JP2020156460A - 液滴吐出装置用の液セット - Google Patents

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桃子 塩野入
秀和 ▲柳▼沼
秀和 ▲柳▼沼
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千尋 久保
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崇匡 酒井
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Abstract

【課題】細胞を高精度に三次元配置可能であり、形状維持が可能であり、ゲル内で細胞が生存可能な三次元構造体を造形することができる液滴吐出装置用の液セットを提供することを目的とする。【解決手段】3以上の分岐を有し、該分岐が側鎖及び/又は末端に1以上の求電子性官能基を有するポリエチレングリコールを骨格として有する、多分岐型ポリマーAを含む液Aと、3以上の分岐を有し、該分岐が側鎖及び/又は末端に1以上の求核性官能基を有するポリエチレングリコールを骨格として有する、多分岐型ポリマーBを含む液Bと、を備える液滴吐出装置用の液セットであって、前記液A及び前記液BのpHが5以上10以下であり、前記液A及び前記液Bにおける前記多分岐型ポリマーの濃度が0.3質量%以上20質量%以下であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、細胞を高精度に三次元配置可能な液滴吐出装置用の液セットに関する。
近年、幹細胞技術の進展に伴い、複数の細胞からなる三次元構造体を人工的に形成する技術の開発が行われている。前記三次元構造体を作製するための細胞配置の方法として、細胞シート法、スフェロイド積層法、ゲル押出法、インクジェット法等が知られている。
前記細胞シート法は、その厚みが0.01μm未満の単層の薄いシートを作製し、それを重ね合せて三次元構造体を作製する方法である。しかし、前記細胞シート法では、1枚ずつ作製した細胞シートを重ね合わせるため、効率良く、かつ大量に三次元構造体を製造することができない。
前記スフェロイド積層法は、スフェロイド(細胞凝集体)を積層することによって三次元構造体を作製する方法である。また、前記ゲル押出法は、細胞を含むゲルを連続的にノズルから押出して細胞を積層することにより三次元構造体を作製する方法である。しかし、前記スフェロイド積層法及び前記ゲル押出法は、数百μm以上の単位でしか細胞を配置することができず、細胞の高精度な三次元配置ができない。また、前記ゲル押出法は、細胞にかなりの圧力がかかる懸念がある。
一方、インクジェット方式の液滴吐出装置では、細胞が高精度に三次元配置された三次元構造体を造形することが可能である。しかし、使用するインクは、液滴吐出ヘッドとしてのインクジェットヘッドにより吐出可能な程度に低粘度である必要がある。また、細胞を高精度に三次元配置するためには造形時間が短い必要があり、細胞がゲル内で生存可能である必要がある。
例えば、特許文献1、2及び3では、アルギン酸ナトリウム水溶液をインクジェットで吐出することで、細胞が高精度に三次元配置された三次元構造体のゲルを製造する方法が開示されている。アルギン酸ナトリウム水溶液は、原材料を選定することにより、粘度を低く且つゲル化時間も短く設定できることから、高精度な三次元配置が可能である。しかし、アルギン酸と塩化物とのイオン架橋でゲル化することから、細胞用緩衝液又は培地に浸漬することでゲル中の塩化物が徐々に脱離されてゲルが分解し、形状維持が困難である。また、アルギン酸ゲルに内包された細胞はゲル内で長期間生存できないことが知られている。EDTA等でゲルを分解させることも考えられるが、瞬間的にゲルが分解されて細胞の配置が崩壊する上に、細胞への影響も懸念される。
例えば、特許文献4、5及び6では、ゼラチンやフィブリノーゲンを含有する液をインクジェットで吐出することで、三次元構造体のゲルを製造する方法が開示されている。ゼラチンやフィブリノーゲンは低濃度に調整すればインクジェットで吐出可能であり、そのゲルに内包された細胞はゲル内で長期間生存可能である。しかし、低濃度に調整したゼラチン、フィブリノーゲンはゲル化できなくなり、又はゲル化時間が長くなり三次元に細胞を配置しても自重で細胞が沈降してしまうため、細胞を任意に配置することは困難である。
特許第4974144号公報 特開2017−163931号公報 特開2017−169560号公報 特開2017−209103号公報 特開2008−17798号公報 特許第5540304号公報
上記従来の状況に鑑み、本発明は、細胞の生存が可能であり、三次元構造体を造形でき、得られる三次元構造体の形状維持が可能な液滴吐出装置用の液セットを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明に係る液滴吐出装置用の液セットは、3以上の分岐を有し、該分岐が側鎖及び/又は末端に1以上の求電子性官能基を有するポリエチレングリコールを骨格として有する、多分岐型ポリマーAを含む液Aと、3以上の分岐を有し、該分岐が側鎖及び/又は末端に1以上の求核性官能基を有するポリエチレングリコールを骨格として有する、多分岐型ポリマーBを含む液Bと、を備える液滴吐出装置用の液セットであって、前記液A及び前記液BのpHが5以上10以下であり、前記液A及び前記液Bにおける前記多分岐型ポリマーの濃度が0.3質量%以上20質量%以下である、前記液滴吐出装置用の液セットである。
本発明により、細胞の生存が可能であり、三次元構造体を造形でき、得られる三次元構造体の形状維持が可能な液滴吐出装置用の液セットを提供することができる。
電磁バルブ方式の吐出ヘッドの一例を示す模式図である。 ピエゾ方式の吐出ヘッドの一例を示す模式図である。 図2におけるピエゾ方式の吐出ヘッドの変形例を示す模式図である。 圧電素子に印加する電圧の一例を示す模式図である。 圧電素子に印加する電圧の他の一例を示す模式図である。 インクの液滴観察機構の模式図である。 実施例13の死細胞を4D Viewerで表示した画像である。 実施例13の全細胞を4D Viewerで表示した画像である。 実施例13で造形したゲル内の細胞を上側から観察した画像である。 実施例15で造形したゲル内の細胞を上側から観察した画像である。
以下、実施の形態に基づき本発明を詳細に説明する。
なお、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な実施の形態であるから技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は以下の説明において本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
本発明に係る液滴吐出装置用の液セットは、3以上の分岐を有し、該分岐が側鎖及び/又は末端に1以上の求電子性官能基を有するポリエチレングリコールを骨格として有する、多分岐型ポリマーAを含む液Aと、3以上の分岐を有し、該分岐が側鎖及び/又は末端に1以上の求核性官能基を有するポリエチレングリコールを骨格として有する、多分岐型ポリマーBを含む液Bとを備える。以下、各成分について説明する。
<ポリエチレングリコールを骨格として有する多分岐型ポリマー>
本発明の液滴吐出装置用の液セットに用いられるポリエチレングリコールを骨格として有する多分岐型ポリマーは、3つ以上のポリエチレングリコール分岐を有するポリマーであって、互いに架橋して網目構造ネットワークを形成する。特に四分岐型ポリマーは均一な網目構造ネットワークを形成し、四分岐型のポリエチレングリコール骨格を有するゲルは、一般にTetra−PEGゲルとして知られている。Tetra−PEGは、それぞれ側鎖及び/又は末端に求電子性の官能基又は求核性の官能基を有する二種の四分岐型ポリマー間のクロスエンドカップリング反応によって網目構造ネットワークが構築される。
Tetra−PEGゲルは、これまでの研究から、理想的な均一網目構造を有することが報告されている(Matsunaga T, et al., Macromolecules, Vol.42, No.4, pp.1344-1351 (2009))。また、Tetra−PEGゲルは、各ポリマー液の単純な二液混合により簡便にその場で作製可能であり、各ポリマー液(本発明における液A及び液Bに相当する)のpHやポリマー濃度を調節することでゲル化時間を制御することも可能である。上記液A及び液Bを液滴吐出ヘッドとしてのインクジェットヘッドで吐出し、ゲル化させ、Tetra−PEGゲルを造形することで、細胞を三次元に配置可能な三次元構造体を製造することができる。そして、上記ゲルはポリエチレングリコールを主成分としているため、生体適合性にも優れている。
ここで、液Aのポリマーにおける求電子性官能基と液Bのポリマーにおける求核性官能基の合計は、6以上であることが好ましい。これらの官能基は、ポリマーの側鎖もしくは末端又はその両方に存在することができるが、末端に存在することが好ましい。また、液Aのポリマーにおける求電子性官能基の含有量が液Bのポリマーにおける求核性官能基の含有量より多い組成であっても良いし、あるいは、液Bのポリマーにおける求核性官能基の含有量が液Aのポリマーにおける求電子性官能基の含有量より多い組成であっても良い。また、好ましい態様として、組成の異なる2種類以上の液A及び液Bの組み合わせから、組成の異なる2種類以上のゲル前駆体をいったん形成させ、かかるゲル前駆体をさらに架橋させて三次元構造体のゲルを得ることができる。
液Aにおける多分岐型ポリマーが有する求電子性官能基は、活性エステル基であるマレイミジル基が望ましい。マレイミジル基に加え、必要に応じて、N−ヒドロキシ−スクシンイミジル(NHS)基、スルホスクシンイミジル基、フタルイミジル基、イミダゾイル基、アクリロイル基又はニトロフェニル基等を有していても良い。当業者であればその他の公知の活性エステル基を適宜選択して採用することができる。液Aに含まれる多分岐型ポリマーの中で、求電子性官能基の組成は、同一であっても、異なっても良いが、同一である方が好ましい。官能基の組成が同一であることによって、架橋結合を形成する求核性官能基との反応性が均一になり、均一な立体構造を有するゲルを得やすくなる。
液Bにおける多分岐型ポリマーが有する求核性官能基は、チオール基が望ましい。チオール基に加え、必要に応じて、アミノ基、又は−COPhNO(Phは、o−、m−、又はp−フェニレン基を示す)等を有していても良い。当業者であれば、種々の求核性官能基の中から適宜選択して採用することができる。液Bに含まれる多分岐型ポリマーの中で、求核性官能基の組成は、同一であっても、異なっても良いが、同一である方が好ましい。官能基の組成が同一であることによって、架橋結合を形成する求電子性官能基との反応性が均一になり、均一な立体構造を有するゲルを得やすくなる。
側鎖及び/末端に1以上のマレイミジル基を有し、ポリエチレングリコールを骨格とする多分岐型ポリマーとして好ましい非限定的な具体例には、例えば、4つのポリエチレングリコール骨格の分岐を有し、末端にマレイミジル基を有する下記式(I)で表される化合物が挙げられる。
上記式(I)中、n21〜n24は、それぞれ同一でも又は異なっても良い。n21〜n24の値は近いほど、ゲルは均一な立体構造をとることができ、高強度となるので好ましく、同一であることが特に好ましい。n21〜n24の値が高過ぎるとゲルの強度が弱くなり、n21〜n24の値が低過ぎると化合物の立体障害によりゲルが形成されにくい。そのため、n21〜n24は、5以上300以下の値であることが適当であり、20以上250以下であることが好ましく、30以上180以下がより好ましく、45以上115以下がさらに好ましく、45以上55以下であれば特に好ましい。液Aにおける多分岐型ポリマーの重量平均分子量は、5×10以上5×10以下であることが好ましく、7.5×10以上3×10以下であることがより好ましく、1×10以上2×10以下であることがさらに好ましい。
上記式(I)中、R21〜R24は、官能基とコア部分をつなぐリンカー部位である。R21〜R24は、それぞれ同一でも異なっても良いが、均一な立体構造を有する高強度なゲルを製造するためには同一であることが好ましい。式(I)中、R21〜R24は、それぞれ同一又は異なり、C〜Cアルキレン基、C〜Cアルケニレン基、−NH−R25−、−CO−R25−、−R26−O−R27−、−R26−NH−R27−、−R26−CO−R27−、−R26−CO−NH−R27−、−R26−CO−R27−、−R26−NH−CO−R27−、又は−R26−CO−NH−R27−等である。ここで、R25はC〜Cアルキレン基を示す。R26はC〜Cアルキレン基を示す。R27はC〜Cアルキレン基を示す。
側鎖及び/末端に1以上のチオール基を有し、ポリエチレングリコールを骨格とする多分岐型ポリマーとして好ましい非限定的な具体例には、例えば、4つのポリエチレングリコール骨格の分岐を有し、末端にチオール基を有する下記式(II)で表される化合物が挙げられる。
上記式(II)中、n11〜n14は、それぞれ同一でも又は異なっても良い。n11〜n14の値が近いほど、均一な立体構造をとることができ、高強度となるので好ましく、同一であることが特に好ましい。n11〜n14の値が高過ぎるとゲルの強度が弱くなり、n11〜n14の値が低過ぎると化合物の立体障害によりゲルが形成されにくい。そのため、n11〜n14は、25以上250以下の値であることが好ましく、35以上180以下がより好ましく、50以上115以下がさらに好ましく、50以上60以下が特に好ましい。そして、液Bにおける多分岐型ポリマーの重量平均分子量は、5×10以上5×10以下であることが好ましく、7.5×10以上3×10以下であることがより好ましく、1×10以上2×10以下であることがさらに好ましい。
上記式(II)中、R11〜R14は、官能基とコア部分をつなぐリンカー部位である。R11〜R14は、それぞれ同一でも異なっても良いが、均一な立体構造を有する高強度なゲルを製造するためには同一であることが好ましい。式(II)中、R11〜R14は、それぞれ同一又は異なり、C〜Cアルキレン基、C〜Cアルケニレン基、−NH−R15−、−CO−R15−、−R16−O−R17−、−R16−NH−R17−、−R16−CO−R17−、−R16−CO−NH−R17−、−R16−CO−R17−、R16−NH−CO−R17−又は−R16−CO−NH−R17−等である。ここで、R15はC〜Cアルキレン基を示す。R16はC〜Cアルキレン基を示す。R17はC〜Cアルキレン基を示す。
ここで、「C〜Cアルキレン基」とは、分岐を有しても良い炭素数が1以上7以下のアルキレン基を意味し、直鎖C〜Cアルキレン基又は1つもしくは2つ以上の分岐を有するC〜Cアルキレン基(分岐を含む炭素数が2以上7以下)を意味する。例として、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等が挙げられる。より具体的には、−CH−、−(CH−、−(CH−、−CH(CH)−、−(CH−、−(CH(CH))−、−(CH−CH(CH)−、−(CH−CH(CH)−、−(CH−CH(C)−、−(CH−、−(CH−C(C−、及び−(CHC(CHCH−等を挙げることができる。
「C〜Cアルケニレン基」とは、鎖中に1個もしくは2個以上の二重結合を有する直鎖状又は分枝鎖状の炭素原子数2〜7個のアルケニレン基であり、例えば、前記アルキレン基から隣り合った炭素原子の水素原子の2〜5個を除いてできる、二重結合を有する2価基が挙げられる。
本明細書において、アルキレン基及びアルケニレン基は、任意の置換基を1個以上有していても良い。そのような置換基として、例えば、アルコキシ基、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子のいずれであっても良い)、アミノ基、モノもしくはジ置換アミノ基、置換シリル基、アシル基、又はアリール基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。2個以上の置換基を有する場合には、それらは同一でも異なっていても良い。
また、本明細書において、ある官能基について「置換基を有していても良い」と定義されている場合には、置換基の種類、置換位置、及び置換基の個数は特に限定されず、2個以上の置換基を有する場合には、それらは同一でも異なっていても良い。置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、ハロゲン原子、スルホ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらの置換基にはさらに置換基が存在していても良い。
<緩衝液の種類と濃度>
本発明の液滴吐出装置用の液セットにおける液A及び液Bは、ポリエチレングリコールを骨格とする多分岐型ポリマー成分に加えて、適切な緩衝液を含むことが望ましい。例えば、リン酸緩衝液、クエン酸緩衝液、クエン酸・リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、酒石酸緩衝液、トリス緩衝液、トリス塩酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水、クエン酸・リン酸緩衝生理食塩水、又は各細胞培養用の培地が挙げられる。液Aの緩衝液と液Bの緩衝液は、同じであっても異なっていても良い。また、液Aの緩衝液と液Bの緩衝液は、それぞれ2種以上の緩衝液を混合して用いても良い。
また、緩衝液の濃度は低過ぎると、溶液中のpH緩衝能が低下し、高強度のゲルを製造することができず、逆に、緩衝液濃度が高過ぎても、液Aに含有されるポリエチレングリコールを骨格とする多分岐型ポリマー成分と液Bに含有されるポリエチレングリコールを骨格とする多分岐型ポリマー成分の混合を阻害するために、高強度のゲルを製造することができない。したがって、液A及び液Bにおける緩衝液の濃度はそれぞれ20mM以上200mM以下の範囲内とすることが好ましく、これにより均一構造を有する高強度なゲルを製造することができる。
<緩衝液のpH及びポリエチレングリコールを骨格とする多分岐型ポリマーの濃度>
前述のとおり、緩衝液のpH並びに液A及び液Bに含有されるポリエチレングリコールを骨格とする多分岐型ポリマーの濃度を調節することで、ゲル化時間を制御することが可能である。これにより細胞の三次元配置に最適なゲル化時間が得られるよう調整することができる。具体的には、液A及び液BのpHが5以上10以下となるような緩衝液を用いる。また、液A及び液Bに含有されるポリエチレングリコールを骨格とする多分岐型ポリマーの濃度は0.3質量%以上20質量%以下とする。好ましくは液A及び液BのpHが6以上10以下であり、液A及び液Bに含有されるポリエチレングリコールを骨格とする多分岐型ポリマーの濃度は1.7質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
pH5未満の酸性溶液であって、かつポリエチレングリコールを骨格とする多分岐型ポリマーの濃度が0.3質量%未満である溶液では、求核性官能基がカチオンの状態となりやすく、互いに反発しやすくなり、カチオン状態の求核性官能基と、もう一方のポリマー成分の電子性官能基との反応性が低下する。これにより、細胞の三次元配置が不可能になる。一方、ポリエチレングリコールを骨格とする多分岐型ポリマーの濃度が20質量%より高い場合には、インクジェットヘッドから吐出できず、液滴吐出装置用の液としてのインクジェット用インクとして適さない。また、pHが10より高いアルカリ性溶液中では、上記求核性官能基と求電子性官能基との反応性が高過ぎるため、ゲル化時間が異常に早くなり、各ポリマーがゲルの全体に十分に拡散できず、ゲルが脆くなるため不適である。
また、液A及び液BのpHが6以上10以下であり、かつ液A及び液Bにおけるポリエチレングリコールを骨格とする多分岐型ポリマーの濃度が1.7質量%以上20質量%以下であれば、ゲルの造形精度が従来用いられていたアルギン酸ゲルの精度以上になり、細胞をより高精度に三次元配置可能になる。さらに、液A及び液Bに線維芽細胞のような接着伸展が可能な細胞を含有させる場合、液A及び液BのpHが5以上10以下であり、ポリエチレングリコールを骨格とする多分岐型ポリマーの濃度が0.3質量%以上6.0質量%以下とすることにより、ゲル内に包埋された上記細胞が伸展するスペースを十分に確保することができる。また、液A及び液Bにおける多分岐型ポリマーの濃度を0.3質量%以上4.0質量%以下とすることにより、ゲル内の細胞を長期間にわたり生存させることができる。
<液A及び液Bの粘度>
液A及び液Bにおける粘度は、高過ぎると、インクジェットヘッドから吐出できず、液滴吐出装置用の液セットとして適さない。具体的には、液A及び液Bの25℃における粘度は30mPa・s以下とする。
<求核性官能基と求電子性官能基のモル比>
上記求核性官能基と求電子性官能基のモル比は、0.5:1〜1.5:1の範囲内となるように液Aと液Bを混合することが好ましい。当該官能基はそれぞれ1:1で反応して架橋し得るので、混合モル比は1:1に近いほど好ましいが、高い強度のハイドロゲルを得るためには0.8:1〜1.2:1の範囲内であることが特に好ましい。
<自己組織化生体材料>
液A及び液Bのいずれか一方、又は両方に自己組織化生体材料を混合することができる。自己組織化生体材料は、生体由来の材料であり、かつ、他材料との混合やpH、温度等を調整することで組織化する材料のことである。その種類等について特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、この中でも、細胞の接着因子を含む自己組織化生体材料であれば、本発明の液セットで造形したゲル内において細胞が接着伸展することができる。自己組織化生体材料として、例えば、ジェランガム、アルギン酸カルシウム、アガロース、グァーガム、キサンタンガム、カラギーナン、ペクチン、ローカストビーンガム、タマリンドガム、ダイユータンガム、カルボキシメチルセルロース、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、コラーゲン、ゼラチン、プロテオフリカン、ヒアルロン酸、エンタクチン、エラスチン、キチン、フィブリノーゲン、セルロース、マトリゲル等が使用できる。マトリゲルは、細胞外マトリクスタンパク質を含むマウス肉腫から抽出した可溶性基底膜調製品であり、主成分として、ラミニン及びコラーゲンの他、ヘパラン硫酸プロテオグリカン等を含む。上記のような自己組織化生体材料は、いずれか1種を単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
<細胞>
液A及び液Bのいずれか一方、又は両方に細胞を懸濁させることができる。細胞は、その種類等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、分類学的に、例えば、真核細胞、原核細胞、多細胞生物細胞、単細胞生物細胞を問わず、全ての細胞を使用することができる。
真核細胞としては、例えば、動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、真菌等が挙げられる。これらは、いずれか1種を単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。これらの中でも、動物細胞が好ましく、前記細胞が細胞集合体を形成する場合は、細胞と細胞とが互いに接着し、物理化学的な処理を行わなければ単離しない程度の細胞接着性を有する接着性細胞であることがより好ましい。
接着性細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、分化した細胞、未分化の細胞等が挙げられる。
分化した細胞としては、例えば、肝臓の実質細胞である肝細胞;星細胞;クッパー細胞;血管内皮細胞;類道内皮細胞、角膜内皮細胞等の内皮細胞;線維芽細胞;骨芽細胞;砕骨細胞;歯根膜由来細胞;表皮角化細胞等の表皮細胞;気管上皮細胞;消化管上皮細胞;子宮頸部上皮細胞;角膜上皮細胞等の上皮細胞;乳腺細胞;ペリサイト;平滑筋細胞、心筋細胞等の筋細胞;腎細胞;膵ランゲルハンス島細胞;末梢神経細胞、視神経細胞等の神経細胞;軟骨細胞;骨細胞等が挙げられる。前記接着性細胞は、組織や器官から直接採取した初代細胞でも良く、又はそれらを何代か継代させたものでも良い。
未分化の細胞としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、未分化細胞である胚性幹細胞、多分化能を有する間葉系幹細胞等の多能性幹細胞;単分化能を有する血管内皮前駆細胞等の単能性幹細胞;iPS細胞等が挙げられる。
原核細胞としては、例えば、真正細菌、古細菌等が挙げられる。
細胞の具体例として、正常ヒト皮膚線維芽細胞等が挙げられる。正常ヒト皮膚線維芽細胞としては、市販品を用いることができ、前記市販品としては、例えば、商品名:CC2507(Lonza社製)等が挙げられる。
<その他の成分>
液A及び液Bは、必要に応じて、その他の成分を含有することができる。その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、培地、架橋剤、pH調整剤、防腐剤、酸化防止剤等が挙げられる。
<培地>
前記培地は、三次元構造体の造形と維持に必要な成分を含み、乾燥を防ぎ、浸透圧等の外部環境を整える溶液である。前記培地としては、特に制限はなく、公知の培地の中から用途に応じて適宜選択すれば良い。なお、表面が空気に暴露されている皮膚のように、常時培地内に浸しておく必要のない三次元構造体においては、培地を適宜除去しても良い。
前記培地としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、天然培地、半合成培地、合成培地等の組成により分類される種々の培地;半固形培地、液体培地、粉末培地(以下、「粉培地」とも称することがある)等の形状により分類される種々の培地等が挙げられる。これらは、いずれか1種を単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。細胞が動物由来である場合、動物細胞の培養に用いられる培地であればいずれも用いることができる。
動物細胞の培養に用いられる培地としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、ダルベッコ改変イーグル培地(Dulbecco’s Modified Eagle’s Medium;D−MEM)、ハムF12培地(Ham’s Nutrient Mixture F12)、D−MEM/F12培地、マッコイ5A培地(McCoy’s 5A medium)、イーグルMEM培地(Eagle’s Minimum Essential Medium;EMEM)、αMEM培地(alpha Modified Eagles’s Minimum Essential Medium;αMEM)、MEM培地(Minimum Essential Medium)、RPMI1640培地、イスコフ改変ダルベッコ培地(Iscove’s Modified Dulbecco’s Medium;IMDM)、MCDB131培地、ウィリアム培地E、IPL41培地、Fischer’s培地、StemPro34(インビトロジェン社製)、X−VIVO 10(ケンブレックス社製)、X−VIVO 15(ケンブレックス社製)、HPGM(ケンブレックス社製)、StemSpan H3000(ステムセルテクノロジー社製)、StemSpanSFEM(ステムセルテクノロジー社製)、StemlineII(シグマアルドリッチ社製)、QBSF−60(クオリティバイオロジカル社製)、StemProhESCSFM(インビトロジェン社製)、Essential8(登録商標)培地(ギブコ社製)、mTeSR1あるいは2培地(ステムセルテクノロジー社製)、リプロFFあるいはリプロFF2(リプロセル社製)、PSGro hESC/iPSC培地(システムバイオサイエンス社製)、NutriStem(登録商標)培地(バイオロジカルインダストリーズ社製)、CSTI−7培地(細胞科学研究所社製)、MesenPRO RS培地(ギブコ社製)、MF−Medium(登録商標)間葉系幹細胞増殖培地(東洋紡株式会社製)、Sf−900II(インビトロジェン社製)、Opti−Pro(インビトロジェン社製)等が挙げられる。これらは、いずれか1種を単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
培地中の二酸化炭素濃度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2%以上5%以下が好ましく、3%以上4%以下がより好ましい。前記二酸化炭素濃度が、2%以上5%以下であると、細胞を好適に培養することができる。
<基材>
上記の液A及び液Bをインクジェットヘッド等の液滴吐出ヘッドから基材上に吐出させ、ゲル化させることにより、三次元構造体を製造することができる。基材としては、細胞の活性や増殖を阻害しないものであれば、その大きさ、形状、構造、材質等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
基材の大きさとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。基材の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディッシュ、マルチプレート、フラスコ、セルインサート等の立体形状;ガラスプレート、スライドガラス、カバーガラス等の平板状;平膜状等が挙げられる。
基材の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、多孔質構造、メッシュ構造、凹凸構造、ハニカム構造等が挙げられる。
また、基材の材質としては、例えば、有機材料、無機材料等が挙げられる。これらは、いずれか1種を単独で使用しても良く、2種以上を併用しても良い。
有機材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリイミド(PI)、ナイロン(Ny)、低密度ポリエチレン(LDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレンナフタレート、ポリプロピレン、ウレタンアクリレート等のアクリル系材料、セルロース等が挙げられる。
無機材料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ガラス、セラミックス等が挙げられる。
<インクジェット方式>
インクジェット法(液滴吐出法)としては、例えば、オンデマンド方式、コンティニュアス方式等が挙げられる。これらの中でも、コンティニュアス方式は、安定的な吐出状態に至るまでの空吐出があり、液滴量の調整が必要であり、ウェルプレートの各ウェル間を移動する際にも連続的に液滴形成を行い続ける等の理由から、用いる懸濁液のデッドボリュームが多くなる傾向にあるため、上記2つの方式ではオンデマンド方式の方がより好適である。
オンデマンド方式としては、例えば、静電引力によって液滴を引っ張ることによって液滴を形成する静電方式等の既知の複数の方式、液体に圧力を加えることによって液体を吐出する圧力印加方式、加熱による膜沸騰によって液体を吐出するサーマル方式等が挙げられる。これらの中でも、以下の理由から、圧力印加方式が好ましい。
静電方式は、懸濁液を保持して液滴を形成する吐出部に対向して電極を設置する必要があるが、基材構成の自由度を上げるためには電極の配置は無い方が好ましい。
サーマル方式は、局所的な加熱が発生するため、本発明の液セットに用いられるポリマー成分や生体材料である細胞への影響、ヒーター部への焦げ付き(コゲーション)が懸念される。熱による影響は、含有物や基材の用途に依存するため、一概に除外する必要はないが、圧力印加方式は、サーマル方式よりヒーター部への焦げ付きの懸念がないという点で好ましい。
圧力印加方式としては、ピエゾ素子を用いて液体に圧力を加える方式、電磁バルブ等のバルブによって圧力を加える方式等がある。液滴吐出に使用可能な液滴吐出装置の構成例を図1〜3に示す。
図1は、電磁バルブ方式の吐出ヘッドの一例を示す模式図である。電磁バルブ方式の吐出ヘッドは、電動機13a、電磁弁112、液体収容部としての液室を構成する液室壁11a、液300a、及びノズル111aを有する。電磁バルブ方式の吐出ヘッドとしては、例えば、TechElan社のディスペンサ等が適用可能である。
また、図2は、ピエゾ方式の吐出ヘッドの一例を示す模式図である。ピエゾ方式の吐出ヘッドは、圧電素子13b、液体収容部としての液室を構成する液室壁11b、液300b、及びノズル111bを有する。ピエゾ方式の吐出ヘッドとしては、Cytena社のシングルセルプリンター等がある。
これらの吐出ヘッドはいずれも用いることが可能であるが、電磁バルブによる圧力印加方式では液滴を連続的に押し出して形成するため、液滴を高速に繰り返し形成することができず、精度良く三次元構造体を造形することができない。そのため、高精度な三次元構造体の造形と、製造のスループットの向上とを両立可能なピエゾ方式を用いることが好ましい。
また、細胞を含有させた液を用いる場合、一般的な圧電素子13bを用いたピエゾ方式の吐出ヘッドでは、細胞の沈降によって細胞濃度のムラが発生することや、ノズル詰まりが生じることが問題となる場合がある。このため、より好ましい構成として、図3に示した構成等が挙げられる。図3は、図2における圧電素子を用いたピエゾ方式の吐出ヘッドの変形例を示す模式図である。図3の吐出ヘッドは、圧電素子13c、液体収容部としての液室を構成する液室壁11c、液300c、及びノズル111cを有する。
図3の吐出ヘッドでは、図示していない制御装置からの電圧を圧電素子13cに対して印加することにより、紙面横方向に圧縮応力が加わりメンブレン12cを紙面上下方向に変形させることができる。
図4は、圧電素子に印加する電圧の一例を示す模式図である。また、図5は、圧電素子に印加する電圧の他の一例を示す模式図である。図4は、液滴を形成するための駆動電圧を示す。電圧(V、V、V)の強弱により、液滴を形成することができる。図5は、液滴の吐出を行わずに液(インク、懸濁液)を撹拌するための電圧を示している。すなわち、液滴を吐出しない期間中に、液滴を吐出するほどには強くない複数のパルスを入力することによって、液室内の液を撹拌することが可能であり、細胞沈降による濃度分布の発生を抑制することができる。
三次元構造体は、基材上に液A及び液Bをインクジェットヘッドで吐出し、ゲル化させることにより形成することができる。液A及び液Bは、基材上に別々に吐出し、基材上で混合させてゲル化させても良いし、吐出する直前に液A及び液Bを混合し、ゲル化前に吐出し、基材上でゲル化反応を完了させて三次元構造体を形成しても良い。また、液A及び液Bを別々に吐出する場合は、液A及び液Bを吐出した後に、再度、液A及び液Bを吐出する工程を複数回繰り返しても良い。
次に、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、無水リン酸水素二ナトリウム(型番:197−02865、和光純薬株式会社製)1.15gとリン酸二水素ナトリウム0.228g(型番:197−09705、和光純薬株式会社製)を超純水100mlに溶解させることで調製した。pHは7.4であった。
・液Aの調製
末端にマレイミジル基を有するTetra−PEG−マレイミジル(商品名:SUNBRIGHT PTE−100MA、油化産業株式会社製、重量平均分子量10,000)0.39gを上記の緩衝液2mlに溶解後、平均孔径0.2μmフィルター(商品名:Minisart Syringe Filter 175497K、sartorius社製)で濾過し、Tetra−PEG−マレイミジルの濃度が19.5質量%である液Aを調製した。
・液Bの調製
末端にチオール基を有するTetra−PEG−SH(商品名:SUNBRIGHT PTE−100SH、油化産業株式会社製、重量平均分子量10,000)0.39gを上記の緩衝液2mlに溶解後、平均孔径0.2μmフィルター(商品名:Minisart Syringe Filter 175497K、sartorius社製)で濾過し、Tetra−PEG−SHの濃度が19.5質量%である液Bを調製した。
・細胞の培養
インキュベーター(商品名:KM−CC17RU2、パナソニック株式会社製、37℃、5体積%CO環境)内において、10質量%ウシ胎児血清(以下、「FBS」とも称することがある)及び1質量%抗生物質(Antibiotic−Antimycotic Mixed Stock Solution(100x)、ナカライテスク株式会社製)を含むダルベッコ改変イーグル培地(商品名:DMEM(1X)、Life technologies製、以下、「DMEM」とも称することがある)を用い、100mmディッシュ4枚にて市販の正常ヒト皮膚線維芽細胞(商品名:CC2507、Lonza社製以下、「NHDF」とも称することがある)を72時間培養した。
・細胞の染色
冷凍保存された緑色蛍光染料(商品名:Cell Tracker Green、Life Technologies社製)を室温(25℃)まで解凍し、10mmol/L(mM)の濃度でジメチルスルホキシド(以下、「DMSO」とも称することがある)へ溶解させ、FBSなしDMEMと混合し、濃度10μmol/L(μM)の緑色蛍光染料含有FBSなしDMEMを調製した。次に、培養したNHDFのディッシュ4枚に前記緑色蛍光染料含有FBSなしDMEMをディッシュ1枚あたり5mL添加し、インキュベーター内で30分間染色した。その後、アスピレータを用いて上澄みを除去した。ディッシュに、ダルベッコりん酸緩衝生理食塩水(商品名:DPBS(1X)、Life technologies製、以下「DPBS」とも称することがある)をディッシュ1枚あたり5mL加え、アスピレータでDPBSを吸引除去し、表面を洗浄した。DPBSによる洗浄作業を2回繰り返した後、0.05質量%トリプシン−0.05質量%EDTA溶液(life technologies社製)をディッシュ1枚あたり2mL加え、インキュベーター内にて5分間加温し、ディッシュから細胞を剥離した。位相差顕微鏡(装置名:CKX41、オリンパス株式会社製)により細胞の剥離を確認後、FBS入りDMEMをディッシュ1枚あたり4mL加え、トリプシンを失活させた。ディッシュ4枚分の細胞懸濁液を50ml遠沈管1本に移し、遠心分離(商品名:H−19FM、KOKUSAN社製、1.2×10rpm、5分間、5℃)を行い、アスピレータを用いて上清を除去した。除去後、遠沈管にFBS入りDMEMを2mL添加し、穏やかにピペッティングを行い、細胞を分散させ細胞懸濁液を得た。その細胞懸濁液から20μLをエッペンドルフチューブに取り出し、0.4質量%トリパンブルー染色液20μLを加えてピペッティングを行った。染色した細胞懸濁液から20μL取り出してPMMA製プラスチックスライドに乗せ、セルカウンター(商品名:Countess Automated Cell Counter、インビトロジェン社製)を用いて細胞数を計測し、液の細胞数を求めた。
・染色された細胞懸濁液の作製
上記染色された細胞懸濁液の一部をエッペンドルフチューブに移し、遠心分離(装置名:miniS pin、エッペンドルフ社製、2.5×10rpm、1分間)を行い、次に、ピペットを用いて上清を除去した。除去後、FBSなしDMEMを添加し、細胞濃度が1×10個/mLの染色された細胞懸濁液を得た。
・基材の準備
Sylgard184 SILICONE Elastomer Kit 0.5kg KIT(型番:4019862、DOW SILICONES CORPORATION製)を用いて厚み200μm厚のシリコーンゴム(PDMS)の板を作製した。得られたPDMSを1cm角に切り出した。
18mm角のカバーガラス(商品名:No.1 Thickness 0.13〜0.17mm、松波硝子製)の上に、上記1cm角のPDMSの板を間に空気が入らないように載せた。前記カバーガラスとPDMSの板を3.5cmディッシュ(型番:3000−035、AGCテクノグラス製)の中に入れた。そして、安全キャビネットの中に上記3.5cmディッシュを入れ、UVライトを15分照射して滅菌したものを基材とした。
・ゲルの作製
上記液A及び液Bにそれぞれヨウ化プロピジウム(PI)溶液(型番:P1304MP、サーモフィッシャーサイエンティフィック製)を8μl添加した。図3のピエゾ方式の吐出ヘッド(ノズル径100μm)を用いて、吐出周波数100Hzで上記基材上の同一箇所に上記PI溶液入りの液Aを50滴吐出し、次に上記PI溶液入りの液Bを50滴吐出し、1秒静置した。上記PI溶液入りの液Aの吐出、PI溶液入りの液Bの吐出、1秒静置の動作を140回繰り返し、上記基材上にドーム形状のゲルを作製した。
・ゲル表面への細胞の配置
図3のピエゾ方式の細胞吐出ヘッド(ノズル径100μm)を用いて、上記のドーム形状のゲルの表面に上記染色された細胞懸濁液を6000滴吐出し、ゲルの表面に細胞3000個を配置した。その後、速やかに3.5cmディッシュの中にマイクロピペットでFBS入りDMEM3mlを添加し、インキュベーター(37℃、5体積%CO環境)内に入れた。これにより、「表面に細胞を配置したゲル」を作製した。
・染色なし細胞懸濁液の作製
上記と同様の方法で細胞を培養し、細胞の染色はせずに細胞懸濁液を作製した。
・細胞懸濁した液Aの調製
上記の染色なし細胞懸濁液125μlをエッペンドルフチューブに移し遠心分離(2.5×10rpm、1分間)を行い、マイクロピペットを用いて上清を除去した。上記エッペンドルフチューブに、液Aを250μl添加して、Tetra−PEG−マレイミジルの濃度19.5質量%、細胞濃度5×10個/mlの細胞懸濁した液Aを調製した。
・細胞懸濁した液Bの調製
液Aと同様にして、液Bについても上記エッペンドルフチューブに液Bを250μl添加して、Tetra−PEG−SHの濃度19.5質量%、細胞濃度5×10個/mlの細胞懸濁した液Bを調製した。
・細胞がゲル内に三次元積層されているゲルのインクジェットヘッドでの作製
上記と同様の方法で基材を準備した。ゲルの作製は上記の「ゲル表面への細胞の配置」の液Aを細胞懸濁した液Aに変更し、液Bを細胞懸濁した液Bに変更する以外は同様に実施した。その後、速やかに3.5cmディッシュの中にマイクロピペットでDMEM3ml添加し、インキュベーター(37℃、5体積%CO環境)内に入れ24時間培養した。これにより、インクジェットヘッドで「細胞がゲル内に三次元積層されているゲル」を作製した。
〔実施例2〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、無水リン酸水素二ナトリウム0.76gと無水クエン酸0.43g(型番:030−05525、和光純薬株式会社製)を超純水100mlに溶解させることで調製した。pHは5.2であった。
・液Aの調製
Tetra−PEG−マレイミジル0.007gを上記の緩衝液2mlに溶解後、平均孔径0.2μmフィルターで濾過し、Tetra−PEG−マレイミジルの濃度が0.35質量%である液Aを調製した。
・液Bの調製
Tetra−PEG−SH0.007gを上記の緩衝液2mlに溶解後、平均孔径0.2μmフィルターで濾過し、Tetra−PEG−SHの濃度が0.35質量%である液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例3〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、無水リン酸水素二ナトリウム0.94gと無水クエン酸0.32gを超純水100mlに溶解させることで調製した。pHは6.2であった。
・液Aの調製
Tetra−PEG−マレイミジル0.036gを上記の緩衝液2mlに溶解後、平均孔径0.2μmフィルターで濾過し、Tetra−PEG−マレイミジルの濃度が1.8質量%である液Aを調製した。
・液Bの調製
Tetra−PEG−SH0.036gを上記の緩衝液2mlに溶解後、平均孔径0.2μmフィルターで濾過し、Tetra−PEG−SHの濃度が1.8質量%である液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例4〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、無水リン酸水素二ナトリウム0.86gと無水クエン酸0.38gを超純水100mlに溶解させることで調製した。pHは5.8であった。
・液Aの調製
Tetra−PEG−マレイミジル0.032gを上記の緩衝液2mlに溶解後、平均孔径0.2μmフィルターで濾過し、Tetra−PEG−マレイミジルの濃度が1.6質量%である液Aを調製した。
・液Bの調製
Tetra−PEG−SH0.032gを上記の緩衝液2mlに溶解後、平均孔径0.2μmフィルターで濾過し、Tetra−PEG−SHの濃度が1.6質量%である液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例5〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、水酸化ナトリウム0.11g(型番:1310−73−2、和光純薬株式会社製)とグリシン0.375g(型番:073−00732、和光純薬株式会社製)を超純水100mlに溶解させることで調製した。pHは9.8であった。
・液A及び液Bの調製
実施例1の緩衝液を上記のpHは9.8の緩衝液に変更した以外は、実施例1と同様にして液A及び液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例6〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、実施例2と同様に調製した。pHは5.2であった。
・液A及び液Bの調製
実施例1の緩衝液を上記のpHは5.2の緩衝液に変更した以外は、実施例1と同様にして液A及び液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例7〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、実施例5と同様に調製した。pHは9.8であった。
・液A及び液Bの調製
実施例2の緩衝液を上記のpHは9.8の緩衝液に変更した以外は、実施例2と同様にして液A及び液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例8〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、実施例5と同様に調製した。pHは9.8であった。
・液A及び液Bの調製
実施例3の緩衝液を上記のpH9.8の緩衝液に変更した以外は、実施例3と同様にして液A及び液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例9〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、実施例1と同様に調製した。pHは7.4であった。
・液A及び液Bの調製
実施例1において、Tetra−PEG−マレイミジルの重量を0.116gに変更し、Tetra−PEG−SHの重量を0.116gに変更した以外は、実施例1と同様に実施した。これにより、Tetra−PEG−マレイミジルの濃度5.8質量%の液A、Tetra−PEG−SHの濃度5.8質量%の液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例10〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、実施例1と同様に調製した。pHは7.4であった。
・液A及び液Bの調製
実施例1において、Tetra−PEG−マレイミジルの重量を0.124gに変更し、Tetra−PEG−SHの重量を0.124gに変更した以外は、実施例1と同様に実施した。これにより、Tetra−PEG−マレイミジルの濃度6.2質量%の液A、Tetra−PEG−SHの濃度6.2質量%の液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例11〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、実施例2と同様にして調製した。pHは5.2であった。
・トロンビン液の調製
トロンビン(商品名:Thrombin from bovine Plasma、Sigma―Aldrich社製)が200U/mLになるようにDPBSで希釈し、トロンビン液を調製した。
・液A及び液Bの調製
実施例2と同様にして液A及び液Bを調製した後、液Aにはフィブリノーゲン(商品名:Fibrinogen from bovine plasma、Sigma―Aldrich社製)0.02gを添加してマイクロチューブローテータ(型番:MTR−103、アイリス株式会社製)で溶解させ、液Bには上記トロンビン液を50μl添加した。これにより、Tetra−PEG−マレイミジルの濃度0.35質量%、フィブリノーゲンの濃度1.0質量%の液Aを調製した。また、Tetra−PEG−SHの濃度0.35質量%、トロンビンの濃度5U/mlの液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例12〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、実施例2と同様にして調製した。pHは5.2であった。
・液A及び液Bの調製
実施例2と同様にして液A及び液Bを調製した後、それぞれにマトリゲル原液(型番:354234、Corning製)20μlを添加した。これにより、Tetra−PEG−マレイミジルの濃度0.35質量%、マトリゲルの濃度0.1質量%の液Aを調製した。また、Tetra−PEG−SHの濃度0.35質量%、マトリゲルの濃度0.1質量%の液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例13〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、実施例1と同様にして調製した。pHは7.4であった。
・液A及び液Bの調製
実施例9と同様にして液A及び液Bを調製した後、液Aにはフィブリノーゲン0.02gを添加してマイクロチューブローテータで溶解させ、液Bには実施例11に記載のトロンビン液を50μl添加した。これにより、Tetra−PEG−マレイミジルの濃度5.8質量%、フィブリノーゲンの濃度1.0質量%の液Aを調製した。また、Tetra−PEG−SHの濃度5.8質量%、トロンビンの濃度5U/mlの液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例14〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、実施例1と同様にして調製した。pHは7.4であった。
・液A及び液Bの調製
実施例9と同様にして液A及び液Bを調製した後、それぞれにマトリゲル原液20μlを添加した。これにより、Tetra−PEG−マレイミジルの濃度5.8質量%、マトリゲルの濃度0.1質量%の液Aを調製した。また、Tetra−PEG−SHの濃度5.8質量%、マトリゲルの濃度0.1質量%の液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例15〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、実施例1と同様にして調製した。pHは7.4であった。
・液A及び液Bの調製
実施例10と同様にして液A及び液Bを調製した後、液Aにはフィブリノーゲン0.02gを添加してマイクロチューブローテータで溶解させ、液Bには実施例11に記載のトロンビン液を50μl添加した。これにより、Tetra−PEG−マレイミジルの濃度6.2質量%、フィブリノーゲンの濃度1.0質量%の液Aを調製した。また、Tetra−PEG−SHの濃度6.2質量%、トロンビンの濃度5U/mlの液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例16〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、無水リン酸水素二ナトリウム0.73gと無水クエン酸0.47gを超純水100mlに溶解させることで調製した。pHは5.0であった。
・液Aの調製
Tetra−PEG−マレイミジル0.006gを上記の緩衝液2mlに溶解後、平均孔径0.2μmフィルターで濾過し、Tetra−PEG−マレイミジルの濃度が0.3質量%である液Aを調製した。
・液Bの調製
Tetra−PEG−SH0.006gを上記の緩衝液2mlに溶解後、平均孔径0.2μmフィルターで濾過し、Tetra−PEG−SHの濃度が0.3質量%である液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例17〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、実施例16と同様に調製した。pHは5.0であった。
・液A及び液Bの調製
実施例16において、Tetra−PEG−マレイミジルの重量を0.08gに変更し、Tetra−PEG−SHの重量を0.08gに変更した以外は、実施例16と同様に実施した。これにより、Tetra−PEG−マレイミジルの濃度4.0質量%の液A、Tetra−PEG−SHの濃度4.0質量%の液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例18〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、水酸化ナトリウム0.13gとグリシン0.375gを超純水100mlに溶解させることで調製した。pHは10.0であった。
・液Aの調製
Tetra−PEG−マレイミジル0.08gを上記の緩衝液2mlに溶解後、平均孔径0.2μmフィルターで濾過し、Tetra−PEG−マレイミジルの濃度が4.0質量%である液Aを調製した。
・液Bの調製
Tetra−PEG−SH0.08gを上記の緩衝液2mlに溶解後、平均孔径0.2μmフィルターで濾過し、Tetra−PEG−SHの濃度が4.0質量%である液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例19〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、実施例18と同様に調製した。pHは10.0であった。
・液A及び液Bの調製
実施例18において、Tetra−PEG−マレイミジルの重量を0.006gに変更し、Tetra−PEG−SHの重量を0.006gに変更した以外は、実施例18と同様に実施した。これにより、Tetra−PEG−マレイミジルの濃度0.3質量%の液A、Tetra−PEG−SHの濃度0.3質量%の液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例20〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、実施例1と同様にして調製した。pHは7.4であった。
・液A及び液Bの調製
実施例1に記載のTetra−PEG−マレイミジル、Tetra−PEG−SHの重量をそれぞれ0.40gに変更し、それぞれの液の濃度を20.0質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして液A及び液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例21〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、実施例1と同様にして調製した。pHは7.4であった。
・液A及び液Bの調製
実施例1に記載のTetra−PEG−マレイミジル、Tetra−PEG−SHの重量をそれぞれ0.08gに変更し、それぞれの液の濃度を4.0質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして液A及び液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例22〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、実施例1と同様にして調製した。pHは7.4であった。
・液A及び液Bの調製
実施例1に記載のTetra−PEG−マレイミジル、Tetra−PEG−SHの重量をそれぞれ0.04gに変更し、それぞれの液の濃度を2.0質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして液A及び液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例23〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、実施例1と同様にして調製した。pHは7.4であった。
・液A及び液Bの調製
実施例1に記載のTetra−PEG−マレイミジル、Tetra−PEG−SHの重量をそれぞれ0.02gに変更し、それぞれの液の濃度を1.0質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして液A及び液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例24〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、実施例1と同様にして調製した。pHは7.4であった。
・液A及び液Bの調製
実施例1に記載のTetra−PEG−マレイミジル、Tetra−PEG−SHの重量をそれぞれ0.006gに変更し、それぞれの液の濃度を0.3質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして液A及び液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例25〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、無水リン酸水素二ナトリウム2.69gと無水リン酸二水素ナトリウム0.13gを超純水100mlに溶解させることで調製した。pHは8.0であった。
・液Aの調製
Tetra−PEG−マレイミジル0.08gを上記の緩衝液2mlに溶解後、平均孔径0.2μmフィルターで濾過し、Tetra−PEG−マレイミジルの濃度が4.0質量%である液Aを調製した。
・液Bの調製
Tetra−PEG−SH0.08gを上記の緩衝液2mlに溶解後、平均孔径0.2μmフィルターで濾過し、Tetra−PEG−SHの濃度が4.0質量%である液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例26〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、実施例25と同様にして調製した。pHは8.0であった。
・液A及び液Bの調製
実施例25に記載のTetra−PEG−マレイミジル、Tetra−PEG−SHの重量をそれぞれ0.006gに変更し、それぞれの液の濃度を0.3質量%に変更した以外は、実施例25と同様にして液A及び液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例27〕
・液A及び液Bの調製
実施例22の緩衝液をDMEMに変更する以外は、実施例22と同様にして液A及び液Bを調製した。pHは7.4であった。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例28〕
・液A及び液Bの調製
実施例23の緩衝液をDMEMに変更する以外は、実施例23と同様にして液A及び液Bを調製した。pHは7.4であった。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例29〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、実施例1と同様にして調製した。pHは7.4であった。
・液A及び液Bの調製
実施例22と同様にして液A及び液Bを調製した後、液Aにはフィブリノーゲン0.002gを添加してマイクロチューブローテータで溶解させ、液Bには実施例11に記載のトロンビン液を50μl添加した。これにより、Tetra−PEG−マレイミジルの濃度2.0質量%、フィブリノーゲンの濃度0.1質量%の液Aを調製した。また、Tetra−PEG−SHの濃度2.0質量%、トロンビンの濃度5U/mlの液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例30〕
・液A及び液Bの調製
実施例29のフィブリノーゲンの添加量を0.02gに変更する以外は、実施例29と同様にして液A及び液Bを調製した。これにより、Tetra−PEG−マレイミジルの濃度2.0質量%、フィブリノーゲンの濃度1.0質量%の液Aを調製した。また、Tetra−PEG−SHの濃度2.0質量%、トロンビンの濃度5U/mlの液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例31〕
・液A及び液Bの調製
実施例29のフィブリノーゲンの添加量を0.03gに変更する以外は、実施例29と同様にして液A及び液Bを調製した。これにより、Tetra−PEG−マレイミジルの濃度2.0質量%、フィブリノーゲンの濃度1.5質量%の液Aを調製した。また、Tetra−PEG−SHの濃度2.0質量%、トロンビンの濃度5U/mlの液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例32〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、実施例1と同様にして調製した。pHは7.4であった。
・液A及び液Bの調製
実施例22と同様にして液A及び液Bを調製した後、それぞれにマトリゲル原液10μlを添加した。これにより、Tetra−PEG−マレイミジルの濃度2.0質量%、マトリゲルの濃度0.05質量%の液Aを調製した。また、Tetra−PEG−SHの濃度2.0質量%、マトリゲルの濃度0.05質量%の液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例33〕
・液A及び液Bの調製
実施例32のマトリゲル原液の添加量を20μlに変更する以外は、実施例32と同様にして液A及び液Bを調製した。これにより、Tetra−PEG−マレイミジルの濃度2.0質量%、マトリゲルの濃度0.1質量%の液Aを調製した。また、Tetra−PEG−SHの濃度2.0質量%、マトリゲルの濃度0.1質量%の液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔実施例34〕
・液A及び液Bの調製
実施例32のマトリゲル原液の添加量を200μlに変更する以外は、実施例32と同様にして液A及び液Bを調製した。これにより、Tetra−PEG−マレイミジルの濃度2.0質量%、マトリゲルの濃度1.0質量%の液Aを調製した。また、Tetra−PEG−SHの濃度2.0質量%、マトリゲルの濃度1.0質量%の液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施例1と同様に実施した。
〔比較例1〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、実施例1と同様にして調製した。pHは7.4であった。
・液A及び液Bの調製
実施例1に記載のTetra−PEG−マレイミジル、Tetra−PEG−SHの重量をそれぞれ0.41gに変更し、それぞれの液の濃度を20.5質量%に変更した以外は、実施例1と同様にして液A及び液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は、液A及び液Bがインクジェットヘッドで吐出不可であったため、実施しなかった。
〔比較例2〕
・アルギン酸ナトリウム水溶液の調製
アルギン酸ナトリウム(商品名:キミカアルギンSKAT−ONE、株式会社キミカ製)1.5gを超純水100mlに溶解後、平均孔径0.2μmフィルター(商品名:Minisart Syringe Filter 175497K、sartorius社製)で濾過し、濃度1.5質量%のアルギン酸ナトリウム水溶液を調製した。このアルギン酸ナトリウム水溶液を液Aとして用いた。
・塩化カルシウム水溶液の調製
塩化カルシウム(型番:192−13925、和光純薬工業株式会社製)0.584gを超純水100mlに溶解後、平均孔径0.2μmフィルター(商品名:Minisart Syringe Filter 175497K、sartorius社製)で濾過し、濃度0.58質量%の塩化カルシウム水溶液を調製した。この塩化カルシウム水溶液を液Bとして用いた。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置を実施例1と同様に実施した。「表面に細胞を配置したゲル」は24時間の形状維持が不可であったが、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製も実施例1と同様に実施した。「細胞がゲル内に三次元積層されているゲル」は24時間の培養中に基材から浮遊し、ゲルの大きさは作製直後の半分程度に減少していた。
〔比較例3〕
・アルギン酸ナトリウム水溶液及び塩化カルシウム水溶液の調製
比較例2に記載のアルギン酸ナトリウムの重量を2.0gに変更し、アルギン酸ナトリウム水溶液の濃度を2.0質量%に変更した以外は、比較例2と同様にしてアルギン酸ナトリウム水溶液(液A)、塩化カルシウム水溶液(液B)を調製した。
細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置は、液A及び液Bがインクジェットヘッドで吐出不可であったため、実施しなかった。
なお、参考として、液Aと液Bで作製したゲル内で細胞が生存可能か評価するため、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製は実施例1と同様に実施し、「細胞がゲル内に三次元積層されているゲル」を手作業で作製した。
・細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの手作業での作製
実施例1と同様の方法で基材を準備した。マイクロピペットで基材の上に液Aを3.5μl滴下した。さらに、前記液滴の上にマイクロピペットで液Bを3.5μl滴下し、数回ピペッティングをしてゲルを作製した。その後、速やかに3.5cmディッシュの中にマイクロピペットでDMEMを3ml添加し、インキュベーター(37℃、5体積%CO環境)内に入れ24時間培養した。これにより、手作業で「細胞がゲル内に三次元積層されているゲル」を作製した。
〔比較例4〕
・フィブリノーゲン液の調製
フィブリノーゲン0.01gをDPBS1mlに添加し、マイクロチューブローテータで溶解させ、濃度1.0質量%のフィブリノーゲン液を調製した。このフィブリノーゲン液を液Aとして用いた。
・トロンビン液の調製
DPBS900μlに実施例11に記載の濃度200U/mlのトロンビン液を100μl添加し、濃度20U/mlのトロンビン液を調製した。このトロンビン液を液Bとして用いた。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置を実施例1と同様に実施した。「表面に細胞を配置したゲル」は、細胞が全て沈殿して細胞を三次元配置できなかったため、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施しなかった。
〔比較例5〕
・フィブリノーゲン液及びトロンビン液の調製
比較例4におけるフィブリノーゲンの重量を0.02gに変更した以外は、比較例4と同様にしてフィブリノーゲン液(液A)、及びトロンビン液(液B)を調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は、液A及び液Bがインクジェットヘッドで吐出不可であったため、実施しなかった。
〔比較例6〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、無水リン酸水素二ナトリウム0.70gと無水クエン酸0.49gを超純水100mlに溶解させることで調製した。pHは4.8であった。
・液Aの調製
Tetra−PEG−マレイミジル0.005gを上記の緩衝液2mlに溶解後、平均孔径0.2μmフィルターで濾過し、Tetra−PEG−マレイミジルの濃度が0.25質量%である液Aを調製した。
・液Bの調製
Tetra−PEG−SH0.005gを上記の緩衝液2mlに溶解後、平均孔径0.2μmフィルターで濾過し、Tetra−PEG−SHの濃度が0.25質量%である液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置を実施例1と同様に実施した。「表面に細胞を配置したゲル」は細胞の半分以上が沈殿して細胞を三次元配置できなかったため、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施しなかった。
〔比較例7〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、無水リン酸水素二ナトリウム0.50gと無水クエン酸0.62gを超純水100mlに溶解させることで調製した。pHは3.8であった。
・液Aの調製
Tetra−PEG−マレイミジル0.014gを上記の緩衝液2mlに溶解後、平均孔径0.2μmフィルターで濾過し、Tetra−PEG−マレイミジルの濃度が0.7質量%である液Aを調製した。
・液Bの調製
Tetra−PEG−SH0.014gを上記の緩衝液2mlに溶解後、平均孔径0.2μmフィルターで濾過し、Tetra−PEG−SHの濃度が0.7質量%である液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置を実施例1と同様に実施した。「表面に細胞を配置したゲル」は細胞の半分以上が沈殿して細胞を三次元配置できなかったため、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施しなかった。
〔比較例8〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、水酸化ナトリウム0.15gとグリシン0.375gを超純水100mlに溶解させることで調製した。pHは10.4であった。
・液Aの調製
Tetra−PEG−マレイミジル0.39gを上記の緩衝液2mlに溶解後、平均孔径0.2μmフィルターで濾過し、Tetra−PEG−マレイミジルの濃度が19.5質量%である液Aを調製した。
・液Bの調製
Tetra−PEG−SH0.39gを上記の緩衝液2mlに溶解後、平均孔径0.2μmフィルターで濾過し、Tetra−PEG−SHの濃度が19.5質量%である液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置を実施例1と同様に実施した。「表面に細胞を配置したゲル」は24時間の形状維持が不可であったため、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施しなかった。
〔比較例9〕
・緩衝液の調製
緩衝液は、実施例4と同様にして調製した。pHは5.8であった。
・液Aの調製
Tetra−PEG−マレイミジル0.005gを上記の緩衝液2mlに溶解後、平均孔径0.2μmフィルターで濾過し、Tetra−PEG−マレイミジルの濃度が0.25質量%である液Aを調製した。
・液Bの調製
Tetra−PEG−SH0.005gを上記の緩衝液2mlに溶解後、平均孔径0.2μmフィルターで濾過し、Tetra−PEG−SHの濃度が0.25質量%である液Bを調製した。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置を実施例1と同様に実施した。「表面に細胞を配置したゲル」は細胞の半分以上が沈殿して細胞を三次元配置できなかったため、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施しなかった。
〔比較例10〕
・マトリゲル液の調製
マトリゲル原液0.2gを実施例1に記載の緩衝液20mlに溶解させ、濃度1.0質量%のマトリゲル液を調製した。このマトリゲル液を液A及び液Bとして用いた。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置を実施例1と同様に実施した。「表面に細胞を配置したゲル」は細胞の半分以上が沈殿して細胞を三次元配置できなかったため、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は実施しなかった。
〔比較例11〕
・マトリゲル液の調製
マトリゲル原液0.4gを実施例1に記載の緩衝液20mlに溶解させ、濃度2.0質量%のマトリゲル液を調製した。このマトリゲル液を液A及び液Bとして用いた。
細胞の培養、細胞の染色、染色された細胞懸濁液の作製、基材の準備、ゲルの作製、ゲル表面への細胞の配置、染色なし細胞懸濁液の作製、細胞懸濁した液Aの調製、細胞懸濁した液Bの調製、細胞がゲル内に三次元積層されているゲルの作製は、液A及び液Bがインクジェットヘッドで吐出不可であったため、実施しなかった。
<インク液の粘度測定>
インクジェットヘッドによる吐出が可能な液の粘度上限を調べるため、実施例1、11〜15、20及び29〜34、並びに比較例1〜5及び10〜11の液Aと液Bの粘度を測定した。実施例2〜10、16〜19及び21〜28、比較例6〜9の液Aと液BはTetra−PEG−マレイミジル又はTetra−PEG−SHの濃度が20質量%以下であることから、実施例1の粘度以下であることが明白であるため測定は実施しなかった。測定を実施しない実施例及び比較例については、表1における該当する欄に「−」を付している。
粘度測定はアントンパール社のレオメータを用いて動的・回転測定を以下の条件で実施した。せん断速度が1000/sの時の粘度(mPa・s)を液の粘度として採用した。結果を表1に示す。
・装置:Physica MCR301
・コーンプレート:CP50−1
・温度:25℃
・液量:1ml
・変数:せん断速度
・変数条件:対数昇降
・変数範囲:1〜1000/s
・測定点:13点
・測定間隔:10秒で固定
<インクジェットヘッドによる液の吐出評価>
インクジェットヘッドによる吐出が可能な液の粘度上限を調べるため、産業用インクジェットヘッド(商品名:MH2420、リコーインダストリー株式会社製)及び図3のピエゾ方式の吐出ヘッド(ノズル径100μm)を用い、実施例1〜34、比較例1〜11の液A及び液Bの吐出性を評価した。各液においてヘッドノズルから滴下されるインクの液滴を観察した。
図6は、インクの液滴観察機構1Bの模式図である。ヘッドのノズル121から滴下された液滴130’を側方から撮像する高速カメラ30と、液滴の滴下に同期して液滴に光を照射するストロボ照明装置60と、メンブレン12Bへの電圧印加の制御手段70及び駆動手段20が備え付けられている。高速カメラ30のシャッタを開くタイミングをメンブレン12Bへの電圧印加のタイミングで同期させて行なった。
仕様範囲内の印加電圧で各ノズルから液滴が吐出すれば〇、仕様範囲の最大の印加電圧でも吐出しないもの、又は半分以上のノズルが目詰まり等によって吐出しないものを×とした。結果を表1に示す。
表1の結果から、Tetra−PEG−マレイミジル及びTetra−PEG−SHを含む溶液は、どちらのインクジェットヘッドでも濃度20質量%、すなわち粘度30mPa・sの液まで吐出可能であることが確認された。アルギン酸ナトリウムは濃度1.5質量%の液まで、フィブリノーゲンは1.0質量%の液までどちらのインクジェットヘッドでも吐出可能であることが確認された。フィブリノーゲン溶液はビンガム流体であるため、低粘度の2.0質量%の液でもMH2420ヘッドでは吐出できなかった。吐出が不可であった比較例1、3、5及び11は、下記の液の毒性評価以降の試験を実施しなかった。
<液の毒性評価>
上記のインクジェットヘッドによる液の吐出評価で吐出可能であった実施例1〜34及び比較例2、4、6〜10について、液の細胞への毒性を評価するため、各インク液に細胞を2時間浸漬した後の細胞の生存率をWST−1アッセイで算出した。
それぞれの細胞懸濁した液Aと液Bを15ml遠沈管で2時間静置後、遠心分離し(1.2×10rpm、5分間、5℃)、アスピレータを用いて上清を除去した。除去後、遠沈管にFBS入りDMEMを2mL添加し、穏やかにピペッティングを行い、細胞を分散させ再び細胞懸濁液を得た。上記再分散した細胞懸濁液を96ウェルプレートの8ウェルに200μlずつ添加し、インキュベーター内で24時間培養した。
24時間培養後、各ウェルにWST−1(商品名:Premix WST−1 Cell Proliferation Assay System、タカラバイオ製)を20μlずつ添加し、1時間呈色した。呈色後の各ウェルをプレートレーダー(商品名:Cytation5 イメージングプレートリーダー、バイオテック株式会社)で、450nmと620nm(リファレンス用)の吸光度を測定し、450nmと620nmの吸光度の比を算出した。
前記8ウェルの平均値を生存率算出用の値として採用した。生存率100%の参考値(コントロール)として、FBS入りDMEM中に室温下で2時間静置後、24時間培養した液を採用した。生存率が75%以上であれば毒性がないと判断し、〇とした。結果を表1に示す(表1中の「液の毒性」の欄を参照)。
表1の結果から、緩衝液のpH、すなわち液A及び液BのpHが3.8(比較例7)以外の液は細胞への毒性がないことが確認できた。このことから、少なくともTetra−PEG−マレイミジル及びTetra−PEG−SHの濃度が0.3質量%以上20質量%以下であり、かつ緩衝液のpH、すなわち液A及び液BのpHが5以上10以下であれば、細胞への毒性がないことが確認された。
<細胞三次元配置評価>
インクジェットヘッドによるインクの吐出評価で吐出可能であった実施例1〜34及び比較例2、4、6〜10において、三次元配置が可能であるか否か、すなわち細胞を任意の位置に配置可能であるか否かについて評価した。
各実施例及び比較例に記載の「表面に細胞を配置したゲル」を作製した1時間後、ゲルの形状を共焦点顕微鏡(商品名:FV10、オリンパス社製)で観察し、ゲルの表面に配置した細胞が表面近傍に固定されているかを確認した。半数以上の細胞が沈殿せず表面近傍に固定されていれば〇、半数以上の細胞がゲルの高さの半分より下側に存在(下の基材まで沈殿している細胞も含む)していれば×とした。結果を表1に示す(表1中の「三次元配置」の欄を参照)。
表1の結果から、Tetra−PEG−マレイミジル及びTetra−PEG−SHの濃度が0.3質量%以上20質量%以下であり、かつ緩衝液のpH、すなわち液A及び液BのpHが5以上であれば、細胞を任意に三次元配置できることが確認された。また、アルギン酸ゲル(比較例2)も、細胞を任意に三次元配置できることが確認された。一方、フィブリンゲル(比較例4)は、インクジェットヘッドで吐出可能な1.0質量%濃度では細胞の三次元配置が不可能であることが確認された。同様に、マトリゲル(比較例10)も、インクジェットヘッドで吐出可能な1.0質量%濃度では細胞の三次元配置が不可能であることが確認された。
<ゲルの造形精度評価>
インクジェットヘッドによる液の吐出が可能であり、液の細胞への毒性がなく、細胞の三次元配置が可能な実施例1〜34及び比較例2、8において、ゲルの造形精度評価として、造形したドーム形状のゲルのアスペクト比を算出した。
アスペクト比は、ゲルの形状を共焦点顕微鏡で観察し、ドーム形状のゲルの直径及び高さを計測し、(ゲルの高さ)/(ゲルの直径)で算出した。アスペクト比が従来の造形剤として使われていたアルギン酸ゲル(比較例2)のアスペクト比である0.19以上である場合は◎、0.19未満である場合は〇とした。結果を表1に示す(表1中の「造形精度」の欄を参照)。
表1の結果から、Tetra−PEG−マレイミジル及びTetra−PEG−SHの濃度が1.7質量%以上20質量%以下であり、かつ緩衝液のpHが6以上であれば、従来造形剤として使われていたアルギン酸ゲル(比較例2)よりもアスペクト比が高く、造形精度が特に優れることが確認された。
<形状維持評価>
インクジェットヘッドによる液の吐出が可能であり、液の細胞への毒性がなく、細胞の三次元配置が可能な実施例1〜34及び比較例2、8において、ゲルの形状維持評価を実施した。
各実施例及び比較例に記載の「表面に細胞を配置したゲル」を作製した3時間後、6時間後、24時間後、72時間後、168時間後に、それぞれ3.5cmディッシュの中のDMEM3mlをマイクロピペットで15mlの遠心管に回収し、代わりに新しいFBS入りDMEMを3ml添加して、再びインキュベーター(37℃、5体積%CO環境)内に入れた。前記15ml遠沈管1本を遠心分離(商品名:H−19FM、KOKUSAN社製、1.2×10rpm、5分間、5℃)し、アスピレータで上澄み液を除去し、新たにDMEM500μlを添加し、ピペッティングして再び細胞懸濁液を得た。
再び得た前記の細胞懸濁液をマイクロピペットで96ウェルプレート(商品名:96well細胞培養用プレート、平底、低蒸発タイプ、フタ付ポリスチレン、Corning社製)の1ウェルに添加した。ウェルに添加して2時間後、プレートリーダーで前記ウェルの中の細胞数をカウントした。
上記カウントした細胞数の合計が750個を超えた場合、すなわち全細胞の1/4以上の細胞がゲルの表面から離脱していれば×とした。上記カウントした細胞数の合計が750個を超えない場合、すなわち全細胞の3/4以上の細胞がゲルの表面に維持されていれば〇とした。結果を表1に示す(表1中の「形状維持」の欄を参照)。
表1の結果から、Tetra−PEG−マレイミジル及びTetra−PEG−SHの濃度が0.3質量%以上20質量%以下であり、かつ緩衝液のpH、すなわち液A及び液BのpHが5以上10以下であれば、ゲルの形状を168時間以上維持できることが確認された。一方、緩衝液のpH、すなわち液A及び液BのpHが10より高い場合(比較例8)は、ゲルが脆くなり造形後6時間までに形状が崩れることが確認された。また、アルギン酸ゲル(比較例2)も造形後6時間までに形状が崩れることが確認された。
<三次元構造体上の細胞形態評価>
インクジェットヘッドによる液の吐出が可能であり、液の細胞への毒性がなく、細胞の三次元配置が可能で、形状維持が可能であった実施例1〜34において、それぞれ24時間、72時間後、168時間培養後の三次元構造体、すなわち「表面に細胞を配置したゲル」の表面に配置された細胞の形態評価を実施した。また、参考として、形状維持評価において、形状維持ができずに全細胞の1/4以上の細胞がゲルの表面から離脱してしまった比較例2について、24時間培養後の試料のみ同様に評価を実施した。72時間後、168時間後は三次元構造が壊れていたため評価を実施しなかった。
三次元構造体、すなわち「表面に細胞を配置したゲル」の表面に配置された細胞の形態を観察し、細胞の伸展の有無を評価した。評価結果を表1に示す(表1中の「細胞形態1」の欄を参照)。配置した細胞数のほぼ全てが伸展していればA、伸展していなければCとした。細胞の伸展の有無は、細胞の仮足が見えていれば伸展しているものと判断した。
表1の結果から、自己組織化生体材料として、少なくともフィブリノーゲン0.1〜1.5質量%、あるいは少なくともマトリゲル濃度0.05〜1.0質量%を混合することで、三次元構造体上の細胞が伸展することが確認された。
<三次元積層内の生存率評価>
インクジェットヘッドによる液の吐出が可能であり、液の細胞への毒性がなく、細胞の三次元配置が可能で、形状維持が可能であった実施例1〜34において、「細胞がゲル内に三次元積層されているゲル」内の細胞の生存可否を評価した。また、参考として、形状維持評価において、形状維持ができずに全細胞の1/4以上の細胞がゲルの表面から離脱してしまった比較例2についても同様の評価を実施し、インクジェットヘッドで吐出不可であった比較例3についても、手作業で作製した「細胞がゲル内に三次元積層されているゲル」を用いて同様の評価を実施した。ゲル内の細胞の生存率算出はLIVE/DEAD染色により、三次元積層を破壊せずに算出した。
・LIVE/DEAD染色用の培地の調製
FBS入りDMEM60mlにPI溶液を30μl、Hoechst33342(型番:H3570、life technologies製)を12μl添加し、LIVE/DEAD染色用の培地を作製した。
・生存率算出用の画像の取得
実施例1〜34及び比較例2、比較例3の「細胞がゲル内に三次元配置されているゲル」を24時間培養後、3.5cmディッシュの中のFBS入りDMEM3mlを上記の生存率評価用の培地3mlと置換し、再びインキュベーター(37℃、5体積%CO環境)内で1時間培養した。培養1時間後、ゲル内の細胞を共焦点顕微鏡で観察し、その三次元画像をTIFFファイルで保存した。比較例2及び比較例3は、24時間の培養中に基材から浮遊し、ゲルの大きさは作製直後の半分程度に減少していたが、同様に生存率を算出した。
実施例2〜4、7〜19、21〜34は、さらに48時間培養後(合計72時間培養後)、上記の24時間培養後の評価と同様に実施し、生存率を算出した。
実施例2〜4、7〜8、11〜12、16〜19、21〜34は、さらに96時間培養後(合計168時間培養後)、上記の24時間培養後の評価と同様に実施し、生存率を算出した。
・LIVE/DEAD染色による生存率算出
上記TIFFファイルを画像処理ソフトMetaMorph(モレキュラーデバイスジャパン株式会社製)を用いてスタック形式に変換し、画像処理ソフトImageJを用いて色別に分離した。得られた赤色と青色の画像をそれぞれ2値化し、ノイズ除去及び凝集細胞の分離処理を施した。処理した各画像を再びMetaMorphを用いてZ軸補正し、細胞数をカウントした。PI溶液で染色された細胞を死細胞、Hoechst33342で染色された細胞を全細胞として、生存率(%)は1−(死細胞数)×100/(全細胞数)で算出した。図7は実施例13の死細胞を4D Viewerで表示した画像である。図8は実施例13の全細胞を4D Viewerで表示した画像である。
・評価基準
三次元積層内の細胞の生存率が90%以上であれば◎、75%以上90%未満であれば〇、75%未満であれば×とした。結果を表1に示す(表1中の「生存率」の欄を参照)。
表1の結果から、インクジェットヘッドによる液の吐出が可能であり、液の細胞への毒性がなく、細胞の三次元配置が可能で、形状維持が可能であったTetra−PEG−マレイミジル及びTetra−PEG−SHの濃度が0.3質量%以上20質量%以下であり、かつ緩衝液のpH、すなわち液A及び液BのpHが5以上10以下であれば、三次元積層内で細胞が生存可能であることが確認された。
また、少なくともTetra−PEG−マレイミジル及びTetra−PEG−SHの濃度が0.3質量%以上6.0質量%以下であれば、三次元積層内で細胞が72時間以上生存可能であることが確認された。
さらに、少なくともTetra−PEG−マレイミジル及びTetra−PEG−SHの濃度が0.3質量%以上4.0質量%以下であれば、三次元積層内で細胞が168時間以上生存可能であることが確認された。
一方、アルギン酸ゲルの三次元積層内(比較例2及び比較例3)では、細胞が生存できないことが確認された。
<三次元積層内の細胞形態評価>
インクジェットヘッドによる液の吐出が可能であり、液の細胞への毒性がなく、細胞の三次元配置が可能で、形状維持が可能であり、三次元積層内で細胞の生存が可能であった実施例1〜34において、24時間培養後の「細胞がゲル内に三次元積層されているゲル」内の細胞形態を評価した。
実施例2〜4、7〜19、21〜34は、さらに48時間培養後(合計72時間培養後)、上記の24時間培養後の評価と同様に実施し、細胞形態を評価した。
実施例2〜4、7〜8、11〜12、16〜19、21〜34は、さらに96時間培養後(合計168時間培養後)、上記の24時間培養後の評価と同様に実施し、細胞形態を評価した。
また、参考として、三次元積層内で細胞の生存ができなかった比較例2は、24時間培養後の試料のみ同様に評価を実施し、比較例3についても、手作業で作製した「細胞がゲル内に三次元積層されているゲル」を用いて24時間培養後の試料のみ同様に評価を実施した。72時間後、168時間後は三次元構造が壊れていたため評価を実施しなかった。
・細胞形態評価用の培地の調製
FBS入りDMEM60mlにCalcein、AM(型番:L3224、life technologies製)を12μl添加し、細胞形態評価用の培地を作製した。
・細胞形態評価
上記の三次元積層内の生存率評価における生存率算出後に、3.5cmディッシュの中の生存率算出用の培地3mlを上記の細胞形態評価用の培地3mlに置換し、再びインキュベーター(37℃、5体積%CO環境)内で1時間培養した。培養1時間後、三次元積層内の細胞の形態を共焦点顕微鏡で観察した。図9、図10は、それぞれ実施例13、15の三次元積層内の細胞を上側から観察した画像である。
・評価基準
ほぼ全ての細胞が伸展していればA、半数以上の細胞が伸展していればB、伸展していなければCとした。伸展の有無は細胞の仮足が見えていれば伸展しているものと判断した。結果を表1に示す(表1中の「細胞形態2」の欄を参照)。
表1の結果から、自己組織化生体材料として、少なくともフィブリノーゲン0.1〜1.5質量%、または少なくともマトリゲル0.05〜1.0質量%を混合することで、三次元積層内の細胞が伸展することが確認された。また、Tetra−PEG−マレイミジル及びTetra−PEG−SHの濃度が0.3質量%以上6.0質量%以下であれば、三次元積層内のほぼ全ての細胞が伸展することが確認された。
表1における液の粘度測定、インクジェットヘッドによる液の吐出評価、液の毒性評価、細胞三次元配置評価、形状維持評価、三次元積層内の生存率評価の結果から、Tetra−PEG−マレイミジル及びTetra−PEG−SHの濃度が0.3質量%以上20質量%以下であり(液A及び液Bの25℃における粘度が30mPa・s以下)であり、かつ緩衝液のpH、すなわち液A及び液BのpHが5以上10以下であれば、インクジェットヘッドで吐出可能であり、細胞への毒性がなく、細胞を任意に三次元配置可能であり、その形状を維持でき、三次元積層内で細胞が生存可能であることが確認された。
さらに、表1の三次元積層内の生存率評価の結果から、Tetra−PEG−マレイミジル及びTetra−PEG−SHの濃度が0.3質量%以上4.0質量%以下であれば、168時間以上の長期培養後も、高い生存率の維持が可能であることが確認された。
さらに、表1の造形精度評価の結果から、Tetra−PEG−マレイミジル及びTetra−PEG−SHの濃度が1.7質量%以上20質量%以下であり、かつ緩衝液のpH、すなわち液A及び液BのpHが6以上10以下であれば、その造形精度が特に優れることが確認された。
また、表1の三次元構造体上の細胞形態評価、三次元積層内の細胞形態評価の結果から、液A及び液Bに自己組織化生体材料が混合されていれば、三次元構造体上及び三次元積層内で細胞が伸展可能であることが確認された。さらに、Tetra−PEG−マレイミジル及びTetra−PEG−SHの濃度が0.3質量%以上6.0質量%以下であれば、三次元積層内のほぼ全ての細胞が伸展することが確認された。
本発明の態様としては、例えば、以下の<1>〜<11>が挙げられる。
<1>3以上の分岐を有し、該分岐が側鎖及び/又は末端に1以上の求電子性官能基を有するポリエチレングリコールを骨格として有する、多分岐型ポリマーAを含む液Aと、3以上の分岐を有し、該分岐が側鎖及び/又は末端に1以上の求核性官能基を有するポリエチレングリコールを骨格として有する、多分岐型ポリマーBを含む液Bと、を備える液滴吐出装置用の液セットであって、前記液A及び前記液BのpHが5以上10以下であり、前記液A及び前記液Bにおける前記多分岐型ポリマーの濃度が0.3質量%以上20質量%以下である、前記液滴吐出装置用の液セット。
<2>前記求電子性官能基が、マレイミジル基、N−ヒドロキシ−スクシンイミジル(NHS)基、スルホスクシンイミジル基、フタルイミジル基、イミダゾイル基、アクリロイル基、及びニトロフェニル基よりなる群から選択され、前記求核性官能基が、チオール基、アミノ基、及び−COPhNOよりなる群から選択される上記<1>に記載の液滴吐出装置用の液セット。
<3>前記多分岐型ポリマーA及びBが共に四分岐型ポリマーである上記<1>又は<2>に記載の液滴吐出要の液セット。
<4>前記求電子性官能基がマレイミジル基であり、前記求核性官能基がチオール基である、上記<1>〜<3>のいずれか一項に記載の液滴吐出装置用の液セット。
<5>前記液A及び前記液Bの25℃における粘度が30mPa・s以下である上記<1>〜<4>のいずれか一項に記載の液滴吐出装置用の液セット。
<6>前記液A及び前記液Bにおける前記多分岐型ポリマーの濃度が0.3質量%以上6.0質量%以下である上記<1>〜<5>のいずれか一項に記載の液滴吐出装置用の液セット。
<7>前記液A及び前記液Bにおける前記多分岐型ポリマーの濃度が0.3質量%以上4.0質量%以下である上記<1>〜<6>のいずれか一項に記載の液滴吐出装置用の液セット。
<8>前記液A及び前記液BのpHが6以上10以下であり、前記液A及び前記液Bにおける前記多分岐型ポリマーの濃度が1.7質量%以上20質量%以下である上記<1>〜<5>のいずれか一項に記載の液滴吐出装置用の液セット。
<9>前記液A及び前記液Bのいずれか一方、又は両方に自己組織化生体材料が混合されている上記<1>〜<8>のいずれか一項に記載の液滴吐出装置用の液セット。
<10>前記自己組織化生体材料が、ラミニン及びコラーゲンを含むゲル、フィブリノーゲン、ゼラチン及びエラスチンからなる群から選択される一種以上である上記<9>に記載の液滴吐出装置用の液セット。
<11>前記液A及び前記液Bのいずれか一方、又は両方に細胞が懸濁されている上記<1>〜<10>のいずれか一項に記載の液滴吐出装置用の液セット。
前記<1>〜<11>のいずれか1つに記載の液滴吐出装置用の液セットは、従来における前記諸問題を解決し、前記本発明の目的を達成することができる。
1B 液滴観察機構
10B 吐出ヘッド
11a、11b、11c、11B 液室壁
12c、12B メンブレン
13a 電動機
13b、13c、13B 圧電素子
20 駆動手段
30 高速カメラ
60 ストロボ照明装置
70 制御手段
111a、111b、111c、121 ノズル
112 電磁弁
115 大気開放部
130’ 液滴
300、300a、300b、300c 液
350 細胞

Claims (11)

  1. 3以上の分岐を有し、該分岐が側鎖及び/又は末端に1以上の求電子性官能基を有するポリエチレングリコールを骨格として有する、多分岐型ポリマーAを含む液Aと、
    3以上の分岐を有し、該分岐が側鎖及び/又は末端に1以上の求核性官能基を有するポリエチレングリコールを骨格として有する、多分岐型ポリマーBを含む液Bと、
    を備える液滴吐出装置用の液セットであって、
    前記液A及び前記液BのpHが5以上10以下であり、
    前記液A及び前記液Bにおける前記多分岐型ポリマーの濃度が0.3質量%以上20質量%以下である、前記液滴吐出装置用の液セット。
  2. 前記求電子性官能基が、マレイミジル基、N−ヒドロキシ−スクシンイミジル(NHS)基、スルホスクシンイミジル基、フタルイミジル基、イミダゾイル基、アクリロイル基、及びニトロフェニル基よりなる群から選択され、
    前記求核性官能基が、チオール基、アミノ基、及び−COPhNOよりなる群から選択される請求項1に記載の液滴吐出装置用の液セット。
  3. 前記多分岐型ポリマーA及びBが共に四分岐型ポリマーである請求項1又は2に記載の液滴吐出装置用の液セット。
  4. 前記求電子性官能基がマレイミジル基であり、前記求核性官能基がチオール基である請求項1〜3のいずれか一項に記載の液滴吐出装置用の液セット。
  5. 前記液A及び前記液Bの25℃における粘度が30mPa・s以下である請求項1〜4のいずれか一項に記載の液滴吐出装置用の液セット。
  6. 前記液A及び前記液Bにおける前記多分岐型ポリマーの濃度が0.3質量%以上6.0質量%以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載の液滴吐出装置用の液セット。
  7. 前記液A及び前記液Bにおける前記多分岐型ポリマーの濃度が0.3質量%以上4.0質量%以下である請求項1〜6のいずれか一項に記載の液滴吐出装置用の液セット。
  8. 前記液A及び前記液BのpHが6以上10以下であり、前記液A及び前記液Bにおける前記多分岐型ポリマーの濃度が1.7質量%以上20質量%以下である請求項1〜5のいずれか一項に記載の液滴吐出装置用の液セット。
  9. 前記液A及び前記液Bのいずれか一方、又は両方に自己組織化生体材料が混合されている請求項1〜8のいずれか一項に記載の液滴吐出装置用の液セット。
  10. 前記自己組織化生体材料が、ラミニン及びコラーゲンを含むゲル、フィブリノーゲン、ゼラチン及びエラスチンからなる群から選択される一種以上である請求項9に記載の液滴吐出装置用の液セット。
  11. 前記液A及び前記液Bのいずれか一方、又は両方に細胞が懸濁されている請求項1〜10のいずれか一項に記載の液滴吐出装置用の液セット。
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