以下、本発明の一実施形態である研磨加工機1について図1〜10を用いて説明する。本実施形態の研磨加工機1は、図8に示すように、被加工物として包丁Wの刃部W1と口金W2の溶接部分を研磨するものである。図8は、加工部分を上方から見た図であり、W3は溶接痕を示している。また、以下において「左右」は、図1における「左右」を指しており、「前方」及び「後方」は、それぞれ図1におけるの下方、及び上方を指している。なお、図1及び図3では制御盤27の図示を省略している。
本実施形態の研磨加工機1は、記憶部に記憶させた座標データに基づき研磨部15を左右方向と前後方向の二軸方向に移動させる研磨装置10と、包丁Wを着脱可能に保持するステージ38を備え、左右方向に並設された二個の支持台37と、ステージ38に保持された包丁Wを研磨部15に一定の圧力で押圧する押圧装置32を主に備えている。
図1〜3に示すように、研磨装置10は、ローラ台11に垂直に軸支された加工ローラ12と二本のローラ13a,13bを備えており、これらの三本のローラ12,13a,13bには研磨ベルト14が巻掛けられている。三本のローラ12,13a,13bは、三角形状に取付けられており、正面側の頂点位置に加工ローラ12が軸支されている。そして、研磨ベルト14の加工ローラ12に巻掛けられた部分が研磨部15になる。また、ローラ13aの回転軸は、ベルトモータ16のシャフトに連結されている。ベルトモータ16を駆動させることにより、ローラ13aを回転させ、研磨ベルト14を周回させることができる。なお、ローラ台11は三角形状であり、研磨加工機1の使用する際には、正面側と下面が開放された三角形箱形のローラ台カバー11aが覆設される。
ローラ台11は、左右摺動台24の上面に前後方向に配設されたボールねじ(図示省略)の可動テーブルに取付けられている。ボールねじに取付けられたプーリは、左右摺動台24に固定された前後送りモータ(図示省略)に備えられたプーリとベルトで連結されている。これにより、前後送りモータを駆動させてローラ台11を前後方向に移動させることができる。また、前後送りモータはサーボモータであり、ローラ台11の移動量を制御することができる。
左右摺動台24は、研磨装置10の略直方体状の本体17の上面に左右方向に配設された左右ボールねじ18と二本のガイドレール23a,23bに摺動可能に取付けられている。左右ボールねじ18と二本のガイドレール23a,23bは、左右方向に並設された二個のステージ38の幅よりも長くなっている。そして、左右ボールねじ18の右側の端部に取付けられたプーリ19は、左右送りモータ20のシャフトに取付けられたプーリ21とベルト22で連結されている。これにより、左右送りモータ20を駆動させて左右摺動台24を左右方向に移動させることができる。また、左右送りモータ20はサーボモータであり、左右摺動台24の移動量を制御することができる。
従って、左右送りモータ20を駆動させて左右摺動台24を左右方向に移動させ、前後送りモータを駆動させてローラ台11を前後方向に移動させることにより、研磨部15を左右方向と前後方向の二軸方向に移動させることができる。
研磨装置10の本体17には、入力及び表示機能を備えるタッチパネル画面26を有した制御盤27が取付けられている。また、本体17は、記憶部を有したプログラマブルコントローラ(PLC)を備えている。PLCの記憶部には、加工手段と座標データ作成手段としてプログラムが記憶されている。加工手段を実行することにより、ベルトモータ16を駆動させて研磨ベルト14を周回させると共に、記憶部に記憶された座標データに基づき左右送りモータ20と前後送りモータを駆動させて、研磨部15を包丁Wに当接して研磨することができる。そして、座標データ作成手段を実行することにより、後述する工程で見本の形状から座標データを作成し、記憶部に記憶することができる。加工手段と、座標データ作成手段は、操作を行うステージ38を左右二個のステージ38から選択することができる。なお、座標データはタッチパネル画面26から直接入力することもできる。
本体17の前面側には矩形箱状の前カバー28が取付けられている。前カバー28内には昇降モータ29が内設されている。昇降モータ29を駆動することにより、左右方向に並設された二本の昇降ロッド30を上下方向に進退させることができる。二本の昇降ロッド30はそれぞれ、前カバー28の上部に配置された矩形箱状の支持台カバー31を貫通して、押圧装置32を支持している。そして、左右の押圧装置32に取付けられた支持台37は、左右ボールねじ18と平行に左右方向に並設されている。なお、昇降モータ29を駆動することにより、二個の押圧装置32に取付けられた支持台37の位置を昇降することができる。また、支持台カバー31の上面と研磨装置10側の側面は、解放されている。
二個の押圧装置32は同一の構成になっている。また、それぞれの押圧装置32に取付けられた支持台37も同一の構成である。図4,5に示すように、押圧装置32は、基台33に前後方向へ取付けられた二本の軸棒34を備えている。そして、支持台37は、二本の軸棒34に前後方向へ摺動可能に取付けられている。また、基台33には押圧エアシリンダ35が二本の軸棒34と平行に取付けられており、押圧エアシリンダ35のピストン35aは支持台37の連結部37aに連結されている。これにより、押圧エアシリンダ35のピストン35aを伸縮させて支持台37を前後方向に移動させることができる。また、押圧エアシリンダ35は、ピストン35aの伸縮を電気信号としてPLCへ出力する磁気近接型のセンサを備えている。なお、基台33には手動ハンドル36が取付けられており、手動ハンドル36を回転させることによっても支持台37を前後方向に移動させることができ、支持台37の位置を微調整することができる。また、押圧エアシリンダ35は、圧力調整器(図示省略)を介してエアコンプレッサ(図示省略)に接続されている。これにより、圧力調整器を調節して被加工物を研磨部15に押圧する圧力を変更することができる。
ステージ38は、支持台37に左右方向に取付けられた二本の軸40a,40bにより軸支されており、軸40aを中心に回動する。軸40aは、支持台37に突設された二本の腕部39を左右方向に貫通しており、ステージ38の研磨部15側の下面を軸支している。軸40bは、ピストン41aを上方に向けて支持台37に揺動可能に取付けられた駆動エアシリンダ41のピストン41aの先端に左右方向に挿通されている。軸40bは、ステージ38の正面側の下面を軸支している。
駆動エアシリンダ41のピストン41aを縮めるとステージ38が略水平な状態になる。これにより、包丁Wをステージ38に載置しやすくなる。なお、ステージ38は水平な状態に限らず、正面側に僅かに傾けるなど包丁Wを載置しやすく取外しやすい角度にしてもよい。そして、駆動エアシリンダ41のピストン41aを伸ばしたときは、ステージ38が軸40aを中心に回動して略垂直になる。これにより、ステージ38に保持させた包丁Wの表面を研磨部15に対して平行な状態にすることができる。なお、支持台37には略垂直にしたステージ38の角度を調節する角度調節ハンドル(図示省略)が取付けられている。包丁Wの表面がテーパ状になっている場合などに角度調節ハンドルを操作してステージ38の角度を調節することができる。また、駆動エアシリンダ41は、エアコンプレッサ(図示省略)に接続されている。
図6は、右側のステージ38に包丁Wを保持した状態を示している。ステージ38の上面には、包丁Wを載置可能な凸部42が形成されている。そして、凸部42の左側には、口金W2が収容される凹部43が形成されている。また、凸部42の研磨部15側には、二本のピン44が上方に突出している。口金W2の部分を凹部43に収容することにより、包丁Wを凸部42の上面に略水平に載置することができる。そして、刃部W1の背を二本のピン44に当接させることにより、包丁Wの位置決めをすることができる。なお、凸部42には包丁Wを載置した際に、包丁Wの下面側へ指を差し入れることができる切欠き45が形成されている。これにより、凸部42に載置した包丁Wを取外しやすい。
そして、凸部42の略中央には吸着手段46として貫通孔46bを有するゴム製で略円錐形のパッド46aが取付けられている。パッド46aの貫通孔46bは、真空ポンプ47と連通している。真空ポンプ47を駆動させることにより、凸部42の上面に載置した刃部W1を吸引して保持することができる。
一方、左側のステージ38は、凹部43、二本のピン44、切欠き45、吸着手段46が右側のステージ38と左右方向に延びた直線に対して線対称の位置に配置されている。つまり、二本のピン44であれば、左側のステージ38の正面側に突設されている。左側のステージ38では、右側のステージ38で上方に向けた面と反対側の面を上方に向けて包丁Wをステージ38に載置する。この際、ステージ38の正面側に突設された二本のピン44に刃部W1の背を当接させて口金W2を凹部43に収容する。
左右の押圧装置32と、支持台37、及びステージ38の吸着手段46は、左右で独立して動作させることができる。そして、左右の支持台37は、左右方向へ直線状に配設されており、それぞれの支持台37に支持されたステージ38は、研磨部15の左右方向の移動範囲内に配設されている。これにより、研磨部15を左右方向に移動させて左右のステージ38の両方で研磨加工を行うことができる。
次に、本実施形態の研磨加工機1による包丁Wの研磨加工の工程について図7を用いて説明する。また、座標データ作成手段により座標データを作成する場合について説明する。なお、研磨加工機1は、制御盤27のタッチパネル画面26に表示されたメニューを押圧することにより操作することができる。
右見本取付工程S1では、研磨加工機1が起動した状態で、右側の支持台37の駆動エアシリンダ41を駆動させて右側のステージ38を略水平な状態する。そして、予め溶接部分を研磨した包丁Wを見本としてステージ38に載置する。このとき、見本の包丁Wは、刃部W1の背を右側のステージ38の二本のピン44に当接させ、口金W2を凹部43に収容して載置する。そして、右側の吸着手段46を吸着保持状態にして見本の包丁Wを右側のステージ38に保持させる。そののち、右側の支持台37の駆動エアシリンダ41を駆動させて右側のステージ38を研磨部15に対して略平行な状態にする。
右座標データ作成工程S2では、研磨装置10のPLCに記憶された座標データ作成手段を右側のステージ38を選択して実行する。これにより、左右送りモータ20と前後送りモータが駆動し、研磨部15を見本の包丁Wの形状に沿って移動させながら所定の位置で前方に移動させる。見本の包丁Wが研磨部15に押圧されることにより、右側のステージ38を支持した支持台37が前方に移動し、押圧装置32の押圧エアシリンダ35が縮む。これにより、押圧エアシリンダ35に取付けられたセンサが電気信号をPLCに出力する。そして、センサが電気信号を出力した時の研磨部15の位置に基づき座標データが作成され記憶部に記憶される。予め設定されたデータ数に応じて上記の操作が繰返され、複数の座標データが作成される。
右見本取外工程S3では、右側の支持台37の駆動エアシリンダ41を駆動させてステージ38を略水平な状態に戻す。そして、右側の吸着手段46を吸着保持解除状態にして、見本の包丁Wを右側のステージ38から取外す。
左見本取付工程S4では、略水平な状態の左側のステージ38に見本の包丁Wを載置する。このとき、見本の包丁Wは、右側のステージ38で座標データを作成した面と反対側の面を上方に向けて載置する。そして、左側の吸着手段46を吸着保持状態にして見本の包丁Wを左側のステージ38に保持させる。そののち、左側の支持台37の駆動エアシリンダ41を駆動させて左側のステージ38を研磨部15に対して略平行な状態にする。
左座標データ作成工程S5では、研磨装置10のPLCに記憶された座標データ作成手段を左側のステージ38を選択して実行する。これにより、右座標データ作成工程S2と同様の工程で左側の座標データが作成される。
左見本取外工程S6では、左側の支持台37の駆動エアシリンダ41を駆動させてステージ38を略水平な状態に戻す。そして、左側の吸着手段46を吸着保持解除状態にして、見本の包丁Wを左側のステージ38から取外す。
右被加工物取付工程S7では、略水平な状態の右側のステージ38に未研磨状態の包丁Wを載置する。そして、右側の吸着手段46を吸着保持状態にして未研磨状態の包丁Wを右側のステージ38に保持させる。そののち、右側の支持台37の駆動エアシリンダ41を駆動させて右側のステージ38を研磨部15に対して略平行な状態にする。
右被加工物研磨工程S8では、研磨装置10のPLCに記憶された加工手段を右側のステージ38を選択して実行する。これにより、ベルトモータ16が駆動して研磨ベルト14が周回する。そして、押圧装置32の押圧エアシリンダ35が駆動して支持台37を研磨部15側へ押圧する。そののち、左右駆動モータ20と前後駆動モータが右側の座標データに基づいて駆動することにより、研磨部15が前後、左右方向へ移動して未研磨状態の包丁Wが研磨される。なお、右被加工物研磨工程S8は、複数回繰返す設定にすることができる。
右被加工物取外工程S9では、研磨加工が完了したのち、右側の支持台37の駆動エアシリンダ41を駆動させて右側のステージ38を略水平な状態に戻す。そして、右側の吸着手段46を吸着保持解除状態にして、片面が研磨された包丁Wをステージ38から取外す。
左被加工物取付工程S10では、略水平な状態の左側のステージ38に片面が研磨された包丁Wを載置する。このとき、包丁Wは、右側のステージ38で研磨加工した面と反対側の面を上方に向けて載置する。そして、左側の吸着手段46を吸着保持状態にして片面が研磨された包丁Wを左側のステージ38に保持させる。そののち、左側の支持台37の駆動エアシリンダ41を駆動させて、左側のステージ38を研磨部15に対して略平行な状態にする。
左被加工物研磨工程S11では、研磨装置10のPLCに記憶された加工手段を左側のステージ38を選択して実行する。これにより、左側の座標データに基づき包丁Wが右被加工物研磨工程S8と同様の工程で研磨される。なお、左被加工物研磨工程S11は、複数回繰返す設定にすることができる。
左被加工物取外工程S12では、研磨加工が完了したのち、左側の支持台37の駆動エアシリンダ41を駆動させて左側のステージ38を略水平な状態に戻す。そして、左側の吸着手段46を吸着保持解除状態にして、両面が研磨された包丁Wをステージ38から取外す。なお、両面が研磨された包丁Wには、仕上げ工程としてバフ研磨が行われる。
複数の包丁Wを研磨する場合は、右被加工物取付工程S7以降を繰返す。この場合は、未研磨状態の包丁Wを一個ずつ左右のステージ38を使用して研磨してもよい。或いは、右側のステージ38で複数の未研磨状態の包丁Wを片面のみ連続して研磨し、左側のステージ38で複数の片面が研磨された包丁Wの未研磨面を連続して研磨してもよい。そして、一方のステージ38で研磨加工している間、他方のステージ38で右被加工物取付工程S7(或いは、左被加工物取外工程S10)や、右被加工物取外工程S9(或いは、左被加工物取外工程S12)を行うことができる。
従って、本実施形態の研磨加工機1は、左右二個のステージ38を備えており、包丁Wの両面を研磨することができる。これにより、刃部W1と口金W2を溶接して包丁Wの両面に形成された溶接痕W3を研磨し、滑らかな曲面にすることができる。なお、上述した研磨加工の工程では、右側のステージ38の工程を先に行ったが、左右のステージ38でどちらの工程を先に行っても構わない。
ここで、図9,10を用いて、押圧装置32を有していない研磨加工機と、本実施形態の研磨加工機1による研磨加工の違いについて説明する。なお、図9,10において、実線Aは包丁Wの表面を示しており、A’は押圧装置32を有していない研磨加工機により研磨した包丁Wの表面、A’’は本実施形態の研磨加工機1により研磨した包丁Wの表面を示している。また、円は研磨部15を示しており、円を結ぶ二点鎖線は、研磨部15の移動経路を示している。そして、実線の十字は座標データの示す位置を表している。
図9に示すように、押圧装置32を有していない場合は、研磨部15が座標データに沿って直線的に移動する。このため、見本の形状が湾曲していても、包丁Wの表面Aは直線的に研磨される。このような傾向は、座標データのデータ数が少ない場合により顕著になる。また、図9の左側に示すように、座標データの示す位置が包丁Wの表面Aから外側に大きく離れている場合は、研磨部15が包丁Wに接触せずに研磨できないことがある。そして、図9の右側に示すように、座標データの示す位置が包丁Wの表面Aに接近しており、研磨部15が包丁Wの内側に深く入り込む場合は、過剰に研磨することがある。従って、押圧装置32を有していない通常の研磨装置10では、湾曲した面を滑らかに研磨することが困難である。
これに対して、本実施形態の研磨加工機1では、押圧装置32により、包丁Wを研磨部15に一定の圧力で押圧した状態で研磨加工を行うことができる。これにより、図10の左側に示すように、座標データの示す位置が包丁Wの表面Aから外側に大きく離れている場合は、押圧装置32が包丁Wを研磨部15に押圧して常に接触した状態にするため、表面Aを研磨することができる。また、図10の右側に示すように、座標データの示す位置が包丁Wの表面Aに接近している場合は、クッション性を有する押圧エアシリンダ35が包丁Wにかかる大きな圧力を吸収する。そして、ステージ38を支持する支持台37が前後方向に摺動可能に取付けられていることにより、包丁Wが研磨部15から離隔し、研磨部15と包丁Wにかかる圧力を緩和することができる。従って、図8に示すように包丁Wの表面Aに大きな溶接痕W3がある場合でも本実施形態の研磨加工機1では、滑らかな曲面に研磨することができる。そして、溶接痕W3が残る場合は、研磨工程を繰り返すことにより、溶接痕W3を取除くことができる。
このように、本実施形態の研磨加工機1は、ローラ台11に軸支された三本のローラ12,13a,13bに巻掛けられて周回する研磨ベルト14の研磨部15を記憶部に記憶された座標データに基づき二軸方向に移動させて研磨する研磨装置10と、包丁Wを着脱可能に保持するステージ38を、略水平に支持する状態と、研磨部15に対して略平行に支持する状態とに切替えてることが可能な支持台37と、加工時にステージ38に保持された包丁Wを研磨部15に一定の圧力で押圧する押圧装置32とを具備している。
また、本実施形態の研磨加工機1は、ステージ38に保持された見本の形状に沿って研磨部15を見本の包丁Wに順次当接させることにより、複数の座標データを作成する座標データ作成手段を備えている。更に、本実施形態の研磨加工機1は、支持台37のステージ38に包丁Wを吸着により保持する吸着保持状態と、吸着による保持を解除する吸着保持解除状態とに切替え可能な吸着手段46を備えている。加えて、本実施形態の研磨加工機1は、支持台37が研磨部15の移動範囲内で同一線上に二個備えられている。
従って、本実施形態の研磨加工機1では、押圧装置32で包丁Wを研磨部15に押当てながら研磨することができる。これにより、研磨部15の直線的な動作が緩和され、滑らかな曲面に研磨することができる。また、座標データが包丁Wの表面の位置よりも外側を示していても、押圧装置32が包丁Wと研磨部15が常に接触した状態する。そして、座標データが包丁Wの表面の位置よりも内側を示す場合は、包丁Wを研磨部15から離隔させるため、滑らかな表面に研磨することができる。つまり、押圧装置32により包丁Wと座標データとのずれ(誤差)を修正することができるため、複数の包丁Wで表面の状態が異なっていても、均一な状態に研磨することができる。更に、本構成の研磨加工機1では、座標データのデータ数が少なくても滑らかな曲面に研磨できるため、加工速度を上げやすく、作業時間を短縮することができる。
また、本実施形態の研磨加工機1では、座標データ作成手段を備えていることにより、職人が研磨した包丁Wを見本として座標データを取得し記憶部に記憶させることができる。これにより、職人が手作業で研磨した仕上がりを繰返し再現することができる。また、座標データを手作業で入力する作業を省略することができる。
更に、本実施形態の研磨加工機1では、吸着により包丁Wを支持台37に保持することができ、ステージ38に包丁Wを着脱する作業を容易に行うことができる。
加えて、本実施形態の研磨加工機1は二個の支持台37を備えており、それぞれのステージ38で研磨する包丁Wの面を変えることができる。これにより、一台の研磨加工機1で包丁Wの両面にできた溶接痕W3を研磨して取除くことができる。
以上、本発明について好適な実施形態を挙げて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計の変更が可能である。
例えば、本構成の研磨加工機1は、刃部と口金の研磨部15分の研磨加工だけでなく、所謂背研ぎと称される刃部の峰から切先部分の研磨や、目通しと称される刃部の腹の部分に直線的な研磨傷を付けて意匠性を高める加工にも用いることができる。背研ぎを行う場合は、峰を上方に向けた状態で刃部を保持できるようにステージ38の形状を変更してもよい。