JP2017161223A - 騒音源探索システム - Google Patents

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Abstract

【課題】静止画像との重ね合わせであっても騒音源の位置を適切に特定する。【解決手段】本発明に係る騒音源探索システム1の演算処理部22は、c−cマイク12で発生音の音圧を計測し、該音圧値を用いて発生音の到来角度を到来角度算出部33で算出するとともに、発生音ごとのエネルギー値をエネルギー算出部34で算出し、次いで、到来角度及びエネルギー値を用いて微小時間幅Δtにわたる発生音の到来数をエネルギー値で重み付けされた形で角度別到来数として算出し、これを累積算出部38で総和して角度別累積到来数とし、該角度別累積到来数をヒストグラムとしてビデオカメラ10から取得された静止画像に重ね合わせて合成画像とし、該合成画像をタブレット端末7に送信する。【選択図】 図3

Description

本発明は、主として建設工事現場での騒音源探査に用いられる騒音源探索システムに関する。
建設工事が行なわれる現場では、ブルドーザ、トラクターショベル、バックホウなどの各種建設工事用機械が敷地内で稼働しており、それらの作動音をはじめとしたさまざまな発生音が周囲に伝播するが、何らの措置も講じない場合、上述の発生音が周囲に伝播して騒音となり、近隣住民に不測の健康被害あるいは生活被害を及ぼすことが懸念される。
そのため、建設工事に伴う騒音については騒音規制法に基づく規制が行われており、敷地内の建設工事による騒音が敷地境界において規制基準を上回らないようにしなければならないが、目標値を越えたときに建設工事用機械を停止するなどの措置を取るためには音源の位置を特定する必要があり、そのためには観測点から見たときに音源から到来する発生音の方向、いわば発生音の到来角度を把握することが重要となる。
一方、騒音計で計測された騒音値は、全方位から到来した敷地内外におけるさまざまな発生音が反映されたものとなるため、計測された騒音レベルが目標値を上回ったときにその原因が敷地内にあるのか敷地外にあるのかを区別し、さらには敷地内のどの重機に起因するのかを特定することは難しい。
このような状況下、ベクトル量である音響インテンシティを計測することで、発生音の到来角度を把握するc−c法と呼ばれる音響インテンシティ算出法を利用した騒音源探索システムが知られている(特許文献1)。
上記騒音源探索システムにおいては、発生音の音圧を計測しつつその周辺の映像を撮像手段で撮影するとともに、計測された音圧値を用いて到来角度算出部で発生音の到来角度を算出し、該到来角度を音源位置マーカーとして撮像手段から得られた映像に重ね合わせてモニターに表示するようになっているため、発生音がどこから到来しているのかを映像上で確認することが可能となり、騒音源の位置を適切かつ迅速に特定することができる。
特開2014−044083号公報
ここで、特許文献1記載の騒音源探索システムでは、音圧計測時や解析時に生じる誤差に起因して、発生音の到来方向が実際とは異なる到来方向を示すことがある。また、発生音は、騒音源から直接到来するだけではなく、山間部の建設現場では山腹や擁壁で、都心部では隣接ビルといった箇所で反射して到来する場合があり、この場合には、直接波と反射波が混在して到来角度が複数検出される。
かかる状況は、到来方向を示す音源位置マーカーの位置がモニター上で定まらずに変動するという結果を招くが、その位置変動は一定の揺らぎ範囲内にとどまり、動画像に重ねて表示される場合には、その揺らぎ範囲内で音源位置マーカーが時間変動する様子を動画像の背景とともに観察することができるため、人間が持つ画像認識能力とも相俟って、騒音源の位置を特定するのに大きな困難は生じない。
しかしながら、動画像処理に伴うデータ通信時間の遅延や動画像再生の煩雑さ、ひいてはリアルタイム性の低下を回避すべく、動画像に代えて、静止画像で上述の重ね合わせ処理を行おうとすると、音源位置マーカーは、どのタイミングの静止画像であるかによって、該静止画像上に重ね合わされる位置がまちまちとなり、騒音源の位置特定が困難になるという問題を生じていた。
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、静止画像との重ね合わせであっても騒音源の位置を適切に特定することが可能な騒音源探索システムを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る騒音源探索システムは請求項1に記載したように、撮像手段と、
該撮像手段近傍に配置され発生音の音圧を計測する音圧計測手段と、
該音圧計測手段で計測された音圧値を用いて前記発生音の到来角度を算出する到来角度算出部と、
前記音圧計測手段で計測された音圧値を用いて前記発生音のエネルギーの大きさを該発生音ごとのエネルギー値として算出するエネルギー算出部と、
前記到来角度及び前記エネルギー値を用いて前記発生音の到来数を前記エネルギー値で重み付けされた形で到来角度ごとに角度別到来数として算出する到来数算出部と、
前記角度別到来数のうち、t0を基準時刻とするとともに該基準時刻からΔtずつ遡った各時刻(t0−iΔt)(i=0,1,2・・・n)に到来した発生音に係る角度別到来数をそれぞれNθiとし、次式、
θ=ΣNθi (i=0,1,2・・・n) (1)
からNθを角度別累積到来数として算出する累積算出部と、
該角度別累積到来数を到来角度に関する度数分布図として前記撮像手段から取得された前記基準時刻における静止画像に重ね合わせて合成画像を作成する合成画像作成部と、
該合成画像を表示する表示手段とを備えたものである。
また、本発明に係る騒音源探索システムは、前記撮像手段近傍に配置され発生音の音圧を騒音レベルとして計測する騒音計測手段と、
前記角度別到来数を全方位の総和で除して到来角度ごとの影響率を算出するとともに、該影響率及び前記騒音レベルを用いて到来角度ごとの発生音に起因する騒音指標を角度別騒音レベルとして算出する騒音指標作成部と、
前記角度別到来数Nθiを記憶する到来数記憶部とを備え、
前記累積算出部を、前記角度別騒音レベルが予め定められた目標値を上回ったときに前記到来数記憶部から前記角度別到来数Nθiを読み出して前記角度別累積到来数を算出するように構成したものである。
また、本発明に係る騒音源探索システムは、前記Nθが、(1)式に代えて、次式、
θ=Σ(α(i)・Nθi) (i=0,1,2・・・n) (2)
ここで、α(i)は、α(0)≦1でかつα(n)>0を満たす単調減少関数
で算出されるように前記累積算出部を構成したものである。
また、本発明に係る騒音源探索システムは、前記到来角度を方位角として算出するとともに、前記度数分布図を、該方位角に関するヒストグラムとしたものである。
また、本発明に係る騒音源探索システムは、前記到来角度を方位角及び仰俯角として算出するとともに、前記度数分布図を、該方位角及び仰俯角ごとの度数が識別できるように作成したものである。
また、本発明に係る騒音源探索システムは、建設工事が行われる敷地内で稼働する建設工事用機械の運転席に前記表示手段を設置したものである。
本発明に係る騒音源探索システムにおいては、まず、発生音の音圧を音圧計測手段で計測し、次いで、計測された音圧値を用いて発生音の到来角度を到来角度算出部で、発生音ごとのエネルギー値をエネルギー算出部でそれぞれ算出する。
次に、算出された到来角度を用いて発生音の到来数を到来角度ごとに角度別到来数として到来数算出部で算出するが、算出にあたっては、発生音の到来数を単にカウントするのではなく、エネルギー値で重み付けされた形で算出する。
このようにすれば、発生音は、そのエネルギー値が大きいほど、角度別到来数が大きく評価されるが、音圧計測時や解析時の誤差に起因して算出される発生音のエネルギー値は、実際の発生音のエネルギー値よりも十分に小さいため、上述した誤差由来の発生音の到来数も実際の発生音の到来数より小さくなる。
直接波と反射波が混在して到来角度が複数検出される場合においても、反射波に起因して算出される発生音のエネルギー値は、直接波の発生音のエネルギー値よりも小さいため、誤差に起因する場合と同様、反射波由来の到来数も実際の発生音の到来数より小さくなる。
次に、角度別到来数のうち、t0を基準時刻とするとともに該基準時刻から微小時間幅Δtずつ遡った各時刻(t0−iΔt)(i=0,1,2・・・n)に到来した発生音に係る角度別到来数をそれぞれNθiとし、次式、
θ=ΣNθi(i=0,1,2・・・n)(1)
からNθを角度別累積到来数として累積算出部で算出する。
角度別累積到来数Nθを算出するには、例えば上述の角度別到来数Nθiを記憶する到来数記憶部を備えた上、該到来数記憶部に計(n+1)個の記憶領域を確保しておき、角度別到来数が、新しいものから順に記憶領域の1,2,3・・・(n+1)番目にそれぞれ記憶されるようデータを常に保持する、換言すれば、新しい角度別到来数が算出されるごとに、データ格納場所を一つずつずらすようにしておくことにより、基準時刻t0に到来した発生音に係る角度別到来数が常に1番目の記憶領域に、基準時刻t0からΔtだけ遡った時刻(t0−Δt)に到来した発生音に係る角度別到来数が常に2番目の記録領域に、以下同様にして、基準時刻t0からnΔtだけ遡った時刻(t0−nΔt)に到来した発生音に係る角度別到来数が(n+1)番目の記録領域にという形でデータ保存されるので、このように保存された(n+1)個の角度別到来数を、(1)式に示したように総和して角度別累積到来数Nθを求めればよい。
また、別の処理手順として、記憶領域を到来角度ごとに一つとし、該記憶領域に累加的に角度別到来数を加算する、すなわち、あらたな基準時刻t0で角度別到来数が算出されるごとに、該記憶領域に該角度別到来数を加算するとともに、最も古いデータ、すなわち時刻(t0−nΔt)に係る角度別到来数を減算する構成が可能であり、この場合には、到来角度ごとに設けられた各記憶領域のデータが、常に角度別累積到来数Nθとなる。
角度別累積到来数は、エネルギー値で重み付けされた角度別到来数に基づいて算出され、それらの数値範囲は指数的に大きくなるため、対数表示に変換しておくのが望ましい。
次に、算出された角度別累積到来数を到来角度に関する度数分布図として、基準時刻t0における静止画像に合成画像作成部で重ね合わせ、この合成画像を表示手段に表示する。
このようにすると、角度別累積到来数が、基準時刻t0を終点として該時刻からnΔtだけ遡った時間幅T(T=nΔt)にわたって発生音の到来数を到来角度ごとに総和したものとなるため、誤差由来の到来数や反射波由来の到来数が、騒音源から実際かつ直接的に到来した到来数とは異なる微小時間幅Δtで算出されたとしても、両者が互いに比較できる状態となり、これに加えて、誤差由来や反射波由来の到来数が、上述したエネルギー値の重み付けによって実際かつ直接的に到来した発生音の到来数より小さく評価されているため、角度別累積到来数を度数分布図で見たとき、誤差由来や反射波由来の到来数が、それらの到来角度でわずかな度数しか持たないのに対し、騒音源から実際かつ直接的に到来した到来数は、その到来角度で大きな度数を持つ。
そのため、上述の度数分布図は、騒音源から実際かつ直接的に到来した発生音の到来角度で度数がピークとなり、かくしてこの度数分布図を静止画像に重ね合わせることにより、騒音源の位置を確実かつ合理的に特定することができるとともに、誤差由来や反射波由来の到来数によって探索位置が誤認される状況は未然に回避される。
静止画像は、デジタルスチルカメラで撮影されたものに限られず、ビデオカメラで撮影された動画像を切り出したものでもかまわない。
静止画像と度数分布図とを重ね合わせるにあたっては、到来角度に沿って方位角や仰俯角を一致させる必要がある、すなわち静止画像が例えば、中心を北、右端を東、左端を西とした180゜にわたる水平画像の場合には、度数分布図もその中心が北、右端が東、左端が西となるように作成しなければならないが、そのための構成については公知の手段から適宜選択可能であって、例えば音圧計測手段や撮像手段の設置方向あるいは設置姿勢(設置の際に一意に定まる)を利用することが可能であるし、撮像手段に内蔵された電子コンパス等の方位センサーから出力される撮影方位情報を利用することも可能である。
音圧計測手段は、発生音の音圧値を計測可能でかつその音圧値を用いて発生音の到来角度やエネルギーの大きさを算出することができる限り、公知の構成から適宜選択することが可能であって、例えばp−p法であれば、2つの無指向性マイクロホンからなるマイクロホン対で到来角度を算出することができる。
一方、c−c法であれば、指向性を有する2つのマイクロホンからなるマイクロホン対で計測された音圧の差分値を、記憶手段に予め格納された到来角度ごとのマイクロホン感度差に照合することで到来角度を推定したり、マイクロホン対でそれぞれ計測された音圧の加算値及び差分値を乗じるか又は二乗音圧の差分値を計算し、次いで音響インピーダンスρc(ρ;空気密度、c;音速)で除することにより、該マイクロホン対の配置軸線に沿った音響インテンシティ成分を算出するとともに、別のマイクロホン対を用いて異なる軸線方向に沿った音響インテンシティ成分を同様に算出し、これら音響インテンシティのベクトル成分から到来角度を推定したりすることが可能である。
これらc−c法によれば、対象周波数に関わらず、マイクロホンの離間寸法を一定に保つことができるため、p−p法よりも音圧計測手段の小型化が可能であり、建設現場への適用が容易となる。
c−c法に基づいて到来角度を算出する場合、音圧計測手段は、指向性を有する2つのマイクロホンを最大感度方向が互いに逆方向を向くように配置してマイクロホン対とし、該マイクロホン対を互いに直交する3つの軸線に沿ってそれぞれ配置する構成が主として想定されるが、2次元平面、例えば水平面で発生音の到来角度を近似的に把握すれば足りるのであれば、該水平面内で2方向に延びる2つの軸線に沿ってマイクロホン対をそれぞれ設置するようにしてもかまわない。一方、音響インテンシティのベクトル成分から到来角度を推定するにあたり、複数の軸線が必ずしも直交している必要はなく、例えば正四面体の中心から4つの頂点に向けてそれぞれ延びる4本の軸線に沿ってマイクロホン対をそれぞれ設置することで、三次元空間における到来角度の把握が可能である。
すなわち、c−c法に基づいて到来角度を算出する場合の音圧計測手段は、互いに平行でない複数の軸線に沿ってかつそれらの原点を挟むようにマイクロホン対をそれぞれ配置した構成とすれば足りる。
マイクロホンは、c−c法においては、カーディオイド、スーパーカーディオイド、ハイパーカーディオイドといった指向性を有するものとする。
本発明は、騒音源の探索が必要な場合にすべて適用可能であって、騒音規制法に基づく騒音監視とは関係なく実施可能であるし、その場合には、静止画像の取得や音圧計測を必ずしも全方位にわたって行う必要はないが、撮像手段近傍に配置され発生音の音圧を騒音レベルとして計測する騒音計測手段と、角度別到来数を全方位の総和で除して到来角度ごとの影響率を算出するとともに、該影響率及び騒音レベルを用いて到来角度ごとの発生音に起因する騒音指標を角度別騒音レベルとして算出する騒音指標作成部と、角度別到来数Nθiを記憶する到来数記憶部とを備え、上述の累積算出部を、角度別騒音レベルが予め定められた目標値を上回ったときに到来数記憶部から角度別到来数Nθiを読み出して角度別累積到来数を算出するように構成したならば、騒音規制法に基づく騒音監視を行いつつ、騒音源を合理的に探索することが可能となる。
なお、騒音計には聴感補正回路が内蔵されているため、騒音規制法に基づく騒音監視を行うときには、その周波数重み特性と実質同一の周波数重み特性で上述した音圧値がフィルタリングされるように、音圧計測手段と到来角度算出部との間にフィルタ部を配置しておく。
角度別累積到来数Nθは上述したように、基準時刻t0を終点として時間幅Tにわたって発生音の到来数を到来角度ごとに総和したものであり、騒音源が移動しない場合には、時間の経過に伴って到来角度が変化することはないため、(1)式に示したように単純総和でかまわない。
一方、騒音源が移動する場合には、時間の経過に伴う到来角度の変化を考慮して、Nθを、(1)式に代えて、次式、
θ=Σ(α(i)・Nθi) (i=0,1,2・・・n) (2)
ここで、α(i)は、α(0)≦1でかつα(n)>0を満たす単調減少関数
で算出する。
このようにすれば、基準時刻t0からの遡及時間が長ければ長いほど、換言すれば、より古い過去に位置した場所からの発生音ほど、より大きな割合で角度別到来数が低減されるため、それらが総和された角度別累積到来数Nθには、基準時刻t0により近い角度別到来数がより強く反映される。
したがって、騒音源が移動する場合であっても、その位置を合理的に特定することが可能となる。
α(i)は、α(0)≦1でかつα(n)>0を満たす単調減少関数であれば足りるものであって、一次関数でもかまわないし、指数関数で定義されるものでもよい。
騒音源を特定するにあたっては、概ね水平方向に探索すれば足りる場合が多く、その場合には、上述の到来角度を方位角として算出するとともに、度数分布図を、該方位角に関するヒストグラムとすればよい。
一方、例えば山腹の法面に沿った補強工事を行う場合など、複数の騒音源がそれぞれ異なる高さ位置で稼働する場合においては、方位角のみで探索しても騒音源を特定することはできない。複数の騒音源が同一高さ位置で稼働する場合であっても、音圧計測手段がそれらとは異なる高さ位置に設置される場合も同様である。
かかる場合においては、上述の到来角度を方位角及び仰俯角として、換言すれば立体角として算出するとともに、度数分布図を、該方位角及び仰俯角ごとの度数が識別できるように、例えば度数に応じて色を変化させたり濃淡を付けたりした構成とすればよい。
表示手段は、上述したように基準時刻における静止画像に度数分布図を重ね合わせてなる合成画像が表示されるものであって、騒音源の位置特定が要請される場所に適宜設置すればよいが、無線であってもわずかな通信時間で合成画像を送信することができるため、建設工事が行われる敷地内で稼働する建設工事用機械の運転席に設置するようにすれば、自ら操作する建設工事用機械が騒音源となっているのかどうかをオペレータに迅速に知らせることが可能となる。
本実施形態に係る騒音源探索システム1の図であり、(a)は全体ブロック図、(b)は敷地配置図。 c−cマイク12の構成図。 本実施形態に係る騒音源探索システム1の詳細ブロック図。 本実施形態に係る騒音源探索システム1の説明図であり、(a)は敷地2及び一般道路4から発生音がそれぞれ到来する様子を示した図、(b)は音響インテンシティとその成分を示した図、(c)及び(d)は音響インテンシティと到来角度との関係を示した図。 本実施形態に係る騒音源探索システム1の作用を示した説明図。 本実施形態に係る騒音源探索システム1の作用を示したものであり、(a)は、ヒストグラムを異なる角度範囲で上下段に分けて示したグラフ、(b)は同じく静止画像を異なる角度範囲で上下段に分けて示した図。 図6(a)のヒストグラムを図6(b)の静止画像に重ね合わせてなる合成画像を示した図。 変形例に係る騒音源探索システムを示したブロック図。 別の変形例に係る騒音源探索システムを示したブロック図。 図9に示した変形例の作用を示した説明図。 別の変形例に係る騒音源探索システムの作用を示した説明図。
以下、本発明に係る騒音源探索システムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る騒音源探索システムを示した全体ブロック図及び敷地配置図である。同図でわかるように、本実施形態に係る騒音源探索システム1は、建設工事が行われる敷地2で稼働する建設工事用機械3の騒音監視に適用されるものであり、敷地2の境界近傍であって該敷地と一般道路4との間に配置される計測装置11に設けられた撮像手段としてのビデオカメラ10、音圧計測手段としてのc−cマイク12及び騒音計測手段としての騒音計13と、敷地2内に立設された工事事務所6に配置される演算処理装置21に設けられた演算処理部22と、建設工事用機械3の運転席に設置された表示手段としてのタブレット端末7とを備える。
c−cマイク12は図2に示すように、指向性を有する6つのマイクロホン12a〜12fで構成してあるとともに、それらのうち、マイクロホン12a,12b、マイクロホン12c,12d及びマイクロホン12e,12fをそれぞれ最大感度方向が互いに逆方向を向くように、すなわち0゜と180゜を向くように配置して3組のマイクロホン対とし、該各マイクロホン対を互いに直交する3つの軸線、すなわちx,y,z軸に沿ってかつそれらの原点を挟むようにそれぞれ配置してあり、騒音源で発生し計測装置11に到来した発生音の音圧を各マイクロホン12a〜12fで計測するようになっている。マイクロホン12a〜12fは、それぞれカーディオイド指向特性を持つマイクロホンで構成することができる。
騒音計13は、発生音の音圧を騒音レベルとして計測するものであり、検定に合格済の市販騒音計から適宜選択すればよい。なお、騒音計13には、環境騒音の測定で広く採用されているA特性を周波数重み特性としたフィルタ回路が内蔵されているものとする。
ビデオカメラ10は、全周映像を撮影できるように魚眼レンズを備えてあるとともに、撮影された映像の撮影方位を撮影方位情報として出力可能な方位センサー19を内蔵してある。
ここで、c−cマイク12には、計測された音圧値を増幅するアンプ14とそれをデジタルデータに変換するA/Dコンバータ15が、騒音計13には、計測された騒音レベルをデジタルデータに変換するA/Dコンバータ16が、ビデオカメラ10には出力映像をキャプチャーするビデオキャプチャ18がそれぞれ接続してあるとともに、それらの出力側には送信部17が接続してあり、c−cマイク12、騒音計13及びビデオカメラ10とともに筐体(図示せず)の内部に設置してある。かかる筐体は、可搬性を有しかつ耐候性に配慮された構成とするのが望ましい。
一方、演算処理装置21は、計測装置11の送信部17から送信されてきた送信データを受信する送受信部23とパソコン24とで構成してあり、上述の演算処理部22は、パソコン24のマザーボード、CPU、メモリー、内蔵ハードディスクといったハードウェアと該ハードウェア上で動作するソフトウェアとで構成してあるとともに、パソコン24には、演算処理結果を表示するためのモニター26を設けてある。
演算処理部22は図3に示すように映像処理部31を備えており、ビデオカメラ10からの全周映像を平面映像に展開するとともに、該平面映像から静止画像を切り出すことができるようになっている。
また、演算処理部22は、c−cマイク12で計測された音圧値を騒音計13に内蔵された周波数重み特性と同じA特性でフィルタリングする聴感補正回路が設けられたフィルタ部32と、該フィルタ部から出力された音圧値を用いて発生音の到来角度を算出する到来角度算出部33と、同じく上述の音圧値を用いて発生音のエネルギーの大きさを該発生音ごとのエネルギー値として算出するエネルギー算出部34と、これら到来角度及びエネルギー値を用いて発生音の到来数を該エネルギー値で重み付けされた形で到来角度ごとに角度別到来数として算出する到来数算出部35と、該到来数算出部で算出された角度別到来数を記憶する到来数記憶部36とを備える。
また、演算処理部22は、到来数算出部35で算出された角度別到来数を全方位の総和で除して到来角度ごとの影響率を算出するとともに該影響率と騒音計13で得られた騒音レベルとを用いて、到来角度ごとの発生音に起因する騒音指標を角度別騒音レベルとして算出する騒音指標作成部37と、該角度別騒音レベルが予め定められた目標値を上回ったときに到来数記憶部36から角度別到来数を読み出して該角度別到来数から角度別累積到来数を算出する累積算出部38とを備える。
ここで、騒音指標作成部37は、到来角度ごとの到来数N(θ)をそれらの総和で除して到来角度ごとの影響率C(θ)を算出するとともに、該到来角度ごとの影響率C(θ)を用いて騒音レベルLを角度別騒音レベルに割り振るようになっており、本実施形態においては、敷地2内の任意位置から計測装置11のc−cマイク12に向かう方向に対応した角度範囲(計測装置11のc−cマイク12から敷地2を見渡す角度範囲)、すなわち図1(b)で右方向を0゜、反時計廻りを正方向とした座標系であれば、0゜〜180゜と180゜〜360゜をそれぞれ角度範囲として角度別騒音レベルがそれぞれ算出されるように構成してある。以下、0゜〜180゜を角度範囲とした角度別騒音レベルを敷地内騒音レベルLI、180゜〜360゜を角度範囲とした角度別騒音レベルを敷地外騒音レベルLOと呼ぶ。
また、演算処理部22は、累積算出部38で算出された角度別累積到来数を到来角度に関する度数分布図としてのヒストグラムとし、これを映像処理部31で作成された静止画像に重ね合わせて合成画像を作成する合成画像作成部39を備え、該合成画像は、上述したタブレット端末7に表示されるようになっている。
本実施形態に係る騒音源探索システム1を用いて敷地2内で稼働する建設工事用機械3に起因する騒音を監視するには、まず、ビデオカメラ10によって計測装置11周辺の映像を全周映像として撮影しつつ、騒音計13で発生音の音圧を騒音レベルとして計測する。
発生音は図4(a)に示すように、敷地2内の建設工事用機械3に起因するものと一般道路4を走行する車両5に起因するものに大別されるが、騒音計13では、それらが合成された状態で全方位である騒音レベルとして計測される。
一方、上述したビデオカメラ10による撮影と騒音計13による騒音レベルの計測を行いつつ、c−cマイク12で発生音の音圧を計測し、これらの映像、騒音レベル及び音圧値を、計測装置11の送信部17と演算処理装置21の送受信部23を介してパソコン24の演算処理部22にデータ転送する。なお、計測装置11は図4(a)に示すように、c−cマイク12のx軸が同図右方向を向くように設置してあるものとする。
次に、各マイクロホン12a〜12fで計測された音圧値をFFT(図示せず)で周波数領域に変換してからフィルタ部32の聴感補正回路でフィルタリングし、逆FFT(図示せず)で時間領域に戻した後、発生音の到来角度を到来角度算出部33で算出する。
到来角度算出部33においては図4(b)に示すように、マイクロホン12a,12bからなるマイクロホン対で計測された音圧p1,p2からそれらの加算値と差分値とを算出し、次式、
(p1+p2)・(p1−p2) (3)
のようにそれらを乗じるか、又は、二乗音圧の差分値、
(p1 2−p2 2)(4)
をとり、次いで、次式、
(p1+p2)・(p1−p2)/ρc (5)
又は、
(p1 2−p2 2)/ρc (6)
で示すように、音響インピーダンスρc(ρ;空気密度、c;音速)で除することにより、該マイクロホン対の配置軸線、すなわちx軸に沿った音響インテンシティ成分Iを算出する。
同様に、マイクロホン12c,12dからなるマイクロホン対で計測された音圧を用いてy軸に沿った音響インテンシティ成分Iを算出するとともに、マイクロホン12e,12fからなるマイクロホン対で計測された音圧を用いてz軸に沿った音響インテンシティ成分Iを算出する。
次いで、音響インテンシティの各成分I,I,Iを用いて、到来角度θを同図(c)及び(d)に示すようにx−y平面での角度成分θxy及びx−z平面での角度成分θxzとして算出する。なお、y−z平面での角度成分θyzを用いてもかまわない。
一方、フィルタ部32から出力された音圧値を用いて発生音ごとのエネルギー値をエネルギー算出部34で算出する。
エネルギー値は、マイクロホン12a,12bからなるマイクロホン対で計測された音圧p1,p2から次式、
P=(p1+p2)2
を演算することにより、発生音のエネルギーEPを算出する。なお、マイクロホン12a,12bからなるマイクロホン対に代えて、マイクロホン12c,12dからなるマイクロホン対、あるいはマイクロホン12e,12fからなるマイクロホン対で計測された音圧を用いて発生音のエネルギーEPを算出するようにしてもかまわない。
次に、到来角度算出部33で算出された到来角度θ及びエネルギー算出部34で算出されたエネルギー値EPを用いて、微小時間幅Δtにわたる発生音の到来数を、エネルギー値で重み付けされた形で到来角度ごとに角度別到来数として算出する。
すなわち、発生音の到来数を単に「1」として加算するのではなく、エネルギー値EPを乗じたものを加算する。したがって、微小時間幅Δtにわたる到来角度ごとの発生音の到来数は、該到来角度ごとに到来した発生音のエネルギー値EPの総和となる。
このようにすれば、発生音は、そのエネルギー値が大きいほど、角度別到来数が大きく評価されるが、音圧計測時や解析時の誤差に起因して算出される発生音のエネルギー値は、実際の発生音のエネルギー値よりも十分に小さいため、上述した誤差に起因した発生音の到来数(実際には存在しない発生音の到来数)を角度別到来数から除外しあるいは角度別到来数に及ぼす影響を低減することができる。
直接波と反射波が混在して到来角度が複数検出される場合においても、反射波に起因して算出される発生音のエネルギー値は、直接波の発生音のエネルギー値よりも小さいため、誤差に起因する場合と同様、反射波の到来数を角度別到来数から除外しあるいは角度別到来数に及ぼす影響を低減することができる。
図5(a)は、ある微小時間幅Δtの間に誤差由来の到来数が計測された場合において、発生音の到来数を、音圧のエネルギー値で重み付けする前と後で比較したグラフであり、重み付けする前では、誤差由来の到来数は、実際に到来した発生音の到来数と同等の大きさを持つため、20゜付近と130゜付近においても、実際に発生音が到来したと誤認するおそれがあるが、重み付けした後では、それらの大きさから判断することにより、20゜付近と130゜付近では、実際には発生音が到来していないと判断できる。
図5(b)は、ある微小時間幅Δtの間に反射波由来の到来数が計測された場合において、発生音の到来数を、音圧のエネルギー値で重み付けする前と後で比較したグラフであり、重み付けする前では、反射波由来の到来数は、実際に到来した発生音の到来数と同等の大きさを持つため、70゜付近においても、発生音が直接到来したと誤認するおそれがあるが、重み付けした後では、その大きさから判断することにより、70゜付近では、直接的な発生音が到来していないと判断できる。
なお、反射波由来の到来数はもちろん、誤差由来の到来数についても、実際に到来した発生音の到来数と同一の微小時間幅Δtで算出されるとは限らず、これについても、騒音源の探索位置を誤認する原因となるが、後述する累積操作を行うことにより、上述したと同様の比較判断が可能になる。
このように発生音の到来数を微小時間幅Δtごとにかつ到来角度ごとに到来角度算出部35で算出するとともに、算出された到来角度を角度別到来数として到来数記憶部26に保存するが、角度別到来数を保存するにあたっては、到来数記憶部26に計(n+1)個の記憶領域を確保しておき、角度別到来数が、新しいものから順に記憶領域の1,2,3・・・(n+1)番目にそれぞれ記憶されるようデータを常に保持する。
換言すれば、新しい角度別到来数が算出されるごとに、データ格納場所を一つずつずらすことにより、基準時刻t0に到来した発生音に係る角度別到来数が常に1番目の記憶領域に、基準時刻t0からΔtだけ遡った時刻(t0−Δt)に到来した発生音に係る角度別到来数が常に2番目の記録領域に、以下同様にして、基準時刻t0からnΔtだけ遡った時刻(t0−nΔt)に到来した発生音に係る角度別到来数が常に(n+1)番目の記録領域に記憶されるようにデータ処理を行う。
なお、到来角度は、全周360゜の方位角を例えば0゜〜10゜、10゜〜20゜・・・というように10゜ずつに分割し、それらの角度範囲ごとに発生音の到来数を角度別到来数として算出すればよい。
一方、到来数算出部35で得られた角度別到来数を全方位の総和で除して到来角度ごとの影響率を騒音指標作成部37で算出する。すなわち、ある時刻で算出された角度別到来数をN(θ)とすると、到来角度ごとの影響率C(θ)は、
C(θ)=N(θ)/ΣN(θ) (3)
ΣN(θ);到来角度θに関するN(θ)の総和
と表すことができる。
次に、算出された影響率C(θ)を0゜〜180゜の角度範囲で総和してCIとする。
次に、CIを次式、
T=L+10・logCT (4)
のCTに代入し、0゜〜180゜を角度範囲とした角度別騒音レベル、すなわち敷地内騒音レベルLIを算出するとともに、180゜〜360゜の角度範囲で影響率C(θ)を総和してCOとし、上述したと同様の手順でCOを(4)式のCTに代入し、180゜〜360゜を角度範囲とした角度別騒音レベル、すなわち敷地外騒音レベルLOを算出する。
ここで、CIが0.7であったとすると、敷地内騒音レベルLIは(4)式から、
I=L+10・log(0.7)
=L−1.6
となり、騒音レベルLよりも1.6dB低くなる。
次に、角度別騒音レベルである敷地内騒音レベルLIの大きさと予め定められた目標値の大きさとを騒音指標作成部37で判別し、敷地内騒音レベルLIが目標値よりも小さければ、騒音対策は不要であるので、そのまま監視を続ける。目標値は、騒音規制法で定められた内容を踏まえて適宜定めればよい。
これに対し、敷地内騒音レベルLIが目標値を上回ったとき、この時刻を基準時刻t0とするとともに、到来数記憶部36に設けられた計(n+1)個の記憶領域に保存されているデータを先頭から順次読み出す。
ここで、到来数記憶部36の記憶領域には、上述したように、角度別到来数が、新しいものから順に記憶領域の1,2,3・・・(n+1)番目にそれぞれ記憶されているため、読み出されたデータは、t0を基準時刻とするとともに該基準時刻から微小時間幅Δtずつ遡った各時刻(t0−iΔt)(i=0,1,2,3・・・n)に到来した発生音に係る角度別到来数Nθiとなる。
次に、次式、
θ=ΣNθi(i=0,1,2・・・n)(1)
からNθを角度別累積到来数として累積算出部38で算出する。
一方、ビデオカメラ10で撮影された全周映像を映像処理部31で水平映像に展開した上、該水平映像から基準時刻t0における静止画像を映像処理部31で切り出して作成する。
次に、累積算出部38で算出された角度別累積到来数Nθを、到来角度に関するヒストグラムとして上述の静止画像に合成画像作成部39で重ね合わせて合成画像とし、該合成画像を送受信部23を介してタブレット端末7に送信するとともに、必要に応じてモニター26に表示する。
合成画像を作成するにあたっては、方位センサー19で得られた撮影方位情報を用いることで、ヒストグラムと静止画像との方位を一致させる。
図6(a)は、(1)式で算出された基準時刻t0を終点とした時間幅Tにおける角度別累積到来数を、0゜〜130゜及び310゜〜360゜の角度範囲(上段)と、130゜〜310゜の角度範囲(下段)に分けて示したヒストグラム、同図(b)は、基準時刻t0における静止画像を、同じ角度範囲で上下段に分けて示したもの、図7は、図6(a)のヒストグラムを図6(b)の静止画像に重ね合わせてなる合成画像を示したものである。
これらの図でわかるように、ヒストグラムは、50゜〜60゜の角度範囲でピークとなっているが、そのピーク位置には、油圧ショベル65が稼働している様子が映っているため、この油圧ショベル65が騒音源であると判断することができる。
以上説明したように、本実施形態に係る騒音源探索システム1によれば、発生音の到来数を到来角度ごとに角度別到来数として算出する際、到来数を単に計数するのではなく、エネルギー値で重み付けされた形で到来数を算出するようにしたので、誤差由来の発生音や反射波由来の発生音に係る到来数は、実際の発生音に係る到来数よりも小さく評価されるとともに、基準時刻t0を終点とした時間幅Tにわたって発生音の到来数を到来角度ごとに総和し、これを角度別累積到来数としたので、誤差由来の到来数や反射波由来の到来数が、騒音源から実際かつ直接的に到来した到来数とは異なる微小時間幅Δtで算出されたとしても、両者を一目で比較可能な状態となる。
そのため、角度別累積到来数をヒストグラムで見たとき、該ヒストグラムのピークは、騒音源から実際かつ直接的に到来した到来数によるものであると判断できるとともに、そのピーク位置に映っている静止画像の物体を騒音源であると特定することが可能となる。
また、本実施形態に係る騒音源探索システム1によれば、角度別到来数を全方位の総和で除して到来角度ごとの影響率を騒音指標作成部37で算出するとともに、該影響率及び騒音計13で得られた騒音レベルを用いて到来角度ごとの発生音に起因する騒音指標を角度別騒音レベルとして同じく騒音指標作成部37で算出する一方、角度別到来数Nθiを到来数記憶部36に記憶させ、角度別騒音レベルが予め定められた目標値を上回ったときに到来数記憶部36から角度別到来数Nθiを読み出して角度別累積到来数Nθを累積算出部38で算出するようにしたので、騒音規制法に基づく騒音監視を行いつつ、騒音源を合理的に探索することが可能となる。
また、本実施形態に係る騒音源探索システム1によれば、建設工事用機械3の運転席に表示手段としてのタブレット端末7を設置し、該タブレット端末に図7で示したような合成画像を送るようにしたので、自ら操作する建設工事用機械3が騒音源となっているのかどうかをオペレータに迅速に知らせることが可能となる。
本実施形態では、角度別累積到来数Nθを累積算出部38で算出する際、微小時間幅Δtごとの角度別到来数を基準時刻t0を終点とした時間幅Tにわたる総和として算出するようにしたが、典型的には、リアルタイムで騒音監視を行うため、基準時刻t0は現在時刻に一致する。
一方、図8に示すように、到来数算出部35で算出される角度別到来数、騒音計13で計測される騒音レベル及びビデオカメラ10で撮影される全周映像を、互いの時刻が同期可能な状態で記憶装置であるハードディスク81に保存しておき、例えばその日の工事に関する騒音状況を工事終了後に確認したいときには、ハードディスク81から角度別到来数を読み出し、上述したと同様に到来数記憶部36に計(n+1)個のデータを順次更新保存しつつ、該角度別到来数を用いて騒音指標作成部37で角度別騒音レベルである敷地内騒音レベルLIを算出し、該敷地内騒音レベルが目標値を上回ったとき、この時刻を基準時刻t0とするとともに、到来数記憶部36に設けられた計(n+1)個の記憶領域から保存データを先頭から順次読み出し、以下、上述したと同じ手順で合成画像を作成し、モニター26に表示すればよい。
なお、かかる変形例においては、基準時刻t0は昼間に行われた工事中における任意の時刻となり、表示手段は、タブレット端末7に代えて、モニター26となる。
また、本実施形態では、撮像手段をビデオカメラ10で構成し該ビデオカメラからの動画像を切り出して静止画像を作成するようにしたが、これに代えてデジタルスチルカメラを撮像手段とし、騒音指標作成部37で算出される敷地内騒音レベルLIが目標値を上回ったとき、該騒音指標作成部からの制御信号に応答する形でデジタルスチルカメラを作動させるように構成してもかまわない。
また、本実施形態では、騒音規制法に基づく騒音監視を行うことができるように構成したが、本発明に係る騒音源探索システムは、騒音規制法とは関係なく、騒音源を合理的に探索することが可能なものであって、騒音計13及び騒音指標作成部37が省略された図9の構成を採用することが可能である。
同図に示した変形例においては、合成画像を作成するタイミングを累積算出部38で決定し、そのタイミングで到来数記憶部36から(n+1)個の保存データを先頭から順次読み出して角度別累積到来数を算出するとともに、上述のタイミングを制御信号として映像処理部31に送ることにより、該制御信号に応答して映像処理部31で静止画像を切り出すようにすればよい。
この場合、合成画像の作成タイミングを例えば1秒間隔としておけば、タブレット端末7やモニター26には、静止画像にヒストグラムが重ねられてなる合成画像がほぼリアルタイムに送られてくることになり、敷地内の発生音がどの方向で大きくなっているのかを常時監視することができる。
また、本実施形態では、角度別累積到来数Nθを、基準時刻t0を終点とした時間幅Tにわたる発生音の到来数の到来角度ごとの単純総和として算出するようにした。
この構成は、騒音源が移動しない場合には、時間の経過に伴って到来角度が変化することはないため、(1)式に示したように単純総和でかまわないが、騒音源が移動する場合には、時間の経過に伴う到来角度の変化を考慮して、Nθを、(1)式に代えて、次式、
θ=Σ(α(i)・Nθi) (i=0,1,2・・・n) (2)
ここで、α(i)は、α(0)≦1でかつα(n)>0を満たす単調減少関数
を用いて累積算出部38で算出する。
図10(a)は、τを定数として、
α(i)=1/exp(τi) (i=0,1,2・・・n)
とした場合のα(i)を示したものである。
このようにすると、(1)式による単純総和の場合、角度別到来数は、同図(b)のようにそのまま総和されて角度別累積到来数となるため、基準時刻t0からの遡及時間は、角度別累積到来数に影響を及ぼさない。ここで、各微小時間幅Δtにおける角度別到来数は、説明の便宜上、同じ値とした。
これに対し、(2)式による総和の場合、角度別到来数は、同図(c)のように基準時刻t0からの遡及時間が長いほど、換言すれば、より古い過去に位置した場所からの発生音ほど、より大きな割合で低減されて総和されるため、角度別累積到来数は、基準時刻t0により近い角度別到来数がより強く反映される。
したがって、騒音源が移動する場合であっても、その位置を合理的に特定することが可能となる。
また、本実施形態では、騒音源を特定するに際して概ね水平方向に探索すれば足りる場合を想定し、到来角度を方位角として算出するとともに、度数分布図を、該方位角に関するヒストグラムとしたが、計測装置11が敷地2の地盤面よりも高い位置に設置される場合には、敷地2が平坦であっても、タブレット端末7やモニター26には、図11に示すようにほぼ同一の方位角上に異なる俯角の油圧ショベル65a,65bが上下に並んで表示される場合があり、かかる場合には、方位角のみで探索しても、油圧ショベル65a,65bのいずれが騒音源であるかを特定することが困難となる。
このような状況においては、音圧値を用いて発生音の到来角度を算出するにあたり、該到来角度が方位角及び仰俯角として、換言すれば立体角として算出されるように到来角度算出部33を構成するとともに、該方位角及び仰俯角ごとの度数が識別できるように濃淡が付けられてなる度数分布図を作成し、これを上述の静止画像に合成画像作成部39で重ね合わせて合成画像とした上、該合成画像をタブレット端末7やモニター26に表示するようにすればよい。
このようにすれば、同一の方位角上に騒音源が位置する場合であっても、同図(a)では、遠方の油圧ショベル65aが、同図(b)では、手前の油圧ショベル65bがそれぞれ騒音源であると特定することが可能となる。
1 騒音源探索システム
2 敷地
3 建設工事用機械
7 タブレット端末(表示手段)
10 ビデオカメラ(撮像手段)
12 c−cマイク(音圧計測手段)
13 騒音計(騒音計測手段)
26 モニター(表示手段)
31 映像処理部
33 到来角度算出部
34 エネルギー算出部
35 到来数算出部
36 到来数記憶部
37 騒音指標作成部
38 累積算出部
39 合成画像作成部

Claims (6)

  1. 撮像手段と、
    該撮像手段近傍に配置され発生音の音圧を計測する音圧計測手段と、
    該音圧計測手段で計測された音圧値を用いて前記発生音の到来角度を算出する到来角度算出部と、
    前記音圧計測手段で計測された音圧値を用いて前記発生音のエネルギーの大きさを該発生音ごとのエネルギー値として算出するエネルギー算出部と、
    前記到来角度及び前記エネルギー値を用いて前記発生音の到来数を前記エネルギー値で重み付けされた形で到来角度ごとに角度別到来数として算出する到来数算出部と、
    前記角度別到来数のうち、t0を基準時刻とするとともに該基準時刻からΔtずつ遡った各時刻(t0−iΔt)(i=0,1,2・・・n)に到来した発生音に係る角度別到来数をそれぞれNθiとし、次式、
    θ=ΣNθi (i=0,1,2・・・n) (1)
    からNθを角度別累積到来数として算出する累積算出部と、
    該角度別累積到来数を到来角度に関する度数分布図として前記撮像手段から取得された前記基準時刻における静止画像に重ね合わせて合成画像を作成する合成画像作成部と、
    該合成画像を表示する表示手段とを備えたことを特徴とする騒音源探索システム。
  2. 前記撮像手段近傍に配置され発生音の音圧を騒音レベルとして計測する騒音計測手段と、
    前記角度別到来数を全方位の総和で除して到来角度ごとの影響率を算出するとともに、該影響率及び前記騒音レベルを用いて到来角度ごとの発生音に起因する騒音指標を角度別騒音レベルとして算出する騒音指標作成部と、
    前記角度別到来数Nθiを記憶する到来数記憶部とを備え、
    前記累積算出部を、前記角度別騒音レベルが予め定められた目標値を上回ったときに前記到来数記憶部から前記角度別到来数Nθiを読み出して前記角度別累積到来数を算出するように構成した請求項1記載の騒音源探索システム。
  3. 前記Nθが、(1)式に代えて、次式、
    θ=Σ(α(i)・Nθi) (i=0,1,2・・・n) (2)
    ここで、α(i)は、α(0)≦1でかつα(n)>0を満たす単調減少関数
    で算出されるように前記累積算出部を構成した請求項1又は請求項2記載の騒音源探索システム。
  4. 前記到来角度を方位角として算出するとともに、前記度数分布図を、該方位角に関するヒストグラムとした請求項1乃至請求項3のいずれか一記載の騒音源探索システム。
  5. 前記到来角度を方位角及び仰俯角として算出するとともに、前記度数分布図を、該方位角及び仰俯角ごとの度数が識別できるように作成した請求項1乃至請求項3のいずれか一記載の騒音源探索システム。
  6. 建設工事が行われる敷地内で稼働する建設工事用機械の運転席に前記表示手段を設置した請求項1乃至請求項5のいずれか一記載の騒音源探索システム。
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