JP2017164310A - バルーンカテーテル、副腎腫瘍のケミカルアブレーション治療装置および副腎静脈採血装置 - Google Patents
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Abstract
Description
原発性アルドステロン症の治療としては、アルドステロンの過剰分泌が片側の副腎から認められる場合には腫瘍のある副腎を摘出する。
一方、アルドステロンの過剰分泌が両側の副腎から認められる場合には、両側の副腎を摘出することができないため、患者は降圧剤を服用し続ける必要がある。
また、左副腎は膵臓や腸管に近いため、左副腎における腫瘍に対して背中からバイポーラRF針を穿刺する手技は解剖学的に困難である。
しかしながら、PTCAなどに使用されている従来公知のバルーンカテーテルは、支脈の径より大きなシャフト径(アウターチューブの外径)を有しており、また、支脈の長さよりも長いバルーン長を有しているために、何れか1つの支脈に挿入して当該支脈をバルーンにより閉塞させることは不可能であり、従って、異常が認めらない支脈の部位に対してもケミカルアブレーション(エタノールとの接触)が行われてしまう。
本発明の目的は、原発性アルドステロン症に対する新規な治療法である経静脈的なケミカルアブレーション治療に使用することができ、特に、異常が認められた支脈の腫瘍に対してのみ治療を行うことのできるバルーンカテーテルを提供することにある。
本発明の他の目的は、原発性アルドステロン症に対する経静脈的なアブレーション治療に使用することができ、特に、異常が認められた支脈の腫瘍に対してのみ治療を行うことのできるケミカルアブレーション治療装置を提供することにある。
本発明の更に他の目的は、治療前後における副腎静脈採血を支脈ごとに行うことができる副腎静脈採血装置を提供することにある。
ガイドワイヤルーメンを有するインナーチューブと、前記インナーチューブの外側に配置されて拡張ルーメンを形成するアウターチューブと、前記アウターチューブの先端に装着されて前記インナーチューブの外側に配置されたバルーンと、前記ガイドワイヤルーメンに連通するガイドワイヤポートおよび前記拡張ルーメンに連通する拡張ポートを有するコネクタとを有し、
前記アウターチューブは、硬度が72D以上である基端側高硬度部分と、硬度が25D以上72D未満である先端側低硬度部分とからなり、
前記アウターチューブの外径が0.70〜1.20mmであり、
前記バルーンの長さが0.5〜5mmであることを特徴とする。
なお、本発明のバルーンカテーテルは、PTCAに使用される従来公知のバルーンカテーテルとは異なり、狭窄部などを挿通させる必要はないので、アウターチューブの先端側低硬度部分が低硬度(25D以上72D未満)であっても問題はない。
前記コネクタのガイドワイヤポートに接続されたエタノールの供給手段と、
前記バルーンカテーテルの先端部を副腎に案内するためのガイディングカテーテルと
を備えてなることを特徴とする。
前記コネクタのガイドワイヤポートに接続された血液の吸引手段と、
前記バルーンカテーテルの先端部を副腎に案内するためのガイディングカテーテルと
を備えてなることを特徴とする。
また、本発明のバルーンカテーテルを使用することにより、治療前後における副腎静脈採血を支脈ごとに行うことができる。
特に、異常が認められた支脈の腫瘍に対してのみ治療することができ、異常が認められない他の支脈に係る部位に対してアブレーションすることを回避することができる。
図1(図1A,図1B)〜図4に示すこの実施形態のバルーンカテーテル100は、経静脈的アプローチにより副腎に導入されて副腎静脈採血または副腎腫瘍のケミカルアブレーション治療に使用されるオーバーザワイヤ型のバルーンカテーテルである。
このガイドワイヤルーメン21は、ガイドワイヤの挿通路となるとともに、アブレーション用の薬液であるエタノールの流路となる。
そのような樹脂の具体例としては、ポリイミド、PTFEやPFAのようなフッ素樹脂、ゴム系樹脂、ポリエチレンなどを挙げることができ、これらのうちPTFEが好ましい。
なお、本実施形態では、インナーチューブ10の硬度は全長にわたり同じである(同じ硬度の樹脂でインナーチューブ10の外層13が形成されている)が、長さ方向に沿って硬度の異なる樹脂を使用してインナーチューブ(二層構成の場合には外層)を形成してもよい。
インナーチューブ10の内径としては0.40〜0.55mmであることが好ましく、好適な一例を示せば0.45mmである。
先端チップ15は、例えば、単層の樹脂チューブから構成されている。 先端チップ15を形成する樹脂としては、例えば、インナーチューブ10の外層13の構成樹脂と同一の樹脂を挙げることができ、それらのうち、PEBAXが好ましい。
先端チップ15の外径および内径は、インナーチューブ10の外径および内径と同一である。先端チップ15の長さ(L15)は0.3〜3.0mmであることが好ましく、好適な一例を示せば1mmである。
また、図4に示すように、アウターチューブ30は、内層31と、内層31の外周に積層形成された外層33との二層構成の樹脂チューブである。
アウターチューブ30の長さ(L30)としては750〜1490mmであることが好ましく、好適な一例を示せば940mmである。
なお、基端側高硬度部分301の硬度は、ぞの全長にわたり同一であっても、長さ方向に変化していてもよい。
アウターチューブ30の先端側低硬度部分302は、先端方向に向かって傾斜的に硬度が低下している硬度傾斜部304と、硬度傾斜部304の先端側に位置し、先端側低硬度部分302の中で最も低い一定の硬度を有する最先端部306とからなる。
最先端部306の硬度(当該部分の外層を構成する樹脂の硬度)の一例を示せば25Dである。
また、基端側高硬度部分301と、先端側低硬度部分302の最先端部306との間に、先端側低硬度部分302の硬度傾斜部304が介在することにより、基端側高硬度部分301と先端側低硬度部分302との境界で硬度が急激に変化するようなことはないので、当該境界においてキンクなどが発生しない。この結果、本実施形態のバルーンカテーテル100を副腎へ導入する際の操作性を特に優れたものとすることができる。
特に、左副腎用のバルーンカテーテルを構成する場合には100〜150mmであることが好ましく、左副腎用である場合の好適な一例を示せば130mmである。
また、右副腎用のバルーンカテーテルを構成する場合には50〜100mmであることが好ましく、右副腎用である場合の好適な一例を示せば80mmである。
アウターチューブ30の内径としては0.60〜0.80mmであることが好ましく、好適な一例を示せば0.69mmである。
バルーン50の長さ(L50)としては0.5〜5mmとされ、好ましくは0.5〜3.0mm、好適な一例を示せば1.0mmとされる。
他方、0.5mm未満の長さのバルーンによっては、支脈に挿入して、これを拡張させても、バルーンの外壁と血管内壁の接触領域を十分に確保することができないために位置ずれが生じるなどのおそれがあり、副腎静脈を確実にオクリュージョンすることができない。
また、バルーンカテーテル100を副腎に導入してガイドワイヤを抜去した後において、ガイドワイヤポート71にエタノールの供給手段を接続することにより、ガイドワイヤルーメン21に、アブレーション用の薬液であるエタノールを供給することができ、供給されたエタノールは、先端チップ15の先端開口から目的部位に向けて噴射される。
また、ガイドワイヤポート71に血液の吸引手段を接続することにより、先端チップ15の先端開口から血液を採取することができ、採取された血液は、ガイドワイヤルーメン21を流通して、Y字コネクタ70のガイドワイヤポート71から血液の吸引手段に採取される。
図6に示すケミカルアブレーション治療装置1000は、上記実施形態のバルーンカテーテル100と、このバルーンカテーテル100を構成するY字コネクタ70のガイドワイヤポート71に接続されたエタノールの供給手段200と、バルーンカテーテル100の先端部を患者Pの副腎AGに案内するためのガイディングカテーテル300と、バルーンカテーテル100を構成するY字コネクタ70の拡張ポート73に接続されたバルーンの拡張手段400とを備えてなる。
図6において模式的に示したガイディングカテーテル300は、副腎に至る血管形状の相違により、右副腎用と左副腎用とでそれぞれの形状が異なる。
図8Aに示すガイディングカテーテル300Rは第1の湾曲部301Rと第2の湾曲部302Rとを有しており、図8Bに示すガイディングカテーテル300Lは第1の湾曲部301Lと第2の湾曲部302Lとを有している。
なお、ガイディングカテーテル300Rまたは300Lの先端開口から、バルーン50が押し出されているときに、アウターチューブ30の先端側低硬度部分(硬度傾斜部)の基端は、当該ガイディングカテーテルの第2の湾曲部302Rまたは302Lの基端よりも更に基端側に位置していることが望ましい。これにより、操作性に特に優れたケミカルアブレーション治療装置とすることができる。
また、ガイディングカテーテル300Rまたは300Lの先端開口から押し出されたバルーン50によって支脈がオクリュージョンされているときに、アウターチューブ30の先端側低硬度部分の硬度傾斜部の先端(最先端部の基端)が当該ガイディングカテーテルのルーメンに位置していること、すなわち、当該ガイディングカテーテルの先端開口から突出しているアウターチューブ30は先端側低硬度部分の最先端部のみであることが望ましい。これにより、副腎静脈の入口から支脈に至る複雑な血管形状への追従性を更に向上させることができる。
なお、図9Aおよび図9Bにおいて、RKは右腎、LKは左腎、RAGは右副腎、LAGは左副腎である。
ガイディングカテーテル300の内径は、例えば0.80〜2.00mmとされ、好ましくは1.00〜1.65mmとされる。
ガイディングカテーテル300の長さとしては、右副腎用のガイディングカテーテル300Rの長さが、例えば500〜1000mmとされ、好ましくは600〜800mmとされる。また、左副腎用のガイディングカテーテル300Lの長さが、例えば500〜1000mmとされ、好ましくは600〜800mmとされる。
図7に示す副腎静脈採血装置2000は、上記実施形態のバルーンカテーテル100と、このバルーンカテーテル100を構成するY字コネクタ70のガイドワイヤポート71に接続された血液の吸引手段600と、バルーンカテーテル100の先端部を患者Pの副腎AGに案内するためのガイディングカテーテル300と、バルーンカテーテル100を構成するY字コネクタ70の拡張ポート73に接続されたバルーン拡張手段400とを備えてなる。
なお、副腎静脈採血装置2000を構成するガイディングカテーテル300は、図6、図8(図8Aおよび図8B)に示したケミカルアブレーション治療装置1000を構成するガイディングカテーテル300と同一の構成である。
次に、本実施形態のバルーンカテーテル100(副腎静脈採血装置2000)によって副腎静脈採血を行い、その結果に基いて、このバルーンカテーテル100(ケミカルアブレーション治療装置1000)によって副腎腫瘍のケミカルアブレーション治療を行う方法の一例について説明する。
既述したように、右副腎用のガイディングカテーテルは、下大静脈から右副腎静脈の入口に直接挿入されるが、左副腎用のガイディングカテーテルは、下大静脈から左腎静脈を通して左副腎静脈の入口に挿入される。
10 インナーチューブ
11 内層
13 外層
15 先端チップ
21 ガイドワイヤルーメン
23 拡張ルーメン
30 アウターチューブ
31 内層
33 外層
35 編組
301 基端側高硬度部分
302 先端側低硬度部分
304 硬度傾斜部
306 最先端部
40 造影マーカー
50 バルーン
70 Y字コネクタ
71 ガイドワイヤポート
73 拡張ポート
75 ストレインリリーフ
1000 ケミカルアブレーション治療装置
200 エタノールの供給手段
300 ガイディングカテーテル
400 バルーンの拡張手段
2000 副腎静脈採血装置
600 血液の吸引手段
Claims (8)
- 経静脈的アプローチにより副腎に導入されて、副腎静脈採血または副腎腫瘍のケミカルアブレーション治療に使用されるオーバーザワイヤ型のバルーンカテーテルであって、
ガイドワイヤルーメンを有するインナーチューブと、前記インナーチューブの外側に配置されて拡張ルーメンを形成するアウターチューブと、前記アウターチューブの先端に装着されて前記インナーチューブの外側に配置されたバルーンと、前記ガイドワイヤルーメンに連通するガイドワイヤポートおよび前記拡張ルーメンに連通する拡張ポートを有するコネクタとを有し、
前記アウターチューブは、硬度が72D以上である基端側高硬度部分と、硬度が25D以上72D未満である先端側低硬度部分とからなり、
前記アウターチューブの外径が0.70〜1.20mmであり、
前記バルーンの長さが0.5〜5mmであることを特徴とするバルーンカテーテル。 - 前記先端側低硬度部分の長さが20〜150mmであることを特徴とする請求項1に記載のバルーンカテーテル。
- 前記先端側低硬度部分は、先端方向に向かって傾斜的または段階的に硬度が低下している部分を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のバルーンカテーテル。
- 前記先端側低硬度部分は、先端方向に向かって傾斜的に硬度が低下している硬度傾斜部と、前記硬度傾斜部の先端側に位置し、前記先端側低硬度部分の中で最も低い一定の硬度を有する最先端部とからなることを請求項1または請求項2に記載のバルーンカテーテル。
- 少なくとも前記アウターチューブの先端よりも先端側に位置する部分における前記インナーチューブの硬度が40D以下であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載のバルーンカテーテル。
- 前記インナーチューブは内層と外層との二層構成であり、前記内層が耐エタノール性の樹脂により構成されていることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載のバルーンカテーテル。
- 請求項1〜6の何れかに記載のバルーンカテーテルと、
前記コネクタのガイドワイヤポートに接続されたエタノールの供給手段と、
前記バルーンカテーテルの先端部を副腎に案内するためのガイディングカテーテルと
を備えてなる副腎腫瘍のケミカルアブレーション治療装置。 - 請求項1〜6の何れかに記載のバルーンカテーテルと、
前記コネクタのガイドワイヤポートに接続された血液の吸引手段と、
前記バルーンカテーテルの先端部を副腎に案内するためのガイディングカテーテルと
を備えてなる副腎静脈採血装置。
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