JP2006232690A - イネ細菌性病害の防除方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 水稲栽培においては、箱育苗を用いた移植栽培が一般的に行われているが、箱育苗は苗を密植して育てる上に、苗の生育を均一に揃えるため、催芽時および出芽時に高温多湿条件にする。このような条件は微生物の繁殖に好適で、いもち病、もみ枯細菌病、苗立枯細菌病などの病害が発生しやすい。そこで、農薬等を使用しないで、これらの病害を防除する方法を確立すること。
【解決手段】 浸種前または播種前にイネ種子に鉄粉を被覆した後、該鉄粉被覆イネ種子を箱育苗することを特徴とするイネ細菌性病害の防除方法を提供する。
【選択図】 なし
【解決手段】 浸種前または播種前にイネ種子に鉄粉を被覆した後、該鉄粉被覆イネ種子を箱育苗することを特徴とするイネ細菌性病害の防除方法を提供する。
【選択図】 なし
Description
本発明はイネ育苗期に発生する細菌病の防除方法に関する。
水稲栽培においては、箱育苗を用いた移植栽培が一般的に行われている。箱育苗は苗を密植して育てる上に、苗の生育を均一に揃えるため、催芽時および出芽時に高温多湿条件にする。
しかし、このような条件は微生物の繁殖に好適であるので、いもち病、もみ枯細菌病、苗立枯細菌病などの病害が発生しやすい。これらの病害を防除するには、播種前に種子を農薬等で消毒しておく必要がある。
しかし、このような条件は微生物の繁殖に好適であるので、いもち病、もみ枯細菌病、苗立枯細菌病などの病害が発生しやすい。これらの病害を防除するには、播種前に種子を農薬等で消毒しておく必要がある。
イネ育苗期の病害の防除は、化学農薬を使用するのが一般的である。通常、イネ種子の浸種前に農薬の希釈液に24時間浸漬させて処理する。この方法は、効果が高く、かつ簡単に実行できるため、最も普及している方法である。
また、イネ種子を60℃前後の温湯に10分程度浸漬させる温湯消毒法も普及している。これは、無農薬・減農薬栽培においてよく用いられる消毒方法である(例えば非特許文献1参照)。
また、イネ種子を60℃前後の温湯に10分程度浸漬させる温湯消毒法も普及している。これは、無農薬・減農薬栽培においてよく用いられる消毒方法である(例えば非特許文献1参照)。
農業および園芸、第77巻、6号、59-64頁(2002)
しかしながら、農薬による種子消毒では、もともと細菌病に有効な薬剤が少なかった上に、農薬に対する薬剤耐性菌の出現による防除効果の低下が問題となっている。また、河川水質規制の強化により、農薬の処理後廃液が流出することよる環境負荷も問題視されている。
また、最近の消費者の嗜好から、無農薬栽培による作物には付加価値が付くため、農薬を使用しない防除技術が求められている。
また、最近の消費者の嗜好から、無農薬栽培による作物には付加価値が付くため、農薬を使用しない防除技術が求められている。
一方、温湯消毒法による種子消毒では、適切な温湯の温度管理が困難で、効果不足や、高温による種子の発芽障害を引き起こす恐れがある。更に、処理後の再汚染による効果の低下という問題がある。
本発明は、本来湛水直播において、種子重量を増すために開発された鉄コーティング処理した種子に着目して、これを箱育苗において使用したところ、もみ枯細菌病、苗立枯細菌病および褐条病という種子伝染性細菌病の発生が大幅に抑制されることを見出した。
イネ種子の被覆に用いる鉄粉、石こうには抗菌性がないと考えられるにもかかわらず、鉄コーティング処理したイネ種子に高い発病抑制効果を見出したことは新しい知見であり、本発明は係る知見に基づいて完成されたものである。
イネ種子の被覆に用いる鉄粉、石こうには抗菌性がないと考えられるにもかかわらず、鉄コーティング処理したイネ種子に高い発病抑制効果を見出したことは新しい知見であり、本発明は係る知見に基づいて完成されたものである。
請求項1に記載の本発明は、浸種前または播種前にイネ種子に鉄粉を被覆した後、該鉄粉被覆イネ種子を箱育苗することを特徴とするイネ細菌性病害の防除方法である。
請求項2に記載の本発明は、イネ細菌性病害が、苗立枯細菌病、もみ枯細菌病又は褐条病である請求項1記載の防除方法である。
請求項2に記載の本発明は、イネ細菌性病害が、苗立枯細菌病、もみ枯細菌病又は褐条病である請求項1記載の防除方法である。
本発明によれば、化学農薬を使用せずに細菌病の発生を抑制でき、健全なイネ苗を育成できる。従って、栽培農家、育苗センターなどでは鉄コーティング処理したイネ種子を箱育苗することにより、健全なイネ苗の育成に広く利用可能である。箱育苗したイネ種子は、常法による移植栽培に用いられる。
イネ種子を鉄コーティングすることによる発病抑制機構については、解明されていない部分もあるが、例えば苗立枯細菌病菌の生産する毒素「トロポロン」は鉄イオンと結合して水に不溶性のトロポロン第2鉄錯塩となることが知られているので、鉄コーティング種子ではイネ苗立枯細菌病が抑制されるものと考えられる。もみ枯細菌病、褐条病の発病抑制効果については、現在のところ不明であるが、鉄イオンは酸素と反応してフリーラジカルを生成することが知られているので、これが発病を抑制している可能性がある。
前記したように、湛水直播栽培に鉄コーティング処理した種子を用いる技術は知られている(例えば、山内稔著、「湛水直播水稲における種子の鉄コーティングによる比重の増加と浮き苗回避」、日本作物学会紀事71巻(別1号)、p.150-151、2002年)ので、イネ種子への鉄コーティングは、既知の方法により行えばよい。
本発明の方法において、イネ細菌病の発病抑制効果は種子に対する鉄粉量が0.1〜2倍、好ましくは0.1〜0.5倍の範囲内で認められる。従って、被覆のために用いる鉄粉量を可及的に少なくすれば、資材費も低コストに抑えられる。また、鉄粉、石こう共に人畜に全く安全な資材であるから、本発明は環境にも優しい防除技術である。更に、鉄コーティングした種子は常温で保存が可能である。
本発明の方法において、イネ細菌病の発病抑制効果は種子に対する鉄粉量が0.1〜2倍、好ましくは0.1〜0.5倍の範囲内で認められる。従って、被覆のために用いる鉄粉量を可及的に少なくすれば、資材費も低コストに抑えられる。また、鉄粉、石こう共に人畜に全く安全な資材であるから、本発明は環境にも優しい防除技術である。更に、鉄コーティングした種子は常温で保存が可能である。
播種は、通常の60×30cmの育苗箱に行う。使用する育苗培土も市販のものが使用できる。箱あたりの播種種子量を重量で決める場合、コーティングしている鉄粉重量を加味して計算する必要がある。コーティングする鉄粉量が多いと、出芽率が低下する。また、コーティングによりイネ苗の初期生育がやや遅れるが、生育後期までには回復する。
育苗後の移植については、通常の田植機が使用でき、その後の管理も慣行通りに行える。
本発明の方法により、イネ細菌性病害が苗立枯細菌病、もみ枯細菌病、褐条病などのイネ細菌病に対して高い防除効果が認められる。しかし、イネばか苗病に対しては効果が低いと思われるので、このような場合は、他の防除手段と組み合わせて使用する等の方法が考えられる。なお、いもち病については、本発明の方法においては、種子表面が鉄で被覆されているので、胞子が飛散しにくく、本病の発病機作から考えて、発病しにくいと考えられる。
以下に、実施例を示して本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
(実施例1) もみ枯細菌病に対する防除効果
供試したイネ品種は「日本晴」で、この種子にもみ枯細菌病菌の濃度108cfu/mlの菌懸濁液を1時間減圧接種し、3時間風乾したものを用いた。
この種子を10分間水に浸した後、水を切り、所定量の鉄粉と、鉄粉の1/10量の石こうで、該種子に鉄コーティングを行った。24時間酸化処理をした後、播種した。30℃で2週間育苗し、発病程度を調査した。結果を表1に示す。
供試したイネ品種は「日本晴」で、この種子にもみ枯細菌病菌の濃度108cfu/mlの菌懸濁液を1時間減圧接種し、3時間風乾したものを用いた。
この種子を10分間水に浸した後、水を切り、所定量の鉄粉と、鉄粉の1/10量の石こうで、該種子に鉄コーティングを行った。24時間酸化処理をした後、播種した。30℃で2週間育苗し、発病程度を調査した。結果を表1に示す。
表中の発病程度別苗数の基準は、以下の通りである。
0:健全、1:白化、2:褐変、生育異常、3:枯死
また、発病度は、下記の式により求めた。
0:健全、1:白化、2:褐変、生育異常、3:枯死
また、発病度は、下記の式により求めた。
(数1)
発病度=ΣiPi/4n×100
(Pi:発病程度基準iの苗数、n:調査苗数)
また、防除価は、下記の式により求めた。
発病度=ΣiPi/4n×100
(Pi:発病程度基準iの苗数、n:調査苗数)
また、防除価は、下記の式により求めた。
(数2)
防除価=(1−処理区発病度/無処理区発病度)×100
防除価=(1−処理区発病度/無処理区発病度)×100
0.1〜2倍量の鉄粉でコーティングした種子から育てた苗において、もみ枯細菌病はほとんど発病しておらず、もみ枯細菌病に対して、鉄コーティング処理は高い防除効果があることが示された。なお、2倍量の鉄コーティング処理した種子では、苗立ちが低下した。
(実施例2) 苗立枯細菌病に対する防除効果
供試したイネ品種は「日本晴」であり、前年度開花期に苗立枯細菌病菌を接種した種子を使用した。
種子を10分間水に浸した後、水を切り、所定量の鉄粉と、鉄粉の1/10量の石こうで、該種子に鉄コーティングを行った。30℃で2週間育苗し、発病程度を調査した。結果を表1に示す。なお、図1は、予備試験の結果を示し、左側が本発明による鉄コーティング処理した種子の育苗状態を、右側は鉄コーティングを行わなかった対照の育苗結果を示している。
なお、表2において、発病程度別苗数の基準、発病度および防除価は、実施例1に示したものと同じである。
供試したイネ品種は「日本晴」であり、前年度開花期に苗立枯細菌病菌を接種した種子を使用した。
種子を10分間水に浸した後、水を切り、所定量の鉄粉と、鉄粉の1/10量の石こうで、該種子に鉄コーティングを行った。30℃で2週間育苗し、発病程度を調査した。結果を表1に示す。なお、図1は、予備試験の結果を示し、左側が本発明による鉄コーティング処理した種子の育苗状態を、右側は鉄コーティングを行わなかった対照の育苗結果を示している。
なお、表2において、発病程度別苗数の基準、発病度および防除価は、実施例1に示したものと同じである。
0.1〜2倍量の鉄粉でコーティングした種子から育てた苗において、苗立枯細菌病の発生が減少した。苗立枯細菌病に対して、種子の鉄コーティング処理は高い防除効果があることが示された。なお、2倍量の鉄コーティング処理した種子では、苗立ちが低下した。
(実施例3) 褐条病に対する防除効果
供試したイネ品種は「日本晴」であり、浸種は20℃で行った。浸種後、種子を褐条病菌懸濁液(108cfu/ml)に浸漬し、90回/分の速さで振盪しながら30℃で催芽処理した。この処理工程を表3に示す。
播種直前に、所定量の鉄粉と、鉄粉の1/10量の石こうで、該種子に鉄コーティングを行った。30℃で2週間育苗した後、発病程度を調査した。測定結果を表4に示す。
なお、表4中の発病程度別苗数の基準は、以下の通りである。
0:健全、1:第1葉以下に病斑、2:第1葉以上に病斑、3:萎凋、生育異常、4:枯死
発病度および防除価は、実施例1に示したものと同じである。
供試したイネ品種は「日本晴」であり、浸種は20℃で行った。浸種後、種子を褐条病菌懸濁液(108cfu/ml)に浸漬し、90回/分の速さで振盪しながら30℃で催芽処理した。この処理工程を表3に示す。
播種直前に、所定量の鉄粉と、鉄粉の1/10量の石こうで、該種子に鉄コーティングを行った。30℃で2週間育苗した後、発病程度を調査した。測定結果を表4に示す。
なお、表4中の発病程度別苗数の基準は、以下の通りである。
0:健全、1:第1葉以下に病斑、2:第1葉以上に病斑、3:萎凋、生育異常、4:枯死
発病度および防除価は、実施例1に示したものと同じである。
0.1〜2倍量の鉄粉でコーティングした種子から育てた苗において、褐条病の発生が減少した。このことから、褐条病に対して、種子の鉄コーティング処理は高い防除効果があることが示された。
(実施例4) 苗立枯細菌病に対する防除効果
供試したイネ品種は「日本晴」であり、前年度開花期に苗立枯細菌病菌を接種した種子を使用した。20℃で浸種した後、30℃で催芽処理した種子は鳩胸状態であり、これに所定量の鉄粉と、鉄粉の1/10量の石こうで、該種子に鉄コーティングを行った。30℃で2週間育苗した後、発病程度を調査した。処理工程を表5に、測定結果を表6に示す。
なお、表6中の発病程度別苗数の基準は、以下の通りである。
0:健全、1:白化、2:褐変、生育異常、3:枯死
発病度および防除価は、実施例1に示したものと同じである。
供試したイネ品種は「日本晴」であり、前年度開花期に苗立枯細菌病菌を接種した種子を使用した。20℃で浸種した後、30℃で催芽処理した種子は鳩胸状態であり、これに所定量の鉄粉と、鉄粉の1/10量の石こうで、該種子に鉄コーティングを行った。30℃で2週間育苗した後、発病程度を調査した。処理工程を表5に、測定結果を表6に示す。
なお、表6中の発病程度別苗数の基準は、以下の通りである。
0:健全、1:白化、2:褐変、生育異常、3:枯死
発病度および防除価は、実施例1に示したものと同じである。
鉄コーティング後の酸化処理無し
0.1〜2倍量の鉄粉でコーティングした種子から育てた苗において、苗立枯細菌病の発生が減少した。この試験により、催芽した後のイネ種子に対する鉄コーティング処理でも、苗立枯細菌病に対して防除効果があることが明らかとなった。
(実施例5) 苗立枯細菌病に対する防除効果
供試したイネ品種は「日本晴」であり、前年度開花期に苗立枯細菌病菌を接種した種子を使用した。20℃で浸種した後、30℃で催芽処理し鳩胸状態になった種子を、所定量の鉄粉と鉄粉の1/10量の石こうで鉄コーティングを行った。30℃で2週間育苗した後、発病程度を調査した。処理工程を表7に、測定結果を表8に示す。
なお、表中の発病程度別苗数の基準、発病度および防除価は、実施例4に示したものと同じである。
供試したイネ品種は「日本晴」であり、前年度開花期に苗立枯細菌病菌を接種した種子を使用した。20℃で浸種した後、30℃で催芽処理し鳩胸状態になった種子を、所定量の鉄粉と鉄粉の1/10量の石こうで鉄コーティングを行った。30℃で2週間育苗した後、発病程度を調査した。処理工程を表7に、測定結果を表8に示す。
なお、表中の発病程度別苗数の基準、発病度および防除価は、実施例4に示したものと同じである。
0.1〜2倍量の鉄粉でコーティングした種子から育てた苗において、苗立枯細菌病の発生が減少した。また、苗立枯細菌病防除剤として通常用いられている化学農薬のオキソリニック酸水和剤の浸種前200倍液24時間浸漬処理の防除価が27、イプコナゾール・銅水和剤の浸種前200倍液24時間浸漬処理の防除価が9と、鉄コーティング処理したものに比べて、その防除効果は低かった。このことから、鉄コーティング処理による苗立枯細菌病防除は、従来の農薬に比べて、防除効果が高く、実用性が高いものと考えられる。
(実施例6) もみ枯細菌病に対する防除効果
供試したイネ品種は「日本晴」であり、前年度開花期にもみ枯細菌病菌を接種した種子を使用した。20℃で浸種した後、30℃で催芽処理し鳩胸状態になった種子を、所定量の鉄粉と鉄粉の1/10量の石こうで鉄コーティングを行った。30℃で2週間育苗した後、発病程度を調査した。処理工程を表9に、測定結果を表10に示す。
なお、表中の発病程度別苗数の基準、発病度および防除価は、実施例4に示したものと同じである。
供試したイネ品種は「日本晴」であり、前年度開花期にもみ枯細菌病菌を接種した種子を使用した。20℃で浸種した後、30℃で催芽処理し鳩胸状態になった種子を、所定量の鉄粉と鉄粉の1/10量の石こうで鉄コーティングを行った。30℃で2週間育苗した後、発病程度を調査した。処理工程を表9に、測定結果を表10に示す。
なお、表中の発病程度別苗数の基準、発病度および防除価は、実施例4に示したものと同じである。
0.1〜2倍量の鉄粉でコーティングした種子から育てた苗において、もみ枯細菌病の発生が減少した。また、もみ枯細菌病防除剤として通常用いられているオキソリニック酸水和剤の浸種前200倍液24時間浸漬処理の防除価が100、イプコナゾール・銅水和剤の浸種前200倍液24時間浸漬処理の防除価が0であった。このことから、鉄コーティング処理によるもみ枯細菌病防除は、従来使用されている農薬とほぼ同等の効果があり、実用性があるものと考えられる。
(実施例7) 苗立枯細菌病に対する防除効果
供試したイネ品種は「日本晴」であり、前年度開花期に苗立枯細菌病菌を接種した種子を使用した。20℃で浸種した後、30℃で催芽処理し鳩胸状態になった種子を、種子重量の0.5倍量の鉄粉と鉄粉の1/10量の石こうで鉄コーティングを行った。30℃で2週間育苗した後、発病程度を調査した。処理工程を表11に、測定結果を表12に示す。
なお、表中の発病程度別苗数の基準、発病度および防除価は、実施例4に示したものと同じである。
供試したイネ品種は「日本晴」であり、前年度開花期に苗立枯細菌病菌を接種した種子を使用した。20℃で浸種した後、30℃で催芽処理し鳩胸状態になった種子を、種子重量の0.5倍量の鉄粉と鉄粉の1/10量の石こうで鉄コーティングを行った。30℃で2週間育苗した後、発病程度を調査した。処理工程を表11に、測定結果を表12に示す。
なお、表中の発病程度別苗数の基準、発病度および防除価は、実施例4に示したものと同じである。
2社4種の鉄粉を用いて、イネ種子を鉄コーティング処理し、育てた苗における苗立枯細菌病に対する防除効果を検討した。その結果、いずれの鉄粉においても高い防除効果が認められた。以上の結果から、苗立枯細菌病防除において、コーティング時に使用する鉄粉については、その種類を問わないことが明らかとなった。
(実施例8) 褐条病に対する防除効果
供試したイネ品種は「日本晴」であり、浸種は20℃で行った。浸種後、種子を褐条病菌懸濁液(108cfu/ml)に浸漬し、90回/分の速さで振盪しながら30℃で催芽処理した。この処理工程を表13に示す。
播種直前に、所定量の鉄粉と、鉄粉の1/10量の石こうで、該種子に鉄コーティングを行った。30℃で2週間育苗した後、発病程度を調査した。測定結果を表14に示す。
なお、表中の発病程度別苗数の基準、発病度および防除価は、実施例3に示したものと同じである。
供試したイネ品種は「日本晴」であり、浸種は20℃で行った。浸種後、種子を褐条病菌懸濁液(108cfu/ml)に浸漬し、90回/分の速さで振盪しながら30℃で催芽処理した。この処理工程を表13に示す。
播種直前に、所定量の鉄粉と、鉄粉の1/10量の石こうで、該種子に鉄コーティングを行った。30℃で2週間育苗した後、発病程度を調査した。測定結果を表14に示す。
なお、表中の発病程度別苗数の基準、発病度および防除価は、実施例3に示したものと同じである。
0.1〜2倍量の鉄粉でコーティングした種子から育てた苗において、褐条病の発生が減少した。このことから、種子の鉄コーティング処理は褐条病に対して高い防除効果があることが示された。
(実施例9) 褐条病に対する防除効果
供試したイネ品種は「日本晴」であり、浸種は20℃で行った。浸種後、種子を褐条病菌懸濁液(108cfu/ml)に浸漬し、90回/分の速さで振盪しながら30℃で催芽処理した。この処理工程を表15に示す。
播種直前に、所定量の鉄粉と、鉄粉の1/10量の石こうで、該種子に鉄コーティングを行った。30℃で2週間育苗した後、発病程度を調査した。測定結果を表16に示す。
なお、表中の発病程度別苗数の基準、発病度および防除価は、実施例3に示したものと同じである。
供試したイネ品種は「日本晴」であり、浸種は20℃で行った。浸種後、種子を褐条病菌懸濁液(108cfu/ml)に浸漬し、90回/分の速さで振盪しながら30℃で催芽処理した。この処理工程を表15に示す。
播種直前に、所定量の鉄粉と、鉄粉の1/10量の石こうで、該種子に鉄コーティングを行った。30℃で2週間育苗した後、発病程度を調査した。測定結果を表16に示す。
なお、表中の発病程度別苗数の基準、発病度および防除価は、実施例3に示したものと同じである。
0.1〜2倍量の鉄粉でコーティングした種子から育てた苗において、褐条病の発生が減少した。このことから、種子の鉄コーティング処理は褐条病に対して高い防除効果があることが示された。
本発明の方法は、栽培農家、育苗センターなどで広く利用可能である。この方法によれば、イネ育苗期において、化学農薬を使用せずに細菌病の発生を抑制でき、健全なイネ苗を育成できる。
Claims (2)
- 浸種前または播種前にイネ種子に鉄粉を被覆した後、該鉄粉被覆イネ種子を箱育苗することを特徴とするイネ細菌性病害の防除方法。
- イネ細菌性病害が、苗立枯細菌病、もみ枯細菌病又は褐条病である請求項1記載の防除方法。
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