本発明は、特定保健指導の対象となってダイエットに取り組む者等に対するダイエット管理及びダイエット支援システムに関する。
2014年6月に発表された世界肥満実態調査によると、2013年時点で世界の成人における過体重・肥満人口(BMI≧25:過体重、BMI≧30:肥満)は21億人に達し、1980年のデータと比較して2.5倍に急増している。上記世界肥満実態調査は、米国ワシントン大学健康指標評価研究所が世界188ヵ国の最新のデータを基にまとめたものであり、その結果は医学誌「ランセット」に発表されている。
BMIが高いと脳血管疾患、心疾患、2型糖尿病などの生活習慣病の罹患リスクが高くなることが医学的に証明されており、肥満人口の増加は生活習慣病罹患者の増大、また医療費の増大につながることから、肥満人口の抑制は世界における喫緊の医療課題となっている。WHO(世界保健機関)では2025年までに肥満人口の増加を止めることを目標に挙げており、世界各国において様々な取り組みが実施されている。
我が国においては、厚生労働省が肥満をはじめとする生活習慣が原因となって起こる生活習慣病への移行を防ぐことを第一目的として、平成20年4月より40歳から74歳までの医療保険加入者に対して、特定健康診査(特定健診)および特定保健指導を行うよう通達している(平成19年厚生労働省令第157号第1条)。これは、特定健診の結果から生活習慣病予備群の対象者を抽出し、医師、保健師、管理栄養士等の専門家が前記対象者に対して生活習慣を見直すためのアドバイスを行った上で、初回の指導から半年間、専門家のフォローを受けながら対象者自身が生活習慣を改善することによって、生活習慣病の発症を防ぐ仕組みであり、世界各国の肥満対策の中でも先進的な取り組みとして注目されている。
しかしながら、特定健診および特定保健指導の取り組み開始から7年が経過した現在においても、当初想定していたような効果は実現されていない。平成25年度の市町村国保における特定健診・特定保健指導の実施状況を見てみると、特定保健指導の対象となった者のうち、目標値までダイエットを達成した者の割合は、わずか18.0%(平成25年度市町村国保実施分)にとどまっている。これまで多くのダイエット支援システムやリバウンドを阻止するための各種支援システムが提案されてきたが(特許文献1〜6参照)、せっかく保健指導に参加したとしても、半年の間に脱落する者が圧倒的に多く存在し、またダイエット成功後にリバウンドしてしまう者も相当数存在することから、日本全体の生活習慣病の罹患者を減少させるほどの効果が出ていないと言う状況にある。
その主たる要因は、医師や保健師等と相談して策定した約半年間のダイエットプログラムは、基本的に被特定保健指導者が自発的に実施しているであろう、との推測のもとに運用されており、ダイエットを途中で諦めて脱落してしまいそうになっている者や、リバウンドしそうになっている者の状況を医師や保健師が日々把握し、適切な支援やアドバイスを適切なタイミングで行う環境が整備されていないからである。
また、特許文献6、7では、本人の過去のダイエット脱落経験の有無を基にしてダイエットプログラムを策定したり、また生体データ受信手段により受信された生体データに基づいて保健指導対象者に対する保健指導事項を作成するようにした発明も提案されているが、ダイエットを途中で脱落しそうになっている状況を自動的に把握できるものではなかった。また、ダイエットを諦めかけている者の端末に、激励や再開を促すメッセージ等を送るようにしても、既に端末を見ていない可能性があり、ほとんど意味が無かった。このままの状況では今後も過体重・肥満人口が増え続けることが予想され、しかも肥満対策支援に関る医師や保健師等の人的資源には限りがあることから、ダイエット脱落やリバウンドを阻止するための効率的な介入管理ツールが求められている。
特開2008−181317号公報
特開2011−134229号公報
特開2011−123582号公報
特開2010−260327号公報
特開2015−141458号公報
特開2012−165967号公報
特開2012−064065号公報
特開2009−187100号公報
本願発明は、特定保健指導の対象となった者に対して最適なダイエットプログラムを提供するとともに、途中でダイエットを諦めて脱落しそうになっている者や、せっかくダイエットに成功した後(目標体重達成後)にリバウンドしてしまいそうになっている者を、日々の行動から把握し、こうした者の情報を各健保組合等の端末に表示することで、保健師等が適切なタイミングで、かつ適切な追加支援策を講じることができるダイエット支援及びダイエット管理システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本願の第一の発明は、ダイエットの管理及び支援システムであって、少なくとも、氏名、年齢、性別、身長、体重、体組成、生活習慣、目標体重、及び当該目標体重までの減量期間に関する個人情報を記録する個人情報データベースと、前記個人情報を基礎データとして、体重減量期及び/又は目標体重達成後の体重維持期における一日当たりの最適カロリー摂取削減量、一日当たりの最適カロリー消費増加量、及び最適ダイエット習慣を算出する目標値算出手段と、計測した体重をデータとして記録しインターネット回線を通じて当該体重データを外部に送信可能な体重データ送信手段、日々の活動量を計測したデータを記録しインターネット回線を通じて当該データを外部に送信可能なウェアラブル端末、前記最適ダイエット習慣の実施の有無データを記録しインターネット回線を通じて当該データを外部に送信可能な通信端末の内の少なくともいずれか1つと、前記体重データ送信手段、前記ウェアラブル端末、前記通信端末の内の少なくともいずれか1つから送信されるデータを受信し、当該データを処理するデータ処理手段と、前記目標値算出手段が算出した情報、及び前記データ処理手段が生成した情報を表示する表示手段と、を含む、ことを特徴とする。
また上記目的を達成するため、本願の第二の発明は、ダイエットの管理及び支援システムであって、少なくとも、氏名、年齢、性別、身長、体重、体組成、生活習慣、目標体重、及び当該目標体重までの減量期間に関する個人情報を記録する個人情報データベースと、前記個人情報を基礎データとして、体重減量期及び/又は目標体重達成後の体重維持期における一日当たりの最適カロリー摂取削減量、一日当たりの最適カロリー消費増加量、及び最適ダイエット習慣を算出する目標値算出手段と、計測した体重をデータとして記録しインターネット回線を通じて当該体重データを外部に送信可能な体重データ送信手段、日々の活動量を計測したデータを記録しインターネット回線を通じて当該データを外部に送信可能なウェアラブル端末、前記最適ダイエット習慣の実施の有無データを記録しインターネット回線を通じて当該データを外部に送信可能な通信端末の内の少なくともいずれか1つと、前記体重データ送信手段、前記ウェアラブル端末、前記通信端末の内の少なくともいずれか1つから送信されるデータを受信し、当該データを処理するデータ処理手段と、前記データ処理手段が生成した情報が、予め定めた規定値を超えた場合、ダイエット脱落情報を生成する比較手段と、前記目標値算出手段が算出した情報、前記データ処理手段が生成した情報、及び前記ダイエット脱落情報を表示する表示手段と、を含む、ことを特徴とする。
また上記目的を達成するため、本願の第三の発明は、ダイエットの管理及び支援システムであって、少なくとも、氏名、年齢、性別、身長、体重、体組成、生活習慣、目標体重、及び当該目標体重までの減量期間に関する個人情報を記録する個人情報データベースと、前記個人情報を基礎データとして、体重減量期における一日当たりの最適カロリー摂取削減量、一日当たりの最適カロリー消費増加量、及び最適ダイエット習慣を算出する目標値算出手段と、計測した体重をデータとして記録しインターネット回線を通じて当該体重データを外部に送信可能な体重データ送信手段、日々の活動量を計測したデータを記録しインターネット回線を通じて当該データを外部に送信可能なウェアラブル端末、前記最適ダイエット習慣の実施の有無データを記録しインターネット回線を通じて当該データを外部に送信可能な通信端末の内の少なくともいずれか1つと、前記体重データ送信手段、前記ウェアラブル端末、前記通信端末の内の少なくともいずれか1つから送信されるデータを受信し、当該データを処理するデータ処理手段と、前記データ処理手段が生成した情報と、前記目標値算出手段が算出する前記最適カロリー摂取削減量、前記最適カロリー消費増加量、前記最適ダイエット習慣とを比較する比較手段と、前記目標値算出手段が算出した情報、前記データ処理手段が生成した情報、及び前記比較手段が算出した情報を表示する表示手段と、ダイエットを途中で諦めて脱落した者の行動パターンをデータ化して蓄積したダイエット脱落データベースと、を含み、前記比較手段は、前記データ処理手段が生成した情報と前記ダイエット脱落データベースに記録されたデータとを比較することにより、ダイエット脱落危険度情報を更に生成する、ことを特徴とする。
さらに、上記目的を達成するため、本願の第四の発明は、ダイエットの管理及び支援システムであって、少なくとも、氏名、年齢、性別、身長、体重、体組成、生活習慣、目標体重、及び当該目標体重までの減量期間に関する個人情報を記録する個人情報データベースと、前記個人情報を基礎データとして、体重減量期における一日当たりの最適カロリー摂取削減量及び一日当たりの最適カロリー消費増加量と、目標体重達成後の体重維持期における一日当たりの最適カロリー摂取削減量及び一日当たりの最適カロリー消費増加量と、最適ダイエット習慣とを算出する目標値算出手段と、計測した体重をデータとして記録しインターネット回線を通じて当該体重データを外部に送信可能な体重データ送信手段、日々の活動量を計測したデータを記録しインターネット回線を通じて当該データを外部に送信可能なウェアラブル端末、前記最適ダイエット習慣の実施の有無データを記録しインターネット回線を通じて当該データを外部に送信可能な通信端末の内の少なくともいずれか1つと、前記体重データ送信手段、前記ウェアラブル端末、前記通信端末の内の少なくともいずれか1つから送信されるデータを受信し、当該データを処理するデータ処理手段と、前記データ処理手段が生成した情報と前記目標値算出手段が算出する前記最適カロリー摂取削減量、前記最適カロリー消費増加量、前記最適ダイエット習慣とを比較する比較手段と、前記目標値算出手段が算出した情報、前記データ処理手段が生成した情報、及び前記比較手段が算出した情報を表示する表示手段と、ダイエットを途中で諦めて脱落した者の行動パターンをデータ化して蓄積したダイエット脱落データベース及びリバウンドした者の行動パターンをデータ化して蓄積したリバウンドデータベースと、を含み、前記比較手段は、体重減量期において、前記データ処理手段が生成した情報と前記ダイエット脱落データベースに記録されているデータとを比較することによりダイエット脱落危険度情報を生成し、体重維持期において、前記データ処理手段が生成した情報と前記リバウンドデータベースに記録されているデータとを比較することにより、リバウンド危険度情報を更に生成する、ことを特徴とする。
本願の第一発明によれば、各健康保険組合等において実施する特定健診において特定保健指導の対象となった者に対する保健師等による日々の行動チェックが可能となり、端末画面上において、例えば1週間以上に渡って体重データが送信されていない状況が表示されている者がいた場合、これをダイエット脱落可能性、或いはリバウンド可能性が高いと判断でき、電話やメール等によって直接、本人に状況を確認することができる。ヒアリングの結果、実際にダイエットを諦めかけていた場合には、ダイエットプログラムの再開や、本人と相談の上、ダイエットプログラムの修正等の支援を行うことができる。
また本願の第二発明によれば、第一発明に加えて予め閾値を設定しておくことで、体重計、回答端末、ウェアラブル端末の内のいずれか1つから送信されるデータが当該閾値を超えた場合、健保組合の端末にダイエット脱落情報及び/又はリバウンド情報を自動表示するため、各担当保健師は、この表示によってダイエット脱落危険性及び/又はリバウンド危険性を容易に判別可能となり、電話やメール等によって直接、本人に状況を確認することができる。
また本願の第三発明によれば、体重減量期において、ダイエット脱落者の行動パターンをデータベース化しておき、対象者の行動とダイエット脱落者の行動パターンとを比較して、健保組合の端末にダイエット脱落危険度を表示することにより、保健師等は、危険度の高い者、即ち緊急性の高い者から順番に、電話やメールで直接、本人に状況を確認することができるため、限られた人員の中でより効率的な支援業務を遂行することができる。
さらに本願の第四発明によれば、上記第三発明に加えて、ダイエット成功(目標体重達成)後の体重維持期の行動についても日々チェックし、リバウンドした者の行動パターンをデータベース化しておき、対象者の行動とリバウンドした者の行動パターンを比較して、健保組合の端末にリバウンド危険度を表示することにより、保健師等は、せっかくダイエットに成功した者をリバウンドさせないように、危険度の高い者、即ち緊急性の高い者から順番に、電話やメールで直接、本人に状況を確認することができるため、限られた人員の中でより効率的な支援業務を遂行することができる。
本願発明の第一実施形態のシステム全体概略説明図
第一実施形態による健保組合端末画面表示
最適減量カーブ上に測定体重がプロットされて表示される画面例
本願発明の第二実施形態のシステム全体概略説明図
第二実施形態による健保組合端末画面表示
本願発明の第三実施形態のシステム全体概略説明図
第三実施形態による健保組合端末画面表示(脱落危険度表示)
第三実施形態による健保組合端末画面表示(リバウンド危険度表示)
図1〜8を用いて、本発明の各実施形態について詳細に説明するが、各実施形態は本願発明の範囲を限定的に解釈するためのものではなく、特許請求の範囲に記載された内容と発明の趣旨に基づいて、適宜に実施して良いことは言うまでもない。なお、各実施形態は、一例として一つの健康保険組合(以下、健保組合)内で実施することを想定したシステムとして説明する。
図1〜3に基づいて、本願発明の第一実施形態を説明する。図1は第一実施形態に係るシステムの概略を示す図である。まず、健保組合は健康診断の実施を被保険者に通知し、被保険者は所定の病院又は健康診断施設において健康診断を受診する。その結果、過体重・肥満と診断された者は、特定保健指導の対象者(以下、対象者)と認定され、ダイエットプログラムを実施する必要がある旨、通知される。当該通知を受けた対象者は、後日、健保組合等の場で、医師又は保健師等と相談の上、必要なダイエットプログラムを作成する。
上記ダイエットプログラムは、図1に示すとおり、管理システム1に接続されている健保組合内に設置された端末5の画面上から、氏名、年齢、性別、体重、身長、体組成(体脂肪率)、生活習慣(ウォーキング、ジョギング、テニスやゴルフ等のスポーツ習慣など)の基礎的データとともに、目標とする体重、当該目標体重を達成するまでの減量期間に関する情報(以下、個人情報)を入力して作成される。当該目標体重とは、いわゆるBMI標準体重計算式に基づく標準体重である必要はなく、対象者個々人の肥満状況に応じて、無理のない範囲で適宜に設定するものである。また本実施形態における前記管理システム1は、インターネットに接続された外部運営会社の管理サーバ内に構築されているが、各健保組合内に設置されたサーバ内に構築してもよい。
当該個人情報は、保健師等の担当者がダイエット対象者に確認、相談しながら入力するデータであり、端末5から入力された各データは、インターネット回線を通じて管理システム1内の個人情報データベース10に記録される。なお、現在の特定保健指導期間は、概ね最長6カ月と定められており、本実施形態における目標体重を達成するまでの減量期間は6カ月を基本とするシステム構成になっているが、個人によってはそれより短い4カ月、5カ月であっても良く、また場合によっては10カ月、又は翌年の健康診断までの期間である1年としても良い。
管理システム1内には、健保組合内に設置された端末5から入力された前記個人情報を基礎データとして、体重減量期及び体重維持期における一日当たりの最適カロリー摂取削減目標量(目標値)と一日当たりの最適カロリー消費増加目標量(目標値)、最適ダイエット習慣、及び最適減量カーブを算出する所要のアルゴリズム・プログラムからなる目標値算出手段20を有しており、個人情報データベース10に記録される情報を基に、当該対象者が目標とする体重、当該目標体重に減量するまでの期間に応じて、一日当たりの最適カロリー摂取削減量と一日当たりの最適カロリー消費増加量、最適ダイエット習慣、及び最適減量カーブを算出する。また、目標体重に到達した後の体重維持期における一日当たりの最適カロリー摂取削減目標量(目標値)と一日当たりの最適カロリー消費増加目標量(目標値)、及び最適ダイエット習慣も合わせて算出する。
最適カロリー摂取削減目標量とは、日々の食生活においてダイエット開始前に比べて、例えば200kcalを削減すると言った目標値であり、また一日当たりの最適カロリー消費増加目標量とは、日々の生活においてダイエット開始前に比べて運動等によって、例えばプラス100kcalを消費すると言った目標値であり、最適ダイエット習慣とは、上記100kcalを消費するために必要なウォーキングやジョギング等の運動メニューである。
本実施態様では、上記のとおり目標体重に到達した後における一日当たりの最適カロリー摂取削減目標量と一日当たりの最適カロリー消費増加目標量、及び最適ダイエット習慣も合わせて算出するようにしているが、その理由は、対象者に、ダイエット期間中だけでなくダイエット後においても、どれだけの食生活、日々の運動習慣等に変化が求められるかを予め理解してもらうためである。ダイエット完了後の各目標量等は、目標体重に達した後に、改めて算出するようにしても良い。なお、本明細書で記載する「ダイエット完了」とは、目標とする体重まで減量したことを意味するものであり、標準体重まで減量したことを意味するものではない。
目標値算出手段20によって算出された一日当たりの最適カロリー摂取削減量と一日当たりの最適カロリー消費増加量、最適ダイエット習慣、及び最適減量カーブは、データ入力した前記端末5上に表示され、対象者は保健師等と相談して、自身のダイエットプログラム内容を決定する。表示されたプログラムの実行に自信が無い場合には、再度、目標とする体重や当該目標体重までの期間を修正して再入力し、実行可能な納得できるダイエットプログラムが算出表示されるまで、この作業を繰り返す。決定したダイエットプログラムは、個人情報データベース10に記録される。
各健保組合は、対象者に対し、決定したダイエットプログラム内容をプリントアウトした紙資料の他に、ダイエットプログラムを実行する期間中に使用する体重計2、スマートフォン又はタブレット型端末3、ウェアラブル端末4を提供する。なお、スマートフォン又はタブレット型端末3は、対象者が個人で所有する端末を利用しても良い。
本実施形態で使用する体重データ送信手段としての体重計2は、いわゆるIoT体重計であり、計測した体重をデータとして保存し、かつ当該計測データを、インターネット回線を通じて管理システム1に自動的に送信するものである。IoT体重計以外に、日々測定した体重データを管理システム1に送信するための体重データ送信手段としては、近距離通信機能を有する体重計と、当該体重計から受信したデータを管理システム1に送信する端末の組合せであってもよく、或いは通常の体重計によって体重を測定し、管理システム1にデータ送信可能な端末の画面上に、測定した体重数値を自ら入力するようにしても良い。
ウェアラブル端末4は、腕時計式等の人体着用型端末であり、日々の活動量を自動で計測し、計測結果のデータを、インターネット回線を通じて管理システム1に自動的に送信するものである。ウェアラブル端末4で計測する活動量とは、例えば、一日のウォーキング時間、ジョギング時間等である。
スマートフォン又はタブレット型端末3は、本システムを運用するための専用アプリケーションソフトがダウンロードされ、日々のダイエット習慣を実施したか否かを「はい」又は「いいえ」等のアイコンをクリックして入力するものであり、入力した結果は、インターネット回線を通じて管理システム1に自動的に送信される。日々のダイエット習慣とは、前記した各健保組合の端末上に表示された最適ダイエット習慣のメニューと同じ内容であり、例えば、ウォーキング1時間、ジョギング30分、スクワット10回、各種食事制限や飲酒制限等の内容である。
対象者は、ダイエットプログラムに従って日々食事し、所定の運動を行うとともに、体重計2を用いて体重を日々測定する。また、スマートフォン又はタブレット型端末3を用いて、ダイエット習慣を実施したか否かを日々回答する。測定した体重、回答結果は、ウェアラブル端末4で自動計測した活動量結果とともに、管理システム1内のデータ処理手段25に送信される。
なお、本実施形態では、日々の行動を厳格にチェックするため、体重計2、スマートフォン又はタブレット型端末3、ウェアラブル端末4の全てを使用しているが、このうちのいずれか1つ、或いはいずれか2つの組合わせで運用しても良い。また日々のダイエット習慣の回答内容と、ウェアラブル端末4で測定する活動内容の一部は必須項目として同じ内容(例えば設定時間のウォーキング及びジョギングの実施)であるため、いずれか一つのデータがあればある程度管理することができるが、本実施形態では、対象者の記録ミスやウソを回答したことが分かるように、或いはウェアラブル端末で自動計測できない付加的内容を自分で回答してもらうように、敢えて両方を使用している。
データ処理手段25は、体重計2、スマートフォン又はタブレット型端末3、ウェアラブル端末4から日々送られてくるデータを処理し、個人情報データベース10から入手した情報と合体させ、対象者ごとに紐付してリスト表示できるデータを健保組合端末5に送信する。
図2は、複数の対象者がダイエットを開始した後、即ち、体重減量期において、健保組合端末5に表示されるリストの例である。健保組合は、年間数回定期的に健康診断を実施しており、リストに表示される集団は、同日、同時期、或いは同一年度に受診して特定保健指導の対象となった集団(同一集団)である。
データ処理手段25は、個人情報データベースに記録されている初期データとともに、日々送られてくる体重データ、ダイエット習慣の実施有無、ウェアラブル端末で測定した運動データを処理し、また直近の体重データを基に、目標体重までの達成率を計算し、図2に示す形式で各対象者のダイエット活動状況を表示する。
図2に示す端末画面上には、設定した目標体重、実測した体重、目標体重までの達成率がそれぞれ表示されるとともに、最適ダイエット習慣として各人4つの項目が提供され、各項目について実施したと回答した場合は○、実施しなかったと回答した場合は×が表示され、ウェアラブル端末での実測結果が目標値のウォーキング時間又はジョギング時間以上であった場合には○、そうでない場合には×が表示される例を示している。
当該表示方法は、保健師等が対象者の日々の行動をチェックできる方法であれば、どのような方法であっても良い。例えば、ウォーキング時間やジョギング時間は、実測した時間をそのまま表示しても良く、また実測値が目標値に満たない場合には色付け表示としても良い。また、連続して体重データ等を受信していない場合、例えば「10日無」として表示している。
対象者の体重がダイエットプログラムどおりに減少していれば特に問題はないが、いわゆる三日坊主の者や、一生懸命頑張ってはいるもののダイエット効果が表れていない者の場合、人間の心理としてダイエットを途中で諦めてしまいがちになる。
保健師等は、日々、端末5の画面から各対象者の行動をチェックでき、例えば、目標達成率の数値から見て減量が全く進んでいない場合、或いは、例えば「10日無」の表示がある者を発見した場合、ダイエットを諦めかけているのではないかと推定し、直接、本人に電話やメール等で状況を確認することができる。
仮に、実際にはダイエットプログラムは順調に実施していたが、体重測定や端末での回答、ウェアラブル端末の着用が面倒になって行っていなかったため、ダイエット脱落と誤解されたとしても、直接本人に確認することで体重測定等の再開を促すことができる。
上記の端末画面表示例では、最適ダイエット習慣回答4つの内、左側2個がウォーキングの実施とジョギングの実施の有無に関する○×回答順番になっており、またウェアラブル端末によるウォーキングとジョギングの測定結果を順番に運動状況として○×表示しているため、本人の回答内容と、ウェアラブル端末による運動状況の実測表示内容を比較すれば、実際にはジョギングをしていないにも拘わらず、ウソの○回答をしたかどうかが判断できるようになっている。ウソの回答が頻繁にある者は、往々にしてダイエットを諦めかけている者に多く見られる傾向であるため、この表示結果からも追加支援を必要としている可能性を判断できる。なお本実施形態に係るダイエット習慣回答4つの内、右側2個は食事内容等に関する設問であり、ウェアラブル端末では計測できない内容となっている。
更に本実施形態では、ダイエット完了後、即ち目標体重への減量を達成した後も、当該目標体重を維持するため、引き続き体重計2、スマートフォン又はタブレット型端末3、ウェアラブル端末4の使用を継続し、データ処理手段30によって、日々の体重、活動状況が健保組合端末5に表示されるようになっている(図8参照、本実施例では図示せず)。
その結果、せっかく減量した体重が大幅に増加している者、或いは、体重データが、例えば「10日無」との表示がある者を保健師等が発見した場合、リバウンドしそうになっている可能性があると推定し、直接、本人に電話やメール等で状況を確認することができる。
更に本実施形態では、目標値算出手段20は最適減量カーブも算出するようになっており、端末画面に表示されている氏名をクリックすれば、図3に示すような当該者の最適減量カーブ上に実際に測定した体重がプロットされたグラフが表示され、保健師等は減量が順調に行われているかどうか、又はリバウンドしていないかどうかの状況を一目で把握できるようになっている。また氏名をクリックすることで、上記グラフとともに当初に入力した全ての個人情報を一覧で表示するようにしても良い。
なお、現実には健保組合の保健師等の促しだけでは、真面目にダイエットに取り組まない者も存在する。会社員の場合、会社組織や直属の上司から直接ダイエットを指示された方が効果的であることも多いため、健保組合の端末5に加えて、会社総務部門或いは直属部長が見ることができる会社内端末に、日々のダイエット活動情報を送信するようにしても良い。
図4、5に基づいて、本発明の第二実施形態を説明する。本実施形態も、第一実施形態と同様に、日々の行動を厳格にチェックするため、体重計2、スマートフォン又はタブレット型端末3、ウェアラブル端末4の全てを使用しているが、このうちのいずれか1つ、或いはいずれか2つの組合わせで運用しても良い。
図4に示すとおり、本第二実施形態と第一実施形態が相違する点は、ダイエットを諦めて脱落しそうになっている可能性が高い状況、又はリバウンドしそうになっている可能性が高い状況を、それぞれの閾値として予め設定しておき、データ処理手段25から送られてくるデータと当該閾値を比較し、当該閾値を超えた際にダイエット脱落情報を生成する比較手段30を有している点である。
比較手段30は、体重減量期において、例えば体重データが10日間連続して送信されない場合や、ダイエット開始から3カ月を経過後も目標達成率が10%を切っている場合を閾値として設定しておき、データ処理手段25から10日間連続で体重データが無い場合や目標達成率が10%を切っている場合、ダイエット脱落情報を生成し、図5に示すように、健保端末5画面上にダイエット脱落情報を表示する。本実施形態では、氏名の先頭に赤い丸が点滅するようにしているが、氏名を他者と違う赤色等で表示しても良い。いずれにしても、保健師等が、端末5の画面上から一目で分かるような表示にすれば良い。
またリバウンド情報を生成するための閾値も、到達した目標体重からの増加率(リバウンド率)や、データ送信が一定期間無い場合など、適宜に設定する。
閾値は、上記の例に限らず、過去にダイエットを脱落してしまった者の各種情報を基にして、適宜に複数パターンを設定することができる。また体重維持期におけるリバウンドの判断も上記と同様に、過去のリバウンドした者の各種情報を基にして、適宜に複数パターンを設定することができる。
本第二実施形態によれば、ダイエット脱落確度が極めて高い状態、及びリバウンド確度が極めて高い状態を予め閾値として設定しておき、対象者の行動が当該閾値で設定した状態になった場合、ダイエットの脱落又はリバウンドの危険性が高いと判断し、システムによって自動的にダイエット脱落情報又はリバウンド情報を生成して健保組合の端末5の画面上に表示することにより、保健師等が一目で脱落又はリバウンド状況にある可能性を判断できるため、追加支援や直接確認が必要な対象者を、ピンポイントに、かつ適切なタイミングで把握することができる。
なお、健保組合端末5において、氏名表示をクリックすれば、最適減量カーブ上に実際に測定した体重がプロットされ、減量が順調に行われているかどうか、或いは目標体重が維持されているかどうかをビジュアルに確認することができるのは、第一実施形態と同じである。
図6〜8に基づいて、本発明の第三実施形態を説明する。本実施形態も、第一、第二実施形態と同様に、日々の行動を厳格にチェックするため、体重計2、スマートフォン又はタブレット型端末3、ウェアラブル端末4の全てを使用しているが、このうちのいずれか1つ、或いはいずれか2つの組合わせで運用しても良い。
本実施形態の特徴は、ダイエット期間中(減量期間中)におけるダイエット脱落の危険性、及びダイエット完了後の体重維持期におけるリバウンドの危険性を、上記第二実施形態に比べてより危険性の深刻さを判断しやすい危険度として判定する点である。
図6に示すとおり、管理システム1内の比較手段30は、ダイエットプログラムで定めた当該対象者の一日当たりの最適カロリー摂取削減量、一日当たりの最適カロリー消費増加量、最適ダイエット習慣、及び最適減量カーブと、データ処理手段25が処理した結果とを比較することにより、ダイエットが順調に行われているか否かを判定し、判定結果をスマートフォン又はタブレット型端末3と、各健保組合内の端末5に送信する。
各健保組合の端末5は、健康診断実施日毎に特定保健指導の対象者となった複数の者を一つの母集団として一覧表示するようになっている。当該判定は、毎日でも良く、或いは1週間単位、10日単位等、適宜に実施して良い。
図6に示すとおり、本発明の比較手段30は、ダイエットを途中で諦めてしまった者の体重増減傾向、ダイエット習慣実施の有無、体重測定の有無等を予めデータ化したダイエット脱落データベース40と、当該ダイエット脱落データベース40に記録されている脱落パターンと、対象者から送信されてくるデータとを比較することにより、前記判定の際に、ダイエット脱落危険度を判定するダイエット脱落危険度判定手段32を更に有している。
ダイエット脱落危険度とは、過去のダイエット脱落者の行動パターンから見て、このまま行けば恐らくダイエットを諦めてしまうであろうとの予測値であり、その確度の大きさに応じて脱落危険度が高い順に、A判定、B判定、C判定の3段階に判定するようになっている。当該判定は、3段階に限らず、4段階、5段階式の判定であっても良く、また危険度の表示方法としては、●や★等の図形の数で表示しても良い。
最も危険度の高いA判定は、例えば、直近送信した体重がほとんど減少しておらず(逆に増加)、その後10日以上に渡って体重測定も、ダイエット習慣実施の回答も、ウェアラブル端末4も身に着けていない状態となった場合に生成され、またB判定は、例えばA判定に比べて相対的に体重は減少しているものの日々の増減幅が大きく、かつ体重測定や回答をしない日が頻繁に出現するようになった場合に生成され、またC判定は、体重はA・B判定に比べて減少傾向にあるものの、目標値との乖離も大きく、かつ体重測定せず、ダイエット習慣実施への回答もせず、ウェアラブル端末4も着用していない状態が週に2、3回程度出現するようになった場合等に生成される。
過去のダイエット脱落者の行動パターンは様々であり、本実施形態では例えば過去100人のダイエット脱落経験者からヒアリングした結果を基に、確度の高い推測値として予め定めた行動パターンテーブルを用意し、当該行動パターンテーブルと実際に送信されてくるデータとを比較することで、危険度を判定するようにしている。
なお、危険度判定の精度を高める方法としては、例えば本システム内に人工知能を採用し、実際の運用によって脱落者の行動パターンを学習させ、上記行動パターンテーブルを実測によって追加、修正するようにしても良い。
また、危険度判定方法としては、例えば第一実施形態のシステムを利用して、数百人のサンプルを収集し、当該サンプルをベースとして、天気予報の降水確率と同様の統計手法を用いた脱落確率を算出するようにしても良い。上記のとおり本願発明で言うダイエット脱落危険度の判定とは、脱落危険性をランク付けして評価したり、或いは統計手法にもとづく確率表示を行うものである。
図7は、各健保組合の端末5の画面上に表示されるダイエット脱落危険度の表示例である。ダイエット脱落危険度判定手段32によって生成したダイエット脱落危険度は、各健保組合の端末5の画面上において、氏名の左側に「判定A」、「判定B」、「判定C」と表示されるとともに、色付きマスキングで表示される。ダイエット脱落危険度の判定表示以外の表示内容は、第一実施形態と同じである。
本実施形態では、最も脱落可能性の高いA判定集団に属する者の氏名は赤色でマスキングされて氏名リストのトップに表示し、B判定集団は紫色でマスキングされ、かつA判定集団の下にリストアップし、C判定集団は黄色でマスキングされ、かつB判定集団の下にリストアップし、順調にダイエットしている集団は「順調」と判定して、着色なしの状態でC判定集団の下にリストアップするようなっている。
上記のとおり、本実施形態では各健保組合の端末5の画面上において、ダイエットを諦めて脱落する危険性の高い対象者を、可能性の高い順にリスト化することで、保健師等が、現時点で急ぎ支援する必要性のある者を一目で判別でき、限られた人員制限の中で、脱落可能性の高い対象者から順に、ピンポイントで追加支援策を講じることができるようになっている。
保健師等は、まず赤色表示された最もダイエット脱落可能性の高い者に対し、電話や面接等によって直接的に、ダイエットプログラムの再開と、日々の体重測定、設問への回答、ウェアラブル端末4の着用を促す。その結果、赤色表示となった対象者が左記事項を再開すると、次の判定では通常実施者の「順調」表示に戻り、緊急支援を必要とするリストから外れる。
また本実施形態では、こうした保健師等による具体的な追加支援活動の内容を、対象者と紐付けて端末上から記録できるようになっている。当該追加支援活動情報は、個人情報データベース10に記録しても良く、或いは別の専用データベースに記録しても良い。実施した追加支援内容は、図7に示す画面右側に表示される。
ダイエット脱落危険度判定手段32によって生成されたダイエット脱落危険度情報(判定結果)は、対象者の端末3に送信しても良いが、既にダイエットを諦めてしまい、端末3を見ていないことが想定される。そのため本実施形態では、当該ダイエット脱落危険度情報は各健保組合の端末5のみに送信し、保健師等が状況を確実に把握できるようにしている。なお判定結果は、第一実施形態と同様に会社端末に送信しても良い。
なお、対象者の中には、順調にダイエットは行っているが、日々の体重測定や設問への回答、ウェアラブル端末4の着用は面倒なので行わない者がいる可能性もある。このような者が存在する場合、事実と反するダイエット脱落危険度情報が生成されてしまうことになるが、その場合であっても、保健師等が電話等で事実関係を確認でき、対象者に対し、体重測定、設問への回答、ウェアラブル端末4の着用再開を行うよう促すことができる。
その後、体重測定等が再開され、ダイエットプログラムを順調に実施しているとシステムが判断した場合には、先のダイエット脱落危険度情報は消去され、順調者リストに掲載される。またIoT体重計やウェアラブル端末等の機器の不具合、電池切れ等によっても誤ったダイエット脱落危険度情報が生成されてしまう可能性があるが、こうした場合も上記と同様に保健師等が電話等で直接状況を確認し、機器の不具合を解消することで、誤ったダイエット脱落危険度情報の生成問題を解決することができる。
また本システムでは、ダイエット脱落危険度がA判定となり、かつ保健師等による直接的な促しによっても再開されず、A判定のまま6カ月のダイエット期間が経過してしまった場合、ダイエットプログラムを完全に諦めたものと判断し、ダイエット脱落危険度判定手段32からダイエット脱落情報を更に生成するようになっている。
ダイエット脱落情報は、これを「1」とカウントして累積し、これによって特定保健指導の対象者全員を母集団として、ダイエット脱落率を算出できるようになっている。なお母集団は、例えば、毎月、四半期、或いは半年ごとに、特定保健指導の対象となった参加者とする。このため、個人情報データベース10には、ダイエットプログラムを開始した日時のデータも記録しておく。
さらに、目標期間内に目標体重まで減量を達成した者については、各健保組合の端末上で「達成完了」と表示し、達成者リストとして別に表示するようにしてもよい。また達成者は、これを「1」とカウントして累積し、特定保健指導の対象者全員を母集団として、ダイエット成功率、或いは目標達成率として算出するようにしてもよい。この場合の母集団も、例えば、毎月、四半期、或いは半年ごとに、特定保健指導の対象となった参加者とする。
本システムによれば、6カ月のダイエット期間が満了した時点で、目標体重まで減量を達成した者、目標体重には届かなかったがダイエット習慣を頑張って継続した者、途中で完全に諦めて脱落してしまった者、の3つの集団を明確に把握することができ、定期的に実施される特定保健指導の実績データとして統計化することができる。
また6カ月のダイエット期間が満了した時点で、完全にダイエットを諦めてしまった者及び目標値に達しなかった者に対しては、次の健康診断(半年後)まで放置しても良いが、再度相談しながら新たなダイエットプログラムを作成し、次の健康診断まで引き続き実施しても良い。
また本システムによれば、ダイエットプログラム開始後、保健師等がどの対象者に、いつ、どのような追加支援を実施したかを記録できることから、各健保組合は保健師等の活動状況を組織として明確に把握することができ、人員計画や組織のあり方についての検討材料とすることができる。
なお、6カ月のダイエット期間中に目標体重に達したものの、当初設定した目標体重は無理のない範囲で設定したものであり、理想とする標準体重には及んでおらず、引き続き次の目標体重を目指したダイエットプログラムを希望する者が出て来ることも想定される。その場合、次の健康診断(半年後)を待たずに、保健師等と相談の上で、更なる目標体重を目指した新たなダイエットプログラムを策定して実施しても良い。この場合、以下に説明する体重維持期の管理は適用されず、新しいダイエットプログラムに基づく体重減量期の支援システムが適用される。
以上の説明は体重減量期、即ち、ダイエットを開始してから目標体重まで減量する過程での支援システムであるが、本実施形態は、目標体重に達した者(達成者)の体重維持期において、リバウンドを適切に回避するための支援システムを更に有している。
目標達成者が、その後もダイエット習慣を継続し、食生活も改善して目標体重を維持していれば問題ないが、人間の心理として、目標体重に達した後はダイエットロス状態に陥り、生活習慣も食事も、徐々に元に戻ってしまいがちになる。その結果、多くの者がリバウンドする。
本システムでは、目標体重まで減量を達成した者がその後にリバウンドしないように、目標値算出手段20によって算出された一日当たりの最適カロリー摂取削減量、一日当たりの最適カロリー消費増加量、及び最適ダイエット習慣を算出して提示するとともに、対象者には少なくとも日々の体重測定を継続するよう指示する。
減量期間中と同様に、設問への回答、ウェアラブル端末4の着用を継続してもよいが、ダイエット完了後であることから、設問への回答やウェアラブル端末4の着用を強要すると、これを面倒と思ってしまう可能性があるため、本実施形態では対象者が無理なく実施できるよう体重測定のみを継続するシステムとしている。
管理システム1内の比較手段30は、体重計2から送信される測定体重と、維持目標の体重とを比較し、体重が目標体重の所定範囲内に維持されているかを判定し、判定結果をスマートフォン又はタブレット型端末3と、各健保組合内の端末5に送信する。当該判定は、毎日でも良く、或いは1週間単位、10日単位等、適宜に実施して良い。
対象者の体重が目標体重の許容範囲内(例えばプラス2%以内)で維持されていれば特に問題ないが、ダイエット習慣も徐々に疎かになり、食生活も元に戻ってしまい、明らかに体重増加傾向になってしまった場合、多くの者が自暴自棄となってリバウンドしてしまう。本発明は、こうした状況をいち早く察知し、リバウンドしそうになっている者に対してリバウンド危険度情報を生成し、当該情報を各健保組合内の端末5に送信して、保健師等がその状況を把握できるようになっている。リバウンド危険度とは、リバウンドした者の行動パターンから見て、このまま行けば恐らくリバウンドするであろうとの予測値である。
図6に示すように、本発明の比較手段30には、過去にリバウンドしてしまった者からヒアリングした結果をもとに、体重増加パターンを予めデータ化したリバウンドデータベース50を有しており、当該リバウンドデータベース50に記録されているリバウンドパターンと、対象者から送信されてくる体重データとを比較することにより、前記判定の際に、リバウンド危険度情報を算出するリバウンド危険度判定手段33を更に有している。なお、ダイエット習慣実施の回答、ウェアラブル端末4の着用も義務化する場合、リバウンド情報データベースの内容も、これに合わせた内容とすれば良い。
リバウンド危険度はその確度の大きさに応じて、リバウンド危険度が高い順に、X判定、Y判定、Z判定の3段階で判定するようになっている。最も危険度の高いX判定情報は、例えば右肩上がりに一直線に体重が増加し、所定期間内(例えば3カ月内)に体重削減量の半分以上増えてしまった状態、或いは、右肩上がりに体重が増加している状態から体重データが所定期間送信されなくなってしまった場合に生成され、Y判定情報は、X判定よりは体重増加速度は遅いものの明らかに増加傾向にあり、かつ体重データが週に3、4回程度しか送信されなくなってしまった場合に生成され、またZ判定情報は、日々多少の増減はあるものの全体として緩やかに体重増加傾向にあり、体重測定情報が頻繁に送信されなくなった場合に生成される。その他、様々な組合せ状態に応じて、リバウンド危険度を求めるようにしている。なお当該リバウンド危険度の判定は、ダイエット脱落危険度と同様に、3段階に限らず、4段階、5段階式の判定であっても良く、また危険度の表示方法としては、●や★等の図形の数で表示しても良い。
過去のリバウンドしてしまった者の行動パターンは様々であり、本実施形態では過去100人のリバウンド経験者からヒアリングした結果を基に、確度の高い推測値として予め定めた行動パターンテーブルを用意し、当該行動パターンテーブルと実際に送信されてくるデータとを比較することで、危険度を判定するようにしている。
なお、リバウンド危険度判定の精度を高める方法としては、ダイエット脱落データベース40と同様に、例えば本システム内に人工知能を採用し、実際の運用によってリバウンド者の行動パターンを学習させ、上記行動パターンテーブルを実測によって追加、修正するようにしても良い。
また、危険度判定方法も、上記ダイエット脱落危険度と同様に、例えば第一実施形態のシステムを利用して、数百人のサンプルを収集し、当該サンプルをベースとして、天気予報の降水確率と同様の統計手法を用いたリバウンド確率を算出するようにしても良い。上記のとおり本願発明で言うリバウンド危険度判定とは、リバウンドの危険性をランク付けして評価したり、或いは統計手法にもとづく確率表示を行うものである。
図8は、各健保組合の端末5の画面上に表示されるリバウンド危険度の表示例である。各健保組合の端末5の画面上において、対象者リストには、到達した目標体重と直近の体重、リバウンド率が表示されるとともに、リバウンド危険度判定手段33が生成したリバウンド危険度が、氏名の左側に「判定X」、「判定Y」、「判定Z」と表示されるとともに、色付きマスキングで表示される。
本実施形態では、最もリバウンドする確度が高いX判定集団に属する者の氏名は赤色でマスキングされてリストのトップに表示し、Y判定集団は紫色でマスキングされ、かつX判定集団の下にリストアップし、Z判定集団は黄色でマスキングされ、かつY判定集団の下にリストアップし、体重が目標値に対して所定範囲内に維持されている集団は「順調」と判断して、着色なしの状態でZ判定集団の下に、リストアップするようなっている。
各健保組合の端末5の画面上において、リバウンド危険性の高い対象者を、可能性の高い順にリスト化することで、保健師等が、現時点で急ぎ支援する必要性のある者を一目で判別でき、限られた人員制限の中で、リバウンド可能性の高い対象者から順に、ピンポイントで追加支援策を講じることができるようになっている。
保健師等は、まずX判定集団の赤色表示されたリバウンド可能性の高い者に対し、電話や面談等によって直接的に、ダイエットプログラムの再開と、日々の体重測定の再開を促す。その結果、赤色表示となった対象者が左記事項を再開すると、次の判定では目標値維持者の表示(或いはY判定又はZ判定)に戻り、緊急支援を必要とするリストから外れる。
また本システムは、こうした保健師等による具体的なリバウンド回避のための支援活動を、対象者と紐付けて端末上から記録できるようになっている。当該支援活動情報は、個人情報データベース10に記録しても良く、或いは別の専用データベースに記録しても良い。実施した追加支援内容は、図7に示す画面右側に表示される。
本システムによれば、目標体重まで減量達成した者の中から、その後リバウンドしそうになっている者をいち早く察知し、保健師等が適切なタイミングで目標体重を維持するよう注意喚起することができる。
リバウンド危険度判定手段33によって生成されたリバウンド危険度情報は、対象者の端末3に送信しても良いが、既にダイエットを諦めてしまい、端末を見ていないことが想定される。そのため本実施形態では、当該リバウンド危険度情報は各健保組合の端末5に送信し、保健師等が状況を確実に把握できるようにしている。また第一実施形態と同様に、リバウンド判定結果は会社端末にも送信しても良い。
なお、対象者の中には、順調に減量後の体重を維持しているが、体重測定は面倒なので行わない者がいる可能性がある。こうした者が存在する場合、事実と反するリバウンド危険度情報が生成されてしまうことになるが、その場合であっても、保健師等が電話等で事実関係を確認でき、対象者に対し、体重測定の再開を促すことで、誤ったリバウンド危険度情報を消去することができる。またIoT体重計の不具合、電池切れ等によっても誤ったリバウンド危険度情報が生成されてしまう可能性があるが、こうした場合も上記と同様に保健師等が電話等で直接状況を確認し、機器の不具合を解消することで、問題を解決できる。
また本システムでは、リバウンド危険度がX判定となり、かつ保健師等による促しによっても体重測定を再開せず、X判定のまま所定期間(例えば6カ月)が経過してしまった場合、完全にリバウンドしたと判断し、リバウンド危険度判定手段33によってリバウンド情報を更に生成するようになっている。リバウンド情報は、これを「1」とカウントして累積し、これによって目標体重達成者を母集団として、リバウンド率を算出できるようになっている。なお母集団は、例えば、毎月、四半期、或いは半年ごとに、特定保健指導の対象となった参加者とする。
なお、本実施形態は、ダイエット脱落危険度判定手段とリバウンド危険度判定手段の両方を備えたシステムとして紹介したが、ダイエット脱落危険度判定手段のみ、或いはリバウンド危険度判定手段のみを有するシステムとしても良い。
更に本実施形態においても、第一、第二実施形態と同様に、目標値算出手段20が最適減量カーブを算出するようにし、端末画面に表示されている氏名をクリックすれば、図3に示す最適減量カーブ上に実際に測定した体重がプロットされたグラフを表示するようにし、保健師等が、減量が順調に行われているかどうか、又はリバウンドしていないかどうかの状況を一目で把握できるようにしても良い。
上記した各実施態様は、一つの健保組合での実施を例として説明したが、自治体単位での運用(国民健康保険)等であっても良い。
以上のとおり、本発明のシステムによれば、特定保健指導の対象となった者の日々のダイエットプログラムの実行状況を、担当保健師等が各健保組合内の端末5から把握できるとともに、ダイエットを諦めて脱落しそうになっている者やリバウンドしそうになっている者の情報を同端末から確度の高い順に把握できることで、限られた人員制限の中で、効率よくピンポイントで、かつ適切なタイミングで改善指導することが可能となる。
また本発明のシステムによれば、ダイエット達成率、ダイエット脱落率を含む未達率や、目標達成後の維持率、リバウンド率と言ったマクロデータを取得することができ、このマクロデータを各健保組合や行政における新たな施策立案のための基礎データとすることができる。
1 管理システム
2 IoT体重計
3 スマートフォン又はタブレット型端末
4 ウェアラブル端末
5 健保組合端末
10 個人情報データベース
20 目標値算出手段
25 データ処理手段
30 比較手段
32 ダイエット脱落危険度判定手段
33 リバウンド危険度判定手段
40 ダイエット脱落データベース
50 リバウンドデータベース
本発明は、特定保健指導の対象となってダイエットに取り組む者等に対するダイエット管理及びダイエット支援システムに関する。
2014年6月に発表された世界肥満実態調査によると、2013年時点で世界の成人における過体重・肥満人口(BMI≧25:過体重、BMI≧30:肥満)は21億人に達し、1980年のデータと比較して2.5倍に急増している。上記世界肥満実態調査は、米国ワシントン大学健康指標評価研究所が世界188ヵ国の最新のデータを基にまとめたものであり、その結果は医学誌「ランセット」に発表されている。
BMIが高いと脳血管疾患、心疾患、2型糖尿病などの生活習慣病の罹患リスクが高くなることが医学的に証明されており、肥満人口の増加は生活習慣病罹患者の増大、また医療費の増大につながることから、肥満人口の抑制は世界における喫緊の医療課題となっている。WHO(世界保健機関)では2025年までに肥満人口の増加を止めることを目標に挙げており、世界各国において様々な取り組みが実施されている。
我が国においては、厚生労働省が肥満をはじめとする生活習慣が原因となって起こる生活習慣病への移行を防ぐことを第一目的として、平成20年4月より40歳から74歳までの医療保険加入者に対して、特定健康診査(特定健診)および特定保健指導を行うよう通達している(平成19年厚生労働省令第157号第1条)。これは、特定健診の結果から生活習慣病予備群の対象者を抽出し、医師、保健師、管理栄養士等の専門家が前記対象者に対して生活習慣を見直すためのアドバイスを行った上で、初回の指導から半年間、専門家のフォローを受けながら対象者自身が生活習慣を改善することによって、生活習慣病の発症を防ぐ仕組みであり、世界各国の肥満対策の中でも先進的な取り組みとして注目されている。
しかしながら、特定健診および特定保健指導の取り組み開始から7年が経過した現在においても、当初想定していたような効果は実現されていない。平成25年度の市町村国保における特定健診・特定保健指導の実施状況を見てみると、特定保健指導の対象となった者のうち、目標値までダイエットを達成した者の割合は、わずか18.0%(平成25年度市町村国保実施分)にとどまっている。これまで多くのダイエット支援システムやリバウンドを阻止するための各種支援システムが提案されてきたが(特許文献1〜6参照)、せっかく保健指導に参加したとしても、半年の間に脱落する者が圧倒的に多く存在し、またダイエット成功後にリバウンドしてしまう者も相当数存在することから、日本全体の生活習慣病の罹患者を減少させるほどの効果が出ていないと言う状況にある。
その主たる要因は、医師や保健師等と相談して策定した約半年間のダイエットプログラムは、基本的に被特定保健指導者が自発的に実施しているであろう、との推測のもとに運用されており、ダイエットを途中で諦めて脱落してしまいそうになっている者や、リバウンドしそうになっている者の状況を医師や保健師が日々把握し、適切な支援やアドバイスを適切なタイミングで行う環境が整備されていないからである。
また、特許文献6、7では、本人の過去のダイエット脱落経験の有無を基にしてダイエットプログラムを策定したり、また生体データ受信手段により受信された生体データに基づいて保健指導対象者に対する保健指導事項を作成するようにした発明も提案されているが、ダイエットを途中で脱落しそうになっている状況を自動的に把握できるものではなかった。また、ダイエットを諦めかけている者の端末に、激励や再開を促すメッセージ等を送るようにしても、既に端末を見ていない可能性があり、ほとんど意味が無かった。このままの状況では今後も過体重・肥満人口が増え続けることが予想され、しかも肥満対策支援に関る医師や保健師等の人的資源には限りがあることから、ダイエット脱落やリバウンドを阻止するための効率的な介入管理ツールが求められている。
特開2008−181317号公報
特開2011−134229号公報
特開2011−123582号公報
特開2010−260327号公報
特開2015−141458号公報
特開2012−165967号公報
特開2012−064065号公報
特開2009−187100号公報
本願発明は、特定保健指導の対象となった者に対して最適なダイエットプログラムを提供するとともに、途中でダイエットを諦めて脱落しそうになっている者や、せっかくダイエットに成功した後(目標体重達成後)にリバウンドしてしまいそうになっている者を、日々の行動から把握し、こうした者の情報を各健保組合等の端末に表示することで、保健師等が適切なタイミングで、かつ適切な追加支援策を講じることができるダイエット支援及びダイエット管理システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本願の第一の発明は、ダイエットの管理及び支援システムであって、少なくとも、氏名、年齢、性別、身長、体重、体組成、生活習慣、目標体重、及び当該目標体重までの減量期間に関する個人情報を記録する個人情報データベースと、前記個人情報を基礎データとして、体重減量期における一日当たりの最適カロリー摂取削減量、一日当たりの最適カロリー消費増加量、及び最適ダイエット習慣を算出する目標値算出手段と、計測した体重をデータとして記録しインターネット回線を通じて当該体重データを外部に送信可能な体重データ送信手段、日々の活動量を計測したデータを記録しインターネット回線を通じて当該データを外部に送信可能なウェアラブル端末、前記最適ダイエット習慣の実施の有無データを記録しインターネット回線を通じて当該データを外部に送信可能な通信端末の内の少なくともいずれか1つと、前記体重データ送信手段、前記ウェアラブル端末、前記通信端末の内の少なくともいずれか1つから送信されるデータを受信し、当該データを処理するデータ処理手段と、前記データ処理手段が生成した情報と、前記目標値算出手段が算出する前記最適カロリー摂取削減量、前記最適カロリー消費増加量、前記最適ダイエット習慣とを比較する比較手段と、前記目標値算出手段が算出した情報、前記データ処理手段が生成した情報、及び前記比較手段が算出した情報を表示する表示手段と、ダイエットを途中で諦めて脱落した者の行動パターンをデータ化して蓄積したダイエット脱落データベースと、を含み、前記比較手段は、前記データ処理手段が生成した情報と前記ダイエット脱落データベースに記録されたデータとを比較することにより、ダイエット脱落危険度情報を更に生成し、前記ダイエット脱落危険度情報は、確度に応じて複数段階に分けて判定される、ことを特徴とする。
さらに、上記目的を達成するため、本願の第二の発明は、ダイエットの管理及び支援システムであって、少なくとも、氏名、年齢、性別、身長、体重、体組成、生活習慣、目標体重、及び当該目標体重までの減量期間に関する個人情報を記録する個人情報データベースと、前記個人情報を基礎データとして、体重減量期における一日当たりの最適カロリー摂取削減量及び一日当たりの最適カロリー消費増加量と、目標体重達成後の体重維持期における一日当たりの最適カロリー摂取削減量及び一日当たりの最適カロリー消費増加量と、最適ダイエット習慣とを算出する目標値算出手段と、計測した体重をデータとして記録しインターネット回線を通じて当該体重データを外部に送信可能な体重データ送信手段、日々の活動量を計測したデータを記録しインターネット回線を通じて当該データを外部に送信可能なウェアラブル端末、前記最適ダイエット習慣の実施の有無データを記録しインターネット回線を通じて当該データを外部に送信可能な通信端末の内の少なくともいずれか1つと、前記体重データ送信手段、前記ウェアラブル端末、前記通信端末の内の少なくともいずれか1つから送信されるデータを受信し、当該データを処理するデータ処理手段と、前記データ処理手段が生成した情報と前記目標値算出手段が算出する前記最適カロリー摂取削減量、前記最適カロリー消費増加量、前記最適ダイエット習慣とを比較する比較手段と、前記目標値算出手段が算出した情報、前記データ処理手段が生成した情報、及び前記比較手段が算出した情報を表示する表示手段と、ダイエットを途中で諦めて脱落した者の行動パターンをデータ化して蓄積したダイエット脱落データベース及びリバウンドした者の行動パターンをデータ化して蓄積したリバウンドデータベースと、を含み、前記比較手段は、体重減量期において、前記データ処理手段が生成した情報と前記ダイエット脱落データベースに記録されているデータとを比較することによりダイエット脱落危険度情報を生成し、体重維持期において、前記データ処理手段が生成した情報と前記リバウンドデータベースに記録されているデータとを比較することにより、リバウンド危険度情報を更に生成する、ことを特徴とする。
本願の第一発明によれば、各健康保険組合等において実施する特定健診において特定保健指導の対象となった者に対する保健師等による日々の行動チェックが可能となり、端末画面上において、例えば1週間以上に渡って体重データが送信されていない状況が表示されている者がいた場合、これをダイエット脱落可能性、或いはリバウンド可能性が高いと判断でき、電話やメール等によって直接、本人に状況を確認することができる。ヒアリングの結果、実際にダイエットを諦めかけていた場合には、ダイエットプログラムの再開や、本人と相談の上、ダイエットプログラムの修正等の支援を行うことができる。特に、体重減量期において、ダイエット脱落者の行動パターンをデータベース化しておき、対象者の行動とダイエット脱落者の行動パターンとを比較して、健保組合の端末にダイエット脱落危険度を表示することにより、保健師等は、危険度の高い者、即ち緊急性の高い者から順番に、電話やメールで直接、本人に状況を確認することができるため、限られた人員の中でより効率的な支援業務を遂行することができる。
さらに本願の第二発明によれば、上記第一発明に加えて、ダイエット成功(目標体重達成)後の体重維持期の行動についても日々チェックし、リバウンドした者の行動パターンをデータベース化しておき、対象者の行動とリバウンドした者の行動パターンを比較して、健保組合の端末にリバウンド危険度を表示することにより、保健師等は、せっかくダイエットに成功した者をリバウンドさせないように、危険度の高い者、即ち緊急性の高い者から順番に、電話やメールで直接、本人に状況を確認することができるため、限られた人員の中でより効率的な支援業務を遂行することができる。
本願発明の第一実施形態のシステム全体概略説明図
第一実施形態による健保組合端末画面表示
最適減量カーブ上に測定体重がプロットされて表示される画面例
本願発明の第二実施形態のシステム全体概略説明図
第二実施形態による健保組合端末画面表示
本願発明の第三実施形態のシステム全体概略説明図
第三実施形態による健保組合端末画面表示(脱落危険度表示)
第三実施形態による健保組合端末画面表示(リバウンド危険度表示)
図1〜8を用いて、本発明の各実施形態について詳細に説明するが、各実施形態は本願発明の範囲を限定的に解釈するためのものではなく、特許請求の範囲に記載された内容と発明の趣旨に基づいて、適宜に実施して良いことは言うまでもない。なお、各実施形態は、一例として一つの健康保険組合(以下、健保組合)内で実施することを想定したシステムとして説明する。
図1〜3に基づいて、本願発明の第一実施形態を説明する。図1は第一実施形態に係るシステムの概略を示す図である。まず、健保組合は健康診断の実施を被保険者に通知し、被保険者は所定の病院又は健康診断施設において健康診断を受診する。その結果、過体重・肥満と診断された者は、特定保健指導の対象者(以下、対象者)と認定され、ダイエットプログラムを実施する必要がある旨、通知される。当該通知を受けた対象者は、後日、健保組合等の場で、医師又は保健師等と相談の上、必要なダイエットプログラムを作成する。
上記ダイエットプログラムは、図1に示すとおり、管理システム1に接続されている健保組合内に設置された端末5の画面上から、氏名、年齢、性別、体重、身長、体組成(体脂肪率)、生活習慣(ウォーキング、ジョギング、テニスやゴルフ等のスポーツ習慣など)の基礎的データとともに、目標とする体重、当該目標体重を達成するまでの減量期間に関する情報(以下、個人情報)を入力して作成される。当該目標体重とは、いわゆるBMI標準体重計算式に基づく標準体重である必要はなく、対象者個々人の肥満状況に応じて、無理のない範囲で適宜に設定するものである。また本実施形態における前記管理システム1は、インターネットに接続された外部運営会社の管理サーバ内に構築されているが、各健保組合内に設置されたサーバ内に構築してもよい。
当該個人情報は、保健師等の担当者がダイエット対象者に確認、相談しながら入力するデータであり、端末5から入力された各データは、インターネット回線を通じて管理システム1内の個人情報データベース10に記録される。なお、現在の特定保健指導期間は、概ね最長6カ月と定められており、本実施形態における目標体重を達成するまでの減量期間は6カ月を基本とするシステム構成になっているが、個人によってはそれより短い4カ月、5カ月であっても良く、また場合によっては10カ月、又は翌年の健康診断までの期間である1年としても良い。
管理システム1内には、健保組合内に設置された端末5から入力された前記個人情報を基礎データとして、体重減量期及び体重維持期における一日当たりの最適カロリー摂取削減目標量(目標値)と一日当たりの最適カロリー消費増加目標量(目標値)、最適ダイエット習慣、及び最適減量カーブを算出する所要のアルゴリズム・プログラムからなる目標値算出手段20を有しており、個人情報データベース10に記録される情報を基に、当該対象者が目標とする体重、当該目標体重に減量するまでの期間に応じて、一日当たりの最適カロリー摂取削減量と一日当たりの最適カロリー消費増加量、最適ダイエット習慣、及び最適減量カーブを算出する。また、目標体重に到達した後の体重維持期における一日当たりの最適カロリー摂取削減目標量(目標値)と一日当たりの最適カロリー消費増加目標量(目標値)、及び最適ダイエット習慣も合わせて算出する。
最適カロリー摂取削減目標量とは、日々の食生活においてダイエット開始前に比べて、例えば200kcalを削減すると言った目標値であり、また一日当たりの最適カロリー消費増加目標量とは、日々の生活においてダイエット開始前に比べて運動等によって、例えばプラス100kcalを消費すると言った目標値であり、最適ダイエット習慣とは、上記100kcalを消費するために必要なウォーキングやジョギング等の運動メニューである。
本実施態様では、上記のとおり目標体重に到達した後における一日当たりの最適カロリー摂取削減目標量と一日当たりの最適カロリー消費増加目標量、及び最適ダイエット習慣も合わせて算出するようにしているが、その理由は、対象者に、ダイエット期間中だけでなくダイエット後においても、どれだけの食生活、日々の運動習慣等に変化が求められるかを予め理解してもらうためである。ダイエット完了後の各目標量等は、目標体重に達した後に、改めて算出するようにしても良い。なお、本明細書で記載する「ダイエット完了」とは、目標とする体重まで減量したことを意味するものであり、標準体重まで減量したことを意味するものではない。
目標値算出手段20によって算出された一日当たりの最適カロリー摂取削減量と一日当たりの最適カロリー消費増加量、最適ダイエット習慣、及び最適減量カーブは、データ入力した前記端末5上に表示され、対象者は保健師等と相談して、自身のダイエットプログラム内容を決定する。表示されたプログラムの実行に自信が無い場合には、再度、目標とする体重や当該目標体重までの期間を修正して再入力し、実行可能な納得できるダイエットプログラムが算出表示されるまで、この作業を繰り返す。決定したダイエットプログラムは、個人情報データベース10に記録される。
各健保組合は、対象者に対し、決定したダイエットプログラム内容をプリントアウトした紙資料の他に、ダイエットプログラムを実行する期間中に使用する体重計2、スマートフォン又はタブレット型端末3、ウェアラブル端末4を提供する。なお、スマートフォン又はタブレット型端末3は、対象者が個人で所有する端末を利用しても良い。
本実施形態で使用する体重データ送信手段としての体重計2は、いわゆるIoT体重計であり、計測した体重をデータとして保存し、かつ当該計測データを、インターネット回線を通じて管理システム1に自動的に送信するものである。IoT体重計以外に、日々測定した体重データを管理システム1に送信するための体重データ送信手段としては、近距離通信機能を有する体重計と、当該体重計から受信したデータを管理システム1に送信する端末の組合せであってもよく、或いは通常の体重計によって体重を測定し、管理システム1にデータ送信可能な端末の画面上に、測定した体重数値を自ら入力するようにしても良い。
ウェアラブル端末4は、腕時計式等の人体着用型端末であり、日々の活動量を自動で計測し、計測結果のデータを、インターネット回線を通じて管理システム1に自動的に送信するものである。ウェアラブル端末4で計測する活動量とは、例えば、一日のウォーキング時間、ジョギング時間等である。
スマートフォン又はタブレット型端末3は、本システムを運用するための専用アプリケーションソフトがダウンロードされ、日々のダイエット習慣を実施したか否かを「はい」又は「いいえ」等のアイコンをクリックして入力するものであり、入力した結果は、インターネット回線を通じて管理システム1に自動的に送信される。日々のダイエット習慣とは、前記した各健保組合の端末上に表示された最適ダイエット習慣のメニューと同じ内容であり、例えば、ウォーキング1時間、ジョギング30分、スクワット10回、各種食事制限や飲酒制限等の内容である。
対象者は、ダイエットプログラムに従って日々食事し、所定の運動を行うとともに、体重計2を用いて体重を日々測定する。また、スマートフォン又はタブレット型端末3を用いて、ダイエット習慣を実施したか否かを日々回答する。測定した体重、回答結果は、ウェアラブル端末4で自動計測した活動量結果とともに、管理システム1内のデータ処理手段25に送信される。
なお、本実施形態では、日々の行動を厳格にチェックするため、体重計2、スマートフォン又はタブレット型端末3、ウェアラブル端末4の全てを使用しているが、このうちのいずれか1つ、或いはいずれか2つの組合わせで運用しても良い。また日々のダイエット習慣の回答内容と、ウェアラブル端末4で測定する活動内容の一部は必須項目として同じ内容(例えば設定時間のウォーキング及びジョギングの実施)であるため、いずれか一つのデータがあればある程度管理することができるが、本実施形態では、対象者の記録ミスやウソを回答したことが分かるように、或いはウェアラブル端末で自動計測できない付加的内容を自分で回答してもらうように、敢えて両方を使用している。
データ処理手段25は、体重計2、スマートフォン又はタブレット型端末3、ウェアラブル端末4から日々送られてくるデータを処理し、個人情報データベース10から入手した情報と合体させ、対象者ごとに紐付してリスト表示できるデータを健保組合端末5に送信する。
図2は、複数の対象者がダイエットを開始した後、即ち、体重減量期において、健保組合端末5に表示されるリストの例である。健保組合は、年間数回定期的に健康診断を実施しており、リストに表示される集団は、同日、同時期、或いは同一年度に受診して特定保健指導の対象となった集団(同一集団)である。
データ処理手段25は、個人情報データベースに記録されている初期データとともに、日々送られてくる体重データ、ダイエット習慣の実施有無、ウェアラブル端末で測定した運動データを処理し、また直近の体重データを基に、目標体重までの達成率を計算し、図2に示す形式で各対象者のダイエット活動状況を表示する。
図2に示す端末画面上には、設定した目標体重、実測した体重、目標体重までの達成率がそれぞれ表示されるとともに、最適ダイエット習慣として各人4つの項目が提供され、各項目について実施したと回答した場合は○、実施しなかったと回答した場合は×が表示され、ウェアラブル端末での実測結果が目標値のウォーキング時間又はジョギング時間以上であった場合には○、そうでない場合には×が表示される例を示している。
当該表示方法は、保健師等が対象者の日々の行動をチェックできる方法であれば、どのような方法であっても良い。例えば、ウォーキング時間やジョギング時間は、実測した時間をそのまま表示しても良く、また実測値が目標値に満たない場合には色付け表示としても良い。また、連続して体重データ等を受信していない場合、例えば「10日無」として表示している。
対象者の体重がダイエットプログラムどおりに減少していれば特に問題はないが、いわゆる三日坊主の者や、一生懸命頑張ってはいるもののダイエット効果が表れていない者の場合、人間の心理としてダイエットを途中で諦めてしまいがちになる。
保健師等は、日々、端末5の画面から各対象者の行動をチェックでき、例えば、目標達成率の数値から見て減量が全く進んでいない場合、或いは、例えば「10日無」の表示がある者を発見した場合、ダイエットを諦めかけているのではないかと推定し、直接、本人に電話やメール等で状況を確認することができる。
仮に、実際にはダイエットプログラムは順調に実施していたが、体重測定や端末での回答、ウェアラブル端末の着用が面倒になって行っていなかったため、ダイエット脱落と誤解されたとしても、直接本人に確認することで体重測定等の再開を促すことができる。
上記の端末画面表示例では、最適ダイエット習慣回答4つの内、左側2個がウォーキングの実施とジョギングの実施の有無に関する○×回答順番になっており、またウェアラブル端末によるウォーキングとジョギングの測定結果を順番に運動状況として○×表示しているため、本人の回答内容と、ウェアラブル端末による運動状況の実測表示内容を比較すれば、実際にはジョギングをしていないにも拘わらず、ウソの○回答をしたかどうかが判断できるようになっている。ウソの回答が頻繁にある者は、往々にしてダイエットを諦めかけている者に多く見られる傾向であるため、この表示結果からも追加支援を必要としている可能性を判断できる。なお本実施形態に係るダイエット習慣回答4つの内、右側2個は食事内容等に関する設問であり、ウェアラブル端末では計測できない内容となっている。
更に本実施形態では、ダイエット完了後、即ち目標体重への減量を達成した後も、当該目標体重を維持するため、引き続き体重計2、スマートフォン又はタブレット型端末3、ウェアラブル端末4の使用を継続し、データ処理手段30によって、日々の体重、活動状況が健保組合端末5に表示されるようになっている(図8参照、本実施例では図示せず)。
その結果、せっかく減量した体重が大幅に増加している者、或いは、体重データが、例えば「10日無」との表示がある者を保健師等が発見した場合、リバウンドしそうになっている可能性があると推定し、直接、本人に電話やメール等で状況を確認することができる。
更に本実施形態では、目標値算出手段20は最適減量カーブも算出するようになっており、端末画面に表示されている氏名をクリックすれば、図3に示すような当該者の最適減量カーブ上に実際に測定した体重がプロットされたグラフが表示され、保健師等は減量が順調に行われているかどうか、又はリバウンドしていないかどうかの状況を一目で把握できるようになっている。また氏名をクリックすることで、上記グラフとともに当初に入力した全ての個人情報を一覧で表示するようにしても良い。
なお、現実には健保組合の保健師等の促しだけでは、真面目にダイエットに取り組まない者も存在する。会社員の場合、会社組織や直属の上司から直接ダイエットを指示された方が効果的であることも多いため、健保組合の端末5に加えて、会社総務部門或いは直属部長が見ることができる会社内端末に、日々のダイエット活動情報を送信するようにしても良い。
図4、5に基づいて、本発明の第二実施形態を説明する。本実施形態も、第一実施形態と同様に、日々の行動を厳格にチェックするため、体重計2、スマートフォン又はタブレット型端末3、ウェアラブル端末4の全てを使用しているが、このうちのいずれか1つ、或いはいずれか2つの組合わせで運用しても良い。
図4に示すとおり、本第二実施形態と第一実施形態が相違する点は、ダイエットを諦めて脱落しそうになっている可能性が高い状況、又はリバウンドしそうになっている可能性が高い状況を、それぞれの閾値として予め設定しておき、データ処理手段25から送られてくるデータと当該閾値を比較し、当該閾値を超えた際にダイエット脱落情報を生成する比較手段30を有している点である。
比較手段30は、体重減量期において、例えば体重データが10日間連続して送信されない場合や、ダイエット開始から3カ月を経過後も目標達成率が10%を切っている場合を閾値として設定しておき、データ処理手段25から10日間連続で体重データが無い場合や目標達成率が10%を切っている場合、ダイエット脱落情報を生成し、図5に示すように、健保端末5画面上にダイエット脱落情報を表示する。本実施形態では、氏名の先頭に赤い丸が点滅するようにしているが、氏名を他者と違う赤色等で表示しても良い。いずれにしても、保健師等が、端末5の画面上から一目で分かるような表示にすれば良い。
またリバウンド情報を生成するための閾値も、到達した目標体重からの増加率(リバウンド率)や、データ送信が一定期間無い場合など、適宜に設定する。
閾値は、上記の例に限らず、過去にダイエットを脱落してしまった者の各種情報を基にして、適宜に複数パターンを設定することができる。また体重維持期におけるリバウンドの判断も上記と同様に、過去のリバウンドした者の各種情報を基にして、適宜に複数パターンを設定することができる。
本第二実施形態によれば、ダイエット脱落確度が極めて高い状態、及びリバウンド確度が極めて高い状態を予め閾値として設定しておき、対象者の行動が当該閾値で設定した状態になった場合、ダイエットの脱落又はリバウンドの危険性が高いと判断し、システムによって自動的にダイエット脱落情報又はリバウンド情報を生成して健保組合の端末5の画面上に表示することにより、保健師等が一目で脱落又はリバウンド状況にある可能性を判断できるため、追加支援や直接確認が必要な対象者を、ピンポイントに、かつ適切なタイミングで把握することができる。
なお、健保組合端末5において、氏名表示をクリックすれば、最適減量カーブ上に実際に測定した体重がプロットされ、減量が順調に行われているかどうか、或いは目標体重が維持されているかどうかをビジュアルに確認することができるのは、第一実施形態と同じである。
図6〜8に基づいて、本発明の第三実施形態を説明する。本実施形態も、第一、第二実施形態と同様に、日々の行動を厳格にチェックするため、体重計2、スマートフォン又はタブレット型端末3、ウェアラブル端末4の全てを使用しているが、このうちのいずれか1つ、或いはいずれか2つの組合わせで運用しても良い。
本実施形態の特徴は、ダイエット期間中(減量期間中)におけるダイエット脱落の危険性、及びダイエット完了後の体重維持期におけるリバウンドの危険性を、上記第二実施形態に比べてより危険性の深刻さを判断しやすい危険度として判定する点である。
図6に示すとおり、管理システム1内の比較手段30は、ダイエットプログラムで定めた当該対象者の一日当たりの最適カロリー摂取削減量、一日当たりの最適カロリー消費増加量、最適ダイエット習慣、及び最適減量カーブと、データ処理手段25が処理した結果とを比較することにより、ダイエットが順調に行われているか否かを判定し、判定結果をスマートフォン又はタブレット型端末3と、各健保組合内の端末5に送信する。
各健保組合の端末5は、健康診断実施日毎に特定保健指導の対象者となった複数の者を一つの母集団として一覧表示するようになっている。当該判定は、毎日でも良く、或いは1週間単位、10日単位等、適宜に実施して良い。
図6に示すとおり、本発明の比較手段30は、ダイエットを途中で諦めてしまった者の体重増減傾向、ダイエット習慣実施の有無、体重測定の有無等を予めデータ化したダイエット脱落データベース40と、当該ダイエット脱落データベース40に記録されている脱落パターンと、対象者から送信されてくるデータとを比較することにより、前記判定の際に、ダイエット脱落危険度を判定するダイエット脱落危険度判定手段32を更に有している。
ダイエット脱落危険度とは、過去のダイエット脱落者の行動パターンから見て、このまま行けば恐らくダイエットを諦めてしまうであろうとの予測値であり、その確度の大きさに応じて脱落危険度が高い順に、A判定、B判定、C判定の3段階に判定するようになっている。当該判定は、3段階に限らず、4段階、5段階式の判定であっても良く、また危険度の表示方法としては、●や★等の図形の数で表示しても良い。
最も危険度の高いA判定は、例えば、直近送信した体重がほとんど減少しておらず(逆に増加)、その後10日以上に渡って体重測定も、ダイエット習慣実施の回答も、ウェアラブル端末4も身に着けていない状態となった場合に生成され、またB判定は、例えばA判定に比べて相対的に体重は減少しているものの日々の増減幅が大きく、かつ体重測定や回答をしない日が頻繁に出現するようになった場合に生成され、またC判定は、体重はA・B判定に比べて減少傾向にあるものの、目標値との乖離も大きく、かつ体重測定せず、ダイエット習慣実施への回答もせず、ウェアラブル端末4も着用していない状態が週に2、3回程度出現するようになった場合等に生成される。
過去のダイエット脱落者の行動パターンは様々であり、本実施形態では例えば過去100人のダイエット脱落経験者からヒアリングした結果を基に、確度の高い推測値として予め定めた行動パターンテーブルを用意し、当該行動パターンテーブルと実際に送信されてくるデータとを比較することで、危険度を判定するようにしている。
なお、危険度判定の精度を高める方法としては、例えば本システム内に人工知能を採用し、実際の運用によって脱落者の行動パターンを学習させ、上記行動パターンテーブルを実測によって追加、修正するようにしても良い。
また、危険度判定方法としては、例えば第一実施形態のシステムを利用して、数百人のサンプルを収集し、当該サンプルをベースとして、天気予報の降水確率と同様の統計手法を用いた脱落確率を算出するようにしても良い。上記のとおり本願発明で言うダイエット脱落危険度の判定とは、脱落危険性をランク付けして評価したり、或いは統計手法にもとづく確率表示を行うものである。
図7は、各健保組合の端末5の画面上に表示されるダイエット脱落危険度の表示例である。ダイエット脱落危険度判定手段32によって生成したダイエット脱落危険度は、各健保組合の端末5の画面上において、氏名の左側に「判定A」、「判定B」、「判定C」と表示されるとともに、色付きマスキングで表示される。ダイエット脱落危険度の判定表示以外の表示内容は、第一実施形態と同じである。
本実施形態では、最も脱落可能性の高いA判定集団に属する者の氏名は赤色でマスキングされて氏名リストのトップに表示し、B判定集団は紫色でマスキングされ、かつA判定集団の下にリストアップし、C判定集団は黄色でマスキングされ、かつB判定集団の下にリストアップし、順調にダイエットしている集団は「順調」と判定して、着色なしの状態でC判定集団の下にリストアップするようなっている。
上記のとおり、本実施形態では各健保組合の端末5の画面上において、ダイエットを諦めて脱落する危険性の高い対象者を、可能性の高い順にリスト化することで、保健師等が、現時点で急ぎ支援する必要性のある者を一目で判別でき、限られた人員制限の中で、脱落可能性の高い対象者から順に、ピンポイントで追加支援策を講じることができるようになっている。
保健師等は、まず赤色表示された最もダイエット脱落可能性の高い者に対し、電話や面接等によって直接的に、ダイエットプログラムの再開と、日々の体重測定、設問への回答、ウェアラブル端末4の着用を促す。その結果、赤色表示となった対象者が左記事項を再開すると、次の判定では通常実施者の「順調」表示に戻り、緊急支援を必要とするリストから外れる。
また本実施形態では、こうした保健師等による具体的な追加支援活動の内容を、対象者と紐付けて端末上から記録できるようになっている。当該追加支援活動情報は、個人情報データベース10に記録しても良く、或いは別の専用データベースに記録しても良い。実施した追加支援内容は、図7に示す画面右側に表示される。
ダイエット脱落危険度判定手段32によって生成されたダイエット脱落危険度情報(判定結果)は、対象者の端末3に送信しても良いが、既にダイエットを諦めてしまい、端末3を見ていないことが想定される。そのため本実施形態では、当該ダイエット脱落危険度情報は各健保組合の端末5のみに送信し、保健師等が状況を確実に把握できるようにしている。なお判定結果は、第一実施形態と同様に会社端末に送信しても良い。
なお、対象者の中には、順調にダイエットは行っているが、日々の体重測定や設問への回答、ウェアラブル端末4の着用は面倒なので行わない者がいる可能性もある。このような者が存在する場合、事実と反するダイエット脱落危険度情報が生成されてしまうことになるが、その場合であっても、保健師等が電話等で事実関係を確認でき、対象者に対し、体重測定、設問への回答、ウェアラブル端末4の着用再開を行うよう促すことができる。
その後、体重測定等が再開され、ダイエットプログラムを順調に実施しているとシステムが判断した場合には、先のダイエット脱落危険度情報は消去され、順調者リストに掲載される。またIoT体重計やウェアラブル端末等の機器の不具合、電池切れ等によっても誤ったダイエット脱落危険度情報が生成されてしまう可能性があるが、こうした場合も上記と同様に保健師等が電話等で直接状況を確認し、機器の不具合を解消することで、誤ったダイエット脱落危険度情報の生成問題を解決することができる。
また本システムでは、ダイエット脱落危険度がA判定となり、かつ保健師等による直接的な促しによっても再開されず、A判定のまま6カ月のダイエット期間が経過してしまった場合、ダイエットプログラムを完全に諦めたものと判断し、ダイエット脱落危険度判定手段32からダイエット脱落情報を更に生成するようになっている。
ダイエット脱落情報は、これを「1」とカウントして累積し、これによって特定保健指導の対象者全員を母集団として、ダイエット脱落率を算出できるようになっている。なお母集団は、例えば、毎月、四半期、或いは半年ごとに、特定保健指導の対象となった参加者とする。このため、個人情報データベース10には、ダイエットプログラムを開始した日時のデータも記録しておく。
さらに、目標期間内に目標体重まで減量を達成した者については、各健保組合の端末上で「達成完了」と表示し、達成者リストとして別に表示するようにしてもよい。また達成者は、これを「1」とカウントして累積し、特定保健指導の対象者全員を母集団として、ダイエット成功率、或いは目標達成率として算出するようにしてもよい。この場合の母集団も、例えば、毎月、四半期、或いは半年ごとに、特定保健指導の対象となった参加者とする。
本システムによれば、6カ月のダイエット期間が満了した時点で、目標体重まで減量を達成した者、目標体重には届かなかったがダイエット習慣を頑張って継続した者、途中で完全に諦めて脱落してしまった者、の3つの集団を明確に把握することができ、定期的に実施される特定保健指導の実績データとして統計化することができる。
また6カ月のダイエット期間が満了した時点で、完全にダイエットを諦めてしまった者及び目標値に達しなかった者に対しては、次の健康診断(半年後)まで放置しても良いが、再度相談しながら新たなダイエットプログラムを作成し、次の健康診断まで引き続き実施しても良い。
また本システムによれば、ダイエットプログラム開始後、保健師等がどの対象者に、いつ、どのような追加支援を実施したかを記録できることから、各健保組合は保健師等の活動状況を組織として明確に把握することができ、人員計画や組織のあり方についての検討材料とすることができる。
なお、6カ月のダイエット期間中に目標体重に達したものの、当初設定した目標体重は無理のない範囲で設定したものであり、理想とする標準体重には及んでおらず、引き続き次の目標体重を目指したダイエットプログラムを希望する者が出て来ることも想定される。その場合、次の健康診断(半年後)を待たずに、保健師等と相談の上で、更なる目標体重を目指した新たなダイエットプログラムを策定して実施しても良い。この場合、以下に説明する体重維持期の管理は適用されず、新しいダイエットプログラムに基づく体重減量期の支援システムが適用される。
以上の説明は体重減量期、即ち、ダイエットを開始してから目標体重まで減量する過程での支援システムであるが、本実施形態は、目標体重に達した者(達成者)の体重維持期において、リバウンドを適切に回避するための支援システムを更に有している。
目標達成者が、その後もダイエット習慣を継続し、食生活も改善して目標体重を維持していれば問題ないが、人間の心理として、目標体重に達した後はダイエットロス状態に陥り、生活習慣も食事も、徐々に元に戻ってしまいがちになる。その結果、多くの者がリバウンドする。
本システムでは、目標体重まで減量を達成した者がその後にリバウンドしないように、目標値算出手段20によって算出された一日当たりの最適カロリー摂取削減量、一日当たりの最適カロリー消費増加量、及び最適ダイエット習慣を算出して提示するとともに、対象者には少なくとも日々の体重測定を継続するよう指示する。
減量期間中と同様に、設問への回答、ウェアラブル端末4の着用を継続してもよいが、ダイエット完了後であることから、設問への回答やウェアラブル端末4の着用を強要すると、これを面倒と思ってしまう可能性があるため、本実施形態では対象者が無理なく実施できるよう体重測定のみを継続するシステムとしている。
管理システム1内の比較手段30は、体重計2から送信される測定体重と、維持目標の体重とを比較し、体重が目標体重の所定範囲内に維持されているかを判定し、判定結果をスマートフォン又はタブレット型端末3と、各健保組合内の端末5に送信する。当該判定は、毎日でも良く、或いは1週間単位、10日単位等、適宜に実施して良い。
対象者の体重が目標体重の許容範囲内(例えばプラス2%以内)で維持されていれば特に問題ないが、ダイエット習慣も徐々に疎かになり、食生活も元に戻ってしまい、明らかに体重増加傾向になってしまった場合、多くの者が自暴自棄となってリバウンドしてしまう。本発明は、こうした状況をいち早く察知し、リバウンドしそうになっている者に対してリバウンド危険度情報を生成し、当該情報を各健保組合内の端末5に送信して、保健師等がその状況を把握できるようになっている。リバウンド危険度とは、リバウンドした者の行動パターンから見て、このまま行けば恐らくリバウンドするであろうとの予測値である。
図6に示すように、本発明の比較手段30には、過去にリバウンドしてしまった者からヒアリングした結果をもとに、体重増加パターンを予めデータ化したリバウンドデータベース50を有しており、当該リバウンドデータベース50に記録されているリバウンドパターンと、対象者から送信されてくる体重データとを比較することにより、前記判定の際に、リバウンド危険度情報を算出するリバウンド危険度判定手段33を更に有している。なお、ダイエット習慣実施の回答、ウェアラブル端末4の着用も義務化する場合、リバウンド情報データベースの内容も、これに合わせた内容とすれば良い。
リバウンド危険度はその確度の大きさに応じて、リバウンド危険度が高い順に、X判定、Y判定、Z判定の3段階で判定するようになっている。最も危険度の高いX判定情報は、例えば右肩上がりに一直線に体重が増加し、所定期間内(例えば3カ月内)に体重削減量の半分以上増えてしまった状態、或いは、右肩上がりに体重が増加している状態から体重データが所定期間送信されなくなってしまった場合に生成され、Y判定情報は、X判定よりは体重増加速度は遅いものの明らかに増加傾向にあり、かつ体重データが週に3、4回程度しか送信されなくなってしまった場合に生成され、またZ判定情報は、日々多少の増減はあるものの全体として緩やかに体重増加傾向にあり、体重測定情報が頻繁に送信されなくなった場合に生成される。その他、様々な組合せ状態に応じて、リバウンド危険度を求めるようにしている。なお当該リバウンド危険度の判定は、ダイエット脱落危険度と同様に、3段階に限らず、4段階、5段階式の判定であっても良く、また危険度の表示方法としては、●や★等の図形の数で表示しても良い。
過去のリバウンドしてしまった者の行動パターンは様々であり、本実施形態では過去100人のリバウンド経験者からヒアリングした結果を基に、確度の高い推測値として予め定めた行動パターンテーブルを用意し、当該行動パターンテーブルと実際に送信されてくるデータとを比較することで、危険度を判定するようにしている。
なお、リバウンド危険度判定の精度を高める方法としては、ダイエット脱落データベース40と同様に、例えば本システム内に人工知能を採用し、実際の運用によってリバウンド者の行動パターンを学習させ、上記行動パターンテーブルを実測によって追加、修正するようにしても良い。
また、危険度判定方法も、上記ダイエット脱落危険度と同様に、例えば第一実施形態のシステムを利用して、数百人のサンプルを収集し、当該サンプルをベースとして、天気予報の降水確率と同様の統計手法を用いたリバウンド確率を算出するようにしても良い。上記のとおり本願発明で言うリバウンド危険度判定とは、リバウンドの危険性をランク付けして評価したり、或いは統計手法にもとづく確率表示を行うものである。
図8は、各健保組合の端末5の画面上に表示されるリバウンド危険度の表示例である。各健保組合の端末5の画面上において、対象者リストには、到達した目標体重と直近の体重、リバウンド率が表示されるとともに、リバウンド危険度判定手段33が生成したリバウンド危険度が、氏名の左側に「判定X」、「判定Y」、「判定Z」と表示されるとともに、色付きマスキングで表示される。
本実施形態では、最もリバウンドする確度が高いX判定集団に属する者の氏名は赤色でマスキングされてリストのトップに表示し、Y判定集団は紫色でマスキングされ、かつX判定集団の下にリストアップし、Z判定集団は黄色でマスキングされ、かつY判定集団の下にリストアップし、体重が目標値に対して所定範囲内に維持されている集団は「順調」と判断して、着色なしの状態でZ判定集団の下に、リストアップするようなっている。
各健保組合の端末5の画面上において、リバウンド危険性の高い対象者を、可能性の高い順にリスト化することで、保健師等が、現時点で急ぎ支援する必要性のある者を一目で判別でき、限られた人員制限の中で、リバウンド可能性の高い対象者から順に、ピンポイントで追加支援策を講じることができるようになっている。
保健師等は、まずX判定集団の赤色表示されたリバウンド可能性の高い者に対し、電話や面談等によって直接的に、ダイエットプログラムの再開と、日々の体重測定の再開を促す。その結果、赤色表示となった対象者が左記事項を再開すると、次の判定では目標値維持者の表示(或いはY判定又はZ判定)に戻り、緊急支援を必要とするリストから外れる。
また本システムは、こうした保健師等による具体的なリバウンド回避のための支援活動を、対象者と紐付けて端末上から記録できるようになっている。当該支援活動情報は、個人情報データベース10に記録しても良く、或いは別の専用データベースに記録しても良い。実施した追加支援内容は、図7に示す画面右側に表示される。
本システムによれば、目標体重まで減量達成した者の中から、その後リバウンドしそうになっている者をいち早く察知し、保健師等が適切なタイミングで目標体重を維持するよう注意喚起することができる。
リバウンド危険度判定手段33によって生成されたリバウンド危険度情報は、対象者の端末3に送信しても良いが、既にダイエットを諦めてしまい、端末を見ていないことが想定される。そのため本実施形態では、当該リバウンド危険度情報は各健保組合の端末5に送信し、保健師等が状況を確実に把握できるようにしている。また第一実施形態と同様に、リバウンド判定結果は会社端末にも送信しても良い。
なお、対象者の中には、順調に減量後の体重を維持しているが、体重測定は面倒なので行わない者がいる可能性がある。こうした者が存在する場合、事実と反するリバウンド危険度情報が生成されてしまうことになるが、その場合であっても、保健師等が電話等で事実関係を確認でき、対象者に対し、体重測定の再開を促すことで、誤ったリバウンド危険度情報を消去することができる。またIoT体重計の不具合、電池切れ等によっても誤ったリバウンド危険度情報が生成されてしまう可能性があるが、こうした場合も上記と同様に保健師等が電話等で直接状況を確認し、機器の不具合を解消することで、問題を解決できる。
また本システムでは、リバウンド危険度がX判定となり、かつ保健師等による促しによっても体重測定を再開せず、X判定のまま所定期間(例えば6カ月)が経過してしまった場合、完全にリバウンドしたと判断し、リバウンド危険度判定手段33によってリバウンド情報を更に生成するようになっている。リバウンド情報は、これを「1」とカウントして累積し、これによって目標体重達成者を母集団として、リバウンド率を算出できるようになっている。なお母集団は、例えば、毎月、四半期、或いは半年ごとに、特定保健指導の対象となった参加者とする。
なお、本実施形態は、ダイエット脱落危険度判定手段とリバウンド危険度判定手段の両方を備えたシステムとして紹介したが、ダイエット脱落危険度判定手段のみ、或いはリバウンド危険度判定手段のみを有するシステムとしても良い。
更に本実施形態においても、第一、第二実施形態と同様に、目標値算出手段20が最適減量カーブを算出するようにし、端末画面に表示されている氏名をクリックすれば、図3に示す最適減量カーブ上に実際に測定した体重がプロットされたグラフを表示するようにし、保健師等が、減量が順調に行われているかどうか、又はリバウンドしていないかどうかの状況を一目で把握できるようにしても良い。
上記した各実施態様は、一つの健保組合での実施を例として説明したが、自治体単位での運用(国民健康保険)等であっても良い。
以上のとおり、本発明のシステムによれば、特定保健指導の対象となった者の日々のダイエットプログラムの実行状況を、担当保健師等が各健保組合内の端末5から把握できるとともに、ダイエットを諦めて脱落しそうになっている者やリバウンドしそうになっている者の情報を同端末から確度の高い順に把握できることで、限られた人員制限の中で、効率よくピンポイントで、かつ適切なタイミングで改善指導することが可能となる。
また本発明のシステムによれば、ダイエット達成率、ダイエット脱落率を含む未達率や、目標達成後の維持率、リバウンド率と言ったマクロデータを取得することができ、このマクロデータを各健保組合や行政における新たな施策立案のための基礎データとすることができる。
1 管理システム
2 IoT体重計
3 スマートフォン又はタブレット型端末
4 ウェアラブル端末
5 健保組合端末
10 個人情報データベース
20 目標値算出手段
25 データ処理手段
30 比較手段
32 ダイエット脱落危険度判定手段
33 リバウンド危険度判定手段
40 ダイエット脱落データベース
50 リバウンドデータベース