JP2017165027A - 一軸延伸物 - Google Patents

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久保 昌宏
Masahiro Kubo
昌宏 久保
望 藤井
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望 藤井
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Abstract

【課題】高い延伸倍率で延伸した場合であっても白化が抑制される一軸延伸物を提供する。【解決手段】(a)融点(Tm−D)が120℃を超えるオレフィン系重合体(A)及び(b)軟化点が80℃以上160℃以下である石油樹脂類(B)を含むポリオレフィン系組成物からなる一軸延伸物。【選択図】なし

Description

本発明は、一軸延伸物に関する。
ポリプロピレン系樹脂は、強度・剛性・耐熱性・化学的な安定性等に優れる。したがって、ポリプロピレン系樹脂によるフラットヤーン、モノフィラメント、バンド等の一軸延伸物は、機械的強度に優れることから、各種の袋、クロスシート、ロープ、ネット、結束物等の産業資材として広く使用されている(例えば特許文献1を参照)。
一軸延伸物としては、例えば、モノフィラメントやバンド、延伸テープ、延伸方向(縦方向)に沿ってスリットして加熱しながら延伸してなるスリットヤーン(以下、「フラットヤーン」ともいう)、及び、刃群(回転刃又は回転ブラシ)により不連続にするスプリットに単子が網目状に繋がった集合繊維であるスプリットヤーン、シュリンクフィルム、モノフィラメント等が挙げられる。
特開平2−265928号公報
ポリプロピレン系樹脂を原料とする一軸延伸物は、製造時に高い延伸倍率(15〜19倍)で延伸されると、透明性が失われ白化してしまう。特にフラットヤーンにおいては高い剛性が要求されるため、原料に使用されるポリプロピレンも剛性が高いものが使用され、白化が顕著である。
また、強度を増すために延伸倍率を高くする結果、フラットヤーン自体の伸びが悪くなり、靱性が損なわれる場合がある。その場合に、高延伸倍率のフラットヤーンを編み込んで作製された織布は、大幅な変形が加わると脆くなる欠点があった。
したがって、本発明が解決しようとする課題は、高い延伸倍率で延伸した場合であっても白化が抑制される一軸延伸物を提供することにある。
本発明は、以下の一軸延伸物を提供する。
[1]下記(a)成分及び下記(b)成分を含むポリオレフィン系組成物からなる一軸延伸物。
(a)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が120℃を超えるオレフィン系重合体(A)
(b)軟化点が80℃以上160℃以下である石油樹脂類(B)
[2]前記ポリオレフィン系組成物中における前記(b)成分の含有量が、前記(a)成分及び前記(b)成分の合計量100質量%に対して0.1質量%以上20質量%以下である、上記[1]に記載の一軸延伸物。
[3]前記(b)成分が、石油樹脂又はその水素添加誘導体である、上記[1]又は[2]に記載の一軸延伸物。
[4]前記ポリオレフィン系組成物が下記(c)成分を更に含む、上記[1]〜[3]のいずれか1つに記載の一軸延伸物。
(c)重量平均分子量(Mw)が10,000以上400,000以下であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.0以上3.0以下であり、引張弾性率が1MPa以上600MPa以下であるオレフィン系重合体(C)
[5]前記ポリオレフィン系組成物中における前記(c)成分の含有量が、前記(a)成分、前記(b)成分及び前記(c)成分の合計量100質量%に対して1質量%以上10質量%以下である、上記[4]に記載の一軸延伸物。
[6]前記オレフィン系重合体(C)が、重合体を構成するモノマーの50モル%以上がプロピレンモノマーであるプロピレン系重合体(c1)である、上記[4]又は[5]に記載の一軸延伸物。
[7]前記プロピレン系重合体(c1)が下記(i)及び/又は(ii)を満たす、上記[6]に記載の一軸延伸物。
(i)エチレンの構成単位が0モル%を超えて、20モル%以下で含まれる。
(ii)1−ブテンの構成単位が0モル%を超えて、30モル%以下で含まれる。
[8]前記プロピレン系重合体(c1)が下記(1)を満たす、上記[6]又は[7]に記載の一軸延伸物。
(1)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が0℃以上120℃以下である。
本発明の一軸延伸物は、高い延伸倍率で延伸した場合であっても白化が抑制され、透明性に優れる。特にオレフィン系重合体(C)を含有する場合には、白化の抑制に加えて靱性の低下も抑制された一軸延伸物を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、数値の記載に関する「A〜B」という用語は、「A以上B以下」(A<Bの場合)又は「A以下B以上」(A>Bの場合)を意味する。また、本発明において、好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本明細書中において、「(a)成分」と「オレフィン系重合体(A)」、「(b)成分」と「石油樹脂類(B)」、「(c)成分」と「オレフィン系重合体(C)」は、それぞれ同義である。
[一軸延伸物]
本発明の一軸延伸物は、(a)成分として特定のオレフィン系重合体(A)と(b)成分として特定の石油樹脂類(B)を含むポリオレフィン系組成物からなる。本発明の一軸延伸物を構成するポリオレフィン系組成物は、(c)成分として特定のオレフィン系重合体(C)を更に含むことが好ましい。ただし、オレフィン系重合体(A)とオレフィン系重合体(C)とは同一ではない。
本明細書における「一軸延伸物」とは、「モノフィラメント」、「シュリンクフィルム」や、バンド、延伸テープ、延伸方向(縦方向)に沿ってスリットして加熱しながら延伸してなる「スリットヤーン」(以下、「フラットヤーン」ともいう)、及び、刃群(回転刃又は回転ブラシ)により不連続にするスプリットに単子が網目状に繋がった集合繊維である「スプリットヤーン」を含む。
<(a)成分:オレフィン系重合体(A)>
本発明に用いられる(a)成分であるオレフィン系重合体(A)は、示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が120℃を超える。該融点(Tm−D)が120℃以下の場合、前記ポリオレフィン系組成物からなる一軸延伸物の耐熱性が劣るといった不具合が発生する。そのような観点から、融点(Tm−D)は好ましくは125℃以上、より好ましくは140℃以上、更に好ましくは150℃以上、より更に好ましくは160℃以上である。
なお、融点(Tm−D)は、後述する実施例に記載の方法により測定される。
オレフィン系重合体(A)としては、例えばエチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる1種以上のモノマーを重合してなるオレフィン系重合体が好ましい。
炭素数3〜28のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン及び1−イコセン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは炭素数3〜24のα−オレフィン、より好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィン、更に好ましくは炭素数3〜6のα−オレフィン、特に好ましくは炭素数3〜4のα−オレフィン、最も好ましくはプロピレンである。
これらのうちの1種を単独で重合したオレフィン系重合体を使用してもよいし、2種以上を組み合わせて共重合して得られるオレフィン系共重合体を使用してもよい。なお、本明細書中において、単に「オレフィン系重合体」という場合には、オレフィン系共重合体も含まれる。オレフィン系共重合体としては、重合体を構成するモノマーの50モル%以上がエチレンモノマーであるエチレン系重合体、重合体を構成するモノマーの50モル%以上がプロピレンモノマーであるプロピレン系重合体(a1)、重合体を構成するモノマーの50モル%以上がブテンモノマーであるブテン系重合体等が挙げられ、剛性と耐熱性の観点から優れた成形体物性、例えば、一軸延伸物の物性が得られる、プロピレン系重合体(a1)がより好ましい。さらに、プロピレン系重合体(a1)は、剛性と耐熱性の向上の観点から、後述するメソペンタッド分率[mmmm]が、好ましくは70〜99.5モル%、より好ましくは80〜99モル%、更に好ましくは85〜98モル%、より更に好ましくは87〜97モル%であり、最も好ましくは90〜97モル%である。
プロピレン系重合体(a1)としては、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−ブテンブロック共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、又はプロピレン−α−オレフィングラフト共重合体等から選択されるプロピレン系重合体(a1)であることが好ましい。更に、成形体物性、例えば、一軸延伸物の物性(例えば力学特性)の観点から、本発明のプロピレン系重合体(a1)は、特に好ましくはプロピレン−エチレンランダム共重合体もしくは、プロピレン単独重合体である。なお、上記の重合体は、石油・石炭由来のモノマーを用いた重合体でもよいし、バイオマス由来のモノマーを用いた重合体でもよい。
オレフィン系重合体(A)のメルトフローレイト(MFR)は、成形性の観点から、好ましくは0.1〜100g/10min、より好ましくは0.3〜50g/10min、更に好ましくは0.5〜30g/10minである。オレフィン系重合体(A)のMFRはJIS K7210に準拠して測定され、例えばオレフィン系重合体(A)がプロピレン系重合体である場合には、温度230℃、荷重2.16kgの条件下で測定される。
本発明の一軸延伸物を構成するポリオレフィン系組成物中におけるオレフィン系重合体(A)の含有量は、一軸延伸物の耐熱性及び延伸性の観点から、好ましくは80質量%以上、より好ましくは85質量%以上、更に好ましくは90質量%以上であり、そして、好ましくは99質量%以下、より好ましくは98質量%以下である。
<(b)成分:石油樹脂類(B)>
本発明の一軸延伸物を構成するポリオレフィン系組成物は、石油樹脂類(B)を含む。一軸延伸物を構成するポリオレフィン系組成物が石油樹脂類(B)を含むことで、一軸延伸物の白化を抑制し、透明性を向上させることができる。その作用機構については必ずしも定かではないが、ポリオレフィン系組成物の非晶部に石油樹脂類(B)が取り込まれることによって、ポリオレフィン系組成物中の球晶サイズが小さくなり、その結果として光散乱による影響が低減されて、ポリオレフィン系組成物からなる一軸延伸物の透明性が向上するものと推測される。
石油樹脂とは、石油ナフサを熱分解して必要な留分を採取した残りの留分のうち、主としてC5及びC9留分から不飽和炭化水素を単離することなく、酸性触媒もしくは熱により重合して室温で固化するものをいう。
石油樹脂類(B)の具体例としては、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、クマロン−インデン樹脂、アルキルフェノール樹脂、石油樹脂、又はこれらの水素添加誘導体が挙げられる。
ロジン系樹脂とは、マツ類の樹脂等から得られるアビエチン酸又はその誘導体を主成分とする樹脂であって、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、水素化ロジン、アルコールでエステル化したエステル化ロジン、フェノールとロジンとを反応させたロジンフェノール樹脂等が挙げられる。また、これらを単独で用いてもよく、少なくとも2種を併用してもよい。
テルペン系樹脂とは、テレピン油を原料とした樹脂であって、例えば、α−ピネンやβ−ピネンが重合したテルペン樹脂、フェノールとテルペンを反応させたテルペンフェノール樹脂、スチレン等で極性を付与した芳香族変性テルペン樹脂、水素化テルペン樹脂等が挙げられる。
クマロン−インデン樹脂とは、クマロン及びインデンを主とする重合物からなる樹脂である。
アルキルフェノール樹脂とは、アルキルフェノールとアルデヒドとの反応により得られる樹脂である。
本発明に用いられる石油樹脂類(B)の軟化点は、一軸延伸物の表面へのブリード発生を抑制して透明性を向上させると共に透明性を維持する観点から、80℃以上であり、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上であり、そして、160℃以下、好ましくは150℃以下である。
石油樹脂類(B)の軟化点は、JIS K2207に準拠した方法によって測定することができる。
石油樹脂類(B)としては、本発明の一軸延伸物に色がつかない又は無色であるという観点や、臭いがしない又は無臭であるという観点から、石油樹脂及びその水素添加誘導体であることが好ましく、水素化ロジン、水素化テルペン樹脂、水素化石油樹脂等の水素添加誘導体であることがより好ましい。
石油樹脂類(B)の好ましい市販品の例としては、「アイマーブ」(出光興産(株)製)、「アルコン」(荒川化学工業(株))、「オペラ」及び「エスコレッツ」(いずれもエクソンモービル社製)、「ハイレッツ」及び「ペトロジン」(いずれも三井化学(株)製)、「スコレッツ」(コーロン社製)、「リガライト」、「イーストタック」及び「プラストリン」(いずれもイーストマン社製)、「クリアロン」(ヤスハラケミカル(株)製)等が挙げられる。
本発明の一軸延伸物を構成するポリオレフィン系組成物中における石油樹脂類(B)の含有量は、一軸延伸物の白化を抑制する観点及び一軸延伸物の靱性の観点から、オレフィン系重合体(A)と石油樹脂類(B)との合計量100質量%に対して、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.5〜10質量%、更に好ましくは1〜5質量%である。
<(c)成分:オレフィン系重合体(C)>
本発明の一軸延伸物を構成するポリオレフィン系組成物は、オレフィン系重合体(C)を更に含むことが好ましい。オレフィン系重合体(C)は、軟質なポリオレフィンである。ポリオレフィン系組成物がオレフィン系重合体(C)を含むことにより、非晶成分の割合が増大し、ポリオレフィン系組成物を延伸した時の降伏応力が低下するため、均一延伸性が向上し、得られた一軸延伸物、例えばフラットヤーンの粘り強さが向上する。そのため、一軸延伸物の白化を抑制することに加えて靱性の低下を抑制することができる。
オレフィン系重合体(C)は、オレフィン系重合体(A)には含まれない。具体的には、オレフィン系重合体(C)は、示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が120℃以下であり、好ましくは0〜120℃、より好ましくは50〜100℃、更に好ましくは55〜90℃、更に好ましくは60〜80℃である。
オレフィン系重合体(C)としては、エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる1種以上のモノマーを重合してなるオレフィン系重合体が好ましい。
炭素数3〜28のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン及び1−イコセン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは炭素数3〜24のα−オレフィン、より好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィン、更に好ましくは炭素数3〜6のα−オレフィン、特に好ましくは炭素数3〜4のα−オレフィン、最も好ましくはプロピレンである。
これらのうちの1種を単独で重合したオレフィン系重合体を使用してもよいし、2種以上を組み合わせて共重合して得られるオレフィン系共重合体を使用してもよい。オレフィン系共重合体(C)としては、重合体を構成するモノマーの50モル%以上がエチレンモノマーであるエチレン系重合体、重合体を構成するモノマーの50モル%以上がプロピレンモノマーであるプロピレン系重合体(c1)、重合体を構成するモノマーの50モル%以上がブテンモノマーであるブテン系重合体等が挙げられ、延伸ムラ抑制の観点から優れた一軸延伸物の物性が得られる、プロピレン系重合体(c1)がより好ましい。
プロピレン系重合体(c1)としては、プロピレン単独重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−ブテンブロック共重合体、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−ブテンランダム共重合体、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、又はプロピレン−α−オレフィングラフト共重合体等から選択されるプロピレン系重合体(c1)であることが好ましく、特にプロピレン単独重合体が好ましい。
また、本発明の一軸延伸物において、主成分であるオレフィン系重合体(A)がプロピレン系重合体(a1)である場合、主成分のプロピレン系重合体(a1)との相溶性の観点から、プロピレン系重合体(c1)は、炭素数が2のオレフィンを含有する共重合体の場合には、炭素数が2のオレフィン(すなわち、エチレンモノマー)の構成単位が、好ましくは0モル%を超え20モル%以下、より好ましくは0モル%を超え18モル%以下、更に好ましくは0モル%を超え15モル%以下、より更に好ましくは0モル%を超え13モル%以下である。また、炭素数が3のオレフィンを含有する共重合体の場合には、炭素数が3のオレフィン(すなわち、プロピレンモノマー)の構成単位が、好ましくは50モル%以上、より好ましくは65モル%以上、更に好ましくは75モル%以上、より更に好ましくは80モル%以上である。また、炭素数が4以上のαオレフィンを含有する共重合体の場合には、炭素数が4以上のα−オレフィン含有量が、好ましくは0モル%を超え30モル%以下、より好ましくは0モル%を超え27モル%以下、更に好ましくは0モル%を超え20モル%以下である。
また、ポリオレフィン系組成物において、主成分であるオレフィン系重合体(A)がプロピレン系重合体(a1)である場合、主成分のプロピレン系重合体(a1)との相溶性の観点等から、オレフィン系重合体(C)は、最も好ましくはプロピレン単独重合体である。なお、上記の重合体は、石油又は石炭由来のモノマーを用いた重合体でもよいし、バイオマス由来のモノマーを用いた重合体でもよい。
オレフィン系重合体(C)は、重量平均分子量(Mw)が10,000以上400,000以下であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.0以上3.0以下であり、引張弾性率が1MPa以上600MPa以下であることが好ましい。
(重量平均分子量(Mw))
オレフィン系重合体(C)及びプロピレン系重合体(c1)の重量平均分子量(Mw)は、得られる一軸延伸物の強度の観点及びオレフィン系重合体(A)との相溶性の観点から、好ましくは10,000〜400,000、より好ましくは10,000〜300,000、更に好ましくは10,000〜200,000、更に好ましくは10,000〜150,000、更に好ましくは30,000〜150,000、更に好ましくは40,000〜130,000である。
本発明において、重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量である。
(分子量分布(Mw/Mn))
オレフィン系重合体(C)及びプロピレン系重合体(c1)の分子量分布(Mw/Mn)は、ポリオレフィン系組成物の延伸性や一軸延伸物の物性(例えば力学特性)の観点から、好ましくは1.0〜3.0、より好ましくは1.0〜2.5、更に好ましくは1.5〜2.5である。
本発明において、分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により測定したポリスチレン換算の重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnより算出した値である。
(引張弾性率)
オレフィン系重合体(C)及びプロピレン系重合体(c1)の引張弾性率は、得られる一軸延伸物の靱性低下を抑制する観点から、好ましくは1〜600MPa、より好ましくは10〜300MPa、更に好ましくは50〜200MPa、更に好ましくは70〜150MPaである。
本明細書中における引張弾性率は、JIS K7113(2002年)に規定された2号試験片(1/2サイズダンベル)に準じた試験片で測定される。
なお、初期長L0を40mmに設定し、引張速度100mm/分で伸張し、伸張過程でのひずみと荷重を測定し、下記式から初期弾性率を算出した。
初期弾性率(N)=ひずみ5%の荷重(N)/0.05
本発明の一軸延伸物を構成するポリオレフィン系組成物中におけるオレフィン系重合体(C)の含有量は、一軸延伸物の白化を抑制する観点及び一軸延伸物の靱性の低下を抑制する観点から、オレフィン系重合体(A)、石油樹脂類(B)及びオレフィン系重合体(C)の合計量100質量%に対して、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは1.5〜8質量%、更に好ましくは2〜5質量%である。
前記オレフィン系重合体(A)がプロピレン系重合体(a1)であって、かつ、オレフィン系重合体(C)がプロピレン系重合体(c1)である場合には、プロピレン系重合体(a1)に対するプロピレン系重合体(c1)の相溶性がより良好となり、より優れた延伸性を有する成形体を得ることができる。
<添加剤>
本発明の一軸延伸物を構成するポリオレフィン系組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、必要に応じて更に酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、スリップ剤、防曇剤、滑剤、核剤、ブロッキング防止剤、染料、顔料、天然油、合成油、ワックス、充填剤、エラストマー等を含有してもよい。
酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系、イオウ系、ラクトーン系、有機ホスファイト系、有機ホスフォナイト系の酸化防止剤、あるいはこれらを数種類組み合わせた酸化防止剤等を使用することができる。酸化防止剤は、前記ポリオレフィン系組成物の全量100質量%に対して、0.01〜5質量%の範囲で配合することが好ましい。
帯電防止剤としては、一般的に用いられる公知の低分子型又は高分子型帯電防止剤を好適に用いることができる。
低分子型帯電防止剤としては、例えば、アルキルジエタノールアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン型帯電防止剤、テトラアルキルアンモニウム塩型のカチオン型帯電防止剤、アルキルスルホン酸塩等のアニオン型帯電防止剤、アルキルベタイン等の両性型帯電防止剤等の帯電防止剤等を挙げることができる。
高分子型帯電防止剤としては、例えば、ポリエーテルエステルアミド等の非イオン型帯電防止剤、ポリスチレンスルホン酸等のアニオン型帯電防止剤、第四級アンモニウム塩含有重合体等のカチオン型帯電防止剤等を挙げることができる。
帯電防止剤は、前記ポリオレフィン系組成物の全量100質量%に対して、0.01〜5質量%の範囲で配合することが好ましい。
スリップ剤としては、ラウリル酸、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、エルカ酸、ベヘン酸等の飽和又は不飽和脂肪酸のアミド、あるいはこれら飽和又は不飽和脂肪酸のビスアマイドを用いることができる。これらの内でも、エルカ酸アミド及びエチレンビスステアリン酸アミドが好ましい。スリップ剤は、前記ポリオレフィン系組成物の全量100質量%に対して、0.01〜5質量%の範囲で配合することが好ましい。
ブロッキング防止剤としては、微粉末シリカ、微粉末酸化アルミニウム、微粉末クレー、粉末状もしくは液状のシリコン樹脂、ポリテトラフロロエチレン樹脂、架橋されたアクリル樹脂やメタクリル樹脂粉末のような微粉末状架橋樹脂を挙げることができる。これらの内では、微粉末シリカ及び微粉末状架橋樹脂が好ましい。ブロッキング防止剤は、前記ポリオレフィン系組成物の全量100質量%に対して、0.01〜5質量%の範囲で配合することが好ましい。
エラストマーとしては、スチレン系、オレフィン系、エステル系、軟質塩化ビニル系、ウレタン系、アミド系、ブタジエン及びイソプレン系のエラストマー、あるいはこれらを数種類組み合わせたエラストマーを用いることができる。これらの中でもスチレン系、オレフィン系、ブタジエン及びイソプレン系が好ましい。エラストマーは、前記ポリオレフィン系組成物の全量100質量%に対して、1〜20質量%の範囲で配合することが好ましい。
<ポリオレフィン系組成物の製造>
ポリオレフィン系組成物は、上記の(a)及び(b)成分、必要に応じて(c)成分及び添加剤を加えて、例えば、高速ミキサー、バンバリーミキサー、連続ニーダー、一軸又は二軸押出機、ロール、ブラベンダープラストグラフ(商品名)等の混合混練機を使用して、一般には加熱溶融混練して造粒する方法が採用される。また、一軸延伸物を押出成形する直前に、例えば、押出機上のホッパー内に各成分を同時に投入して用いてもよい(ドライブレンド)。
<一軸延伸物>
本発明の一軸延伸物は上記ポリオレフィン系組成物からなり、その形態としては、フラットヤーン、モノフィラメント、バンド、スプリットヤーン、テープ、シート等が挙げられる。
(フラットヤーン)
本発明のフラットヤーンは、上記ポリオレフィン系組成物からなるフラットヤーンである。
上述のポリオレフィン系組成物を用いることにより、延伸性が向上し、また白化が抑制される。これは、オレフィン系重合体(A)、特にプロピレン系重合体(a1)に、予め定められた量の石油樹脂類(B)が局在化して存在することにより、球晶サイズの成長が抑制され、球晶サイズが小さくなる。それにより、高倍率延伸後の白化、透明性悪化を惹起するボイドの発生を抑制することができるためである。
本発明のフラットヤーンは、後述する編み込みによりシートにされた場合、フレコンバッグ、土嚢袋、粘着テープ基材、レジャーシート、メッシュシート、デザインシート、トラックシート等の各種シート、バルチップ、ネット、カーペットの裏地材、袋材、インテリア資材等に使用することができる。
また、本発明のフラットヤーン自体を用いて、人工芝を製造することもできる。
(モノフィラメント)
本発明のモノフィラメントは、上記ポリオレフィン系組成物からなるモノフィラメントである。
上述したフラットヤーンと同様に、上述のポリオレフィン系組成物を用いることにより、延伸性が向上し、白化が抑制される。そのメカニズムについては、上述したとおりである。
モノフィラメントとは、単一の、撚り(より)がかけられていない繊維のことをいう。
本発明のモノフィラメントは、通常、上述のポリオレフィン系組成物を溶融状態で押出機等から押し出し、所望により延伸と緩和処理することにより形成される。また、モノフィラメントは、押出された後に延伸された延伸糸でもよいし、押出された後に延伸と緩和の処理を受けた延伸糸でもよいが、押出された後に延伸と緩和の処理を受けた延伸糸が好ましい。また、本発明のモノフィラメントは、全延伸倍率が10倍以下であるモノフィラメントが好ましく、全延伸倍率が8倍以下であるモノフィラメントがより好ましい。モノフィラメントの全延伸倍率は、耐摩耗性、引張強度、伸度、柔軟性等の諸特性のバランス等を参酌して定めればよい。全延伸倍率の下限値は特にないが、全延伸倍率は、通常2倍以上、多くの場合3倍以上である。
本発明のモノフィラメントの糸径は、好ましくは0.01〜10mm、より好ましくは0.02〜7mm、更に好ましくは0.05〜5mm、更に好ましくは0.05〜2mmの範囲である。
本発明のモノフィラメントは、その剛性の利点を活かして、釣り糸、オイルフィルター、砂利濾過用フィルター等各種フィルター、漁網や養殖網、テニスやバドミントンのラケット用のガット、歯ブラシ、ヘアブラシ等のトイレタリー用ブラシをはじめ、化粧ブラシや各種の工業用ブラシ等の幅広い用途に使用することができる。
(バンド)
本発明のバンドは、上記ポリオレフィン系組成物からなるバンドである。
上述したフラットヤーンと同様に、上述のポリオレフィン系組成物を用いることにより、延伸性が向上し、白化が抑制される。そのメカニズムについては、上述したとおりである。
バンドとしては、例えば、荷造りに用いる手作業用のバンド、物を固定するために用いる結束バンド等が挙げられる。
一般的なバンドの製造方法を説明する。一般的なバンドの製造方法は、上述のポリオレフィン系組成物を主成分とする原料を、押出機口金より溶融押出し、冷却して帯状原反を得る。この帯状原反を加熱して設定された延伸倍率で延伸する。長さ方向へ延伸された延伸物を一対の型押しローラーで型押ししてその表裏面にエンボス模様を施す。次いでアニール処理を行い、冷却後巻き取る。梱包用のバンドは一般に延伸倍率7倍〜20倍程で製造され、延伸することで強度や剛性が向上し、剛性は梱包機適性に寄与する。原料は、述のポリオレフィン系組成物を主原料とし炭酸カルシウム、顔料、その他添加剤が少量混合される事がある。炭酸カルシウムを添加しないと透明なバンドとなり、添加すると不透明なバンドになるが割れ防止の効果がある。
なお、バンドの用途に応じて、適宜、バンドの幅及びや厚みが選択され、結束バンドも同様に、用途に応じて、その形状、幅及び厚みが選択される。
(スプリットヤーン)
本発明のスプリットヤーンは、上記ポリオレフィン系組成物からなるスプリットヤーンである。
上述したフラットヤーンと同様に、上述のポリオレフィン系組成物を用いることにより、延伸性が向上し、白化が紡糸される。そのメカニズムについては、上述したとおりである。
「スプリットヤーン」とは、微細な網目を有する繊維構造物である。外観上は、微細な繊維が多数集合し、繊維同士が部分的に結合していて網状になっているような構造を有している。スプリットヤーンは、通常、一軸延伸したプラスチックフィルムを、針刃ロール間に通すこと等によって得られる。このように、フィルムに多数の裂け目を生じさせて繊維を形成することを、本明細書においては、「分割(splitting)」又は「分割解繊」と称する。狭義にはスプリットヤーンとは上記のような繊維構造物に撚りをかけた糸状体といい、撚りがかかっていないものをこれと区別してフラットヤーンと称する場合がある。しかし、本明細書中、スプリットヤーンなる語は、両者を包含して用いられる。
本発明のスプリットヤーンは、各繊維がお互いに連結していて、引き張りの強さが大きいのが特徴であり、包装資材や、産業資材、カーテン、カーペットに用いることができる。なお、スプリットヤーンの用途に応じて、適宜、網目構造又は分岐構造に形成してもよく、スプリットヤーンの長繊維及び分岐は、直径100μm以下のものも含まれる。
(テープ)
本発明のテープは、上記ポリオレフィン系組成物からなるテープである。
上述したフラットヤーンと同様に、上述のポリオレフィン系組成物を用いることにより、延伸性が向上し、白化が抑制される。そのメカニズムについては、上述したとおりである。
本発明のテープは、梱包用のテープ、粘着テープの基材テープ等として使用することができる。ここで、梱包用のテープの製造方法及び粘着テープの基材の製造方法は、上述のバンドの製造方法と同様である。なお、テープの用途に応じて、適宜、テープの幅及びや厚みが選択される。
(シート)
本発明のシートは、上述した一軸延伸物を編み込み、編み込んだ一軸延伸物からなるシートである。
本発明において、上記フラットヤーンを経糸及び/又は緯糸に用いて織編成してシートを形成する。織成方法としては、サーキュラー織機、スルーザー型織機、ウォータージェット型織機等の公知の織機を用いて織成することができ、その織り組織としては、平織、綾織、からみ織等の種々の形状が適用される。また、編成方法としては、横編み、縦編みいずれでもよく、具体的にはトリコット編、ミラニーズ編、ラッセル編等が挙げられる。
このように織編成したものを基材として、この片面又は両面にポリエチレン系樹脂層を積層したものも多層シートとして好適に使用してもよい。ポリエチレン系樹脂層を積層することにより、防水性、防塵性が付与され、被包装物にフィットした仕上がりの美しい収縮包装物が得られる。ポリエチレン系樹脂層を積層する方法としては、公知の押出ラミネート法を用いることができる。押出ラミネート法により設けられる層の厚みは、後加工における溶着強度の観点及び柔軟性の観点から、片面あたり20〜100μmが好ましく、30〜60μmがより好ましい。
<一軸延伸物の製造方法>
前記ポリオレフィン系組成物は、延伸過程を有する成形方法に好適に用いられる。
延伸成形法としては、特に限定されないが、汎用プラスチックの延伸成形に適用される一軸延伸成形法(ロール法、チューブラー法、テンター法等)等を採用される。
本発明の一軸延伸物を製造する方法としては、まず、上記ポリオレフィン系組成物からなる未延伸原反を、通常50℃〜280℃の温度範囲で加熱して、表裏両面がフラット状のフィルム(「製膜」ともいう)を成形する。次に、得られたフィルムをロール法、テンター法、チューブラー法等により、機械方向(MD)に一軸延伸が施される。延伸温度は、通常30℃〜200℃、好ましくは50℃〜170℃の範囲である。延伸倍率は、通常、縦方向に通常2倍〜25倍の範囲で行われる。また、延伸後、熱風を吹き付ける方法、赤外線を照射する方法、マイクロ波を照射する方法、ヒートロール上に接触させる等の熱処理を施してもよい。例えば、一軸延伸物がフラットヤーンの場合には、加熱して機械方向(MD)に一軸延伸する前に、得られたフィルムを短冊状にカット(スリット)してもよいし、場合によってはスリットを設けなくてもよい。スリットを設けない場合は、一軸延伸後に得られた一軸延伸フィルムを短冊状にカット(スリット)することもできる。本発明は、延伸倍率が高いほど顕著な効果を奏し、延伸倍率は、好ましくは4〜20倍、より好ましくは10〜20倍、更に好ましくは15〜20倍である。
このような延伸成形法により得られた一軸延伸物の厚みは、その用途に応じて任意であるが、例えば、フラットヤーンの場合は、その厚みが、通常3μm以上500μm以下であり、好ましくは10μm以上500μm以下、より好ましくは10μm以上300μm以下である。
また、上記ポリオレフィン系組成物からなるバンドも、上記一軸延伸物と同様にして製造することができる。
なお、成形された一軸延伸物には、化学的機能、電気的機能、磁気的機能、力学的機能、摩擦/磨耗/潤滑機能、光学的機能、熱的機能、生体適合性等の表面機能等の付与を目的として、各種合目的的二次加工を施すことも可能である。二次加工の例としては、エンボス加工、塗装、接着、印刷、メタライジング(めっき等)、機械加工、表面処理(帯電防止処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、フォトクロミズム処理、物理蒸着、化学蒸着、コーティング等)等が挙げられる。
本実施形態により得られる一軸延伸物は、有機溶媒を使用してもよく、使用しなくてもよいが、安全性の観点からは有機溶媒を使用しないことが好ましい。有機溶媒を使用しなければ、安全性に優れているため、医療用途、食品包装用途、日用品、電気機器材料、家電筐体、自動車材料等の用途として幅広く適用される。特に、食品等も含め、酸素の影響を受けやすく、あるいは劣化する可能性のある物質を包装する上でも有用となる。
また、残存モノマーが5,000ppm以下であることも好ましい。残存モノマーが5,000ppm以下であれば、一軸延伸物の耐久性を高めることができ、着色を低減できる。
<一軸延伸物の物性>
本発明の一軸延伸物は、高い延伸倍率で延伸した場合であっても白化が抑制され、透明性に優れる。具体的には、一軸延伸物を目視で観察した際に、白化ボイドが全く無いか、白化ボイドがあっても少量であることが好ましい。
本発明の一軸延伸物は、剛性が高いものが好ましく、後述の実施例に記載の方法で測定される引張弾性率が、好ましくは6.0GPa以上、より好ましくは6.5GPa以上、更に好ましくは7.0GPa以上、より更に好ましくは7.5GPa以上である。
本発明の一軸延伸物は、靱性が高いものが好ましい。後述の実施例に記載の方法で測定される破断強度が、好ましくは350MPa以上、より好ましくは360MPa以上、更に好ましくは370MPa以上である。また、後述の実施例に記載の方法で測定される破断伸度が、好ましくは10%以上、より好ましくは13%以上、更に好ましくは14%以上である。
ここで、本発明の一軸延伸物は、破断強度が高くかつ破断伸度が高いことが特に好ましい。本明細書において、破断強度(単位:MPa)の値と破断伸度(単位:%)の値とを乗じた値を「靱性パラメータ」として定義すると、当該靱性パラメータの値は、好ましくは5,000以上、より好ましくは5,200以上である。当該靱性パラメータの値が高いほど、一軸延伸物の靱性が優れる。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
〔DSC測定〕
示差走査型熱量計「DSC−7」(パーキン・エルマー社製)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブから融解吸熱量ΔH−Dとして求めた。また、得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップから融点(Tm−D)を求めた。
なお、融解吸熱量(ΔH−D)は、熱量変化の無い低温側の点と熱量変化の無い高温側の点とを結んだ線をベースラインとして、示差走査型熱量計「DSC−7」(パーキン・エルマー社製)を用いた、DSC測定により得られた融解吸熱カーブのピークを含むライン部分と当該ベースラインとで囲まれる面積を求めることで算出される。
〔重量平均分子量(Mw)、分子量分布(Mw/Mn)測定〕
ゲルパーミエイションクロマトグラフィ(GPC)法により、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)を測定し、分子量分布(Mw/Mn)を求めた。測定には、下記の装置及び条件を使用し、ポリスチレン換算の重量平均分子量及び数平均分子量を得た。分子量分布(Mw/Mn)は、これらの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)より算出した値である。
<GPC測定装置>
カラム :東ソー(株)製「TOSO GMHHR−H(S)HT」
検出器 :液体クロマトグラム用RI検出 ウォーターズ・コーポレーション製「WATERS 150C」
<測定条件>
溶媒 :1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度 :145℃
流速 :1.0mL/分
試料濃度 :2.2mg/mL
注入量 :160μL
検量線 :Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
〔NMR測定〕
以下に示す装置及び条件で、13C−NMRスペクトルの測定を行った。なお、ピークの帰属は、エイ・ザンベリ(A.Zambelli)等により「Macromolecules,8,687(1975)」で提案された方法に従った。
装置:日本電子(株)製JNM−EX400型13C−NMR装置
方法:プロトン完全デカップリング法
濃度:220mg/mL
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼンと重ベンゼンの90:10(容量比)混合溶媒
温度:130℃
パルス幅:45°
パルス繰り返し時間:4秒
積算:10000回
<計算式>
M=m/S×100
R=γ/S×100
S=Pββ+Pαβ+Pαγ
S:全プロピレン単位の側鎖メチル炭素原子のシグナル強度
Pββ:19.8〜22.5ppm
Pαβ:18.0〜17.5ppm
Pαγ:17.5〜17.1ppm
γ:ラセミペンタッド連鎖:20.7〜20.3ppm
m:メソペンタッド連鎖:21.7〜22.5ppm
以下に、実施例で使用した原料について説明する。
(オレフィン系重合体(A))
オレフィン系重合体(A)として、MFRが0.9g/10分(温度230℃、荷重2.16kgの条件下)、融点(Tm−D)が162℃であるポリプロピレン「プライムポリプロE−100GPL」((株)プライムポリマー製)を使用した。
(石油樹脂類(B))
石油樹脂類(B)として、軟化点が140℃である水添石油樹脂「アイマーブ(登録商標)P−140」(出光興産(株)製)を使用した。
(オレフィン系重合体(C))
オレフィン系重合体(C)として、重量平均分子量が130,000、分子量分布(Mw/Mn)が2.0、引張弾性率が110MPa、融点(Tm−D)が80℃であるポリプロピレン「エルモーデュ(登録商標)S901」(出光興産(株)製)を使用した。
実施例1〜6及び比較例1〜3
表1に記載の原料を表1に記載の配合で溶融混練してポリオレフィン系組成物を調製し、得られたポリオレフィン系組成物を熱プレスして2mm厚の原反を作製した。得られた原反を、恒温槽付き引張試験機「AG−10kNX」((株)島津製作所製)を用いて以下の条件下で延伸することによりフラットヤーンを得た。
チャック間距離:30mm
炉内温度: 110℃
炉内保持時間: 10分
引張速度: 1,000m/分
延伸倍率: 15〜19倍
<フラットヤーンの評価>
下記測定方法によって、各実施例及び比較例で作製したフラットヤーンの物性を評価した。
〔力学特性の測定〕
作製したフラットヤーンから採取した200mm×15mmの短冊状の試験片を用いて、引張試験機「オートグラフAG−I」((株)島津製作所製)にてチャック間距離50mm、引張速度300mm/分の条件下で機械方向に引っ張り、引張弾性率、破断強度、破断伸度を求めた。各試験とも、機械方向に5回ずつ測定して、その平均値を測定値とした。なお、ここで、機械方向の試験片とは、上記短冊状試験片の長手方向が一軸延伸物の機械方向である試験片のことをいう。
(i)引張弾性率
伸度(ひずみ)を横軸とし、応力を縦軸とした二次元座標軸上に関係線(曲線)を引き、降伏点前の関係線の傾きを「引張弾性率」として求めた。引張弾性率は値が高いほど、フラットヤーンの剛性が優れる。
(ii)破断強度
二次元座標軸上に関係線(曲線)において、試験片が破断する前に試験片に表れる最大の引張応力を「破断強度」として求めた。
(iii)破断伸度
下式から破断伸度を算出した。
破断伸度(%)=100×(L−L0)/L0
(式中、L0:試験前の試験片の長さ、L:破断時の試験片の長さ)
(iv)靱性パラメータ
上記で得られた破断強度(単位:MPa)の値と破断伸度(単位:%)の値とを乗じた値を靱性パラメータとした。当該靱性パラメータの値が高いほど、フラットヤーンの靱性が優れる。
〔白化状態の評価〕
作製したフラットヤーンの白化状態を目視で観察し、以下の評価基準により評価した。
◎:白化ボイドが検知できない。
○:少量の白化ボイドが発生した。
△:多数の白化ボイドが発生した。
×:全面に白化ボイドが発生した。
一軸延伸物の原料であるオレフィン系重合体(A)に石油樹脂類(B)を添加することで、高い延伸倍率を加えた一軸延伸物であっても白化が抑制されることがわかった。特に、原料であるオレフィン系重合体(A)に石油樹脂類(B)及び軟質なポリオレフィン(オレフィン系重合体(C))を添加した実施例4〜6では、白化の抑制に加えて靱性の低下も抑制できることがわかった。
本発明の一軸延伸物は、白化が抑制され、透明性に優れる。この一軸延伸物がフラットヤーンの場合には、編み込みによりシートにすることで、フレコンバッグ、土嚢袋、粘着テープ基材、レジャーシート、メッシュシート、デザインシート、トラックシート等の各種シート、バルチップ、ネット、カーペットの裏地材、袋材、インテリア資材等に使用することができ、また、フラットヤーン自体を用いて、人工芝を製造することもできる。

Claims (8)

  1. 下記(a)成分及び下記(b)成分を含むポリオレフィン系組成物からなる一軸延伸物。
    (a)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が120℃を超えるオレフィン系重合体(A)
    (b)軟化点が80℃以上160℃以下である石油樹脂類(B)
  2. 前記ポリオレフィン系組成物中における前記(b)成分の含有量が、前記(a)成分及び前記(b)成分の合計量100質量%に対して0.1質量%以上20質量%以下である、請求項1に記載の一軸延伸物。
  3. 前記(b)成分が、石油樹脂又はその水素添加誘導体である、請求項1又は2に記載の一軸延伸物。
  4. 前記ポリオレフィン系組成物が下記(c)成分を更に含む、請求項1〜3のいずれか1つに記載の一軸延伸物。
    (c)重量平均分子量(Mw)が10,000以上400,000以下であり、分子量分布(Mw/Mn)が1.0以上3.0以下であり、引張弾性率が1MPa以上600MPa以下であるオレフィン系重合体(C)
  5. 前記ポリオレフィン系組成物中における前記(c)成分の含有量が、前記(a)成分、前記(b)成分及び前記(c)成分の合計量100質量%に対して1質量%以上10質量%以下である、請求項4に記載の一軸延伸物。
  6. 前記オレフィン系重合体(C)が、重合体を構成するモノマーの50モル%以上がプロピレンモノマーであるプロピレン系重合体(c1)である、請求項4又は5に記載の一軸延伸物。
  7. 前記プロピレン系重合体(c1)が下記(i)及び/又は(ii)を満たす、請求項6に記載の一軸延伸物。
    (i)エチレンの構成単位が0モル%を超えて、20モル%以下で含まれる。
    (ii)1−ブテンの構成単位が0モル%を超えて、30モル%以下で含まれる。
  8. 前記プロピレン系重合体(c1)が下記(1)を満たす、請求項6又は7に記載の一軸延伸物。
    (1)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークトップとして定義される融点(Tm−D)が0℃以上120℃以下である。
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