JP2017165684A - イネの病害を防除する方法 - Google Patents

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光紀 前田
Mitsunori Maeda
光紀 前田
浩靖 細川
Hiroyasu Hosokawa
浩靖 細川
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Abstract

【課題】出芽遅れおよび出芽バラツキを生じさせずに、イネ苗立枯細菌、イネもみ枯細菌などに起因するイネの病害を高い効果で防除することができるイネ種子の処理を含む方法を提供する。【解決手段】イネ苗立枯細菌、イネもみ枯細菌などの病害を被る怖れのあるイネ種子を、化学農薬を含有する液に浸けて消毒し、液切りし、次いで風乾してイネ種子を乾燥させ、その後、シュードモナス属(Pseudomonas)に属する微生物などのようなイネに対して病原性を実質的に有しない微生物を含有し且つ温度20℃以上である浸種液に、浸種液の温度とイネ種子を浸種液に浸けている日数との積が例えば55〜110℃・日となる条件にて、浸けることを含む、イネの病害を防除する方法。【選択図】なし

Description

本発明は、イネの病害を防除する方法に関する。より詳細に、本発明は、出芽遅れおよび出芽バラツキをほとんど生じさせずに、イネ苗立枯細菌、イネもみ枯細菌などに起因するイネの病害を高い効果で防除することができるイネ種子の処理を含む方法に関する。
イネの栽培法としては、田畑に直に種籾(イネ種子)を蒔く直播栽培、苗代などに種籾を蒔き育苗し、ある程度育った苗を本田に移植する移植栽培などがある。日本国内におけるイネ栽培においては、一般的に、播種の前に、比重選、種子消毒、種子浸漬、催芽などの作業が行われる。種子浸漬(浸種)の際の温度は、10〜15℃程度が好ましいと言われているが、非特許文献1に記載のように出芽難のコシヒカリなどでは30℃での浸種が提案されている。
種子消毒はイネの病害を防除するために行われる。種子消毒の一つの方法として生物農薬を用いる方法が提案されている。
例えば、非特許文献2は、12〜15℃の浸種の後、催芽時に、エコホープ、エコホープドライ(トリコデルマ・アトロビリデ SKT-1水和剤)、タフブロック(タラロマイセス・フラバスSAY-Y-94-01水和剤)などの生物農薬の30℃溶液に24時間浸漬することを開示している。非特許文献3は、ヘルシードTフロアブルなどの化学農薬を用いて種子消毒した後、風乾し、水洗いせずに、浸種することを教示している。
非特許文献4または5は、微生物農薬の一種であるエコホープを浸種前〜催芽時、好ましくは催芽前に使用すること、浸種温度10℃以下30℃以上を避けることなどを教示している。
特許文献1は、フザリウム属に属する微生物とシュードモナス属に属する微生物とを含む液にイネ種子を20℃で24時間浸漬して種子消毒を行い、積算温度(浸漬液の温度と浸漬日数との積)100℃・日の目安で水に浸けて浸種処理を行い、次いで30℃で1日間催芽処理することを含む方法を開示している。
特許文献2は、イネ科植物育苗中に発生する細菌性病原菌に対して拮抗作用を有する細菌の懸濁液にイネ種子を5〜30℃で1〜2日程度浸漬処理することを含む方法を開示している。
特許文献3および4は、イネ種子に水分を吸収させ、酵素活性を高め催芽をはかるために一般に行われている「浸種」段階、すなわち、イネ種子を播種前に冷水または温湯からなる浸漬液に48〜96時間程度浸漬する段階において、シュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)CAB-02、シュードモナス グラディオリ(Pseudomonas gladioli)CAB-03、若しくはシュードモナス グラディオリ(Pseudomonas gladioli)CAB-04を、前記浸漬液に添加すること、浸漬液の温度条件として15〜35℃にすることを開示している。
ばか苗病などを防止するために、浸種温度を10〜15℃、積算温度100℃・日でじっくり浸種することが一般に推奨されている(非特許文献6、非特許文献7など)。浸種温度が15℃より高くなると、発芽遅れおよび催芽ムラが顕著になり、ばか苗病などに罹りやすくなると言われている。
特開2003−252715号公報 WO99/16859 A1 特開平9−124426号公報 特開平9−124427号公報
島影ら「種籾の浸種温度変化がコシヒカリの出芽に及ぼす影響」北陸作物学会報(The Hokuriku Crop Science)43:51〜53(2008) 「水稲種子消毒で使用できる生物農薬の効果的な使用方法」研究レポートNo.304、岩手県農業研究センター、平成17年4月発行 「種子消毒用生物農薬を効果的に使いましょう」岩手県・JA全農いわて・社団法人岩手県農産物改良種苗センター、平成20年発行 「平成25年度春肥料・水稲農薬ガイドブック」長生農業協同組合、平成24年9月 [イネ種子伝染性病害に効果のある微生物農薬(エコホープ[登録商標])の指標方法 平成16年度」あたらしい農業技術No.432、静岡県農業水産部 「登米地域の稲作通信 特別号 〜ばか苗病の発生と対策について〜」 宮城県米づくり推進登米地方本部,登米農業改良普及センター 平成26年3月7日発行 「水稲種子の取り扱いは丁寧に」松本農業改良普及センター
本発明の目的は、出芽遅れおよび出芽バラツキを生じさせずに、イネ苗立枯細菌、イネもみ枯細菌などに起因するイネの病害を高い効果で防除することができるイネ種子の処理を含む方法を提供することである。
上記の目的を達成するために鋭意検討した結果、以下の態様を包含する発明を完成するに至った。
〔1〕 化学農薬を含有する液にイネ種子を浸けて消毒し、
液切りし、次いで風乾してイネ種子を乾燥させ、その後、
イネに対して病原性を実質的に有しない微生物を含有し且つ温度20℃以上である浸種液にイネ種子を浸けること
を含むイネの病害を防除する方法。
〔2〕 イネに対して病原性を実質的に有しない微生物が、シュードモナス属(Pseudomonas)に属する微生物である〔1〕に記載の方法。
〔3〕 浸種液の温度が20〜35℃である〔1〕または〔2〕に記載の方法。
〔4〕 浸種液の温度とイネ種子を浸種液に浸けている日数との積が、55〜110℃・日である、〔1〕〜〔3〕のいずれかひとつに記載の方法。
〔5〕 イネの病害が、イネ苗立枯細菌またはイネもみ枯細菌に起因する病害である、〔1〕〜〔4〕のいずれかひとつに記載の方法。
本発明の方法によると、出芽遅れおよび出芽バラツキをほとんど生じさせずに、イネ苗立枯細菌、イネもみ枯細菌などに起因するイネの病害を高い効果で防除することができる。
本発明に係るイネの病害を防除する方法は、
化学農薬を含有する液(以下、化学農薬液ということがある。)にイネ種子を浸けて消毒し、液切りし、次いで風乾してイネ種子を乾燥させ、その後、イネに対して病原性を実質的に有しない微生物を含有し且つ温度20℃以上である浸種液にイネ種子を浸けることを含むものである。
本発明の方法によって防除できるイネの病害としては、いもち病(Magnaporthe grisea)、紋枯病(Rhizoctonia solani)、馬鹿苗病(Gibberella fujikuroi)、ごま葉枯病(Cochliobolus miyabeanus)、苗立枯病(Fusarium avenacerum, F.solani, Rhizopus chinensis, R.oryzae, R. arrhizus, R. javanicus, Pythium graminicola, P.arrhenomanes, P.spinosum, P. irregulare, P. sylvaticum)、苗立枯細菌病(Burkholderia plantarii)、白葉枯病(Xanthomonas oryzae pv.Oryzae)、褐条病(Acidovorax avenae subsp. avenae)、もみ枯細菌病(Burkholderia glumae, B. gladioli)、株腐病(Dickeya zeae)、かさ枯病(Pseudomonas syringae pv. oryzae)、内頴褐変病(Pantoea ananatis)、葉鞘褐変病(Pseudomonas fuscovaginae)、稲こうじ病(Villosiclava virens)、疫病(Phytophthora japonica)、黄化萎縮病(Sclerophthora macrospora)、褐色米(Cochliobolus intermedius)、褐色菌核病(Ceratobasidium setariae)、褐色小粒菌核病(Waitea circinata)、褐色葉枯病(Monographella albescens)、褐色紋枯病(Thanatephorus cucumeris)、褐紋病(Nigrospora oryzae)、眼斑病(Drechslera gigantea)、黒しゅ病(Entyloma dactylidis Ciferri)、シナモン色かび病(Peziza ostracoderma)、小球菌核病(Magnaporthe salvinii)、白絹病(Sclerotium rolfsii)、墨黒穂病(Tilletia barclayana)、赤色菌核病(Waitea circinata)、立枯病(Gaeumannomyces graminis)、にせいもち病(Alternaria oryzae, Epicoccum nigrum, Cladosporium herbarum, Pseudocochliobolus lunatus)、綿疫病(Phytophthora sojae)、ブラキスポリウム病(Curvularia senegalensis)、葉枯病(Phaeosphaeria oryzae)、灰色葉枯病(Hendersonia oryzae)、灰色菌核病(Ceratobasidium cornigerum)、灰紋病(Cladosporium miyakei)、斑点病(Cochliobolus sativus)、穂黒粒病(Epicoccum hyalopes)、株枯病(Gibberella fujikuroi)、黄枯病(Pyrenochaeta oryzae)、小黒菌核病(Helminthosporium sigmoideum Cavara var. irregulare)、黒変病(Cladosporium herbarum)、黒粒菌核病(Helicoceras oryzae)、球状菌核病(Sclerotium hydrophilum)、もみ種腐敗病(Fusarium sp.)、もみ枯病(Phoma glumarum)、苗腐病(Pythium spp., Achlya spp., Phytophthora spp., Dictyuchus spp.)、ねずみかび病(Alternaria oryzae)、さび色小粒菌核病(Sclerotium sp.)、ささら病(Sphaerulina miyakei)、すす病(Cladosporium herbarum, Neocapnodium tanakae, Aureobasidium pullulans)、すす紋病(Pseudocochliobolus lunatus)、すじ葉枯病(Sphaerulina oryzina)、葉しょう網斑病(Cylindrocladium scoparium)、葉しょう腐敗病(Sarocladium oryzae)、葉しょう褐斑病(Pyrenochaeta sp.)などを挙げることができる。これらのうち、本発明の方法は、イネ苗立枯細菌またはイネもみ枯細菌に起因する病害の防除に好適である。
本発明に用いられるイネ種子(種籾)としては、アジアイネ(サティヴァ種、Oryza sativa)のタネ、アフリカイネ(グラベリマイネ種、Oryza glaberrima)のタネなどを挙げることができる。アジアイネとしては、ジャポニカ種(Oryza sativa subsp. japonica)、ジャバニカ種(Oryza sativa subsp. javanica)、インディカ種(Oryza sativa subsp. indica)などを挙げることができる。
化学農薬液にイネ種子を浸ける前に、不良種子を取り除くことが好ましい。不良種子の取り除き方法としては、例えば、塩水(例えば、NaClを含む水溶液)を用いた比重選別法が好ましい。比重選別法に用いられる塩水の比重は、通常、1.07〜1.14である。
比重選の後または化学農薬処理の前若しくは後に、温水消毒(例えば、60℃、10分間浸漬)を行うことができる。なお、温水消毒を行った直後にイネ種子を急冷することが好ましい。
本発明に用いられる化学農薬液に含有させる化学農薬はイネ種子の消毒に用いることができるものであれば特に限定されない。本発明に用いられる化学農薬は、好ましくは糸状菌病害防除剤、より好ましくはDMI(DeMethylation Inhibitor)剤、さらに好ましくはスポルタック乳剤(プロクロラズ)、ヘルシード乳剤(ペフラゾエート)である。
本発明に用いられる化学農薬液に含まれる化学農薬の量は、好ましくは100〜10000ppm、より好ましくは200〜8000ppmである。化学農薬液の温度は、好ましくは10〜20℃である。イネ種子を化学農薬液に浸けている時間は、通常、10分間〜24時間である。
化学農薬液への浸漬によるイネ種子の消毒の後、液切りし、風乾により十分乾燥させる。乾燥不十分のままにしておくと、病害菌が増えたり、浸種時に非病原性微生物が死滅したりして、防除効果を下げることがある。風乾は風通しのよい日陰または半日陰にて行うことが好ましい。
本発明に用いられる浸種液に含有させる微生物(以下、非病原性微生物ということがある。)は、イネに対して病原性を実質的に有しないものである。イネに対して病原性を有しない微生物としては、シュードモナス ロデシア(Pseudomonas rhodesiae)、シュードモナス エスピー(Pseudomonas sp.)、シュードモナス オーレオファシエンス(Pseudomonas aureofaciens)、シュードモナス グラディオリ(Pseudomonas gladioli)などのシュードモナス属菌;フザリウム モニリフォルメ(Fusarium moniliforme)、フザリウム オキシスポラム(Fusarium oxysporum)、フザリウム ソラニ(Fusarium solani)、フザリウム アクミナタム(Fusarium acuminatum)、フザリウム アベナセアム(Fusarium avenaceum)、フザリウム カルモラム(Fusariumculmorum)、フザリウム グラミネアラム(Fusarium graminearum)、フザリウム ニバーレ(Fusarium nivale、別名Micronectriella nivalis)などのフザリウム属菌などを挙げることができる。これらのうち、シュードモナス属菌が好ましく、シュードモナス ロデシアがより好ましく、050572I9菌(受託番号:FERM BP−10912)、CB2−4菌(受託番号:FERM P−21748)、HAI−0804菌がさらに好ましく、HAI−0804菌が最も好ましい。
本発明に用いられる非病原性微生物としては、搬送または貯蔵のし易さ、非病原性微生物の生存数の維持し易さなどの観点から、製剤化したものを好ましく用いることができる。製剤の剤型は特に制限されず、例えば、粉剤、水和剤、乳剤、フロアブル剤、粒剤等を挙げることができる。製剤化にあたっては、従来から知られる添加剤を用いることができる。添加剤としては、例えば、担体、界面活性剤、分散剤、補助剤等を挙げることができる。
製剤中に含まれる非病原性微生物の量は、特に限定されない。例えば、製剤100質量部に対して非病原性微生物0.1〜50質量部にすることができる。
浸種液は、種籾に水分を吸収させ、酵素活性を高め催芽をはかるために一般に行われている「浸種」の段階において用いられる、イネ種子を浸けるための液体である。本発明に用いられる浸種液は、非病原性微生物を含有する水懸濁液である。浸種液に含まれる非病原性微生物の量は、特に制限されないが、好ましくは1×104〜1×1010cfu/ml、より好ましくは105〜1×108cfu/mlである。
浸種液の温度は、20℃以上、好ましくは20〜35℃、さらに好ましくは25〜30℃である。20℃未満においては、非病原性微生物の活動が鈍く、防除効果が低い。高温度においては、出芽のばらつきが顕著になることがある。
イネ種子を浸種液に浸けている日数は、特に制限されないが、浸種液の温度とイネ種子を浸種液に浸けている日数との積が、好ましくは55〜110℃・日となるように設定することが好ましい。例えば、27℃の浸種液においては約2〜4日間イネ種子を浸種液に浸けておくことが好ましい。
浸種液の使用量(体積)は、イネ種子の量(見掛体積)の2倍以上とすることが好ましい。浸種液の交換は、浸種開始後3日間は行わず、その後、1〜2日間隔で行うことが好ましい。浸種後半においては、イネ種子から二酸化炭素、有機酸などが旺盛に放出されるので、酸素欠乏状態になりやすいからである。
浸種の後、必要に応じて催芽が行われる。浸種が完了した時点で芽長約2mmの芽が出揃い、ハトムネ状態になっている場合には、催芽の作業を実施しない場合もある。催芽には、湿熱方式催芽と温水方式催芽とがある。催芽時の温度は、好ましくは28〜32℃である。催芽の日数は、通常、1〜2日間である。湿熱方式催芽では、例えば、種籾の入った袋の液切りを十分に行い、該袋の中心部まで温度がすみやかに、均一に保たれるようにすることが好ましい。温水方式催芽では水中酸素が不足しないように、温水の量などに留意することが好ましい。なお、催芽時に食酢液に好ましくは28〜32℃で1〜2日間浸漬すると病害菌防除効果が高まることがある。
以下に実施例等を示し、本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例によって何ら制限されるものではない。
〔イネ苗立枯細菌の防除評価〕
対照例1
開花期の稲穂(品種:コシヒカリ)にイネ苗立枯細菌懸濁液を噴霧してイネ苗立枯細菌に感染させた。このイネからイネ苗立枯細菌感染イネ種子を採取した。
健全イネ種子(品種:コシヒカリ)80重量部とイネ苗立枯細菌感染イネ種子20重量部を混ぜ合わせ、水に15℃、24時間浸漬した。液切りし、風乾にて乾燥させて、無処理イネ種子1を得た。
無処理イネ種子1を、水に、15℃で4日間(積算温度60℃・日)浸漬した。水から引揚げたイネ種子を恒温器中に30℃にて1日間静置して催芽させた。次いで育苗箱に8cm×8cmあたり100gの割合で播種し、覆土した。30℃で2日間放置し、出芽させた。出芽率は高いが、出芽遅れおよび出芽バラツキが若干あった。
(発病評価試験)
出芽から育苗2週間経過した時の苗を観察し、細菌病の状況を、下記のとおりの発病指数にて、数値化した。
発病指数 状況
0 発病なし
1 茎葉が褐色に変色が見られる
2 白化が見られ、生育不良が見られる
3 苗が枯れる
発病指数から下式に基いて発病度を算出した。
発病度=(調査株数分の発病指数の積算値÷(調査株数×3))×100
比較例1
日産スポルタック乳剤(プロクロラズ25%含有、日産化学工業社製)を1000倍に水で希釈して、化学農薬液1を用意した。
健全イネ種子(品種:コシヒカリ)80重量部とイネ苗立枯細菌感染イネ種子20重量部を混ぜ合わせ、前記化学農薬液1に15℃、24時間浸漬した。液切りし、風乾にて乾燥させて、処理イネ種子1を得た。
無処理イネ種子1を処理イネ種子1に替えた以外は対照例1と同じ方法で出芽させた。出芽率は対照例1と同程度であった。出芽遅れおよび出芽バラツキはほとんど無かった。発病評価試験を行って発病度を算出した。
(防除価)
発病度から下式に基いて防除価を算出した。
防除価=(1−(処理イネ種子での発病度÷無処理イネ種子での発病度))×100
比較例1におけるイネ苗立枯細菌病の防除価は30.8であった。
実施例1
マスタピース水和剤(日本曹達社製、シュードモナス ロデシア HAI−0804株 5.0×109cfu/g)を1000倍に水で希釈して、生物農薬液を用意した。
処理イネ種子1を、生物農薬液に25℃で4日間(100℃・日)浸漬した。液切りし、そのまま育苗箱に8cm×8cmあたり100gの割合で播種し、覆土した。30℃で2日間放置し、出芽させた。出芽率は対照例1と同程度であった。出芽遅れおよび出芽バラツキは無かった。発病評価試験を行って発病度を算出した。イネ苗立枯細菌病の防除価は97.1であった。
実施例2
処理イネ種子1を、生物農薬液に25℃で3日間(75℃・日)浸漬した。その後、水から引揚げたイネ種子を恒温器中に30℃にて1日間静置して催芽させた。次いで育苗箱に8cm×8cmあたり100gの割合で播種し、覆土した。30℃で2日間放置し、出芽させた。出芽率は対照例1と同程度であった。出芽遅れおよび出芽バラツキは無かった。発病評価試験を行って発病度を算出した。イネ苗立枯細菌病の防除価は97.1であった。
実施例3
生物農薬液に浸漬する条件を25℃3日間(75℃・日)を30℃2日間(60℃・日)に変更した以外は、実施例2と同じ方法で、出芽させた。出芽率は対照例1と同程度であった。出芽遅れおよび出芽バラツキが若干あった。発病評価試験を行って発病度を算出した。イネ苗立枯細菌病の防除価は99.3であった。
比較例2
処理イネ種子1を、水に15℃で4日間(60℃・日)浸漬した。液切りし、生物農薬液に30℃で1日間浸漬した。液切りし、育苗箱に8cm×8cmあたり100gの割合で播種し、覆土した。30℃で2日間放置し、出芽させた。出芽率は対照例1と同程度であった。出芽遅れおよび出芽バラツキが若干あった。イネ苗立枯細菌病の防除価は53.4であった。
比較例3
テクリードCフロアブル(イプコナゾール5.0%+水酸化第二銅4.60%、クミアイ化学工業社製)を200倍に水で希釈して、化学農薬液2を用意した。
健全イネ種子(品種:コシヒカリ)80重量部とイネ苗立枯細菌感染イネ種子20重量部を混ぜ合わせ、前記化学農薬液2に15℃、24時間浸漬した。液切りし、風乾にて乾燥させて、処理イネ種子2を得た。
処理イネ種子2を、水に15℃で4日間(積算温度60℃・日)浸漬した。その後、15℃の水から引揚げたイネ種子を30℃の水に1日間浸漬して催芽させた。次いで、液切りし、育苗箱に8cm×8cmあたり100gの割合で播種し、覆土した。30℃で2日間放置し、出芽させた。発病評価試験を行って発病度を算出した。イネ苗立枯細菌病の防除価は40.8であった。
〔イネもみ枯細菌の防除評価〕
開花期の稲穂(品種:コシヒカリ)にイネもみ枯細菌懸濁液を噴霧してイネもみ枯細菌に感染させた。このイネからイネもみ枯細菌感染イネ種子を採取した。
健全イネ種子(品種:コシヒカリ)80重量部とイネもみ枯細菌感染イネ種子20重量部を混ぜ合わせ、水に15℃、24時間浸漬した。液切りし、風乾にて乾燥させて、無処理イネ種子2を得た。
対照例2
無処理イネ種子1を、無処理イネ種子2に替えた以外は、対照例1と同じ方法で、出芽させた。出芽率は高い。出芽遅れおよび出芽バラツキはほとんど無かった。発病評価試験を行って発病度を算出した。
比較例4
健全イネ種子(品種:コシヒカリ)80重量部とイネもみ枯細菌感染イネ種子20重量部を混ぜ合わせ、前記化学農薬液1に15℃、24時間浸漬した。液切りし、風乾にて乾燥させて、処理イネ種子3を得た。
無処理イネ種子2を処理イネ種子3に替えた以外は対照例2と同じ方法で出芽させた。出芽率は対照例2と同程度であった。出芽遅れおよび出芽バラツキはほとんど無かった。発病評価試験を行って発病度を算出した。イネもみ枯細菌病の防除価は0であった。
実施例4
処理イネ種子1を処理イネ種子3に替えた以外は実施例1と同じ方法で、出芽させた。出芽率は対照例2と同程度であった。出芽遅れおよび出芽バラツキは無かった。発病評価試験を行って発病度を算出した。イネもみ枯細菌病の防除価は94.8であった。
実施例5
処理イネ種子1を処理イネ種子3に替えた以外は実施例2と同じ方法で、出芽させた。出芽率は対照例2と同程度であった。出芽遅れおよび出芽バラツキは無かった。発病評価試験を行って発病度を算出した。イネもみ枯細菌病の防除価は94.4であった。
実施例6
処理イネ種子1を処理イネ種子3に替えた以外は実施例3と同じ方法で、出芽させた。出芽率は対照例2と同程度であった。出芽遅れおよび出芽バラツキが若干あった。発病評価試験を行って発病度を算出した。イネもみ枯細菌病の防除価は97.5であった。
比較例5
処理イネ種子1を処理イネ種子3に替えた以外は比較例2と同じ方法で、出芽させた。出芽率は対照例2と同程度であった。出芽遅れおよび出芽バラツキが若干あった。発病評価試験を行って発病度を算出した。イネもみ枯細菌病の防除価は77.9であった。
比較例6
健全イネ種子(品種:コシヒカリ)80重量部とイネもみ枯細菌感染イネ種子20重量部を混ぜ合わせ、前記化学農薬液1に15℃、24時間浸漬した。液切りして、濡れた状態の処理イネ種子4を得た。
処理イネ種子1を処理イネ種子4に替えた以外は実施例1と同じ方法で、出芽させた。出芽率は対照例2と同程度であった。出芽遅れおよび出芽バラツキが若干あった。発病評価試験を行って発病度を算出した。イネもみ枯細菌病の防除価は26.7であった。
以上の結果から、化学農薬液に浸漬し、液切りし、風乾を行って、次いで得られた乾燥イネ種子を20℃以上に調節された非病原性微生物を含む液に浸けると、出芽遅れおよび出芽バラツキをほとんど生じさせずに、病害を高い効果で防除できることがわかる。

Claims (5)

  1. 化学農薬を含有する液にイネ種子を浸けて消毒し、
    液切りし、次いで風乾してイネ種子を乾燥させ、その後、
    イネに対して病原性を実質的に有しない微生物を含有し且つ温度20℃以上である浸種液にイネ種子を浸けること、
    を含むイネの病害を防除する方法。
  2. イネに対して病原性を実質的に有しない微生物が、シュードモナス属(Pseudomonas)に属する微生物である請求項1に記載の方法。
  3. 浸種液の温度が20〜35℃である請求項1または2に記載の方法。
  4. 浸種液の温度とイネ種子を浸種液に浸けている日数との積が、55〜110℃・日である、請求項1〜3のいずれかひとつに記載の方法。
  5. イネの病害が、イネ苗立枯細菌またはイネもみ枯細菌に起因する病害である、請求項1〜4のいずれかひとつに記載の方法。
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