JP7463907B2 - 騒音源特定支援システム、および騒音源特定支援方法 - Google Patents

騒音源特定支援システム、および騒音源特定支援方法 Download PDF

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Description

本発明は、騒音源特定支援システム、および騒音源特定支援方法に関する。
建設工事が行われる場所などで発生する騒音の大きさを表す度数分布図を、工事現場の映像に重ねて表示する騒音源探索システムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。騒音源探索システムは、音圧計測手段が計測した結果から騒音の到来角度およびエネルギー値を算出する。騒音源探索システムは、到来角度ごとの到来数をエネルギー値で重み付けした角度別到来数を算出し、基準時刻から一定時間遡って累積したものを角度別累積到来数とする。騒音源探索システムは、映像を構成する各フレームの撮像時を基準時刻として、各到来角度における角度別累積到来数を算出し、角度累積到来数を到来角度に関する度数分布図として映像に重ね合わせて表示することで、騒音源の探索を支援する。
特開2017-161223号公報
一方、衝撃音などの瞬間的に発生した騒音は、当該騒音の到来時刻を基準時刻としたフレームにおける角度別累積到来数に含まれるが、当該フレームの次のフレームにおける角度別累積到来数には含まれない。すなわち、騒音の到来時刻を含むフレームに限った表示となるため、上述した騒音源探索システムでは、瞬間的な騒音の到来角度を視覚によって特定することが困難となっている。瞬間的な騒音が複数の発生場所で別々のタイミングに発生する場合でも同様に、長い期間にわたる騒音が恰も到来しているように聴覚では認識されるが、結局のところ、瞬間的な騒音の各発生場所を視覚では特定できない程度に、映像中の別々場所で異なるタイミングに表示が切り替わるため、チラツキが生じることになる。そして、騒音源の位置を手早く特定するために映像の再生速度を高めるときには、上述した課題が特に顕在化することになる。
本発明の目的は、騒音源の位置の特定精度を向上可能にした騒音源特定支援システム、および騒音源特定支援方法を提供することである。
上記課題を解決する騒音源特定支援システムは、撮像手段が撮像した映像に対して、騒音の強度分布図を重ねて表示する制御部を備えた騒音源特定支援システムであって、前記制御部は、前記撮像手段の近傍に配置された音圧計測手段が撮像期間に計測した結果を用いて、前記強度分布図における各位置でのエネルギー値を前記映像の表示周期ごとに算出し、前記エネルギー値の算出時から当該エネルギー値を算出するために遡る期間である算出対象期間を前記映像の再生速度が速いほど長くすることを特徴とする。
上記課題を解決する騒音源特定支援方法は、撮像手段が撮像した映像に対して、騒音の強度分布図を重ねて表示する制御部を備えた騒音源特定支援方法であって、前記制御部は、前記撮像手段の近傍に配置された音圧計測手段が撮像期間に計測した結果を用いて、前記強度分布図における各位置でのエネルギー値を前記映像の表示周期ごとに算出し、前記エネルギー値の算出時から当該エネルギー値を算出するために遡る期間である算出対象期間を前記映像の再生速度が速いほど長くすることを特徴とする。
上記構成によれば、騒音源の位置を手早く特定するために再生速度を速めるとしても、映像の再生速度が速いほど、エネルギー値の算出時からエネルギー値を算出するために遡る期間である算出対象期間が長くなるため、騒音源特定支援システムの利用者がエネルギー値を見過ごし難くなる。これにより、衝撃音などのような瞬間的に発生した騒音であっても、騒音源特定支援システムの利用者に騒音源の位置を特定させること、ひいては、騒音源の位置の特定精度を向上することが可能となる。反対に、騒音が到来しているタイミングを特定するために再生速度を遅くするとしても、映像の再生速度が遅いほど、エネルギー値の算出時からエネルギー値を算出するために遡る期間である算出対象期間が短くなるため、先に到来した騒音のエネルギー値と、後に到来した騒音のエネルギー値とが、相互に重ならず、別々の騒音として視認されやすい。結果として、騒音が到来している方向やタイミングの特定精度を高めることが可能ともなる。
上記騒音源特定支援システムにおいて、前記制御部は、前記再生速度が速いほど大きい時定数を設定し、前記騒音の音圧値と前記時定数とに基づいて前記エネルギー値を定めてもよい。
上記構成によれば、再生速度が速いほど大きい時定数を設定し、騒音の音圧値および再生速度に基づいてエネルギー値が定められる。そのため、再生速度が速いほど、エネルギー値の算出時からエネルギー値を算出するために遡る期間である算出対象期間を長くすることで音源特定支援システムの利用者がエネルギー値を見過ごし難くなる一方で、強度分布図が騒音の音圧値よりも過大な大きさのエネルギー値を示すことを抑制できる。
上記騒音源特定支援システムにおいて、前記制御部は、繰り返し到来する前記騒音の周期を特定し、当該周期の半分以下を音圧サンプリング周期とし、前記算出対象期間を音圧サンプリング周期以下に設定してもよい。
上記構成によれば、繰り返し到来する騒音の周期を特定し、周期の半分以下を音圧サンプリング周期とし、算出対象期間を音圧サンプリング周期以下に設定する。そのため、繰り返し到来する騒音の音圧値は、騒音が到来した音圧サンプリング周期において計測される一方、騒音が到来しない音圧サンプリング周期においては計測されない。また、算出対象期間を音圧サンプリング周期以下に設定するため、断続的に到来する騒音にも関わらず、エネルギー値が連続的に表示されることを防止する。
第1実施形態における騒音源特定支援システムの構成を示す構成図。 映像を示す説明図。 計測時刻t0の音圧値から変換されたエネルギー値を示すグラフ。 到来位置fxにおける表示時刻ごとの累積エネルギー値および表示強度を示すグラフ。 強度分布図が重ねられた映像を示す説明図。 第1実施形態における処理手順の説明図。 第2実施形態における騒音源特定支援システムの構成を示す構成図。 第2実施形態における処理手順の説明図。
[第1実施形態]
以下、騒音源特定支援システム、および騒音源特定支援方法の第1実施形態を図1から図6を参照して説明する。騒音源特定支援システムは、撮像手段が撮像した映像に対して、騒音の強度分布図を重ねて表示することで、ユーザーが対象領域における騒音源の位置を特定することを支援する。強度分布図は、強度分布図における各位置で算出されるエネルギー値を示す分布図であり、度数分布図やバブルチャートなどが挙げられる。本実施形態では、強度分布図が度数分布図である例について説明する。
(騒音源特定支援システム)
図1に示すように、騒音源特定支援システムは、1以上の計測部10と、ネットワークを介して接続される騒音源特定支援装置20とを備える。
計測部10は、騒音の強度を示す強度分布図2を映像1に重ねて表示するために、対象領域の映像1と、音圧の計測値とを撮像期間において収集する。対象領域は、騒音源の位置を特定する対象となる領域である。
計測部10は、対象領域の映像1を撮像する撮像手段11と、対象領域から到来する騒音の音圧を計測する音圧計測手段12とを備える。撮像手段11は、対象領域の映像1を撮像できればよく、例えば、1以上のビデオカメラやデジタルスチルカメラである。
音圧計測手段12は、撮像手段11の近傍に配置され、到来する騒音の音圧を計測するマイクロホンである。音圧計測手段12は、騒音の音圧が計測可能であり、計測データから各計測時刻に到来した騒音の到来角度が算出できるとともに、騒音の大きさとなる音圧値が計測できればよい。音圧計測手段12は、計測データから騒音の到来角度をc-c法によって算出可能であるc-cマイク121と、音圧値を計測可能な無指向性マイク122とを備える。
c-cマイク121は、指向性を有する2つのマイクロホンを最大感度方向が互いに逆方向を向くように配置してマイクロホン対とし、該マイクロホン対を互いに直交する3つの軸線に沿ってそれぞれ配置される。
c-cマイク121は、互いに平行でない複数の軸線に沿って、かつそれらの原点を挟むようにマイクロホン対をそれぞれ配置した構成であればよい。そのため、2次元平面、例えば水平面で発生音の到来角度を近似的に把握して足りるのであれば、該水平面内での2方向に延びる2つの軸線に沿ってマイクロホン対をそれぞれ設置するようにしてもかまわない。また、複数の軸線が必ずしも直交している必要はなく、例えば正四面体の中心から4つの頂点に向けてそれぞれ延びる4本の軸線に沿ってマイクロホン対を設置することで、3次元空間における到来角度を算出してもよい。
c-cマイク121を構成するマイクロホンは、カーディオイド、スーパーカーディオイド、ハイパーカーディオイドといった指向性を有するものである。
無指向性マイク122は、到来した騒音の音圧値を計測するものであり、全ての方向に対する感度が同等である無指向性のマイクロホンである。音圧値は、音圧の大きさを計測した値であって、単位はPaである。
騒音源特定支援装置20は、撮像手段が撮像した映像1に対して、騒音の強度分布図2を重ねて表示するコンピュータシステムである。騒音源特定支援装置20は、計測部10ごとに、撮像手段11の近傍に配置された音圧計測手段12が撮像期間に計測した結果を用いて、強度分布図2における各位置でのエネルギー値を映像1の表示周期ごとに算出する。また、騒音源特定支援装置20は、エネルギー値の算出時からエネルギー値を算出するために遡る期間である算出対象期間を映像1の再生速度が速いほど長くする。
騒音源特定支援装置20は、制御部21と記憶部22と入力部23と表示部24とを備える。入力部23は、ユーザーが任意の情報を入力可能なものであり、例えば、マウスやタッチパネル、キーボードである。表示部24は、ユーザーに情報を提示するものであり、例えば、モニターである。
制御部21は、到来位置特定処理、エネルギー値変換処理、累積算出処理を実行する。
制御部21は各処理を実行するためのプログラムを実行することによって、到来角度特定処理を実行する到来位置特定部211、エネルギー値変換処理を実行するエネルギー値変換部212として機能する。また、制御部21は、累積算出処理を実行する累積算出部213として機能する。
記憶部22は、映像データ221、音圧データ222、エネルギー値データ223を記録する。
映像データ221は、撮像手段11により撮像された映像1であって、時系列的に撮像された静止画像の集団である。各静止画像は、表示周期ごとに生成され、当該静止画像の撮像時刻に相当するタイムインデックス、および方位情報が付与されている。制御部21は、撮像手段11から静止画像を受け取るごとに、静止画像を映像データ221に追加する。表示周期は、静止画像の表示を切り替える周期であって、撮像時の表示周期を基準として、再生速度に応じて変動する。撮像時の表示周期、言い換えれば再生速度が等速時の表示周期は、例えば、23fps以上50fps以下である。方位情報は、対象領域の方位を示す情報であり、方位センサーや、入力部23によって入力される。
音圧データ222は、音圧計測手段12にて計測された計測データの時系列的な集団である。計測データは、音圧計測手段12を構成する各マイクロホンに到来した騒音の音圧をA/D変換し、A特性の周波数重み付けによりフィルタリングすることで得られる計測値の集まりである。計測データに含まれる各計測値には、計測されたマイクロホンの情報が付与されている。
計測データは、音圧サンプリング周期ごとに生成され、当該計測データの計測時刻に相当するタイムインデックスが付与されている。音圧サンプリング周期は、騒音の音圧値を計測する周期であり、24000Hz以上48000Hz以下である。制御部21は、音圧計測手段12から計測データを受け取るごとに、計測データを音圧データ222に追加する。
到来位置特定部211は、撮像手段11の近傍に配置された音圧計測手段12が撮像期間に計測した結果を用いて、各騒音の強度分布図2における位置を特定する。到来位置特定部211は、まず音圧データ222からc-cマイク121の計測値を取得し、各計測時刻における騒音の到来角度を算出する。そして、算出された到来角度から、強度分布図2における位置を特定する。特定した強度分布図2における位置を到来位置fxとする。
図2に示すように、対象領域は、映像1の方位情報と対応した座標系に基づいて格子状に分割されている。格子状に分割された個々の領域を単位領域fとする。到来位置特定部211は、到来角度を座標値に変換し、座標値が含まれる単位領域fを到来位置fxとして特定する。すなわち、到来位置特定部211は、対象領域を構成する単位領域fのなかから、到来角度と対応する単位領域fを到来位置fxとして特定する。到来位置特定部211は、特定した到来位置を音圧データ222に追加する。
エネルギー値変換部212は、映像1の再生速度が速いほど、エネルギー値の算出時からエネルギー値を算出するために遡る期間である算出対象期間が長くなるように、音圧値をエネルギー値に変換する。具体的には、エネルギー値変換部212は、表示周期ごとに、算出対象期間に含まれる音圧値をすべて取得し、音圧値をそれぞれエネルギー値に変換する。すなわち、エネルギー値変換部212は、表示周期ごとに、強度分布図2が表すエネルギー値をすべて算出する。
エネルギー値とは、強度分布図2によって視覚的に表される音圧値の大きさであり、単位はdBである。エネルギー値は、音圧値の大きさを視覚化するうえで、視覚は聴覚よりも時間分解能が低いことを考慮されて算出される。エネルギー値の算出時とは、撮像期間のうち、エネルギー値を算出するうえで基準となる時刻であり、算出されたエネルギー値を含む強度分布図2が重ねて表示される映像1の撮像時刻である。すなわち、エネルギー値の算出時とは、算出されたエネルギー値を含む強度分布図2が表示部24に表示される時刻である。エネルギー値変換部212は、エネルギー値算出時から遡って音圧値をエネルギー値に変換する。
算出対象期間とは、時定数によって定められる期間であり、仮に、一定の音圧値が続く騒音状況においては、時定数によって擬似的に低められるエネルギー値がエネルギー下限値以上となる期間である。エネルギー下限値は、エネルギー値の算出を終える基準値であり、時定数に合わせて変動する値であることが望ましい。
エネルギー値変換部212は、以下の式(1)によって、騒音の音圧値をエネルギー値に変換する。このとき、エネルギー値を表示する時刻を表示時刻tとし、動特性の時定数を時定数τとし、-∞から表示時刻tまでの積分変数を積分変数ξとし、計測時刻ξにおける音圧値をPA(ξ)とし、基準音圧をP0とする。
なお、計測時刻ξとは、各計測データに付与されたタイムインデックスである。計測時刻ξにおける音圧値PA(ξ)とは、無指向性マイク122の計測値である。表示時刻tとは、表示周期により定められる映像1を切り替える時刻であって、対応する強度分布図2の表示が開始される時刻である。表示時刻tは、計測部10の計測時刻と対応した時刻であり、撮像期間のうち、エネルギー値を算出するうえで基準となる時刻である。基準音圧P0は、エネルギー値を算出するうえで基準となる音圧値であり、2.0×10-5Paである。
時定数τは、入力部23において入力される再生速度に応じて変更される。このとき、時定数τは、再生速度が早くなるほど、大きい値となるように設定される。再生速度が変更されるとき、例えば、時定数τは、計測時と再生速度が等速であるときの時定数τに再生速度の倍数を乗算したものとする。再生速度が等速であるときの時定数τは、例えば、0.125秒である。
図3を参照して、音圧値からエネルギー下限値を超える値を算出可能な期間について説明する。
図3に示すグラフは、式(1)によって、計測時刻がt0である音圧値をエネルギー値に変換したグラフである。図3の縦軸は、音圧値から算出されたエネルギー値を示しており、二点鎖線はエネルギー下限値を示している。
図3に示されるように、式(1)によって算出されるエネルギー値は、時定数に依存している。算出されるエネルギー値は、計測時刻から表示時刻までの時間が時定数で設定された値と等しくなるまでは、騒音の計測時刻が表示時刻から離れるほど高い値となる。一方で、計測時刻から表示時刻までの時間が時定数で設定された値を超えると、騒音の計測時刻が表示時刻から離れるほど低い値となる。
また、式(1)によって算出されるエネルギー値は、音圧値の大きさに依存しており、音圧値が大きいほど、大きい値となる。そのため、音圧値からエネルギー下限値を超える値を算出可能な期間である算出可能期間は、時定数と音圧値の大きさに依存しており、音圧値が大きいほど算出可能期間が長くなりやすい。算出可能期間は、騒音の計測時刻から、エネルギー下限値と等しいエネルギー値が算出される表示時刻までの期間である。
エネルギー値変換部212は、エネルギー値の算出時から遡って算出されるエネルギー値のなかから、エネルギー下限値を超えた値をエネルギー値データ223に保存する。図3では、表示時刻t0からt7において、エネルギー下限値を超えた値が算出されている。そのため、エネルギー値変換部212は、表示時刻t0からt7における各エネルギー値をエネルギー値データ223に保存する。
累積算出部213は、強度分布図2における各位置でのエネルギー値を映像1の表示周期ごとに算出する。すなわち、累積算出部213は、表示時刻に表示する強度分布図2を作成するために、単位領域ごとに累積エネルギー値を算出する。累積算出部213は、算出した累積エネルギー値に基づいて、強度分布図2における各位置での表示強度を決定する。累積エネルギー値は、強度分布図2における各位置でのエネルギー値であり、1以上の音圧値から算出されるエネルギー値の累積値である。
図4に示すグラフは、到来位置fxにおける表示時刻t0からt9までの累積エネルギー値および表示強度を示している。ここでは、計測時刻t0からt2において、図3のように変換される音圧値が計測された場合を示している。計測時刻t0に計測された音圧値から変換されたエネルギー値を黒色とし、t1に計測された音圧値から変換されたエネルギー値に斜線を付し、t2に計測された音圧値から変換されたエネルギー値にドットを付している。
紙面左側の縦軸は、累積エネルギー値を示している。表示時刻t3における累積エネルギー値は、計測時刻t0の音圧値から算出されたエネルギー値LA(t3)、計測時刻t1の音圧値から算出されたエネルギー値LA(t3)、および計測時刻t2の音圧値から算出されたエネルギー値LA(t3)が累積している。
累積エネルギー値は、異なる音圧値から、到来位置および表示時刻が等しいエネルギー値が算出された場合、累積していく。累積算出部213は、到来位置および表示時刻が等しい1以上のエネルギー値を合算することで累積エネルギー値を算出する。
紙面右側の縦軸は、表示強度を示している。表示強度は、例えば、色番号や透明度、色の濃淡などといった視覚情報で表される強度である。表示強度は、例えば、百分率など、視覚情報の階調数に合わせて表される。累積算出部213は、累積エネルギー値と表示強度とを対応づけ、累積エネルギー値を表示強度に変換する。
累積算出部213は、累積エネルギー値を表示強度に変換することを、すべての単位領域fで行なう。累積算出部213は、算出した表示強度に基づいて、強度分布図2を作成する。そして、制御部21は、表示時刻に表示される強度分布図2を、表示時刻と対応する映像1に重ねて表示部24に表示させる。
図5は、表示部24に表示される強度分布図2が重ねられた映像である。図5では、表示強度に応じてドットの濃淡が定めされている。映像1は、再生速度に基づいて、表示周期ごとに映像1および強度分布図2が切り替わる。強度分布図2の各単位領域には、表示強度と対応した視覚情報が付与されており、図5ではドットの濃さによって表されている。ユーザーは、表示部24に表示された強度分布図2が重ねられた映像1によって、騒音源の位置を特定する。
(騒音源探索支援方法)
図6を参照して、上記騒音源探索支援システムが実行する騒音源探索支援方法を説明する。
まず、制御部21は、音圧データ222から各計測時刻の計測データを取得する。
次に、制御部21は、計測データごとに騒音の到来位置を特定する(ステップ2)。具体的には、制御部21は、c-cマイク121の計測値から到来角度を算出し、算出した到来角度から到来位置を算出する。制御部21は、算出した到来位置を計測データと紐づけて音圧データ222に追加する。
制御部21は、表示周期ごとに音圧値をエネルギー値に変換する(ステップ3)。制御部21は、算出時から算出対象周期まで遡って、算出対象周期に計測時刻が含まれる音圧値から表示時刻のエネルギー値を算出する。そして、エネルギー下限値以上であるエネルギー値をエネルギー値データ223に追加する。
制御部21は、強度分布図2における各位置での累積エネルギー値を算出する(ステップ4)。制御部21は、単位領域ごとに、表示時刻のエネルギー値をすべて取得し、取得したエネルギー値を合算する。
次に、制御部21は、単位領域ごとに、累積エネルギー値を表示強度に変換する(ステップ5)。制御部21は、算出した表示強度を到来位置に表示するように、表示時刻における強度分布図2を作成する。制御部21は、作成した強度分布図2を表示時刻と等しい時刻に撮像された映像1に重ねて表示する(ステップ6)。
制御部21は、上記のステップを繰り返し実行することで、表示周期ごとに強度分布図作成し、作成するたびに映像1に重ねて表示する強度分布図2を更新する。
以上、第1実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
(1-1)制御部21は、表示周期ごとに、騒音の計測時刻が算出対象期間に含まれる音圧値をエネルギー値に変換する。そして、制御部21は、強度分布図2の各位置で示す累積エネルギー値を算出する。これにより、瞬間的な衝撃音であっても、継続的に表示されるため、騒音源の探索が容易となる。
(1-2)制御部21は、時定数τによる時間重み付けに依存したエネルギー値を算出する。そのため、再生速度が速いほど、エネルギー値の算出時からエネルギー値を算出するために遡る期間である算出対象期間が長くなることで音源特定支援システムの利用者がエネルギー値を見過ごし難くなる一方で、騒音の音圧値よりも強度分布図2が過大な大きさのエネルギー値を示すことを抑制できる。
(1-3)再生速度が速いほど、算出対象期間を短くすることは、瞬間的な表示を生じやすくする。この点、制御部21は、入力部23において入力される再生速度が速いほど、時定数τを大きく設定することで、算出対象期間を長くする。これにより、騒音源の位置を手早く特定するために再生速度を速めるとしても、騒音源特定支援システムの利用者がエネルギー値を見過ごし難くなる。反対に、制御部21は、再生速度が遅いほど、時刻τを小さく設定することで、算出対象期間を短くする。これにより、騒音源の位置を高い精度のもとで特定する際に、先の騒音源と後の騒音源とを、別々に視認させることが可能ともなる。
(1-4)制御部21は、式(1)によって、音圧値からエネルギー値を算出する。このとき、瞬時の音圧値と、式(1)の積分値として保存される計測時刻から∞までのエネルギー値とは等しい値となる。これにより、騒音の音圧値よりも強度分布図2が過大な大きさのエネルギー値を示すことを抑制できる。
なお、第1実施形態は、以下のように変更して実施できる。
・再生速度が等速であるときの時定数τは、0.125秒でなくてもよく、例えば、1秒であってもよい。
・強度分布図2を表示する表示周期は、映像1の表示を切り替える周期や音圧サンプリング周期の少なくとも1つと等しくてもよいし、等しくなくてもよい。エネルギー算出時と等しい時刻に音圧値が計測されていない場合、補間法によりエネルギー算出時の音圧値を求めたうえで、エネルギー値を算出する。
・エネルギー値算出部は、音圧値からエネルギー値に変換する際に、式(1)を使わなくてもよい。例えば、単調減数関数によりエネルギー値が算出されてもよいし、音圧値をエネルギー値としてもよい。
・算出対象期間は、音圧サンプリング周期以下に設定されてもよい。対象領域において繰り返し到来する騒音が存在する場合、繰り返し到来する騒音の周期を特定し、当該周期の半分以下を音圧サンプリング周期とする。そして、算出対象期間をサンプリング周期以下となるように設定する。これにより、断続的に到来する騒音が連続的に到来したように表示されることを防止する。
・算出対象期間は、時定数によって定められなくてもよい。例えば、ユーザーが入力部23から任意の値を入力することで定められてもよい。このとき、制御部21は、入力された算出対象期間を基準として、再生速度が速くなるほど算出対象期間を長くする。
・制御部21は、音圧値から変換されたエネルギー値をすべてエネルギー値データ223に保存してもよい。すなわち、エネルギー下限値より低い値であってもエネルギー値データ223に保存してもよく、累積エネルギー値に含まれてもよい。
[第2実施形態]
図7および図8を参照して、騒音源特定支援システムおよび騒音源特定支援方法の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態における騒音源特定支援システムおよび騒音源特定支援方法は、第1実施形態と比べて、計測部10が撮像期間に計測した結果を用いて作成された強度分布図2を基にして、新たな強度分布図2を作成する点が異なっている。以下では、第2実施形態と第1実施形態との相違点を中心に説明し、第1実施形態と同様の構成については同じ符号を付してその説明を省略する。
(騒音源探索支援システム)
図7に示すように、騒音源特定支援システムは、1以上のストレージ30と、騒音源特定支援装置20とを備える。
ストレージ30は、補助記憶装置であり、オンラインストレージ、磁気ディスクや光学ディスク、フラッシュメモリ記憶装置などである。ストレージ30は、複数のストレージを組み合わせて用いることもできる。ストレージ30には、計測部10が撮像期間に計測した結果を用いて作成された強度分布図2と、強度分布図2に対応する映像1とに関するデータが格納されている。
騒音源特定支援装置20は、ストレージ30ごとに、取得されるデータを用いて、新たに作成される強度分布図2における各位置でのエネルギー値を映像1の表示周期ごとに算出する。また、騒音源特定支援装置20は、映像1の再生速度が速いほど、算出対象期間を長くする。
制御部21は、データ取得部214、エネルギー値変換部212、および累積算出部213を備える。
データ取得部214は、ストレージ30から取得したデータから、強度分布図2の各位置における表示強度を取得する。すなわち、データ取得部214は、ストレージ30から取得される強度分布図2が重ねて表示される映像1から、各位置の表示強度を取得する。
エネルギー値変換部212は、表示強度からエネルギー値に変換する。具体的には、エネルギー値変換部212は、エネルギー算出時から算出対象期間だけ遡って表示強度を取得し、取得した表示強度をエネルギー値に変換する。エネルギー値変換部212は、表示強度を取得するときに、エネルギー算出時から遡った期間を考慮してエネルギー値を算出することが望ましい。エネルギー値変換部212は、例えば、式(1)や単調減数関数を用いてエネルギー値を算出する。なお、エネルギー値変換部212は、再生速度を入力として算出対象期間を出力するための演算データを備える。エネルギー値変換部212は、今回の再生速度を演算データに適用し、今回の算出対象期間を算出する。算出対象期間は、再生速度が速いほど長くなるように設定される。
記憶部22は、取得データ224およびエネルギー値データ223を備える。
取得データ224は、データ取得部214により取得されたデータであって、時系列的に取得される表示データと、表示データに対応する静止画像の集団である。表示データは、データ取得部214によって取得される表示強度と、該表示強度の到来位置とが対応づいたデータである。各表示データは、取得した強度分布図2の表示周期ごとに生成され、対応する映像の撮像時刻に対応するタイムインデックスが付与されている。
(騒音源探索支援方法)
図8を参照して、第2実施形態における騒音源探索支援システムが実行する騒音源探索支援方法を説明する。
まず、制御部21は、任意の撮像期間における強度分布図2が重ねて表示される映像1をストレージ30から取得する(ステップ21)。任意の撮像期間は、入力部23からユーザーが入力する。
次に、制御部21は、取得した強度分布図2から各位置の表示強度を取得する(ステップ22)。制御部21は、取得した表示強度を取得データ224に追加する。
制御部21は、表示周期ごとに表示強度をエネルギー値に変換する(ステップ23)。制御部21は、算出時から算出対象周期まで遡って、算出対象周期に表示時刻が含まれる表示強度を表示時刻のエネルギー値を算出する。制御部21は、算出したエネルギー値をエネルギー値データ223に追加する。
制御部21は、強度分布図2における各位置での累積エネルギー値を算出する(ステップ24)。制御部21は、単位領域ごとに、表示時刻のエネルギー値をすべて取得し、取得したエネルギー値を合算する。
次に、制御部21は、単位領域ごとに、累積エネルギー値を表示強度に変換する(ステップ25)。制御部21は、算出した表示強度を到来位置に表示するように、表示時刻における強度分布図2を作成する。制御部21は、作成した強度分布図2を表示時刻と等しい時刻に撮像された映像1に重ねて表示する(ステップ26)。
制御部21は、上記のステップを繰り返し実行することで、表示周期ごとに強度分布図2を作成し、作成するたびに映像1に重ねて表示する強度分布図2を更新する。
以上、第2実施形態によれば、(1-2),(1-3)の他に、以下の効果を得ることができる。
(2-1)制御部21は、計測部10が撮像期間に計測した結果を用いて作成された強度分布図2を基にして、新たな強度分布図2を作成する。制御部21は、エネルギー値算出時から算出対象期間まで遡って表示強度を取得し、取得した表示強度をエネルギー値に変換する。これにより、特に、ストレージ30に格納される強度分布図2における各位置のエネルギー値の算出に視覚の時間分解能の低さが考慮されていない場合、騒音源の位置の特定精度を向上させる。
(2-2)算出対象期間は、再生速度が速いほど長くなるように設定される。そのため、騒音源の位置を手早く特定するために再生速度を速めるとしても、瞬間的な騒音の各発生場所を視覚では特定できない程度に、映像1中の別々場所で異なるタイミングに表示が切り替わることで生じるチラツキを抑えられ、騒音源特定支援システムの利用者がエネルギー値を見過ごし難くなる。反対に、騒音が到来しているタイミングを特定するために再生速度を遅くするとしても、映像1の再生速度が遅いほど、エネルギー値の算出時からエネルギー値を算出するために遡る期間である算出対象期間が短くなるため、先に到来した騒音のエネルギー値と、後に到来した騒音のエネルギー値とが、相互に重ならず、別々の騒音として視認されやすい。結果として、騒音が到来している方向やタイミングの特定精度を高めることが可能ともなる。
なお、第2実施形態は、以下のように変更して実施できる。
・新たに作成する強度分布図2を表示する表示周期は、映像1の表示を切り替える周期や取得された強度分布図2の表示周期の少なくとも1つと等しくてもよいし、等しくなくてもよい。エネルギー算出時と等しい時刻の表示強度が取得されない場合、補間法によりエネルギー算出時の表示強度を求めたうえで、エネルギー値を算出する。
・制御部21は、例えば、式(1)や単調減数関数を用いてエネルギー値を算出しなくてもよく、表示強度の値をそのままエネルギー値としてもよい。
10…計測部 11…撮像手段 12…音圧計測手段 20…騒音源特定支援装置 21…制御部 22…記憶部 23…入力部 24…表示部 121…c-cマイク 122…無指向性マイク 211…到来位置特定部 212…エネルギー値変換部 213…累積算出部 221…映像データ 222…音圧データ 223…エネルギー値データ

Claims (4)

  1. 撮像手段が撮像した映像に対して、騒音の強度分布図を重ねて表示する制御部を備えた騒音源特定支援システムであって、
    前記制御部は、
    前記撮像手段の近傍に配置された音圧計測手段が撮像期間に計測した結果を用いて、前記強度分布図における各位置でのエネルギー値を前記映像の表示周期ごとに算出し、
    前記エネルギー値の算出時から当該エネルギー値を算出するために遡る期間である算出対象期間を前記映像の再生速度が速いほど長くすることを特徴とする
    騒音源特定支援システム。
  2. 前記制御部は、
    前記再生速度が速いほど大きい時定数を設定し、
    前記騒音の音圧値と前記時定数とに基づいて前記エネルギー値を定める
    請求項1に記載の騒音源特定支援システム。
  3. 前記制御部は、
    繰り返し到来する前記騒音の周期を特定し、
    当該周期の半分以下を音圧サンプリング周期とし、
    前記算出対象期間を音圧サンプリング周期以下に設定する
    請求項1または2に記載の騒音源特定支援システム。
  4. 撮像手段が撮像した映像に対して、騒音の強度分布図を重ねて表示する制御部を備えた騒音源特定支援方法であって、
    前記制御部は、
    前記撮像手段の近傍に配置された音圧計測手段が撮像期間に計測した結果を用いて、前記強度分布図における各位置でのエネルギー値を前記映像の表示周期ごとに算出し、
    前記エネルギー値の算出時から当該エネルギー値を算出するために遡る期間である算出対象期間を前記映像の再生速度が速いほど長くすることを特徴とする
    騒音源特定支援方法。
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