本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。なお、以下では、治療装置の一例としてCPAP装置について説明する。CPAP(Continuous Positive Airway Pressure)とは、持続陽圧呼吸療法のことである。
(実施形態1)
図1は、実施形態1のCPAP管理システム1の構成を示す図である。CPAP管理システム1は、ネットワークNを介して、複数台のCPAP装置2a,2b、・・・と、サーバ3と、データ分析予測装置4と、複数台の端末5a,5b、・・・とが接続されて構成されている。ネットワークNを構成する通信回線の具体的態様は、有線、無線及びその混在のいずれであってもよい。CPAP管理システムは、情報処理システムである。なお、以下では、複数台のCPAP装置2a,2b、・・・を包括した表現として「CPAP装置2」と記載する。同様に、複数台の端末5a,5b、・・・を包括した表現として「端末5」と記載する。また、データ分析予測装置4は、CPAP装置2a,2b、・・・ごとにデータを分析し、CPAP装置2a,2b、・・・の各患者が将来的に脱落者になり得るかどうかを個別的に予測する。
CPAPとは、CPAP装置2により圧力をかけた空気を鼻などから気道に送り込み、気道を広げて睡眠中の無呼吸を防止する治療法である。CPAP装置2は、あらかじめ設定した圧力で空気を送るホースと、鼻などに当てるマスクと加湿器や温度/湿度計測機能、GPS(Global Positioning System)機能、モデム(MODEM)機能等から構成される。なお、加湿器はCPAP装置2と別体とする構成も含まれる。図1では、CPAP装置2のGPS機能を担う構成として、GPS受信機21を図示している。
また、圧力の大きさなどのCPAP装置2の設定は、患者の病状に応じて医師により行われる。また、CPAP治療を行った場合には、CPAP治療を行わなかった場合に比べて、CPAP治療を行った患者の方が長生きできたなど、多くの研究によって、睡眠時無呼吸症候群に対するCPAPの効果が証明されている。現在では、睡眠時無呼吸症候群(SAS、Sleep Apnea Syndrome)の患者に対する標準的な治療法として広く用いられている。
CPAP装置2は、あらかじめ定められたタイミングで、ネットワークNを介して、装置の使用時間や圧力などの使用状況、使用日数に関する情報などの装置の使用状態を把握できる情報をサーバ3に送信する。
サーバ3は、CPAP装置2から送信されてきた情報を受信し、保存する。つまり、サーバ3には、複数のCPAP装置2a,2b,・・・から送信されてきた複数の患者のデータが保存されている。サーバ3は、いわゆるコンピュータであり、CPU(中央演算処理装置:Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disc Drive)などの内部記憶装置と、を備えている。サーバ3は、クラウドサーバと呼ばれることもある。
データ分析予測装置4は、サーバ3に保存されているCPAP装置2から送信されてきた情報を分析し、患者が将来的にCPAP装置2の脱落者になり得るかどうかを予測する。以下に、データ分析予測装置4の具体的な構成と動作について説明する。
データ分析予測装置4は、いわゆるコンピュータであり、CPU(中央演算処理装置:Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)、ハードディスクドライブ(HDD:Hard Disc Drive)などの内部記憶装置と、を備えている。データ分析予測装置4は、GPU(Graphics Processing Unit)を備え、演算をGPUに担わせてもよい。上述したハードウエアとソフトウエアの実行の協働により、データ分析予測装置4は、通信部40と、データ処理部41と、学習部42と、分析予測部43とを備える。
通信部40は、サーバ3及びCPAP装置2と通信を行う。データ処理部41は、通信部40を介してCPAP装置2から送信されてきた患者のデータを処理する。実施形態では、データ処理部41は、通信部40を介してサーバ3に保存されている患者のデータを読み出し、読み出した患者のデータを処理する構成であるとするが、この構成に限られず、通信部40を介してCPAP装置2から送信されてきた患者のデータを直接受信して、処理する構成でもよい。
例えば、データ処理部41は、患者のデータに対して前処理を行う。前処理とは、患者のデータから必要なデータを抽出する処理、又は、分析予測部43による処理に適した形式にデータを加工する処理などをいう。
学習部42は、通信部40を介してサーバ3と通信を行う。学習部42は、サーバ3に保存されている患者のデータに基づいて、CPAP装置2による治療から脱落する脱落者のデータに基づいて学習し、学習した結果からニューラルネットワークNNを生成する。なお、実施形態における学習とは、教師あり学習でもよいし、教師なし学習でもよい。
ここで、CPAP装置2による治療から脱落する脱落者のデータについて説明する。なお、実施形態では、患者ごとに時系列でCPAP装置2の使用時間が管理されているものとする。
図2は、サーバ3に保存されている患者のデータの一例であって、CPAP装置2による治療を継続している患者のデータの一例を示す。図2(a)中のAは、一定時間(4時間)を示している。図2(a)は、1ヶ月間におけるCPAP装置2の1日ごとの使用時間の一例を示す。図2(b)は、CPAP装置2を使用している時間帯の詳細の一例を示す。
CPAP装置2が適切に使用されている場合には、比較的規則的な時間帯に一定時間以上使用されていることが分かる。なお、一定時間は、図2(a),(b)に示す例では、4時間であるが、4時間に限定されない。
図3は、サーバ3に保存されている患者のデータの一例であって、CPAP装置2が適切に利用されていない患者のデータの一例を示す。図3(a)は、1ヶ月間におけるCPAP装置2の1日の使用時間の一例を示す。図3(a)中のAは、一定時間(4時間)を示している。図3(b)は、CPAP装置2を使用している時間帯の詳細の一例を示す。
CPAP装置2が適切に使用されていない場合には、不規則な使用が目立ち、一定時間以上の使用が少ないことが分かる。
図4は、CPAP装置2による治療から脱落すると疑われるデータであるが、正当理由により脱落するデータとは扱われないデータの一例を示す図である。図4(a)は、1ヶ月間におけるCPAP装置2の1日ごとの使用時間の一例を示す。図4(b)は、CPAP装置2を使用している時間帯の詳細の一例を示す。
図4中のBで示した範囲では、使用時間のデータが記録されていない。使用時間のデータがない要因としては、図4は、患者にCPAP装置2の使用の中止を行った場合、CPAP装置2が割り当てられていない場合、患者が転院した場合、患者が治癒した場合、患者が死亡した場合、又は、機器が故障した場合などが考えられる。図4で示したデータは、正当な理由によりCPAP装置2が利用されなくなったものであり、脱落したデータとして扱われない。つまり、図4中のBで示した範囲よりも以前の使用状況が図2に示すように、適切であれば、正当な理由によるものと判断し、CPAP装置2による治療からの脱落とは判断されない。正当な理由として、例えば後述する長期海外旅行や出張の場合等が挙げられる。
図5は、CPAP装置2による治療から脱落すると疑われるデータの一例を示す図である。図5(a)は、1ヶ月間におけるCPAP装置2の1日ごとの使用時間の一例を示す。図5(b)は、CPAP装置2を使用している時間帯の詳細の一例を示す。
図5は、一定期間CPAP装置2の使用がない場合のデータである。なお、一定期間とは、図5に示す例では、連続14日間であるが、連続14日間に限定されない。
なお、海外旅行やCPAP装置2の故障などの理由でCPAP装置2の使用ができなかったが、その後、CPAP装置2の使用が再開された場合には、CPAP装置2による治療からの脱落とは判断されない。また、CPAP装置2の初期使用の場合には、データは、図5に示すようなパターンになることが多い。なお、初期使用とは、例えば、半年未満の使用をいうが、半年未満に限定されない。
学習部42は、サーバ3に保存されている患者のデータの中から、図3に示すような、CPAP装置2による治療から脱落すると疑われる患者の一定期間のデータを抽出する。一定期間とは、後述する第2期間である。学習部42は、抽出した第2期間のデータに基づいて学習し、学習した結果からCPAP装置2の脱落者の傾向(CPAP装置2による治療から脱落が疑われるデータの特徴)に関するニューラルネットワークNNを生成する。
分析予測部43は、学習部42により生成されたニューラルネットワークNNを利用して、データ処理部41により処理されたデータの分析を行い、分析結果に基づいて、患者が将来的にCPAP装置2の脱落者になり得るかどうかを予測する。
これにより、データ分析予測装置4は、AIを活用して患者が将来的にCPAP装置2による治療から脱落するかどうかを予測することができる。例えば、データ分析予測装置4により予測した結果を専門家に提示することにより、専門家は、患者に対して早期に適切なフォローを行うことができ、患者がCPAP装置2による治療から脱落することを未然に防止することができる。専門家とは、医師、検査技師、看護師等の医療従事者などである。
また、学習部42は、複数の患者のデータに基づいて、CPAP装置2の使用を停止した期間が第1期間である、患者のデータを特定し、特定した患者のデータに基づいて学習した結果から、CPAP装置2の脱落者の傾向に関するニューラルネットワークNNを生成する構成でもよい。
第1期間とは、CPAP装置2の使用を停止した期間を定めるものであり、例えば、14日間である。CPAP装置2の使用を停止してから第1期間を経過する場合には、CPAP装置2の治療から脱落していると考えられる。データ分析予測装置4は、CPAP装置2の治療から脱落した患者のデータに基づいて学習し、学習した結果から、CPAP装置2の脱落者の傾向に関するニューラルネットワークNNを生成する。
よって、データ分析予測装置4は、生成したニューラルネットワークNNを利用することにより、患者のデータがCPAP装置2の治療から脱落した患者と同じような傾向を示すかどうかにより、この患者が将来的にCPAP装置2の脱落者になり得るかどうかを予測することができる。
例えば、専門家は、データ分析予測装置4の予測結果に基づいて、CPAP装置2の治療から脱落しそうな患者に対して早期に適切なフォローを行うことができ、患者がCPAP装置2による治療から脱落することを未然に防止することができる。
また、学習部42は、特定した患者のデータの中から第2期間のデータを抽出し、抽出した第2期間のデータに基づいて学習した結果から、CPAP装置2の脱落者の傾向に関するニューラルネットワークNNを生成する構成でもよい。
第2期間とは、患者のデータの中からデータを抽出する期間を定めるものであり、例えば、CPAP装置2の使用を停止した最初の日から遡って6ヶ月間である。学習部42は、CPAP装置2の治療を停止するまでの6ヶ月間のデータに基づいて学習した結果から、CPAP装置2の脱落者の傾向に関するニューラルネットワークNNを生成する。なお、第2期間は、6ヶ月間に限られず、1ヶ月間又は3ヶ月間などでもよい。
よって、データ分析予測装置4は、生成したニューラルネットワークNNを利用することにより、第2期間の患者のデータがCPAP装置2の治療から脱落した患者と同じような傾向を示すかどうかにより、この患者が将来的にCPAP装置2の脱落者になり得るかどうかを予測することができる。
例えば、専門家は、データ分析予測装置4の予測結果に基づいて、CPAP装置2の治療から脱落しそうな患者に対して早期に適切なフォローを行うことができ、患者がCPAP装置2による治療から脱落することを未然に防止することができる。
また、学習部42は、特定した患者がCPAP装置2の初期の患者であった場合、第2期間より短い期間のデータに基づいて学習した結果から、CPAP装置2の脱落者の傾向に関するニューラルネットワークNNを生成する構成でもよい。
第2期間より短い期間とは、例えば、10日間である。CPAP装置2の初期の患者、すなわち、CPAP装置2による治療を始めたばかりの患者は、早期にCPAP装置2の治療から脱落する傾向にある。よって、学習部42は、CPAP装置2の初期の患者であった場合、第2期間より短い期間のデータに基づいて学習した結果から、CPAP装置2の脱落者の傾向に関するニューラルネットワークNNを生成する。
よって、データ分析予測装置4は、生成したニューラルネットワークNNを利用することにより、CPAP装置2による治療を始めたばかりの患者のデータがCPAP装置2の治療から脱落した初期の患者と同じような傾向を示すかどうかにより、この患者が将来的にCPAP装置2の脱落者になり得るかどうかを予測することができる。
例えば、専門家は、データ分析予測装置4の予測結果に基づいて、CPAP装置2による治療を始めたばかりの患者に対して早期に適切なフォローを行うことができ、初期の患者がCPAP装置2による治療から脱落することを未然に防止することができる。
また、学習部42は、CPAP装置2の使用が第1期間以上停止されていたが、その後、CPAP装置2の使用が再開された場合には、再開された患者のデータを特定した患者のデータから除外する構成でもよい。
CPAP装置2の使用を停止してから第1期間以上経過していても、CPAP装置2の治療を再開する場合がある。例えば、長期に海外などへ出張していた場合、旅行していた場合、及び入院していた場合などが考えられる。このような場合には、CPAP装置2の治療を一時的に停止していただけであり、CPAP装置2の治療から脱落していない。長期海外旅行や出張の判定には、CPAP装置2に設けられたGPS装置とユーザの携帯端末のGPS情報をサーバシステムSにて管理し、双方の位置関係から、治療からの脱落なのか旅行や出張に伴う不使用かどうかの判定を行う構成にしてもよい。また、当該携帯端末のGPS情報とCPAP装置2が設置されている自宅情報との位置関係から係る判定を行う構成にしてもよい。
自宅情報を利用する場合には、CPAP装置2が設置されている位置(自宅)の住所を示す情報を、上述の患者属性情報D1又は機器情報D11に含ませればよい。住所からCPAP装置2の所在(緯度及び経度)を特定する手段としては、ネットワークNを介して接続された他の情報処理装置が提供する「住所から緯度及び経度を導出するサービス」を利用してもよいし、このサービスと同様の機能をサーバシステムSが備えていてもよい。また、CPAP装置2の所在(緯度及び経度)とユーザの携帯端末の所在(緯度及び経度)との距離の算出についても、ネットワークNを介して接続された他の情報処理装置が提供する「異なる2点の各々の緯度及び経度から、2点間の距離を算出するサービス」を利用してもよいし、このサービスと同様の機能をサーバシステムSが備えていてもよい。また、CPAP装置2とユーザの携帯端末がどの程度離れている場合に長期海外旅行や出張と判定するかは任意であるが、この判定を行うための閾値は予め定められて記憶部に記憶されている。
GPS情報を利用した判定を行う場合、CPAP装置2を利用するユーザの携帯端末と当該CPAP装置2とが予め対応付けられる。図1では、当該ユーザの携帯端末として、GPS受信機91を備えた携帯端末9を例示している。CPAP装置2を利用するユーザは、移動の際に携帯端末9を身に着けているものとする。サーバ3は、CPAP装置2から送信されてきたデータに加えて、ユーザの携帯端末9に設けられたGPS受信機91が出力した緯度及び経度を示すデータを受信し、対応付けて保存する。ここで、CPAP装置2から定期的にデータが送信されるタイミングと、GPS受信機91が出力した緯度及び経度を示すデータが送信されるタイミングとは同期していることが望ましい。完全同期であることは必須要件ではないが、受信タイミングの時間差がCPAP装置2の利用状況とユーザの所在との対応関係として適当と考えられる時間差に収まっていることが望ましい。なお、CPAP装置2のGPS受信機21が出力する緯度及び経度を示すデータは、図2から図5に示すようなデータと共にサーバ3に都度送られるようにしてもよいし、CPAP装置2の起動時のみサーバ3に送られるようにしてもよい。
図5に示すようなデータが得られた場合、分析予測部43は、当該データを送ったCPAP装置2の所在(緯度及び経度)と、当該データと対応付けられたユーザの携帯端末に設けられたGPS受信機が出力した緯度及び経度とに基づいて、CPAP装置2と(当該データが送信された頃の)ユーザとの距離を算出する。分析予測部43は、算出された距離と上述の閾値とを比較し、その頃のデータが閾値によって定められる「長期海外旅行や出張と判定される」パターンに該当するか判定する。「長期海外旅行や出張と判定される」パターンに該当するほどCPAP装置2から離れた位置にユーザの携帯端末があると判定された期間のデータは、「治療からの脱落」ではなく「旅行や出張に伴う不使用」であると判定される。データのうち「旅行や出張に伴う不使用」であると判定された部分については、CPAP装置2による治療を所定期間以上継続しているか否かの判定に用いられない。すなわち、データのうち「旅行や出張に伴う不使用」であると判定された部分は、「CPAP装置2を利用した治療を所定期間以上継続することに失敗したこと」を示すものとしては扱われない。
このように、分析予測部43は、CPAP装置2に設けられたGPS受信機21が示す緯度及び経度又は予め登録されたCPAP装置2の所在に対応する緯度及及び経度と、当該CPAP装置2を利用したユーザの携帯端末9に設けられたGPS受信機91が示す緯度及び経度と、の距離に基づいて、当該ユーザが当該CPAP装置2を利用できなくなる移動を行っているか判定する。分析予測部43は、当該ユーザが当該移動を行っている期間の過去データを、CPAP装置2の利用継続期間の判定において無視する。これによって、旅行や出張のように「ユーザの自宅に設置されたCPAP装置2の利用の中断に正当な理由がある場合」と、ユーザがCPAP装置2の利用をやめてしまった場合とを区別可能になる。従って、CPAP装置2から送信されるデータに基づいて行われる「ユーザによるCPAP装置2の利用継続状況の判定」の精度をより高められる。
学習部42は、CPAP装置2の使用が再開された場合には、特定した患者のデータから再開された患者のデータを除外して、ニューラルネットワークNNを生成する。
よって、データ分析予測装置4は、CPAP装置2の治療を再開した患者のデータを除いて生成されたニューラルネットワークNNを利用することにより、患者が将来的にCPAP装置2による治療から脱落するかどうかを正確に予測することができる。
また、データ処理部41は、サーバ3に保存されている患者のデータを集約し、患者ごとの使用情報Dを生成する機能を有していてもよい。
図6は、各CPAP装置2から送信されてくるデータを集約し、患者ごとに作成される使用情報Dの一例を示す図である。専門家は、使用情報D又は使用情報Dの印刷物を閲覧することにより、患者によるCPAP装置2の使用状況を把握することができる。
使用情報Dは、患者の属性情報である患者属性情報D1と、CPAP装置2のセッティング情報である処方情報D2と、CPAP装置2の使用日数に関する情報である使用日数情報D3と、CPAP装置2の使用時間に関する情報である使用時間情報D4と、無呼吸及び低呼吸に関する情報である無呼吸低呼吸情報D5と、CPAP装置2により使用されている圧力の情報である使用圧力情報D6と、CPAP装置2の漏れ(リーク)に関する情報であるリーク情報D7と、例えば、1ヶ月間におけるCPAP装置2の1日ごとの使用時間を示すグラフD8と、CPAP装置2を使用している時間帯の詳細を示すグラフD9と、無呼吸低呼吸情報D5に基づくOAI、CAI、HIの時間的な変化を示すグラフD10とから構成されている。なお、使用情報Dを構成する要素は、上述以外でもよい。
また、使用日数情報D3と、使用時間情報D4と、無呼吸低呼吸情報D5と、使用圧力情報D6と、リーク情報D7とは、患者のCPAP装置2の使用状況を把握するための情報である。また、図6に示す無呼吸低呼吸情報D5に含まれる項目は、一例であり、CPAP装置2の機能向上により、他の項目や割合が追加される。学習部42は、追加された項目や割合も含めて学習を行い、学習した結果からCPAP装置2の脱落者の傾向(CPAP装置2による治療から脱落が疑われるデータの特徴)に関するニューラルネットワークNNを生成する。
よって、専門家は、患者が将来的にCPAP装置2による治療から脱落するかどうかの分析予測部43による予測結果と、データ処理部41による患者の使用情報に基づいて、患者に対して、早期に適切なフォローを行うことができ、CPAP装置2による治療から脱落することを未然に防止することができる。
また、学習部42は、特定した患者のデータである患者の属性情報、CPAP装置2の使用日数に関する一定期間の情報の傾向、使用時間に関する一定期間の情報の傾向、無呼吸及び低呼吸に関する一定期間の情報の傾向、圧力に関する一定期間の情報の傾向、リークに関する一定期間の情報の傾向の中のいずれか一つ又は複数を学習し、学習した結果からCPAP装置2の脱落者の傾向に関するニューラルネットワークNNを生成する構成でもよい。例えば、CPAP装置2の使用日数に関する一定期間の情報の傾向に基づけば、CPAP装置2の使用が改善しているのか、悪くなっているのかなどの傾向が分かる。
患者の属性情報とは、患者属性情報D1に相当し、例えば、性別、生年月日及び年齢などである。CPAP装置2の使用日数に関する一定期間の情報とは、使用日数情報D3に相当し、例えば、1ヶ月間の使用日数、1ヶ月間の使用可能日数、1ヶ月間で使用されなかった日数、及び1ヶ月間の使用されなかった日数の割合などである。なお、期間は、1ヶ月間に限らず、3ヶ月間又は6ヶ月間などでもよい。
使用時間に関する一定期間の情報とは、使用時間情報D4に相当し、例えば、1ヶ月間における規定時間以上の使用日数、1ヶ月間における使用時間インデックス、1ヶ月間における合計使用時間、1ヶ月間における平均使用時間、及び1ヶ月間における使用時間の中央値などである。なお、期間は、1ヶ月間に限らず、3ヶ月間又は6ヶ月間などでもよい。
無呼吸及び低呼吸に関する一定期間の情報とは、無呼吸低呼吸情報D5に相当し、例えば、AHI(Apnea Hypopnea Index、無呼吸低呼吸指数)、AI(Apnea Index、無呼吸指数)、及びHI(Hypopnea Index、低呼吸指数)などである。
圧力に関する一定期間の情報とは、使用圧力情報D6に相当し、例えば、CPAP装置2の1ヶ月間の平均圧力及びCPAP装置2の1ヶ月間の最大圧力などである。なお、期間は、1ヶ月間に限らず、3ヶ月間又は6ヶ月間などでもよい。
リークに関する一定期間の情報とは、リーク情報D7に相当し、例えば、CPAP装置2の1ヶ月間の平均リーク量及びCPAP装置2の1ヶ月間の最大リーク量などである。なお、期間は、1ヶ月間に限らず、3ヶ月間又は6ヶ月間などでもよい。
学習部42は、患者の属性情報などに基づいて学習し、学習した結果からCPAP装置2の脱落者の傾向に関するニューラルネットワークNNを生成する。
よって、データ分析予測装置4は、生成されたニューラルネットワークNNを利用することにより、具体的な患者のデータに基づいて、患者が将来的にCPAP装置2による治療から脱落するかどうかを予測することができる。
つぎに、データ分析予測装置4によるCPAP装置2の脱落の兆候を抽出して脱落傾向アンケートを送信する手順について、図7のフローチャートを用いて説明する。ここで、脱落傾向アンケートとは、複数の患者に対して定型の質問を問い合わせることである。これは、複数の患者の回答の異同に基づいた患者同士の類似性を判定するための情報を得ることを目的に行われる。後述するプレ脱落傾向アンケートや導入初期アンケートについても同様である。
ステップST1において、データ分析予測装置4は、CPAP装置2から脱落する患者のデータを蓄積する。例えば、CPAP装置2による治療から脱落になり得ると疑われるデータ(例えば、図4,6に示すデータ)の患者を特定し、特定した患者の情報(例えば、図6に示す各種情報)を過去6ヶ月分蓄積する。なお、CPAP装置2の初期使用の患者が脱落する場合があり、6ヶ月分のデータの蓄積がない場合がある。よって、6ヶ月よりも短い期間のデータを蓄積する構成でもよい。
ステップST2において、データ分析予測装置4は、CPAP装置2から脱落する患者のデータに基づいて学習する。ステップST1の工程で蓄積されたデータから、各種情報の6ヶ月のトレンドを求め、CPAP装置2から脱落する患者の傾向をパターン化する。なお、ステップST2の工程における分析とパターン化の項目としては、例えば、図6に示す患者属性情報D1、使用日数情報D3、使用時間情報D4、無呼吸低呼吸情報D5、使用圧力情報D6、リーク情報D7などである。
ステップST3において、データ分析予測装置4は、CPAP装置2から脱落しそうな患者の抽出を行う。データ分析予測装置4は、患者のCPAP装置2の使用情報(例えば、CPAP装置2の1日ごとの使用時間)から脱落する患者の傾向(パターン)に当てはまっているかをチェックし、同一又は類似の兆候(使用パターン)を示す場合、患者がCPAP装置2による治療から脱落する可能性があると判断し、この患者の情報を「脱落者になり得ると予測された患者」の情報として抽出する。このようにして抽出された患者の情報は、脱落傾向アンケートの配信に利用される。
ステップST4において、データ分析予測装置4は、抽出された患者に対して脱落傾向アンケートを送信する。脱落傾向アンケートについては後述する。
なお、データ分析予測装置4は、患者がCPAP装置2の初期使用者の場合には、主に、使用開始からの初期使用の患者のパターンに当てはまっているかどうかをチェックするようにしてもよい。係るチェックが行われる場合、学習部42は、図1に示すように、さらに、記憶装置にデータベースDBを備える。データベースDBには、図8に示すCPAP装置2の治療から脱落した患者になりうるかどうかの判断の基準となる基準データDTを有している。
図8に示す基準データDTの項目は、患者がCPAP装置2の使用を開始してから第3期間が経過した時点のAHI、平均リーク量、使用された日数の割合及び規定時間以上使用日数を判定するためのものであるが、これに限られるものでない。基準データDTは、CPAP装置2からの脱落の兆候を示す所定条件を満たすかの判定を行うために寄与すると考えられる事項を含んでいればよく、具体的な内容については適宜変更可能である。
第3期間は、第2期間より短い期間である。第3期間は、例えば14日間であるが、これに限られるものでなく、CPAP装置2からの脱落の兆候を先取りして把握するための期間として適当な範囲内で適宜変更可能である。
データ処理部41は、例えば、上述の使用情報Dと同様のデータを、患者がCPAP装置2の使用を開始してから第3期間が経過した時点で生成する。なお、第3期間が経過した時点で生成されるデータは、使用情報Dの全てである必要はなく、少なくとも基準データDTに基づいた脱落の兆候を示す所定条件の判定に係る事項を含んでいればよい。データ処理部41は、このようにして患者がCPAP装置2の使用を開始してから第3期間が経過した時点で生成されたデータと基準データDTとに基づいて、第3期間経過した時点でCPAP装置からの脱落の兆候を示す所定条件を満たす患者のデータを抽出する。
ここで、所定条件を満たす患者のデータとは、例えば、AHIが15以下(P≦15)であり、平均リーク量が40L/min以上(Q≧40)であり、使用された日数及び規定時間(例えば、4時間)以上使用日数が第3期間の7割以下(R≦70、S≦9.8)である患者のデータをさすが、これらは一例であってこれに限られるものでなく、CPAP装置2からの脱落の兆候を判定するために適当なパラメータであればよく、具体的な値については適宜変更可能である。基準データDTは、係る所定条件を満たすかどうかを判定するためのパラメータ(例えば、図8に示すP、Q、R、S)を設定されている。
基準データDTに基づいて脱落の兆候を示す所定条件を満たすとされた患者のデータは、後述するプレ脱落傾向アンケートの配信に利用される。
また、上述の脱落傾向アンケート及びプレ脱落傾向アンケートに加えて、実施形態では、さらに導入初期アンケートが配信される。導入初期アンケートは、CPAP装置2の使用を開始してから第4期間経過した時点で患者に対して配信される。
第4期間は、第3期間より短い期間である。第4期間は、例えば7日間であるが、これに限られるものでなく、患者がCPAP装置2の使用を開始した後にCPAP装置2を利用した治療に関する初期状況を確認するために適当な期間として適当な範囲内で適宜変更可能である。
上述の例では、脱落傾向アンケート、プレ脱落傾向アンケート及び導入初期アンケートの全てが配信される場合、患者には、原則として、導入初期アンケート、プレ脱落傾向アンケート、脱落傾向アンケートの順に配信されるが、これに限られるものでない。例えば、係る3種類のアンケートのうち2種類を統合した内容のアンケートと、他の1種類のアンケートとを送信するようにしてもよい。
導入初期アンケート、プレ脱落傾向アンケート及び脱落傾向アンケートは、送信部44によってデータ分析予測装置4から端末5に配信される。送信部44は、分析予測部43によって抽出された患者の情報を参照して送信を行う。
データ分析予測装置4から端末5に配信された脱落傾向アンケートの内容は、端末5の表示部5Mに表示される。端末5のユーザである患者は、端末5を介して脱落傾向アンケートに対する回答を行い、端末5からデータ分析予測装置4に当該回答を示すデータを送信する。導入初期アンケート及びプレ脱落傾向アンケートについても同様である。
導入初期アンケート、プレ脱落傾向アンケート及び脱落傾向アンケートの各々の回答を示すデータは、通信部40を介して受信される。従って、通信部40は、受信部として機能する。また、通信部40が受信した回答を示すデータは、例えばデータベースDB又はデータ分析予測装置4が読み出し可能な記憶装置、記憶媒体に記憶され、このようにして当該データを記録した構成は記憶部として機能する。記憶部に記憶されたデータは、患者毎に管理される。記憶部に記憶されたデータは、患者単位で使用情報Dと対応付けられてもよいし、学習部42による学習のための情報として利用されてもよい。
端末5は、各患者が有する情報処理装置である。具体的には、例えばスマートフォン等の携帯端末又はパーソナル・コンピュータ等の端末であり、ネットワークNを介してデータ分析予測装置4と通信可能に接続される。図1では、CPAP装置2a,CPAP装置2b、…の各ユーザである患者との対応関係を示す目的で、端末5a,端末5b、…を例示している。CPAP装置2aと端末5aは、同一の患者をユーザとする。CPAP装置2bと端末5bは、同一の患者をユーザとする。どのCPAP装置2を使用する患者がどの端末5を有しているのかを示すデータは、例えばデータベースDB又はデータ分析予測装置4が読み出し可能な記憶装置、記憶媒体に記憶される。
なお、導入初期アンケートやプレ脱落傾向アンケート、脱落傾向アンケートを患者に送信するための情報は、例えばデータベースDB又はデータ分析予測装置4が読み出し可能な記憶装置、記憶媒体に記憶されている。係る情報は、例えば患者のメールアドレスであるが、これに限られるものでなく、患者に対する脱落傾向アンケート等の送信が可能な情報であればよい。分析予測部43は、導入初期アンケートやプレ脱落傾向アンケート、脱落傾向アンケートの送信に際して、送信の対象となる患者を抽出し、係る患者に送信を行うための情報(例えば、メールアドレス)を送信部44に出力する。送信部44は、係る情報に基づいて導入初期アンケートやプレ脱落傾向アンケート、脱落傾向アンケートを送信する。送信された導入初期アンケートやプレ脱落傾向アンケート、脱落傾向アンケートは、通信部40及びネットワークNを介して端末5に配信される。
端末5は、データ分析予測装置4と同様、いわゆるコンピュータであり、CPU、RAM、ROM、内部記憶装置等を備える。また、端末5は、データ分析予測装置4から送信された各種の情報を表示するための表示部5Mを備える。表示部5Mは、例えば液晶ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ又はCRT(Cathode Ray Tube)等の表示装置を含む構成である。また、端末5は、表示部5Mに表示された脱落傾向アンケートの質問に対する回答を入力するための入力部を備えていてもよい。入力部は、例えばキーボード、マウス等の入力装置を含む構成である。なお、入力部は、タッチパネルのように表示部5Mと一体的に設けられた構成であってもよい。
図9は、導入初期アンケートの内容の表示例を示す図である。導入初期アンケートは、CPAP装置2の使用によって患者の眠りに変化が生じたかを確認するための質問を含む。係る質問の例として、図9では、「治療を開始して、いかがですか?」という質問が設定されている。また、図9に示す導入初期アンケートは、さらに、「治療の継続について、いかがですか?」のように、CPAP装置2を使用した治療に関する患者の意欲を確認する質問を含んでいる。これらの質問には、それぞれ複数の回答の選択肢が予め設定されている。患者は、端末5を介して質問に対する回答の選択肢のいずれかを選択する。
例えば、「治療を開始して、いかがですか?」という質問については、「良く寝れるようになった」、「治療前と変わらない」又は「治療前より寝れない」のいずれか1つの回答を選択可能に設けられている。後述するプレ脱落傾向アンケートや脱落傾向アンケートについても同様に、質問には質問の趣旨に対応した回答が設定されている。
図10は、プレ脱落傾向アンケートの内容の表示例を示す図である。プレ脱落傾向アンケートは、上述の所定条件を満たす患者がCPAP装置2の使用に関して考えていること又は感じていることを確認するための質問を含む。係る質問の例として、図10では、「CPAPを使ってお困りはありませんか?」という質問が設定されている。また、係る質問に対する回答の選択肢として、「使っていて苦しい」、「良く眠れない」、「マスクが合わない」、「頑張れそうにない」、「もう少し頑張ってみる」が設定されている。係る回答の選択の状況によって、患者がCPAP装置2の使用に関して考えていること又は感じていることに関する情報が得られるようになっている。
図11は、脱落傾向アンケートの内容の表示例を示す図である。脱落傾向アンケートは、図7のフローチャートを参照して説明した「脱落者になり得ると予測された患者」として抽出された患者がCPAP装置2の使用に関して困っていることを確認するための質問を含む。係る質問の例として、図11では、「CPAPでお困りですか?」という質問が設定されている。また、係る質問に対する回答の選択肢として、「呼吸時の圧力が強いです」、「呼吸時の圧力が弱いです」、「マスクから息が漏れます」、「マスクが外れます」、「枕が合わない」、「音が気になる」、「CPAP治療に慣れない」等が設定されている。係る回答の選択の状況によって、患者がCPAP装置2の使用に関して困っていることに関する情報が得られるようになっている。
さらに、図9から図11に示す例では、自由記載欄が設けられている。自由記載欄は、例えば、「自由に記載」というタイトルのテキストボックスとして設けられる。患者は、係るテキストボックスに対して任意の文章を入力できる。これによって、質問とその回答だけでは把握が困難な患者に関する情報をさらに取得可能になる。
図9から図11では、いずれか1つを選択するラジオボタンでの回答選択方式が例示されているが、これに限られるものでなく、回答を選択するための具体的なインタフェースは任意に変更可能である。例えば、回答として選択する文を表示した状態で送信すれば回答したことになるプルダウンメニュー方式であってもよい。また、図10や図11に示す回答は、いずれか1つを選択するものでなく、患者に取ってあてはまる事象を全て選択可能としてもよい。その場合、ラジオボタンのような択一式のインタフェースに代えて、チェックボックスのような複数選択可能なインタフェースが採用される。
なお、実施形態では、導入初期アンケートはCPAP装置2を使用する全ての患者に送信される。また、実施形態では、プレ脱落傾向アンケートはCPAP装置2を使用した治療の開始から第3期間が経過した患者であって、所定条件を満たした患者に送信される。ただし、導入初期アンケート及びプレ脱落傾向アンケートは必須でなく、少なくとも一方が省略されてもよい。実施形態では、脱落者になり得ると予測された患者に対するCPAP装置2の使用に関する脱落傾向アンケートの送信については、脱落者になり得ると予測された患者が抽出された場合(図7のステップST3参照)、実行される。
図12は、導入初期アンケートの送信に係る処理の流れを示すフローチャートである。ステップST11において、データ分析予測装置4は、CPAP装置2の使用開始から第4期間が経過した患者を抽出する。ステップST12において、データ分析予測装置4は、抽出された患者に対する導入初期アンケートの送信を行う。
図13は、プレ脱落傾向アンケートの送信に係る処理の流れを示すフローチャートである。ステップST21において、データ分析予測装置4は、CPAP装置2の使用開始から第3期間が経過した患者のうち、所定条件を満たす患者を抽出する。係る所定条件は、例えば上述の図8を参照して説明した所定条件である。ステップST22において、データ分析予測装置4は、抽出された患者に対するプレ脱落傾向アンケートの送信を行う。
ステップST11及びステップST21におけるCPAP装置2の使用開始からの経過日数のチェックは、例えば上述の使用日数情報D3の管理と同様の仕組みで行われる。データベースDB等、データ分析予測装置4が参照可能な記憶装置にはあらかじめCPAP装置2の各々の使用開始日を示す情報が、各患者の情報と対応付けられて記憶されている。
以上、実施形態によれば、CPAP管理システム1は、データ処理部41と、分析予測部43と、送信部44とを備える。また、複数のCPAP装置2から送信されてきた複数の患者のデータがサーバ3に保存されている。データ処理部41は、CPAP装置2から送信されてきた患者のデータを処理する。分析予測部43は、サーバ3に保存されている患者のデータのうち、CPAP装置2の使用を停止した期間が第1期間以上である患者のデータの中から、CPAP装置2の使用を停止した日から遡って、第2期間のデータを抽出し、第2期間のデータに基づいて、患者が将来的にCPAP装置2の脱落者になり得るかどうかの予測結果を出力する。送信部44は、脱落者になり得ると予測された患者に対してCPAP装置2の使用に関する脱落傾向アンケートを送信する。
これにより、AIを活用して患者が将来的にCPAP装置2による治療から脱落するかどうかを予測し、脱落すると予測された患者に対して脱落傾向アンケートによるフォローを行うことができる。従って、脱落傾向アンケートを送信された患者は、CPAP装置2の使用状況について外部から見守られているという安心感を得やすくなる。このため、CPAP装置2から脱落しそうな患者に、CPAP装置2の使用状況の将来的な改善について楽観的になるファクターを与えられる。このように、CPAP管理システム1によれば、患者が将来的にCPAP装置の脱落者になり得るかどうかを予測して脱落者にならないよう支援することができる。
また、脱落傾向アンケートは、脱落者になり得ると予測された患者がCPAP装置2の使用に関して困っていることを確認するための質問を含む。
これにより、脱落傾向アンケートの回答を得ることで患者がCPAP装置2の使用に関して困っていることを把握可能になり、患者により適した支援を行うための情報を得られる。
また、脱落傾向アンケートの回答を示すデータを受信する受信部(例えば、通信部40)と、脱落傾向アンケートの回答を示すデータを記憶する記憶部(例えば、データベースDB)と、を備える。
これにより、CPAP装置2から脱落しそうな患者が脱落傾向アンケートの回答時点で行ったCPAP装置2の使用に関するタイムリーな情報を取得できる。係る情報を含む脱落傾向アンケートの回答と、データ分析予測装置により予測した結果とを専門家に提示することにより、専門家は、患者に対して早期に適切なフォローを行うことができ、患者が治療装置による治療から脱落しないよう支援できる。専門家とは、医師、検査技師、看護師等の医療従事者などである。このように、CPAP管理システム1によれば、患者が将来的にCPAP装置の脱落者になり得るかどうかを予測して脱落者にならないようより的確に支援することができる。さらに、脱落傾向アンケートの回答を記録することで、患者が脱落傾向アンケートの回答の一部又は全部を忘却しても、脱落傾向アンケートの回答に関する情報が失われなくなる。従って、専門家によるアドバイスをより的確にしやすくなる。
また、分析予測部43は、CPAP装置2の使用を開始してから第3期間経過した時点でCPAP装置2の使用からの脱落の兆候を示す所定条件を満たす患者のデータを抽出する。送信部44は、所定条件を満たす患者に対してCPAP装置2の使用に関するプレ脱落傾向アンケートを送信する。プレ脱落傾向アンケートは、所定条件を満たす患者がCPAP装置2の使用に関して考えていること又は感じていることを確認するための質問を含む。また、所定条件は、無呼吸及び低呼吸に関する情報並びにリークに関する情報を含む。第3期間中の無呼吸及び低呼吸に関する情報として、例えば、AHI、使用された日数の割合、規定時間以上の使用日数等が挙げられる。また、第3期間中のリークに関する情報として、例えば、平均リーク量が挙げられる。
これにより、AIを活用した患者が将来的にCPAP装置2による治療から脱落するかどうかの予測に先立ち、所定条件に基づいて患者のCPAP装置2からの脱落の兆候を抽出してプレ脱落傾向アンケートを送信できる。係るプレ脱落傾向アンケートにより、患者は、CPAP装置2の使用状況について外部から見守られているという安心感や、CPAP装置2に対する不満や不安等の発散のきっかけを得やすくなる。このため、CPAP装置2からの脱落の兆候を示す患者に、CPAP装置2の使用を継続するモチベーションや、CPAP装置2の使用状況の将来的な改善について楽観的になるファクター等を与えられる。また、所定条件が無呼吸及び低呼吸に関する情報並びにリークに関する情報を含むことで、定量的に患者のCPAP装置2からの脱落の兆候を判定できる。
また、送信部44は、CPAP装置2の使用を開始してから第4期間経過した時点で患者に対してCPAP装置2の使用に関する導入初期アンケートを送信する。導入初期アンケートは、CPAP装置2の使用によって患者の眠りに変化が生じたかを確認するための質問を含む。
これにより、所定条件に基づいた脱落の兆候の把握に先立ち、患者に導入初期アンケートを送信できる。係るプレ脱落傾向アンケートにより、患者は、CPAP装置2の使用状況について外部から見守られているという安心感や、CPAP装置2に対する不満や不安等の発散のきっかけをより初期段階で得やすくなる。このため、CPAP装置2の使用を継続するモチベーションを与えられる。
なお、導入初期アンケートの回答の内容によって専門家に患者の兆候に関する情報を送信するかを決定してもよい。例えば、図9に示す導入初期アンケートに含まれる2問の質問の各々の3択回答について、各質問の一番上の回答が3点、一番下の回答が1点、その間の回答が2点であるものとし、2問の質問の回答の合計点が4点以下である場合に専門家に患者の兆候に関する情報を送信するようにしてもよい。係る4点以下となる回答は、患者がCPAP装置2の使用について積極的になることが困難な兆候があることを示唆する回答であるため、係る兆候についてより先んじて専門家に情報を伝達することで、患者がCPAP装置2から脱落しきる前の事前のフォローをより行いやすくなる。
また、CPAP装置2による治療から脱落する脱落者のデータに基づいて学習し、学習した結果からニューラルネットワークNNを生成する学習部42を備える。分析予測部43は、ニューラルネットワークNNを利用して、データ処理部41により処理されたデータの分析を行う。
これにより、データ分析予測装置4は、生成されたニューラルネットワークNNを利用することにより、具体的な患者のデータに基づいて、患者が将来的に治療装置による治療から脱落するかどうかを予測することができる。
以上、好適な実施の形態を説明したが、本開示はこのような実施の形態に限定されるものではない。実施の形態で開示された内容はあくまで一例にすぎず、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。本開示の趣旨を逸脱しない範囲で行われた適宜の変更についても、当然に本開示の技術的範囲に属する。
例えば、実施形態では、主に、患者が将来的にCPAP装置2の脱落者になり得るかどうかを予測するためのデータ分析予測装置4の構成と動作について説明したが、これに限られず、各構成要素を備え、患者が将来的にCPAP装置2の脱落者になり得るかどうかを予測して脱落傾向アンケートを送信するためのデータ分析予測プログラムとして構成されてもよい。
さらに、データ分析予測プログラムをコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたデータ分析予測プログラムをコンピュータに読み込ませ、実行することによって実現されてもよい。
具体的には、データ分析予測プログラムは、CPAP装置2から送信されてきた患者のデータを処理するデータ処理工程と、複数のCPAP装置2から送信されてきた複数の患者のデータがサーバに保存されており、当該サーバに保存されている患者のデータに基づいて、CPAP装置2による治療から脱落する脱落者のデータに基づいて学習し、学習した結果からニューラルネットワークNNを生成する学習工程と、学習工程により生成されたニューラルネットワークNNを利用して、データ処理工程により処理されたデータの分析を行い、分析結果に基づいて、患者が将来的にCPAP装置2の脱落者になり得るかどうかを予測する分析予測工程と、脱落者になり得ると予測された患者に脱落傾向アンケートを送信する送信工程とをコンピュータに実行させるプログラムである。
また、前記学習部は、前記特定した患者が前記治療装置の初期の患者であった場合、前記第2期間より短い期間のデータに基づいて学習し、学習した結果から前記治療装置の脱落者の傾向に関する前記ニューラルネットワークNNを生成する構成でもよい。
第2期間より短い期間とは、例えば、10日間である。治療装置の初期の患者、すなわち、治療装置による治療を始めたばかりの患者は、早期に治療装置の治療から脱落する傾向にある。よって、学習部は、治療装置の初期の患者であった場合、第2期間より短い期間のデータに基づいて学習し、学習した結果からニューラルネットワークNNを生成する。よって、データ分析予測装置は、生成したニューラルネットワークNNを利用することにより、治療装置による治療を始めたばかりの患者のデータが治療装置の治療から脱落した初期の患者と同じような傾向を示すかどうかにより、この患者が将来的に治療装置の脱落者になり得るかどうかを予測することができる。例えば、専門家は、治療装置による治療を始めたばかりの患者に対して早期に適切なフォローを行うことができ、初期の患者が治療装置による治療から脱落することを未然に防止することができる。
また、前記学習部は、前記治療装置の使用が前記第1期間以上停止されていたが、その後、前記治療装置の使用が再開された場合には、再開された患者のデータを前記特定した患者のデータから除外する構成でもよい。
治療装置の使用を停止してから第1期間以上経過していても、治療装置の治療を再開する場合がある。例えば、長期に海外などへ出張していた場合、旅行していた場合、及び入院していた場合などが考えられる。このような場合には、治療装置の治療を一時的に停止していただけであり、治療装置の治療から脱落していない。学習部は、治療装置の使用が再開された場合には、再開された患者のデータを特定した患者のデータから除外して、ニューラルネットワークNNを生成する。よって、データ分析予測装置は、治療装置の治療を再開した患者のデータを除いて生成されたニューラルネットワークNNを利用することにより、患者が将来的に治療装置による治療から脱落するかどうかを正確に予測することができる。
また、前記学習部は、前記特定した患者のデータである患者の属性情報、前記治療装置の使用日数に関する情報、使用時間に関する情報、無呼吸及び低呼吸に関する情報、圧力に関する情報、リークに関する情報の中のいずれか一つの情報又は複数の情報を学習し、学習した結果から前記治療装置の脱落者の傾向に関する前記ニューラルネットワークNNを生成する構成でもよい。
患者の属性情報とは、例えば、性別、生年月日及び年齢などである。治療装置の使用日数に関する情報とは、例えば、1ヶ月間の使用日数、1ヶ月間の使用可能日数、1ヶ月間で使用されなかった日数、及び1ヶ月間の使用されなかった日数の割合などである。使用時間に関する情報とは、例えば、1ヶ月間における規定時間以上の使用日数、1ヶ月間における規定時間以上の使用日数の割合、1ヶ月間における合計使用時間、1ヶ月間における平均使用時間、及び1ヶ月間における使用時間の中央値などである。無呼吸及び低呼吸に関する情報とは、例えば、AHI(Apnea Hypopnea Index、無呼吸低呼吸指数)、AI(Apnea Index、無呼吸指数)、及びHI(Hypopnea Index、低呼吸指数)などである。圧力に関する情報とは、例えば、治療装置の1ヶ月間の平均圧力及び治療装置の1ヶ月間の最大圧力などである。リークに関する情報とは、例えば、治療装置の1ヶ月間の平均リーク量及び治療装置の1ヶ月間の最大リーク量などである。学習部は、患者の属性情報などから治療装置の脱落者のデータに基づいて学習し、学習した結果からニューラルネットワークNNを生成する。よって、データ分析予測装置は、生成されたニューラルネットワークNNを利用することにより、具体的な患者のデータに基づいて、患者が将来的に治療装置による治療から脱落するかどうかを予測することができる。
次に、脱落傾向アンケートの送信対象になった患者の事後フォローを活用可能な形態について説明する。事後フォローとは、脱落傾向アンケートが送信された患者に対して、医療機関等で行われた「CPAP装置2の使用状況を改善する目的で行われた働きかけ」をさす。以降、「事後フォローデータ」と記載した場合、事後フォローの内容を示すデータをさす。
図14は、図1に示すCPAP管理システム1に、さらに事後フォローを活用可能な機能が追加されたCPAP管理システム1aの構成例を示す図である。CPAP管理システム1aの分析予測部43は、各患者が使用しているCPAP装置2から送信されたデータと、当該データの患者に脱落傾向アンケートが送られたか否かを示すデータとを対応付けてサーバ3に記憶させるためのデータを、通信部40を介してサーバ3に送信する。サーバ3は、当該データに応じて係る対応付けを行う。以下、「対応付けデータ」と記載した場合、サーバ3が記憶する、各患者が使用しているCPAP装置2から送信されたデータと、当該データの患者に脱落傾向アンケートが送られたか否かを示すデータとの対応関係を特定可能なデータをさす。
CPAP管理システム1では、事後フォローデータの入力及び記憶が行われる。事後フォローデータの入力は、例えば医療機関等に設けられた端末8が備える入力部81を介して行われる。端末8は、情報処理装置である。具体的には、端末8は、例えばパーソナル・コンピュータ等の端末又はスマートフォン等の携帯端末であり、端末5と同様、ネットワークNを介してサーバ3、データ分析予測装置4等の他の機器と通信可能に接続される。入力部81は、例えばキーボード、マウス等の入力装置を含む構成であるが、タッチパネルのように端末8が備える図示しない表示装置と一体的に設けられた構成であってもよい。また、事後フォローデータの入力は、端末5に設けられた入力部を介して行われてもよい。
事後フォローデータは、サーバ3に送信される。サーバ3は、対応付けデータによる患者単位でのデータ同士の対応付けに、各患者の事後フォローデータをさらに加えて記憶する。すなわち、サーバ3は、脱落傾向アンケートが送られた患者のアンケート回答と、当該患者に対する事後フォローの内容と、当該事後フォロー後の患者が使用しているCPAP装置2から送信されたデータとを対応付けて記憶する。
脱落傾向アンケートを送信された患者は、事後フォロー前にはCPAP装置2による治療から脱落すると予測されるようなCPAP装置2のデータ(例えば、図3を参照して説明したデータ)が得られている。このような患者の一部又は全部は、事後フォロー後にCPAP装置2の使用状況が改善し、CPAP装置2による治療を継続可能になることがある。この場合、当該患者からは図2を参照して説明したようなデータが得られるようになる。CPAP装置2は、事後フォローが行われた後も当該データの送信を継続する。サーバ3は、事後フォローが行われた後も当該データの患者単位での対応付けを継続する。CPAP管理システム1aは、このような事後フォロー後のCPAP装置2のデータの送信及び対応付けの継続によって、対応付けデータに基づいて事後フォローによってCPAP装置2の使用状況が改善した患者と、当該患者に対して行われた事後フォローとの対応関係を特定可能に設けられる。
学習部42は、対応付けデータに基づいた学習を行う。すなわち、学習部42は、サーバ3に保存されている対応付けデータに基づいて、CPAP装置2による治療から脱落すると予測された後に事後フォローによってCPAP装置2による治療を継続可能になった患者のデータに基づいて学習し、学習した結果からニューラルネットワークを生成する。当該ニューラルネットワークは、ニューラルネットワークNNから独立したニューラルネットワークであってもよいし、ニューラルネットワークNNと統合された、ニューラルネットワークNNの機能追加版として機能するニューラルネットワークであってもよい。当該ニューラルネットワークは、例えば、脱落傾向アンケートを送信されて回答した患者の属性情報及び脱落傾向アンケートの回答を入力とし、当該入力に対応する事後フォローの内容を示す情報を出力とする。CPAP管理システム1aの分析予測部43は、このようにニューラルネット―ワークを利用して出力された情報を、新たに脱落傾向アンケートが送信されて回答を行った患者への事後フォロー情報として出力する。
対応付けデータに基づいて生成されるニューラルネットワークは、事後フォローの内容と事後フォロー後にCPAP装置2のデータが改善するまでに経過した期間との関係に基づいて事後フォローの重み付け機能をさらに考慮したものであってもよい。この場合、事後フォロー後により早くCPAP装置2のデータが図2に示すようなデータに移行した事後フォローの内容により高い重み付けがなされる。
また、係る重み付けは、脱落傾向アンケートの回答の傾向毎に個別に行われていてもよい。すなわち、脱落傾向アンケートの回答が異なる場合、事後フォロー後のCPAP装置2のデータの傾向について個別に扱うようにしてもよい。言い換えれば、脱落傾向アンケートの回答の一部又は全部が一致する複数の患者について、脱落傾向アンケートの回答と事後フォロー後の傾向とについて脱落傾向アンケートの回答の一致の度合いに応じたグルーピングを行い、同様の回答をした他の患者についてより優先的に係るグルーピングが行われたデータの事後フォローが抽出されるようにしてもよい。より具体的な例を挙げると、「CPAP装置2の圧力が高くて苦しい」という旨の回答を示したグループに属する患者に対する事後フォロー(圧力設定の低減)の例と、「CPAP装置2の圧力が低くてうまく呼吸できない」という旨の回答を示したグループに属する患者に対する事後フォロー(圧力設定の上昇)の例と、「マスクが合わない」という旨の回答を示したグループに属する患者に対する事後フォロー(マスクの交換及び交換後のマスクの機種提示)の例と、を個別にグルーピングする等が挙げられる。なお、脱落傾向アンケートにおける「自由に記載」欄で行われた回答の文字列に関する扱いは任意であるが、例えばデータマイニングを活用して異同や類似の度合いを判定するようにしてもよい。
また、患者の属性情報の一致又は類似度合等、他の事項の共通性の度合いに基づいた患者のグルーピングを行うようにしてもよい。学習部42は、対応付けデータについてこれら例示されたグルーピングの一部又は全部を適用したうえで重み付けされた出力を得られるニューラルネットワークを生成するようにしてもよい。
データ分析予測装置4は、対応付けデータに基づいて生成されたニューラルネットワークを利用することにより、具体的な患者のデータに基づいて、いったんCPAP装置2を利用した治療から脱落すると予測された患者に当該治療を継続可能とする事後フォローの内容を抽出可能になる。
具体的な事後フォローは、例えば脱落傾向アンケートで「呼吸時の圧力が強いです」が選択されていた患者に対するものとして、CPAP装置2により患者に送り込まれる空気の圧力の上限圧を低下させるCPAP装置2の調整が行われる等の処方が挙げられる。「呼吸時の圧力が弱いです」の場合、事後フォローは逆に当該圧力を上昇させるCPAP装置2の調整が行われるものになる。また、脱落傾向アンケートで「マスクから息が漏れます」等のマスクに関するものである場合、事後フォローは、マスクの交換及び交換後のマスクの候補の提示等になる。自由記載欄で患者が鼻詰まりその他の理由で息苦しさを生じていることが判明した場合、事後フォローは、当該鼻詰まりを低減又は解消するための疾患治療の適用や息苦しさを軽減可能な実績のあるフルフェイスマスクの利用の提案等になる。その他、脱落傾向アンケートの回答に応じた事後フォローが個別に適用され得る。
分析予測部43によって抽出された事後フォローを患者への処方に利用可能とするための報知方法については任意であるが、例えば端末8に設けられた報知部82による報知が行われる。報知部82は、例えば液晶ディスプレイ等の表示部による表示出力によって事後フォローの内容を示す情報を出力してもよいし、スピーカ等を介した音声出力によって同様の情報を出力してもよいし、その他の出力方法に対応した構成を備えていてもよい。この場合、分析予測部43が出力した事後フォロー情報は、通信部40等を介して端末8に送信され、報知部82による報知に利用される。また、事後フォロー情報は、端末5等の端末に送信されて表示等の報知に利用されるようにしてもよい。
また、事後フォロー情報の出力において学習部42によるニューラルネットワークの生成は必須でない。分析予測部43は、対応付けデータに基づいて、新たな患者に適用可能な事後フォロー情報を条件一致等のニューラルネットワークを利用しない通常のコンピュータ処理の度合いに基づいて抽出するようにしてもよい。この場合、過去の患者の対応付けデータに含まれる回答と新たな患者の回答との一致の度合いに関する閾値等が別途定められ、サーバ3又はデータ分析予測装置4で分析予測部43から参照可能な状態で記憶される等の対応が行われる。
図15は、図7を参照して説明した処理を経た後の処理の流れの一例を示すフローチャートである。まず、脱落傾向アンケートの回答を示すデータの取得が行われる(ステップST31)。既に脱落傾向アンケートを回答済みである患者の事後フォローデータの取得が行われる(ステップST32)。ステップST31で得られた当該回答を行った患者によるアンケートの回答を示すデータと、ステップST32で得られた事後フォローデータと、の対応付けが行われる(ステップST33)。ステップST33の処理によって、上述の対応付けデータが得られる。上述のように、患者の属性情報、患者が利用するCPAP装置2から送信されるデータ等、さらなるデータを対応付けデータに含ませるようにしてもよい。ステップST31の処理とステップST32の処理の対象となる患者は、脱落傾向アンケートを送信された患者のうち脱落を回避した患者に限定されてもよいし、さらに、事後フォローによっても脱落を回避できなかった患者を含んでいてもよい。すなわち、ステップST31の処理とステップST32の処理が、「脱落傾向アンケートを送信された患者のうち、脱落を回避した患者に対する事後フォローの内容と当該患者の脱落傾向アンケートに対する回答の内容を示すデータとを取得する」第5ステップの処理に相当する。
図16は、図15を参照して説明した処理を経た後の処理の流れの一例を示すフローチャートである。新たな患者に対する脱落傾向アンケートの送信が行われる(ステップST41)。ステップST41の処理は、上述のステップST33で事後フォローデータが得られた患者とは異なる患者に対する脱落傾向アンケートの送信である点を除いて、上述のステップST4の処理と同様であり、ステップST4の前提となるステップST1からステップST3の処理についてもステップST41の処理の前に同様に行われる。また、脱落傾向アンケートに対する新たな患者の回答を示すデータの取得が行われる(ステップST42)。ステップST42の処理は、回答を行う主体がステップST41の処理で脱落傾向アンケートを送信された新たな患者である点を除いて、ステップST31の処理と同様である。
その後、過去の患者による脱落傾向アンケートの回答と、新たな患者による脱落傾向アンケートの回答とに基づいた事後フォローの内容の抽出が行われる(ステップST43)。ステップST43における「過去の患者」とは、ステップST31からステップST33の処理が既に行われている患者をさす。また、ステップST43における「新たな患者」とは、ステップST41,ST42の処理の対象となった患者をさす。ステップST43による事後フォローの内容の抽出は、上述のニューラルネットワークを利用した抽出であってもよいし、ニューラルネットワークを利用しない分析予測部43による抽出であってもよい。その後、抽出された事後フォローの内容の報知が行われる(ステップST44)。当該報知は、上述の報知部82を介した報知であってもよいし、他の方法による報知であってもよい。
このように、CPAP管理システム1aによれば、脱落傾向アンケートを送信された患者のうち、脱落傾向アンケートの送信後に行われた事後フォローによってCPAP装置2による治療の脱落を回避した患者に対する事後フォローの内容と当該患者の脱落傾向アンケートに対する回答の内容を示すデータを取得し、他の患者に対する事後フォローの内容を示すデータを、当該他の患者による脱落傾向アンケートに対する回答とCPAP装置2による治療の脱落を回避した患者による脱落傾向アンケートに対する回答とに基づいて抽出する。これにより、過去にCPAP装置2による治療の脱落を回避した患者に対する事後フォローの内容に基づいた他の患者に対する事後フォローの提案を行える。
また、本実施の形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本開示から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本態様によりもたらされるものと解される。