JP2017164808A - 鋼板の残留応力推定方法および鋼板の製造方法ならびに鋼板の残留応力推定装置および鋼板の製造設備 - Google Patents

鋼板の残留応力推定方法および鋼板の製造方法ならびに鋼板の残留応力推定装置および鋼板の製造設備 Download PDF

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Abstract

【課題】鋼板の残留応力を精度よく推定する方法を提供する。さらには前記方法により得られた残留応力の推定値を用いて、鋼板を効率的に製造する方法を提供する。
【解決手段】熱間圧延または熱間矯正された鋼板表面の幅方向温度分布と鋼板側面の代表温度をそれぞれ測定し、これらの両方の温度測定結果を用いて鋼板の残留応力を算出することを特徴とする、鋼板の残留応力推定方法。熱間圧延または熱間矯正された鋼板表面の幅方向温度分布と鋼板側面の代表温度をそれぞれ測定し、これらの両方の温度測定結果を用いて鋼板の残留応力を算出し、算出された前記残留応力が設定した基準よりも大きい場合には、残留応力低減工程を追加することを特徴とする、鋼板の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、熱間圧延または熱間矯正された鋼板の残留応力の推定方法と、これを用いた鋼板の製造方法、ならびに鋼板の残留応力推定装置およびこれを備える鋼板の製造設備に関する。
熱間圧延によって製造された鋼板には、圧延後に長さ方向および幅方向の温度分布が発生しており、これによって室温まで冷却した後に残留応力が発生することが知られている。熱間圧延された鋼板は、材質向上のために加速冷却や焼き入れなどの水冷が施されることがあり、このような場合には温度分布がさらに大きくなって残留応力も増加する。残留応力が存在する鋼板は、用途に応じて切断する際に残留応力が解放されて変形が生じ、切断後の部材寸法に狂いが生じるという問題がある。特に、鋼板を細長い条に切断すると、キャンバーと呼ばれる横曲がりが顕著に発生し、その矯正に多大な労力や費用が必要となるため、残留応力を精度良く推定し、必要に応じて残留応力を低減する工程を追加する必要がある。
特許文献1には、鋼板の残留応力による切断加工後の変形量を推定する方法として、熱間圧延またはホットレベラー矯正の後に鋼板の幅方向の温度分布を測定し、鋼板の条切り切断幅に対応する位置での幅方向温度偏差が基準値よりも大きい場合に横曲がり量が許容値を超えると判定する方法が開示されている。さらに、鋼板の板面温度分布を2次元的に測定するとともに、この板面温度分布データを用いて複数の切り出し位置のそれぞれについて切り出し後の変形量を推定演算する方法が開示されている。
また、特許文献2には、切断後の変形量が許容量を超えると判定された場合に、矯正装置の矯正条件を設定または変更して許容量以下とする鋼板の製造方法が開示されている。
特公平4−8128号公報 特開2007−216298号公報
しかしながら、特許文献1、2の技術では、残留応力の推定精度が十分ではなかった。
従来の技術では、鋼板の残留応力や切断変形を推定するための鋼板温度データとして、サーモビューワ等で測定した板面温度分布を用いていた。しかし、本発明者の検討により、鋼板の板面温度分布を用いて残留応力を推定しようとすると、以下の問題が生じることがわかった。
一般に、熱間圧延された後の鋼板は、幅方向端部に向かって温度が低下していき、幅方向最端部(エッジ)で最も温度が低くなっている。また、温度低下の勾配は、鋼板の幅方向最端部に近づくほど急峻になる。鋼板の残留応力を精度良く推定するためには、この温度分布を鋼板の幅方向最端部まで正確に測定する必要がある。ところが、サーモビューワ等の温度計は、画素の大きさによって分解能に限界があり、画素の平均温度を温度データとして出力する。鋼板の幅方向端部の領域ではエッジが画素の一部にしかかからない状態となるため、鋼板が画素にかかる部分と画素にかからない部分の比率によって画素の平均温度が変化し、鋼板の幅方向端部の領域の温度を正確に測定することができなかった。特に、最も温度低下が大きい幅方向最端部の温度を正確に測定できないため、残留応力の推定精度も十分とは言えなかった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、鋼板の残留応力を精度よく推定する方法を提供することを目的とする。さらには前記方法により得られた残留応力の推定値を用いて、鋼板を効率的に製造する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、鋼板の残留応力を精度よく推定する残留応力推定装置を提供することを目的とする。さらには前記装置を備え、鋼板を効率的に製造する鋼板の製造設備を提供することを目的とする。
本発明は、鋼板の幅方向端部の領域の温度を正確に測定することによって、鋼板の残留応力を精度よく推定するものである。さらには精度の高い残留応力推定値を用いて鋼板を効率的に製造するものである。すなわち、本発明は、以下を要旨とするものである。
[1]熱間圧延または熱間矯正された鋼板表面の幅方向温度分布と鋼板側面の代表温度をそれぞれ測定し、これらの両方の温度測定結果を用いて鋼板の残留応力を算出することを特徴とする、鋼板の残留応力推定方法。
[2]熱間圧延または熱間矯正された鋼板表面の幅方向温度分布と鋼板側面の代表温度をそれぞれ測定し、これらの両方の温度測定結果を用いて鋼板の残留応力を算出し、算出された前記残留応力が設定した基準よりも大きい場合には、残留応力低減工程を追加することを特徴とする、鋼板の製造方法。
[3]熱間圧延または熱間矯正された鋼板表面の幅方向温度分布を測定する板面温度計と、鋼板側面の代表温度を測定する側面温度計と、これら両方の温度測定結果を用いて鋼板の温度分布を算出する温度分布算出装置と、算出された前記温度分布から残留応力を算出する残留応力算出装置とを具備する、鋼板の残留応力推定装置。
[4]熱間圧延または熱間矯正された鋼板表面の幅方向温度分布を測定する板面温度計と、鋼板側面の代表温度を測定する側面温度計と、これら両方の温度測定結果を用いて鋼板の温度分布を算出する温度分布算出装置と、算出された前記温度分布から残留応力を算出する残留応力算出装置と、算出された前記残留応力が設定した基準を満たすか否かを判断する判断装置と、前記残留応力が前記基準を満たさないと判断される場合に鋼板の残留応力を低減する処理を行う残留応力低減装置を具備する、鋼板の製造設備。
本発明によれば、鋼板の残留応力を精度よく推定できる。さらには前記方法により得られた残留応力の推定値を用いて、鋼板を効率的に製造できる。
すなわち、本発明によれば、鋼板表面の幅方向温度分布だけでなく、鋼板側面の温度も測定するようにしたため、鋼板の幅方向端部の領域の温度を正確に測定できるようになり、鋼板の残留応力の推定精度をより向上することができる。さらに、本発明の鋼板の製造方法によれば、残留応力低減工程を適切に追加することができ、残留応力の小さい低残留応力鋼板を効率よく製造できる。
図1は本発明の残留応力推定方法を説明するための鋼板製造設備の概略図である。 図2は鋼板の幅方向温度分布の一例を示す図である。 図3(a)は実施例1で測定された鋼板の長さ方向中央における幅方向温度分布である。図3(b)は実施例1で測定された鋼板の長さ方向中央における板厚方向温度分布である。 図4(a)は実施例2で測定された鋼板の長さ方向中央における幅方向温度分布である。図4(b)は実施例2で測定された鋼板の長さ方向中央における板厚方向温度分布である。
図1に示す本発明の実施形態の一例を用いて、本発明を詳細に説明する。図1は本発明の残留応力推定方法を説明するための鋼板の製造設備の一例を示している。加熱炉(図示せず)から抽出された高温のスラブは圧延機1によって所定の製品寸法に圧延され、必要に応じて圧延後に水冷装置2により水冷が行われる。圧延後または水冷後の鋼板は平坦度を向上させるためにホットレベラー3を用いた矯正が行われ、冷却床(図示せず)に送られて室温に近い温度まで冷却される。
通常、圧延後または水冷後の鋼板には、鋼板の幅方向や長さ方向に温度分布が存在しており、例えば圧延後の鋼板の温度を幅方向に測定すると、図2に示すように幅方向端部に近づくほど温度が低くなり、その温度勾配は幅方向最端部に近づくほど大きい。このような温度分布は、水冷によってより不均一になることが多く、水冷が行われることで圧延後の温度分布(鋼板の幅方向中央部と幅方向端部との温度差)がさらに拡大する。
このような鋼板の幅方向端部ほど温度が低い温度分布から室温(例えば0〜40℃)まで鋼板が冷却されると、高温部ほど熱収縮が大きいことにより、冷却後の鋼板には鋼板の幅方向端部に圧縮、他の部分に引張の長さ方向残留応力が発生する。本発明者は、このような残留応力を精度良く推定し、許容レベル以上の残留応力を有する場合に適切な残留応力低減工程を実施するためには、鋼板の幅方向端部の領域の温度を正確に測定することが極めて重要であることを見いだし、本発明を完成するに至った。
鋼板の幅方向の温度のうち、従来の上方向からの板面温度分布を測定する方法では、鋼板の幅方向端部の領域、特に幅方向最端部(エッジ)の温度を正確に測定することが困難であった。そこで、図1に示すように鋼板の板面温度を測定する板面温度計4に加えて、鋼板の側面温度を測定する側面温度計5を設置し、側面温度計5により鋼板側面(すなわち、幅方向最端部)の温度を直接測定することにした。板面温度分布を測定する場合には、幅全体の温度が測定できるように温度計を選定するため、画素寸法が大きくなり、鋼板の幅方向端部の領域の温度の測定精度が低くならざるを得ない。これに対して鋼板の側面温度を測定する専用の側面温度計5を設置することにより、鋼板側面の温度測定に適した画素寸法やスポット式の温度計を適用することができるため、鋼板の側面温度、すなわち鋼板の幅方向最端部の温度を正確に測定することができる。なお、例えば、側面温度計5は画素寸法が板厚よりも小さな仕様とすれば、側面温度計5により測定された板厚方向温度分布の最高値(最高温度)を鋼板側面の代表温度として採用すれば良い。また、側面温度計5により測定された板厚方向温度分布における平均値(平均温度)を代表温度として採用してもよい。なお、前記平均値の算出方法は、特に限定されず公知の方法等から適宜に選択すればよいが、例えば、最高値と、最高値が得られた画素の上下方向の複数の画素から得られた温度とを相加平均する方法等が挙げられる。また、側面温度計5としてスポット式の温度計を適用する場合には、板厚中央の温度が測定できるように上下位置を調整する機構を用いることが望ましい。また、側面温度は、鋼板の長さ方向の1ヶ所だけで測定されてもよいが、長さ方向に連続して測定されることが好ましい。そして、幅方向温度分布と板厚方向温度分布とが長さ方向に連続して対応するように収集されることが好ましい。
板面温度計4により測定された板面温度分布と、側面温度計5により測定された鋼板側面の代表温度から、鋼板の温度分布を決定し、鋼板の残留応力を算出することができる。鋼板の温度分布を決定する方法は、製造設備や製造条件に合わせて適切な方法を選択すればよい。前記方法としては、例えば、鋼板側面の代表温度を利用して、板面温度分布から抽出した幅方向温度分布における幅方向最端部(エッジ)の温度を判定する方法が挙げられる。具体的には、図2に示す幅方向温度分布において、鋼板側面の代表温度と一致する温度を、幅方向最端部の温度と判定して鋼板の幅方向温度分布を決定する方法が適用できる。また、このような鋼板の温度分布決定のため、本発明の適用にあたっては温度測定データから温度分布を算出するための温度分布算出装置を有することが望ましい。さらに、前記板面温度計4と、前記側面温度計5と、前記温度分布算出装置と、前記温度分布から残留応力を算出する残留応力算出装置とを具備する残留応力推定装置を用いることが望ましい。
また、温度の測定位置(板面温度計4及び側面温度計5の設置位置)は、図1に示すように圧延機1と水冷装置2の間、水冷装置2とホットレベラー3の間、ホットレベラー3と冷却床の間のいずれの場所でもよいが、最後に塑性変形が加えられて残留応力が低減される工程がホットレベラーであることから、ホットレベラー3と冷却床の間に設置することが望ましい。さらに、図1では鋼板の一方の側面側に側面温度計5を設置し、鋼板の一方の側面温度を測定した場合を図示しているが、本発明の効果を十分に発揮させるためには、鋼板の他方の側面側にも側面温度計を設置し、鋼板の両側面の温度をそれぞれ測定することが好ましい。そして、鋼板の両側面の代表温度から、鋼板の温度分布を決定することが好ましい。鋼板の温度分布を決定する方法としては、例えば、鋼板の両側面の代表温度を利用して、幅方向温度分布における幅方向の両最端部の温度を判定する方法が挙げられる。具体的には、図2に示す幅方向温度分布において、一方の鋼板側面の代表温度と一致する温度を、一方の幅方向最端部の温度と判定し、他方の鋼板側面の代表温度と一致する温度を、他方の幅方向最端部の温度と判定して、鋼板の幅方向温度分布を決定する方法が挙げられる。
上記のようにして決定された温度分布から、例えば残留応力算出装置を用いて鋼板の残留応力を算出する。残留応力を算出する方法は、従来の計算方法がそのまま適用できる。例えば、鋼板の長さ方向の特定位置(例えば、長さ方向の中央)において決定された幅方向温度分布を用いて残留応力を算出する方法、長さ方向の複数の位置において決定された幅方向温度分布を用いて前記複数の位置における残留応力をそれぞれ算出し、前記残留応力の最大値を求める方法又は前記残留応力を平均する方法、決定された幅方向温度分布から2次元温度分布を作成し、この2次元温度分布を用いて残留応力を算出する方法などから適切な方法を採用すればよい。
以上の方法で残留応力を精度よく推定した結果、設定した基準よりも残留応力が大きくその低減が必要と判断された場合には、その鋼板を残留応力低減工程に送って残留応力を低減する。すなわち、一例として、本発明の鋼板の製造方法は、鋼スラブを圧延する圧延工程と、圧延工程後に、必要に応じて水冷する水冷工程と、鋼板の平坦度を向上する矯正工程と、を有し、圧延工程と矯正工程の間、または、矯正工程後の少なくとも一方に、本発明の残留応力推定方法により鋼板の残留応力を算出する工程を有しており、前記算出された残留応力が設定した基準より大きい場合には、前記矯正工程後に、鋼板の残留応力を低減する残留応力低減工程を追加するものである。残留応力低減工程としては一般的に知られている残留応力低減装置であるコールドレベラーによる処理や熱処理炉による加熱処理を適用することができる。また、残留応力の低減が必要か否かを判定する上記基準は、鋼板の寸法や材質、さらには客先での加工条件などを考慮して、予め基準となる基準値を設定しておく、またはこれらの情報を用いた計算式を用いて鋼板ごとに基準値を算出して設定するなど、様々な方法により決定することができる。以上の工程を実施するため、本発明の鋼板の製造設備は、鋼板の残留応力が上記基準を満たすか否かを判断する判断装置と、残留応力が上記基準を満たさないと判断される場合に鋼板の残留応力を低減する処理を行う残留応力低減装置を具備することが望ましい。
本発明の鋼板の残留応力推定方法及び鋼板の製造方法は、厚板や熱延鋼板において好適に適用され、より好適には厚板に適用される。これらの板厚の下限としては、2mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましい。また、板厚の上限としては、30mm以下が好ましく、25mm以下がより好ましく、20mm以下がさらに好ましい。
本発明の製造方法で製造される鋼板の残留応力は、設定した基準等に応じて適宜調整されるが、例えば、切断加工の点からは、50MPa以下が好ましく、30MPa以下がより好ましい。
本発明の実施例を比較例とともに以下に説明する。
<実施例1>
板厚22mm、板幅3360mm、長さ21900mmの鋼板を熱間圧延し、水冷を実施した後に、ホットレベラー矯正を行い、矯正後の板面温度分布と側面温度分布をそれぞれ測定した。測定した板面温度分布から、長さ方向の各位置における幅方向温度分布を抽出した。また、側面温度分布から、前記幅方向温度分布に対応する長さ方向の各位置における板厚方向温度分布を抽出した。図3(a)に、鋼板の長さ方向中央における幅方向温度分布の測定値を、図3(b)に、鋼板の長さ方向中央における板厚方向温度分布の測定値を示した。図3(b)の板厚方向温度分布の代表温度から、図3(a)の幅方向温度分布における幅方向最端部(エッジ)の温度Pを543℃と判定した。この際、前記板厚方向温度分布の代表温度としては、板厚方向温度分布における最高値(最高温度)を用いた。そして、図3(a)において、543℃となるPをエッジとした幅方向温度分布を決定し、前記幅方向温度分布から鋼板の残留応力を算出した。同様にして、長さ方向中央から長さ方向で前方方向及び後方方向に100mm間隔の位置で、幅方向温度分布及び板厚方向温度分布をそれぞれ抽出し、前記各位置における幅方向温度分布におけるエッジの温度を、幅方向温度分布に対応する各位置の板厚方向温度分布の代表温度(最高値)から判定し、かかる温度をエッジの温度とした幅方向温度分布を決定し、決定された幅方向温度分布から前記各位置における鋼板の残留応力を算出した。そして、上記のようにして算出された長さ方向の各位置における残留応力の最大値を鋼板に発生しうる残留応力と推定した。前記推定された残留応力は34MPaであった。
実施例1においては、残留応力低減工程を追加する基準を、客先での鋼板の加工条件を考慮して、予め20MPaに設定した。そのため、客先に鋼板を出荷する際には、コールドレベラー等による残留応力低減工程を追加する必要があると判定された。
なお、鋼板を室温まで冷却し、鋼板の残留応力を実測したところ、33MPaであり、上記推定した残留応力とほぼ等しい値が得られた。
<比較例1>
幅方向温度分布における幅方向最端部(エッジ)の温度を、板厚方向温度分布の代表温度を用いずに判定したこと以外は、実施例1と同様にして、残留応力を推定した。
すなわち、比較例1では、幅方向温度分布におけるエッジの温度を、従来の方法により判定することにより、残留応力を推定した。前記従来の方法としては、幅方向温度分布において温度勾配が1.5℃/mm以上となる温度をエッジの温度と判定する方法を用いた。そして、この温度をエッジとした幅方向温度分布から鋼板の残留応力を算出した。なお、この方法では、図3(a)の鋼板の長さ方向中央の幅方向温度分布におけるエッジの温度は541℃と判定された。同様にして、長さ方向中央から長さ方向で前方方向及び後方方向に100mm間隔の位置で、幅方向温度分布を抽出し、前記各位置における幅方向温度分布におけるエッジの温度を温度勾配が1.5℃/mm以上となる温度から判定し、かかる温度をエッジの温度とした幅方向温度分布から前記各位置における鋼板の残留応力を算出した。そして、上記のように算出された長さ方向各位置における残留応力の最大値を鋼板に発生しうる残留応力と推定した。前記推定された残留応力は40MPaであった。そのため、比較例1においても、客先に鋼板を出荷する際には、コールドレベラー等による残留応力低減工程を追加する必要があると判定された。
<実施例2>
板厚18mm、板幅2770mm、長さ22000mmの鋼板を熱間圧延した後、ホットレベラー矯正を行い、矯正後の板面温度分布と側面温度分布をそれぞれ測定した。測定した板面温度分布から、長さ方向の各位置における幅方向温度分布を抽出した。また、側面温度分布から、前記幅方向温度分布に対応する長さ方向の各位置における板厚方向温度分布を抽出した。図4(a)に、鋼板の長さ方向中央における幅方向温度分布の測定値を、図4(b)に、鋼板の長さ方向中央における板厚方向温度分布の測定値を示した。図4(b)の板厚方向温度分布の代表温度から、図4(a)の幅方向温度分布における幅方向最端部(エッジ)の温度Qを645℃と判定した。この際、前記板厚方向温度分布における代表温度としては、図4(b)の板厚方向温度分布における最高値(最高温度)を用いた。そして、図4(a)において、645℃となるQをエッジとした幅方向温度分布を決定し、前記幅方向温度分布から鋼板の残留応力を算出した。同様にして、長さ方向中央から長さ方向で前方方向及び後方方向に100mm間隔の位置で、幅方向温度分布及び板厚方向温度分布をそれぞれ抽出し、前記各位置における幅方向温度分布におけるエッジの温度を、幅方向温度分布に対応する各位置の板厚方向温度分布の代表温度(最高値)から判定し、かかる温度をエッジの温度とした幅方向温度分布を決定し、決定された幅方向温度分布から前記各位置における鋼板の残留応力を算出した。そして、上記のようにして算出された長さ方向の各位置における残留応力の最大値を鋼板に発生しうる残留応力と推定した。前記推定された残留応力は14MPaであった。
実施例2においては、残留応力低減工程を追加する基準を、客先での加工条件を考慮して、予め20MPaに設定した。そのため、客先に鋼板を出荷する際には、あえて残留応力低減工程を追加する必要がないと判定された。
なお、鋼板を室温まで冷却し、鋼板の残留応力を実測したところ、12MPaであり、上記推定した残留応力とほぼ等しい値が得られた。
<比較例2>
幅方向温度分布における幅方向最端部(エッジ)の温度を、板厚方向温度分布の代表温度を用いずに判定したこと以外は、実施例2と同様にして、残留応力を推定した。
すなわち、比較例2では、幅方向温度分布において温度勾配が1.5℃/mm以上となる温度をエッジの温度と判定する方法を用い、この温度をエッジとした幅方向温度分布から鋼板の残留応力を算出した。なお、この方法では、図4(a)の鋼板の長さ方向中央の幅方向温度分布におけるエッジの温度は616℃と判定された。同様にして、長さ方向中央から長さ方向で前方方向及び後方方向に100mm間隔の位置で、幅方向温度分布を抽出し、前記各位置における幅方向温度分布におけるエッジの温度を温度勾配が1.5℃/mm以上となる温度から判定し、かかる温度をエッジの温度とした幅方向温度分布から前記各位置における鋼板の残留応力を算出した。そして、上記のように算出された長さ方向の各位置における残留応力の最大値を鋼板に発生し得る残留応力と推定した。前記推定された残留応力は60MPaであった。そのため、比較例2においては、客先に鋼板を出荷する際に、コールドレベラー等による残留応力低減工程を追加する必要があると判定された。すなわち、従来の方法でエッジの温度を判定し残留応力を推定した場合には、本発明の方法で推定した残留応力よりも大きな値となり、設定した基準を超える結果となり、残留応力低減工程をあえて追加する必要のない鋼板に対しても、残留応力低減工程を追加する必要があると判定されることになった。
以上のことから、本発明の残留応力推定方法によれば、残留応力を精度良く推定できることがわかった。そして、前記残留応力推定方法を用いた本発明の鋼板の製造方法によれば、適切に残留応力低減工程を追加することができ、過剰な製造コストを付与することなく残留応力の小さな鋼板を製造できることがわかった。
1 圧延機、2 水冷装置、3 ホットレベラー、4 板面温度計、5 側面温度計

Claims (4)

  1. 熱間圧延または熱間矯正された鋼板表面の幅方向温度分布と鋼板側面の代表温度をそれぞれ測定し、これらの両方の温度測定結果を用いて鋼板の残留応力を算出することを特徴とする、鋼板の残留応力推定方法。
  2. 熱間圧延または熱間矯正された鋼板表面の幅方向温度分布と鋼板側面の代表温度をそれぞれ測定し、これらの両方の温度測定結果を用いて鋼板の残留応力を算出し、算出された前記残留応力が設定した基準よりも大きい場合には、残留応力低減工程を追加することを特徴とする、鋼板の製造方法。
  3. 熱間圧延または熱間矯正された鋼板表面の幅方向温度分布を測定する板面温度計と、鋼板側面の代表温度を測定する側面温度計と、これら両方の温度測定結果を用いて鋼板の温度分布を算出する温度分布算出装置と、算出された前記温度分布から残留応力を算出する残留応力算出装置とを具備する、鋼板の残留応力推定装置。
  4. 熱間圧延または熱間矯正された鋼板表面の幅方向温度分布を測定する板面温度計と、鋼板側面の代表温度を測定する側面温度計と、これら両方の温度測定結果を用いて鋼板の温度分布を算出する温度分布算出装置と、算出された前記温度分布から残留応力を算出する残留応力算出装置と、算出された前記残留応力が設定した基準を満たすか否かを判断する判断装置と、前記残留応力が前記基準を満たさないと判断される場合に鋼板の残留応力を低減する処理を行う残留応力低減装置を具備する、鋼板の製造設備。
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