JP2017163931A - 三次元細胞集合体及びその製造方法 - Google Patents

三次元細胞集合体及びその製造方法 Download PDF

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茂雄 旗田
高木 大輔
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大輔 高木
愛乃 長谷川
Yoshino Hasegawa
愛乃 長谷川
千尋 久保
Chihiro Kubo
千尋 久保
周作 塩本
Shusaku Shiomoto
周作 塩本
祐馬 臼井
Yuma Usui
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Abstract

【課題】厚み方向における細胞間の距離を任意に調整可能であり、所望の大きさ・形状・構造のものを効率よく製造可能な三次元細胞集合体の提供。【解決手段】厚み方向に位置する、第一の細胞を含む第一細胞層と、前記第一細胞層に対して細胞間距離調整材料を介して位置する、第二の細胞を含む第二細胞層と、前記第二細胞層に対して細胞間距離調整材料を介して位置する、第三の細胞を含む第三細胞層と、を少なくとも有してなり、前記第一細胞層と前記第二細胞層との平均距離をX(μm)とし、前記第二細胞層と前記第三細胞層との平均距離をY(μm)としたとき、(X/Y)又は(Y/X)が、1.2以上である三次元細胞集合体である。【選択図】なし

Description

本発明は、細胞シートなどの三次元細胞集合体及びその製造方法に関する。
近年、幹細胞技術の進展に伴い、複数の細胞からなる三次元細胞集合体を人工的に形成する技術の開発が行われている。
前記三次元細胞集合体を作製するための細胞配置の方法としては、細胞シート法、スフェロイド積層法、ゲル押出法などが知られている。
前記細胞シート法は、その厚みが0.01μm未満の単層の薄いシートを作製し、重ね合せて三次元細胞集合体を作製する方法である。しかし、前記細胞シート法には、1枚ずつ作製した細胞シートを重ね合わせるため、効率よく、かつ大量に三次元胞集合体を製造することができないという問題がある。
前記スフェロイド積層法は、スフェロイド(細胞凝集体)を積層することにより三次元細胞集合体を作製する方法である。また、前記ゲル押出法は、細胞を含むゲルをノズルから押出して細胞を積層することにより三次元細胞集合体を作製する方法である。しかし、前記スフェロイド積層法及び前記ゲル押出法には、細胞の配置が数百μm以上の単位でしかできず、三次元細胞集合体における細胞の精密配置ができないという問題がある。
そこで、細胞を含むゲル形成性A液をインクジェット方式により、A液と接触するとゲル化するゲル形成性B液に位置を変えながら噴射する三次元構造等のゲルの製造法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、厚み方向における細胞間の距離を任意に調整可能であり、所望の大きさ・形状・構造のものを効率よく製造可能な三次元細胞集合体を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の三次元細胞集合体は、厚み方向に位置する、第一の細胞を含む第一細胞層と、前記第一細胞層に対して細胞間距離調整材料を介して位置する、第二の細胞を含む第二細胞層と、前記第二細胞層に対して細胞間距離調整材料を介して位置する、第三の細胞を含む第三細胞層と、を少なくとも有してなり、前記第一細胞層と前記第二細胞層との平均距離をX(μm)とし、前記第二細胞層と前記第三細胞層との平均距離をY(μm)としたとき、(X/Y)又は(Y/X)が、1.2以上である。
本発明によると、厚み方向における細胞間の距離を任意に調整可能であり、所望の大きさ・形状・構造のものを効率よく製造可能な三次元細胞集合体を提供することができる。
図1Aは、基体上に、第一の細胞を配した一例を示す断面図である。 図1Bは、第一細胞層及び細胞間距離調整材料を形成した一例を示す断面図である。 図2Aは、細胞層を2層有する三次元細胞集合体の一例を示す断面図である。 図2Bは、細胞層を2層有する三次元細胞集合体の他の一例を示す断面図である。 図2Dは、細胞層を2層有する三次元細胞集合体の他の一例を示す断面図である。 図2Dは、細胞層を3層有する三次元細胞集合体の一例を示す断面図である。 図3Aは、本発明で用いられる三次元細胞集合体の製造装置の一例を示す概略図である。 図3Bは、本発明で用いられる三次元細胞集合体の製造装置の他の一例を示す概略図である。 図4は、本発明の三次元細胞集合体の製造方法に用いることができる細胞吐出用インクジェットヘッドの一例を示す概略図である。 図5Aは、(a)基体上に形成された細胞間距離調整材料Aを示す平面図であり、(b)(a)のZ−Z’断面図である。 図5Bは、(a)細胞間距離調整材料A上に、形成された第一細胞層を示す平面図であり、(b)(a)のZ−Z’断面図である。 図5Cは、(a)第一細胞層上に、形成した細胞間距離調整材料Bを示す平面図であり、(b)(a)のZ−Z’断面図である。 図5Dは、(a)細胞間距離調整材料B上に、形成した第二細胞層を示す平面図であり、(b)(a)のZ−Z’断面図である。 図5Eは、(a)第二細胞層上に、形成した細胞間距離調整材料Cを示す平面図であり、(b)(a)のZ−Z’断面図である。 図5Fは、(a)細胞間距離調整材料C上に、形成した第三細胞層を示す平面図であり、(b)(a)のZ−Z’断面図である。 図5Gは、(a)第三細胞層上に、形成した細胞間距離調整材料Dを示す平面図であり、(b)(a)のZ−Z’断面図である。 図5Hは、(a)細胞間距離調整材料D上に、形成した第四細胞層を示す平面図であり、(b)(a)のZ−Z’断面図である。 図5Iは、(a)第四細胞層上に、形成した細胞間距離調整材料Eを示す平面図であり、(b)(a)のZ−Z’断面図である。 図5Jは、(a)細胞間距離調整材料E上に、形成した第五細胞層を示す平面図であり、(b)(a)のZ−Z’断面図である。 図5Kは、(a)第五細胞層上に、形成した細胞間距離調整材料Fを示す平面図であり、(b)(a)のZ−Z’断面図である。 図6は、実施例1における共焦点蛍光顕微鏡を用いた三次元細胞集合体の観察結果を示す画像である。 図7は、第一細胞層中の細胞と、第二細胞層中の細胞との距離の測定を示す図である。 図8は、第二細胞層中の細胞と、第三細胞層中の細胞との距離の測定を示す図である。 図9は、第三細胞層中の細胞と、第四細胞層中の細胞との距離の測定を示す図である。 図10は、第四細胞層中の細胞と、第五細胞層中の細胞との距離の測定を示す図である。
(三次元細胞集合体及び三次元細胞集合体の製造方法)
本発明の三次元細胞集合体は、第一細胞層と、第二細胞層と、第三細胞層と、を少なくとも有する。
本発明の三次元細胞集合体の製造方法は、第一細胞層形成工程と、第二細胞層形成工程と、第三細胞層形成工程と、を少なくとも含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の三次元細胞集合体は、従来の三次元構造等のゲルの製造法では、細胞間の距離を調整できず、より生体内の組織体に近い状態を実現することが困難であるという問題があるという知見に基づくものである。
本発明の三次元細胞集合体は、本発明の三次元細胞集合体の製造方法により好適に製造される。
前記生体内の細胞の集合体である組織体は、細胞が密に集合した細胞密部分と、細胞が疎に集合した細胞疎部分とが存在する。前記細胞密部分及び前記細胞疎部分を任意に調整することにより、生体内の細胞配置に近い細胞間の距離を調整可能な三次元細胞集合体が得られる。
<第一細胞層及び第一細胞層形成工程>
前記第一細胞層は、第一の細胞を含み、必要に応じて、生体親和性粒子、その他の成分を含む。
前記第一細胞層形成工程は、基体上に、第一の細胞を含む第一細胞層を形成する工程である。
前記第一細胞層は、前記第一細胞層形成工程により好適に製造される。
前記第一細胞層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜、大きさ、厚み、形状、構造等を選択することができる。
前記第一細胞層の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記第一細胞層の厚みとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.001μm以上50μm以下が好ましい。前記厚み方向の大きさが、0.001μm以上50μm以下であると、細胞の接着、増殖、及び伸展を促進することができる。なお、前記第一細胞層の厚みは、共焦点蛍光顕微鏡(ライカ社製)、凍結切片の顕微鏡観察などにより測定することができる。
前記第一細胞層の形状としては、特に制限はなく、三次元細胞集合体の用途に応じて、適宜選択することができ、例えば、ベタ状、直線状(ライン状)、曲線状、その他任意の形状などが挙げられる。
前記第一細胞層の構造としては、細胞が層全体に均一に配されていてもよく、一部にしか細胞が配されていなくてもよい。前記層状としては、単層であってもよいし、2層以上であってもよい。
前記第一細胞層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、層内に、複数のベタ、ライン、細胞の疎密(数の多少)などを有していてもよい。
後述する第二細胞層及び第三細胞層においても同様である。
−第一の細胞−
前記第一の細胞は、その種類等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、分類学的に、例えば、真核細胞、原核細胞、多細胞生物細胞、単細胞生物細胞を問わず、すべての細胞について使用することができる。
前記真核細胞としては、例えば、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、真菌などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、動物細胞が好ましく、前記細胞が細胞集合体を形成する場合は、細胞と細胞とが互いに接着し、物理化学的な処理を行わなければ単離しない程度の細胞接着性を有する接着性細胞がより好ましい。
前記接着性細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分化した細胞、未分化の細胞などが挙げられる。
前記分化した細胞としては、例えば、肝臓の実質細胞である肝細胞;星細胞;クッパー細胞;血管内皮細胞;類道内皮細胞、角膜内皮細胞等の内皮細胞;繊維芽細胞;骨芽細胞;砕骨細胞;歯根膜由来細胞;表皮角化細胞等の表皮細胞;気管上皮細胞;消化管上皮細胞;子宮頸部上皮細胞;角膜上皮細胞等の上皮細胞;乳腺細胞;ペリサイト;平滑筋細胞、心筋細胞等の筋細胞;腎細胞;膵ランゲルハンス島細胞;末梢神経細胞、視神経細胞等の神経細胞;軟骨細胞;骨細胞などが挙げられる。前記接着性細胞は、組織や器官から直接採取した初代細胞でもよく、又はそれらを何代か継代させたものでもよい。
前記未分化の細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、未分化細胞である胚性幹細胞、多分化能を有する間葉系幹細胞等の多能性幹細胞;単分化能を有する血管内皮前駆細胞等の単能性幹細胞;iPS細胞などが挙げられる。
前記原核細胞としては、例えば、真正細菌、古細菌などが挙げられる。
−生体親和性粒子−
前記生体親和性粒子としては、細胞等の生体と親和性を有すれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゼラチン粒子、コラーゲン粒子などが挙げられる。
粒子状である前記ゼラチン粒子には、前記細胞間距離調整材料への細胞の接着性を向上することができ、非粒子状であるゼラチンと比較すると、長期間、細胞に分解されることなく細胞間距離調整材料中に存在することができるため、細胞の接着性を向上させ、さらに、長期にわたって、細胞の栄養源として利用されるという利点がある。
前記生体親和性粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜、形状等を選択することができる。
前記生体親和性粒子の形状としては、例えば、球状、線状、網目状、不定形状などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記生体親和性粒子のキュムラント径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.1μm以上1.0μm以下が好ましく、0.30μm以上0.70μm以下がより好ましい。なお、前記キュムラント粒径は、濃厚系粒径アナライザー(商品名:FPAR−1000、大塚電子株式会社製)を用いて、下記のサンプル液の調製例により得られたサンプル液を用いて、以下の測定条件により測定することができる。
−サンプル液の調製例−
純水製造装置(商品名:GSH−2000、ADVANTEC社製)を用いて得られた純水に、生体親和性粒子を濃度0.5質量%で分散させる。測定用の液量は5mL、分散は20mm回転子をスターラーを用いて200rpm、約一日撹拌することでサンプル液を調製することができる。
−測定条件−
・溶媒:水(屈折率:1.3314、25℃における粘度:0.884mPa・s(cP)、NDフィルターにより最適光量調製は適宜設定)
・測定プローブ:濃厚用プローブ
・測定ルーチン:測定:25℃で180秒間→測定:25℃で600秒間(本体側を35℃に変更すると次第に液温が25℃から35℃になる。その間の粒子径変化をモニタ)→測定:35℃で180秒間
前記生体親和性粒子がゼラチン粒子である場合、ゼラチン粒子の原料であるゼラチンとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、商品名:APH−250(新田ゼラチン株式会社製)などが挙げられる。
前記生体親和性粒子としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、その構造中において架橋剤により架橋されていることが好ましい。架橋剤により架橋されることにより、生体親和性粒子のキュムラント径を小さくすることができ、生体親和性粒子を含む細胞間距離調整材料上において、細胞の増殖を促進することができる。
前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド等のアルデヒド;エチレンプロピレンジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテル;ヘキサメチレンジイソシアネート、α−トリジンイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリフェニルメタン−4,4,4−トリイソシアネート等のイソシアネート;グルコン酸カルシウム、(1S,2R,6S)−2−ヒドロキシ−9−(ヒドロキシメチル)−3−オキサビシクロ[4.3.0]ノナ−4,8−ジエン−5−カルボン酸メチル(ゲニピン)、ポリフェノールと西洋ワサビペルオキシダーゼ等の酸化剤との組合せ、スクシンイミド基を有する化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルデヒドが好ましく、グルタルアルデヒドがより好ましい。
前記架橋剤の含有量としては、生体親和性粒子の原料全量に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、2質量%以上10質量%以下がより好ましい。前記含有量が、1質量%以上20質量%以下であると、生体親和性粒子のキュムラント径を小さくすることができ、生体親和性粒子を含む細胞間距離調整材料上において、細胞の増殖を促進することができる。
前記生体親和性粒子の含有量としては、第一細胞層全量に対して、0.5質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上5質量%以下がより好ましい。前記含有量が、0.5質量%以上10質量%以下であると、三次元細胞集合体に十分細胞を接着し、細胞の増殖を促進することができる。
[生体親和性粒子の製造方法]
前記生体親和性粒子としては、原料としてゼラチンを用いた例を挙げ、以下のようにして作製することができる。
生体親和性粒子としてゼラチンを2質量%となるように水と混ぜて60℃の湯浴中にて溶解して2質量%ゼラチン水溶液を得る。次に、40℃に加温した2質量%ゼラチン水溶液40mLを200mLビーカーに入れて撹拌する。その後、アセトン60gを一気に添加して白濁液を得る(コアセルベーション)。
前記白濁液に、架橋剤として24質量%以上26質量%以下のグルタルアルデヒド水溶液を、例えば、160μL(ゼラチン全量に対するグルタルアルデヒドの含有量:5質量%)添加して、60℃の湯浴中で300rpm程度にて撹拌させながら30分間保持する。次第に白濁液がクリーム色に変化し、ゼラチン粒子を形成することができる。
次に、室温(25℃)に戻して、アセトン100gを添加し、ゼラチン粒子を凝集沈殿させて沈殿物を得る。
上澄み液の除去とアセトン洗浄とを数回繰り返し、得られた沈殿物から水分と未反応架橋剤とを除去し、必要に応じてろ過を行なう。その後、60℃ホットプレート上で沈殿物を乾燥して、50℃ホットプレート上で1時間減圧乾燥してゼラチン粒子(生体親和性粒子)の粉末を得ることができる。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、細胞間距離調整材料などが挙げられる。
前記細胞間距離調整材料としては、目的に応じて適宜選択することができるが、生体適合性を有するものが好ましい。
前記細胞間距離調整材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゲル状多糖類、生体由来ポリマー、合成ポリマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記ゲル状多糖類とは、ゲル状態となっている多糖類を意味する。
前記ゲル状多糖類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルギン酸カルシウム、ジェランガム、アガロース、グァーガム、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチン、ローカストビーンガム、タマリンドガム、ダイユータンガム、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルギン酸カルシウムが好ましい。
前記アルギン酸カルシウムは、アルギン酸のカルボキシル基にカルシウムイオンが結合した塩であり、カルシウムイオンは2価であるため、2つのカルボキシル基にまたがるかたちで結合(イオン架橋)して増粘することにより、細胞間の距離を調整することができる。
前記生体由来ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、コラーゲン、エラスチンなどが挙げられる。
前記合成ポリマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリ乳酸などが挙げられる。
ここで、図1A及び図1Bを用いて、前記第一の細胞層及び前記細胞間距離調整材料について説明する。図1Aは、基体上に、第一の細胞を配した一例を示す断面図である、図1Bは、第一の細胞を配した後、細胞間距離調整材料を配して第一細胞層及び細胞間距離調整材料を形成した一例を示す断面図である。
図1Aに示すように、基体200上の一部に第一の細胞を配した場合、第一の細胞を配していない基体上には第一の細胞は存在せず、前記第一の細胞を配した部分のみが第一の細胞201により凸状態となっている。その後、図1Bに示すように、第一の細胞が配された部分には第一の細胞201上、及び第一の細胞が配されていない部分には基体200上に細胞間距離調整材料210が配される。この場合、前記基体200上に、厚み方向に対して第一細胞層と同じ平均厚み分だけ配された細胞間距離調整材料は、第一細胞層220とする。このように、第一細胞層中において第一の細胞がライン状等であり、基体上に第一の細胞が配されていない部分が存在する場合は、その細胞が存在しない部分には前記細胞間距離調整材料が配されることになる。
なお、第一細胞層の厚みとは、基体表面から前記基体上に最も離れて配された細胞の最外表面202までの距離を意味する。なお、後述する第二細胞層及び第三細胞層においても同様である。
なお、前記細胞間の距離は、共焦点蛍光顕微鏡(ライカ社製)、凍結切片の顕微鏡観察などにより測定することができる。
−基体−
前記基体としては、細胞の活性や増殖を阻害しないものであれば、その大きさ、形状、構造、材質等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、板状、ディッシュ、マルチプレート、フラスコ、セルインサート等の立体形状;平膜状などが挙げられる。
前記構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、多孔質構造などが挙げられる。
前記基体の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、有機材料、無機材料などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記有機材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、TAC(トリアセチルセルロース)、ポリイミド(PI)、ナイロン(Ny)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ウレタンアクリレートなどのアクリル系材料、セルロースなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記無機材料としては、例えば、ガラス、セラミックなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記基体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記第一細胞層の形成前に、前記基体の表面に、細胞接着を促す有機物、その他の層を公知の方法に従い塗布することができる。前記有機物を塗布することにより、前記細胞の接着を促すことができる。
前記有機物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、細胞同士、又は細胞と細胞外マトリックスとの接着に関与する物質であり、例えば、ラミニン、コラーゲン、フィブロネクチン、ゼラチン等の生物由来のペプチド;前記細胞由来のペプチドと同様の構造を有するタンパク質;アルギニン−グリシン−アスパラギン酸(RGD)等のペプチドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記その他の層としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、細胞を含む細胞層、細胞間距離調整材料などが挙げられる。
前記細胞層としては、一層であってもよいし、二層以上であってもよい。
前記細胞間距離調整材料としては、一層であってもよいし、二層以上であってもよい。
前記細胞層及び前記細胞間距離調整材料としては、不規則に積層してもよいし、一層ずつ交互に積層してもよい。
前記細胞を含む細胞層としては、前記第一細胞層と同様のものを用いることができる。
前記細胞層中に含まれる細胞としては、前記第一の細胞と同様のものを用いることができる。
前記第一細胞層形成工程における前記基体上への前記第一細胞層の形成としては、前記第一の細胞を含む第一細胞層形成材料を前記基体上に配させることにより行われることが好ましい。
前記第一細胞層形成材料としては、前記第一の細胞を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記多糖類を含むことが好ましい。前記第一細胞層形成材料は、前記多糖類を含むことにより、前記多糖類によって第一の細胞が包含され、第一細胞層形成材料を前記基体上に配させた場合に、基体上に付着後、第一細胞層形成材料が流動して所望の位置から移動することを抑制することができる。
前記配させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、飛翔方法、塗布方法などが挙げられる。これらの中でも、飛翔方法が好ましい。
前記飛翔方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクジェット方式が好ましい。
前記塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
前記インクジェット方式としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液体流路内の前記インクを加圧する圧力発生手段として圧電素子を用いて液体流路の壁面を形成する振動板を変形させて液体流路内容積を変化させて液体滴を吐出させる、いわゆるピエゾ方式(例えば、特公平2−51734号公報参照)、発熱抵抗体を用いて液体流路内で液体を加熱して気泡を発生させる、いわゆるサーマル方式(例えば、特公昭61−59911号公報参照)、インク流路の壁面を形成する振動板と電極とを対向配置し、前記振動板と前記電極との間に発生させる静電力によって前記振動板を変形させることで、液体流路内容積を変化させて液体滴を吐出させる静電方式(例えば、特開平6−71882号公報参照)などが挙げられる。
ここで、本発明の三次元細胞集合体の製造方法に用いられる製造装置としては、インクジェットヘッドを配列したヘッドユニットを用いて、インクジェットヘッドから第一細胞層形成材料を基体上に吐出して第一細胞層を形成する。
図4に、本発明の三次元細胞集合体の製造方法に用いることができる細胞吐出用インクジェットヘッドの一例を示す概略図である。前記細胞吐出用インクジェットヘッドは、細胞を含む第一細胞層形成材料61を保持する液室62と、前記液室62に端部が固定された膜状の部材であるステンレス製のメンブレン63と、メンブレン63上に形成されたジルコン酸チタン酸鉛製の圧電素子64を有する。
前記メンブレン63の中心には、ノズル65が形成され、前記ノズル65から第一細胞層形成材料61を液滴状に吐出することができる。
遊離状態における前記第一の細胞の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、20μm以下が特に好ましい。前記体積平均粒径が、100μm以下であれば、インクジェット方式に好適に用いることができる。
なお、前記細胞の体積平均粒径としては、下記の測定方法で測定することができる。
インキュベーター(商品名:KM−CC17RU2、パナソニック株式会社製、37℃、5体積%CO環境)内において、10質量%ウシ胎児血清(以下、「FBS」とも称することがある)及び1質量%抗生物質(Antibiotic−Antimycotic Mixed Stock Solution(100x)、ナカライテスク株式会社製)を含むダルベッコ変法イーグル培地(Life Technologies社製、以下、「D−MEM」とも称することがある)で細胞を培養後、アスピレータ(商品名:VACUSIP、INTEGRA社製)を用いて、100mmディッシュ内の10質量%ウシ胎児血清及び前記培地を除去する。ディッシュにリン酸緩衝生理食塩水(Life Technologies社製、以下、「PBS(−)」とも称することがある)を5mL加え、アスピレータでPBS(−)を吸引除去し、表面を洗浄する。PBS(−)による洗浄作業を2回繰り返した後、0.05質量%トリプシン−0.05質量%EDTA溶液(life technologies社製)を2mL加え、インキュベーター内にて5分間加温し、ディッシュから細胞を剥離する。位相差顕微鏡で細胞の剥離を確認後、10質量%FBS、1質量%抗生物質を含むD−MEMを4mL加え、トリプシンを失活させる。遠沈管に移し、遠心分離(商品名:H−19FM、KOKUSAN社製、1.2×10rpm(234G)、5分間、5℃)を行い、アスピレータで上清を除去する。除去後、遠沈管に10質量%FBS、1質量%抗生物質を含むD−MEMを1mL添加し、穏やかにピペッティングを行い、細胞を分散させる。その細胞懸濁液から10μLをエッペンドルフチューブに取り出し、0.4質量%トリパンブルー染色液10μLを加えてピペッティングを行って細胞を染色する。染色した細胞懸濁液から10μL取り出してPMMA製プラスチックスライドに乗せ、自動セルカウンター(商品名:Countess Automated Cell Counter、invitrogen社製)を用いて測定することができる。なお、細胞数、細胞生存率も同様の測定方法により求めることができる。前記細胞は、遊離状態であると、略球状の形状をとるため、体積平均粒径を測定することができる。
<第二細胞層及び第二細胞層形成工程>
前記第二細胞層は、第二の細胞を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記第二細胞層形成工程は、前記第一細胞層上に、細胞間距離調整材料を介して、第二の細胞を含む第二細胞層を形成する工程である。
前記第二細胞層は、前記第二細胞層形成工程により好適に得ることができる。
前記第二の細胞としては、前記第一の細胞と同様のものを用いることができる。
−細胞間距離調整材料−
前記細胞間距離調整材料としては、前記第一細胞層と前記第二細胞層との間に位置していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、第一細胞層におけるその他の層の細胞間距離調整材料と同様のものを用いることができる。
前記細胞間距離調整材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、第一液と第二液とを接触させて形成されることが好ましい。
前記接触としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、飛翔により行われることが好ましく、インクジェット方式により行われることがより好ましい。
前記第一液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゲル状多糖類を形成する多糖類水溶液が好ましい。
前記多糖類水溶液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アルギン酸ナトリウム水溶液、アルギン酸カリウム水溶液、アルギン酸アンモニウム水溶液などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、アルギン酸ナトリウム水溶液が好ましい。
前記第二液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記多糖類水溶液と接触すると前記多糖類をゲル化させる多糖類ゲル化水溶液が好ましい。
前記多糖類ゲル化水溶液としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、塩化カルシウム水溶液、キトサン水溶液、キチン水溶液などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、塩化カルシウム水溶液が好ましい。
前記第一細胞層上への前記第二細胞層の形成としては、前記第二の細胞を含む第二細胞層形成材料を前記第一細胞層上に配させることにより行われることが好ましい。
このとき、前記第一細胞層としては、液状であってもよいし、ゲル状であってもよい。
前記配させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、飛翔方法、塗布方法などが挙げられる。これらの中でも、飛翔方法が好ましい。
前記飛翔方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクジェット方式が好ましい。
前記インクジェット方式としては、前記第一細胞層形成工程におけるインクジェット方式と同様のものを用いることができる。
前記塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
前記第二細胞層形成材料としては、前記第一細胞層形成工程における第一細胞層形成材料と同様のものを用いることができる。
前記細胞間距離調整材料の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10mPa・s以上10,000mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以上3,000mPa・s以下がより好ましく、50mPa・s以上1,000mPa・s以下がさらに好ましい。前記粘度が、10mPa・s以上10,000mPa・s以下であると、細胞の密着、増殖、及び伸展を向上できる。
なお、前記粘度は、下記条件により測定することができる。
[粘度測定条件]
・計測器 :MCR−301(株式会社アントンパール・ジャパン製)
・コーン :CP50−1
・温度 :25℃
・せん断速度 :120(1/s)
前記細胞間距離調整材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、生体親和性粒子を含むことが好ましい。
前記生体親和性粒子としては、前記第一細胞層における生体親和性粒子と同様のものを用いることができる。
<第三細胞層及び第三細胞層形成工程>
前記第三細胞層は、第三の細胞を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
前記第三細胞層形成工程は、前記第二細胞層上に、細胞間距離調整材料を介して、第三の細胞を含む第三細胞層を、前記第一細胞層と前記第二細胞層との平均距離をX(μm)とし、前記第二細胞層と前記第三細胞層との平均距離をY(μm)としたとき、(X/Y)又は(Y/X)が、1.2以上となるように形成する工程である。
前記第三細胞層は、前記第三細胞層形成工程により好適に得ることができる。
前記第三の細胞としては、前記第一の細胞と同様のものを用いることができる。
[(X/Y)又は(Y/X)]
前記第一細胞層と前記第二細胞層との平均距離をX(μm)とし、前記第二細胞層と前記第三細胞層との平均距離をY(μm)としたとき、(X/Y)又は(Y/X)としては、1.2以上であり、1.3以上が好ましく、1.5以上がより好ましい。前記(X/Y)又は(Y/X)が、1.2以上であると、生体内の細胞集合体に近い状態の三次元細胞集合体を得ることができる。
前記平均距離Xは、前記第一細胞層における細胞内の最高部と、第二細胞層における最下位に存在する細胞の最低部との任意の10点における距離の平均値により算出することができ、前記平均距離Yは、前記第二細胞層における細胞内の最高部と、第三細胞層における最下位に存在する細胞の最低部との任意の10点における距離の平均値により算出することができる。任意の10点を測定できない場合は、測定可能な点を測定し、その平均値を用いて平均距離とすることができる。例えば、細胞間の距離を1点でしか測定できない場合は、その1点を用いて、測定方向等を変更するなどして測定して平均距離を算出することができる。
なお、前記細胞間の距離は、共焦点蛍光顕微鏡(ライカ社製)、凍結切片の顕微鏡観察などにより測定することができる。
本発明の三次元細胞集合体は、前記(X/Y)又は(Y/X)を1.2以上とすることにより、生体内の細胞集合体に近い状態の三次元細胞集合体を得ることができる。
ここで、図2A〜図2Dを用いて、前記細胞の平均距離、及び前記(X/Y)又は(Y/X)の算出方法について説明する。
図2Aは、細胞層を2層有する三次元細胞集合体1の一例を示す断面図である。図2Aは、細胞層P及び細胞層Q中に含まれる細胞2が平坦に配列されている。この場合、図2Aに示すように、細胞層P中の細胞の最高部から前記細胞層Qの細胞の最低部までの距離d1〜d5等の10点を測定して平均値(Ave)を求め、細胞間の距離Xを算出する。なお、前記最高部とは、細胞の厚み方向に対して、最も厚みのある部分を意味する。
図2Bは、細胞層を2層有する三次元細胞集合体10の他の一例を示す断面図である。図2Bは、細胞層P中の細胞12が一部において重畳して配列されている。この場合、細胞層P中の重畳している細胞は、重畳している細胞の最高部から前記細胞層Qの細胞の最低部の距離(例えば、d2、d3、d4等)を測定し、重畳していない細胞においては、図2A中の細胞間の距離の測定と同様にして、細胞層P中の細胞の最高部から前記細胞層Qの最低部との距離(例えば、d1、d5等)を測定する。得られた距離d1〜d5等の10点の平均値(Ave)を求め、細胞の平均距離Dを算出する。
図2Cは、細胞層を2層有する三次元細胞集合体20の他の一例を示す断面図である。図2Cは、細胞層Qにおいて、細胞22が一部にしか存在せず、また、細胞層P上に設けられた細胞間距離調整材料に付着しない状態にて存在する。この場合は、細胞層P中の細胞の最高部から、厚み方向に対して垂直に存在する細胞層Q中の細胞の最低部を基準とする。すわなち、細胞層P中の細胞の最高部から細胞層P中の細胞の厚み方向に対して垂直に存在する細胞層Q中の細胞の最低部の距離d1〜d3等の10点を測定して平均値(Ave)を求め、細胞の平均距離Dを算出する。なお、前記細胞層P中の細胞の最高位から、厚み方向に対して垂直な位置に細胞層Q中の細胞が存在しない場合は、平均距離の算出には用いない。また、細胞層Q中の細胞としては、層中の細胞の最低位に存在する細胞の最低部から細胞の最高位に存在する細胞の最高部までの間にある細胞である。
図2Dは、細胞層を3層有する三次元細胞集合体の一例を示す断面図である。細胞層P及び細胞層Qの細胞間距離と、細胞層Q及び細胞層Rとの細胞間距離とを、図2A〜図2Cと同様にして、d1〜d9等の10点を測定して平均距離X及びYを得る。得られた平均距離X及びYから、(X/Y)又は(Y/X)を算出することができる。
なお、前記細胞間の距離は、共焦点蛍光顕微鏡(ライカ社製)、凍結切片の顕微鏡観察などにより測定することができる。
また、前記共焦点蛍光顕微鏡(ライカ社製)を用いて得られた画像を、例えば、ImageJ等により2値化し、細胞間の距離(ドット数)を測定後、スケールバーの距離(ドット数)を計測して求めた換算係数を掛けることにより前記細胞間の距離を容易に測定することができる。
前記第一細胞層中の前記第一の細胞、前記第二細胞層中の第二の細胞、前記第三細胞層中の第三の細胞、及び基材上にその他の層として配された細胞層中の細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
−細胞間距離調整材料−
前記細胞間距離調整材料としては、前記第二細胞層と前記第三細胞層との間に位置していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記第二細胞層形成工程における細胞間距離調整材料と同様のものを用いることができる。
前記細胞間距離調整材料としては、前記第一細胞層と、前記第二細胞層との間の細胞間距離調整材料と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
前記第三細胞層形成工程における前記第二細胞層上への前記第三細胞層の形成としては、前記第三の細胞を含む第三細胞層形成材料を前記第二細胞層上に配させることにより行われることが好ましい。
前記配させる方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、飛翔方法、塗布方法などが挙げられる。これらの中でも、飛翔方法が好ましい。
前記飛翔方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクジェット方式が好ましい。
前記インクジェット方式としては、前記第一細胞層形成工程におけるインクジェット方式と同様のものを用いることができる。
前記塗布方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
前記細胞間距離調整材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、第一液と第二液とを接触させて形成されることが好ましい。
前記接触としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、飛翔により行われることが好ましく、インクジェット方式により行われることがより好ましい。
前記第一液及び前記第二液としては、前記第二細胞層形成工程における第一液及び第二液と同様のものを用いることができる。
前記第三細胞層形成材料としては、前記第一細胞層形成工程における第一細胞層形成材料と同様のものを用いることができる。
前記細胞間距離調整材料の含有量としては、三次元細胞集合体全量に対して、0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、0.1質量%以上10質量%以下がより好ましく、0.2質量%以上5質量%以下が特に好ましい。前記含有量が、0.1質量%以上20質量%以下であると、細胞が接着、増殖、及び伸展することができる足場としての好適な強度とすることができる。
[三次元細胞集合体中の生体親和性粒子及び細胞間距離調整材料の測定方法]
前記三次元細胞集合体中の生体親和性粒子及び細胞間距離調整材料の測定方法としては、例えば、GC−MS測定により得られるピーク強度から測定する方法;ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)による分子量分布測定で得られるピーク強度から測定する方法;H NMR測定で得られる積分値から測定する方法などが挙げられる。
また、細胞が層状に配置され、細胞層を形成していることは、共焦点蛍光顕微鏡(ライカ社製)、凍結切片の顕微鏡観察などにより確認することができる。
ここで、図3Aは、本発明で用いられる三次元細胞集合体の製造装置の一例を示す概略図である。図3Bは、本発明で用いられる三次元細胞集合体の製造装置の他の一例を示す概略図である。図3A及び図3Bの三次元細胞集合体の製造装置は、インクジェットヘッド52、53を配列したヘッドユニットを用いて、インクジェットヘッド52から第一液を基体51上に吐出して第一液層を形成する。その後、前記第一液層上に、インクジェットヘッド53から第二液を吐出して、前記第一液層中の第一液と接触させて細胞間距離調整材料を形成するものである。その後、形成された細胞間距離調整材料上に、第一細胞層形成材料を吐出して、細胞層を形成する。このとき、前記第一細胞層形成材料は、前記第一液、又は前記第二液に含有させて吐出してもよく、前記インクジェットヘッド52、53とは異なるインクジェットヘッドから吐出してもよい。前記細胞間距離調整材料及び細胞層の形成を繰り返すことにより、本発明の三次元細胞集合体を製造することができる。
図4に、本発明の三次元細胞集合体の製造方法に用いることができる細胞吐出用インクジェットヘッドの一例を示す概略図である。前記細胞吐出用インクジェットヘッドは、細胞を含む第一細胞層形成材料61を保持する液室62と、前記液室62に端部が固定された膜状の部材であるステンレス製のメンブレン63と、メンブレン63上に形成されたジルコン酸チタン酸鉛製の圧電素子64を有する。
前記メンブレン63の中心には、ノズル65が形成され、前記ノズル65から第一細胞層形成材料61を液滴状に吐出することができる。前記細胞は、比重が重いため静置すると沈殿してしまうが、前記圧電素子64を用いて液室62中の細胞層形成材料61を振動させることにより、前記細胞の沈殿を防止できる。
また、前記液室62は、上部に大気に開放された大気開放部66を有しており、細胞層形成材料61中に混入した気泡を大気開放部66から排出することができる。
前記ノズル65の直径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、20μm以上150μm以下が好ましく、50μm以上100μm以下がより好ましい。
以下に、本発明の実施例及び比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(第一液の調製例)
アルギン酸ナトリウム(商品名:キミカアルギンSKAT−ONE、株式会社キミカ製)1質量部を蒸留水199質量部に溶解後、平均孔径0.8μmフィルター(商品名:DISMIC 25CS080AN、アドバンテック東洋株式会社製)で濾過し、0.5質量%アルギン酸ナトリウムを含む第一液を調製した。
(第二液の調製例)
塩化カルシウム二水和物(和光純薬工業株式会社製)5.88質量部を蒸留水394.12質量部に溶解後、平均孔径0.8μmフィルター(商品名:DISMIC 25CS080AN、アドバンテック東洋株式会社製)で濾過し、100mmol/L塩化カルシウムを含む第二液を調製した。
(細胞層形成材料の調製例)
−細胞の培養−
インキュベーター(商品名:KM−CC17RU2、パナソニック株式会社製、37℃、5体積%CO環境)内において、10質量%ウシ胎児血清(以下、「FBS」とも称することがある)及び1質量%抗生物質(Antibiotic−Antimycotic Mixed Stock Solution(100x)、ナカライテスク株式会社製)を含むダルベッコ変法イーグル培地(Life Technologies社製、以下、「D−MEM」とも称することがある)を用い、100mmディッシュ4枚にてNHDF(商品名:CC2507、Lonza社製)を72時間培養した。
−細胞の染色−
冷凍保存された緑色蛍光染料(商品名:Cell Tracker Green、Life Technologies社製)を室温(25℃)まで解凍し、10mmol/L(mM)の濃度でジメチルスルホキシド(以下、「DMSO」とも称することがある)へ溶解させ、無血清ダルベッコ変法イーグル培地(Life Technologies社製)と混合し、濃度10μmol/L(μM)の緑色蛍光染料含有無血清培地を調製した。次に、培養したNHDFのディッシュ4枚に前記緑色蛍光染料含有無血清培地をディッシュ1枚あたり5mL添加し、インキュベーター内で30分間染色した。
その後、アスピレータを用いて、上澄みを除去した。ディッシュにリン酸緩衝生理食塩水(Life Technologies社製、以下、「PBS(−)」とも称することがある)をディッシュ1枚あたり5mL加え、アスピレータでPBS(−)を吸引除去し、表面を洗浄した。PBS(−)による洗浄作業を2回繰り返した後、0.05質量%トリプシン−0.05質量%EDTA溶液(life technologies社製)をディッシュ1枚あたり2mL加え、インキュベーター内にて5分間加温し、ディッシュから細胞を剥離した。位相差顕微鏡(装置名:CKX41、オリンパス株式会社製)により細胞の剥離を確認後、10質量%FBS、1質量%抗生物質を含むD−MEMをディッシュ1枚あたり4mL加え、トリプシンを失活させた。ディッシュ4枚分の細胞懸濁液を50ml遠沈管1本に移し、遠心分離(商品名:H−19FM、KOKUSAN社製、1.2×10rpm、5分間、5℃)を行い、アスピレータを用いて上清を除去した。除去後、遠沈管に10質量%FBS及び1質量%抗生物質を含むD−MEMを1mL添加し、穏やかにピペッティングを行い、細胞を分散させ細胞懸濁液を得た。その細胞懸濁液から10μLをエッペンドルフチューブに取り出し、培地を70μL添加後、10μLを別のエッペンドルフチューブに取り出し、0.4質量%トリパンブルー染色液10μLを加えてピペッティングを行った。染色した細胞懸濁液から10μL取り出してPMMA製プラスチックスライドに乗せ、商品名:Countess Automated Cell Counter(インビトロジェン社製)を用いて細胞数を計測し、8倍して元の液の細胞数を求めた。
−細胞層形成材料の調製−
得られた細胞懸濁液をエッペンドルフチューブに移し、遠心分離(装置名:miniSpin(エッペンドルフ社製)、2.5×10rpm、1分間)を行い、次に、ピペットを用いて上清を除去した。除去後、第一液を添加し、細胞濃度が5×10個/mLの細胞層形成材料を得た。
(試験例1)
−アルギン酸ナトリウム及び塩化カルシウム混合溶液における粘度評価−
前記第一液9mL及び第二液1mLを混合して混合溶液を得た。得られた混合溶液について、下記の条件により粘度を測定した。結果を下記表1に示す。
[粘度測定条件]
・計測器 :MCR−301(株式会社アントンパール・ジャパン製)
・コーン :CP50−1
・温度 :25℃
・せん断速度 :120(1/s)
前記表1の結果から、第一液であるアルギン酸ナトリウム水溶液と、第二液である塩化カルシウム水溶液との混合溶液は、増粘してゲル状となることが分かった。
(実施例1)
−基体−
産業用インクジェットヘッド(装置名:GEN4、リコーインダストリー株式会社製)を用いて、MASコートスライドグラス S9215(松浪硝子工業株式会社製)110上に第一液を8mm×8mm、付着量2.0mg/cmにて吐出し、平均厚み30μmの第一液層を形成した。その後、第二液を前記第一液層上に付着量0.3mg/cm(第二液が平均厚み4μmになる量)にて吐出し、平均厚みが34μmであり、図5Aの(a)及び(b)に示す細胞間距離調整材料A120を形成した。図5Aは、(a)基体上に形成された細胞間距離調整材料Aを示す平面図であり、(b)(a)のZ−Z’断面図である。
−第一細胞層及び第一細胞層形成工程−
次に、前記細胞間距離調整材料A上に、図4の細胞吐出用インクジェットヘッドを用いて、前記細胞層形成材料を、細胞間距離調整材料Aの中心部に、8mm×0.2mmの直線状に付着量0.7mg/cmにて吐出し、かつ平均厚みが6μmであり、図5Bの(a)及び(b)に示す第一細胞層131を形成した。このとき、前記第一細胞層中の細胞層形成材料が付与されていない領域は、何も付与されておらず、前記細胞層形成材料を付与した部分のみが凸状態となっている。図5Bは、(a)細胞間距離調整材料A上に、形成された第一細胞層を示す平面図であり、(b)(a)のZ−Z’断面図である。
−細胞間距離調整材料Bの配置−
前記細胞間距離調整材料Aの配置と同様にして、前記第一細胞層上に、平均厚みが34μmであり、図5Cの(a)及び(b)に示す細胞間距離調整材料B121を形成した。図5Cは、(a)第一細胞層上に、形成した細胞間距離調整材料Bを示す平面図であり、(b)(a)のZ−Z’断面図である。このとき、前記第一細胞層中の細胞層形成材料が付与されてない領域には、前記細胞間距離調整材料Bが配される。この場合、前記細胞間距離調整材料A上に、厚み方向に対して第一細胞層と同じ平均厚み分だけ配された細胞間距離調整材料Bは、第一細胞層とする。
−第二細胞層及び第二細胞層形成工程−
第一細胞層の形成において、後述の顕微鏡観察で積層方向の重なり部位の観察を容易にするために、基体を90゜回転させた以外は、第一細胞層の形成と同様にして、前記細胞間距離調整材料B上に、平均厚みが6μmであり、図5Dの(a)及び(b)に示す第二細胞層132を形成した。図5Dは、(a)細胞間距離調整材料B上に、形成した第二細胞層を示す平面図であり、(b)(a)のZ−Z’断面図である。このとき、前記第二細胞層中の細胞層形成材料が付与されていない領域は、何も付与されておらず、前記細胞層形成材料を付与した部分のみが凸状態となっている。
−細胞間距離調整材料Cの配置−
前記細胞間距離調整材料Aの配置において、第一液の付着量2.0mg/cmを付着量4.0mg/cmに変更し、第二液の付着量0.3mg/cmを付着量0.5mg/cmに変更した以外は、前記細胞間距離調整材料Aの配置と同様にして、前記第二細胞層上に、平均厚みが68μmであり、図5Eの(a)及び(b)に示す細胞間距離調整材料C122を形成した。図5Eは、(a)第二細胞層上に、形成した細胞間距離調整材料Cを示す平面図であり、(b)(a)のZ−Z’断面図である。このとき、前記第二細胞層中の細胞層形成材料が付与されてない領域には、前記細胞間距離調整材料Cが配される。この場合、前記細胞間距離調整材料B上に、厚み方向に対して第二細胞層と同じ平均厚み分だけ配された細胞間距離調整材料Cは、第二細胞層とする。
−第三細胞層及び第三細胞層形成工程−
第二細胞層の形成において、後述の顕微鏡観察で積層方向の重なり部位の観察を容易にするために、基体を90゜回転させた以外は、第二細胞層の形成と同様にして、前記細胞間距離調整材料C上に、平均厚みが6μmであり、図5Fの(a)及び(b)に示す第三細胞層133を形成した。図5Fは、(a)細胞間距離調整材料C上に、形成した第三細胞層を示す平面図であり、(b)(a)のZ−Z’断面図である。このとき、前記第三細胞層中の細胞層形成材料が付与されていない領域は、何も付与されておらず、前記細胞層形成材料を付与した部分のみが凸状態となっている。
−細胞間距離調整材料Dの配置−
前記細胞間距離調整材料Aの配置において、第一液の付着量2.0mg/cmを付着量6.0mg/cmに変更し、第二液の付着量0.3mg/cmを付着量0.8mg/cmに変更した以外は、前記細胞間距離調整材料Aの配置と同様にして、前記第三細胞層上に、平均厚みが102μmであり、図5Gの(a)及び(b)に示す細胞間距離調整材料D123を形成した。図5Gは、(a)第三細胞層上に、形成した細胞間距離調整材料Dを示す平面図であり、(b)(a)のZ−Z’断面図である。このとき、前記第三細胞層中の細胞層形成材料が付与されてない領域には、前記細胞間距離調整材料Dが配される。この場合、前記細胞間距離調整材料C上に、厚み方向に対して第三細胞層と同じ平均厚み分だけ配された細胞間距離調整材料Dは、第三細胞層とする。
−第四細胞層及び第四細胞層形成工程−
第三細胞層の形成において、後述の顕微鏡観察で積層方向の重なり部位の観察を容易にするために、基体を90゜回転させた以外は、第三細胞層の形成と同様にして、前記細胞間距離調整材料D上に、平均厚みが6μmであり、図5Hの(a)及び(b)に示す第四細胞層134を形成した。図5Hは、(a)細胞間距離調整材料D上に、形成した第四細胞層を示す平面図であり、(b)(a)のZ−Z’断面図である。このとき、前記第四細胞層中の細胞層形成材料が付与されていない領域は、何も付与されておらず、前記細胞層形成材料を付与した部分のみが凸状態となっている。
−細胞間距離調整材料Eの配置−
前記細胞間距離調整材料Aの配置と同様にして、前記第四細胞層上に、平均厚みが34μmであり、図5Iの(a)及び(b)に示す細胞間距離調整材料E124を形成した。図5Iは、(a)第四細胞層上に、形成した細胞間距離調整材料Eを示す平面図であり、(b)(a)のZ−Z’断面図である。このとき、前記第四細胞層中の細胞層形成材料が付与されてない領域には、前記細胞間距離調整材料Eが配される。この場合、前記細胞間距離調整材料D上に、厚み方向に対して第四細胞層と同じ平均厚み分だけ配された細胞間距離調整材料Eは、第四細胞層とする。
−第五細胞層及び第五細胞層形成工程−
第四細胞層の形成において、後述の顕微鏡観察で積層方向の重なり部位の観察を容易にするために、基体を90゜回転させた以外は、第四細胞層の形成と同様にして、前記細胞間距離調整材料E上に、平均厚みが6μmであり、図5Jの(a)及び(b)に示す第五細胞層を135形成した。図5Jは、(a)細胞間距離調整材料E上に、形成した第五細胞層を示す平面図であり、(b)(a)のZ−Z’断面図である。このとき、前記第五細胞層中の細胞層形成材料が付与されていない領域は、何も付与されておらず、前記細胞層形成材料を付与した部分のみが凸状態となっている。
−細胞間距離調整材料Fの形成−
前記細胞間距離調整材料Aの配置と同様にして、前記第五細胞層上に、平均厚みが34μmであり、図5Kの(a)及び(b)に示す細胞間距離調整材料F125を形成した。図5Kは、(a)第五細胞層上に、形成した細胞間距離調整材料Fを示す平面図であり、(b)(a)のZ−Z’断面図である。このとき、前記第五細胞層中の細胞層形成材料が付与されてない領域には、前記細胞間距離調整材料Fが配される。この場合、前記細胞間距離調整材料E上に、厚み方向に対して第五細胞層と同じ平均厚み分だけ配された細胞間距離調整材料Fは、第五細胞層とする。
以上の操作により、三次元細胞集合体を作製した。
共焦点蛍光顕微鏡(ライカ社製)を用いて、三次元細胞集合体中の細胞の三次元的な配置を観察した。結果を図6に示す。図6中の(1)〜(5)は、各細胞層を示す。
図6の画像を、ImageJを用いて、2値化し、細胞が積層している部分を抽出した。結果を図7〜図10に示す。図7は、第一細胞層中の細胞と、第二細胞層中の細胞との距離の測定を示す図である。図8は、第二細胞層中の細胞と、第三細胞層中の細胞との距離の測定を示す図である。図9は、第三細胞層中の細胞と、第四細胞層中の細胞との距離の測定を示す図である。図10は、第四細胞層中の細胞と、第五細胞層中の細胞との距離の測定を示す図である。図7〜図10を用いて、画像上部から厚み方向の各層における細胞の距離(ドット数)を測定した。次に、測定した距離の平均値を求め、得られた平均値にスケールバーの距離(ドット数)を計測して求めた換算係数(200μm/154dot)を掛けることにより平均距離(換算値)を算出した。結果を下記表2に示す。得られた平均距離を用いて、(X/Y)又は(Y/X)を算出した。結果を下記表3に示す。
前記表3の結果から、作製した三次元細胞集合体は、(X/Y)又は(Y/X)が、1.2以上に任意に変更することができることが分かった。これにより、生体内の組織に近い状態の三次元細胞集合体を得ることができる。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 厚み方向に位置する、
第一の細胞を含む第一細胞層と、
前記第一細胞層に対して細胞間距離調整材料を介して位置する、第二の細胞を含む第二細胞層と、
前記第二細胞層に対して細胞間距離調整材料を介して位置する、第三の細胞を含む第三細胞層と、
を少なくとも有してなり、
前記第一細胞層と前記第二細胞層との平均距離をX(μm)とし、前記第二細胞層と前記第三細胞層との平均距離をY(μm)としたとき、(X/Y)又は(Y/X)が、1.2以上である
ことを特徴とする三次元細胞集合体である。
<2> 前記第一の細胞、前記第二の細胞、及び前記第三の細胞が、同一である前記<1>に記載の三次元細胞集合体である。
<3> 前記第一細胞層と前記第二細胞層との間に位置する細胞間距離調整材料と、前記第二細胞層と前記第三細胞層との間に位置する細胞間距離調整材料とが、同一である前記<1>から<2>のいずれかに記載の三次元細胞集合体である。
<4> 前記細胞間距離調整材料が、ゲル状多糖類である前記<1>から<3>のいずれかに記載の三次元細胞集合体である。
<5> 前記ゲル状多糖類が、アルギン酸カルシウムである前記<4>に記載の三次元細胞集合体である。
<6> 生体親和性粒子をさらに含む前記<1>から<5>のいずれかに記載の三次元細胞集合体である。
<7> 前記生体親和性粒子が、ゼラチン粒子である前記<6>に記載の三次元細胞集合体である。
<8> 前記第一の細胞、前記第二の細胞、及び前記第三の細胞が、接着性細胞である前記<1>から<7>のいずれかに記載の三次元細胞集合体である。
<9> 前記生体親和性粒子のキュムラント径が、0.1μm以上1.0μm以下である前記<6>から<8>のいずれかに記載の三次元細胞集合体である。
<10> 前記生体親和性粒子の含有量が、細胞間距離調整材料全量に対して、0.5質量%以上10質量%以下である前記<6>から<9>のいずれかに記載の三次元細胞集合体である。
<11> 基体上に、第一の細胞を含む第一細胞層を形成する第一細胞層形成工程と、
前記第一細胞層上に、細胞間距離調整材料を介して、第二の細胞を含む第二細胞層を形成する第二細胞層形成工程と、
前記第二細胞層上に、細胞間距離調整材料を介して、第三の細胞を含む第三細胞層を、前記第一細胞層と前記第二細胞層との平均距離をX(μm)とし、前記第二細胞層と前記第三細胞層との平均距離をY(μm)としたとき、(X/Y)又は(Y/X)が、1.2以上となるように形成する第三細胞層形成工程と、
を少なくとも含むことを特徴とする三次元細胞集合体の製造方法である。
<12> 前記第一細胞層形成工程における前記基体上への前記第一細胞層の形成が、前記第一の細胞を含む第一細胞層形成材料を前記基体上に配させることにより行われ、
前記第二細胞層形成工程における前記第一細胞層上への前記第二細胞層の形成が、前記第二の細胞を含む第二細胞層形成材料を前記第一細胞層上に配させることにより行われ、
前記第三細胞層形成工程における前記第二細胞層上への前記第三細胞層の形成が、前記第三の細胞を含む第三細胞層形成材料を前記第二細胞層上に配させることにより行われる前記<11>に記載の三次元細胞集合体の製造方法である。
<13> 前記第一細胞層形成材料を前記基体上に配させること、前記第二細胞層形成材料を前記第一細胞層上に配させること、及び、前記第三細胞層形成材料を前記第二細胞層上に配させることが、インクジェット方式により行われる前記<12>に記載の三次元細胞集合体の製造方法である。
<14> 前記細胞間距離調整材料が、第一液と第二液とを接触させて形成される前記<11>から<13>のいずれかに記載の三次元細胞集合体の製造方法である。
<15> 前記第一液及び前記第二液の接触が、インクジェット方式により行われる前記<14>に記載の三次元細胞集合体の製造方法である。
<16> 前記細胞間距離調整材料が、ゲル状多糖類であり、
前記第一液が、前記ゲル状多糖類を形成する多糖類水溶液であり、
前記第二液が、前記多糖類水溶液と接触すると前記多糖類をゲル化させる多糖類ゲル化水溶液である前記<15>に記載の三次元細胞集合体の製造方法である。
<17> 前記細胞間距離調整材料が、アルギン酸カルシウムであり、
前記第一液が、アルギン酸ナトリウム水溶液であり、
前記第二液が、塩化カルシウム水溶液である前記<16>に記載の三次元細胞集合体の製造方法である。
<18> 前記第一液が、生体親和性粒子をさらに含む前記<14>から<17>のいずれかに記載の三次元細胞集合体の製造方法である。
<19> 前記生体親和性粒子が、ゼラチン粒子である前記<18>に記載の三次元細胞集合体の製造方法である。
<20> 前記生体親和性粒子のキュムラント径が、0.1μm以上1.0μm以下である前記<18>から<19>のいずれかに記載の三次元細胞集合体の製造方法である。
前記<1>から<10>のいずれかに記載の三次元細胞集合体、及び前記<11>から<20>のいずれかに記載の三次元細胞集合体の製造方法は、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
特開2008−126459号公報
1、10、20、30 三次元細胞集合体
2、12、22、32、201 細胞
11、51、110、200 基体
120、121、122、123、124、125、210、230 細胞間距離調整材料
131、132、133、134、135、220、P、Q 細胞層
X、Y 平均距離

Claims (14)

  1. 厚み方向に位置する、
    第一の細胞を含む第一細胞層と、
    前記第一細胞層に対して細胞間距離調整材料を介して位置する、第二の細胞を含む第二細胞層と、
    前記第二細胞層に対して細胞間距離調整材料を介して位置する、第三の細胞を含む第三細胞層と、
    を少なくとも有してなり、
    前記第一細胞層と前記第二細胞層との平均距離をX(μm)とし、前記第二細胞層と前記第三細胞層との平均距離をY(μm)としたとき、(X/Y)又は(Y/X)が、1.2以上である
    ことを特徴とする三次元細胞集合体。
  2. 前記第一の細胞、前記第二の細胞、及び前記第三の細胞が、同一である請求項1に記載の三次元細胞集合体。
  3. 前記第一細胞層と前記第二細胞層との間に位置する細胞間距離調整材料と、前記第二細胞層と前記第三細胞層との間に位置する細胞間距離調整材料とが、同一である請求項1から2のいずれかに記載の三次元細胞集合体。
  4. 前記細胞間距離調整材料が、ゲル状多糖類である請求項1から3のいずれかに記載の三次元細胞集合体。
  5. 前記ゲル状多糖類が、アルギン酸カルシウムである請求項4に記載の三次元細胞集合体。
  6. 生体親和性粒子をさらに含む請求項1から5のいずれかに記載の三次元細胞集合体。
  7. 前記生体親和性粒子が、ゼラチン粒子である請求項6に記載の三次元細胞集合体。
  8. 基体上に、第一の細胞を含む第一細胞層を形成する第一細胞層形成工程と、
    前記第一細胞層上に、細胞間距離調整材料を介して、第二の細胞を含む第二細胞層を形成する第二細胞層形成工程と、
    前記第二細胞層上に、細胞間距離調整材料を介して、第三の細胞を含む第三細胞層を、前記第一細胞層と前記第二細胞層との平均距離をX(μm)とし、前記第二細胞層と前記第三細胞層との平均距離をY(μm)としたとき、(X/Y)又は(Y/X)が、1.2以上となるように形成する第三細胞層形成工程と、
    を少なくとも含むことを特徴とする三次元細胞集合体の製造方法。
  9. 前記第一細胞層形成工程における前記基体上への前記第一細胞層の形成が、前記第一の細胞を含む第一細胞層形成材料を前記基体上に配させることにより行われ、
    前記第二細胞層形成工程における前記第一細胞層上への前記第二細胞層の形成が、前記第二の細胞を含む第二細胞層形成材料を前記第一細胞層上に配させることにより行われ、
    前記第三細胞層形成工程における前記第二細胞層上への前記第三細胞層の形成が、前記第三の細胞を含む第三細胞層形成材料を前記第二細胞層上に配させることにより行われる請求項8に記載の三次元細胞集合体の製造方法。
  10. 前記第一細胞層形成材料を前記基体上に配させること、前記第二細胞層形成材料を前記第一細胞層上に配させること、及び、前記第三細胞層形成材料を前記第二細胞層上に配させることが、インクジェット方式により行われる請求項9に記載の三次元細胞集合体の製造方法。
  11. 前記細胞間距離調整材料が、第一液と第二液とを接触させて形成される請求項8から10のいずれかに記載の三次元細胞集合体の製造方法。
  12. 前記第一液及び前記第二液の接触が、インクジェット方式により行われる請求項11に記載の三次元細胞集合体の製造方法。
  13. 前記細胞間距離調整材料が、ゲル状多糖類であり、
    前記第一液が、前記ゲル状多糖類を形成する多糖類水溶液であり、
    前記第二液が、前記多糖類水溶液と接触すると前記多糖類をゲル化させる多糖類ゲル化水溶液である請求項11から12のいずれかに記載の三次元細胞集合体の製造方法。
  14. 前記細胞間距離調整材料が、アルギン酸カルシウムであり、
    前記第一液が、アルギン酸ナトリウム水溶液であり、
    前記第二液が、塩化カルシウム水溶液である請求項11から13のいずれかに記載の三次元細胞集合体の製造方法。
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