JP6965729B2 - 吸収性物品 - Google Patents
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Description
本件は、上記のような課題に鑑みて創案されたものであり、吸収性物品においてコアに積層されるシートの破損を抑えることを目的の一つとする。
また、厚み方向に沿った方向から視ることを平面視とする。つまり、平面視とは、吸収性物品の展開図(例えば図1参照)において、吸収性物品を肌面側又は非肌面側から視ることをいう。
図1及び図2を参照して、紙おむつ100の基本的な構成を説明する。なお、図2の断面図では、各構成を把握しやすくするため、各シート類の厚みを誇張して示している。
シート30は、コア21を被覆する、上側コアラップシート31と下側コアラップシート32とを有している。また、シート30は、吸収体20の表面に配置される、トップシート33とバックシート34とを有している。
以下、紙おむつ100の各構成要素について説明する。
コア21は、液体を吸収して保持するマット状の部材である。コア21は、高吸収性ポリマー(SAP(Superabsorbent polymer)、高吸水性高分子あるいは高吸水性樹脂とも称される)22と、繊維材料23とを含んでいる。コア21は、繊維材料23に高吸収性ポリマー22が混合されることにより形成されている。繊維材料23は、親水性を有する繊維が絡まり合って形成されている。高吸収性ポリマー22は、繊維材料23に混合されることにより、通常、繊維材料23に埋没保持されている。高吸収性ポリマー22は、繊維材料23によって拡散された液体を吸収し保持することができる。
吸収体20は、着用者から排泄される尿や経血といった液体の水分(以下「排泄水分」という)を吸収して保持する吸液性をもつマット状(あるいはパッド状)の部材である。図1に示すように、紙おむつ100には、前身頃100A、股下部100B、及び後身頃100Cに亘って長手方向に延びる吸収体20が内蔵されている。ここでは、前身頃100A及び後身頃100Cよりも股下部100Bのほうが幅方向寸法の小さい、砂時計形状の吸収体20を例示する。ただし、吸収体20の平面視形状は、上記したような砂時計形状に限らず、平面視で矩形(すなわち幅方向寸法が一定)であってもよいし、それぞれ円形の前身頃100A及び後身頃100Cを結ぶダンベル形状であってもよい。
積層体10は、吸収体20の両主面側にトップシート33とバックシート34とがそれぞれ配置された積層構造体である。中でも、トップシート33は、吸収体20の肌面側の表面に配置される。また、バックシート34は、吸収体20の非肌面側の表面に配置される。トップシート33及びバックシート34と吸収体20とは、ホットメルト接着剤等の公知の接着剤によって固定することができる。
おむつ100は、積層体10に対して積層されるサイドシート35及びカバーシート36をさらに備えている。サイドシート35は、積層体10の幅方向側方に配置される。また、カバーシート36は、積層体10の非肌面側に配置される。サイドシート35及びカバーシート36と積層体10とは、ホットメルト接着剤等の公知の接着剤によって固定することができる。
また、「目付量」とは、シートの厚みあるいは積層度合いに対応するパラメータであり、単位面積あたりの重量で表される。例えば、一平米あたりのグラム数が「目付量」として用いられる。
第二カバーシート38及び第三カバーシート39は、前身頃100A及び後身頃100C(図1参照)で第一カバーシート37よりも幅方向寸法が大きく設定され、装着状態で着用者の臀部や腰、腹などのまわりに配置される。第三カバーシート39は、紙おむつ100において最も非肌面側に配置される。このことから、第三カバーシート39は「アウターカバーシート」とも称され、第二カバーシート38は「インナーカバーシート」とも称される。
次に、図1及び図2を参照して、紙おむつ100のギャザー70について述べる。
ギャザー70は、ゴムやポリウレタン、伸縮フィルムといった伸縮性をもつ部材(伸縮性部材)を伸張状態で不織布などのシートの間に挟んでホットメルトなどで固定することによって伸縮性をもたせたシート複合体から構成される。このシート複合体は、伸縮性部材が伸張状態からもと(自然長の状態)に戻ろうとする力(復元力、弾性力)で不織布などのシートに細かな皺が寄った状態となる。ここでは、伸縮性部材として糸状のゴム部材(以下「糸ゴム」と略称する)80を例示する。
その他、上述したギャザー71,72,73に加えてまたは替えて、着用者の脚部の付け根に対する追従を高めるためのレッグギャザーを設けてもよい。
凹部40は、着用者への紙おむつ100のフィット性、吸水性や通気性を高めるために、少なくともコア21と、コア21に積層されるシート30(例えば、上側コアラップシート31やトップシート33)とを厚み方向T(積層方向)に圧搾されて設けられる。凹部40の幅寸法は特に限定されないが、通常0.5mm以上、好ましくは1mm以上であり、通常10mm以下、好ましくは5mm以下である。また、凹部40の深さ寸法(厚み方向Tに沿った寸法)は特に限定されないが、通常0.5mm以上、好ましくは1mm以上であり、通常10mm以下、好ましくは8mm以下である。
平面視における凹部40の形状は特に限定されないが、図1では、紙おむつ100の肌面側に線状に延設された凹部40を示す。また、図1における凹部40は吸収体20の肌面側に全体的に設けられているが、部分的に設けることもできる。
上述した凹部41,42によれば、凹部41,42に沿って排泄された液体を拡散させることで、コア21の吸水箇所を分散させることにより、コア21の吸水性を高めることができ、加えて通気性も確保できる。
シート30の伸張特性としては、「凹部の圧搾時における変形の許容度合い」、「幅方向の破断伸度」、「20%伸張後の変形量」及び「弾性限界」が挙げられる。シート30は、これらの伸張特性の中でも、「凹部の圧搾時における変形の許容度合い」及び「幅方向の破断伸度」の何れか一方を有することを特徴としている。
シート30は、凹部40の圧搾時における変形の許容度合が、凹部40の圧搾時におけるコア21の変形の許容度合いよりも大きく設定されている。このように凹部40の圧搾時における変形の許容度合いを設定することで、シート30の破損が抑制される。ここで、凹部40の圧搾時における変形の許容度合いとは、シート30又はコア21の厚み方向Tに生じた所定の応力(押し込み応力)により、シート30又はコア21が破断しない最大の変形度合を意味し、シート30又はコア21が破断した際の押し込み応力により大小を比較できる。押し込み応力は、例えば、万能試験機(例えば、(株)エー・アンド・デイ社製、「RTC−1250」)を使用して、JIS L 1913の破裂強さに規定された方法で測定できる。
シート30は、幅方向Wの破断伸度が40〜80%に設定されている。紙おむつ100を製造する際における凹部40の圧搾工程では、外周面に凸条が形成されたローラを用いて、コア21上に積層されたシート30が加圧される。凹部40の圧搾工程における製造ラインの流れ方向と、シート30の幅方向Wとは略直交又は略平行となることがあり、この場合、圧搾時の主な応力はシート30の幅方向Wに作用する。また、平面視における凹部40の形状(パターン)や凹部40の幅寸法、深さ寸法によっては、圧搾時の主な応力がシート30の幅方向Wに作用することがある。したがって、シート30の幅方向Wにおける破断伸度を40%以上とすることで、シート30の破損が抑制される。また、シート30の幅方向Wにおける破断伸度を80%以下とすることで、凹部40の圧搾工程後においてシート30に弛みや皺を生じにくくすることができる。
凹部40の圧搾時におけるシート30の破損、弛みや皺の発生をより抑制する観点からは、幅方向Wの破断伸度は、好ましくは50%以上、より好ましくは55%以上であり、好ましくは75%以下、より好ましくは70%以下である。
シート30の幅方向Wの破断伸度はJIS K7127;1999に規定された方法で測定される。
凹部40の圧搾時におけるシート30の破損を確実に抑制する観点からは、シート30の20%伸張後の変形量は、好ましくは10%以上、より好ましくは15%以上である。上限値は特に限定されないが、凹部40の圧搾工程後においてシート30に弛みや皺を生じにくくする観点から、好ましくは20%以下である。20%伸張後の変形量は、伸張前のシート30の幅方向Wにおける長さ寸法と、伸張後のシート30の幅方向Wにおける長さ寸法とから算出できる。伸張後のシート30の幅方向Wにおける長さ寸法とは、シート30を幅方向Wに20%伸張し(10分間)、伸張を開放してから10分後の幅方向Wにおける長さ寸法を意味する。
シート30は凹部40の圧搾成形にともなって弾性限界を超えることが好ましい。凹部40の圧搾時にシート30が弾性限界を超えて伸長されることで、圧搾時の応力が緩和されるため、シート30の破損を確実に抑制できると共に、凹部40の確実な成形にも寄与する。
本実施形態の紙おむつ100は、コア21に積層されたシート30(特に、上側コアラップシート31及びトップシート33)が所定の伸張特性を有する。そのため、圧搾工程の際にシート30の破損が防止される。シート30の破損が防止されることで、コア21に含まれる高吸収性ポリマー22の漏出が抑制されるため、吸収体20の吸水性を維持することができる。また、着用者の快適性も維持される。
上述した実施形態はあくまでも例示に過ぎず、この実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、適宜組み合わせることもできる。
さらに、コア21にシート31,33とは別のシートが積層されていてもよい。
100A 前身頃
100B 股下部
100C 後身頃
10 積層体
20 吸収体
21 コア
30 シート
31 上側コアラップシート
32 下側コアラップシート
33 トップシート
34 バックシート
40 凹部
Claims (6)
- 吸水性をもつマット状のコアを有する吸収体と、
前記コアに積層され、所定の伸張特性をもつシートと、
前記シートとともに前記コアが圧搾され、前記吸収体の少なくとも肌面側の全体に設けられた複数の凹部と、を備え、
前記所定の伸張特性は、前記凹部の圧搾時における前記シートの変形の許容度合いが、前記凹部の圧搾時における前記コアの変形の許容度合いよりも大きいことを含む
吸収性物品。 - 吸水性をもつマット状のコアを有する吸収体と、
前記コアに積層され、所定の伸張特性をもつシートと、
前記シートとともに前記コアが圧搾され、前記吸収体の少なくとも肌面側の全体に設けられた複数の凹部と、を備え、
前記所定の伸張特性は、幅方向の破断伸度が40〜80%であることを含む
吸収性物品。 - 前記所定の伸張特性は、20%伸張後の変形量が10%以上であることを含む
請求項1又は2に記載の吸収性物品。 - 前記所定の伸張特性は、前記凹部の圧搾成形にともなって弾性限界を超えることを含む
請求項1〜3の何れか1項に記載された吸収性物品。 - 前記シートは、構成材料に捲縮繊維を含む
請求項1〜4の何れか1項に記載された吸収性物品。 - 前記シートは、前記コアを包むラップシートである
請求項1〜5の何れか1項に記載された吸収性物品。
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