接合されていると、接合部（融着部）が尿などの液状排泄物による分解等の影響を受け難いため、吸収性物品の湿潤時においても接合状態を良好に維持することができ、上述の低吸収層によって吸収層を補強するという機能をより確実に発揮させることができる。その結果、吸収性物品にヨレがより一層生じ難くなる。

なお、本実施形態において低吸収性シート４（低吸収層）は、パンティーライナー１（吸収性物品）の厚さ方向Ｔにおいて表面シート２（吸収層）の非肌対向面側に配置されているが、本発明において低吸収層は、吸収層の肌対向面側に配置されていてもよく、その場合、低吸収層は、所定の液透過性を有していることが望ましい。低吸収層が吸収層の肌対向面側に配置されている場合も、吸収層の強度（特に湿潤強度）を補強するという点では、上述の実施形態と同様の効果を奏することができる。
また、本発明の吸収性物品において、低吸収性シート（低吸収層）は必須の構成要素ではないため、吸収性物品の柔軟性等を考慮して、吸収性物品は低吸収性シート（低吸収層）を省いた構成とすることもできる。

［裏面シート］
本実施形態において、裏面シート３は、図２に示すように、パンティーライナー１の厚さ方向Ｔにおける非肌対向面側の位置に配置されていて、通気性を備えつつも、着用者から排出された尿などの液状排泄物の透過を防止し、当該液状排泄物が着用者の着衣等に漏れ出ないように機能する液不透過性シートによって構成されている。

裏面シート３を構成する液不透過性シートとしては、特に制限されず、例えば、疎水性不織布、通気性を有するポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂フィルム、該樹脂フィルムに不織布を貼り合わせた積層体、ＳＭＳ等の積層不織布などの任意の液不透過性シートを用いることができる。これらの中でも、液不透過性や湿潤強度、柔軟性等の点から、疎水性不織布を用いることが好ましい。
なお、裏面シートとして疎水性不織布を用いる場合、その疎水性の程度は上述の低吸収性シートと同様であり、疎水性不織布の表面に水を滴下したときに、滴下した水を吸収しない程度の疎水性であれば足りるが、湿潤強度やヨレ難さ、液状排泄物の漏れ難さ等の点から、疎水性不織布の表面に水を滴下したときに、滴下した水が疎水性不織布の表面で弾かれて水滴を形成する程度の疎水性（いわゆる、撥水性）であることが更に好ましい。

また、裏面シートに用いる疎水性不織布の種類は、本発明の効果を阻害しない限り特に限定されず、例えば、スパンボンド不織布、ポイントボンド不織布、メルトブローン不織布、ＳＭＳ不織布などの任意の不織布を採用することができる。これらの不織布の中でも、１ｄｔｅｘ以下の繊度を有する繊維によって構成された極細繊維層を含む不織布を用いることが好ましい。このような極細繊維層は、通気性及び液不透過性に優れるとともに、適度な柔軟性を有しているため、このような極細繊維層を含む不織布を裏面シートとして用いると、吸収性物品の着用感を更に良好なものにすることができる。なお、極細繊維層を構成する繊維の繊度の下限値は、特に制限されないが、例えば０．１ｄｔｅｘ程度である。

さらに、上述の疎水性不織布の中でも、ＳＭＳ不織布を用いることが特に好ましい。ＳＭＳ不織布は、スパンボンド／メルトブローン／スパンボンドの３層構造からなる積層不織布であり、当該ＳＭＳ不織布は、通気性と、（特に、スパンボンド層による）一定の強度（ヨレ難さ）とを兼ね備えつつ、（特に、極細繊維層であるメルトブローン層によって）液状排泄物の透過をより効果的に抑制することができる不織布であるため、このような不織布を裏面シートとして用いると、当該裏面シートにおいて、優れた通気性とヨレ難さ（特に湿潤時におけるヨレ難さ）とを確保しつつ、液状排泄物の漏出をより効果的に抑制することができる。

また、裏面シートに用いる疎水性不織布の構成繊維は、疎水性を有するものであれば特に制限されず、例えば、ＰＥ、ＰＰ等のポリオレフィン系繊維；ＰＥＴ等のポリエステル系繊維；芯鞘型複合繊維等の各種複合繊維などの疎水性の熱可塑性樹脂繊維を用いることができる。

本発明において、裏面シートの坪量は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、湿潤強度や柔軟性、通気性、液不透過性等を勘案した任意の坪量を採用することができる。そのような坪量としては、例えば、８ｇ／ｍ²〜６０ｇ／ｍ²の範囲内の坪量が挙げられ、好ましくは１５ｇ／ｍ²〜５０ｇ／ｍ²の範囲内である。

さらに、裏面シートの厚みについても、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、例えば、０．０１ｍｍ〜５．０ｍｍの範囲内の厚みを採用することができるが、湿潤強度や柔軟性、通気性、液不透過性などの点から、好ましくは０．０５ｍｍ〜３．０ｍｍの範囲内である。

［接着層］
上述の実施形態において、パンティーライナー１は、図２に示すように、表面シート２、低吸収性シート４及び裏面シート３が、各シート間（すなわち、表面シート２と低吸収性シート４との間、及び低吸収性シート４と裏面シート３との間）のそれぞれに配置された、ホットメルト型接着剤による第１接着層Ａ_１及び第２接着層Ａ_２を介して、互いに接合されている。このように、表面シート（吸収層）と低吸収性シート（低吸収層）との間、及び低吸収性シート（低吸収層）と裏面シートとの間が、それぞれ第１接着層及び第２接着層を介して接合されていると、これら各シート間における位置ずれや変形が生じ難くなるため、吸収性物品が更にヨレ難くなる。

なお、上述の実施形態においては、第１接着層Ａ_１及び第２接着層Ａ_２における接着剤の配置パターンは、いずれも長手方向Ｌに延びる複数本のスパイラル状の配置パターンであるが、本発明においては、このような配置パターンに限定されず、長手方向及び／又は幅方向に延びる複数本の、オメガ状、波線状、ジグザグ状、ストライプ状、帯状等の任意の配置パターンを採用することができる。

さらに、表面シート及び低吸収性シートの間の第１接着層と、低吸収性シート及び裏面シートの間の第２接着層は、それぞれの配置パターンが吸収性物品の厚さ方向に重ならない（すなわち、平面視にて第１接着層の配置パターンと第２接着層の配置パターンが重ならない）ようにして配置されていることが好ましい。第１接着層と第２接着層が、吸収性物品の厚さ方向に重ならない配置パターンでそれぞれ配置されていると、折れ曲がり起点となり得る各接合点が一定以上の数で形成されるため、吸収性物品全体の強度が向上して吸収性物品が更にヨレ難くなるとともに、より適度な柔軟性を兼ね備えることができる。それにより、ヨレ難さ（特に、湿潤時におけるヨレ難さ）と優れた着用感との両立を、より効果的に且つ確実に実現することができる。

なお、本明細書において、上述の第１接着層と第２接着層が吸収性物品の厚さ方向に重ならない配置パターンとは、第１接着層の配置パターンと第２接着層の配置パターンとが、吸収性物品の厚さ方向に完全に重ならない態様のほか、各配置パターンが吸収性物品の厚さ方向に部分的に重なる態様も含む。

また、上述の実施形態においては、各シート間（すなわち、表面シート２と低吸収性シート４との間、及び低吸収性シート４と裏面シート３との間）が、それぞれホットメルト型接着剤によって互いに接合されているが、本発明においては、各シート間を接合する手段は、本発明の効果を阻害しない限り特に制限されず、各シート間は、例えば、熱融着等の任意の接合手段によって接合されていてもよい。例えば、各シート間が、熱融着によって接合されていると、接合部（融着部）が尿などの液状排泄物による分解等の影響を受け難いため、吸収性物品の湿潤時においても接合状態を良好に維持することができ、吸収性物品にヨレがより一層生じ難くなる。

［吸収体］
上述の実施形態に係るパンティーライナー１は、吸収層としての表面シート２のほかに、尿などの液状排泄物を吸収・保持するための吸収体を備えていないが、本発明の吸収性物品においては、本発明の効果を阻害しない限りこのような吸収体を備えていてもよい。具体的には、本発明の吸収性物品は、本発明の効果を阻害しない限り、例えば、表面シートと低吸収性シートとの間の位置に、液状排泄物を吸収・保持することのできる吸収体が配置されていてもよい。表面シートと低吸収性シートとの間にこのような吸収体が配置されていると、表面シート上に供給された液状排泄物の一部が表面シートを透過したとしても、吸収体において液状排泄物を吸収・保持することができるため、液状排泄物の吸収性物品からの漏出や液戻り等を抑制することができ、結果的に、吸収性物品の良好な着用感をより確実に着用者に提供することができる。

なお、吸収体は、液状排泄物を吸収・保持することのできるものであれば特に制限されず、当分野において公知の任意の吸収体を用いることができる。そのような吸収体の例としては、吸収性材料によって構成される吸収コアを、親水性を有するティッシュ等のコアラップシートで覆ったものなどが挙げられる。吸収コアを構成する吸収性材料としては、例えば、親水性繊維や高吸収性ポリマーなどが挙げられ、更に具体的には、粉砕パルプ、コットン等のセルロース繊維；レーヨン、フィブリルレーヨン等の再生セルロース繊維；アセテート、トリアセテート等の半合成セルロース繊維；アクリル酸ナトリウムコポリマー等の高吸収性ポリマーからなる粒状物；及びこれら２種以上の任意の組み合わせなどが挙げられる。

なお、本発明は、上述した実施形態のパンティーライナーのほかに、例えば、生理用ナプキン、（軽）失禁パッド等の様々な吸収性物品に適用することができる。また、本発明の吸収性物品は、上述した実施形態に制限されることなく、本発明の目的、趣旨を逸脱しない範囲内において、適宜組み合わせや変更等が可能である。なお、本明細書において、「第１」、「第２」等の序数は、当該序数が付された事項を区別するためのものであり、各事項の順序や優先度、重要度等を意味するものではない。

１ パンティーライナー（吸収性物品の一例）
２ 表面シート（吸液性を有する吸収層の一例）
３ 裏面シート
４ 低吸収性シート（低吸収層の一例）
５ 剥離シート
６ 粘着剤層
７ 着衣
Ａ_１ 第１接着層
Ａ_２ 第２接着層

Claims (8)

1. 吸液性を有する吸収層を含み、互いに直交する長手方向、幅方向及び厚さ方向を有する吸収性物品であって、
   前記吸収層は、前記厚さ方向において前記吸収性物品の肌対向面側に向かって突出し且つ前記長手方向に交差する方向に連続的に延びる凸部と、前記厚さ方向において前記吸収性物品の非肌対向面側に向かって窪み且つ前記凸部と並行して連続的に延びる凹部とが、前記長手方向に沿って交互に配置された凹凸構造を備えていて、
   前記凸部は、前記吸収層の前記非肌対向面側の表面が面する空洞部を有する、
   前記吸収性物品。
2. 前記長手方向に交差する方向が、前記幅方向である、請求項１に記載の吸収性物品。
3. 前記吸収性物品は、前記厚さ方向において、前記吸収層の前記肌対向面側及び前記非肌対向面側の少なくとも一方に、前記吸収層よりも吸液性が低い低吸収層を備えていて、前記吸収層と前記低吸収層とが接合している、請求項１又は２に記載の吸収性物品。
4. 前記低吸収層は、前記吸収層よりも厚みが大きい、請求項３に記載の吸収性物品。
5. 前記低吸収層は、熱融着性繊維を含み且つ該熱融着性繊維同士が融着した複数の融着部を有し、前記吸収層は、熱融着性繊維を含まない又は前記低吸収層よりも熱融着性繊維の含有量が少ない、請求項３又は４に記載の吸収性物品。
6. 前記低吸収層がエアスルー不織布によって構成されていて、当該エアスルー不織布は、前記吸収性物品の前記厚さ方向において、前記吸収層の前記非肌対向面側に配置されている、請求項３〜５のいずれか一項に記載の吸収性物品。
7. 前記吸収性物品は、前記吸収層の他に、吸液性を有する層を含まない、請求項１又は２に記載の吸収性物品。
8. 前記吸収層が表面シートである、請求項１〜７のいずれか一項に記載の吸収性物品。

Images